説明

エアフィルタ取付装置及びエアフィルタ

【課題】 本発明は、締付ネジや手指等を用いることなく、細かい作業が困難な場合であっても、簡単な操作でフィルタをフィルタ枠体に着脱することができるエアフィルタ取付装置及びエアフィルタを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明のエアフィルタ取付装置は、一方の開口部の全周にフランジ部を備え、他方の開口部に一対のフランジ状の突起部を備えた四角形状のフィルタ枠体と、前記突起部を設けた開口部から前記フィルタ枠体内に装入されるフィルタと、このフィルタを前記フランジ部の方向または突起部の方向に弾性力により押圧して前記フィルタ枠体内に装着する押圧手段からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル空調、工場空調、病院、ガス処理施設等に設けるエアフィルタ取付装置またはエアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル空調、工場空調、病院、ガス処理施設等に設けられるエアフィルタ取付装置は、取付フレーム等のフィルタ枠体内にフィルタ等を装着する構成となっている。例えば、図9に示すように、エアフィルタ取付装置13は、四角枠状の周壁部14bの一方の開口部に、全周に亘ってフランジ部14aを設け、フランジ部14aの四隅から周壁部14bに沿って、四本の断面L字状のフィルタ受け用支柱14cを設けた取付フレーム14を用いている。この取付フレーム14に、フィルタ15とプレフィルタ16とを、フィルタ受け用支柱14c側から収容する。そして、フィルタ受け用支柱14cに締付用金具17を設け、この締付用金具17と締付ネジ18を取付フレーム14に収容されたプレフィルタ16に取り付け、プレフィルタ16とフィルタ15を押圧して、フィルタ15をフランジ部14aに圧着させて、固定した構成となっている。
【0003】
しかしながら、例えば、PCB等の毒性のあるガスを処理する施設にエアフィルタ取付装置を取り付ける場合、悪影響のあるガスから人体を保護するため、防護服や防護手袋等を着用して、エアフィルタ取付装置内のエアフィルタ取付装置を交換する必要がある。防護服や防護手袋等を着用していると、作業性が悪く、締付ネジ等の比較的小さい部品を用いた作業が困難であるという問題があった。このように作業性が悪いと、取付フレーム14のフランジ部14aにフィルタ15を圧着させることができず、空気漏れ等を生じるおそれがあるという問題があった。
【0004】
締付ネジ等の小さい部品を用いる必要がないように、例えば、特許文献1には、図10に示すように、フィルタ枠体19内に装入されたエアフィルタ取付装置本体20を、フィルタ枠体19を設けた開口24の周囲の壁面25に、弾性押圧部材23で圧着する構成のエアフィルタ取付装置26が開示されている。フィルタ枠体19は、その上方の側壁部に、エアフィルタ取付装置本体20を装入する開口部21が形成されており、この開口部21の反対側の側壁部に、フィルタ枠体19内に装着されたエアフィルタ取付装置本体20を外方に押し出す押出し用孔22が穿孔されている。
【特許文献1】実開平7−37313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたエアフィルタ取付装置26は、既に、一つのエアフィルタ取付装置本体20をフィルタ枠体19内に装着した後、プレフィルタ等の他のフィルタをフィルタ枠体19内に装着するためには、弾性押圧部材23がエアフィルタ取付装置本体20を押圧する方向と直交する方向から、他のフィルタをスライドさせて弾性押圧部材23を弾性変形させなければならない。このため、既に、エアフィルタ取付装置本体20にフィルタ枠体19を装着した後、他のフィルタを重ね合わせてフィルタ枠体19内に装着させることは、難しいという問題があった。また、エアフィルタ取付装置本体20をフィルタ枠体19内に装着した後は、開口部21と対向する側壁部に設けた押出し用孔22から手指または棒等を挿入して、エアフィルタ取付装置本体20をフィルタ枠体19から外方へ突き出さなければならず、作業性の悪い防護服や防護手袋を着用している状態では、このような作業が困難であるという問題が残っている。
そこで、本発明は、締付ネジや手指等を用いることなく、細かい作業が困難な場合であっても、簡単な操作でフィルタをフィルタ枠体に着脱することができるエアフィルタ取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアフィルタ取付装置は、前記目的を達成すべく、請求項1に記載の通り、一方の開口部の全周にフランジ部を備え、他方の開口部に一対のフランジ状の突起部を備えた四角形状のフィルタ枠体と、前記突起部を設けた開口部から前記フィルタ枠体内に装入されるフィルタと、このフィルタを前記フランジ部の方向または突起部の方向に弾性力により押圧して前記フィルタ枠体内に装着する押圧手段からなることを特徴とする。
また、請求項2記載のエアフィルタ取付装置は、請求項1記載のエアフィルタ取付装置において、前記フィルタ枠体内のフランジ部側に前記フィルタを装着し、前記フィルタ枠体内の前記突起部側に、四角枠体からなる押さえ用部材を装着したことを特徴とする。
また、請求項3記載のエアフィルタ取付装置は、請求項2記載のエアフィルタ取付装置において、前記押さえ用部材が、四角枠体内にプレフィルタ用濾材を備えたプレフィルタであることを特徴とする。
また、請求項4記載のエアフィルタ取付装置は、請求項2または3記載のエアフィルタ取付装置において、前記フィルタと前記押さえ用部材の間にサブフィルタを装着したことを特徴とする。
また、請求項5記載のエアフィルタ取付装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置において、前記押圧手段は、一端部に固定部と、この固定部に連なって、他端部を開放可能とした弾性変形する湾曲面を設けた板状体であることを特徴とする。
また、請求項6記載のエアフィルタ取付装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置において、前記フィルタのいずれか一方のフィルタ面の周囲の前記フランジ部または前記突起部に対応する部位に、少なくとも一対の対向する前記押圧手段を設けたことを特徴とする。
また、請求項7記載のエアフィルタ取付装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置において、前記フィルタ枠体のフランジ部の内側面または前記突起部の内側面に、少なくとも一対の対向する前記押圧手段を設けたことを特徴とする。
また、請求項8記載のエアフィルタ取付装置は、請求項2乃至7のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置において、前記押さえ用部材のいずれか一方の面の前記フランジ部または前記突起部に対応する部位に、少なくとも一対の対向する前記押圧手段を設けたことを特徴とする。
また、請求項9記載のエアフィルタ取付装置は、請求項4乃至8のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置において、前記サブフィルタのいずれか一方のフィルタ面の周囲の前記フランジ部または前記突起部に対応する部位に、少なくとも一対の対向する前記押圧手段を設けたことを特徴とする。
また、請求項10記載のエアフィルタ取付装置は、請求項1乃至9のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置において、前記フィルタに布製の取っ手を設けたことを特徴とする。
また、請求項11記載のエアフィルタ取付装置は、請求項2乃至9のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置において、前記フィルタに布製の取っ手を設けたことを特徴とする。
また、請求項12記載のエアフィルタ取付装置は、請求項4乃至9のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置において、前記フィルタに布製の取っ手を設けたことを特徴とする。
本発明のエアフィルタは、前記目的を達成すべく、請求項13に記載の通り、一方の開口部の全周にフランジ部を備え、他方の開口部に一対のフランジ状の突起部を備えた四角形状のフィルタ枠と、このフィルタ枠のフランジ部に接着されたフィルタパックと、前記突起部を設けた開口部から前記フィルタ枠内に装入されるサブフィルタと、このサブフィルタを弾性力により前記フィルタパックの方向に押圧してフィルタ枠内に装着する押圧手段からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエアフィルタ取付装置は、締付ネジ、手指や棒等の細かい部材を用いることなく、押圧手段による弾性力によって、フィルタをフィルタ枠体のフランジ部の方向または突起部方向に押圧して、装着させることができる。
また、エアフィルタ取付装置に四角枠状の押さえ用部材を設けた場合は、押圧手段によって加えられた弾性力が、四角枠状の押さえ用部材によってフィルタ面の周囲に略均等に加えられて、フィルタをフィルタ枠体のフランジ部または押さえ用部材を介して突起部に押圧することができる。
また、本発明のエアフィルタ取付装置のフィルタ、押さえ用部材またはサブフィルタのうちいずれか一つの、一方の面の周囲のフィルタ枠体のフランジ部または突起部に対応する部位に、少なくとも一対の対向する押圧手段を設けた場合は、押圧手段の弾性力が加わる方向と略水平の方向から押圧手段を押圧して、押圧手段を簡単に弾性変形させることができる。このため、フィルタと押さえ用部材、フィルタと押さえ用部材の四角枠体内にプレフィルタ用濾材を備えたプレフィルタ、フィルタとサブフィルタと押さえ用部材、フィルタとサブフィルタと押さえ用部材の四角枠体内にプレフィルタ用濾材を備えたプレフィルタのように、複数の部材を重ね合わせてフィルタ枠体内に装着する場合であっても、簡単に着脱することができる。前記フィルタ枠体のフランジ部の内側面または前記突起部の内側面に、少なくとも一対の対向する前記押圧手段を設けた場合も、押圧手段を簡単に弾性変形させやすいため、フィルタ等の複数の部材を重ね合わせも、簡単にフィルタ枠体内に着脱することができる。
また、本発明のエアフィルタ取付装置のフィルタまたは押さえ用部材に布製の取っ手を設けた場合は、防護服や防護手袋等を着用している場合であっても、フィルタや押さえ用部材自体を把持するのではなく、取っ手を把持でき、容易にフィルタ枠体にフィルタや、押さえ用部材を装着することができる。また、フィルタ等に設ける取っ手を布製とした場合は、フィルタ枠体内に装着した際に、取っ手を折り畳んで複数の部材を重ね合わせてフィルタ枠体内に装着することができる。
また、本発明のエアフィルタは、押圧手段による弾性力によって、サブフィルタをフィルタパックに密着させてフィルタ枠内に装着することができるため、フィルタパックとサブフィルタの隙間からリークが生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明のエアフィルタ取付装置の実施の形態を説明するが、本発明は、以下に示す実施の形態に限られるものではない、図1は、本発明のエアフィルタ取付装置の一実施の形態を示す。図1に示すように、本実施の形態において、エアフィルタ取付装置1は、フィルタ枠体2内に、フィルタ3と、押さえ用部材を構成する四角枠体5a内にプレフィルタ用濾材5bを備えたプレフィルタ5を装着している。
本実施の形態において、フィルタ枠体2は、耐食性を考慮して、ステンレス製の外形寸法が縦625mm×横625mm×厚さ140mmのものを用いている。
フィルタ枠体2は、一方の開口部2aの全周にフランジ部2bが形成され、他方の開口部2cに一対のフランジ状の突起部2d,2dが形成されている。
また、フィルタ3は、帯電化したポリプロピレン製のメルトブロー不織布にポリエステル繊維主体の不織布を重ね合わせて複合化した濾材を、ジグザグ状に折り畳み、濾材の間隔を図示を省略したセパレータやホットメルト樹脂からなるリボン材等の間隔保持材で保持したフィルタパック3aを、紙製の枠体3b内に収容した構成となっている。フィルタ3としては、中性能フィルタを用いることが好ましい。枠体3bに紙製のものを用いたのは、使用後に焼却することができるためである。フィルタ3のフランジ部2bと当接する面(下流側となる面)の周囲には、シール材としてガスケット3cを設けている。フィルタ3は、その外形寸法が縦610mm×横610mm×厚さ95mmのものを用いている。
押さえ用部材は、耐食性を考慮してステンレス製の四角枠体5aに、ポリエステル繊維製のフェルトからなるプレフィルタ用濾材5bを備えたプレフィルタ5であり、その外形寸法が縦610mm×横610mm×厚さ20mmのものを用いている。
フィルタ枠体2のフランジ部2b側にフィルタ3が装着され、フィルタ枠体2の突起部2d,2d側にプレフィルタ5が装着されている。また、押圧手段4は、四角枠体5aの突起部2d,2dに対向する部位に設けられている。
【0009】
図1及び図2のA部分拡大図に示すように、エアフィルタ取付装置1に設ける押圧手段4は、一端部にネジ等によって、フィルタ枠体2やフィルタ3に固定可能とする固定部4aを備え、この固定部4aに連なって一方向に突出する湾曲面4bを備えた板状体のものを用いている。この湾曲面4bの他端部は、他部材に固定されない開放端部となっている。押圧手段4は、例えば、バネ鋼からなり、湾曲面4bの弾性力によってフィルタ3を押圧するものを用いることができる。押圧手段4は、プレフィルタ5を構成する四角枠体5aの上流側の突起部2d,2dに対向する鉛直方向上下の枠部の略中央部位に、対向するようにそれぞれ一つずつ、一対設けられている。
【0010】
図2に示すように、エアフィルタ取付装置1は、傾けた状態でフィルタ枠体2の開口部2cから、フィルタ3の一端部をフィルタ枠体2内に装入させ、次いで、フィルタ3の他端部をフィルタ枠体2内に装入させる。次に、プレフィルタ5は、押圧手段4が設けられた面を突起部2d,2dの内側面に対向するようにして、フィルタ枠体2の開口部2cから、突起部2dの内側面に押圧手段4の湾曲面4bを押しつけて弾性変形させつつ、プレフィルタ5の一端部をフィルタ枠体2内に装入させる。次いで、プレフィルタ5の他端部を、突起部2dの内側面に押圧手段4の湾曲面4bを押しつけて弾性変形させつつ、フィルタ枠体2内に装入させる。プレフィルタ5をフィルタ枠体2に装入した後、弾性変形していた押圧手段4の湾曲面4bが元の形状に戻り、押圧手段4の弾性力によって、プレフィルタ5を介して、フィルタ3のガスケット3cがフランジ部2bに圧着される。
【0011】
次に、本発明のエアフィルタ取付装置の他の実施の形態を図3及び図4に基づき説明する。図3及び図4に示すように、本実施の形態において、エアフィルタ取付装置10は、押圧手段4を設けたフィルタ枠体2内に、フィルタ3を装着している。フィルタ枠体2は、その外形寸法が縦625mm×横625mm×厚さ120mmのステンレス製のものを用いている。フィルタ3は、帯電化したポリプロピレン製のメルトブロー不織布にポリエステル繊維主体の不織布を重ね合わせて複合化した濾材を、ジグザグ状に折り畳み、濾材の間隔を図示を省略したセパレータやホットメルト樹脂からなるリボン材等の間隔保持材で保持したフィルタパック3aを、紙製の枠体3b内に収容した構成となっている。このフィルタ3は、その外形寸法が縦610mm×横610mm×厚さ95mmのものを用いている。フィルタ3は、フィルタ3のフランジ部2bと当接する面(下流側となる面)周囲に、シール材としてガスケット3cを設けている。フィルタ3としては、例えば、中性能フィルタを用いることが好ましい。
また、押圧手段4は、フィルタ枠体2の一対の突起部2d,2dの両方の内側面の略中央の部位に、突起部2d,2dから突出しないように、一対設けられている。
フィルタ3は、傾けた状態で、その一端部を突起部2dが形成された開口部2cからフィルタ枠体2内に装入させ、装入させたフィルタ3で押圧手段4の湾曲面4bを押圧して押圧手段4を弾性変形させつつ、フィルタ3の他端部をフィルタ枠体2内に装入させ、フィルタ3をフィルタ枠体2内に装着させている。押圧手段4によって、フィルタ3は、フランジ部2bの方向に押圧されて、フィルタ3のガスケット3cがフランジ部2dに圧着される。
図3及び図4に示す実施の形態に限らず、例えば、押圧手段4は、フィルタ枠体2のフランジ部2bの内側面に、開口部2cを挟んで対向するように一対設けてもよい。押圧手段4をフランジ部2bに設けた場合は、押圧手段4によって、フランジ部2dとフィルタ3の間に隙間が形成されないように、フランジ部2bの押圧手段を4を設けた部分以外の部分に、クロロプレン等のガスケットを設けてもよい。
【0012】
次に、本発明のエアフィルタ取付装置の他の実施の形態を図5に基づき説明する。図5に示すように、本実施の形態において、エアフィルタ取付装置に装着するフィルタ3には、紙製の枠体3bの孔部に、両端部を挿入させて固定した布製の取っ手6を設けている。このように、取っ手6が布製のものであると、取っ手6が、取っ手6を固定する孔部内に折り込まれて、取っ手6が邪魔になることなく、プレフィルタ5等の他部材とフィルタ3を重ね合わせてフィルタ枠体2内に装着することができるため、好ましい。尚、布製の取っ手6は、例えば、フィルタ3のフィルタ面上で折り畳まれるようにしてもよい。また、布製の取っ手6は、フィルタ3を破棄する際に、紙製の枠体3aとともに、取っ手6も焼却できるため、好ましい。このように、フィルタ3に取っ手6が設けられていると、防護手袋等を着用した状態でも簡単に、フィルタ3や押さえ用部材5を交換することができる。
フィルタ3や押さえ用部材5に設ける取っ手6は、布製のものの他に、金属製のものを用いることができる。金属製の取っ手6を用いる場合は、図6(a)に示すように、取っ手6は、例えば、中央部に人手で把持が可能となるように突出させた把持部6aと、把持部6aの両端部に、フィルタ3等に取付可能となる取付部6b,6cとから構成する。そして、図6(b)に示すように、フィルタ3の枠体3bに、取っ手6の取付部6b,6cを挿入可能とする差込用孔3d,3dを穿孔し、取っ手6の取付部6b,6cを差込用孔3d,3dに挿入して、取っ手6をフィルタ3に着脱自在に設けるようにすることが好ましい。着脱自在な取っ手6をフィルタ3や押さえ用部材5に設けた場合は、フィルタや押さえ用部材をフィルタ枠体2内に装入した順に取っ手6を取り外して、フィルタと押さえ用部材を重ね合わせることができるため好ましい。
【0013】
次に、本発明のエアフィルタ取付装置の他の実施の形態について説明する。図7に示すように、本実施の形態において、エアフィルタ取付装置12は、フィルタ枠体2内に、より高い清浄度が要求される場合を考慮してフィルタ3としてHEPAフィルタと、押さえ用部材9と、フィルタ3と押さえ用部材9との間にサブフィルタ7を装着している。尚、本実施の形態において、押さえ用部材9は、四角枠体内にプレフィルタ用濾材を備えていないものを用いている。
本実施の形態において、フィルタ枠体2は、耐食性を考慮してステンレス製の外形寸法が縦610mm×横610mm×厚さ430mmのものを用いている。HEPAフィルタであるフィルタ3は、ステンレス製のフレーム中にガラス繊維製のHEPAフィルタ用濾材からなるフィルタパックを装着したものであり、その外形寸法の縦横の大きさがフィルタ枠体2内に装入可能となるものであり、厚さ290mmのものを用いている。また、サブフィルタ7として、その外形寸法が縦594mm×横594mm×厚さ95mmの中性能フィルタを用いている。このサブフィルタ7は、紙製の枠体内に、帯電化したポリプロピレン製のメルトブロー不織布にポリエステル繊維主体の不織布を重ね合わせて複合化した濾材からなるフィルタパックを収容したものを用いている。押さえ用部材9は、耐食性を考慮してステンレス製の四角枠体からなるものであり、その外形寸法が縦594mm×横594mm×厚さ20mmのものを用いている。
押圧手段4は、押さえ用部材9を構成する四角枠体の一方の面の、サブフィルタ7とフィルタ3を介して鉛直方向の上下のフランジ部2bに対応する部位に、対向するように一対設けられている。本実施の形態においては、押圧手段4は、押さえ用部材9の下流側となる面の両側枠部の中央の部位に、対向するようにそれぞれ一つずつ、一対設けられている。
また、サブフィルタ7、押さえ用部材9には、着脱自在な取っ手8を設けている。
サブフィルタ7は、取っ手8を把持して、傾けた状態でフィルタ枠体2の開口部2cから、サブフィルタ7の一端部をフィルタ枠体2内に装入され、次いで、サブフィルタ7の他端部をフィルタ枠体2内に装入されて、フィルタ3に重ね合わされる。そして、サブフィルタ7に設けられた取っ手8を取り外す。
次に、押さえ用部材9は、押圧手段4が設けられた一方の面を下流側にして、取っ手8を把持して、フィルタ枠体2の開口部2cから、その一端部をフィルタ枠体2内に装入され、押圧手段4の弾性力で、サブフィルタ7とフィルタ3をフランジ部2bの方向に押圧しつつ、押さえ用部材9の他端部をフィルタ枠体2内に装入される。そして、押さえ用部材9に設けられていた取っ手8を取り外す。押さえ用部材9をフィルタ枠体2に装入した後、弾性変形していた押圧手段4の湾曲面4bが元の形状に戻り、押圧手段4の弾性力によって、サブフィルタ7を介してフィルタ3のガスケット3cがフランジ部2bに圧着される。また、プレフィルタ5が突起部2dに圧着されて、フィルタ枠体2内にフィルタ3、サブフィルタ7、押さえ用部材9が装着される。
【0014】
上述のように、本発明の実施の態様として、フィルタ枠体内にフィルタや押さえ用部材を装着したエアフィルタ取付装置について説明したが、例えば、エアフィルタを構成するフィルタ枠内に、サブフィルタと押さえ用部材を、押圧手段によって装着してもよい。
図8に示すように、エアフィルタ31は、一方の開口部32aの全周に設けられたフランジ部32bを備え、他方の開口部32cに一対のフランジ状の突起部32dを備えたフィルタ枠32と、このフィルタ枠32のフランジ部32bに接着されたHEPAフィルタ用フィルタパック30と、このフィルタ枠32内に、押圧手段4によって装着された押さえ用部材9と、サブフィルタ7とから構成されている。
本実施の形態において、フィルタ枠32は、耐食性を考慮してステンレス製の外形寸法が縦610mm×横610mm×厚さ430mmのものを用いている。HEPAフィルタ用フィルタパック30は、ガラス繊維製のHEPAフィルタ用濾材からなり、その厚さが290mmのものを用いている。また、サブフィルタ7として、その外形寸法が縦594mm×横594mm×厚さ95mmの中性能フィルタを用いている。このサブフィルタ7は、紙製の枠体内に、帯電化したポリプロピレン製のメルトブロー不織布にポリエステル繊維主体の不織布を重ね合わせて複合化した濾材からなるフィルタパックを収容したものを用いている。押さえ用部材9は、耐食性を考慮してステンレス製の四角枠体からなるものであり、その外形寸法が縦594mm×横594mm×厚さ20mmのものを用いている。
押圧手段4は、押さえ用部材9を構成する四角枠体の一方の面の、鉛直方向の上下のフランジ部2bに対応する部位に、対向するように一対設けられている。本実施の形態においては、押圧手段4は、押さえ用部材9の下流側となる面の両側枠部の中央の部位に、対向するようにそれぞれ一つずつ、一対設けられている。
また、サブフィルタ7、押さえ用部材9には、着脱自在な取っ手8を設けている。
サブフィルタ7は、取っ手8を把持して、傾けた状態でフィルタ枠体32の開口部32cから、サブフィルタ7の一端部をフィルタ枠体32内に装入され、次いで、サブフィルタ7の他端部をフィルタ枠体32内に装入されて、HEPAフィルタ用フィルタパック30に重ね合わされる。そして、サブフィルタ7に設けられた取っ手8を取り外す。
次に、押さえ用部材9は、押圧手段4が設けられた一方の面を下流側にして、取っ手8を把持して、フィルタ枠32の開口部32cから、その一端部をフィルタ枠32内に装入し、押圧手段4の弾性力で、サブフィルタ7をHEPAフィルタ用フィルタパック30の方向に押圧しつつ、押さえ用部材9の他端部がフィルタ枠32内に装入する。そして、押さえ用部材9に設けられていた取っ手8を取り外す。押さえ用部材9をフィルタ枠32に装入した後、弾性変形していた押圧手段4の湾曲面4bが元の形状に戻り、押圧手段4の弾性力によって、サブフィルタ7がHEPAフィルタ用フィルタパック30に圧着される。このように、押圧手段4によって、サブフィルタ7がHEPAフィルタ用フィルタパック30に圧着されるとHEPAフィルタ用フィルタパック30とサブフィルタ7の隙間からリークが生じるのを防止することができる。
また、例えば、エアフィルタは、一方の開口部の全周にフランジ部を備え、他方の開口部に一対のフランジ状の突起部を備え、前記フランジ部にフィルタパックを接着させたフィルタ枠内に、サブフィルタを押圧手段によって、装着するものであってもよい。この場合、押圧手段を前記突起部の内側面に設け、この押圧手段によって、サブフィルタを前記フィルタパックの方向に押圧して、フィルタ枠内にサブフィルタを装着するようにすることが好ましい。
【0015】
前述した実施の形態に限らず、本発明のエアフィルタ取付装置に設ける押圧手段は、フィルタ、押さえ用部材、押さえ用部材を構成する四角枠体にプレフィルタ用濾材を備えたプレフィルタ、または、サブフィルタのうちいずれか一つの少なくとも一方の面の周囲のフィルタ枠体のフランジ部または突起部に対応する部位に、対向するように少なくとも一対設けることが好ましい。押圧手段は、フィルタ、押さえ用部材、プレフィルタ、または、サブフィルタのうちいずれか一つの少なくとも一方の面の周囲の他部材を介してフィルタ枠体のフランジ部または突起部に対応する部位に、少なくとも一対設けてもよい。押圧手段をフィルタと押さえ用部材等の2つに設ける場合は、押圧手段同士が相対しないように設けることが好ましい。尚、フィルタ枠体内に流入させた空気のリークを生じないように、フィルタ、サブフィルタまたはプレフィルタの間には、押圧手段を設けないようにした方がより好ましい。前述の実施の形態においては、フィルタ枠体や押さえ用部材の四角枠体として、ステンレス製のものを用いたが、ステンレスであるSUS製のものに限らず、SPCC製、SGCC製、ガルバニウム製、アルミニウム製等のものを用いてもよい。また、中性能フィルタに使用する濾材としては、帯電化したポリプロピレン製のメルトブロー不織布にポリエステル繊維主体の不織布を重ね合わせて複合化した濾材を用いたが、ガラス繊維製、PTFE繊維製等のフェルト状の不織布、または、フェルト状のものの他に、膜状、フィルム状、シート状のものを用いるようにしてもよい。
また、HEPAフィルタに使用する濾材としては、ガラス繊維の湿式不織布や、帯電化樹脂繊維の乾式不織布、ガラス繊維製ペーパー、ポリプロピレン系繊維不織布、ポリエステル系繊維不織布、の複合化帯電不織布、PTFE製のフィルム状シート等を用いることができる。
また、プレフィルタ用濾材としては、ガラス繊維製のフェルト、ポリエステル樹脂等の合成繊維製フェルト等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のエアフィルタ取付装置の一実施の形態を説明する分解斜視図
【図2】本発明のエアフィルタ取付装置の一実施の形態を説明する断面図及び部分拡大図
【図3】本発明のエアフィルタ取付装置の他の実施の形態を説明する分解斜視図
【図4】本発明のエアフィルタ取付装置の他の実施の形態を説明する断面図
【図5】(a)(b)フィルタに取っ手を設けた状態を説明する図
【図6】(a)(b)フィルタに取っ手を設けた状態を説明する図
【図7】本発明のエアフィルタ取付装置の他の実施の形態を説明する断面図
【図8】本発明のエアフィルタの実施の形態を説明する断面図
【図9】従来のエアフィルタ取付装置を説明する分解斜視図
【図10】従来のエアフィルタ取付装置を説明する断面図
【符号の説明】
【0017】
1 エアフィルタ取付装置
2 フィルタ枠体
2a 開口部
2b フランジ部
2c 開口部
2d 突起部
3 フィルタ
3a 濾材
3b 枠体
3c ガスケット
3d 差込用孔
4 押圧手段
4a 固定部
4b 湾曲部
5 プレフィルタ
5a 四角枠体
5b プレフィルタ用濾材
6 取っ手
7 サブフィルタ
8 取っ手
8a 把持部
8b 取付部
8c 取付部
9 押さえ用部材
10 エアフィルタ取付装置
11 エアフィルタ取付装置
12 エアフィルタ取付装置
13 エアフィルタ取付装置
14 取付フレーム
14a フランジ部
14b 周壁部
14c フィルタ受け用支柱
15 フィルタ
16 プレフィルタ
17 締付金具
18 締付ネジ
19 フィルタ枠体
20 エアフィルタ取付装置本体
21 開口部
22 押出し用孔
23 弾性押圧部材
24 周壁
25 壁面
26 エアフィルタ取付装置
30 HEPAフィルタ用フィルタパック
31 エアフィルタ
32 フィルタ枠
32a 開口部
32b フランジ部
32c 開口部
32d 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の開口部の全周にフランジ部を備え、他方の開口部に一対のフランジ状の突起部を備えた四角形状のフィルタ枠体と、前記突起部を設けた開口部から前記フィルタ枠体内に装入されるフィルタと、このフィルタを前記フランジ部の方向または突起部の方向に弾性力により押圧して前記フィルタ枠体内に装着する押圧手段からなることを特徴とするエアフィルタ取付装置。
【請求項2】
前記フィルタ枠体内のフランジ部側に前記フィルタを装着し、前記フィルタ枠体内の前記突起部側に、四角枠体からなる押さえ用部材を装着したことを特徴とする請求項1記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項3】
前記押さえ用部材が、四角枠体内にプレフィルタ用濾材を備えたプレフィルタであることを特徴とする請求項2記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項4】
前記フィルタと前記押さえ用部材の間にサブフィルタを装着したことを特徴とする請求項2または3に記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項5】
前記押圧手段は、一端部に固定部と、この固定部に連なって、他端部を開放可能とした弾性変形する湾曲面を設けた板状体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項6】
前記フィルタのいずれか一方のフィルタ面の周囲の前記フランジ部または前記突起部に対応する部位に、少なくとも一対の対向する前記押圧手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項7】
前記フィルタ枠体のフランジ部の内側面または前記突起部の内側面に、少なくとも一対の対向する前記押圧手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項8】
前記押さえ用部材のいずれか一方の面の前記フランジ部または前記突起部に対応する部位に、少なくとも一対の対向する前記押圧手段を設けたことを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項9】
前記サブフィルタのいずれか一方のフィルタ面の周囲の前記フランジ部または前記突起部に対応する部位に、少なくとも一対の対向する前記押圧手段を設けたことを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項10】
前記フィルタに布製の取っ手を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項11】
前記押さえ用部材に布製の取っ手を設けたことを特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項12】
前記サブフィルタに布製の取っ手を設けたことを特徴とする請求項4乃至9のいずれかに記載のエアフィルタ取付装置。
【請求項13】
一方の開口部の全周にフランジ部を備え、他方の開口部に一対のフランジ状の突起部を備えた四角形状のフィルタ枠と、このフィルタ枠のフランジ部に接着されたフィルタパックと、前記突起部を設けた開口部から前記フィルタ枠内に装入されるサブフィルタと、このサブフィルタを弾性力により前記フィルタパックの方向に押圧してフィルタ枠内に装着する押圧手段からなることを特徴とするエアフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−305508(P2006−305508A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133746(P2005−133746)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】