説明

エアゾール容器に液体を充填するための装置、かかる装置を収納できる充填構造体およびかかる充填装置が装備されたエアゾール容器

【課題】エアゾール容器への充填作業の終了時に充填装置を構成する充填構造体を清掃するいかなる作業も不要にすること。
【解決手段】特にプッシャー要素(12)が設けられた充填構造体を使って、液体、例えば塗料をエアゾール容器に充填するための装置は、前記エアゾール容器(1)のバルブ(2)を嵌合できる注入開口部(4)が底部に設けられ、前記エアゾール容器(1)に充填するための液体を収納するようになっているカップ(3)と、前記カップ(3)から前記エアゾール容器(1)に液体を移動させるための前記カップ(3)内に収納された充填液体を押すことにより作動するピストンヘッド7とを含む。前記ピストンヘッド(7)は前記移動作業中に前記カップ(3)の内壁に連続的に接触するスクレイパーの形態となっており、このピストンヘッド(7)は、移動後、前記ピストンヘッド(7)を前記カップ(3)内に維持し、移動されていない残留液を前記カップ(3)内に維持する気密壁を形成するよう、前記カップ(3)と共に作動するような形状となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器に液体、例えば塗料を充填するための装置、かかる装置を収納できる充填構造体、エアゾール容器のためのカップ、および充填装置の少なくとも一部が装備されたエアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
既に推進ガスを含むエアゾール容器内に物質を注入するための、マニュアルで操作されるシリンダおよびピストンを有する機構を備えた、エアゾール容器に迅速に充填するようになっている装置は、スイス特許出願明細書第458965号から既に公知となっている。エアゾール容器の頂部端部をシリンダが囲み、このシリンダは、固定手段を使ってエアゾールよりも上の、所定の場所に維持されている。このシリンダは、エアゾール内に注入すべき物質を収納するようになっているタンクを含む。
【0003】
シリンダ内には使い捨て可能なタンクが設けられており、このタンクはシリンダの形状に従っている。シリンダの底部端部および使い捨て可能なタンクの底部端部の双方には開口部が設けられているので、エアゾール内に注入すべき物質がこの開口部を通過できるようになっている。従って、このような使い捨て可能なタンクが設けられていることにより、シリンダを清掃する工程を不要にでき、よってエアゾール内に注入すべき物質を交換するときに、これら清掃ステップに関連する欠点を解消できる。
【0004】
上記明細書の装置によれば、ピストンのターミナル端部は同じように使い捨て可能なプラスチックシェルによってカバーされているので、ピストンを保護し、同じようにその清掃を不要にできる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
好ましくないことに、かかる使い捨て可能なタンクはシリンダの内部の輪郭に完全に従う場合でも密閉体を含まないので、ピストンがシリンダの内部から引き出されるとき、開いたままになる。この結果、シリンダ内の使い捨て可能なタンクが存在していることにより、エアゾール内に注入すべき物質を交換するごとに行わなければならない清掃が不要となっているが、タンクの底部に残留物質が存在していることに起因し、シリンダのタンクをマニュアルで引き出すときに、シリンダおよび/または近くの取り付け部品のよごれおよび/または汚染が生じ得る。
【0006】
同時に、ピストンの保護シェルを引き出す際に、オペレータはシェルをカバーしている残留液に接触せざるを得ない。その理由は、引き出し作業がマニュアルで実行されるからである。
【0007】
充填ごとに清掃しなければならないカップを使用するその他の充填構造体は、米国特許第5,740,841号、欧州特許第0,440,477号およびフランス特許第1,276,296号から公知である。
【0008】
従って、本発明の目的は、充填作業の終了時に充填装置を構成する充填構造体を清掃するいかなる作業も不要にできる構造となっている充填装置を提案することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、充填構造体のプッシャー要素、例えばピストンから汚染物を離間させながら、充填作業の終了時にオペレータが充填液に直接接触しないようにできる構造の充填装置を提案することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、汎用性を可能にし、特にエアゾール充填装置兼カップとして使用できるようにする構造を有する充填装置を提案することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、伸長可能に上記タイプの充填装置を使用できるようにする構造の充填構造体を提案することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、かかるエアゾール容器を充填する作業コストを低減するよう、多機能部品として構成できるキャップ構造を有するエアゾール容器を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このため、本発明、特にプッシャー要素が設けられた充填構造体を使って、液体、例えば塗料をエアゾール容器に充填するための装置であって、この充填装置は、前記エアゾール容器のバルブを嵌合できる注入開口部が底部に設けられた、前記エアゾール容器に充填するための液体を収納するようになっているカップと、前記カップから前記エアゾール容器に液体を移動させるための前記カップ内に収納された充填液体を押すことにより作動するピストンヘッドとを含む、エアゾール容器を充填するための装置において、前記ピストンヘッドは前記移動作業中に前記カップの内壁に連続的に接触するスクレイパーの形態となっており、このピストンヘッドは、移動後、前記ピストンヘッドを前記カップ内に維持し、移動されていない残留液を前記カップ内に維持する気密壁を形成するよう、前記カップと共に作動するような形状となっていることを特徴とする、エアゾール容器を充填するための装置を目的として有する。
【0014】
充填作業、すなわち移動作業の終了時にピストンヘッドをカップ内に維持することにより、カップが存在するときに、このカップの単一プッシャー要素を引き出すことができるので、カップの汚染を防止できる。従って、プッシャー要素は新しい充填作業のための新しいピストンヘッドと作動して再使用できる準備状態にある。
【0015】
同時に、カップ内にピストンヘッドを維持することにより、移動されていない残留液をピストンヘッドと前記カップの底部を形成する壁との間のカップ内に維持することが可能となるので、移動されず、カップ内に残っている残留液により、オペレータの手が汚れる危険性を生じることなく、カップを操作、すなわち反転できる。
【0016】
本発明は、エアゾール容器を充填するための液体を収納するようになっている少なくとも1つのカップを備え、前記キャップは前記エアゾール容器の前記バルブを囲むようになっており、充填装置と共に作動するバルブにより、このバルブを通して液体、例えば塗料を充填できるエアゾール容器のためのキャップであって、前記キャップは注入開口部が底部に設けられたカップに類似する形状となっており、前記注入開口部は前記エアゾール容器を充填するフェーズ中、前記充填装置の前記エアゾール容器の充填液を収納し、移動させるためのカップを構成するよう、前記エアゾール容器の前記バルブを嵌合でき、この充填装置は、好ましくは上記タイプのものである、エアゾール容器のためのキャップを目的として有する。
【0017】
本発明の好ましい実施例によれば、前記エアゾール容器に充填液を充填する前に、取り外し自在に前記キャップに結合されたピストンヘッドがあらかじめ設けられており、よってこのピストンヘッドは前記キャップからの結合が外れた状態において、前記液体を前記エアゾール容器に移動させるよう、前記キャップ内に導入された充填液を押すことによって作用できる。
【0018】
本発明によれば、上記タイプの充填装置のカップをエアゾール容器のキャップとして使用する。
【0019】
本発明の目的は、 エアゾール容器の前記バルブをカップの前記注入開口部に嵌合する間、前記カップから前記容器に前記液体を移動させるための注入開口部が底部に設けられたカップ内に含まれるエアゾール容器の充填液を押すことにより作用するようになっているタイプのピストンヘッドであって、このピストンヘッドは、ラジアル気密のためのスクレイパーセグメントが設けられた円形部品の形態となっており、よって、このピストンヘッドは前記カップ共に作動し、一回使用の使い捨て充填装置を形成することを特徴とするピストンヘッドも目的として有する。
【0020】
本発明によれば、エアゾール容器のための液体を収納するようになっている少なくとも1つのカップを含み、よってこのカップの底部には前記エアゾール容器の前記バルブを嵌合できる注入開口部が設けられている、充填装置と共にバルブが作動することにより、前記バルブを通して液体、例えば塗料を充填できるエアゾール容器であって、前記エアゾール容器には前記充填装置の少なくとも1つのカップにより形成された移動キャップが設けられており、よってこの充填装置は好ましくは上記タイプものとなっていることを特徴するエアゾール容器も目的として有する。
【0021】
本発明の目的は、好ましくは閉じられたチャンバの境界を定めるフレームと、前記容器のバルブと接触する位置において、前記エアゾール容器の位置よりも上方に位置する位置にて、前記チャンバ内に充填液カップを維持するための手段と、前記液体を押すことにより、前記キャップの開口部を通して前記エアゾール容器内へのこの液体の移動を生じさせるよう、前記カップ内で軸方向に移動できるプッシャー要素とを備えた、タイプの、液体、例えば塗料をエアゾール容器に充填するための構造体において、前記プッシャー要素には取り外し自在なピストンヘッドが設けられ、このピストンヘッドは前記プッシャー要素が移動の際に汚れないように、前記カップから前記プッシャー要素を引き出す前に、前記カップ内で前記プッシャー要素から分離できるようになっていることを特徴とする構造体も目的として有する。
【0022】
以下、添付図面を参照し、次の実施例の説明を読めば、本発明について更に良好に理解できよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
上記のように、本発明の目的である充填装置は特に、図3に一部が示されているタイプのエアゾール容器1に液体、特に塗料を充填できるようになっている。このエアゾール容器1は、全体が円筒体の形状をしており、この円筒体の頂部部分にはバルブ2が設けられている。エアゾール容器内に含まれている液体を大気に拡散できるようにする、図示されていない取り外し自在な拡散器が、このバルブ2よりも上に取り付けられている。この拡散は、エアゾール容器内に含まれる推進ガスを使って行うことができる。エアゾール容器1のバルブ2によってスプレーすべき液体が、エアゾール容器1に充填されている。この充填を行うには、本発明に係わるタイプの充填装置が必要である。この充填装置は、一般に単独でも使用できるが、プッシャー要素12が設けられた充填構造体と共に作動するように使用される。
【0024】
この充填装置は、従来はカップ3を備え、このカップ3はエアゾール容器1を満たす液体を収納するようになっている。このカップ3の底部には注入開口部4が設けられており、この開口部4にはエアゾール容器1のバルブ2をはめ込むことができる。カップ3内に含まれる充填液をカップ3から容器1へ移すよう、充填容器を押すことによってピストンヘッド7が作動する。従って、まず最初にカップ3は、注入開口部4がエアゾール容器1のバルブ2に対向するように位置しており、この容器1の突起4Aはバルブ2に挿入されている。カップ3内でピストンヘッド7を軸方向に変位させる作用により、カップ3内に含まれる充填液はカップ3から容器1に移される。充填構造体により、ピストンヘッド7に作用し、このピストンヘッドが、プッシャー要素12を使用してキャップ内で移動するように、ピストンヘッドを駆動できる。
【0025】
本発明の特徴として、ピストンヘッドは、移動中、カップ3の内壁に連続して接触するスクレイパー状となっており、このピストンヘッド7は移動後、カップ3内にピストンヘッド7が維持されるよう、カップ3と作動するような形状となっている。従って、このピストンヘッド7は、移動されていない残留液をカップ3内に維持する気密壁を形成している。
【0026】
ピストンヘッド7は、多数の手段によってカップ3内に維持できる。従って、この維持作用はピストンヘッド7のまわりにカップ3の壁を弾性的に締め付けることによって実行できる。この場合のピストンヘッド7は、カップ3の内部に強制的に移動され、同じようにカップの外側方向へプッシャー要素が軸方向に変位する間、前記カップ内にピストンヘッド7を維持する内側周辺カラーを、カップ3内に設けることができる。また、同じようにピストンヘッド7の高さに弾性変形可能なタブを設けることも可能であり、このタブはカップ3内にピストンヘッド7を挿入する際に変形し、ピストンヘッド7とカップ3との間に生じた摩擦力に起因し、カップに沿って接触すると共に、プッシャー要素12を引き出す間、カップからピストンヘッド7が抜けることを防止する。
【0027】
ピストンヘッド7は、カップ3内に維持されているので、オペレータはこのピストンヘッド7を取り扱う時に、移すべき液体に接触することがなくなる。従って、カップから取り外されるときのプッシャー要素12は、汚れず、かつ移動作業のための新しいピストンヘッド7でカバーできる。
【0028】
図示されている例では、ピストンヘッド7はカップ3の底部に隣接する移動完了位置にて、カップ3内に維持され、この位置ではピストンヘッド7はカップ3の注入開口部4をブロックする。この位置は、更に図2に詳細に見ることができる。従って、この位置によってオペレータがカップ3をエアゾール容器から取り外すとき、充填構造体が汚染されることを防止できる。このようなピストンヘッド7によるカップ3の注入開口部4のブロックを可能にするため、液体と接触状態にある外側表面の中心部が円形ディスク状となっているピストンヘッド7は、気密のためにカップ3の注入開口部4をブロックするようになっている突出するシール10を有する。
【0029】
図示されている実施例では、カップ3の注入開口部4は外側が突起4Aとして延びており、この突起4Aはエアゾール容器1のバルブ2に位置でき、バルブ内に挿入できる注入ノズルを形成できる。このノズルは注入ノズルの端部を保護するリング6によって囲まれている。従って、このリング6は、突起4Aの端部にオペレータの指が接触するのを防止できる。同じように、移動作業前の作業を含む、カップ3の種々の操作中に、突起4Aが破損しないようにこれを保護できる。従って、移動端部の位置にあるシール10はノズル内に進入し、このノズルをブロックすることが理解できよう。
【0030】
カップ3の底部の近くまで延びる位置へピストンヘッド7を移動できるようにする移動作業中は、充填構造体のプッシャー要素12を作動させなければならない。このプッシャー要素12は全体が空気圧シリンダまたは液圧シリンダ状となっており、このシリンダのロッドはピストンヘッド7によって囲まれている。このピストンヘッド7は、ラジアル方向の気密のためのスクレイパーセグメント8を有する円形ディスク状となっている。このディスクは、全体がシリンダタイプの充填構造体のプッシャー要素12を囲むようになっている円形スカート9として延びている。したがって、ピストンヘッド7はプッシャー要素12の端部に単に連動することにより取り付けられているので、このプッシャー要素12のピストンヘッドを容易に取り付けたり、取り外したりできる。
【0031】
特に移動される液体の性質を見ることができるようにカップ3を、透明材料または半透明材料から製造することが好ましい。よって、オペレータはピストンヘッドとカップ3の底部との間に保持される残留液を見ることができる。従って、液体が塗料であるとき、オペレータは移された塗料の色を一目で識別できる。
【0032】
この識別は、特にカップ3が更にエアゾール容器1のキャップを含むようになっているときに重要である。実際に、カップ内に移された材料が保持されているので、一旦移動作業が完了すれば、このカップをエアゾール容器1のキャップとして使用できる。この目的のために、開口部の近くにあるカップ3はエアゾール容器1のキャップを構成するように、エアゾール容器1のエッジと働くことによって、移動しない要素を形成するアンダーカット部5を有する。また、キャップ上の前記容器内の移された液の色を見ることができるので、ユーザーはこの容器のキャップを見るだけでエアゾール容器の内容物に関する情報を得ることができる。
【0033】
従って、このような構造ではカップ3とピストンヘッド7とは、1回使用の使い捨て物品として製造されている。移動作業の前には、このカップ3とピストンヘッド7をエアゾール容器上に保管することができ、ピストンヘッド7は全体にエアゾール容器の拡散器を有するカップ内に収納されている。ピストンヘッドのプッシャー表面とカップの底部を形成する表面とが平行とならない位置に、カップ3を固定するように注意を払いながら、この場合のピストンヘッド7をカップ3内に収納する。そうしない場合、ピストンヘッド7は、カップ3内に係止され、移動作業のためにピストンヘッド7を使用できないおそれがある。
【0034】
図6に示された別の実施例では、ピストンヘッド7はキャップを形成するカップ3の外部におかれ、取り外された状態でキャップに結合されている。このような結合によって、充填ステージ前のキャップの運搬および保管フェーズ中に、ピストンヘッド7が失われてしまうことを防止できる。このような結合によって、ピストンヘッド7が注入開口部4をシールしているキャップの移動作業が不作動になる。更に、キャップの底部を構成する外側面に当接しているピストンヘッド7の構造によって、充填構造体のカップホルダー内にキャップが位置決めされることを防止できる。この結果、オペレータは移動ステージ前にピストンヘッド7をキャップから外さなければならない。このような外し作業が一旦実行されると、オペレータはプッシャー要素上にピストンヘッド7を位置決めすることを忘れてはならない。図示されている例では、ピストンヘッド7は、連動装置とのリンクによりキャップに結合されている。この目的のために、ピストンヘッド7の、シール10が設けられている面と反対の面に、中空ピン17が設けられ、よってリングと開口部4の壁との間の何もない状態のスペース内でキャップの注入開口部4を囲むリング6の内部にピン17が収納されている。図5に示された2つの部品を得るよう、ピストンヘッド7に引っ張り力を加えるだけで、ピストンヘッド7とのカップとキャップとの外し作業が実行される。次に、ピストンヘッド7が最終的にキャップ内に保持される位置まで、ピストンヘッド7をキャップ内に挿入するように位置決めする。
【0035】
この移動作業は、例えば一部が図3に示されているようなタイプの充填構造体を使って実行できる。この充填構造体は、安全上の理由から、ゲートを使って閉じることが好ましいチャンバの境界部を定めるフレーム11を備える。このチャンバ内には前記容器1のバルブ2と接触する位置で、エアゾール容器1よりも上に位置する高さにて、チャンバ内に充填液のカップ3を維持するための手段14が設けられている。これら保持手段14は、多数の形状となることができる。これら保持手段は、シリンダ14自体が適当な結合手段により装置のフレーム11と一体に維持された状態でカップ3を収納し、カップ3を所定の位置に維持する中空シリンダとして一部が図3に示されている。
【0036】
この装置は、プッシャー要素12を含み、このプッシャー要素は、前記カップ3内で軸方向に移動でき、液体を押すことによってカップ3の開口部4を通してエアゾール容器1内にこの液体を移動させることができる。このプッシャー要素12は、全体が空気圧作動するシリンダまたは液圧作動するシリンダから構成されている。このプッシャー要素12には、取り外し自在なピストンヘッド7が設けられ、このピストンヘッド7は、カップ3からプッシャー要素12を引き出す前にカップ2内のプッシャー要素12から分離できるようになっている。従って、移動作業の終了時にプッシャー要素12がカップ3から取り外されていると、このプッシャー要素12は汚染されず、1回使用の使い捨て部品を含む新しいピストンヘッド7を再び設けることができる。図3を見れば、シリンダロッドの伸長方向にプッシャー要素のロッド12が軸方向に変位すると、この変位により、ピストンヘッド7は、カップの底部の方向にカップ内でスライド変位されるように、ヘッドを駆動できることが容易に理解できよう。逆に、プッシャー要素のロッドが後退する方向に、プッシャー要素12が移動すると、この移動により充填装置のためにこれまで説明したタイプの適当な保持手段により、ピストンヘッド7がカップ3内に保持された状態で、プッシャー要素12のロッドの出口部分が前記カップ3から駆動される。
【0037】
ピストンヘッド7はプッシャー要素12の端部と簡単に連動していることによって取り付けられているので、ピストンヘッド7はカップ3内に容易に保持されている。同じように、このような簡単な連動取り付けにより、プッシャー要素12の端部に新しいピストンヘッド7を設置することが容易となっている。従って、かかる充填構造体では、ピストンヘッド7はカップ3と作動し、1回使用の充填装置を形成する。実際に移動作業が完了すると、カップとピストンヘッド7とは充填構造体から取り外され、新しいカップ3および新しいピストンヘッド7に交換される。
【0038】
ピストンヘッド7はカップ3と共に作動し、移動ステージの後で、エアゾール容器1の移動キャップと称されるキャップを形成する。同じように、このピストンヘッド7はカップ3と作動し、移動ステージの前、または移動ステージの後で、充填すべきエアゾール容器1の移動キャップと称されるキャップを形成する。
【0039】
この装置の特定の一実施例では、充填構造体のプッシャー要素12には、プッシャー要素12に固定状態にあるピストンヘッド7が存在することを検出するための手段が設けられる。従って、これら検出手段により、プッシャー要素12にピストンヘッド7がない場合の移動作業を防止することが可能となる。ピストンヘッドがない場合に移動作業を行うと、プッシャー要素12が汚染されることになる。
【0040】
図4には、かかる検出手段の一実施例が示されている。この図では、プッシャー要素12はシリンダロッドの退出を可能にする第1流体供給チャンバ15を含む空気圧シリンダとして製造されている。移動ステージの実行を可能にするために、このプッシャー要素には同じように逆にシリンダロッドの後退または復帰を可能にするよう、流体が供給される第2チャンバ16が設けられている。従って、このシリンダはダブルアクションタイプのシリンダとなっている。このシリンダのピストンロッドの本体において、チャンバ15から流体が移動し、この流体によってシリンダロッドはロッドの端部まで伸長する。シリンダロッドにピストンヘッド7が位置する間、この流体の通路口は、単に閉じることができる。このような閉鎖は、チャンバ15の圧力を上昇させ、シリンダロッドの伸長方向に変位させるので、プッシャー要素12およびピストンヘッド7によって形成されているアセンブリの変位を生じさせる。ピストンヘッド7の位置決めが忘れられている場合、ピストンロッドにおける開口は、外気への排出を行い、よってチャンバ15内の圧力の上昇を防止し、前記ロッドの伸長方向へのシリンダロッドの移動を保証する。次に、移動作業を実行することが不可能となる。
【0041】
ピストンヘッド7の存在を検出する手段に均等な別の実施例を考え付くこともできることは極めて明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】ピストンへッドが充填液をエアゾール容器に移す位置に示されている本発明に係わる充填装置の切り欠き図を示す。
【図2】ピストンヘッドが移動終了位置にある本発明に係わる充填装置の切り欠き図を示す。
【図3】プッシャー要素が移動する前の位置にある本発明に係わる充填構造体の一部切り欠き図を示す。
【図4】プッシャー要素の端部にピストンヘッドを取り付ける前の本発明に係わる充填構造体のプッシャー要素の一部切り欠き図を示す。
【図5】分解状態に移るステージ前のピストンヘッドおよびカップの切り欠き図を示す。
【図6】取り外し可能な状態で分解状態に移るステージ前のピストンヘッドおよびカップの切り欠き図を示す。
【符号の説明】
【0043】
1 エアゾール容器
2 バルブ
3 カップ
4 注入開口部
4A 突起
6 リング
7 ピストンヘッド
8 スクレーパーセグメント
9 円形スカート
10 シール
12 プッシャー要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にプッシャー要素(12)が設けられた充填構造体を使って、液体、例えば塗料をエアゾール容器(1)に充填するための装置であって、この充填装置は、前記エアゾール容器(1)のバルブ(2)を嵌合できる注入開口部(4)が底部に設けられ、前記エアゾール容器(1)に充填するための液体を収納するようになっているカップ(3)と、前記カップ(3)から前記エアゾール容器(1)に液体を移動させるための前記カップ(3)内に収納された充填液体を押すことにより作動するピストンヘッド(7)とを備えるエアゾール容器(1)を充填するための装置において、
前記ピストンヘッド(7)は前記移動作業中に前記カップ(3)の内壁に連続的に接触するスクレイパーの形態となっており、このピストンヘッド(7)は、移動後、前記ピストンヘッド(7)を前記カップ(3)内に維持し、移動されていない残留液を前記カップ(3)内に維持する気密壁を形成するよう、前記カップ(3)と共に作動するような形状となっていることを特徴とする、エアゾール容器(1)を充填するための装置。
【請求項2】
前記ピストンヘッド(7)が前記カップ(3)の注入開口部(4)をブロックする、前記カップ(3)の底部に隣接する移動完了位置にて前記ピストンヘッド(7)は前記カップ(3)内に維持される、請求項1記載の充填装置。
【請求項3】
前記カップ(3)の充填開口部(4)は、注入ノズルを形成する突起(4A)として外側に延び、前記ノズルは前記注入ノズルの端部を保護するリング(6)によって囲まれた状態で、前記エアゾール容器(1)のバルブ(2)に位置できる、請求項1記載の充填装置。
【請求項4】
前記ピストンヘッド(7)は、ラジアル気密のためのスクレイパーセグメント(8)を有する円形ディスクの形態となっており、このディスクは充填構造体の、全体が円筒形タイプのプッシャー要素(12)を囲むようになっている円形スカート(9)として延びている、請求項1記載の充填装置。
【請求項5】
前記ピストンヘッド(7)は、前記液体に接触する外側表面の中心に、突出するシール(10)を有し、この突出するシールは気密のために前記カップ(3)の前記注入開口部(4)をブロックするようになっている、請求項1記載の充填装置。
【請求項6】
前記カップ(3)は、その開口部の近くにアンダーカット部(5)を有し、このアンダーカット部は前記エアゾール容器(1)のエッジと作動し、前記エアゾール容器(1)のキャップを構成する固定要素を形成する、請求項1記載の充填装置。
【請求項7】
前記カップ(3)は、特に移動される液体の性質を見ることができるように透明材料または半透明材料から製造されている、請求項1記載の充填装置。
【請求項8】
前記カップ(3)および前記ピストンヘッド(7)は、1回使用の使い捨て物品として製造されている、請求項1記載の充填装置。
【請求項9】
エアゾール容器(1)を充填するための液体を収納するようになっている少なくとも1つのカップ(3)を備えた、充填装置と共に作動するバルブ(2)により、このバルブ(2)を通して液体、例えば塗料を充填できるエアゾール容器(1)のためのキャップであって、前記カップ(3)は前記エアゾール容器(1)の前記バルブ(2)を囲むようになっており、前記キャップは注入開口部(4)が底部に設けられたカップに類似する形状となっており、前記注入開口部(4)は前記エアゾール容器(1)を充填するフェーズ中、前記充填装置の前記エアゾール容器の充填液を収納し、移動させるためのカップを構成するよう、前記エアゾール容器(1)の前記バルブ(2)を嵌合でき、この充填装置は、請求項1−8に記載されたものである、エアゾール容器(1)のためのキャップ。
【請求項10】
前記エアゾール容器(1)に充填液を充填する前に、取り外し自在に前記キャップに結合されたピストンヘッド(7)があらかじめ設けられており、よってこのピストンヘッド(7)は前記キャップからの結合が外れた状態において、前記液体を前記エアゾール容器(1)に移動させるよう、前記キャップ内に導入された充填液を押すことによって作用できる、請求項9記載のキャップ。
【請求項11】
前記ピストンヘッド(7)は、連動装置とのリンクにより前記キャップに結合されている、請求項10記載のキャップ。
【請求項12】
エアゾール容器のキャップにより、請求項1−8に記載の充填装置のカップ(3)を使用する方法。
【請求項13】
エアゾール容器(1)の前記バルブ(2)をカップ(3)の前記注入開口部(4)に嵌合する間、前記カップ(3)から前記容器(1)に前記液体を移動させるための注入開口部(4)が底部に設けられたカップ(3)内に含まれるエアゾール容器の充填液を押すことにより作用するようになっているタイプのピストンヘッド(7)であって、ラジアル気密のためのスクレイパーセグメント(8)が設けられた、円形部品の形態となっている、ピストンヘッド(7)。
【請求項14】
エアゾール容器(1)のための液体を収納するようになっている少なくとも1つのカップ(3)を含む充填装置と共にバルブ(2)が作動することにより、前記バルブ(2)を通して液体、例えば塗料を充填できるエアゾール容器(1)であって、このカップ(3)の底部には前記エアゾール容器(1)の前記バルブ(2)を嵌合できる注入開口部(4)が設けられており、前記エアゾール容器(1)には前記充填装置の少なくともカップ(3)により形成された移動キャップが設けられており、この充填装置は好ましくは請求項1に記載されたものであるエアゾール容器(1)。
【請求項15】
好ましくは閉じられたチャンバの境界を定めるフレーム(11)と、前記容器(1)のバルブ(2)と接触する位置において、前記エアゾール容器(1)の位置よりも上方に位置する位置にて、前記チャンバ内に充填液カップ(3)を維持するための手段と、
前記液体を押すことにより、前記キャップ(3)の開口部(4)を通して前記エアゾール容器(1)内へのこの液体の移動を生じさせるよう、前記カップ(3)内で軸方向に移動できるプッシャー要素(12)とを備え、前記プッシャー要素(12)には取り外し自在なピストンヘッド(7)が設けられ、このピストンヘッドは前記プッシャー要素(12)が移動の際に汚れないように、前記カップ(3)から前記プッシャー要素(12)を引き出す前に、前記カップ(3)内で前記プッシャー要素(12)から分離できるようになっているタイプの、液体、例えば塗料をエアゾール容器(1)に充填するための構造体。
【請求項16】
前記プッシャー要素(12)には、前記プッシャー要素(12)に固定された状態の前記ピストンヘッド(7)が存在することを検出するための手段が設けられている、請求項15記載の充填構造体。
【請求項17】
前記プッシャー要素(12)の端部に単に連動することにより、前記ピストンヘッド(7)が取り付けられている、請求項15記載の充填構造体。
【請求項18】
前記ピストンヘッド(7)は、1回使用の充填装置を形成するよう、前記カップ(3)と作動するようになっている、請求項15記載の充填構造体。
【請求項19】
前記移動ステージの前またはその後で、充填すべきエアゾール容器(1)の移動キャップと称されるキャップを形成するよう、前記カップ(3)と作動する、請求項15記載の充填構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−508768(P2009−508768A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530560(P2008−530560)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001662
【国際公開番号】WO2007/034043
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(504165041)
【Fターム(参考)】