説明

エアフィルタ

【課題】ろ材の交換が容易で、蓋側板の取り付け部品が紛失する恐れがないエアフィルタを提供することである。
【解決手段】左右の側板2の上端部に小窓12を設け、小窓12に嵌まり込む突起部7を形成した舌部材8と、柱部9を形成する枠部材10とを可撓性のあるプラスチックで一体に成形して、蓋側板2aの左右両端部に取り付け、各柱部9の背面側を左右の側板2のフランジ5に形成した突条13でスライド自在に抱えて、舌部材8の各側板2の内面からの逃げを防止することにより、蓋側板2aの取り付け時における各突起部7の小窓12からの離脱を防止するとともに、蓋側板2aの取り外し時に、各小窓12に嵌まり込んだ突起部7を外側から押圧して小窓12から離脱させるようにし、紛失する恐れのある取り付け部品を用いることなく、蓋側板2aを容易に着脱してろ材1を交換できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ろ材交換型のエアフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビルや工場等の空調や換気用に使用されるエアフィルタには、前後面が通気用に開口し、その四周を側板で枠状に囲うケーシングに、プリーツ状に折り曲げ加工された略直方体形状のろ材を前後に向けて収納し、四周の側板のいずれかを着脱可能な蓋側板として、ろ材を交換できるようにしたろ材交換型のものがある。通常、蓋側板は左右両側の側板にねじで取り付けられており、ろ材交換時にねじを取り外して着脱される。
【0003】
このろ材交換型エアフィルタは、ろ材のみを交換してケーシングを繰り返し使用できるので、資源の節約と廃棄物の低減に貢献する。また、ろ材交換型エアフィルタには、使用後のろ材をケーシングに収納したまま洗浄槽に浸漬し、超音波洗浄等を行なって、ろ材自身も繰り返し使用するものもある。繰り返し使用して傷んだろ材は、ケーシングから取り出して新しいものと交換される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のろ材交換型エアフィルタでは、蓋側板がねじ等を取り外して着脱されるようになっているので、ろ材の交換に手間がかかる問題がある。また、ねじ等の取り付け部品が紛失しやすい問題もある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、ろ材の交換が容易で、蓋側板の取り付け部品が紛失する恐れがないエアフィルタを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、前後面が通気用に開口し、その四周を側板で枠状に囲うケーシングに、プリーツ状に折り曲げ加工された略直方体形状のろ材を前後に向けて収納し、前記四周の側板のいずれかを着脱可能な蓋側板として、この蓋側板が着脱されるケーシングの側面から蓋側板の左右両側の側板に沿わせてろ材を出し入れするエアフィルタにおいて、前記左右両側の側板の蓋側板側の端部に小窓を設け、前記蓋側板の左右両端部に、前記各側板の内面に沿わされる可撓性の舌部材を設け、これらの各舌部材の前記側板内面に沿わされる面に、前記小窓に嵌まり込んで係止される突起部を形成し、前記側板内面に沿わされる舌部材の側板内面からの逃げを防止する逃げ防止手段を設けた構成を採用した。
【0007】
すなわち、左右両側の側板の蓋側板側の端部に小窓を設け、蓋側板の左右両端部に、各側板の内面に沿わされて、この小窓に嵌まり込んで係止される突起部を形成した可撓性の舌部材を設けて、これらの舌部材の側板内面からの逃げを防止する手段を設けることにより、蓋側板取り付け時における各突起部の小窓からの離脱を防止するとともに、蓋側板取り外し時に、小窓に内面側から嵌まり込んだ突起部を外側から押圧して、舌部材を撓ませて小窓から離脱させるようにし、分離して紛失する恐れのある取り付け部品を用いることなく、蓋側板を容易に着脱してろ材を交換できるようにした。
【0008】
前記逃げ防止手段としては、前記蓋側板の左右両端部に、前記側板内面に沿わされる柱部材を設け、前記側板の内面側に、この柱部材の背面側に張り出し、柱部材をスライド自在に抱える突条を設けたものを採用することができる。
【0009】
前記舌部材と前記柱部材とを、可撓性を有するプラスチックで一体に成形することにより、蓋側板の取り付け部品点数を減らすことができる。
【0010】
前記舌部材にねじ止め用の孔を設け、前記蓋側板の左右両側の側板に、前記舌部材をねじ止め可能とすることにより、ろ材を収納したままケーシングを洗浄槽に出し入れする洗浄時等のように、蓋側板に通常使用時よりもかなり大きな負荷がかかるときに、蓋側板をねじ止めして外れ落ちを防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図5に基づき、この発明の実施形態を説明する。このエアフィルタは、図1R>1に示すように、不織布やガラス製ろ紙等をプリーツ状に折り曲げ加工した略直方体形状のろ材1を、その四周を側板2で囲い、前後面を通気用に開口させたケーシング3に収納し、上側板を着脱可能な蓋側板2aとして、前後方向に向けたろ材1をプリーツを上方から出し入れろ材交換型のものである。
【0012】
前記ろ材1の表裏面には、隣接するプリーツ間に隙間を形成するための複数の樹脂ビード4がプリーツと直角方向に溶着されており、図1中に矢印で示すようにろ材1の後面側から流入するエアは、これらのプリーツ間隙間に入ってろ過され、前面側へ流出する。
【0013】
前記各側板2、2aはそれぞれアルミニウムの押出成形材で形成され、その前後端部には、ろ材1の四周縁を保持するフランジ5が設けられている。また、エア流出側であるケーシング3の前面側には、ろ材1を支える桟部材6が左右に差し渡して取り付けられている。
【0014】
図1および図2に示すように、前記蓋側板2aの左右両端部には、矩形状の突起部7が形成された舌部材8と、舌部材8の両側に柱部9を形成する枠部材10が取り付けられている。舌部材8と枠部材10とは可撓性を有するプラスチックで一体に成形され、直角に曲げられた共通の基部11で蓋側板2aにねじ止めされている。また、左右の側板2の上端部には、舌部材8の突起部7が嵌まり込む矩形状の小窓12が設けられ、各側板2の前後端部のフランジ5には、枠部材10の各柱部9の背面側をスライド自在に抱える突条13が設けられている。
【0015】
図3乃至図5に拡大して示すように、前記舌部材9の突起部8は、先端側がテーパ状に形成され、後端側が段差状に形成されている。舌部材9の基端部には、エアフィルタの洗浄時等に、左右の側板2にねじ止めするためのねじ孔14が設けられている。また、柱部9を形成する枠部材10の両側は、先端側が幅狭まりに形成されている。
【0016】
前記蓋側板2aをケーシング3に取り付ける際は、先端側が幅狭まりに形成された枠部材10の両側を左右の側板2の内面と、前後端部のフランジ5の各突条13との間に導き、各柱部9の背面側を各突条13でスライド自在に抱えさせながら、各舌部材8を側板2の内面に沿わせて押し込むことにより、各舌部材8の側板2側の面に形成された突起部7が、テーパ状に形成された先端側から各側板2の小窓12に嵌まり込む。各小窓12に嵌まり込んだ突起部7は、段差状に形成された後端側で上方への抜け止めをされる。
【0017】
前記蓋側板2aをケーシング3から取り外す際は、各小窓12に嵌まり込んだ突起部7を外側から押圧し、各舌部材9を内方に撓ませることにより、各突起部7が小窓12から離脱する。この状態で蓋側板2aを上方に引っ張ることにより、蓋側板2aがスムーズにケーシング3から取り外される。
【0018】
上述した実施形態では、舌部材と、舌部材の両側に柱部を形成する枠部材とを一体に形成し、これらを蓋側板の左右両端部に1つずつ取り付けたが、舌部材と枠部材とは必ずしも一体に形成する必要はなく、別体の舌部材と柱部材とを別々に蓋側板に取り付けてもよい。また、ケーシングの奥行寸法が大きい場合は、複数の舌部材を蓋側板に取り付け、これらの舌部材の突起部が嵌まり込む小窓を左右の側板に複数に設けることもできる。なお、突起部と小窓の形状は、矩形状に限定されることはなく、両者が嵌まり合う形状であればよい。
【0019】
また、舌部材の側板内面からの逃げを防止する手段は、実施形態のものに限定されることはなく、例えば、側板内面に上方に開口する袋部を設け、蓋側板に取り付けた柱部材をこの袋部に挿入する手段も採用することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、この発明のエアフィルタは、左右両側の側板の蓋側板側の端部に小窓を設け、蓋側板の左右両端部に、各側板の内面に沿わされて、この小窓に嵌まり込んで係止される突起部を形成した可撓性の舌部材を設けて、これらの舌部材の側板内面からの逃げを防止する手段を設けることにより、蓋側板の取り付け時における各突起部の小窓からの離脱を防止するとともに、蓋側板の取り外し時に、小窓に内面側から嵌まり込んだ突起部を外側から押圧して、舌部材を撓ませて小窓から離脱させるようにしたので、分離して紛失する恐れのある取り付け部品を用いることなく、蓋側板を容易に着脱してろ材を交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のエアフィルタの蓋側板を取り外した状態を示す外観斜視図
【図2】図1の要部を拡大して示す分解斜視図
【図3】図1のエアフィルタの蓋側板を取り付けた状態を示す要部拡大縦断面図
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図3のV−V線に沿った断面図
【符号の説明】
1 ろ材
2、2a 側板
3 ケーシング
4 ビード
5 フランジ
6 桟部材
7 突起部
8 舌部材
9 柱部
10 枠部材
11 基部
12 小窓
13 突条
14 ねじ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後面が通気用に開口し、その四周を側板で枠状に囲うケーシングに、プリーツ状に折り曲げ加工された略直方体形状のろ材を前後に向けて収納し、前記四周の側板のいずれかを着脱可能な蓋側板として、この蓋側板が着脱されるケーシングの側面から蓋側板の左右両側の側板に沿わせてろ材を出し入れするエアフィルタにおいて、前記左右両側の側板の蓋側板側の端部に小窓を設け、前記蓋側板の左右両端部に、前記各側板の内面に沿わされる可撓性の舌部材を設け、これらの各舌部材の前記側板内面に沿わされる面に、前記小窓に嵌まり込んで係止される突起部を形成し、前記側板内面に沿わされる舌部材の側板内面からの逃げを防止する逃げ防止手段を設けたことを特徴とするエアフィルタ。
【請求項2】
前記逃げ防止手段が、前記蓋側板の左右両端部に、前記側板内面に沿わされる柱部材を設け、前記側板の内面側に、この柱部材の背面側に張り出し、柱部材をスライド自在に抱える突条を設けたものである請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項3】
前記舌部材と前記柱部材とを、可撓性を有するプラスチックで一体に成形した請求項2に記載のエアフィルタ。
【請求項4】
前記舌部材にねじ止め用の孔を設け、前記蓋側板の左右両側の側板に、前記舌部材をねじ止め可能とした請求項1乃至3のいずれかに記載のエアフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2004−41879(P2004−41879A)
【公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−201029(P2002−201029)
【出願日】平成14年7月10日(2002.7.10)
【出願人】(593107373)株式会社アクシー (10)
【Fターム(参考)】