説明

エアフィルタ及びエアフィルタ用濾材保持具

【課題】濾材を汚れた部分から順に廃棄することができるエアフィルタ及びエアフィルタ用濾材保持具を提供する。
【解決手段】第1枠17と第2枠18とを、着脱可能に係合する係合構造21を介して組み合わせる。第1枠17と第2枠18との間には、複数枚の平板状の濾材19を着脱可能に積層配置する。係合構造21を、濾材19の積層方向に沿うように第1枠17上に配列された複数の被係合部25A,25Bと、その被係合部25A,25Bに着脱可能に係合するように第2枠18に形成された係合部26A,26Bとにより構成する。汚れた濾材19を1枚ずつ廃棄し、濾材19の積層枚数が減少した場合、被係合部25A,25Bに対する係合部26A,26Bの係合位置を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばエンジンのエアクリーナに用いられるエアフィルタ及びエアフィルタ用濾材保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のエアフィルタにおいては、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の不織布よりなる波折り状の濾材の外周部や中間部に、ポリプロピレンの高剛性合成樹脂よりなる枠部を固着した構成が知られている。従って、この従来構成のエアフィルタにおいては、濾材と枠部との分別が困難であり、このため焼却処理ができず、エアフィルタ全体を不燃物として埋め立て処理を必要とする状況であった。
【0003】
一方、従来のエアフィルタとしては、例えば特許文献1に開示されるような構成も提案されている。この従来構成においては、合成樹脂よりなる四角箱形のフィルタ枠内に、平板状の脱臭フィルタ及び波折り状の集塵フィルタが着脱可能に装着されている。集塵フィルタは、その濾材の外周部に囲い部を設けた構成となっている。そして、脱臭フィルタ及び集塵フィルタがフィルタ枠内において装着状態に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−136536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載の従来構成では、フィルタ枠が脱臭フィルタ及び集塵フィルタと別体に形成されているため、それらを分別することはできる。しかしながら、集塵フィルタにおいて集塵機能を必要とする濾材と、剛性を必要とする囲い部とを同一材料で構成することは困難であり、従って、濾材と、囲い部とを分別することは難しく、この集塵フィルタは、やはり埋め立て処理が必要であった。さらに、集塵フィルタが波折り状の濾材と囲い部との一体構造となっているため、濾材が集塵により汚れた場合、囲い部を含む集塵フィルタ全体を廃棄する必要があって、不経済であった。
【0006】
しかも、集塵フィルタの製造においては、濾材を成形金型内にセットして、囲い部の材料を同金型内に射出する方法や、あるいは、濾材を枠状の囲い部の内側面に接着する方法が必要となる。従って、特許文献1の集塵フィルタは、その製造に手間がかかるものであった。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、濾材が汚れた場合、その濾材のみを廃棄処理することができるとともに、製造が容易なエアフィルタ及びエアフィルタ用濾材保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は、着脱可能に係合する係合手段を介して組み合わされた第1枠と第2枠との間に、複数枚の平板状の濾材を着脱可能に積層状態で保持したことを特徴としている。
【0009】
従って、この発明のエアフィルタをエアクリーナに使用した場合には、積層状態の複数枚の濾材のうちで、エア流の上流側の汚れの大きな濾材のみを廃棄できる。また、濾材と両枠とが別体に形成されているため、エアフィルタ全体を廃棄処理する際には、濾材と両枠とを分別して廃棄処理することもできる。しかも、濾材と両枠とが別体であるため、それらを別々に単独で製造すればよく、その製造は容易である。
【0010】
前記の構成において、前記係合手段を、前記濾材の積層方向に沿うように前記第1枠上に配列された複数の被係合部と、その被係合部に着脱可能に係合するように前記第2枠に形成された係合部とにより構成するとよい。
【0011】
前記の構成において、エアクリーナのケースにシール状態で取り付けられるシール部を前記第1枠の外周に形成し、前記第2枠の係合部を第2枠の表裏いずれの状態においても第1枠の被係合部に係合可能な形状に形成するとよい。
【0012】
前記の構成において、前記第1枠と第2枠との間に、それらが傾斜状態で組み付けられることを防止するための手段を設けるとよい。
前記の構成において、前記濾材の外周に高剛性部を設けるとよい。
【0013】
エアフィルタに用いられるエアフィルタ用濾材保持具としては、積層状態の濾材を保持するための間隔が形成されるように係合手段を介して着脱可能に組み合わされる第1枠と第2枠とよりなり、前記係合手段を、前記濾材の積層方向に沿うように前記第1枠上に配列された複数の被係合部と、その被係合部に着脱可能に係合するように前記第2枠に形成された係合部とにより構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明によれば、濾材を汚れた部分から順に廃棄処理することができるとともに、濾材と枠とを分別して廃棄処理することもでき、しかも製造が容易になるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の構成を備えたエアクリーナを示す断面図。
【図2】図1のエアフィルタの分解斜視図。
【図3】同エアフィルタの濾材を拡大して示す部分断面図。
【図4】同エアフィルタにおいて濾材が汚れた場合の処理方法を説明するための断面図。
【図5】(a)及び(b)はエアフィルタ用濾材保持具における第1枠の被係合部と第2枠の係合部との係合状態を示す部分拡大断面図。
【図6】濾材が汚れた場合の処理方法を図4に続いて示す断面図。
【図7】(a)は第2実施形態を示す要部分解斜視図、(b)は一部断面図。
【図8】(a)及び(b)は第3実施形態における第1枠の被係合部と第2枠の係合部との係合状態を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した第1実施形態のエアフィルタ、及びそのエアフィルタを備えたエアクリーナの構成を、図1〜図6の図面に従って説明する。
【0017】
図1に示すように、この実施形態のエアクリーナにおいては、そのハウジング11が下側の第1ケース12と上側の第2ケース13とにより構成され、それらのケース12,13が開口部の外周縁のフランジ部12a,13aにおいて、図示しないクランプ金具を用いて開閉可能に結合されている。第1ケース12の側壁には、インレット14が形成されている。第2ケース13の側壁には、アウトレット15が形成されている。そして、前記インレット14が大気に開放され、アウトレット15はエンジンの吸気側に接続される。
【0018】
図1及び図2に示すように、前記両ケース12,13のフランジ部12a,13a間には、エアフィルタ16が挟持されている。このエアフィルタ16は、着脱可能に組み合わされたほぼ四角枠状の第1及び第2枠17,18と、両枠17,18間の間隔内に着脱可能に積層状態で保持された不織布よりなる1枚または複数枚の平板状の濾材19とから構成されている。両枠17,18によりエアフィルタ用濾材保持具10が構成されている。前記濾材19の枚数は後述のように任意に設定することができる。両枠17,18は、ポリプロピレンにより形成されている。これに対して、濾材19は、PETにより形成されている。図3に示すように、濾材19の外周には、濾材19を平板状に形状保持するための高剛性部20が高熱付与下における圧縮成形により形成されている。
【0019】
前記第1枠17と第2枠18とは、着脱可能に係合する係合手段としての係合構造21を介して組み付けられ、それらの間に前記間隔が形成される。第2枠18の四隅の内側には、濾材19の4コーナ部を第1枠17側に押し付けて保持するための枠状の保持部22が形成されている。第1枠17の外周には、エアクリーナの両ケース12,13のフランジ部12a,13a間にシール状態で取り付けられるシール部23が形成されている。
【0020】
前記第1枠17の4箇所の側縁部には、案内部材24A,24Bが濾材19の積層方向に沿って延びるように突設されている。そして、第1枠17と第2枠18との組み付け時に、これらの案内部材24A,24Bが第2枠18の対応側縁部の内周面に均等に接触することにより、両枠17,18の組み付けが案内されるとともに、傾斜状態で組み付けられることが防止される。従って、この案内部材24A,24Bにより、両枠17,18が傾斜状態で組み付けられることを防止するための防止手段が構成されている。
【0021】
前記第1枠17と第2枠18との間の係合構造21は、第1枠17上の各案内部材24A,24Bの外面に配列された複数の爪状の被係合部25A,25Bと、その被係合部25A,25Bに着脱可能に係合するように第2枠18の側縁に形成された四角枠状の係合部26A,26Bとにより構成されている。そして、濾材19の積層厚さに応じて、係合部26A,26Bが被係合部25A,25Bに対して選択的に係合されることにより、両枠17,18間の間隔が調整されて、濾材19が両枠17,18間に積層状態で挟着保持されるようになっている。
【0022】
図2及び図5に示すように、前記第1枠17の対向する2箇所の側縁部に配置された案内部材24A上の被係合部25Aと、他の対向する2箇所の側縁部に配置された案内部材24B上の被係合部25Bとは、それらの配列ピッチPの半ピッチP/2分だけ配列方向に位置をずらせた状態で形成されている。これに対して、第2枠18側の各係合部26A,26Bは、同一高さ位置に形成されている。そして、被係合部25Aに対する係合部26Aの係合と、被係合部25Bに対する係合部26Bの係合とが交互に行われることにより、積層された濾材19の厚さに応じて第1枠17と第2枠18との組み付け位置,すなわちそれらの間の間隔が、被係合部25A,25Bの配列ピッチPの半ピッチP/2分ずつ変更される。図面においては、被係合部25A,25Bの配列ピッチを粗く描いたが、実際には被係合部25A,25Bはもっと細かいピッチで形成され、前記が濾材19の1枚分ずつ変更される。
【0023】
また、図4に示すように、濾材19の積層枚数が多い場合には、第2枠18がその係合部26A,26Bを第1枠17側に突出させた表向きの状態で、第1枠17に対して組み付けられる。この組み付け状態においては、四角枠状の係合部26A,26Bの一側内縁26aが被係合部25A,25Bに係合される。これに対して、図6に示すように、濾材19の積層枚数が少なくなった場合には、第2枠18がその係合部26A,26Bを第1枠17と反対側に突出させた裏向きの状態で、第1枠17に対して組み付けられる。この組み付け状態においては、四角孔状の係合部26A,26Bの他側内縁26bが被係合部25A,25Bに係合される。
【0024】
次に、前記のように構成されたエアフィルタ16を備えるエアクリーナについて作用を説明する。
図1に示す状態では、エアクリーナのケース12,13内にエアフィルタ16が装着され、そのエアフィルタ16の第2枠18側が第1ケース12側に配置されて、その第2枠18側がエア流の上流側に配置される。この状態において、図示しないエンジンが運転されると、大気中のエアがインレット14から第1ケース12内に流入し、エアフィルタ16の濾材19を通過して第2ケース13内に導かれた後、アウトレット15を介してエンジンの吸気側に供給される。従って、エアに含まれる塵埃等が濾材19により捕捉されて除去される。
【0025】
このように、塵埃等の捕捉が行われると、積層状態の複数枚の濾材19のうちで、エア流の上流側のものほど汚れる。そして、エア流の最上流側の濾材19の汚れが大きくなった場合には、図4に示すように、エアフィルタ16をエアクリーナのケース12,13内から取り出して、第2枠18が第1枠17の上側となるように配置すれば、汚れの大きな濾材19が最上部に配置される。その後、第1枠17上の各案内部材24A,24Bを弾性力に抗して内側に撓曲させると、被係合部25A,25Bと係合部26A,26Bとの係合が解除される。この状態で、第2枠18を第1枠17上から取り外せば、汚れの大きな最上部の濾材19を除去して廃棄することができる。
【0026】
そして、この汚れの大きな濾材19の除去後には、前記の操作とほぼ逆順に、第2枠18を第1枠17上に組み付けて、第2枠18の四隅の保持部22が濾材19を押さえる位置となるように、被係合部25A,25Bと係合部26A,26Bとを係合させると、両枠17,18が組み付け状態に保持される。このため、残りの濾材19が両枠17,18間に積層状態で挟着状態で保持される。その後、図1に示すように、エアフィルタ16全体をエアクリーナのケース12,13内に装着すれば、再びエンジンに対する吸気エア中の塵埃等の除去に用いることができる。なお、このとき、汚れの大きな濾材19の廃棄にともなってエアフィルタ16全体の通気抵抗が回復する。一方、廃棄された濾材19以外の濾材19にも塵埃がある程度捕捉されて、濾材19のフィルタの目が細かくなっている。従って、汚れの大きな濾材19を廃棄しても、塵埃等の捕捉機能が低下することはほとんどなく、フィルタとして高い捕捉機能を維持できる。
【0027】
一方、前記第1枠17上への第2枠18の組み付けに際して、濾材19の積層枚数が少なくなっている場合には、第1枠17から第2枠18を外して、図6に示すように、第2枠18を表裏反転させた状態で第1枠17に組み付ける。このようにすると、四角枠状の係合部26A,26Bの他側内縁26bが被係合部25A,25Bに係合して、両枠17,18はそれらの間の間隔が狭い状態で組み付けられる。そして、この場合は、第2枠18上の各保持部22において係合部26A,26Bと反対側の面が濾材19に当接するため、積層枚数の少ない濾材19を両枠17,18間に安定に保持することができる。従って、この状態のエアフィルタ16をハウジング11内にセットすれば、濾材19に対して前記と同じ方向でエアが通過して、前記と同様に塵埃等の捕捉を行うことができる。
【0028】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この実施形態においては、着脱可能な係合構造21を介して組み合わされた第1枠17と第2枠18との間に、複数枚の平板状の濾材19が着脱可能に積層状態で配置されている。よって、積層状態の複数枚の濾材19のうちで、エア流の上流側に配置された濾材19ほど汚れが大きくなる。この場合、第1枠17と第2枠18との係合を解除して、汚れの大きな濾材19から順に廃棄することができるため、エアフィルタ16全体を交換する必要がなく、経済的である。また、濾材19を廃棄するだけでよいため、分別処理が不要であり、焼却処理が可能である。
【0029】
(2) この実施形態においては、エアフィルタ16全体を廃棄する際には、濾材19と両枠17,18とが別体に形成されているため、それらを材料ごとに分別して処理することができる。
【0030】
(3) この実施形態においては、前記係合構造21が、濾材19の積層方向に沿うように第1枠17上に配列された複数の被係合部25A,25Bと、その被係合部25A,25Bに着脱可能に係合するように第2枠18に形成された係合部26A,26Bとにより構成されている。よって、濾材19の積層厚さに応じて、被係合部25A,25Bと係合部26A,26Bとの係合位置を変更することができて、濾材19をその枚数にかかわらず両枠17,18間に安定に積層状態で保持することができる。
【0031】
(4) この実施形態においては、前記第1枠17の外周に、エアクリーナのケース12,13に対してシール状態で取り付けられるシール部23が形成され、エアクリーナのケース12,13に対するエアフィルタ16の装着状態で、第2枠18がエア流の上流側に配置されるように構成されている。また、第2枠18の係合部26A,26Bが第2枠18の表裏いずれの状態においても、第1枠17の被係合部25A,25Bに係合可能な形状に形成されている。このため、両枠17,18間に積層された濾材19の枚数が少なくなった場合には、第2枠18を表裏反転させた状態で第1枠17に組み付けることにより、積層枚数の少ない濾材19を両枠17,18間に安定に積層保持することができる。
【0032】
(5) この実施形態においては、前記第1枠17と第2枠18との間に、それらが傾斜状態で組み付けられるのを防止するための防止構造が設けられている。すなわち、この実施形態では、第1枠17の4つの側縁部に、第2枠18の対応側縁と均等な接触状態で摺接可能な案内部材24A,24Bが突設されている。従って、この案内部材24A,24Bの案内作用により、第1枠17と第2枠18とが傾斜状態で組み付けられることを防止することができる。
【0033】
(6) この実施形態においては、前記濾材19の外周に高剛性部20が設けられている。このため、不織布等よりなる平板状の濾材19を撓みが生じることなく形状保持することができて、第1枠17と第2枠18との間に濾材19を着脱する際に、その着脱作業を容易に行うことができるとともに、濾材19が皺になったり、折りたたまれたりした状態で積層されることを防止できる。
【0034】
(7) この実施形態においては、第2枠18の四隅部に、第2枠18が表裏反転された状態であっても濾材19を押し付ける保持部22が形成されている。従って、濾材19を常に第2枠18によって第1枠17側に押し付けることができ、濾材19を安定してエアの濾過に供することができる。
【0035】
(8) この実施形態においては、濾材19は、全体が一枚の不織布によって構成されているため、構成が簡単で、製造が容易である。
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化したエアフィルタの第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0036】
さて、この第2実施形態では、図7(a)(b)に示すように、第2枠18の各係合部26A,26Bと対応する内面に、第1枠17上の各案内部材24A,24Bと係合可能な係合溝30が形成されている。そして、第1枠17と第2枠18との組み付け時に、各案内部材24A,24Bが係合溝30に係合することにより、両枠17,18が傾斜状態で組み付けられることが防止されるようになっている。従って、この第2実施形態では、案内部材24A,24Bと係合溝30とにより、両枠17,18が傾斜状態で組み付けられるのを防止するための防止手段が構成されている。
【0037】
従って、この第2実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)〜(8)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(9) この実施形態においては、第2枠18の内面に各案内部材24A,24Bと係合可能な係合溝30が形成されているため、第1枠17と第2枠18とが傾斜状態で組み付けられることを一層効果的に防止することができる。
【0038】
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化したエアフィルタの第3実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0039】
さて、この第3実施形態においては、図8(a)(b)に示すように、第1枠17上の各案内部材24A,24Bに被係合部25A,25Bが、同一の配列ピッチPで同一の高さ位置となるように形成されている。これに対して、第2枠18の対向する2箇所の側縁に配置された係合部26Aと、他の対向する2箇所の側縁に配置された係合部26Bとは、被係合部25A,25Bの配列ピッチPの半ピッチP/2分だけ、その配列方向に位置をずらせた状態で形成されている。よって、この構成においても、第1実施形態の構成と同様に、被係合部25Aに対する係合部26Aの係合と、被係合部25Bに対する係合部26Bの係合とが交互に行われることにより、第1枠17と第2枠18との組み付け位置が、被係合部25A,25Bの配列ピッチPの半ピッチP/2分ずつ変更される。
【0040】
従って、この第3実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果と同様な効果を得ることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0041】
・ 前記実施形態において、平板状の濾材19として不織布の繊維密度の異なったもの複数種用意し、エア流の上流側の濾材19ほど繊維密度が粗くなるように、濾材19を積層配置すること。
【0042】
このように構成した場合には、濾材19の積層枚数が少なくなった場合に、濾材19の濾過効率が低減するおそれを抑制することができる。
・ 前記各実施形態において、積層配置された複数枚の濾材19のうちで、第1枠17上に接触配置される1枚の濾材19を、第1枠17に対して接着剤等により貼着固定すること。
【0043】
このように構成した場合には、濾材19が全部廃棄除去された状態で、エアクリーナが使用されるおそれを防止することができる。
・ 前記各実施形態において、係合手段としての係合構造21を異なった構成に変更すること。例えば、係合部26A,26Bに爪状の突部を、案内部材24A,24Bにその突部が係合する凹部を形成すること。
【符号の説明】
【0044】
12…第1ケース、13…第2ケース、16…エアフィルタ、17…第1枠、18…第2枠、19…濾材、20…高剛性部、21…係合手段としての係合構造、23…シール部、24A,24B…防止手段を構成する案内部材、25A,25B…被係合部、26A,26B…係合部、30…防止手段を構成する係合溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能に係合する係合手段を介して組み合わされた第1枠と第2枠との間に、複数枚の平板状の濾材を着脱可能に積層状態で保持したことを特徴とするエアフィルタ。
【請求項2】
前記係合手段を、前記濾材の積層方向に沿うように前記第1枠上に配列された複数の被係合部と、その被係合部に着脱可能に係合するように前記第2枠に形成された係合部とにより構成したことを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項3】
エアクリーナのケースにシール状態で取り付けられるシール部を前記第1枠の外周に形成し、前記第2枠の係合部を第2枠の表裏いずれの状態においても第1枠の被係合部に係合可能な形状に形成したことを特徴とする請求項2に記載のエアフィルタ。
【請求項4】
前記第1枠と第2枠との間に、それらが傾斜状態で組み付けられることを防止するための手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のエアフィルタ。
【請求項5】
前記濾材の外周に高剛性部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のエアフィルタ。
【請求項6】
積層状態の濾材を保持するための間隔が形成されるように係合手段を介して着脱可能に組み合わされる第1枠と第2枠とよりなり、
前記係合手段を、前記濾材の積層方向に沿うように前記第1枠上に配列された複数の被係合部と、その被係合部に着脱可能に係合するように前記第2枠に形成された係合部とにより構成したことを特徴とするエアフィルタ用濾材保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−131158(P2011−131158A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292734(P2009−292734)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】