説明

エアシャワー装置

【課題】
従来のエアシャワー装置のドア下側において、ドア開閉のため床面との間隙を持たせていたが、この間隙によりエアシャワー室内から塵埃などを含んだエアがクリーンルーム内に漏洩するということがあった。本発明は、エアシャワー室内からの塵埃の漏洩を防ぎ、気密性を高めることを目的とする。
【解決手段】
ファンと加圧チャンバとフィルタとノズルとを備え、高速で作業者に清浄エアを吹き付け、塵埃などを吹き飛ばし除去するエアシャワー装置において、エアシャワー室内はノズルを備えた両側面とドアと天井面と床面とより構成し、加圧チャンバからドア下側に設置した弾性体に加圧したエアを送り膨張させ、床面との間隙を塞ぐ構成とし、クリーンルームなどへの塵埃の漏洩を防止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体及び精密機械等の製造、又は食品製造、加工を行うクリーンルーム又は作業室の出入口に設置され、クリーンルーム又は作業室の通路又は前室として使用され、クリーンルーム又は作業室の通路又は前室として使用され、クリーンルーム又は作業室への塵埃の流入、持ち込みを防止するエアシャワー装置に関し、特にファンで加圧されたエアを用い、エアシャワー室内のエアを室外に漏洩しないようにするエアシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体及び精密機械の製造、食品製造、加工を行うクリーンルーム又は作業室の出入口にクリーンルーム又は作業室に塵埃や菌などを持ち込まないようにエアシャワー装置が設置され、作業者に高速のエアジェット気流を吹き付けて衣類や人体からの塵埃や髪の毛などを吹き飛ばして、クリーンルーム又は作業室に入り作業を行っている。
【0003】
エアシャワー装置において、エアジェット気流によりエアシャワー室内に舞い上がった塵埃を速やかに排除するためファンを用いて循環気流を形成している。
【0004】
また、半導体及び精密機械を製造するクリーンルームは、クリーンルーム内の清浄度を保つために、クリーンルームの室外よりも約20Pa圧力を高くしている。エアシャワー室内よりもクリーンルーム内の圧力を高くすることで、エアシャワー室内よりクリーンルーム側へ塵埃などが流入し難くしている。
【0005】
しかし、エアシャワー装置のドア周囲の隙間から塵埃などが漏洩する恐れがあった。これを防止するため、従来は図12A〜図12Cに示すような構成にしており、この従来の構成について説明する。
【0006】
図12Aは、従来のエアシャワー装置の作業者が出入りする進行方向の断面図を示している。
図12A〜図12Cにおいて、1はエアシャワー装置、2は天井部、5は作業者が出入りするためのドア(ダーティ側ドアと呼ぶ)、8はドアを開閉するときのハンドル、9は作業者に高速のエアジェット気流を吹き付けるノズル、11はエアシャワー室内のエアを吸い込み大きな塵埃を取るプレフィルタ、12はクリーンルーム又は作業室に通じるドア(クリーン側ドアと呼ぶ)、13はドアに設置されたハンドル、14はエアシャワー装置をコントロールするコントロールパネルである。
【0007】
作業者は、防塵服を身に付けて、エアシャワー装置1のドアハンドル8を回し、ドア5を開け、シャワー室内に入る。シャワー室内に入ると、ノズル9より作業者に対し、清浄エアを高速に約10秒間くらい吹き付け、作業者に付着した塵埃や髪の毛などを吹き飛ばす。
【0008】
ノズル9は、エアシャワー装置1の両側面に各々10個近く設置され、天井面にも3,4個設置されている。ノズル9から噴き出された清浄エアは、作業者の塵埃や髪の毛と一緒にエアシャワー室内を舞い、エアシャワー下側に設置されたプレフィルタ11より吸い込まれる。プレフィルタ11の裏側には、ファンが設けられ、回転することによりエアシャワー室内のエアを吸い込む。これについては後で説明する。
【0009】
高速のエアジェット気流を受けた作業者は、クリーンルーム又は作業室に連なるドア12を開け、入室して作業することになる。
【0010】
次に、従来のドアの隙間からの塵埃などの漏洩防止について説明する。
図12Aに示すドア上部のD部を部分拡大した図を図12Bに示す。
図12Bにおいて、ドア5と天井部2の本体との間には間隙3〜4mmが存在し、これを塞ぐ構造として天井部2本体側にドアストッパ抑え16を設置し、このドアストッパ抑え16にドアストッパ17を隙間を塞ぐように設置固定している。ドアストッパ17は、材質がゴム製のもので、先端は中空の円柱状で、その下側は断面がギザギザ形状すなわち両刃のこぎりのような形状を成している。このドアストッパ17をドア5の天井側及び両側面側に連続して設置している。ドア5の下側にもドアストッパ17を設置したエアシャワー装置があるが、段差を形成することになるため、作業者がつまづいたり台車が振動したりして、精密機械や装置、部品を搬入するときは問題となり、一般には図12Cに示すように、ドア下側には対策はされていなかった。また、ドア下側は、ドア開閉のため床面との間隙Lは7mm程度設けられている。
【0011】
また、ドアパッキンを用いる公知例として、引用文献1(特開2011−69079号公報)がある。引用文献1は、エアシャワー装置のドア構造において、ドアを框ドアとし、ドア中央部にガラス板を設けた窓の構成で、ガラス板は框の端部に設けたパッキンで固定し、塵埃の漏洩を防止し機密性を保つことが開示されている。しかし、本発明のようにドア周囲の隙間を塞ぐ構成については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011−69079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一般的なエアシャワー装置の構造は、ドアを閉じた状態で上面及び両側面をドアストッパに接触することで気密性(密閉性)を上げているが、ドア下面はドアを開閉するために隙間を設けている。また、エアシャワー室内でエアジェット作動時には室内のエアが舞い上がり乱れるため、クリーンルーム側及びエアシャワー装置外へ塵埃などが流出する恐れがあった。
【0014】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、エアシャワー装置内でエアジェット作動時にドア下側の隙間を塞ぐように構成したエアシャワー装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の別の目的は、エアジェットが作動している時、ダーティ側ドアとクリーン側ドアが開かないようにしたエアシャワー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、ファンからのエアをフィルタを介して人体及び衣服に吹き付け、塵埃を吹き飛ばすエアシャワー装置において、エアシャワー室内のエアを吸い込み、圧縮して送風するファンと、該ファンから圧縮したエアを送る加圧チャンバと、該加圧チャンバから送られたエアをろ過するフィルタと、該フィルタを通過した清浄エアをエアシャワー室内に吹き出すノズルと、を備え、前記エアシャワー室内は、前記ノズルを設置した側面と、作業者が出入りするドアと、天井面と床面とより囲われて構成し、前記加圧チャンバから前記ドア下部に設けた弾性体に加圧したエアを送ることを特徴とする。
【0017】
また、上記のエアシャワー装置において、前記弾性体の材質はゴムであることを特徴とする。
【0018】
さらに、ファンからのエアをフィルタを介して人体及び衣服に吹き付け、塵埃を吹き飛ばすエアシャワー装置において、エアシャワー室内のエアを吸い込み、圧縮して送風するファンと、該ファンから圧縮したエアを送る加圧チャンバと、該加圧チャンバから送られたエアをろ過するフィルタと、該フィルタを通過した清浄エアをエアシャワー室内に吹き出すノズルと、を備え、前記エアシャワー室内は、前記ノズルを設置した側面と、作業者が出入りするドアと、天井面と床面とより囲われて構成し、前記加圧チャンバから前記ドアに設けたピンを加圧したエアで駆動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、エアシャワー装置で、エアジェット動作時にファンにより加圧された圧力を利用して、ドア下側の床面との間隙を塞ぐ弾性体を設置し、圧力で弾性体を膨張させて隙間を塞ぐため、塵埃の漏洩を防止でき、エアシャワー室内の気密性(密閉性)を保持できる。
【0020】
また、エアジェットの動作が終了すると、膨張していた弾性体は萎み、ドアと床面との隙間は復帰してドアはスムーズに開閉できる。
【0021】
さらに、ファンで圧縮したエアを加圧チャンバに送り、加圧チャンバからピンを押し出すピストン機構に送り、エアジェット動作時にピンがドアに設けたピン抜け部に挿入され、ドアがロックされた状態となる。このような状態により作業者は勝手にクリーンルーム内に入ったり、エアシャワー装置外に出たりすることはできず、エアシャワー室内の塵埃が漏洩することはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のエアシャワー装置の外観斜視図を示す。
【図2】本発明のドアに弾性体を設けたエアシャワーの正面図及び断面図を示す。
【図3】図2に示す一実施例のA−A断面図を示す。
【図4】図2に示す別の実施例のA−A断面図を示す。
【図5】図2に示すさらに別の実施例のA−A断面図を示す。
【図6】図2に示す一実施例のB部詳細図を示す。
【図7】図2に示す別の実施例のB部詳細図を示す。
【図8】図2に示すさらに別の実施例を示すB部詳細図を示す。
【図9】本発明の床面に弾性体を設置したエアシャワー装置の正面図及び断面図を示す。
【図10】図9に示す一実施例のC―C断面図を示す。
【図11】図9に示す別の実施例のC−C断面図を示す。
【図12A】従来のドアを示すエアシャワー装置の断面図を示す。
【図12B】図12AのD部詳細図を示す。
【図12C】図12AのE部詳細図を示す。
【図13】本発明のエアジェット動作時ドアをロックするピン構造を有したエアシャワー装置の正面図を示す。
【図14】図13に示すF部詳細図を示す。
【図15】本発明の図13のエアシャワー装置における入退室の制御を示すフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は、本発明のエアシャワー装置の外観斜視図である。
図1において、1はエアシャワー装置、2は天井ケース、3は正面に向かって左側の本体ケース、4は正面に向かって右側の本体ケース、5はドア、6はガラス等を用いた窓、7はドアを開閉するためのヒンジ、8はドアハンドルである。9は清浄エアを吹き出すノズル、10はエアシャワー室内空間を表している。
【0024】
エアシャワー装置1は、天井を形成する天井ケース2、エアシャワー室内空間10を挟んで本体ケース3に対向して配置された本体ケース4、エアシャワー室内に出入りするためのダーク側ドア5、クリーンルームに出入りするためのクリーン側ドア12、及び床面より構成される。
また、ドア5の中央には、縦方向に細長い透明なガラス板で形成した窓6が設置され、エアシャワー室内が見えるように構成している。
ドア5の開閉は、ドアハンドル8を手に持って回転させて行う。エアシャワー室内には、清浄エアを吹き出すノズル9がエアシャワー室内の両側面に10個程度整列し、また天井面に3,4個設置されている。
【0025】
次に、本発明のエアシャワー装置の正面図及び断面図を図2に示し、ドア下部に設置した弾性体について説明する。
図2において、18はファン、19は加圧チャンバ、20はHEPAフィルタ、9は清浄エアを吹き出すノズル、11はプレフィルタ、21は加圧チャンバからの加圧エアを送るチューブ、22はドア5の下側に設置した弾性体である。
ここで、図2を用いて、エアシャワー装置の循環気流について説明する。
HEPAフィルタ9を通過した清浄エアは、高速でノズル9よりエアシャワー室内にいる作業者に吹き付けられる。そして、作業者に付着している塵埃や髪の毛などが吹き飛ばされて、エアシャワー室内を舞い上がり室内の下側にあるプレフィルタ11より室内のエアが吸い込まれ、ファン8で圧縮されて加圧チャンバ19に送られ、加圧チャンバ19では圧力が高められる。
加圧チャンバ19にて圧力が高められたエアは、HEPAフィルタ20へ送られ、HEPAフィルタ20を通過したエアは、清浄エアとしてノズル9より噴き出される。
【0026】
以上が、エアシャワー装置の循環気流の説明である。
【0027】
次に、図2のドア下側に設置した弾性体について説明する。
図2の本発明の弾性体の一実施例のA−A断面図を図3に示す。
図3は、ドア5の下側の構造を、凹部を有した溝形状とし、この凹部に中空の弾性体22、即ちチューブ状の弾性体22を設置する。
図3の構成において、エアジェットが作動していないときは、実線のように凹部の中に弾性体22は収納された状態であるが、エアジェットが作動すると加圧チャンバ19から送られた高圧のエアにより弾性体22は膨張し、ドア5と床面15との間隙を塞ぐ。エアジェットの作動が止まると、弾性体22は圧力がなくなり萎んで、ドアの凹部の中に収納され、ドア5と床面15との間隙が復帰し、ドアはスムーズに開閉することができる。
【0028】
次にドア5と床面15を塞ぐ別の実施例について、図4を用いて説明する。
図4は、ドア5の下側の構造を図3と同じように凹部を有した溝形状とし、凹部の先端部分に平面状の弾性体24をカバーし、設置した構成を示している。
図4の構成において、床面15に対抗したドア5の凹部の先端部分に平面状の弾性体24をカバーし設置することで凹部の中に中空23を形成でき、この部分にエアジェットが作動すると加圧チャンバ19からの圧力の高いエアを送り、弾性体24を、図4の点線で示すように膨張させ、ドア5と床面15との間隙を塞ぐことができる。エアジェットの作動が止まると、膨張していた弾性体24は、圧力がないため再び平面状に戻り、ドア5と床面15には間隙が形成され、ドア5はスムーズに開閉することができる。
【0029】
さらに、ドア5と床面15との間隙を塞ぐ別に実施例を図5を用いて説明する。
図5は、ドア5の下側の構造を図3と同じように凹部を有した溝形状とし、この凹部の中に圧力によって動作する長手方向の仕切板を設置している。
図5の構成において、細長い凹部形状の中の奥に平板25を設置固定し、この平板25の中央部分には、加圧チャンバ19から圧力の高いエアをチューブ21を介して送る箇所を設置している。
また、ドア5との凹部形状の先端よりやや内側にも平板29を設置固定する。この凹部形状の中に固定した平板25と平板29の間に可動する平板26を設ける。平板26は、固定された平板25との間に圧力の高いエアが送られ、凹部形状の深さ方向に上下に可動する。
また、平板26の中央部には、略垂直方向に仕切板27を設置しており、仕切板27は固定された平板29の中央部に形成された細長いスリットの中を通過し、平板29を通過した所で平板8に略垂直に設置固定している。
そして、平板28は、ドア5の下側の凹部をカバーする幅とする。このように、細長い平板26、仕切板27及び平板28で形成された断面がエ字形状の仕切板は、エアジェットが作動すると、加圧チャンバからチューブ21を介して平板25と平板26の間に送られると、床面15の方へ下がっていき、ドア5と床面15との間隙を仕切板27により塞ぐことになる。
【0030】
また、エアジェットの作動が止まると、圧力はなくなるのでエ字形状の仕切板は押す力はなくなり、ドア側に収納され、ドア5の開閉はスムーズになる。
【0031】
次に、図2に示した本体ケースとドアに設置した弾性体に圧力の高いエアを送るB部詳細について説明する。
先ず、図6は本体ケース3とドア5との間に蛇腹29を設けた場合を示し、図6(a)はドア5を閉じた状態を示し、図6(b)は開いた状態を示している。
エアシャワー装置において、実際はドア5と本体ケース3との隙間は、3〜4mmであるため、蛇腹のひだは数多く取れないが、蛇腹29を本体ケース3に取り付けている部分30を本体ケース3の内側にすることで蛇腹のひだを増やすことは可能である。
また、この蛇腹29の材質はゴムやプラスチックのものがある。
【0032】
次に、本体ケース3からドア5に設置した弾性体に圧力の高いエアを送る別の実施例のB部詳細図を図7に示す。
図7は、加圧チャンバ19の圧力の高いエアを送るチューブ21を本体ケース3の下側よりドア下側に設置した弾性体に接続した図を示す。
ここで、図7(a)はドア5を閉じた状態を示し、図7(b)はドア5を開いた状態を示している。
図7(a)(b)において、圧力の高いエアを送るチューブ21は、本体ケース3の下側より直接ドア5の端部に中継部50を設け、この中継部50を介してドア5内に設置した弾性体に接続している。
【0033】
次に、本体ケース3とドア5に設置した弾性体に加圧したエアを送るさらに別の実施例のB部詳細図を図8に示す。
図8は、本体ケース3にチューブ21の接続端子50を取り付け、ドア側にも接続端子50を取り付け、チューブ34でドア5に設置した弾性体に加圧したエアを送る。そして、本体ケース3とドア5との間には、柔らかいゴム状の凹部形状をした物体31と凸部形状をした物体32を、本体ケース3側とドア5側に対向するように設置固定し、ドア5が閉じた状態で凹部物体31と凸部物体32が嵌め合うように構成する。そして、この凹部物体31と凸部物体32の中央には、加圧したエアが通過するように孔33,34を設けている。
図8において、図8(a)はドアを閉じた状態にした場合を示し、図8(b)はドアを開にした状態の場合を示す。
【0034】
次に、図9にドア5と床面15との間隙を塞ぐ別の実施例を示す。
図9は、加圧チャンバ19の圧力の高いチューブ21を用いて床面15において、ドア5が閉じた状態の対向する箇所に弾性体を設置した構成を示す。
【0035】
先ず、図10は、図9のC−C断面を示し、床面15側よりドア5と床面15との間隙を塞ぐ一実施例を示す。
図10において、5はドアで、図3のようにドア5の下側は凹部形状は有しておらず平らな形状をしており、ドア5を閉じた状態のドア下側の対向する床面15の部分に、ドアと床面との間隙を塞ぐ構造を設置する。
床面15に加圧したエアを貯める細長い空間を有した溝36を設置し、この溝36の上部にエアによって膨張して膨らんだゴム製の弾性体37を固定する。
溝36には、加圧チャンバ19より圧力の高いエアを送るチューブ21が床面15に埋め込まれ、接続されている。
このような構成において、エアジェットが作動すると、加圧チャンバ19からチューブ21を介して溝36に加圧されたエアが送られ、弾性体37が膨らんで床面15とドア5との間の間隙を塞ぐ。そして、エアジェットの作動が止まると、溝36には圧力は零となり弾性体37は萎み、床面15とドア5との間隙は復帰し、ドア5はスムーズに開閉できる。
【0036】
次に、床面15側よりドア5と床面15との間隙を塞ぐ別の実施例を図11に示す。
図11は、図9のC−C断面を拡大して示した図で、ドア5を閉じた状態の対向する床面15に細長い空間を有した溝36を設け、この溝36の空間にピストン構造で動作しドア5と床面15を塞ぐ構成を設置している図を示す。
【0037】
次にこのピストン構造について説明する。
図11において、38は平板で、チューブ21から送られた圧力の高いエアでもって、溝36内で深さ方向に上下するように形成する。39は、平板38の中央部に略垂直に設置固定された仕切板で、ドア側に移動したときドア5と床面15とを塞ぐものである。仕切板39には、平板38と平行に即ち仕切板39に垂直に平板40を設置し固定する。
このような構成において、エアジェットの作動があると、加圧チャンバ19より圧力の高いエアを床面15に埋め込まれたチューブ21より溝36の下側より送りこまれ、並番38の下側からエアの圧力で平板38が持ち上がり、エ字形状の仕切板がドア5側に移動し、平板40がドア5の下側に接触した状態を形成し、ドア5と床面15との間隙が仕切板39により塞がれる。
エアジェットの作動が止まると、チューブ21から溝36へ圧力の高いエアは送られないため、エ字形状の仕切板は溝36に収納され、ドア5と床面15との間隙が復帰し、ドア5はスムーズに開閉できる。
次に、エアシャワー装置1の加圧チャンバ19の圧力を用いたドアロック構造について説明する。
【0038】
図13は、本発明のドアロック構造を示すエアシャワー装置1の正面図を示す。
図13において、本発明のロック機構のF部詳細図を図14に示す。図14は、本発明の加圧チャンバの圧力の高いエアで、ドアをロックするピン方式のロック機構を示す断面図である。
図14において、41はチューブ、42は円筒形状をした中空のケース、43はエアを貯め円板44を押し出す空間部、45は円板44に垂直に固定したピン、46はピンを戻すためのバネ、47はピン45を受けるピン抜け部である。
図14において、加圧チャンバ19から送られる圧力の高いエアは、ピストン構造の空間部43に入り、ピストンの円筒形のケース42内の円板44を押し出す。円板44が押し出されると、円板44に固定されたピン45はドア5に設けられたピン抜け部47に挿入され、ドア5がロックされる。
このドアのロック機構は、図12(a)において、エアシャワー装置の室外側のドア5、及びクリーンルームに通じる側のドア12(クリーン側ドア)に設けている。
従って、エアジェットが作動しているとき、ドア5(ダーク側ドア)とドア12(クリーン側ドア)は同時にロック状態になる。
エアジェットの作動が止むと、ドアのロック状態は解除され、双方のドアは開にすることが可能となる。
ここで、エアシャワー装置のエアジェットが作動して、ドア5とドア12が同時にロックしているとき緊急事態が発生した場合は、「非常時押ボタンスイッチ」を設け、エアジェットの作動を止め、ロックを解除する。
【0039】
次に、本発明のエアシャワー装置のコントロールパネルに制御器において、入退室の制御について、図15を用いて説明する。
図15(1)は、エアシャワー装置に入退室時のフローチャートを示す。
ここで、ダーティ側ドア5は、図12(a)に示すドア5を指し、クリーン側ドアは導図のドア12を指している。
先ず、ドア13であるダーティ側ドアを開き(ステップ61)、エアシャワー室内へ入室(ステップ62)し、ダーティ側ドアを閉める(ステップ63)。ダーティ側ドア3が閉まると、エアシャワー室内の光電スイッチがONとなり(ステップ64)、照明が点灯し室内が明るくなり、エアジェットが作動する(ステップ65)。
そして、ドアと床面との間隙を塞ぐ機構が動作し、ダーティ側ドアがロックされる(ステップ66)。所定時間エアジェットが作動すると、エアジェットはOFFとなる(ステップ67)。
エアジェットの作動が終了すると、ドア下側の床面との間隙を塞いでいた弾性体が収納され、再度間隙が復帰し、ドアロックが解除される(ステップ68)。
【0040】
そして、クリーンルーム側のドアを開き(ステップ69)、クリーンルームに入り、クリーンルーム側のドアを閉め(ステップ70)、エアシャワー室内への入室は完了する(ステップ71)。
【0041】
次に、エアシャワー装置からの退室時のフローチャートを図15(2)に示す。
先ず、クリーンルーム側ドア12を開け(ステップ80)、シャワー室内に入室し(ステップ81)、クリーンルーム側ドア12を閉める(ステップ82)。エアシャワー室内に入室し、クリーンルーム側ドア12を占めると、シャワー室内の光電スイッチがONとなり、照明灯が点灯する(ステップ83)。
ここで、退室時であるため、エアジェット停止回路が動作し、エアジェットは作動しない。次に、ダーティ側ドア5を開き(ステップ84)、エアシャワー室外に出て、ダーティ側ドア5を閉め(ステップ85)、退室は完了する(ステップ86)。
以上が入退室のフローチャートの説明である。
【符号の説明】
【0042】
1‥エアシャワー装置 2‥天井ケース 3‥本体ケース
4‥本体ケース 5‥ドア 6‥窓
7‥ヒンジ 8‥ハンドル 9‥ノズル
10‥エアシャワー空間 11‥プレフィルタ 12‥ドア
13‥ハンドル 14‥コントロールパネル 15‥床面
16‥ストッパ抑え 17‥ドアストッパ 18‥ファン
19‥加圧チャンバ 20‥HEPAフィルタ 21‥チューブ
22‥弾性体 29‥蛇腹 31‥凹部形状部材
32‥凸部形状部材 35‥床面の弾性体
45‥ピン 47‥ピン受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンからのエアをフィルタを介して人体及び衣服に吹き付け、塵埃を吹き飛ばすエアシャワー装置において、
エアシャワー室内のエアを吸い込み、圧縮して送風するファンと、
該ファンから圧縮したエアを送る加圧チャンバと、
該加圧チャンバから送られたエアをろ過するフィルタと、
該フィルタを通過した清浄エアをエアシャワー室内に吹き出すノズルと、
を備え、
前記エアシャワー室内は、前記ノズルを設置した側面と、作業者が出入りするドアと、天井面と床面とより囲われて構成し、
前記加圧チャンバから前記ドア下部に設けた弾性体に加圧したエアを送ることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項2】
ファンからのエアをフィルタを介して人体及び衣服に吹き付け、塵埃を吹き飛ばすエアシャワー装置において、
エアシャワー室内のエアを吸い込み、圧縮して送風するファンと、
該ファンから圧縮したエアを送る加圧チャンバと、
該加圧チャンバから送られたエアをろ過するフィルタと、
該フィルタを通過した清浄エアをエアシャワー室内に吹き出すノズルと、
を備え、
前記エアシャワー室内は、前記ノズルを設置した側面と、作業者が出入りするドアと、天井面と床面とより囲われて構成し、
前記ドアを閉めた状態のドア下部に対応した床面に設置した弾性体に、前記加圧チャンバより加圧したエアを送ることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエアシャワー装置において、
前記弾性体の材質はゴムであることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載のエアシャワー装置において、
前記ドアは、一方にドアハンドルを設け、他方に開閉するヒンジを設け、
該ヒンジ側の前記加圧チャンバから圧力の高いエアを送るチューブを設けた本体フレームとドア下部に設けた前記弾性体とを接続する部材は、蛇腹、チューブ又は孔を有した凹凸形状のゴム部材で形成したことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項5】
ファンからのエアをフィルタを介して人体及び衣服に吹き付け、塵埃を吹き飛ばすエアシャワー装置において、
エアシャワー室内のエアを吸い込み、圧縮して送風するファンと、
該ファンから圧縮したエアを送る加圧チャンバと、
該加圧チャンバから送られたエアをろ過するフィルタと、
該フィルタを通過した清浄エアをエアシャワー室内に吹き出すノズルと、
を備え、
前記エアシャワー室内は、前記ノズルを設置した側面と、作業者が出入りするドアと、天井面と床面とより囲われて構成し、
前記ドアを閉めた状態のドア下部に対応した床面に設置した前記ドアと床面を塞ぐ構成をピストン構造とし、前記加圧チャンバより加圧したエアを送り、該ピストンを押し上げ間隙を塞ぐことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項6】
ファンからのエアをフィルタを介して人体及び衣服に吹き付け、塵埃を吹き飛ばすエアシャワー装置において、
エアシャワー室内のエアを吸い込み、圧縮して送風するファンと、
該ファンから圧縮したエアを送る加圧チャンバと、
該加圧チャンバから送られたエアをろ過するフィルタと、
該フィルタを通過した清浄エアをエアシャワー室内に吹き出すノズルと、
を備え、
前記エアシャワー室内は、前記ノズルを設置した側面と、作業者が出入りするドアと、天井面と床面とより囲われて構成し、
前記ドアのロック機構を前記加圧チャンバから加圧したエアで駆動するピンで行うことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項7】
請求項6に記載のエアシャワー装置において、
前記加圧チャンバから加圧したエアで駆動するピンで行うロック機構は、エアシャワー装置に供えられたドア全てに設置することを特徴とするエアシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−83406(P2013−83406A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224508(P2011−224508)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】