説明

エアロゾル療法デバイス

【課題】圧縮気体の補助によって生成されユーザの一方の鼻孔に供給される主エアロゾル流に圧力変動を重畳する、治療的エアロゾルデバイスを提供する。
【解決手段】圧縮気体を供給することができ、エアロゾルを発生させて前記供給された圧縮気体とともに主エアロゾル流を形成する、エアロゾル発生装置を有する噴霧デバイスと、前記エアロゾルをユーザの鼻の2つの鼻孔のうち一方に供給するために、前記噴霧デバイスに連結されたノーズピース10と、ユーザの2つの鼻孔のうち他方に通気抵抗をもたらすための通気抵抗デバイス11と、前記主エアロゾル流に重畳する圧力変動を供給するための連結デバイス10c、11bとを含み、前記圧力変動がユーザの2つの鼻孔のそれぞれの鼻孔に直接導入されるように、前記連結デバイスが前記ノーズピースまたは前記通気抵抗デバイス上に形成されている、治療的エアロゾルデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧デバイスで生成されたエアロゾルが主エアロゾル流の形でノーズピースを通って患者の鼻腔に供給される、エアロゾル療法デバイスに関する。
【0002】
「Eindringvermogen von Aerosolen en in Nebenraume」H.Kauff,Archiv.klin.exper Ohren−,Nasen−and Kehlkopfheilk 190,95−108(1968)の記述により知られているように、圧力変動および振動は、鼻腔を通る主エアロゾル流が他の方法では有効に通気されない副鼻腔に、エアロゾルを浸透させることができる。これを実現したものの例が、EP0507707A1号によって知られている。これによると、エアロゾル流は、主エアロゾル流中のエアロゾル粒子/飛沫が開口部を通って副鼻腔に入る圧力変動に重畳する。このように、主エアロゾル流が直接副鼻腔を通って流れなくても、副鼻腔はエアロゾルの形で投与される薬物によって到達および治療されることができる。他のタイプのエアロゾル療法でも同様に、所望の場所に十分な量の薬物を付着させることが試みられており、副鼻腔の場合、主エアロゾル流の十分な量のエアロゾルが開口部を通り副鼻腔に浸透する必要がある。
【0003】
様々なタイプのヒトの鼻を使用した実験では、既知のエアロゾル療法デバイスを使用すると、副鼻腔への付着が所望より少ないことが実証された。疾患の結果として非常に狭くなっていることが多い開口部の開口の大きさも、付着に及ぼす影響が大きい。
【0004】
上述のタイプのエアロゾル療法デバイスは、DE10239321B3号により知られているように、主エアロゾル流を生成するために圧縮空気が供給されるエアロゾル発生装置を有する噴霧器を含み、主エアロゾル流に重畳させる圧力変動を供給するためのコネクタ、および噴霧器に連結して2つの鼻翼の一方にエアロゾルを供給するためのノーズピースを含む。通気抵抗デバイスがさらに設けられ、これを使用してユーザの鼻の2つの鼻翼の他方で通気抵抗が精密に規定される。他方の鼻孔における通気抵抗のおかげで、重畳された圧力変動により、主エアロゾル流のエアロゾルが副鼻腔に到達しエアロゾルがそこに付着する範囲がより広くなる。
【0005】
しかし、圧縮気体の流れの供給およびDE10239321B3号に記載された圧力変動には噴霧器の特別の設計が必要であり、したがってすべての噴霧器がこの使用に適しているわけではない。
【0006】
このような背景に対して、本発明の目的は、治療に有用で、他の噴霧器を使用しても有効な通気が行われない副鼻腔への予測可能な付着を達成するために、副鼻腔にほぼ同量またはより多くのエアロゾル付着が得られる上述のタイプのエアロゾル療法において、他の噴霧器も使用することのできる適切な方法を開示することである。
【0007】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有するエアロゾル療法デバイスを使用して達成することができる。下位請求項には有利な実施形態が示されている。
【0008】
本発明によるデバイスの構成は特に、上下気道の疾患が鼻腔または副鼻腔が原因である場合、直接治療できるという特徴を有する。
【0009】
さらに本発明によるデバイスの構成は、副鼻腔に病因がある疾患を治療するために、液体の医療製剤をエアロゾルミストの形で副鼻腔内に特に有利に付着させることができるという特徴も有する。
【0010】
さらに、本発明によるデバイスの構成はまた、慢性またはアレルギー性副鼻腔炎、炎症または他の感染または症状(「萎縮性鼻炎」)などの疾患を、鼻および副鼻腔内に有効成分の付着を目標とし、それにより対症的な療法による望まない副作用を避けることによって、局所的に治療することもできるという特徴も有する。
【0011】
本発明を、実施形態を使用し図面を参照して、以下でより詳細に説明する。
【0012】
図1は、上述のエアロゾル療法のために使用することのできる、本発明の範囲内の噴霧デバイスの第1の例である。噴霧デバイス1は、噴霧チャンバ3に配置されたエアロゾル発生装置2を含む。エアロゾル発生装置の底部に保存された液体は、エアロゾル発生装置の一端(図1の下部)に配置されたコネクタ4を通して圧縮空気がエアロゾル発生装置2に供給されると、エアロゾル発生装置2によって噴霧される。圧縮空気は、エアロゾル発生装置の中心に配置された圧縮空気チャネル5を通って流れ、ノズル開口6を通ってエアロゾル発生装置の他端から出る。液体は、圧縮空気チャネルに隣接して配置されエアロゾル発生装置内でノズル開口からエアロゾル発生装置底部へと延びそこに保存された液体に向かって開口している貫通吸引チャネル7に引き込まれ、ノズル開口6の前方部分で噴霧チャンバ3内へと噴霧される。
【0013】
下気道、気管支および肺を対象とするエアロゾル療法の場合、患者はこのように生成されたエアロゾルを、噴霧デバイス上の連結部品8に取り付けられたマウスピースを通して噴霧デバイスから吸入する。これにより、エアロゾルが吸入段階で噴霧チャンバ3から引き出されるとき、必要に応じて周囲空気が噴霧チャンバ3内へと吸気管9を通って流れる。
【0014】
鼻腔を対象としたエアロゾル療法の場合は、マウスピースを、一方の端部10aが噴霧デバイス1上の連結部品8に取り付けるように構成され、他方の端部10bが患者の鼻の鼻孔に導入し鼻孔を密封することができるように設計されたノーズピース10に置換する。端部10bは好ましくは、開口角度が10度から40度の切頭円錐形である。これにより、噴霧器を垂直に保持すると確実にノーズピースが簡単かつ快適に患者の鼻孔に配置されるように、切頭円錐の長手方向軸が連結部品8の長手方向軸に対して傾斜している。上述のノーズピース10に関して、さらに図8を参照する。
【0015】
このように、噴霧デバイスで生成されたエアロゾルは患者の一方の鼻孔すなわち一方の鼻腔に供給される。エアロゾルを生成するために噴霧デバイスに供給される圧縮空気によって、確実に十分な量の主エアロゾル流が患者の鼻に入りまたは鼻を通過するようになる。主エアロゾル流は、一方の鼻孔から一方の鼻腔を通って他方の鼻腔へ流れる。主エアロゾル流には、より詳細には後述するが、圧力変動が重畳される。他の対策を取らない場合、鼻腔用のエアロゾル療法では一般的であるように、患者が軟口蓋によって喉および口から鼻腔を密閉すると、主エアロゾル流は患者の鼻の他方の鼻孔から出る。
【0016】
上述のように本発明の使用に適切な噴霧手段の第1の例では、主エアロゾル流は、また、システムがエアロゾルを生成するための圧縮気体を供給することにより擬似的に生成される。圧縮気体の流れは、少なくとも望ましい主エアロゾル流を生成するために使用することができる。しかし、他の噴霧デバイスは、例えば振動膜または超音波振動器によって、圧縮気体を供給せずにエアロゾルを生成する。このような場合、主エアロゾル流は別の方法を使用して本発明に従って生成しなければならない。後者のタイプの噴霧デバイスの例および主エアロゾル流を生成するための適切な方法を以下で述べる。
【0017】
本発明の使用に適切な噴霧手段の第2の例を、双方とも噴霧デバイスの切断図であるが異なる角度から見た、図2および3によって説明する。
【0018】
例えば、膜エアロゾル発生装置などのエアロゾル発生装置101を含む噴霧デバイス100を、図2および3に示す。噴霧する液体が液体リザーバ103に保存されており、エアロゾル発生装置101に供給される。エアロゾル発生装置101は、供給された液体からエアロゾルを生成し、これが拡散空間領域102へと放出される。膜エアロゾル発生装置では特に、エアロゾルの生成および放出は特定の方向にある程度まで拡散するエアロゾル雲の形で発生し、これがエアロゾル発生装置101から拡散空間領域102へと拡散する。
【0019】
噴霧手段100はさらに、圧縮気体媒体、特に空気、治療に有効な気体または診断に適切な気体を供給するための供給手段104を含む。圧縮気体の流れは、後述するように、主エアロゾル流を発生させることができるように供給手段104を介して吸入療法デバイス100に供給される。
【0020】
図2および3に示す噴霧デバイス100では、供給手段104を介して供給される圧縮気体は通気影響手段(flow influencing means)105に作用する。供給された気体媒体Mの流れに通気影響手段105が作用し、気体媒体Mがエアロゾルの拡散領域102の周りにシース流mを形成し、患者にエアロゾルを輸送し、それにより主エアロゾル流を形成するようになっている。供給された気体媒体Mの流れは図3の平面に例示されている。図3はさらに、通気影響手段105の周りに分散し通気影響手段の周りを循環する、供給された気体媒体Mを表すいくつかの矢印を示し、エアロゾル発生装置101によって放出されたエアロゾル雲が最終的に、基本的に中心に分散する拡散空間領域102のリムに沿って流れるようになっている。特に図3から容易に理解できるように、供給された圧縮気体はこのような方法でしか噴霧デバイス100から流出することができないので、このようにノーズピース110用の連結部品108の方へと向かう望ましい主エアロゾル流が発生する。生成されたエアロゾルが圧縮気体とともに搬送され、ノーズピース110用の連結部品108へと輸送される。
【0021】
ノーズピース100に関しては図2および3に明示的に示されていないが、上記の図1のノーズピース10の説明および図8の表示を参照されたい。
【0022】
図2および3に示す噴霧デバイスでは、通気影響手段が、拡散空間領域102の周りに配設された円筒管部品105の形で実現されている。エアロゾル発生装置によって生成されたエアロゾル雲は、円筒管部品105内へと拡散する。図2および3からさらに理解できるように、円筒管部品は、図示された実施形態では円形断面を有しており、このことは適切かつ有利である。供給された圧縮気体Mは、管部品105の外側シース面105aに作用する。圧縮気体Mは、円筒管部品105の周りの外側シース面105aに沿って流れ、それにより管部品105の前端105bの方向に拡散する。気体媒体Mの流れが歪み、方向を変更することによって、気体媒体Mは基本的に円筒管部品105の周りに均一に分布され、エアロゾル発生装置101の反対側に配設された前端105bに到達し、気体媒体は、管部品105の前端105bの周りおよびエアロゾル雲の拡散ゾーン102のリム部分を流れ、さらに管部品105の内面に沿って流れるようになっている。これにより円筒シース流mは、エアロゾルの拡散空間領域102の周りに形成される。
【0023】
図2および3に示すように、噴霧デバイス100の例示された管部品105はノーズピース110用の連結部品108と一体に構成されており、主エアロゾル流に搬送されるエアロゾルはそこを通って患者の鼻へと供給される。
【0024】
図2および3に示す噴霧デバイス100の例では、円筒管部品105は、エアロゾル発生装置101がエアロゾルを放出するチャンバ106内に配設されている。チャンバ106は噴霧デバイス100のハウジングの一部分109に囲まれており、ハウジングの一部分109は円筒管部品105と同様に、例えば環状円筒形などの円筒形の断面を有する。間隙部分107が、エアロゾル発生装置101から離れた位置に配設されている部分107aで終端するので、気体媒体Mの拡散は、エアロゾル発生装置101と反対側の管部品105の端面105bの方向に発生する。
【0025】
説明された噴霧デバイス100に関して、図2および3からさらに理解できるように、気体媒体Mの供給手段は、好ましくは噴霧デバイス100のハウジング109に設けられチャンバ106の方向に開口する円筒形連結部品104である。これにより円筒形連結部品104の出口104aは、この管部品が気体媒体Mに歪みおよび方向変更の効果を及ぼすように、管部品105と位置合わせして配置されている。
【0026】
出口104aおよび円筒形連結部品104の位置は図2で点線によって示されている。この図から理解できるように、円筒形連結部品104は好ましくは円形の円筒断面を有し、円筒管部品105の中心に配設されている。ただし、連結部品104は、例えば楕円形などの異なる断面を有することもでき、および/または管部品105に偏心的に配設することもできる。
【0027】
噴霧デバイス100の例示的な供給手段104は、例えばホースなどのラインを接続するための連結部品104bをさらに含む。圧縮気体Mがホースを介して供給される。
【0028】
上述の2つの例は、主エアロゾル流が圧縮気体によって生成され、噴霧デバイスのエアロゾル発生装置によって生成されたエアロゾルを噴霧デバイスのノーズピースへ輸送し、ノーズピースを介して患者の鼻の1つの鼻翼の開口に供給することができるようにする場合、噴霧デバイスは本明細書の始めに説明したエアロゾル療法で使用するのに適切であることを示している。
【0029】
本明細書に説明された本発明の一態様によると、図4および5に示す通気抵抗デバイス(flow resistance device)11が患者の鼻の他方の鼻翼の開口部に設けられる。通気抵抗デバイス11は、第1の開口11a、連結手段11bおよび、例えば第1の開口より小さい第2の開口11cの形の通気抵抗11cを有する。このように実現された通気抵抗は、患者の鼻を通る自然の通気経路の抵抗より大きい。有効量のエアロゾルが副鼻腔に浸透することができるのは、他方の鼻孔、すなわち患者の鼻を通る主エアロゾル流の流路の他端における通気抵抗が著しく高い場合のみである。
【0030】
エアロゾルを副鼻腔内へ浸透させるために必要な圧力変動が、連結手段11bを介して主エアロゾル流に加えられる。この目的のために、連結手段11bは適切な圧力変動供給源に連結されている。
【0031】
主エアロゾル流に加えられる圧力変動は、例えば別の方法で生成することもできる。図6に示すように、圧力変動は、膜20をピストンロッド22によって前後に動かすと中空空間21(圧力チャンバ)を耐圧式に密封する膜20によって、生成することができる。この目的のためにピストンロッド22が駆動プーリ23に偏心的に支持されており、駆動プーリ23が回転すると、ピストンロッド22は膜20に圧力変動生成運動をさせるようになっている。この目的のために、駆動プーリ23は電気モータ(図示せず)または別の適切な駆動装置に連結されている。
【0032】
圧力変動は連結手段11bに連結されたホースラインを介して通気抵抗手段11の内部に、および第1の開口11aを介して患者の鼻腔に到達する。
【0033】
患者の鼻孔用の通気抵抗手段11は、図4および5に示すように、例えば大きい第1の開口11aおよび小さい第2の開口11cを備えたストッパー11の形で実際の通気抵抗を実現することができる。ストッパーは円錐の基本形を有し、開口角度は10度から40度であり、これは人間の鼻の鼻孔に適合されており、したがって確実に嵌まるようになっている。ストッパーは好ましくは図5に示すように中空であり、患者の鼻腔をストッパーの内部に連結する第1のドリルホール11aを先細端に含む。圧力変動のための連結デバイス11bもまた、内部に向かって開いている。内部は小さい第2のドリル穴11cのみを含む壁11dによって、外部から密封されている。第2のドリル穴の直径dおよび長さlによって、主エアロゾル流に対して加えられる通気抵抗および圧力変動通気が決定する。図7は、本発明による通気抵抗デバイスの第2の開口11cの直径dおよび長さlの変化量の、可能な組合せの範囲の例を示す。dおよびlの適切な値は、図7にグレーの背景で示されている範囲から決定することができる。
【0034】
ノーズピース10の取扱いを簡単にし、ストッパー11を紛失しないようにするために、ストッパー11は好ましくは、図8に示すようにノーズピース10に連結される。このことは、1つの同じ材料によってノーズピース10と通気抵抗デバイス11の一体型の構成を示す、可撓性の連結要素13によって達成することができる。
【0035】
図9に示すように、本明細書に説明された本発明の別の態様によると、ノーズピース10は圧力変動を供給するための連結手段10cを備えている。言い換えると、エアロゾルを副鼻腔内に浸透させるために必要な圧力変動を鼻孔で主エアロゾル流に作用させ、主エアロゾル流をそこに投与することもできる。連結手段10cは、この目的のため、主エアロゾル流の出口であるノーズピース10の主出口10dまで延びている。ここに連結手段10cの出口10eが、ノーズピース10の主出口10dにすぐ隣接して配設されている。したがって連結手段10cを介して供給される圧力変動は主エアロゾル流に重畳する。この目的のため、連結手段10cは適切な圧力変動供給源に連結される。圧力変動の供給源に関して図6の説明を参照する。
【0036】
最後に説明される本発明の最終態様では、連結手段10cを介して圧縮気体の第2の流れを供給することによって、連結手段10cを介して主エアロゾル流に重畳される圧力変動に、基本的な流れが適切に追加される。圧縮気体の追加の流れは、患者の鼻腔を通る主エアロゾル流の生成に必要な圧縮気体の流れよりも大幅に少ない。主エアロゾル流と重畳される追加の流れの比率は、好ましくは少なくとも2:1である。
【0037】
圧力変動の供給が患者の鼻の一方または他方の鼻孔で直接行われることは、本発明の両方の態様に共通である。このことは、本発明の1つの態様によると、ストッパーを介して圧力変動が作用し、主エアロゾル流の出口である鼻孔で通気抵抗が発生することによって起きる。本発明の他の態様によれば、圧力変動はノーズピースの端部を介して患者の鼻腔内へと導入され、主エアロゾル流に重畳する。これによりノーズピースは、鼻孔内へと挿入されるストッパーの形で通気抵抗手段と同様に構成される。
【0038】
本発明の両方の態様では、圧力変動の時間を合わせることによってエアロゾルの副鼻腔での付着を改善することができる。言い換えると、圧力変動は常時主エアロゾル流に重畳するのではなく、選択された期間だけである。エアロゾル生成および主エアロゾル流を開始した後、所定の期間の後にのみ、圧力変動を重畳させるように、作用させる圧力変動の誘発または時間合わせを実行することができる。このとき、患者の鼻腔はエアロゾルで充填される。
【0039】
実施形態による上述の本発明の説明から容易に理解できるように、本発明によるデバイス構成の基本的な利点は、原因が鼻または副鼻である場合、上下気道の疾患を特に治療することである。当業者にはさらに明らかなように、本発明によるデバイス構成は、副鼻腔が原因で発生した疾患を治療するために、そこに液体医療製剤をエアロゾルミストの形で特に有利に付着させることができるという特徴を有する。
【0040】
本発明によるデバイス構成の特徴によって、慢性またはアレルギー性副鼻腔炎、炎症または感染または他の疾病または症状(「萎縮性鼻炎」)などの疾患を、鼻および副鼻腔内に有効成分の付着を目標とし、それにより対症療法による望まない副作用を避けて、局所的に治療することもできる。
【0041】
本発明によるエアロゾルデバイスの目的および対象は、鼻部分の中空の空洞および前頭洞内へと有効成分の導入を目標とすることである。解剖学的理由により、これらの部分は血液の供給が少なく換気の悪いことが多く、そのため経口的または非経口的に投与された有効成分が治療に有効な濃度で作用部位に到達しない。アクセスポイントは非常に小さく、閉塞していることが多いので、好ましくはそのような薬物製剤は、10μm未満、好ましくは約2から5μmの直径を有するエアロゾル飛沫で輸送することによってのみ、部位に到達することができる。有効成分の製剤に表面活性および接着性賦形剤を使用すると、そのような賦形剤によって伸展性および湿潤性が改善するので、治療効果を改善することができる。粘膜の腫脹を低減するために、例えば副腎皮質ホルモンおよび/または抗生物質などの、抗炎症性および抗アレルギー性有効成分の前に、またはそれと併用して、血管収縮物質を投与することが推奨される。
【0042】
これらの目標の1つに到達するために有用となり得る有効成分には、例えば、抗炎症剤、グルココルチコイド、抗感染剤、抗生物質、殺菌剤、単独あるいはバイオフィルム−減少化合物または排出ポンプ阻害剤と併用される抗ウイルス剤、防腐剤、免疫調整剤、抗酸化剤、菌溶解剤(mycolytics)、うっ血除去剤、血管収縮剤、創傷治療剤、局所麻酔、ペプチド、タンパク質および天然または合成植物抽出物の群から選択することのできる物質などがある。
【0043】
潜在的に有用な抗炎症剤の例には、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、デキサメタゾン、デソキシメタゾン、フルオコノロンアセトニド、フルシノニド、フルニソリド、フルチカゾン、アイコメタゾン、ロフレポニド、トリアムシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシコルチゾン−17−ブチレート、プレドニカルベート、6−アセポン酸メチルプレドニゾロン、フランカルボン酸モメタゾンなどのグルココルチコイドなどのステロイド性有効成分およびプロスタグランジン、ロイコトリエン、エラスタン、ブラジキニン拮抗剤、ヘパリンおよびヘパリノイド、デヒドロエピアンドロステンジオンおよびデヒドロピアンドロステロン(DHEA)などの非グルココルチコイドステロイドなどの非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs);薬理学的に許容可能な塩、エステル、異性体、立体異性体、ジアステレオマー、エピマー、溶媒和物または他の水和物、プロドラッグ、誘導体または対応する有効単位を含む有効成分の他の化学的または物理的形態がある。
【0044】
細菌、真菌のウイルス感染に対して有効である化合物を含む、すなわち抗菌物質、抗生物質、殺菌剤、防腐剤並びに単独あるいはバイオフィルム−減少化合物若しくは抑制剤および排出ポンプ阻害剤と併用される抗ウイルス剤、を含むとここでは理解される、抗感染剤、クラスまたは治療カテゴリーの例には、以下のものがある。
【0045】
− ベンジルペニシリン(ペニシリン−G−ナトリウム、クレミゾンペニシリン、ベンザシンペニシリンG)、フェノキシペニシリン(ペニシリンV、プロピシリン)、アミノベンジルペニシリン(アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン)、アシルアミノペニシリン(アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アパルシリン)、カルボキシペニシリン(カルベニシリン、チカルシリン、テモシリン)、イソキサゾリルペニシリン(オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、およびアミジンペニシリン(メシリナム)を含むペニシリン;
− セファゾリン(セファゾリン、セファゼドン);セフロキシム(セルフォキシム、セファムドール、セフォチアム);セフォキシチン(セフォキシチン、セフォテタン、ラタモキセフ、フロモキセフ);セフォタキシム(セフォタキシム、セフトリアキソン、セフチゾキシム、セフメノキシム);セフタジジム(セフタジジム、セフピロム、セフェピム);セファレキシン(セファレキシン、セファクロル、セファドロキシル、セフラジン、ロラカルベフ、セフプロジル)、およびセフィキシム(セフィキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフロキシムアキセチル、セフェタメトピボキシル、セフォチアムヘキセチル)、ロラカルベフ、セフェピム、クラブラン酸/アモキシシリン、セフトビプロールを含むセファロスポリン;
− クラブラン酸、スルバクタムおよびタゾバクタムなどのβラクタマーゼ阻害剤を含む共同薬;
− イミペネム、シラスチン、メロペネム、ドリペネム、テビペネム、エルタペネム、リチペナム、およびビアペネムを含むカバペネム;
− アズトレオナムを含むモノバクタム;
− アプラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、イセパマイシン、アルベカシン、トブラマイシン、ネチルマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、カプレオマイシン、ネオマイシン、パロマイシンおよびカナマイシンなどのアミノグリコシド;
− エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン、ジスロマイシン、ジョサマイシン、スピラマイシンおよびテリスロマイシンを含むマクロライド;
− シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、ペルフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、ガレノキサシン、クリナフロキサシン、シタフロキサシン、プルリフロキサシン、オラムフロキサシン、カデロフロキサシン、ゲミフロキサシン、バロフロキサシン、トロバフロキサシンおよびモキシフロキサシンを含むギラーゼ阻害剤またはフルオロキノロン;
− テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、チゲサイクリンおよびアミノサイクリンを含むテトラサイクリン;
− バンコマイシン、テイコプラニン、リストセチン、アボパルシン、オリタバンシン、ラモプラニンおよびペプチド4を含むグリコペプチド;
− プレクタシン、ダルババンシン、ダプトマイシン、オリタバンシン、ラモプラニン、ダルババンシン、テラバンシン、バシトラシン、チロトリシン、ネオマイシン、カナマイシン、ムピロシン、パロモマイシン、ポリミキシンBおよびコリスチンを含むポリペプチド;
− スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファレン、コトリモキサゾール、コトリメトロール、コトリモキサジン、コテトラキサジンを含むスルホンアミド;
− クロトリマゾール、オキシコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、メトロニダゾール、チニダゾール、ビフォナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾールおよびオルニダゾールおよびフルシトシン、グリセオフルビン、トノフタール、ナフチフィン、テルビナフィン、アモロルフィン、シクロピロックスオーラミン、ミカファンギン、カスポファンギン、アニデュラファンギンなどのエキノカンジンを含む他の殺菌剤を含むアゾール;
− ニトロフラントインおよびニトロフランゾンを含むニトロフラン;
− アンフォテリシンB、ナタマイシン、ナイスタチン、フルコサイトシンを含むポリエン;
− チトロマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、オキサゾリンジオン(リンゼゾリド)、ランベゾリド、ストレプトグラミンA+B、プリスチナマイシンaA+B、バージニアマイシンA+B、ダルフォプリスチン/ギウヌプリスチン(シネルシド)、クロラムフェニコール、エタンブトール、ピラジンアミド、テリジドン、ダプソン、プロチオンアミド、ホスホマイシン、フシジン酸(fucidinic acid)、リファンピシン、イソニアジド、シクロセリン、テリジドン、アンサマイシン、リソスタフィン、イクラプリム、ミロシンB17、クレロシジン、フィルグラスチムおよびペンタミジンを含む他の抗生物質;
− アシクロビル、ガンシクロビル、ビリブジン、バラシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、サイアシチジン(thiacytidin)、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、リバビリン、ネビラピリン、デラビリジン、トリフルリジン、リトナビル、サキナビル、インジナビル、ホスカルネット、アマンタジン、ポドフィロトキシン、ビダラビン、トロマンタジンおよびプロテイナーゼ阻害剤を含む抗ウイルス剤;
− アクリジン誘導体、ヨードプロビドン、ベンゾエート、リバノール、クロロヘキセチジン、第4級アンモニウム化合物、セトリミド、ビフェニルオール、クロロフェンおよびオクテニジンを含む防腐剤;
− カモミール、ハマメリス、エキナセア(echiancea)、キンセンカ(calendula)、パパイン、ペラルゴニウム、精油、ミルテ油、ピネン、リモネン、シネオール、チモール、メントール、ショウノウ、タンニン、アルファヘデリン、ビザボール油、リコポジン、ビタフェル油(vitapher oil)の植物抽出物などの植物抽出物または成分;
− デクスパンテノール、アラントイン、ビタミン、ヒアルロン酸、アルファアンチトリプシン、無機および有機亜鉛塩/化合物、ビスマス塩、インターフェロン(α、β、γ)、腫瘍壊死因子、サイトカイン、インターロイキンを含む創傷治療薬、メトトレキサート、アザチオプリン、サイクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、ラパマイシン、モフェチルを含む免疫調節剤、細胞増殖抑制剤および転移阻害剤、ニムスチン、メルファンラン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロロアンブシル、ブスルファン、トレオスルファン、プレドニムスチン、チオテパなどのアルキル化剤;
− 例えばシタラビン、フルオロウラシル、メトトレキサート、メルカプトプリン、チオグアニンなどの代謝拮抗剤;ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンなどのアルカロイド;アルカルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、プリカマイシンなどの抗生物質;カルボプラチン、シスプラチンなどの2群要素(例えばTi、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Pt)の複合物およびチタノセンジクロリドなどのメタロセン化合物;アムサクリン、ダカルバジン、エストラムスチン、エトポシド、ベラプロスト、ヒドロキシカルバミド、ミトキサントロン、プロカルバジン、テミポシド(temiposide);パクリタキセル、イレッサ、ザクチマ、ポリ−ADP−リボース−ポイメラーセ(PRAP)酵素阻害剤、バノキサントロン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ベバシズマブ、ラニビズマブなどがある。
【0046】
潜在的に有用な菌溶解剤の例には、Dナーゼ、P2Y2−作用薬(デヌホソル)、ヘパリノイド、グアイフェネシン、アセチルシステイン、カルボシステイン、アンブロキソール、ブロムヘキシン、チロキサポール、レシチン、ミルテ油、および組換え表面タンパク質がある。
【0047】
粘膜の腫脹を低減するのに有用となり得る潜在的に有用な血管収縮剤の例には、フェニレフリン、ナファゾリン、トラマゾリン、テトリゾリン、オキシメタゾリン、フェノキサゾリン、キシロメタゾリン、エピネフリン、イソプレナリン、ヘキソプレナリンおよびエフェドリンがある。
【0048】
潜在的に有用な局所麻酔の例には、ベンゾカイン、テトラカイン、プロカイン、リドカインおよびブピバカインがある。
【0049】
潜在的に有用な局所抗アレルギー剤の例には、上述のグルココルチコイド、クロモリンナトリウム、ネドクロミル、セトリジン、ロラチジン、モンテルカスト、ロフルミラスト、ジロートン、オマリズマブおよびヘパリノイドがある。
【0050】
潜在的に有用なペプチドおよびタンパク質の例には、抗毒素微生物から生成される抗体、セクロピン、デフェンシン、チオニンおよびカテリシジンなどの抗菌性ペプチドがある。
【0051】
上述の有効成分の組合せには、薬理学的に許容可能な塩、エステル、異性体、立体異性体、ジアステレオマー、エピマー、溶媒和物または他の水和物、プロドラッグ、誘導体または対応する有効単位を含む有効成分の他の化学的または物理的形態がある。
【0052】
上述の物質は、好ましくは共通の薬理学的構成の形で、または塩、エステル、異性体、立体異性体、ジアステレオマー、エピマー等として使用され、それぞれの場合の目的は保存したときに安定的な投与形態を得ることである。このため、製剤は例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、粉末または凍結乾燥物(lyophilisate)等として、水性または非水性溶媒または混合物を備えた2チャンバシステムで、多様な投与形態で使用することができる。可溶性を向上させるために、例えばグリセロール、プロピレングリコール、エタノールなどの賦形剤を添加し、副鼻腔および前頭洞への浸透を促進し、表面張力を低減し、および/または付着時間および停止時間(制御解除)を延長することが有利であり、適切な場合には、例えば非イオン界面活性剤、例えばチロキサポール、ビタミンE−TPGS、ポリソルベート、プルロニック等および/または例えばリン脂質、セルロースエーテル、デキサトラン、キトサン、シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等、他の添加剤を追加することによって達成することができる。
【0053】
また本発明では、上述の有効成分および物質のクラスの製剤および投与は、小さい飛沫によって輸送するために特に適切な、約1μm未満の直径形状を備えた、マイクロメートル範囲、好ましくはナノメートル範囲のリポソーム、懸濁液、乳濁液として述べられている。これにより、本発明によるデバイスを使用してこれらの調剤が副鼻腔および前頭洞により良く浸透し付着することができ、したがってその作用を発現する。溶液での保存安定性が低いことにより固体製剤として使用しなければならない有効成分を、適切な水性または非水性溶媒(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリコール、プルロニック、エタノール)またはそれらの混合物に、適応直前に溶解または懸濁させることができる。悪臭または局所刺激物質を、例えばシクロデキストリンと複合することによって投与への許容性を高めるために、被覆しケースに入れる方法もまた、述べられている。あるいは、治療効果を強化し適応頻度を減らすことができるように、吸収特性を調節するために、これらの有効成分を例えばキトサンおよびセルロースエーテル誘導体またはゼラチンなどのポリマー賦形剤と接着させることもできる。可溶性アルカリおよびアルカリ土類の塩(例えばエムザー塩(Emser salt)、塩化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等)を含み、生理学的pH範囲(4から9)を有する等浸透圧または高浸透圧溶液を使用することが有利である。このことは、有効成分製剤に一般的な薬理学的緩衝物質を追加することによって達成することができる。製剤はまた、特に子供が対象である場合、許容性を高めるために薬剤として一般的な芳香および味覚調整剤を備えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によるエアロゾル療法デバイスで使用するための第1の噴霧デバイスの図である。
【図2】本発明によるエアロゾル療法デバイスで使用するための第2の噴霧デバイスの第1の図である。
【図3】本発明によるエアロゾル療法デバイスで使用するための第2の噴霧デバイスの第2の図である。
【図4】本発明による通気抵抗デバイスの図である。
【図5】本発明による通気抵抗デバイスの他の図である。
【図6】圧力変動を生成するためのデバイスの図である。
【図7】本発明による通気抵抗デバイスの、有効直径/長さの組合せの変動量を決定するためのグラフである。
【図8】通気抵抗デバイスに連結されたノーズピースの図である。
【図9】圧力変動を加えるための本発明によるノーズピースの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)好ましくは圧縮空気である圧縮気体を供給することができ、エアロゾルを発生させて前記供給された圧縮気体とともに主エアロゾル流を形成する、エアロゾル発生装置(2、102)を有する噴霧デバイス(1、100)と、
b)前記エアロゾルをユーザの鼻の2つの鼻孔のうち一方に供給するために、前記噴霧デバイス(1、100)に連結されたノーズピース(10)と、
c)ユーザの2つの鼻孔のうち他方に通気抵抗をもたらすための通気抵抗デバイス(11)と、
d)前記主エアロゾル流に重畳する圧力変動を供給するための連結デバイス(10c、11b)とを含み、前記圧力変動がユーザの2つの鼻孔のそれぞれの鼻孔に直接導入されるように、前記連結デバイス(10c、11b)が前記ノーズピース(10)または前記通気抵抗デバイス(11)上に形成されている、治療的エアロゾルデバイス。
【請求項2】
前記通気抵抗デバイス(11)が圧力変動を供給するために前記通気抵抗デバイスの内部へ延出する前記連結デバイス(11b)を含み、さらに前記内部とユーザの鼻腔を連結するための第1の開口(11a)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項3】
前記通気抵抗デバイス(11)が、ユーザの鼻腔を通る自然の流路の通気抵抗よりも通気抵抗が大きくなるように設計された第2の開口(11c)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項4】
前記第2の開口(11c)が、前記通気抵抗デバイス(11)の内部を制限する前記通気抵抗デバイス(11)の壁に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項5】
前記通気抵抗デバイス(11)が、鼻孔に挿入されるストッパーであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項6】
前記ストッパー(11)が、好ましくは開口角度が10度から40度である切頭円錐形に構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項7】
前記ノーズピース(10)が圧力変動を供給するための連結デバイス(10c)を含み、前記連結デバイスが、前記主エアロゾル流のための前記ノーズピース(10)の主出口(10d)の部分に位置する出口(10e)を有することを特徴とする、請求項1に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項8】
前記ノーズピース(10)が、一方の端部(10a)で前記噴霧デバイス(1、100)の連結部品(8、108)に取り付けられ、他方の端部(10b)で鼻腔に挿入しユーザの1つの鼻孔を密封するように形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項9】
鼻孔に挿入するように構成されている前記ノーズピース(10)の前記端部(10b)が、好ましくは開口角度が10度から40度である切頭円錐形に構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項10】
前記通気抵抗デバイス(11)が、連結部材(13)によって前記ノーズピースと連結されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項11】
前記圧力変動の周波数が10から100Hzの範囲、好ましくは15から55Hzの範囲内にあることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項12】
圧力チャンバ(20)を耐圧式に封止し、ピストンロッドによって前後に動く膜(21)を含む膜圧縮手段によって、前記圧力変動が生成されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項13】
前記エアロゾル発生装置が、ノズル開口(6)へと開口する圧縮空気チャネル(5)を有し、噴霧する液体が引き込まれる際に通過する少なくとも1つの吸入チャネル(7)を有する噴霧ノズル(2)であり、前記噴霧デバイスに供給された前記圧縮気体も前記エアロゾルの生成に作用することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項14】
前記エアロゾル発生装置が膜エアロゾル発生装置(101)であり、前記噴霧デバイス(100)が、主エアロゾル流を生成するように前記圧縮気体(M)を供給するための供給デバイス(104、104a、104b)をさらに含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項15】
前記噴霧デバイス(100)が、前記エアロゾル発生装置によって生成された前記エアロゾルが拡がる拡散空間領域(102)の周りに配設された円筒管部品(105)であり、前記供給された圧縮気体(M)が管部品(105)の外側シース面(105a)に作用し、前記管部品(105)の内部へ向かって前端部(105b)を流れることを特徴とする、請求項14に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項16】
前記円筒管部品(105)が前記噴霧デバイスによって囲まれたチャンバ(106)の1つに配設されており、前記供給された圧縮気体(M)が前記円筒管部品(105)の外側シース面(105a)とチャンバ(106)の内壁面(106a)の間に拡がるように間隙(107)が形成されていることを特徴とする、請求項15に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項17】
前記円筒管部品(105)の前記前端部(105b)が前記エアロゾル発生装置(101)の前方にあることを特徴とする、請求項15または16に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項18】
前記円筒管部品(105)が環状円筒形を有することを特徴とする、請求項15から17のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項19】
前記圧縮気体(M)を供給するための前記供給手段が円筒形連結部品(104)であることを特徴とする、請求項14から18のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項20】
前記円筒形連結部品(104)が前記円筒管部品(105)に向けられている出口(104a)を含むことを特徴とする、請求項19に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項21】
前記圧縮気体(M)を供給するための前記供給手段(104)が、前記圧縮気体(M)のための供給ラインに連結するための連結デバイス(104b)を含むことを特徴とする、請求項20に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項22】
前記圧縮気体の供給が、所定の時間間隔でのみ実行されることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項23】
前記主エアロゾル流を生成するための、前記圧縮気体の流れより小さい、別の圧縮気体の流れを、前記供給された圧縮変動に追加することを特徴とする、請求項1から22のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項24】
原因が鼻腔または副鼻腔である場合、上下気道の疾患を特に治療することができることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項25】
副鼻腔に病因がある疾患を治療するために、液体の医療製剤をエアロゾルミストの形で前記副鼻腔内に特に有利に付着させることができることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項26】
鼻および副鼻腔内に有効成分の付着を目標とすることにより、慢性またはアレルギー性副鼻腔炎、炎症または感染または他の疾患または症状(「萎縮性鼻炎」)などの疾患を局所的に治療することができ、これにより対症的な療法または望まない副作用を回避することを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイス。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか一項に記載された治療的エアロゾルデバイスの使用であって、
抗炎症剤、グルココルチコイド、抗感染剤、抗生物質、殺菌剤、単独あるいはバイオフィルム−減少化合物または排出ポンプ阻害剤と併用される抗ウイルス剤、防腐剤、免疫調整剤、抗酸化剤、菌溶解剤(mycolytics)、うっ血除去剤、血管収縮剤、創傷治療剤、局所麻酔、ペプチド、タンパク質および天然または合成植物抽出物の群から選択することのできる物質;
ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、デキサメタゾン、デソキシメタゾン、フルオコノロンアセトニド、フルシノニド、フルニソリド、フルチカゾン、アイコメタゾン、ロフレポニド、トリアムシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシコルチゾン−17−ブチレート、プレドニカルベート(prednicarbate)、6−アセポン酸メチルプレドニゾロン、フランカルボン酸モメタゾンなどのグルココルチコイドなどのステロイド性有効成分およびプロスタグランジン、ロイコトリエン、エラスタン、ブラジキニン拮抗剤、ヘパリンおよびヘパリノイドなどの非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)、デヒドロエピアンドロステンジオンおよびデヒドロピアントロステロン(DHEA)などの非グルココルチコイドステロイド;薬理学的に許容可能な塩、エステル、異性体、立体異性体、ジアステレオマー、エピマー、溶媒和物または他の水和物、プロドラッグ、誘導体または対応する有効単位を含む有効成分の他の化学的または物理的形態;
そのクラスまたは治療カテゴリーが、細菌、真菌およびウイルス感染に対して有効である化合物を含む、すなわち抗菌物質のクラス、抗生物質、殺菌剤、消毒剤および単独あるいはバイオフィルム−減少化合物または抑制剤と併用される抗ウイルス剤、および排出ポンプ阻害剤を含むとここでは理解される抗感染剤、
ベンジルペニシリン(ペニシリン−G−ナトリウム、クレミゾンペニシリン、ベンザシンペニシリンG)、フェノキシペニシリン(ペニシリンV、プロピシリン)、アミノベンジルペニシリン(アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン)、アシルアミノペニシリン(アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アパルシリン)、カルボキシペニシリン(カルベニシリン、チカルシリン、テモシリン)、イソキサゾリルペニシリン(オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、アミジンペニシリン(メシリナム)を含むペニシリン;
セファゾリン(セファゾリン、セファゼドン);セフロキシム(セルフォキシム、セファムドール、セフォチアム);セフォキシチン(セフォキシチン、セフォテタン、ラタモキセフ、フロモキセフ);セフォタキシム(セフォタキシム、セフトリアキソン、セフチゾキシム、セフメノキシム);セフタジジム(セフタジジム、セフピロム、セフェピム);セファレキシン(セファレキシン、セファクロル、セファドロキシル、セフラジン、ロラカルベフ、セフプロジル)、およびセフィキシム(セフィキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフロキシムアキセチル、セフェタメトピボキシル、セフォチアムヘキセチル)、ロラカルベフ、セフェピム、クラブラン酸/アモキシシリン、セフトビプロールを含むセファロスポリン;
クラブラン酸、スルバクタムおよびタゾバクタムなどのβラクタマーゼ阻害剤を含む共同薬;
イミペネム、シラスチン、メロペネム、ドリペネム、テビペネム、エルタペネム、リチペナム、およびビアペネムを含むカバペネム;
アズトレオナムを含むモノバクタム;
アプラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、イセパマイシン、アルベカシン、トブラマイシン、ネチルマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、カプレオマイシン、ネオマイシン、パロマイシンおよびカナマイシンなどのアミノグリコシド;
エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン、ジスロマイシン、ジョサマイシン、スピラマイシンおよびテリスロマイシンを含むマクロライド;
シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、ペルフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、ガレノキサシン、クリナフロキサシン、シタフロキサシン、プルリフロキサシン、オラムフロキサシン、カデロフロキサシン、ゲミフロキサシン、バロフロキサシン、トロバフロキサシンおよびモキシフロキサシンを含むギラーゼ阻害剤またはフルオロキノロン;
テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、チゲサイクリンおよびアミノサイクリンを含むテトラサイクリン;
バンコマイシン、テイコプラニン、リストセチン、アボパルシン、オリタバンシン、ラモプラニンおよびペプチド4を含むグリコペプチド;
プレクタシン、ダルババンシン、ダプトマイシン、オリタバンシン、ラモプラニン、ダルババンシン、テラバンシン、バシトラシン、チロトリシン、ネオマイシン、カナマイシン、ムピロシン、パロモマイシン、ポリミキシンBおよびコリスチンを含むポリペプチド;
スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファレン、コトリモキサゾール、コトリメトロール、コトリモキサジン、コテトラキサジンを含むスルホンアミド;
クロトリマゾール、オキシコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、メトロニダゾール、チニダゾール、ビフォナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾールおよびオルニダゾール並びにフルシトシン、グリセオフルビン、トノフタール、ナフチフィン、テルビナフィン、アモロルフィン、シクロピロックスオーラミン、ミカファンギン、カスポファンギン、アニデュラファンギンなどのエキノカンジンを含む他の殺菌剤を含むアゾール;
ニトロフラントインおよびニトロフランゾンを含むニトロフラン;
アンフォテリシンB、ナタマイシン、ナイスタチン、フルコサイトシンを含むポリエン;
チトロマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、オキサゾリンジオン(リンゼゾリド)、ランベゾリド、ストレプトグラミンA+B、プリスチナマイシンaA+B、バージニアマイシンA+B、ダルフォプリスチン/ギウヌプリスチン(シネルシド)、クロラムフェニコール、エタンブトール、ピラジンアミド、テリジドン、ダプソン、プロチオンアミド、ホスホマイシン、フシジン酸、リファンピシン、イソニアジド、シクロセリン、テリジドン、アンサマイシン、リソスタフィン、イクラプリム、ミロシンB17、クレロシジン、フィルグラスチムおよびペンタミジンを含む他の抗生物質;
アシクロビル、ガンシクロビル、ビリブジン、バラシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、サイアシチジン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、リバビリン、ネビラピリン、デラビリジン、トリフルリジン、リトナビル、サキナビル、インジナビル、ホスカルネット、アマンタジン、ポドフィロトキシン、ビダラビン、トロマンタジンおよびプロテイナーゼ阻害剤を含む抗ウイルス剤;
アクリジン誘導体、ヨードプロビドン、ベンゾエート、リバノール、クロロヘキセチジン、第4級アンモニウム化合物、セトリミド、ビフェニルオール、クロロフェンおよびオクテニジンを含む防腐剤;
カモミール、ハマメリス、エキナセア(echiancea)、キンセンカ(calendula)、パパイン、ペラルゴニウム、精油、ミルテ油、ピネン、リモネン、シネオール、チモール、メントール、ショウノウ、タンニン、アルファヘデリン、ビザボール油、リコポジン、ビタフェル油(vitapher oil)、の植物抽出物などの植物抽出物または成分;
デクスパンテノール、アラントイン、ビタミン、ヒアルロン酸、アルファアンチトリプシン、無機および有機亜鉛塩/化合物、ビスマス塩、インターフェロン(α、β、γ)、腫瘍壊死因子、サイトカイン、インターロイキンを含む創傷治療薬、メトトレキサート、アザチオプリン、サイクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、ラパマイシン、モフェチルを含む免疫調節剤、細胞増殖抑制剤および転移阻害剤、ニムスチン、メルファンラン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロロアンブシル、ブスルファン、トレオスルファン、プレドニムスチン、チオテパなどのアルキル化剤;
例えばシタラビン、フルオロウラシル、メトトレキサート、メルカプトプリン、チオグアニンなどの代謝拮抗剤;ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンなどのアルカロイド;アルカルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、プリカマイシンなどの抗生物質;カルボプラチン、シスプラチンなどの2群要素(例えばTi、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Pt)の複合物およびチタノセンジクロリドなどのメタロセン化合物;アムサクリン、ダカルバジン、エストラムスチン、エトポシド、ベラプロスト、ヒドロキシカルバミド、ミトキサントロン、プロカルバジン、テミポシド(temiposide);パクリタキセル、イレッサ、ザクチマ、ポリ−ADP−リボース−ポイメラーセ(PRAP)酵素阻害剤、バノキサントロン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ベバシズマブ、ラニビズマブ;
潜在的に有用な菌溶解剤、例えば、Dナーゼ、P2Y2−作用薬(デヌホソル)、ヘパリノイド、グアイフェネシン、アセチルシステイン、カルボシステイン、アンブロキソール、ブロムヘキシン、チロキサポール、レシチン、ミルテ油、および組換え表面タンパク質;
粘膜の腫脹を低減するのに有用となり得る潜在的に有用な血管収縮剤、例えば、フェニレフリン、ナファゾリン、トラマゾリン、テトリゾリン、オキシメタゾリン、フェノキサゾリン、キシロメタゾリン、エピネフリン、イソプレナリン、ヘキソプレナリンおよびエフェドリン;
潜在的に有用な局所麻酔、例えば、ベンゾカイン、テトラカイン、プロカイン、リドカインおよびブピバカイン;
潜在的に有用な局所抗アレルギー剤、例えば、上述のグルココルチコイド、クロモリンナトリウム、ネドクロミル、セトリジン、ロラチジン、モンテルカスト、ロフルミラスト、ジロートン、オマリズマブおよびヘパリノイド;
潜在的に有用なペプチドおよびタンパク質、例えば、抗毒素微生物から生成される抗体、セクロピン、デフェンシン、チオニンおよびカテリシジンなどの抗菌性ペプチド;および
薬理学的に許容可能な塩、エステル、異性体、立体異性体、ジアステレオマー、エピマー、溶媒和物または他の水和物、プロドラッグ、誘導体または対応する有効単位を含む有効成分の他の化学的または物理的形態からなる上述の有効成分の組合せ、のうち1つまたは複数の物質を投与するための使用。
【請求項28】
請求項1から26のいずれか一項に記載の治療的エアロゾルデバイスによる投与が、10μm未満、好ましくは約2から5μmの直径を有するエアロゾル飛沫が生成されるように行われることを特徴とする、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
少なくとも1つの物質が、約1μm未満の直径形状を備えた、マイクロメートル範囲、好ましくはナノメートル範囲の、リポソーム、懸濁液または乳濁液として使用されることを特徴とする、請求項27または28に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−195965(P2007−195965A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−968(P2007−968)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(505475046)パリ ゲーエムベーハー シュペツィアリステン フューア エフェクティブ インハレツィオーン (7)
【氏名又は名称原語表記】PARI GMBH SPEZIALISTEN FUR EFFEKTIVE INHALATION
【Fターム(参考)】