説明

エアゾール容器入り害虫駆除剤

【課題】エアゾール容器入り害虫駆除剤について、棒状でない広がりを有する噴射パターンを有し、かつ2〜3mの長い噴射能力があり、しかも安全性が高く噴出状態での着火が起こり難い高安全性かつ高能力のエアゾール容器入り害虫駆除剤とすることである。
【解決手段】噴射バルブ1を備えるエアゾール容器Xに、水60〜90重量%と害虫駆除成分を含有する水性エマルジョン液である原液と、液化ガスとを原液1重量部に対して液化ガス0.3〜0.6重量部の範囲に配合した液相成分として、さらに圧縮ガスからなる気相成分とを充填したエアゾール容器入り害虫駆除剤とし、噴射バルブ1は、圧縮ガスの圧力により、液相成分2中に浸るステム4から液相成分2をミドルオリフィス5経由で噴口6から噴出させるものであり、噴口径aとミドルオリフィス径bの比(b/a)が1.15〜1.81の範囲に調整されたものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エアゾール容器に充填された害虫駆除剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、噴射バルブを備えたエアゾール容器に、害虫駆除のための有効成分その他の液体添加成分からなる液相成分と、液化ガスからなる気相成分とを充填したエアゾール容器入り害虫駆除剤が知られている。
【0003】
このようなエアゾール容器入り害虫駆除剤のうち、特に噴射距離の改良されたものの例としては、エアゾールとなる液体の粘度を調整し、かつ噴射される液体の粒子径を調整した噴射エアゾール容器入り害虫駆除剤が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、害虫駆除剤と噴霧対象が全く異なるが、化粧品の分野においては、ヘアトニックなど頭皮に用いられるエアゾール容器入り化粧品として、低級アルコールと、可燃性ガス、圧縮ガスおよび有効成分を含有し、粘度を5〜1000cpに調整すると共に、エアゾール容器のバルブについて、その下穴径を0.3〜2.2mmとし、ステム径を0.3〜0.6mmとし、ボタンの噴口径を0.3〜1.0mmとし、噴射パターン(噴射物が空気中を流動する様子や状態をいう。)が棒状であるものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−156235号公報
【特許文献2】特開平6−100060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した従来のエアゾール容器入り化粧品は、噴射対象が肌であるから噴射距離は0.3〜0.5m程度あれば充分であり、それ以上の長距離を噴射する必要性は生じない。
【0007】
また、汎用のエアゾール容器入り害虫駆除剤について、通常、噴射距離を長くしたいと要望される場合に対応するため、充填する圧縮ガスの圧力を高めることが考えられる。
【0008】
しかし、エアゾール容器には安全上、法的制限(高圧ガス保安法)があり、圧縮ガスの圧力を高くする場合、35℃で0.8MPaを超える加圧を行なうことはできなかった。
【0009】
そのため、エアゾール容器入り害虫駆除剤として2〜3mの長い噴射距離を調整することは容易なことではなく、特に、噴射距離を2m以上長くすると共に、噴射パターンを飛距離の長い棒状のパターンではなく、害虫駆除に効率の良い広がりのある噴射状態にすることは容易なことではなかった。
【0010】
噴射距離および噴射パターン共に改善が求められるエアゾール容器入り害虫駆除剤の代表例としては、シロアリ駆除に使用するものがあり、このものは戸建家屋の床下(国内例では床下面積:50〜100m)などの広い空間に、床下換気窓などを利用して散布されるが、床下全体に散布するためには2〜3mまたはそれ以上の噴射距離を必要とするため、そのような用途でのエアゾール容器入り害虫駆除剤を製造することは困難であった。
【0011】
その他の用途でも害虫駆除処理対象域が大面積である場合があり、駆除対象昆虫の特性による飛翔性や棲息場所などの生態に応じ、駆除を確実にするために噴射距離を可及的に長くする必要のある場合は多い。
【0012】
ところで、害虫駆除剤の有効成分は、通常、有機化合物からなり、対象害虫の駆除に有効な濃度に有機溶剤で希釈し、エアゾール容器に充填して噴射して用いる。
【0013】
しかし、エアゾール容器入り害虫駆除剤に通常求められる防火などの安全基準(例えば生活害虫防除剤協議会等の安全基準)によれば、その着火試験において、所定長さ(例えば長さ45cm以上)の火炎長が発生するかどうかの判定を求めることがある。このような火炎長を発生させるエアゾールでは、使用時の安全性が充分に確保されているものとはいえない。
【0014】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、例えば床下の大きな空間にも作業効率よく充分に行き渡るように散布でき、かつ安全に散布処理できるように、噴射時の噴射中心部分が棒状のパターンにならず、すなわちエアゾールとして効率よく空間的な広がりのある噴射パターンを有しながら、しかも噴射距離が2〜3mという長いものであり、さらには使用中に火災事故の起こり難い安全性も備えたエアゾール容器入り害虫駆除剤とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、この発明においては、噴射バルブを備えるエアゾール容器に、害虫駆除成分を含む液相成分と、圧縮ガスからなる気相成分とを充填し、前記液相成分は、害虫駆除成分および水を含む原液と液化ガスとを原液1重量部に対して液化ガス0.3〜0.6重量部の範囲に配合したものであり、前記圧縮ガスは25℃における圧力0.5〜0.7MPaに充填されているエアゾール容器入り害虫駆除剤において、前記噴射バルブは、圧縮ガスの圧力により、液相に通じるステムから液相成分をミドルオリフィス経由で噴口から噴出させるものであり、その噴口径を1とした場合のミドルオリフィス径が1.15〜1.81の範囲の比率に調整されているエアゾール容器入り害虫駆除剤としたのである。
【0016】
上記したように構成されるこの発明のエアゾール容器入り害虫駆除剤は、例えば害虫駆除成分を水もしくは油の一方または両方に溶解または分散させた水性エマルジョンを原液とし、原液1重量部に対して液化ガス0.3〜0.6重量部、好ましくは0.31〜0.56重量部の範囲に配合した液相成分としたことにより、液相成分は害虫駆除成分と水と液化ガスとを含有する。
【0017】
このような液相成分は、所要量の水分を含有することにより難燃性の液相となっている。液化ガスは、可燃性の液化ガスも採用可能であるが、その噴射時には拡散作用があるので噴射パターンを棒状でない状態にし、ある程度の広がりを持って噴射することができる。
【0018】
また、エアゾール容器内に圧縮ガスを25℃における圧力0.5〜0.7MPaに充填することにより、2m以上、好ましくは3m以上の適切な噴射距離を確保し、噴射パターンを必要以上に拡散させずに適度に収束させることができる。
【0019】
また、噴口径とミドルオリフィス径の比が、噴口径1に対してミドルオリフィス径1.15〜1.81の所定範囲に調整されていることにより、噴射パターンの拡散状態が適度に調整され、かつ時間当たりの噴射量が駆除効率のよい状態に調整されて、着火が起こり難く安全性の高いエアゾール容器入り害虫駆除剤となる。
【0020】
また、噴口径を1とした場合の噴口長さの比が、0.9〜2.4であり、従来のエアゾールに比較して噴口長さを短くしたことにより、噴射パターンは棒状でなく適度に拡散し、効率よく長い距離に噴射できる。
【0021】
原液が、害虫駆除成分を水もしくは油の一方または両方に溶解または分散させた水性エマルジョン液であるものを採用することにより、エアゾール容器入り害虫駆除剤は着火されにくく、すなわち火炎長の発生し難いものになる。
【0022】
また、この発明では、液化ガスが可燃性液化ガスであり、かつ圧縮ガスが不燃性圧縮ガスであるものを採用した場合であっても、エアゾールとしての空間的広がりを有しながら噴射距離が2〜3mと長くなり、しかも着火が起こり難く、所定試験による火炎長の発生がないものを構成できる。
【発明の効果】
【0023】
この発明は、エアゾール容器に、害虫駆除成分および水を含む原液と液化ガスとを所定比で含む液相成分と、圧縮ガスと気化した液化ガスからなる気相成分からなる気相成分とを充填し、噴射バルブは、噴口径とミドルオリフィス径の比を所定範囲に調整されたエアゾール容器入り害虫駆除剤としたので、噴射時の中心部が棒状ではなくエアゾールとして作用効率の良い空間的広がりを有しながら噴射距離が2〜3mまたはそれ以上に長く、しかも使用中に火災事故の起こり難い安全性の高いエアゾール容器入り害虫駆除剤となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】エアゾール容器の噴射バルブの閉状態の要部断面図
【図2】エアゾール容器の噴射バルブの開状態の要部断面図
【図3】火炎発生試験の説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の実施形態を以下に添付図面を参照しながら説明する。
図1〜3に示すように、この発明の実施形態は、噴射バルブ1を備えるエアゾール容器Xに、害虫駆除成分を含む液相成分2(図3)と、圧縮ガスからなる気相成分3とを充填したエアゾール容器入り害虫駆除剤であり、噴射バルブ1は、圧縮ガスの圧力により、液相成分2中に浸るステム4から液相成分2をミドルオリフィス5経由で噴口6から噴出させるものであり、噴口径aに対するミドルオリフィス径bの比(b/a)が1.15〜1.81の範囲に調整されている。
【0026】
そして、液相成分2は、害虫駆除成分を水に溶解または分散させた原液と液化ガスとを原液1重量部に対して液化ガス0.3〜0.6重量部の範囲に配合したものであり、前記圧縮ガスは25℃における圧力0.5〜0.7MPaに充填されている。
【0027】
液化ガス0.3重量部未満の配合割合では、引火性試験による火炎長の発生の可能性は低いが、相対的に圧縮ガスの配合量が増すと棒状パターンの噴射となって拡散しなくなるため好ましくない。また、液化ガスが0.6重量部を超えて多量に配合されると、拡散作用が高まり過ぎるので、噴射パターンが広がり過ぎて好ましくなく噴射距離もあまり延長されず、所期した噴射距離と噴射パターンが得られずに好ましくない。
【0028】
また、害虫駆除成分および水を含む原液としては、周知の水溶性害虫駆除剤または水性エマルジョン型の害虫駆除剤のいずれでもよく、例えば水分量は60〜90重量%を含ませることが好ましい。水性エマルジョンは、害虫駆除成分と水を含む分散相からなり、害虫駆除成分を水もしくは油の一方または両方に溶解または分散させた水性エマルジョンを採用することができる。
【0029】
害虫駆除のための有効成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、ピレスロイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤等を挙げることができ、これらにより少なくともアリ類、ハチ類、クモ類またはカメムシ類の駆除が可能である。
【0030】
ピレスロイド系殺虫剤としては、フラメトリン、シフェノトリン、フェノトリン、ペルメトリン、レスメトリン、アレスリン、フタルスリン、トラロメトリン、エムペントリン、テフルスリン、プラレトリン、イミプロトリン、トランスフルスリン(ベンフルスリン)等が挙げられる。
【0031】
有機リン系殺虫剤としては、フェニトロチオン、クロルピリホス、マラソン、ジクロルボス、ピリダフェンチオン、トリクロルホン等が挙げられる。
カーバメイト系殺虫剤としては、カルバリル、ベンフラカルブ、プロポキスル等を挙げることができる。
【0032】
そして、上記ピレスロイド系化合物の殺虫効力を増強する化合物(共力剤)としては、例えばピペロニルブトキサイド、オクタクロロジプロピルエーテル、N−(2− エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ〔2,2,2〕オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、イソボルニルチオシアノアセテートおよびN−(2−エチニル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドなどが挙げられる。
【0033】
この発明に用いる有効成分の溶剤は、周知な材料を選択的に使用可能であり、その例としては、水、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、エステル類等を挙げることができる。具体的には、ヘキサン、ケロシン(灯油)、n−ペンタン、iso−ペンタン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素類:ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類:エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール等のアルコール類:アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル等のエーテル類:酢酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル類を挙げることができる。
【0034】
これらの他にもアセトニトリルなどのニトリル類:ジメチルホルムアミドなどのアミド類:大豆油、綿実油等の植物油、及び水などを使用することができる。さらにはこれらの混合溶剤であってもよい。溶剤としては有機溶剤が好ましく、より好ましくはアルコール類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類である。
【0035】
液化ガスとしては、例えば、液化石油ガス(LPG)、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ジメチルエーテル(DME)などの可燃性ガスなどが挙げられる。因みにDME(ジメチルエーテル)は、化学式はCH3-O-CH3で示され、沸点が−25.1℃の無色の気体で、化学的に安定しており、25℃における飽和蒸気圧が0.6MPaと低く、加圧すると容易に液化し、その取扱方法等はLPGと類似し常用の温度において0.2MPa以上のガスとなるものである。
また、不燃性圧縮ガスとしては、炭酸ガス、窒素ガスなどが挙げられる。
【0036】
このような圧縮ガスは25℃における圧力が0.5〜0.7MPaに充填されている。0.5MPa未満では、噴射距離が2m未満となるので好ましくなく、0.7MPaを超えても容器の耐圧性を高めれば特に技術的な制限はないが、実用上、0.8MPaを超える場合には高圧ガス保安法による安全基準を満たすことができなくなるからである。
【0037】
図1、2に示すように、噴射バルブ1は、圧縮ガスの圧力により、液相成分2に通じるステム4から液相成分2をミドルオリフィス5経由で噴口6から噴出させるものであり、ステムハウジング7と連結されたディップチューブ8の下部は液相成分2の液中に浸っている。
【0038】
図2に示すように、噴射バルブ1のステム4に被されるボタン9を押すと、ステム4がスプリング10の弾性力に抗してステムハウジング7の中に沈み込み、密閉蓋11の内側でステム4の外周溝とステムハウジング7に支持されているリング状のステムラバー12の内径縁が押し下げられ、ステム孔13が空隙14に通じるように開口する。
【0039】
空隙14は、ステムハウジング7とステム4との間隙を経由してディップチューブ8と連通する状態になり、液相成分2(図3)はディップチューブ8から空隙14及びステム孔13およびステム4の内側を通過し、ミドルオリフィス5経由で噴口6から空気中へ噴出される。
【0040】
このとき、ミドルオリフィス径bが、噴口径aを1とした場合に、1.15未満では、噴射パターンの中央に棒状のスジ(液状の非エアゾル部分)が生じて好ましくなく、1.81を超えると、通常求められる安全基準(例えば生活害虫防除剤協議会等の安全基準)による着火試験において所定長さ(例えば長さ45cm以上)の火炎長が発生する場合があって好ましくない。
【0041】
また、噴口径aに対する噴口長さ(ランド長とも称される)cの比が、a:c=1:0.9〜2.4であることによって、噴射パターンは棒状でなく適度に拡散するように調整される。噴口径aに対する噴口長さcの比が、上記所定範囲未満では、噴射パターンが拡散しすぎて2m以上の噴射距離を確保することが困難となって好ましくなく、上記所定範囲を超えると棒状の噴射パターンとなって好ましくないからである。
【0042】
なお、液相成分2は、20℃における粘度10〜20Pa・sに調整された液相成分であるものを採用することによりエアゾール容器入り害虫駆除剤の噴出は、噴口に目詰まりも起こらず常に円滑であるので好ましい。
【実施例】
【0043】
[実施例1〜8、比較例1、2]
表1に示すように、原液に対して所定の液化ガスを配合した液相成分とし、所定の圧縮ガスをエアゾール容器に充填し、このエアゾール容器の噴射バルブのステム穴径、ハウジング下穴径、ボタンの噴口径、ミドルオリフィス径、ランド長(噴口長さ)を変更した場合の噴射状態を以下の試験方法により特性値(a)(b)(c)(d)(e)として調べ、結果を表1中に併記した。
【0044】
(a)噴射量
1.試料を25±0.5℃での恒温水槽に30分以上浸漬した後、取り出して水分をよく拭き取る。
2.試料の質量を0.1g単位まで側定する(Wlとする)。
3.次に、よく振ってから10秒間噴射し、噴射後の質量を測定する(W2とする)。
4.次式より噴射量を算出する。噴射量(g/秒)=(Wl−W2)/10
【0045】
(b)噴射距離
1.試料を25±0.5℃での恒温水槽に30分以上浸漬した後、取り出して水分をよく拭き取る。
2.噴射開始位置から噴射方向に、距離がわかるよう目盛を用意する。
3.よく振ったあと、無風条件下で連続噴射し、噴射距離を測定する。噴射距離は、試料の自力による噴霧の到達限界とし、粒子が漂う状態でゆっくり拡散する場合の到達距離とはしない。測定に偏りがでないよう、2人以上で測定を行う。
【0046】
(c)噴射パターン
1.試料を25±0.5℃恒温水槽に30分以上浸漬した後、取り出して水分をよく拭き取る。
2.よく振った後、無風条件で連続噴射し、噴射パターンの広がりを目視で評価する。
表1中には、以下の評価基準に従って、各例の評価を記号で示した。
○印:噴射パターンが広がり、その中央にも棒状のスジ(筋)が殆ど見えない状態
△印:噴射パターンが少し広がるが、その中央には棒状のスジ(筋)が見える状態
×印:噴射パターンが広がらず、棒状噴射に近い状態
【0047】
(d)火炎長
1.試料を測定温度±1℃での恒温水槽に30分以上浸漬した後、取り出して水分をよく拭き取る。(測定温度は25℃、20℃、15℃)
2.図3に示すように、バーナー15と噴口6の距離Aを15cmの間隔に配置する。
3.バーナーの火炎は長さCが4.5〜5.5cmの間に収まるよう調整する。
4.試料の噴射物が、火炎の上部3分の1を通過するように噴射し、火炎長Bが認められるか否かを確認する。
表1中には、以下の評価基準に従って、各例の評価を記号で示した。
○印:火炎長なし
△印:断続の火炎発生
×印:火炎長あり(定常炎)
【0048】
(e)爆発性
1.生活害虫防除協議会自主基準により規定される計算方法より算出する。
2.原液は水べース液であり、揮発しないものとして計算する。
【0049】
【表1】

【0050】
表1の結果からも明らかなように、噴口径、ミドルオリフィス、ランド長の全てが所定範囲に調整され、噴射剤1、2も所定量配合された実施例1〜8は、広がりを有する噴射パターンを有し、かつ2〜3mの長い噴射能力があり、しかも安全性が高く噴出状態での着火が起こり難い高安全性かつ高能力のエアゾール容器入り害虫駆除剤になったことがわかる。
【0051】
また、上記の条件のうち噴射剤1の配合比が過少の比較例1は、噴射パターンが棒状となって不適であり、同比が過大な比較例2は、安全性において満足できないものであった。
【符号の説明】
【0052】
1 噴射バルブ
2 液相成分
3 気相成分
4 ステム
5 ミドルオリフィス
6 噴口
7 ステムハウジング
8 ディップチューブ
9 ボタン
10 スプリング
11 密閉蓋
12 ステムラバー
13 ステム孔
14 空隙
15 バーナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射バルブを備えるエアゾール容器に、害虫駆除成分を含む液相成分と、圧縮ガスからなる気相成分とを充填し、前記液相成分は、害虫駆除成分および水を含む原液と液化ガスとを原液1重量部に対して液化ガス0.3〜0.6重量部の範囲に配合したものであり、前記圧縮ガスは25℃における圧力0.5〜0.7MPaに充填されているエアゾール容器入り害虫駆除剤において、
前記噴射バルブは、圧縮ガスの圧力により、液相に通じるステムから液相成分をミドルオリフィス経由で噴口から噴出させるものであり、その噴口径を1とした場合のミドルオリフィス径が1.15〜1.81の範囲の比率に調整されていることを特徴とするエアゾール容器入り害虫駆除剤。
【請求項2】
噴口径を1とした場合の噴口長さの比が、0.9〜2.4である請求項1に記載のエアゾール容器入り害虫駆除剤。
【請求項3】
原液が、害虫駆除成分を水もしくは油の一方または両方に溶解または分散させた水性エマルジョン液である請求項1または2に記載のエアゾール容器入り害虫駆除剤。
【請求項4】
液化ガスが可燃性液化ガスであり、かつ圧縮ガスが不燃性圧縮ガスである請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾール容器入り害虫駆除剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−152073(P2011−152073A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15627(P2010−15627)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000250018)住化エンビロサイエンス株式会社 (69)
【出願人】(000101938)イカリ消毒株式会社 (33)
【出願人】(000219934)エア・ウォーター・ゾル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】