エアロゾル医薬輸送のための方法及びステップ構造を有するマウスピースを含む装置
本発明は、患者に吸入エアロゾル薬物の投与を補助する装置(10)に関する。装置(10)はエアロゾル輸送装置と共に使用される。装置は、装置(10)の上部及び下部にステップ(32、34)を持ち、患者を補助に使用する際、下顎を前進させ口を開かせ、その結果患者の気道を広げ従ってエアロゾルの肺堆積を改良する。本発明はまた、かかる装置をエアロゾル薬物吸入輸送装置又はシステムと組み合わせて使用する方法に、及び前記装置のマウスピースに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2008年12月23日に出願された米国仮特許出願番号61/140138の35USC119条(e)による優先権効果を主張するものであり、内容はここに参照されて本明細書の一部となる。
【0002】
本出願の発明は、患者へ医薬エアロゾル吸引投与の補助となる装置に関する。本発明はまた、かかる装置をエアロゾル輸送装置又はシステムとともに使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
患者へエアロゾル形で医薬を輸送するために使用される医療装置は1950年代の中頃から使用されてきている。かかる装置は、患者の肺への医薬エアロゾル(IPA)の吸引投与のために使用されている。かかる装置の最も普通の使用には、喘息及び慢性肺閉塞疾患の治療において、定量投与吸入器、乾燥粉末吸入器又はネブライザの形で用いられている。
【0004】
吸入器の使用に伴う長年の問題は、エアロゾルのその目標への輸送の低効率である。定量投与吸入器(MDI)又は乾燥粉末吸入器(DPI)で投与される患者の場合、エアロゾル医薬の50%までが患者の肺に到達しない可能性がある。肺への到達を改良するいくつかの異なる方法が試みられてきた。肺への到達への改良方法には、患者への教育がある。例えば患者に吸入用マウスピースについて最適に位置、吸入器の作動と呼吸との連動につき教示して、患者の唇が吸入器のマウスピースの回りを効果的にシールすることを確実にし、患者がマウスピースの回りに歯を置いて、薬物が歯の上に堆積しないようにする、などである。他の方法には、吸入器マウスピース及び患者の口との間に設けられたスペーサの使用、及び吸入器のマウスピースを再設計してマウスピース上に薬物が堆積しないようにする、ことが含まれる。
【0005】
当該技術分野では、口腔内装置の直径は、肺へ吸入されたエアロゾル医薬の堆積に影響を与えることが知られている。かかる機能を満たすために、口腔内装置は基本的には、歯の間を通るに十分な長さの単純な楕円柱又は管状設計である。T.A.Chun Lin等,Mouthpiece Diameter Affects Deposition Efficiency in Cast Models of the Human Oral Airways,J.Aerosol Medicine 2001,Vol.14,No.3,pp335から341を参照すること。この研究又は他の研究において、装置の断面が大きいほど吸入される肺へのエアロゾル医薬が多くなることを示す。かかる研究は、患者の顎を開くことで肺への堆積を改良することを示すが、エアロゾル医薬の肺への堆積への顎の位置の効果についての研究はなんら出版されていない。
【0006】
いびき及び睡眠無呼吸の治療技術において、患者の顎を前進させることで患者の症状を緩和することが知られている。U.S.特許7,331,349において、Brady等は、特別の口内装置の使用により顎を前進させることにより、いびき又は睡眠無呼吸を治療する方法を提供する。U.S.特許7,311,103において、Jeppesenは、上と下の歯並びの間にアクリル樹脂のシールを介して口腔内通気を妨げて単一体の二重アーチ空気道矯正器具を工夫することで、正の空道圧を用いることで閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療方法を提供する。U.S.特許6,604,527においてPalmisanoは、又US特許5,794,627においてFrantzは、患者の歯の上に適合する装置によって顎を前進させる方法を提供する。U.S.特許5,645,423及び5,645,424において、Collinsは一組の揺動セグメントを含む矯正装置を開示している。これは、患者の歯並びの一方側の低い歯と他方の高い歯を固定して顎を前に出させることができる。
【0007】
しかしこれまで、吸入されたエアロゾル医薬物の患者の肺への輸送を改良する目的で、顎を前に出す(前進させる)ということについては開示されていないし、提案もされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、患者へのエアロゾル輸送を補助する装置を提供することである。より具体的には、本発明の装置は、フロントエンド、バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記フロントエンドから前記バックエンドを通じて前記装置を通るボア、前記バックエンドに面する前記トップサイド上の上部ステップ、及び前記フロントエンドに面する前記ボトムサイド上の下部ステップを含む。前記2つのステップの位置はそれぞれステップオフセットとして定義される。
【0009】
本装置のひとつの実施態様において、前記装置の前記フロントエンドは入口部分を含む。かかる入口部分は、吸入されるエアロゾル医薬物輸送装置へ取付けるために適合されていてよい。吸入エアロゾル薬物輸送装置は吸入器であってよい。
【0010】
本発明の課題はまた、前記ステップオフセット寸法を提供するものである。本発明の好ましい実施態様によれば、前記ステップオフセットは、−3mmから+6mmの間の値である。本発明の他の好ましい実施態様では、前記オフセットは非負値である。より好ましい実施態様では、前記ステップオフセットは正の値である。さらに好ましい実施態様では前記ステップオフセットは、+3mmから+6mmの間である。
【0011】
他の本発明の実施態様によれば、患者にエアロゾル輸送の補助をするための装置を提供する。かかる装置は、フロントエンド、及びバックエンド、前記バックエンドから前記フロントエンドへ前記装置を通じるボアを含み、前記装置がさらに患者の下及び上歯を受け入れるように適合されており、それにより、前記チューブのバックエンドを患者の口内に挿入し、前記チューブを噛んで下げることで、顎を前に出させる、ものである。この顎が前に出ることで患者の上部気道が開き、かかる気道を通じてエアロゾル薬物吸入の層流が改善され、それによって吸入されるエアロゾル薬物の肺堆積が増加する。
【0012】
本発明のさらなる課題は、マウスピースを提供することである。マウスピースは、患者の口内へ導入されるすべての装置の一部分である。本発明の好ましい実施態様によればマウスピースは、バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上の上部ステップ、前記ボトムサイド上の下部ステップを含む。前記上部ステップは後方に面し、前記下部ステップは前方に面する。前記上部ステップはさらに、前記下部ステップよりも前記バックエンド側にある。前記マウスピースは、例えば吸入器等のエアロゾル輸送装置に取り付けられてもよい。
【0013】
さらに本発明の課題は、エアロゾル薬物吸入輸送装置を提供することであり、かかる装置はさらに、ステップ構造を有するマウスピースを含む。本発明の実施態様のひとつは、ステップ構造を有するマウスピースを含む定量投与吸入器である。さらに本発明の実施態様は、ステップ構造を有するマウスピースを含む乾燥粉末吸入器である。さらに本発明の実施態様は、ステップ構造を有するネブライザである。
【0014】
本発明の他の課題は、エアロゾル薬物吸入輸送の通常の方法に伴う不利益がない、エアロゾル輸送を補助する方法を提供する。かかる方法は、顎を前進させる装置を使用する。本発明のひとつの実施態様において、かかる装置はそれを貫通するボアを有し、それを通じてエアロゾル薬物吸入が患者の気道へ導入されるものである。かかる方法を使用する利点は、エアロゾル薬物吸入輸送のより高い肺堆積である。本方法のひとつの実施態様において、顎を前進させる装置は、前記バックエンドに面する前記装置の前記トップサイド上の上部ステップ及び前記バックエンドから離れるように面する前記ボトムサイド上の下部ステップを含む。
【0015】
本発明のこれら及び他の課題、構成及び特徴は、前記装置及び構造と関連した要素及び部分の組み合わせの操作方法及び製造経済性と同様に、添付図面と共に以下の記載、添付の特許請求の範囲を考慮してより明確となるであろう。これら図面はすべて、本明細書の一部であり類似の符号は種々の図面で対応する部材を示す。しかし次の点は明確に理解されるべきである。図面は、記載及び説明のためだけであり本発明の範囲を限定するためではない。明細書及び特許請求の範囲で使用される、単数の「ひとつの」、「前記」には、文中に特に指摘されていない限り、複数を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の装置の一実施態様の右側透視図である。
【図2】図2は、本発明の装置の一実施態様の右側面図である。
【図3】図3は、本発明の装置の一実施態様の上面図である。
【図4】図4は、本発明の装置の一実施態様の、前記装置の前から見た正面図である。
【図5】図5は、本発明の装置の、種々のステップオフセット値を示す4つの異なる実施態様の側面図である。
【図6】図6は、本発明の装置の患者による使用を示す。
【図7】図7は、通常の一人の患者のための同じ小さな断面を持つ異なるステップオフセットを持つ4つの装置の4つの咽頭グラム(pharryngogram)を示す。
【図8】図8は、通常の一人の患者のための同じ中程度の断面を持ち異なるステップオフセットを持つ4つの装置の4つの咽頭グラム(pharryngogram)を示す。
【図9】図9は、通常の一人の患者のための同じ大きな断面を持ち異なるステップオフセットを持つ4つの装置の4つの咽頭グラム(pharryngogram)を示す。
【図10】図10は、睡眠無呼吸の患者のための同じ小さな断面を持ち異なるステップオフセットを持つ4つの装置の4つの咽頭グラム(pharryngogram)を示す。
【図11】図11は、ステップ構造を有するマウスピースを備えた定量投与吸入器を含む本発明のひとつの実施態様の斜視図を示す。
【図12(a)】図12aは、ステップ構造を有するマウスピースを備えた乾燥粉末吸入器を含む本発明のひとつの実施態様の斜視図を示す。
【図12b】図12bは、ステップ構造を有するマウスピースを備えたネブライザを含む本発明のひとつの実施態様の側面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の装置は次のように設けられるマウスピースを含む。患者が前記装置を適切に使用すると、前記マウスピースは、患者の下顎を、患者のエアロゾル薬物吸入の肺への堆積が増加するように位置付けさせる。本発明の装置は、患者の口内の幾何学的形状を改良して、空気/吸入エアロゾル薬物混合物の層流を生じさせて、患者のエアロゾル薬物吸入の肺への堆積を増加させる。患者の顎及び関連する骨格を適切な方法で位置付けすることで、上方の気道でのエアロゾル薬物吸入粒子の堆積を減少させ、肺での堆積を増加させる。
【0018】
図1から5には、本発明のひとつの実施態様における装置10の例が説明されている。装置10は、フロントエンド12及びバックエンドを含む中空体11を持ち、また前記中空体11を通る想像上の軸50を持つ。装置10は、バックエンド30上にマウスピース31、及びフロントエンド12で入口部13を含むシャフト20を含む。装置10はまた、フロントエンド12からバックエンド30へ通じるボア60を含む。前記ボアはフロントエンド12上で、入口開口部16として終了し、及びバックエンド30では出口開口部36で終了する。
【0019】
装置10は、適切な材料から形成される一体型本体を含む。適切な材料はすべての生物適合性材料であり、患者又は医学専門家により安全かつ効果的使用に適した材料である。エアロゾル薬物吸入輸送の技術分野で通常使用される材料が使用可能である。また当該材料は、前記マウスピースに相対的に硬い構造を与えるものであるべきで、それにより患者がその使用の間に変形させない。適切な材料には、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスルホン、ポリフタルアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルクロリド、スチレンアクリロニトリル樹脂又はそれらのコポリマー等の熱硬化性プラスチックが挙げられる。好ましい実施態様では、適切な材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン又はポリカーボネートである。より好ましい材料は、ポリエチレン又はポリプロピレンである。
【0020】
装置10は、医学装置のマウスピース形成に使用されるすべての方法により形成され得る。好ましい実施態様では、前記マウスピースは反応射出成形で形成される。
【0021】
図1から3に説明される実施態様において、装置10は一体型本体である。他の実施態様においては、当該装置は装置10の部分を形成する複数の構造要素から組み立てられる。個々の要素は、射出成形又はお互いに独立して他の方法で成形され、その後お互いを結合して組み立てて装置10とする。かかる結合は恒久的であってもよく、又はその代わりに個々の要素が摩擦でお互いに固定されているだけで、装置の掃除を容易にするために容易に分解可能であってもよい。
【0022】
装置は一般的に硬い性質である。装置10は、装置10の使用の間に変形しないような硬さを必要とする。特に、患者がマウスピース31を噛む際に、マウスピースがシャフト20の断面内側に圧縮されない硬さが必要である。さらに入口部13はまた、吸入器又はスペーサから排出出口を容易に受けいれるような硬さを必要とする。
【0023】
入口部13は、エアロゾル薬物吸入又は医学的ガスを、入口開口部16を通じて受け入れる入り口として作用する。好ましい実施態様では、入口部13は、内部容積を定義する円筒状に突き出た壁により定義される。前記入口部の内部は、シャフト20の内部と流線型的に結合されている。
【0024】
好ましい実施態様では、内部容積を囲む突き出た壁は直円柱形状である。又は別の実施態様では、前記内部容積を囲む突き出た壁は切頭円錐形状であり、壁が僅かに内側に傾き、吸入器の出口部と簡単に合わせることができる。他の実施態様では、前記入口部の内部容積を囲む突き出た壁は切頭円錐形状であり、壁が僅かに外側に傾き、吸入器の出口部と合わせることが可能となる。さらに他の実施態様において、内部容積を囲む突き出た壁は、一般的な直円柱状であり;例えば、楕円柱を含む。
【0025】
突き出た壁14は、フロントエンド2で周辺端部15で終る。好ましい実施態様では、前記周辺端部15は一般的に滑らかで少し角が丸められており、患者又は医学専門家がかかる角で自身を傷つけないことを保証し、かつ吸入器の出口部と前記入口部との結合を補助する。他の実施態様においてはかかる周辺端部はシャープな角を持つ。
【0026】
当該装置の使用の際、前記入口部13はエアロゾル薬物吸入輸送装置(図1から5には示されていない)と結合される。エアロゾル薬物吸入輸送装置は次のような装置である。保存されたエアロゾル薬物を、吸入エアロゾル薬物を輸送するための作動により、出口から発生させる装置であるか、又は吸入エアロゾル薬物が出口を通って流れ出る装置である。エアロゾル薬物吸入輸送装置の例は、定量投与吸入器(MDI)、乾燥粉末吸入器(DPI)又はネブライザが含まれる。ネブライザの例には、空気圧ネブライザ、超音波ネブライザ及びメッシュネブライザが含まれる。エアロゾル薬物吸入輸送装置はまた、濃縮エアロゾル及び電気流体力学エアロゾルの輸送が含まれる。
【0027】
本発明の装置の実施態様は、定量投与吸入器との組み合わせで使用するために設計される。通常の定量投与吸入器には、限定されるものではないが、商品名でエアロマ(Airomir(TM))、ベントリン(Ventolin(R))、アトロベント(Atrovent(R))、ベクロフォルテ(Becloforte(R))、ベンクロベント(Benclovent(R))、ベロテク(Berotec(R))、コンビベント(Combivent(R))、フロベント(Flovent(R))、チラード(Tilade(R))、セレベント(Serevent(R))、インタル(Intal(R))、バンセリル(Vanceril(R))及びキューバ(QVAR(R))が挙げられる。
【0028】
本発明の装置はまた、スペーサと共に使用するように設計される。スペーサ装置は、吸入器の使用をずっと効果的かつ容易に使用することができるように設計される。又喘息スペーサとして知られており、入口部及び出口部に空間が設けられている。かかるスペーサの使用は、部分的には、吸入器の作動タイミングと患者の呼吸タイミングを合致させる際の難しさを緩和する。さらに、かかるスペーサ装置の使用は、口内のエアロゾル薬物の輸送の速度を低下させ、中咽頭でのエアロゾル薬物吸収を下げてしまう。通常、スペーサ装置は、吸入器のマウスピースに適合するチャンバを有し、前記スペーサのマウスピースは患者の唇の間に置かれる。エアロゾル薬物は、患者の口内ではなく前記スペーサの前記チャンバに直接スプレーされる。エアロゾル薬物はその後ゆっくりと深い呼吸により吸入される。
【0029】
スペーサは市販品が入手でき、又は自作できる。喘息患者に利用可能なスペーサの例は、限定されるものではないが、エース(ACE(R))スペーサ(DHD Healthcare,Wampsville,New York,USA)、エアロチャンバ(Aerochamber(R))(Forest Pharmaceuticals,St Louis,Missouri,USA)、エージベントスペーサ(Easivent Spacer)、EZ−スペーサ(EZ−Spacer(R))(WE Pharmaceuticals,Ramona,California,USA)、インスパイアーゼ(Inspirease(R))(Key Pharmaceuticals,Kenilworth,New Jersey,USA)、エアライフ(AirLife(TM))、メディスペーサ(Medispacer(R))(Allegiance Healthcare Corporation,McGaw Park,Illinois,USA)、ライトエア(LiteAire(R))(Thayer Medical,Tucson,Arizona,USA)、オプチチャンバ(Optichamber(R))、アドバンテージバルブホールドチャンバ(Advantage Valved Holding Chamber)(Respironics HealthScan Asthma and Allergy Products,Cedar Grove,New Jersey,USA)、ネブヘーラ(Nebuhaler(R))(AstraZeneca,UK)、ベンタヘーラスペーサデバイス(VentaHaler Spacer Device)、ライトフロスペーサ(RiteFlo Spacer(TM))、ボルマチック(Volumatic(R))、ベビーヘーラ(Babyhaler(R))及びネブチャンバ(Nebuchamber(R))が挙げられる。
【0030】
本出願の発明は、エアロゾル薬物吸入を輸送する全ての装置に使用される。「エアロゾル薬物吸入」とは、患者の肺にエアロゾル化された剤形で化合物に輸送されるために処方された全てのタイプの医薬物を意味する。ここ使用される用語「エアロゾル」とは、固体、溶液又はガス中の液体粒子の分散物を意味する。「エアロゾル」はまた、ガス中の液体粒子を意味し、ここで液体は少なくとも2つの液体の混合物である。かかる混合物は均一液体(例えば溶液)又は不均一液体(例えば懸濁)であり得る。
【0031】
本発明の装置は、すべての通常の粒子サイズのエアロゾルと作用するように設計される。好ましい実施態様では、平均エアロゾル粒子サイズは0.1から10μmである。より好ましい実施態様では、平均エアロゾル粒子サイズは0.5から5μmである。本発明の他の実施態様においては、エアロゾル粒子サイズはサブミクロンサイズである。サブミクロンサイズの例には、ナノ粒子が挙げられる。
【0032】
入口部とエアロゾル薬物吸入輸送装置との結合はいくつかの方法で可能である。好ましい実施態様では、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部は装置10の入口部13に入口開口部16通じて摩擦により適合される。この実施態様では、出口部の外側表面が、突き出た壁14の内部表面と接触する。
【0033】
図1から5に説明される実施態様において、突き出た壁14の内部表面は滑らかである。それにより摩擦による結合が助けられる。他の実施態様においては、内部表面17は幾何模様が施されており、それによりエアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の維持を助け、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口にある対応する構造に適合される。かかる幾何模様には、峰状及び他の突き出し構造、及び谷状又は他の凹み構造が含まれる。かかる実施態様における内部表面17のかかる幾何模様は、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の外側表面の構造とマッチするように設けられている。
【0034】
他の実施態様において、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部が入口部13の上でマッチする。即ち、突き出た壁14の外側表面18がエアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の内部表面と接触する。他の実施態様において、外部表面18は、幾何模様を有し、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の対応する構造とマッチすることによってエアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の維持を助ける。かかる幾何模様には、峰状及び他の突き出し構造、及び谷状又は他の凹み構造が含まれる。かかる実施態様における外部表面18のかかる幾何模様は、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の内側表面の構造とマッチするように設けられている。
【0035】
シャフト20は、入口部13の一方の端に結合され、他の端でマウスピース31で終点となる。シャフト20は中空で入口部13と滑らかに接触する。前記シャフトの断面は、患者の口内に吸入エアロゾル薬物を輸送するためにマウスピースと適合させる十分なサイズである限り全ての二次元形状をとり得る。この実施態様では、前記シャフトの断面を定義する楕円の短軸が垂直方向であり、前記シャフトの断面を定義する楕円の長軸が水平方向である。他の好ましい実施態様では、前記シャフトの断面は円形、楕円、長円形、正方形、角が丸い正方形、4つの曲線端を持つ正方形、長方形、角が丸い長方形、2つの曲線端を持つ長方形又は4つの曲線端を持つ長方形等が挙げられる。ボア60の最も狭い点でのボアの断面積は、その断面積で定義される。かかる断面は、mm2で表現される。本発明の装置における断面サイズは、50及び500mm2の間、好ましくは100と300mm2の間である。
【0036】
使用の間、装置は患者の上及び下歯の間に位置されねばならない。患者が装置を彼/彼女の口内に入れ、そして吸入エアロゾル薬物を吸入エアロゾル薬物のための入口部に導入し、前記装置を通じてマウスピースに流して患者の口内へ流し、そして最終的に患者の肺へと流す、ということは有益である。患者により装置の正しい位置を達成するために、好ましい実施態様では、装置上のマークが患者の方に向けられている。さらに好ましい実施態様では、入口部13のみがエアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部と結合可能であり、装置10のマウスピース31とは結合できないものである。
【0037】
図1から4に説明される実施態様において、シャフト20は、トップサイド1及びボトムサイド22を含む。トップサイド21もボトムサイド22も、シャフト20及び入口部13の間の境界から、マウスピース31の周辺端部37へ伸びている。装置を正しく使用するために、装置10は、患者の上と下の歯の間に正しく位置付けされなければならない。患者が、シャフト20のトップサイド21を彼/彼女の上の歯に接触させ、シャフト20のボトムサイド22を彼/彼女の下の歯に接触させることは、有益である。装置10を患者の口内で上下逆に置くことは吸入エアロゾル薬物の肺への堆積が最適以下の結果となるであろう。好ましい実施態様において、トップサイド21はマークされており、装置の使用者に装置10の軸方向を示す。かかるマークは、文字の記載、シンボル又は子供の絵の形状で可能であり、もちろんいかなる適切な印も使用可能である。
【0038】
シャフト20はバックエンド30のマウスピース31で終了する。マウスピース31はシャフト20の一部分であって、患者の口内へ導入される。マウスピース31はまた、出口開口部36を含み、吸入エアロゾル薬物がそこを通じて患者の口内へ導入される。
【0039】
図1から5に説明される実施態様において、マウスピース31は上部ステップ32及び下部ステップ34を含む。上部ステップ32はシャフト20のトップサイド21上にあるステップである。上部ステップ32は装置10のバックエンド30の方向に面し、これはバックエンド30からフロントエンド12の方を見ることを意味し、上部ステップ32の上昇部33を見ることができることを意味する。下部ステップ34はシャフト20のボトムサイド22上のステップである。下部ステップ34は前方(フロントエンド12方向)に面しており、これはフロントエンド12からボトムサイド22に沿ってバックエンド30の方見ることを意味し、下部ステップ34の上昇部35を見ることができることを意味する。
【0040】
マウスピース31はさらに、領域38を含み、ここで患者の上歯が置かれ、患者の上前歯がトップサイド21と接触する。そして装置は、上前歯が上の上昇部33に押し付けられるように操作される。本発明の好ましい実施態様では、上顎中切歯の切歯表面が前記領域38と結合し、一方同時に上顎中切歯の顔側表面(又は頬側表面として参照される)が前記上昇部33に結合する。又別の実施態様においては、少なくともひとつの上顎中切歯の少なくともひとつの顔側表面がまた領域38に接続する。他の実施態様においては、少なくともひとつの上顎側切歯の表面の少なくともひとつの顔側表面がまた前記上昇部33に結合する。他の実施態様においては、少なくともひとつの上顎側切歯の切歯表面が領域38と結合し、一方同時に少なくともひとつの上顎側切歯の切歯表面がまた前記上昇部33に結合する。
【0041】
患者の下前歯が、前記下前歯が前記下部サイド22と接触するように置かれ、前記装置が、前記下前歯の後部が下部上昇部35に押し付けられるように操作される。好ましい実施態様においては、下顎中切歯又は下顎側切歯の少なくともひとつの切歯が領域39と接続し、一方同時に下顎中切歯又は下顎側切歯の少なくともひとつの切歯が下部上昇部35と結合する。下顎切歯の切歯表面が領域39と、下顎切歯の舌側表面が下部上昇部35と同時に結合するすべての組み合わせは、本発明の目的に適うものである。
【0042】
歯表面と装置10の表面が「接触する」とは、歯表面と装置表面の一部と完全に一致することを必ずしも意味するものではない。例えば歯の一点である小さな部分が、装置の小さな部分と接触するだけでよい。上部上昇部33はまた、上部ステップ32の端部41を含む。同じく下部上昇部35は、下部ステップ34を含む。従って、ひとつの実施態様において、上顎切歯の顔側表面が上部上昇部33と上部ステップ32の端部41でのみ接触可能となる。他の実施態様においては、下顎切歯の舌側表面は、下部ステップ34の端部42で下部上昇部35と接触するができる。
【0043】
装置10において、上部ステップ32の底部ステップ34との相対位置はここで記載する本発明のひとつの重要な構成である。ステップオフセット(mmで測定される)は、上部ステップ32の下部ステップ34との軸50に沿った相対的距離である。図5(a)から(d)に示されるように、マウスピースのステップオフセットの異なる値がとり得る。0mmのステップオフセット(図5(c))は、上部ステップ32が下部ステップ34と並んでいることを意味する。図5(a)及び5(b)での正のオフセット値は、上部ステップ32が、下部ステップ34よりも軸50に沿ってさらに後退(即ち、マウスピース31のバックエンド30により近い)しいることを意味する。
【0044】
「さらに後退」又は「さらにバックエンドの方に後退」とは、装置10の中心を通る軸50に関して、各ステップのお互いの相対的位置を示す。装置10の軸50からひとつのステップの中心への想像上の直角投影線が、装置10の軸50から他のステップの中心への想像上の直角投影線と比較される。前記投影線の前記ステップの横断面さらに装置の軸に沿って後退することが、装置10のバックエンド30の方にさらに後退又はバックエンドの方にさらに後退ということである。
【0045】
ステップ構造を有するマウスピースはまた、エアロゾル薬物吸入輸送装置に組み込まれてもよい。ひとつの実施態様において、ステップ構造を有するエアロゾル薬物吸入輸送装置は、定量投与吸入器である。定量投与吸入器は少なくとも2つのコンポーネントを含む。カニスタとアクチュエータである。カニスタには患者の肺に輸送する薬物、液体ガス燃料及び例えば安定剤である例の助剤が含まれる。カニスタはまた、アクチュエータステムを有する定量投与バルブを含む。アクチュエータは、前記アクチュエータステムと適合する放出ノズルを含む。吸入器を使用する患者は、アクチュエータの下部を支えながら、前記カニスタの上部を押し下げる。装置を作動させて、薬剤を含む液体燃料の一回の定量投与量を放出する。揮発性燃料が液滴となり、燃料は急速に揮発し、薬剤を含むミクロンサイズのエアロゾルを生成する。
【0046】
本発明のマウスピースの周辺は、出口開口部を定義するに適切なすべての形状をとり得る。好ましい実施態様において、前記出口開口部の形状は凸である。出口開口部は、円形、楕円形、卵形状、正方形、角の丸められた正方形、4つの曲線角を持つ正方形、長方形、丸められた角を持つ長方形、2つの曲線端を持つ長方形、4つの曲線端を持つ長方形又は他の類似形状が挙げられる。
【0047】
マウスピースを有する定量投与吸入器のひとつの実施態様は、図11に示される。定量投与吸入器80はカニスタ81及びアクチュエータ82を含む。アクチュエータはマウスピース83を含み、バックエンド84で出口開口部85を有し、周辺端86で定義される。マウスピースはさらに、上部ステップ87をマウスピース83の上部サイド88に有し、マウスピース83の下部サイド90に下部ステップ89を有する。図11での例示は、開口部85が4つの曲線端を持つ正方形として周辺86で定義されていることを示す。
【0048】
本発明の他の実施態様においては、ステップ構造を有するマウスピースは乾燥粉末吸入器に組み込まれる。患者が、患者の歯の間に乾燥粉末吸入器のマウスピースを置くすべての乾燥粉末吸入器が、ステップ構造を有するマウスピースを組み込むために適合する。乾燥粉末吸入器は一回投与タイプ又は多数回投与タイプでもよい。乾燥粉末吸入器は例えば、エアロライザ(Aerolizer(R))、ハンディヘーラ(HandiHaler(TM))、フレックスヘーラ(Flexhaler(R))、ディスカス(Diskus(R))及びツイストヘーラ(Twisthaler(R))が挙げられる。
【0049】
乾燥粉末吸入器のひとつの実施態様は、図12(a)に示されるステップ構造を有するマウスピースを含む。乾燥粉末吸入器100は、マウスピース101を含み、バックエンド102で出口開口部103を有し、周辺端104で定義されている。マウスピースはさらに上部ステップ105をマウスピース101の上部サイド106に、及びマウスピース101の下部サイド108に下部ステップ107を有する。図12(a)での例示は、周辺端104で定義される開口部103が円形であることを示す。
【0050】
本発明の他の実施態様において、前記ステップ構造を有するマウスピースはネブライザに組み込まれることができる。患者が、患者の歯の間のネブライザのマウスピースを置く全てのネブライザが、ステップ構造を有するマウスピースを組み込むために適合させることができる。マウスピースを組み込むことができるネブライザの例は、空気圧ネブライザ、超音波ネブライザ及びメッシュネブライザが挙げられる。ステップ構造を有するマウスピースを含む本発明のネブライザはまた、濃縮エアロゾル及び電気流体力学的エアロゾルの輸送を含む。
【0051】
ステップ構造を有するマウスピースを含むネブライザの実施態様は、図12(b)に部分的に示される。ネブライザ出口チューブ110はマウスピース111を含み、バックエンド112で、出口開口部113を含む。マウスピースはさらにマウスピース111の上部サイド116に上部ステップ115、及びマウスピース111の下部サイド118に下部ステップ17を有する。ネブライザ出口チューブ11は、ネブライザの残部とチューブ119で結合されている。
【0052】
図1から4を参照して、本発明のマウスピースの使用のメカニズム(前記実施態様のすべてにおいて組み込まれているように)及びその下顎を前に出すという効果は以下のように説明される。上前歯を領域38に、そして上部上昇部33に対向する配置と、同時に下前歯を領域39に、そして下部上昇部35に対向する配置との組み合わせは、顎を不自然に前に押し出すという効果がある。ほとんどの患者の歯の自然な位置は、上前歯は下前歯から少し越えて適合する。ステップオフセット値が0mmでも、下歯は上歯に比べて前進する。以下実施例で示すように、下顎の前進の程度は一般的に、口内容積の増加に関連する。オフセット値+2から+6mmが、口内容積を顕著に改良すると判断され、従って肺堆積を増加させると判断される。
【0053】
最適のオフセット値は患者により変わる。ある患者では、最適オフセット値は+2mmで、他の患者では+5mmであり得る。上顎前突症を持つ患者では装置は+12mmのオフセット値を使用してもよいが、一般的には、ステップオフセット値の上限は約+7mmである。平均的人にとって、+6mmを超えるオフセット値は苦痛と認識され、これは患者の投与量計画の遵守の可能性を下げる。本発明のひとつの好ましい実施態様において、ステップオフセット値は、−3mmから+6mmである。本発明の他の好ましい実施態様では、ステップオフセット値は非ゼロ値である。より好ましい実施態様ステップオフセット値は正値である。さらに好ましい実施態様では、ステップオフセット値は、+3mmから+6mmである。
【0054】
下顎を前進させることは、患者によるということ、及び吸入エアロゾル薬物の肺堆積を最大とするための下顎前進の最適値は、下顎前進軸に沿った、前進なしから最大前進の間のどこかである、ということは留意されるべきである。下顎の過度に前進又は不十分に前進させることは口咽頭気道断面を圧迫する可能性がある。
【0055】
ある患者では、最適の下顎前進は、負の値の前記ステップオフセットのマウスピースを用いて達成され得る。負のオフセット値は、例えば、上顎前突症に悩む患者により使用され得る。この場合、下顎は自然に前に出ており、口咽喉気道を圧縮している。絶対的用語で、下顎の前進がステップオフセットよりも大きい理由は2つある。ひとつは、ステップオフセット0mmは、前記ステップが並んでいることを意味するが、0mmマウスピースを用いることで、実際にはマウスピースは下歯を上歯の上に前進させる。特に、0mmステップオフセットを持つ装置を患者の歯に適合させるためには、下顎切歯の舌側の表面が上顎切歯の顔側表面に並び、従って、下顎切歯が上顎切歯に比べて前進するように見える。2つめは、ほとんどの患者で、顎の自然な位置で、上顎切歯は下顎切歯の上に重なっているということである。従って、歯がお互いに同じ線に並んだとしても、顎は前進しなければならず、下顎切歯の舌側表面が上顎切歯の顔側表面に同じ線に並ぶ場合はさらに顎は前進しなければならない。
【0056】
本発明のマウスピースを構成する上で他の重要なパラメータは、マウスピースの断面領域である。本発明のひとつの実施態様において、水平面にひとつの軸と垂直面にひとつの軸を持つ楕円形状の断面を持つ。楕円形状を持つ本発明のマウスピースのいくつかの実施態様では、水平軸は垂直軸よりも大きい。楕円形状断面を持つ本発明のマウスピースの他の実施態様では、水平軸は垂直軸より小さい。水平軸は実施可能である全ての長さを有することができる。好ましい実施態様では、水平軸の長さは15及び30mmの間である。垂直軸は、実施可能であれば全ての長さを有することができる。好ましい実施態様では、水平軸の長さは0及び40mmの間である。
【0057】
患者が装置を使用する際、患者は、上部ステップに対して上前歯を押し付け、そしてマウスピースの下部ステップに対して下歯を引くようにする。これにより、上空気道が開き吸入医薬エアロゾルを患者の肺に輸送する。患者とは、吸入医薬エアロゾルが輸送されることが望まれる人であり、「患者」なる用語は、病人同様健康人も含む。図6は、患者によって正のオフセット値を持つ装置の一般的な使用を示す。装置10は、患者40により、患者の上顎切歯61及び下顎切歯62の間に噛みおろして保持されている。図6は、使用のひとつの実施態様を示す。即ち上顎切歯の切歯表面63が領域38に結合し、下顎切歯の顔側表面64が上部上昇部33に結合し、下顎切歯62の切歯表面65が領域39に結合し、舌側表面68が端部42と結合する。
【0058】
図6はまた、気道70の幾何学形状を示す。これは吸入エアロゾル薬物を肺に輸送するために使われる。気道70は、口腔71、口咽喉関節72、中咽頭73、喉頭蓋74、下咽頭75、咽頭76及び喉頭77を含む。鼻腔は、吸入エアロゾル薬物の輸送には直接関与していないから、本発明の説明目的のために、気道70の定義からは除外されている。
【0059】
ここで説明したすべての実施態様においてステップ構造を有するマウスピースのひとつの利点は、かかる装置を用いることは、組み合わされた顎の開口と前進を生じることである。この組み合わされた顎の開口及び前進は、気道を広げるだけでなく、患者の舌を適切に位置させることである。患者の舌が、エアロゾルの流れを、マウスピースを下の先で塞ぐとか又は舌の筋肉の全体のアーチ形状により塞ぐといった従来のマウスピースとは異なり、本発明のマウスピースの使用により生じる患者の顎の組み合わされた水平及び垂直な動きは、舌のアーチ形状の問題を除去し舌の先を自由にする。
【0060】
本発明の装置及び本発明のマウスピースは、吸入エアロゾル薬物の肺堆積の改良の方法についての科学的研究の結果である。例えば呼吸断面領域、時間及び流速などのパラメータを制御するために異なる呼吸装置を用いて行った肺シンチグラフを実施した。しかし、最も効果的な呼吸装置を用いた場合でさえ、15から35%の口咽頭での堆積が観測された。口咽頭での堆積は、吸入医薬エアロゾルの肺での堆積が少ないということから望ましくない。
【0061】
肺への吸入エアロゾル薬物堆積は患者の上気道の幾何学的形状を変えることで改良されることを前提としている。以下説明するように、試験対象者の音響学的咽頭メータにより測定される上気道の幾何学的形状は、患者の口をより大きく開き、顎を前進させる装置によって測定可能な改良を示した。
【0062】
上気道の幾何学的形状は音響学的咽頭メータで測定された。音響反射技術を通じて、音響学的咽頭メータにより、咽頭気道を客観的に評価し記録することが可能となった。この生理学的装置は、ラウドスピーカを入れた音ウェーブチューブ(wavetube)、入射及び反射音波の結果を録音する2つのマイクロホン及び結果のデータを記録し解釈するコンピュータを含む。J.S.VivianoのAssessing Orthotic Normalization of Pharyngeal Dynamics,J.Craniomandibular Practice July2004,vol.22,no.3,pp192から208を参照。咽頭グラムは、咽頭メータの出力であり、咽頭気道の幾何学的形状を図表で現す。特に、咽頭グラムは口腔尾部から声門への気道領域の断面を表す。曲線の下の領域は気道の所与の長さ及び特定の解剖学的境界に関する咽頭に沿った境界を表す。
【0063】
吸入エアロゾル薬物の肺堆積を研究するために音響学的咽頭メータを使用することは新規である。これまでは、音響学的咽頭メータは睡眠無呼吸やいびきの研究で使用されてきた。例えば、K.Monahan等のOropharyngeal Dimensions in Adults: Effect of Ethnicity,Gender,and Sleep Apnea,J.CHn.Sleep Medicine 2005,vol.1,no.3,pp257から263、及びJ.S.Vivianoの、Acoustic Reflection: Review and Clinical Applications for Sleep Disordered Breathing,Sleep and Breathing 2002,vol.6,No.3,2002を参照する。さらにこれまでは、音響学的咽頭メータからのデータは対象者の呼気部分で得られ、吸入エアロゾル薬物の肺堆積研究の目的のための患者の幾何学的形状を測定する実験では、データは対象者の呼吸の吸気間で集められていた。
【0064】
実験結果は、ステップ構造を有するマウスピースを含む装置は、吸入エアロゾル薬物の肺での堆積の助けとなることを示すいくつかの重要な傾向を示す。最初に、口腔の断面が、より大きなステップオフセットにより増加する。第二に、驚くべきかつ予期せぬことであったが、咽頭の断面が、より大きなステップオフセットにより増加する。第三に驚くべきかつ予期せぬことであったが、気道の全容量がより大きなステップオフセットにより増加する。第四に、驚くべき予期せぬことであったが、睡眠無呼吸に悩む患者にとってこの装置の使用は下咽頭をかなり広げる結果となった。
【0065】
このように、気道の一部の断面が増加すること、又は気道の全容積が増加することは、患者の肺に、吸入エアロゾル薬物を輸送する上で重要である。
【0066】
実施例
3つの異なる断面積及び4つの異なるステップオフセットを持つ12の異なる装置を調製した。装置の3つの断面積は、161mm2(垂直方向の楕円短軸が10mm、及び水平方向の楕円長軸が28mmである、楕円形状の面積)、232mm2(15mmx28mm)及び278mm2(20mx28m)であった。4つのステップオフセット値は、−3mm、0mm、+3mm及び+6mmであった。
【0067】
これら12の装置につき4人の異なる患者の咽頭メータが得られた。データは約0.42cm間隔で得た。4回の試がそれぞれの装置でそれぞれの患者に対し行われた。
【0068】
一般的な咽頭グラムが図7から9に示される。図7は、一例の患者の161mm2断面を持つ装置の4つの異なるステップオフセット値を表す4つの曲線を示す。図8は、同じ患者の232mm2断面を持つ装置の4つの異なるステップオフセット値を表す4つの曲線を示す。図9は、同じ患者の278mm2断面を持つ装置の4つの異なるステップオフセット値を表す4つの曲線を示す。
【0069】
図7のピーク値と谷値は、患者の気道の幾何学的形状を示す。横軸に沿った距離は、患者の歯からcmで測定した気道に沿った距離を表す。最初の大きなピークは、71’とラベルされている、患者の口腔の対応し、肩73’は中咽頭に対応し、谷値74’は咽頭蓋に対応し、大きなピーク75’は下咽頭に対応し、谷値76’は声門に対応し、構造77’は咽頭構造に対応する。
【0070】
図7から、ステップオフセット値の増加は口腔を広げるだけでなく驚くべきことに、下咽頭も広げることが分かる。これはまた図8及び9にも示される。これらのグラフは従って、口腔内の断面はより大きなステップオフセット値で増加することを示す。さらに、下咽頭の断面も大きなステップオフセット値で増加した。下咽頭断面のステップオフセット増加による増加は、予期しない結果である。
【0071】
気道の容積は、咽頭グラフデータに基づき計算され表1にまとめられた。個々の患者について、表1にそれぞれの容積がcm3で示されている。
【0072】
【表1】
個々の患者について、装置の断面が大きくなるほど、特定のオフセットでの気道容積は大きくなった。しかし驚くべきことでありかつ予期せぬことであるが、気道の全容積はまた一般的に個々の患者についてステップオフセットが増加すると増加する。
【0073】
ある患者のデータでは、口をより大きく広げると、気道がより大きく開くことが示される。しかし驚くべきことに、咽頭グラムから得られたデータに基づくと、ある患者では、口を大きく広げすぎると、例えば口腔咽頭接合部又は咽頭蓋などの締め付けられる点を通じての気流が妨げられる。この驚くべきデータに基づき、2つの極端な値の間のどこかで、口を部分的に広げられる際に顎の垂直位置に関連して最大の肺堆積が生じることが予想される。
【0074】
さらに、ある患者のデータでは、下顎の前進がより大きいほど気道の開口がより大きいことが示される。しかしまた驚くべきことに、咽頭グラムから得られたデータに基づくと、ある患者では、口を大きく広げすぎると、例えば口腔咽頭接合部又は咽頭蓋などの締め付けられる点を通じての気流が妨げられる。この驚くべきデータに基づき、2つの極端な値の間のどこかで、口を部分的に広げられる際に顎の垂直位置に関連して最大の肺堆積が生じることが予想される。
【0075】
従って、顎の水平方向位置、垂直方向位置又は水平方向位置と垂直方向位置との組み合わせが最適な肺堆積与えるということは驚くべきことである。吸入エアロゾル薬物の肺堆積応答と、顎の前進及び顎の開口とをプロットした結果、山形の応答表面を示す。山形の位置は患者により異なり決められる。
【0076】
図10は、睡眠無呼吸に悩む患者4の161mm断面を持つ装置の4つの異なるステップオフセット値を表す4つの曲線を示す。ステップオフセット−3mmを持つ装置について、図10は、下咽頭の領域にピークを示さない。かかるピークの欠失は下咽頭の陥没を示す。しかし、正のステップオフセット値を持つ装置に対応する曲線においては下咽頭に対応するピークが存在する。この観察は、装置が睡眠無呼吸に悩む患者に有用であることを示す。
【0077】
本発明は、現時点で最も実際的でかつ好ましい実施態様と考えられるものに基づいて説明の目的で詳細に記載されてきた。しかしかかる詳細な説明はその目的のためであること、及び本発明は開示された実施態様に限定されないこと、むしろ逆に、添付の特許請求の範囲の範囲及び本質に基づき種々の改良及び均等な変更をも含むものである、ということは理解されるべきである。例えば本発明は、可能な限り全ての実施態様のひとつ又はそれ以上の構成が全ての他の実施態様のひとつ又はそれ以上の構成と組む合わせることが可能である、ということは理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2008年12月23日に出願された米国仮特許出願番号61/140138の35USC119条(e)による優先権効果を主張するものであり、内容はここに参照されて本明細書の一部となる。
【0002】
本出願の発明は、患者へ医薬エアロゾル吸引投与の補助となる装置に関する。本発明はまた、かかる装置をエアロゾル輸送装置又はシステムとともに使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
患者へエアロゾル形で医薬を輸送するために使用される医療装置は1950年代の中頃から使用されてきている。かかる装置は、患者の肺への医薬エアロゾル(IPA)の吸引投与のために使用されている。かかる装置の最も普通の使用には、喘息及び慢性肺閉塞疾患の治療において、定量投与吸入器、乾燥粉末吸入器又はネブライザの形で用いられている。
【0004】
吸入器の使用に伴う長年の問題は、エアロゾルのその目標への輸送の低効率である。定量投与吸入器(MDI)又は乾燥粉末吸入器(DPI)で投与される患者の場合、エアロゾル医薬の50%までが患者の肺に到達しない可能性がある。肺への到達を改良するいくつかの異なる方法が試みられてきた。肺への到達への改良方法には、患者への教育がある。例えば患者に吸入用マウスピースについて最適に位置、吸入器の作動と呼吸との連動につき教示して、患者の唇が吸入器のマウスピースの回りを効果的にシールすることを確実にし、患者がマウスピースの回りに歯を置いて、薬物が歯の上に堆積しないようにする、などである。他の方法には、吸入器マウスピース及び患者の口との間に設けられたスペーサの使用、及び吸入器のマウスピースを再設計してマウスピース上に薬物が堆積しないようにする、ことが含まれる。
【0005】
当該技術分野では、口腔内装置の直径は、肺へ吸入されたエアロゾル医薬の堆積に影響を与えることが知られている。かかる機能を満たすために、口腔内装置は基本的には、歯の間を通るに十分な長さの単純な楕円柱又は管状設計である。T.A.Chun Lin等,Mouthpiece Diameter Affects Deposition Efficiency in Cast Models of the Human Oral Airways,J.Aerosol Medicine 2001,Vol.14,No.3,pp335から341を参照すること。この研究又は他の研究において、装置の断面が大きいほど吸入される肺へのエアロゾル医薬が多くなることを示す。かかる研究は、患者の顎を開くことで肺への堆積を改良することを示すが、エアロゾル医薬の肺への堆積への顎の位置の効果についての研究はなんら出版されていない。
【0006】
いびき及び睡眠無呼吸の治療技術において、患者の顎を前進させることで患者の症状を緩和することが知られている。U.S.特許7,331,349において、Brady等は、特別の口内装置の使用により顎を前進させることにより、いびき又は睡眠無呼吸を治療する方法を提供する。U.S.特許7,311,103において、Jeppesenは、上と下の歯並びの間にアクリル樹脂のシールを介して口腔内通気を妨げて単一体の二重アーチ空気道矯正器具を工夫することで、正の空道圧を用いることで閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療方法を提供する。U.S.特許6,604,527においてPalmisanoは、又US特許5,794,627においてFrantzは、患者の歯の上に適合する装置によって顎を前進させる方法を提供する。U.S.特許5,645,423及び5,645,424において、Collinsは一組の揺動セグメントを含む矯正装置を開示している。これは、患者の歯並びの一方側の低い歯と他方の高い歯を固定して顎を前に出させることができる。
【0007】
しかしこれまで、吸入されたエアロゾル医薬物の患者の肺への輸送を改良する目的で、顎を前に出す(前進させる)ということについては開示されていないし、提案もされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、患者へのエアロゾル輸送を補助する装置を提供することである。より具体的には、本発明の装置は、フロントエンド、バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記フロントエンドから前記バックエンドを通じて前記装置を通るボア、前記バックエンドに面する前記トップサイド上の上部ステップ、及び前記フロントエンドに面する前記ボトムサイド上の下部ステップを含む。前記2つのステップの位置はそれぞれステップオフセットとして定義される。
【0009】
本装置のひとつの実施態様において、前記装置の前記フロントエンドは入口部分を含む。かかる入口部分は、吸入されるエアロゾル医薬物輸送装置へ取付けるために適合されていてよい。吸入エアロゾル薬物輸送装置は吸入器であってよい。
【0010】
本発明の課題はまた、前記ステップオフセット寸法を提供するものである。本発明の好ましい実施態様によれば、前記ステップオフセットは、−3mmから+6mmの間の値である。本発明の他の好ましい実施態様では、前記オフセットは非負値である。より好ましい実施態様では、前記ステップオフセットは正の値である。さらに好ましい実施態様では前記ステップオフセットは、+3mmから+6mmの間である。
【0011】
他の本発明の実施態様によれば、患者にエアロゾル輸送の補助をするための装置を提供する。かかる装置は、フロントエンド、及びバックエンド、前記バックエンドから前記フロントエンドへ前記装置を通じるボアを含み、前記装置がさらに患者の下及び上歯を受け入れるように適合されており、それにより、前記チューブのバックエンドを患者の口内に挿入し、前記チューブを噛んで下げることで、顎を前に出させる、ものである。この顎が前に出ることで患者の上部気道が開き、かかる気道を通じてエアロゾル薬物吸入の層流が改善され、それによって吸入されるエアロゾル薬物の肺堆積が増加する。
【0012】
本発明のさらなる課題は、マウスピースを提供することである。マウスピースは、患者の口内へ導入されるすべての装置の一部分である。本発明の好ましい実施態様によればマウスピースは、バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上の上部ステップ、前記ボトムサイド上の下部ステップを含む。前記上部ステップは後方に面し、前記下部ステップは前方に面する。前記上部ステップはさらに、前記下部ステップよりも前記バックエンド側にある。前記マウスピースは、例えば吸入器等のエアロゾル輸送装置に取り付けられてもよい。
【0013】
さらに本発明の課題は、エアロゾル薬物吸入輸送装置を提供することであり、かかる装置はさらに、ステップ構造を有するマウスピースを含む。本発明の実施態様のひとつは、ステップ構造を有するマウスピースを含む定量投与吸入器である。さらに本発明の実施態様は、ステップ構造を有するマウスピースを含む乾燥粉末吸入器である。さらに本発明の実施態様は、ステップ構造を有するネブライザである。
【0014】
本発明の他の課題は、エアロゾル薬物吸入輸送の通常の方法に伴う不利益がない、エアロゾル輸送を補助する方法を提供する。かかる方法は、顎を前進させる装置を使用する。本発明のひとつの実施態様において、かかる装置はそれを貫通するボアを有し、それを通じてエアロゾル薬物吸入が患者の気道へ導入されるものである。かかる方法を使用する利点は、エアロゾル薬物吸入輸送のより高い肺堆積である。本方法のひとつの実施態様において、顎を前進させる装置は、前記バックエンドに面する前記装置の前記トップサイド上の上部ステップ及び前記バックエンドから離れるように面する前記ボトムサイド上の下部ステップを含む。
【0015】
本発明のこれら及び他の課題、構成及び特徴は、前記装置及び構造と関連した要素及び部分の組み合わせの操作方法及び製造経済性と同様に、添付図面と共に以下の記載、添付の特許請求の範囲を考慮してより明確となるであろう。これら図面はすべて、本明細書の一部であり類似の符号は種々の図面で対応する部材を示す。しかし次の点は明確に理解されるべきである。図面は、記載及び説明のためだけであり本発明の範囲を限定するためではない。明細書及び特許請求の範囲で使用される、単数の「ひとつの」、「前記」には、文中に特に指摘されていない限り、複数を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の装置の一実施態様の右側透視図である。
【図2】図2は、本発明の装置の一実施態様の右側面図である。
【図3】図3は、本発明の装置の一実施態様の上面図である。
【図4】図4は、本発明の装置の一実施態様の、前記装置の前から見た正面図である。
【図5】図5は、本発明の装置の、種々のステップオフセット値を示す4つの異なる実施態様の側面図である。
【図6】図6は、本発明の装置の患者による使用を示す。
【図7】図7は、通常の一人の患者のための同じ小さな断面を持つ異なるステップオフセットを持つ4つの装置の4つの咽頭グラム(pharryngogram)を示す。
【図8】図8は、通常の一人の患者のための同じ中程度の断面を持ち異なるステップオフセットを持つ4つの装置の4つの咽頭グラム(pharryngogram)を示す。
【図9】図9は、通常の一人の患者のための同じ大きな断面を持ち異なるステップオフセットを持つ4つの装置の4つの咽頭グラム(pharryngogram)を示す。
【図10】図10は、睡眠無呼吸の患者のための同じ小さな断面を持ち異なるステップオフセットを持つ4つの装置の4つの咽頭グラム(pharryngogram)を示す。
【図11】図11は、ステップ構造を有するマウスピースを備えた定量投与吸入器を含む本発明のひとつの実施態様の斜視図を示す。
【図12(a)】図12aは、ステップ構造を有するマウスピースを備えた乾燥粉末吸入器を含む本発明のひとつの実施態様の斜視図を示す。
【図12b】図12bは、ステップ構造を有するマウスピースを備えたネブライザを含む本発明のひとつの実施態様の側面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の装置は次のように設けられるマウスピースを含む。患者が前記装置を適切に使用すると、前記マウスピースは、患者の下顎を、患者のエアロゾル薬物吸入の肺への堆積が増加するように位置付けさせる。本発明の装置は、患者の口内の幾何学的形状を改良して、空気/吸入エアロゾル薬物混合物の層流を生じさせて、患者のエアロゾル薬物吸入の肺への堆積を増加させる。患者の顎及び関連する骨格を適切な方法で位置付けすることで、上方の気道でのエアロゾル薬物吸入粒子の堆積を減少させ、肺での堆積を増加させる。
【0018】
図1から5には、本発明のひとつの実施態様における装置10の例が説明されている。装置10は、フロントエンド12及びバックエンドを含む中空体11を持ち、また前記中空体11を通る想像上の軸50を持つ。装置10は、バックエンド30上にマウスピース31、及びフロントエンド12で入口部13を含むシャフト20を含む。装置10はまた、フロントエンド12からバックエンド30へ通じるボア60を含む。前記ボアはフロントエンド12上で、入口開口部16として終了し、及びバックエンド30では出口開口部36で終了する。
【0019】
装置10は、適切な材料から形成される一体型本体を含む。適切な材料はすべての生物適合性材料であり、患者又は医学専門家により安全かつ効果的使用に適した材料である。エアロゾル薬物吸入輸送の技術分野で通常使用される材料が使用可能である。また当該材料は、前記マウスピースに相対的に硬い構造を与えるものであるべきで、それにより患者がその使用の間に変形させない。適切な材料には、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスルホン、ポリフタルアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルクロリド、スチレンアクリロニトリル樹脂又はそれらのコポリマー等の熱硬化性プラスチックが挙げられる。好ましい実施態様では、適切な材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン又はポリカーボネートである。より好ましい材料は、ポリエチレン又はポリプロピレンである。
【0020】
装置10は、医学装置のマウスピース形成に使用されるすべての方法により形成され得る。好ましい実施態様では、前記マウスピースは反応射出成形で形成される。
【0021】
図1から3に説明される実施態様において、装置10は一体型本体である。他の実施態様においては、当該装置は装置10の部分を形成する複数の構造要素から組み立てられる。個々の要素は、射出成形又はお互いに独立して他の方法で成形され、その後お互いを結合して組み立てて装置10とする。かかる結合は恒久的であってもよく、又はその代わりに個々の要素が摩擦でお互いに固定されているだけで、装置の掃除を容易にするために容易に分解可能であってもよい。
【0022】
装置は一般的に硬い性質である。装置10は、装置10の使用の間に変形しないような硬さを必要とする。特に、患者がマウスピース31を噛む際に、マウスピースがシャフト20の断面内側に圧縮されない硬さが必要である。さらに入口部13はまた、吸入器又はスペーサから排出出口を容易に受けいれるような硬さを必要とする。
【0023】
入口部13は、エアロゾル薬物吸入又は医学的ガスを、入口開口部16を通じて受け入れる入り口として作用する。好ましい実施態様では、入口部13は、内部容積を定義する円筒状に突き出た壁により定義される。前記入口部の内部は、シャフト20の内部と流線型的に結合されている。
【0024】
好ましい実施態様では、内部容積を囲む突き出た壁は直円柱形状である。又は別の実施態様では、前記内部容積を囲む突き出た壁は切頭円錐形状であり、壁が僅かに内側に傾き、吸入器の出口部と簡単に合わせることができる。他の実施態様では、前記入口部の内部容積を囲む突き出た壁は切頭円錐形状であり、壁が僅かに外側に傾き、吸入器の出口部と合わせることが可能となる。さらに他の実施態様において、内部容積を囲む突き出た壁は、一般的な直円柱状であり;例えば、楕円柱を含む。
【0025】
突き出た壁14は、フロントエンド2で周辺端部15で終る。好ましい実施態様では、前記周辺端部15は一般的に滑らかで少し角が丸められており、患者又は医学専門家がかかる角で自身を傷つけないことを保証し、かつ吸入器の出口部と前記入口部との結合を補助する。他の実施態様においてはかかる周辺端部はシャープな角を持つ。
【0026】
当該装置の使用の際、前記入口部13はエアロゾル薬物吸入輸送装置(図1から5には示されていない)と結合される。エアロゾル薬物吸入輸送装置は次のような装置である。保存されたエアロゾル薬物を、吸入エアロゾル薬物を輸送するための作動により、出口から発生させる装置であるか、又は吸入エアロゾル薬物が出口を通って流れ出る装置である。エアロゾル薬物吸入輸送装置の例は、定量投与吸入器(MDI)、乾燥粉末吸入器(DPI)又はネブライザが含まれる。ネブライザの例には、空気圧ネブライザ、超音波ネブライザ及びメッシュネブライザが含まれる。エアロゾル薬物吸入輸送装置はまた、濃縮エアロゾル及び電気流体力学エアロゾルの輸送が含まれる。
【0027】
本発明の装置の実施態様は、定量投与吸入器との組み合わせで使用するために設計される。通常の定量投与吸入器には、限定されるものではないが、商品名でエアロマ(Airomir(TM))、ベントリン(Ventolin(R))、アトロベント(Atrovent(R))、ベクロフォルテ(Becloforte(R))、ベンクロベント(Benclovent(R))、ベロテク(Berotec(R))、コンビベント(Combivent(R))、フロベント(Flovent(R))、チラード(Tilade(R))、セレベント(Serevent(R))、インタル(Intal(R))、バンセリル(Vanceril(R))及びキューバ(QVAR(R))が挙げられる。
【0028】
本発明の装置はまた、スペーサと共に使用するように設計される。スペーサ装置は、吸入器の使用をずっと効果的かつ容易に使用することができるように設計される。又喘息スペーサとして知られており、入口部及び出口部に空間が設けられている。かかるスペーサの使用は、部分的には、吸入器の作動タイミングと患者の呼吸タイミングを合致させる際の難しさを緩和する。さらに、かかるスペーサ装置の使用は、口内のエアロゾル薬物の輸送の速度を低下させ、中咽頭でのエアロゾル薬物吸収を下げてしまう。通常、スペーサ装置は、吸入器のマウスピースに適合するチャンバを有し、前記スペーサのマウスピースは患者の唇の間に置かれる。エアロゾル薬物は、患者の口内ではなく前記スペーサの前記チャンバに直接スプレーされる。エアロゾル薬物はその後ゆっくりと深い呼吸により吸入される。
【0029】
スペーサは市販品が入手でき、又は自作できる。喘息患者に利用可能なスペーサの例は、限定されるものではないが、エース(ACE(R))スペーサ(DHD Healthcare,Wampsville,New York,USA)、エアロチャンバ(Aerochamber(R))(Forest Pharmaceuticals,St Louis,Missouri,USA)、エージベントスペーサ(Easivent Spacer)、EZ−スペーサ(EZ−Spacer(R))(WE Pharmaceuticals,Ramona,California,USA)、インスパイアーゼ(Inspirease(R))(Key Pharmaceuticals,Kenilworth,New Jersey,USA)、エアライフ(AirLife(TM))、メディスペーサ(Medispacer(R))(Allegiance Healthcare Corporation,McGaw Park,Illinois,USA)、ライトエア(LiteAire(R))(Thayer Medical,Tucson,Arizona,USA)、オプチチャンバ(Optichamber(R))、アドバンテージバルブホールドチャンバ(Advantage Valved Holding Chamber)(Respironics HealthScan Asthma and Allergy Products,Cedar Grove,New Jersey,USA)、ネブヘーラ(Nebuhaler(R))(AstraZeneca,UK)、ベンタヘーラスペーサデバイス(VentaHaler Spacer Device)、ライトフロスペーサ(RiteFlo Spacer(TM))、ボルマチック(Volumatic(R))、ベビーヘーラ(Babyhaler(R))及びネブチャンバ(Nebuchamber(R))が挙げられる。
【0030】
本出願の発明は、エアロゾル薬物吸入を輸送する全ての装置に使用される。「エアロゾル薬物吸入」とは、患者の肺にエアロゾル化された剤形で化合物に輸送されるために処方された全てのタイプの医薬物を意味する。ここ使用される用語「エアロゾル」とは、固体、溶液又はガス中の液体粒子の分散物を意味する。「エアロゾル」はまた、ガス中の液体粒子を意味し、ここで液体は少なくとも2つの液体の混合物である。かかる混合物は均一液体(例えば溶液)又は不均一液体(例えば懸濁)であり得る。
【0031】
本発明の装置は、すべての通常の粒子サイズのエアロゾルと作用するように設計される。好ましい実施態様では、平均エアロゾル粒子サイズは0.1から10μmである。より好ましい実施態様では、平均エアロゾル粒子サイズは0.5から5μmである。本発明の他の実施態様においては、エアロゾル粒子サイズはサブミクロンサイズである。サブミクロンサイズの例には、ナノ粒子が挙げられる。
【0032】
入口部とエアロゾル薬物吸入輸送装置との結合はいくつかの方法で可能である。好ましい実施態様では、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部は装置10の入口部13に入口開口部16通じて摩擦により適合される。この実施態様では、出口部の外側表面が、突き出た壁14の内部表面と接触する。
【0033】
図1から5に説明される実施態様において、突き出た壁14の内部表面は滑らかである。それにより摩擦による結合が助けられる。他の実施態様においては、内部表面17は幾何模様が施されており、それによりエアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の維持を助け、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口にある対応する構造に適合される。かかる幾何模様には、峰状及び他の突き出し構造、及び谷状又は他の凹み構造が含まれる。かかる実施態様における内部表面17のかかる幾何模様は、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の外側表面の構造とマッチするように設けられている。
【0034】
他の実施態様において、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部が入口部13の上でマッチする。即ち、突き出た壁14の外側表面18がエアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の内部表面と接触する。他の実施態様において、外部表面18は、幾何模様を有し、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の対応する構造とマッチすることによってエアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の維持を助ける。かかる幾何模様には、峰状及び他の突き出し構造、及び谷状又は他の凹み構造が含まれる。かかる実施態様における外部表面18のかかる幾何模様は、エアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部の内側表面の構造とマッチするように設けられている。
【0035】
シャフト20は、入口部13の一方の端に結合され、他の端でマウスピース31で終点となる。シャフト20は中空で入口部13と滑らかに接触する。前記シャフトの断面は、患者の口内に吸入エアロゾル薬物を輸送するためにマウスピースと適合させる十分なサイズである限り全ての二次元形状をとり得る。この実施態様では、前記シャフトの断面を定義する楕円の短軸が垂直方向であり、前記シャフトの断面を定義する楕円の長軸が水平方向である。他の好ましい実施態様では、前記シャフトの断面は円形、楕円、長円形、正方形、角が丸い正方形、4つの曲線端を持つ正方形、長方形、角が丸い長方形、2つの曲線端を持つ長方形又は4つの曲線端を持つ長方形等が挙げられる。ボア60の最も狭い点でのボアの断面積は、その断面積で定義される。かかる断面は、mm2で表現される。本発明の装置における断面サイズは、50及び500mm2の間、好ましくは100と300mm2の間である。
【0036】
使用の間、装置は患者の上及び下歯の間に位置されねばならない。患者が装置を彼/彼女の口内に入れ、そして吸入エアロゾル薬物を吸入エアロゾル薬物のための入口部に導入し、前記装置を通じてマウスピースに流して患者の口内へ流し、そして最終的に患者の肺へと流す、ということは有益である。患者により装置の正しい位置を達成するために、好ましい実施態様では、装置上のマークが患者の方に向けられている。さらに好ましい実施態様では、入口部13のみがエアロゾル薬物吸入輸送装置の出口部と結合可能であり、装置10のマウスピース31とは結合できないものである。
【0037】
図1から4に説明される実施態様において、シャフト20は、トップサイド1及びボトムサイド22を含む。トップサイド21もボトムサイド22も、シャフト20及び入口部13の間の境界から、マウスピース31の周辺端部37へ伸びている。装置を正しく使用するために、装置10は、患者の上と下の歯の間に正しく位置付けされなければならない。患者が、シャフト20のトップサイド21を彼/彼女の上の歯に接触させ、シャフト20のボトムサイド22を彼/彼女の下の歯に接触させることは、有益である。装置10を患者の口内で上下逆に置くことは吸入エアロゾル薬物の肺への堆積が最適以下の結果となるであろう。好ましい実施態様において、トップサイド21はマークされており、装置の使用者に装置10の軸方向を示す。かかるマークは、文字の記載、シンボル又は子供の絵の形状で可能であり、もちろんいかなる適切な印も使用可能である。
【0038】
シャフト20はバックエンド30のマウスピース31で終了する。マウスピース31はシャフト20の一部分であって、患者の口内へ導入される。マウスピース31はまた、出口開口部36を含み、吸入エアロゾル薬物がそこを通じて患者の口内へ導入される。
【0039】
図1から5に説明される実施態様において、マウスピース31は上部ステップ32及び下部ステップ34を含む。上部ステップ32はシャフト20のトップサイド21上にあるステップである。上部ステップ32は装置10のバックエンド30の方向に面し、これはバックエンド30からフロントエンド12の方を見ることを意味し、上部ステップ32の上昇部33を見ることができることを意味する。下部ステップ34はシャフト20のボトムサイド22上のステップである。下部ステップ34は前方(フロントエンド12方向)に面しており、これはフロントエンド12からボトムサイド22に沿ってバックエンド30の方見ることを意味し、下部ステップ34の上昇部35を見ることができることを意味する。
【0040】
マウスピース31はさらに、領域38を含み、ここで患者の上歯が置かれ、患者の上前歯がトップサイド21と接触する。そして装置は、上前歯が上の上昇部33に押し付けられるように操作される。本発明の好ましい実施態様では、上顎中切歯の切歯表面が前記領域38と結合し、一方同時に上顎中切歯の顔側表面(又は頬側表面として参照される)が前記上昇部33に結合する。又別の実施態様においては、少なくともひとつの上顎中切歯の少なくともひとつの顔側表面がまた領域38に接続する。他の実施態様においては、少なくともひとつの上顎側切歯の表面の少なくともひとつの顔側表面がまた前記上昇部33に結合する。他の実施態様においては、少なくともひとつの上顎側切歯の切歯表面が領域38と結合し、一方同時に少なくともひとつの上顎側切歯の切歯表面がまた前記上昇部33に結合する。
【0041】
患者の下前歯が、前記下前歯が前記下部サイド22と接触するように置かれ、前記装置が、前記下前歯の後部が下部上昇部35に押し付けられるように操作される。好ましい実施態様においては、下顎中切歯又は下顎側切歯の少なくともひとつの切歯が領域39と接続し、一方同時に下顎中切歯又は下顎側切歯の少なくともひとつの切歯が下部上昇部35と結合する。下顎切歯の切歯表面が領域39と、下顎切歯の舌側表面が下部上昇部35と同時に結合するすべての組み合わせは、本発明の目的に適うものである。
【0042】
歯表面と装置10の表面が「接触する」とは、歯表面と装置表面の一部と完全に一致することを必ずしも意味するものではない。例えば歯の一点である小さな部分が、装置の小さな部分と接触するだけでよい。上部上昇部33はまた、上部ステップ32の端部41を含む。同じく下部上昇部35は、下部ステップ34を含む。従って、ひとつの実施態様において、上顎切歯の顔側表面が上部上昇部33と上部ステップ32の端部41でのみ接触可能となる。他の実施態様においては、下顎切歯の舌側表面は、下部ステップ34の端部42で下部上昇部35と接触するができる。
【0043】
装置10において、上部ステップ32の底部ステップ34との相対位置はここで記載する本発明のひとつの重要な構成である。ステップオフセット(mmで測定される)は、上部ステップ32の下部ステップ34との軸50に沿った相対的距離である。図5(a)から(d)に示されるように、マウスピースのステップオフセットの異なる値がとり得る。0mmのステップオフセット(図5(c))は、上部ステップ32が下部ステップ34と並んでいることを意味する。図5(a)及び5(b)での正のオフセット値は、上部ステップ32が、下部ステップ34よりも軸50に沿ってさらに後退(即ち、マウスピース31のバックエンド30により近い)しいることを意味する。
【0044】
「さらに後退」又は「さらにバックエンドの方に後退」とは、装置10の中心を通る軸50に関して、各ステップのお互いの相対的位置を示す。装置10の軸50からひとつのステップの中心への想像上の直角投影線が、装置10の軸50から他のステップの中心への想像上の直角投影線と比較される。前記投影線の前記ステップの横断面さらに装置の軸に沿って後退することが、装置10のバックエンド30の方にさらに後退又はバックエンドの方にさらに後退ということである。
【0045】
ステップ構造を有するマウスピースはまた、エアロゾル薬物吸入輸送装置に組み込まれてもよい。ひとつの実施態様において、ステップ構造を有するエアロゾル薬物吸入輸送装置は、定量投与吸入器である。定量投与吸入器は少なくとも2つのコンポーネントを含む。カニスタとアクチュエータである。カニスタには患者の肺に輸送する薬物、液体ガス燃料及び例えば安定剤である例の助剤が含まれる。カニスタはまた、アクチュエータステムを有する定量投与バルブを含む。アクチュエータは、前記アクチュエータステムと適合する放出ノズルを含む。吸入器を使用する患者は、アクチュエータの下部を支えながら、前記カニスタの上部を押し下げる。装置を作動させて、薬剤を含む液体燃料の一回の定量投与量を放出する。揮発性燃料が液滴となり、燃料は急速に揮発し、薬剤を含むミクロンサイズのエアロゾルを生成する。
【0046】
本発明のマウスピースの周辺は、出口開口部を定義するに適切なすべての形状をとり得る。好ましい実施態様において、前記出口開口部の形状は凸である。出口開口部は、円形、楕円形、卵形状、正方形、角の丸められた正方形、4つの曲線角を持つ正方形、長方形、丸められた角を持つ長方形、2つの曲線端を持つ長方形、4つの曲線端を持つ長方形又は他の類似形状が挙げられる。
【0047】
マウスピースを有する定量投与吸入器のひとつの実施態様は、図11に示される。定量投与吸入器80はカニスタ81及びアクチュエータ82を含む。アクチュエータはマウスピース83を含み、バックエンド84で出口開口部85を有し、周辺端86で定義される。マウスピースはさらに、上部ステップ87をマウスピース83の上部サイド88に有し、マウスピース83の下部サイド90に下部ステップ89を有する。図11での例示は、開口部85が4つの曲線端を持つ正方形として周辺86で定義されていることを示す。
【0048】
本発明の他の実施態様においては、ステップ構造を有するマウスピースは乾燥粉末吸入器に組み込まれる。患者が、患者の歯の間に乾燥粉末吸入器のマウスピースを置くすべての乾燥粉末吸入器が、ステップ構造を有するマウスピースを組み込むために適合する。乾燥粉末吸入器は一回投与タイプ又は多数回投与タイプでもよい。乾燥粉末吸入器は例えば、エアロライザ(Aerolizer(R))、ハンディヘーラ(HandiHaler(TM))、フレックスヘーラ(Flexhaler(R))、ディスカス(Diskus(R))及びツイストヘーラ(Twisthaler(R))が挙げられる。
【0049】
乾燥粉末吸入器のひとつの実施態様は、図12(a)に示されるステップ構造を有するマウスピースを含む。乾燥粉末吸入器100は、マウスピース101を含み、バックエンド102で出口開口部103を有し、周辺端104で定義されている。マウスピースはさらに上部ステップ105をマウスピース101の上部サイド106に、及びマウスピース101の下部サイド108に下部ステップ107を有する。図12(a)での例示は、周辺端104で定義される開口部103が円形であることを示す。
【0050】
本発明の他の実施態様において、前記ステップ構造を有するマウスピースはネブライザに組み込まれることができる。患者が、患者の歯の間のネブライザのマウスピースを置く全てのネブライザが、ステップ構造を有するマウスピースを組み込むために適合させることができる。マウスピースを組み込むことができるネブライザの例は、空気圧ネブライザ、超音波ネブライザ及びメッシュネブライザが挙げられる。ステップ構造を有するマウスピースを含む本発明のネブライザはまた、濃縮エアロゾル及び電気流体力学的エアロゾルの輸送を含む。
【0051】
ステップ構造を有するマウスピースを含むネブライザの実施態様は、図12(b)に部分的に示される。ネブライザ出口チューブ110はマウスピース111を含み、バックエンド112で、出口開口部113を含む。マウスピースはさらにマウスピース111の上部サイド116に上部ステップ115、及びマウスピース111の下部サイド118に下部ステップ17を有する。ネブライザ出口チューブ11は、ネブライザの残部とチューブ119で結合されている。
【0052】
図1から4を参照して、本発明のマウスピースの使用のメカニズム(前記実施態様のすべてにおいて組み込まれているように)及びその下顎を前に出すという効果は以下のように説明される。上前歯を領域38に、そして上部上昇部33に対向する配置と、同時に下前歯を領域39に、そして下部上昇部35に対向する配置との組み合わせは、顎を不自然に前に押し出すという効果がある。ほとんどの患者の歯の自然な位置は、上前歯は下前歯から少し越えて適合する。ステップオフセット値が0mmでも、下歯は上歯に比べて前進する。以下実施例で示すように、下顎の前進の程度は一般的に、口内容積の増加に関連する。オフセット値+2から+6mmが、口内容積を顕著に改良すると判断され、従って肺堆積を増加させると判断される。
【0053】
最適のオフセット値は患者により変わる。ある患者では、最適オフセット値は+2mmで、他の患者では+5mmであり得る。上顎前突症を持つ患者では装置は+12mmのオフセット値を使用してもよいが、一般的には、ステップオフセット値の上限は約+7mmである。平均的人にとって、+6mmを超えるオフセット値は苦痛と認識され、これは患者の投与量計画の遵守の可能性を下げる。本発明のひとつの好ましい実施態様において、ステップオフセット値は、−3mmから+6mmである。本発明の他の好ましい実施態様では、ステップオフセット値は非ゼロ値である。より好ましい実施態様ステップオフセット値は正値である。さらに好ましい実施態様では、ステップオフセット値は、+3mmから+6mmである。
【0054】
下顎を前進させることは、患者によるということ、及び吸入エアロゾル薬物の肺堆積を最大とするための下顎前進の最適値は、下顎前進軸に沿った、前進なしから最大前進の間のどこかである、ということは留意されるべきである。下顎の過度に前進又は不十分に前進させることは口咽頭気道断面を圧迫する可能性がある。
【0055】
ある患者では、最適の下顎前進は、負の値の前記ステップオフセットのマウスピースを用いて達成され得る。負のオフセット値は、例えば、上顎前突症に悩む患者により使用され得る。この場合、下顎は自然に前に出ており、口咽喉気道を圧縮している。絶対的用語で、下顎の前進がステップオフセットよりも大きい理由は2つある。ひとつは、ステップオフセット0mmは、前記ステップが並んでいることを意味するが、0mmマウスピースを用いることで、実際にはマウスピースは下歯を上歯の上に前進させる。特に、0mmステップオフセットを持つ装置を患者の歯に適合させるためには、下顎切歯の舌側の表面が上顎切歯の顔側表面に並び、従って、下顎切歯が上顎切歯に比べて前進するように見える。2つめは、ほとんどの患者で、顎の自然な位置で、上顎切歯は下顎切歯の上に重なっているということである。従って、歯がお互いに同じ線に並んだとしても、顎は前進しなければならず、下顎切歯の舌側表面が上顎切歯の顔側表面に同じ線に並ぶ場合はさらに顎は前進しなければならない。
【0056】
本発明のマウスピースを構成する上で他の重要なパラメータは、マウスピースの断面領域である。本発明のひとつの実施態様において、水平面にひとつの軸と垂直面にひとつの軸を持つ楕円形状の断面を持つ。楕円形状を持つ本発明のマウスピースのいくつかの実施態様では、水平軸は垂直軸よりも大きい。楕円形状断面を持つ本発明のマウスピースの他の実施態様では、水平軸は垂直軸より小さい。水平軸は実施可能である全ての長さを有することができる。好ましい実施態様では、水平軸の長さは15及び30mmの間である。垂直軸は、実施可能であれば全ての長さを有することができる。好ましい実施態様では、水平軸の長さは0及び40mmの間である。
【0057】
患者が装置を使用する際、患者は、上部ステップに対して上前歯を押し付け、そしてマウスピースの下部ステップに対して下歯を引くようにする。これにより、上空気道が開き吸入医薬エアロゾルを患者の肺に輸送する。患者とは、吸入医薬エアロゾルが輸送されることが望まれる人であり、「患者」なる用語は、病人同様健康人も含む。図6は、患者によって正のオフセット値を持つ装置の一般的な使用を示す。装置10は、患者40により、患者の上顎切歯61及び下顎切歯62の間に噛みおろして保持されている。図6は、使用のひとつの実施態様を示す。即ち上顎切歯の切歯表面63が領域38に結合し、下顎切歯の顔側表面64が上部上昇部33に結合し、下顎切歯62の切歯表面65が領域39に結合し、舌側表面68が端部42と結合する。
【0058】
図6はまた、気道70の幾何学形状を示す。これは吸入エアロゾル薬物を肺に輸送するために使われる。気道70は、口腔71、口咽喉関節72、中咽頭73、喉頭蓋74、下咽頭75、咽頭76及び喉頭77を含む。鼻腔は、吸入エアロゾル薬物の輸送には直接関与していないから、本発明の説明目的のために、気道70の定義からは除外されている。
【0059】
ここで説明したすべての実施態様においてステップ構造を有するマウスピースのひとつの利点は、かかる装置を用いることは、組み合わされた顎の開口と前進を生じることである。この組み合わされた顎の開口及び前進は、気道を広げるだけでなく、患者の舌を適切に位置させることである。患者の舌が、エアロゾルの流れを、マウスピースを下の先で塞ぐとか又は舌の筋肉の全体のアーチ形状により塞ぐといった従来のマウスピースとは異なり、本発明のマウスピースの使用により生じる患者の顎の組み合わされた水平及び垂直な動きは、舌のアーチ形状の問題を除去し舌の先を自由にする。
【0060】
本発明の装置及び本発明のマウスピースは、吸入エアロゾル薬物の肺堆積の改良の方法についての科学的研究の結果である。例えば呼吸断面領域、時間及び流速などのパラメータを制御するために異なる呼吸装置を用いて行った肺シンチグラフを実施した。しかし、最も効果的な呼吸装置を用いた場合でさえ、15から35%の口咽頭での堆積が観測された。口咽頭での堆積は、吸入医薬エアロゾルの肺での堆積が少ないということから望ましくない。
【0061】
肺への吸入エアロゾル薬物堆積は患者の上気道の幾何学的形状を変えることで改良されることを前提としている。以下説明するように、試験対象者の音響学的咽頭メータにより測定される上気道の幾何学的形状は、患者の口をより大きく開き、顎を前進させる装置によって測定可能な改良を示した。
【0062】
上気道の幾何学的形状は音響学的咽頭メータで測定された。音響反射技術を通じて、音響学的咽頭メータにより、咽頭気道を客観的に評価し記録することが可能となった。この生理学的装置は、ラウドスピーカを入れた音ウェーブチューブ(wavetube)、入射及び反射音波の結果を録音する2つのマイクロホン及び結果のデータを記録し解釈するコンピュータを含む。J.S.VivianoのAssessing Orthotic Normalization of Pharyngeal Dynamics,J.Craniomandibular Practice July2004,vol.22,no.3,pp192から208を参照。咽頭グラムは、咽頭メータの出力であり、咽頭気道の幾何学的形状を図表で現す。特に、咽頭グラムは口腔尾部から声門への気道領域の断面を表す。曲線の下の領域は気道の所与の長さ及び特定の解剖学的境界に関する咽頭に沿った境界を表す。
【0063】
吸入エアロゾル薬物の肺堆積を研究するために音響学的咽頭メータを使用することは新規である。これまでは、音響学的咽頭メータは睡眠無呼吸やいびきの研究で使用されてきた。例えば、K.Monahan等のOropharyngeal Dimensions in Adults: Effect of Ethnicity,Gender,and Sleep Apnea,J.CHn.Sleep Medicine 2005,vol.1,no.3,pp257から263、及びJ.S.Vivianoの、Acoustic Reflection: Review and Clinical Applications for Sleep Disordered Breathing,Sleep and Breathing 2002,vol.6,No.3,2002を参照する。さらにこれまでは、音響学的咽頭メータからのデータは対象者の呼気部分で得られ、吸入エアロゾル薬物の肺堆積研究の目的のための患者の幾何学的形状を測定する実験では、データは対象者の呼吸の吸気間で集められていた。
【0064】
実験結果は、ステップ構造を有するマウスピースを含む装置は、吸入エアロゾル薬物の肺での堆積の助けとなることを示すいくつかの重要な傾向を示す。最初に、口腔の断面が、より大きなステップオフセットにより増加する。第二に、驚くべきかつ予期せぬことであったが、咽頭の断面が、より大きなステップオフセットにより増加する。第三に驚くべきかつ予期せぬことであったが、気道の全容量がより大きなステップオフセットにより増加する。第四に、驚くべき予期せぬことであったが、睡眠無呼吸に悩む患者にとってこの装置の使用は下咽頭をかなり広げる結果となった。
【0065】
このように、気道の一部の断面が増加すること、又は気道の全容積が増加することは、患者の肺に、吸入エアロゾル薬物を輸送する上で重要である。
【0066】
実施例
3つの異なる断面積及び4つの異なるステップオフセットを持つ12の異なる装置を調製した。装置の3つの断面積は、161mm2(垂直方向の楕円短軸が10mm、及び水平方向の楕円長軸が28mmである、楕円形状の面積)、232mm2(15mmx28mm)及び278mm2(20mx28m)であった。4つのステップオフセット値は、−3mm、0mm、+3mm及び+6mmであった。
【0067】
これら12の装置につき4人の異なる患者の咽頭メータが得られた。データは約0.42cm間隔で得た。4回の試がそれぞれの装置でそれぞれの患者に対し行われた。
【0068】
一般的な咽頭グラムが図7から9に示される。図7は、一例の患者の161mm2断面を持つ装置の4つの異なるステップオフセット値を表す4つの曲線を示す。図8は、同じ患者の232mm2断面を持つ装置の4つの異なるステップオフセット値を表す4つの曲線を示す。図9は、同じ患者の278mm2断面を持つ装置の4つの異なるステップオフセット値を表す4つの曲線を示す。
【0069】
図7のピーク値と谷値は、患者の気道の幾何学的形状を示す。横軸に沿った距離は、患者の歯からcmで測定した気道に沿った距離を表す。最初の大きなピークは、71’とラベルされている、患者の口腔の対応し、肩73’は中咽頭に対応し、谷値74’は咽頭蓋に対応し、大きなピーク75’は下咽頭に対応し、谷値76’は声門に対応し、構造77’は咽頭構造に対応する。
【0070】
図7から、ステップオフセット値の増加は口腔を広げるだけでなく驚くべきことに、下咽頭も広げることが分かる。これはまた図8及び9にも示される。これらのグラフは従って、口腔内の断面はより大きなステップオフセット値で増加することを示す。さらに、下咽頭の断面も大きなステップオフセット値で増加した。下咽頭断面のステップオフセット増加による増加は、予期しない結果である。
【0071】
気道の容積は、咽頭グラフデータに基づき計算され表1にまとめられた。個々の患者について、表1にそれぞれの容積がcm3で示されている。
【0072】
【表1】
個々の患者について、装置の断面が大きくなるほど、特定のオフセットでの気道容積は大きくなった。しかし驚くべきことでありかつ予期せぬことであるが、気道の全容積はまた一般的に個々の患者についてステップオフセットが増加すると増加する。
【0073】
ある患者のデータでは、口をより大きく広げると、気道がより大きく開くことが示される。しかし驚くべきことに、咽頭グラムから得られたデータに基づくと、ある患者では、口を大きく広げすぎると、例えば口腔咽頭接合部又は咽頭蓋などの締め付けられる点を通じての気流が妨げられる。この驚くべきデータに基づき、2つの極端な値の間のどこかで、口を部分的に広げられる際に顎の垂直位置に関連して最大の肺堆積が生じることが予想される。
【0074】
さらに、ある患者のデータでは、下顎の前進がより大きいほど気道の開口がより大きいことが示される。しかしまた驚くべきことに、咽頭グラムから得られたデータに基づくと、ある患者では、口を大きく広げすぎると、例えば口腔咽頭接合部又は咽頭蓋などの締め付けられる点を通じての気流が妨げられる。この驚くべきデータに基づき、2つの極端な値の間のどこかで、口を部分的に広げられる際に顎の垂直位置に関連して最大の肺堆積が生じることが予想される。
【0075】
従って、顎の水平方向位置、垂直方向位置又は水平方向位置と垂直方向位置との組み合わせが最適な肺堆積与えるということは驚くべきことである。吸入エアロゾル薬物の肺堆積応答と、顎の前進及び顎の開口とをプロットした結果、山形の応答表面を示す。山形の位置は患者により異なり決められる。
【0076】
図10は、睡眠無呼吸に悩む患者4の161mm断面を持つ装置の4つの異なるステップオフセット値を表す4つの曲線を示す。ステップオフセット−3mmを持つ装置について、図10は、下咽頭の領域にピークを示さない。かかるピークの欠失は下咽頭の陥没を示す。しかし、正のステップオフセット値を持つ装置に対応する曲線においては下咽頭に対応するピークが存在する。この観察は、装置が睡眠無呼吸に悩む患者に有用であることを示す。
【0077】
本発明は、現時点で最も実際的でかつ好ましい実施態様と考えられるものに基づいて説明の目的で詳細に記載されてきた。しかしかかる詳細な説明はその目的のためであること、及び本発明は開示された実施態様に限定されないこと、むしろ逆に、添付の特許請求の範囲の範囲及び本質に基づき種々の改良及び均等な変更をも含むものである、ということは理解されるべきである。例えば本発明は、可能な限り全ての実施態様のひとつ又はそれ以上の構成が全ての他の実施態様のひとつ又はそれ以上の構成と組む合わせることが可能である、ということは理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者にエアロゾル輸送を補助する装置であり;
フロントエンド、バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、
前記フロントエンドから前記バックエンドへ前記装置を通じるボア、
前記トップサイド上の前記バックエンドに面する上部ステップ、及び
前記ボトムサイド上の前記フロントエンドに面する下部ステップ、を含み、
前記上部ステップがさらに、前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であり、前記フロントエンドが入口部を含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であり、前記入口部がエアロゾル薬物吸入輸送装置に適合される、装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であり、前記入口部が吸入器への取り付けに適合される、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であり、前記上部ステップがさらに、前記下部ステップよりも1から6mm前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であり、前記上部ステップがさらに、前記下部ステップよりも3から6mm前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、装置。
【請求項7】
患者にエアロゾル輸送を補助する装置であり;
フロントエンド、及びバックエンド、
前記フロントエンドから前記バックエンドを通じるボア、を含み、
前記装置がさらに、患者の下歯及び上歯を受けるように適合され、
患者の口内に前記チューブの前記バックエンドを挿入し前記チューブを噛み下ろす際に、前記チューブが下顎の前進を引き起こす、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であり、前記下顎の前進が前記患者の上部気道を開く、装置。
【請求項9】
マウスピースであり、
バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、
前記ボトムサイド上に前記バックエンドの面する上部ステップ、
前記ボトムサイド上に前記バックエンドから離れるように面する下部ステップと、を有し、
前記上部ステップがさらに、前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、マウスピース。
【請求項10】
請求項9に記載のマウスピースであり、前記マウスピースがさらにエアロゾル薬物吸入輸送装置に取り付けられている、マウスピース。
【請求項11】
請求項10に記載のマウスピースであり、請求項エアロゾル薬物吸入輸送装置が吸入器である、マウスピース。
【請求項12】
請求項11に記載のマウスピースであり、前記吸入器が定量投与吸入器である、マウスピース。
【請求項13】
請求項11に記載のマウスピースであり、前記吸入器が乾燥粉末吸入器である、マウスピース。
【請求項14】
請求項10に記載のマウスピースであり、前記エアロゾル薬物吸入輸送装置がネブライザである、マウスピース。
【請求項15】
患者へエアロゾル輸送を補助するための方法であり、下顎前進装置を使用することを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であり、前記下顎前進装置がボアを含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であり、吸入エアロゾル薬物が前記ボアから患者へ導入される、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であり、前記下顎前進装置が、
フロントエンド、バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上に前記バックエンドに面する上部ステップ及び前記ボトムサイド上に前記フロントエンドに面する下部ステップを含み、
前記上部ステップがさらに前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、方法。
【請求項19】
患者にエアロゾルを輸送する方法であり、請求項7に記載の装置を使用する、方法。
【請求項20】
患者にエアロゾルを輸送する方法であり、請求項1に記載の装置を使用する、方法。
【請求項21】
エアロゾル薬物吸入輸送装置であり、マウスピースを含み、前記マウスピースが、
バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上の前記バックエンドに面する上部ステップ、前記ボトムサイド上の前記バックエンドから離れて面する下部ステップを含み、
前記上部ステップがさらに前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、装置。
【請求項22】
定量投与吸入器であり、マウスピースを含み、前記マウスピースが、
バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上の前記バックエンドに面する上部ステップ、前記ボトムサイド上の前記バックエンドから離れて面する下部ステップを含み、
前記上部ステップがさらに前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、定量投与吸入器。
【請求項23】
定量投与吸入アクチュエータであり、マウスピースを含み、前記マウスピースが、
バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上の前記バックエンドに面する上部ステップ、前記ボトムサイド上の前記バックエンドから離れて面する下部ステップを含み、
前記上部ステップがさらに前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、定量投与吸入アクチュエータ。
【請求項24】
乾燥粉末吸入器であり、マウスピースを含み、前記マウスピースが、
バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上の前記バックエンドに面する上部ステップ、前記ボトムサイド上の前記バックエンドから離れて面する下部ステップを含み、
前記上部ステップがさらに前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、乾燥粉末吸入器。
【請求項25】
装置であり:
エアロゾルを受けるように構成される入口部;
該エアロゾルを患者に輸送するように構成されるマウスピース;及び
前記入口部と前記マウスピースとの間の中空体であって、前記中空体は該エアロゾルの前記入口部から前記マウスピースへの流通を可能とするように構成されており;
前記マウスピースが、患者へのエアロゾル輸送の際に選択された程度の下顎の前進可能とするように構成されたステップ構造を含み、
前記マウスピースが関連する断面領域を有し、
前記断面領域が垂直コンポーネントと水平コンポーネントで定義され、前記垂直コンポーネントが、患者へエアロゾルを輸送する際に患者の口を垂直に開く程度を定義し、及び
少なくともひとつのオフセット、前記垂直コンポーネント及びそれらの組み合わせが、患者の肺内に該エアロゾルの堆積を最適化するように、選択される、装置。
【請求項1】
患者にエアロゾル輸送を補助する装置であり;
フロントエンド、バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、
前記フロントエンドから前記バックエンドへ前記装置を通じるボア、
前記トップサイド上の前記バックエンドに面する上部ステップ、及び
前記ボトムサイド上の前記フロントエンドに面する下部ステップ、を含み、
前記上部ステップがさらに、前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であり、前記フロントエンドが入口部を含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であり、前記入口部がエアロゾル薬物吸入輸送装置に適合される、装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であり、前記入口部が吸入器への取り付けに適合される、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であり、前記上部ステップがさらに、前記下部ステップよりも1から6mm前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であり、前記上部ステップがさらに、前記下部ステップよりも3から6mm前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、装置。
【請求項7】
患者にエアロゾル輸送を補助する装置であり;
フロントエンド、及びバックエンド、
前記フロントエンドから前記バックエンドを通じるボア、を含み、
前記装置がさらに、患者の下歯及び上歯を受けるように適合され、
患者の口内に前記チューブの前記バックエンドを挿入し前記チューブを噛み下ろす際に、前記チューブが下顎の前進を引き起こす、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であり、前記下顎の前進が前記患者の上部気道を開く、装置。
【請求項9】
マウスピースであり、
バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、
前記ボトムサイド上に前記バックエンドの面する上部ステップ、
前記ボトムサイド上に前記バックエンドから離れるように面する下部ステップと、を有し、
前記上部ステップがさらに、前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、マウスピース。
【請求項10】
請求項9に記載のマウスピースであり、前記マウスピースがさらにエアロゾル薬物吸入輸送装置に取り付けられている、マウスピース。
【請求項11】
請求項10に記載のマウスピースであり、請求項エアロゾル薬物吸入輸送装置が吸入器である、マウスピース。
【請求項12】
請求項11に記載のマウスピースであり、前記吸入器が定量投与吸入器である、マウスピース。
【請求項13】
請求項11に記載のマウスピースであり、前記吸入器が乾燥粉末吸入器である、マウスピース。
【請求項14】
請求項10に記載のマウスピースであり、前記エアロゾル薬物吸入輸送装置がネブライザである、マウスピース。
【請求項15】
患者へエアロゾル輸送を補助するための方法であり、下顎前進装置を使用することを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であり、前記下顎前進装置がボアを含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であり、吸入エアロゾル薬物が前記ボアから患者へ導入される、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であり、前記下顎前進装置が、
フロントエンド、バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上に前記バックエンドに面する上部ステップ及び前記ボトムサイド上に前記フロントエンドに面する下部ステップを含み、
前記上部ステップがさらに前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、方法。
【請求項19】
患者にエアロゾルを輸送する方法であり、請求項7に記載の装置を使用する、方法。
【請求項20】
患者にエアロゾルを輸送する方法であり、請求項1に記載の装置を使用する、方法。
【請求項21】
エアロゾル薬物吸入輸送装置であり、マウスピースを含み、前記マウスピースが、
バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上の前記バックエンドに面する上部ステップ、前記ボトムサイド上の前記バックエンドから離れて面する下部ステップを含み、
前記上部ステップがさらに前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、装置。
【請求項22】
定量投与吸入器であり、マウスピースを含み、前記マウスピースが、
バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上の前記バックエンドに面する上部ステップ、前記ボトムサイド上の前記バックエンドから離れて面する下部ステップを含み、
前記上部ステップがさらに前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、定量投与吸入器。
【請求項23】
定量投与吸入アクチュエータであり、マウスピースを含み、前記マウスピースが、
バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上の前記バックエンドに面する上部ステップ、前記ボトムサイド上の前記バックエンドから離れて面する下部ステップを含み、
前記上部ステップがさらに前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、定量投与吸入アクチュエータ。
【請求項24】
乾燥粉末吸入器であり、マウスピースを含み、前記マウスピースが、
バックエンド、トップサイド、ボトムサイド、前記トップサイド上の前記バックエンドに面する上部ステップ、前記ボトムサイド上の前記バックエンドから離れて面する下部ステップを含み、
前記上部ステップがさらに前記下部ステップよりも前記バックエンドの方に位置する、乾燥粉末吸入器。
【請求項25】
装置であり:
エアロゾルを受けるように構成される入口部;
該エアロゾルを患者に輸送するように構成されるマウスピース;及び
前記入口部と前記マウスピースとの間の中空体であって、前記中空体は該エアロゾルの前記入口部から前記マウスピースへの流通を可能とするように構成されており;
前記マウスピースが、患者へのエアロゾル輸送の際に選択された程度の下顎の前進可能とするように構成されたステップ構造を含み、
前記マウスピースが関連する断面領域を有し、
前記断面領域が垂直コンポーネントと水平コンポーネントで定義され、前記垂直コンポーネントが、患者へエアロゾルを輸送する際に患者の口を垂直に開く程度を定義し、及び
少なくともひとつのオフセット、前記垂直コンポーネント及びそれらの組み合わせが、患者の肺内に該エアロゾルの堆積を最適化するように、選択される、装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【公表番号】特表2012−513233(P2012−513233A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541658(P2011−541658)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055297
【国際公開番号】WO2010/073148
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055297
【国際公開番号】WO2010/073148
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
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