説明

エアロゾル送達のシステムおよび方法

【課題】薬剤を患者にエアロゾル送達するための方法およびシステムの提供。
【解決手段】本システムは、ワクチンまたは他の種類の薬学的物質など、様々な種類の薬剤を投与するために用いられ得る。本システムの特定の態様は、使い捨てのエアロゾル化エレメント(16)に連結されたアクチュエータ(18)を利用し、エアロゾル化エレメントは、アクチュエータにより作動されたときに患者への送達のため薬剤をエアロゾル化する。エアロゾル化エレメントは、アクチュエータおよびシステムの他の非使い捨て部品に薬剤が接触することを防止し、したがって洗浄またはメンテナンスの必要がほとんどまたは全くない。本システムはまた、薬剤がエアロゾル化される速度をモニターし、適切な用量が確実に投与されるようユーザーにフィードバックを提供する、エアロゾル化速度モニターを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、概して薬剤の送達に関し、より具体的には、エアロゾル装置を用いた薬剤送達のシステムおよび方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2004年4月2日に提出された米国特許仮出願第60/559,318号の恩典を主張するものである。
【0003】
政府の利害
本発明は、米国政府の機関であるCenters for Disease Control and Preventionによって行われた。したがって、米国政府が本発明に特定の権利を有する可能性がある。
【背景技術】
【0004】
背景
針および注射器は、患者および患者に薬剤を投与する医療関係者に対し、注射の安全性、針刺し傷害、廃棄の問題、血液伝播性疾患の伝染、および大規模ワクチンキャンペーン中の針の不足など、様々な問題をもたらしている。薬剤の主要な送達手段としての針および注射器を置換すれば、費用を極めて大幅に削減し、安全性を向上させ、生物医学廃棄物を減少できる可能性がある。
【0005】
薬剤のエアロゾル送達により、前述した注射の短所の多くが回避される。エアロゾル送達に用いられる装置の大部分は扱いにくく、多くの治療法に広く用いられることはこれまでなかった。ネブライザーは、呼吸器疾患の治療において薬剤をエアロゾル送達するため病院で広く用いられている。実用において、ネブライザーは、薬剤の溶液を微細な小滴に変換するため、圧縮ガスを利用する。小滴は、患者がマウスピースまたはマスクを介して体内に吸い込む空気流によって、患者に投与される。患者の呼吸に伴って、薬剤が患者の肺に送達されそこで吸収される。
【0006】
典型的に、ネブライザーは、外部の圧縮ガス源に依存して、薬剤の溶液を微細な小滴に変換する。外部の圧縮ガス源を必要とする結果、ネブライザーは、かさばりかつ移動が難しいという傾向を有する。さらに、ネブライザーの有効性は患者の適切な吸入に依存し、これは、モニターすることおよび患者に教えることが難しい可能性がある。
【0007】
現在使われているジェットネブライザーも概ね同じ様式で機能する。液体が、毛管力および/またはベルヌーイ効果によりエアノズルに引き上げられる。ノズル部において、高速のエアジェットが液体を破砕して小滴にする。小滴はインパクター向かって噴射され、これにより壊れてさらに小さな小滴になる。ほとんどの霧化過程と同様、この小滴生成過程により、サイズ分布が生じる。所望の小さなエアロゾル小滴を得るため、大きな小滴(空気流路を良好に通れないもの)をバッフルで捕捉し、これにより、ネブライザーの出力流の中に微細なエアロゾルを残す。大きな小滴はネブライザーの液体リザーバへと再循環される。
【0008】
この噴霧化過程は、本来的に効率が悪い。測定によれば、典型的なネブライザーは、吸引された液体のわずか数パーセントを微細なエアロゾル小滴に変換できるにすぎない。したがって、液体は通常、望ましいサイズに達しネブライザーから排出されるまでに、20回を優に上回る回数にわたって再循環される。ジェットネブライザーの非効率性は、エアロゾルワクチン投与に使用するうえで問題となる。液体を十分小さな小滴に分解するのに必要なエネルギーを供給するには、エアジェットが高速である必要がある。これを供給するために空気を圧縮するには、人力または電力による十分なパワーが必要である。
【0009】
各用量に必要な少量のワクチンにおいて、ネブライザー内で流体が再循環することは、用量ごとに行うことを基礎としたワクチン実施ができないという結果をもたらす。他の表面内のバッフル上で生じた小滴の合体が再度液体になってリザーバに入るには、ネブライザー内に複数回分の用量が存在している必要がある。さらに、液体中のワクチン粒子に霧化の機械的応力が繰返しかかることは、ワクチンの活性が消失するというリスクを生じる。
【0010】
従来のネブライザーの別の短所は、細菌または他の汚染物質の増殖を防ぐため、調剤される薬剤と接触する構成部品を、各使用セッション後に徹底的に洗浄しなければならないことである。そのような洗浄およびメンテナンスの要件は、現代の医療現場ではそれほどの課題とはならないが、訓練を受けていない人員が行う場合または世界の低開発地域で行う場合は、実現が極めて困難になる可能性がある。したがって、従来のネブライザーは、特に低開発国では、大規模ワクチンキャンペーンに使用するには実用的でない。
【0011】
既存の振動メッシュネブライザーにも同様の短所がある。振動メッシュ装置は、典型的に、アクチュエータによって超音波振動する薄いプレートの微小なオリフィス(「メッシュ」)を通じて小滴を射出することによって作動する。既存の振動メッシュ装置では、エアロゾル化される薬剤が、メッシュのみならずアクチュエータとも直接接触する。そのような装置において、メッシュ、アクチュエータ表面、および装置内の流体路は、単一の患者における長期使用を意図したものであり、かつ毎回の使用後に洗浄する必要がある。現地条件下でのこれら装置の洗浄、および大規模ワクチンキャンペーンなど患者が複数いる状況でのこれら装置の使用は、かなりの困難および費用を生じさせる。
【0012】
患者に送達されるエアロゾルの用量のモニタリングまたは確認も、エアロゾルの投与(例、エアロゾルワクチン投与)において懸念をもたらし、幼児が関与する場合は特にこれが当てはまる。用量の送達を明確に観察できる注射と異なり、ネブライザーを介したエアロゾル化薬剤の送達は、モニターするのがより困難である。
【0013】
したがって、針を用いず、かつより正確な計量で、薬剤をエアロゾルの形態で投与するための、効果的なシステムおよび方法に対する需要が存在している。さらに、特に大規模ワクチンキャンペーンにおける使用のため、使用およびメンテナンスがより簡単でかつ汚染の可能性を低減する送達システムに対する需要が存在している。
【発明の開示】
【0014】
概要
本開示は、生物系への進入を得るために針の使用を必要とせずに薬物を送達するための方法およびシステムに関し、このシステムには装置も含む。より具体的には、本開示は、患者への送達用に薬剤をエアロゾル化または噴霧化するための方法およびシステムに関する。例えば、そのようなシステムおよび方法は、医薬品、化学療法剤、免疫剤、およびワクチンなどの薬剤の送達に用いてもよい。
【0015】
本開示は、単回投与の用途において(ヒトまたはヒト以外の)複数の患者に対して、または、複数回投与のため個々の患者に対して、1つまたは複数の薬剤を投与するための方法およびシステムを説明する。例えば、針または実質的な洗浄もしくはメンテナンスの必要なしに、本開示を用いて吸入されるワクチン組成物により多数の患者を免疫してもよい。他の用途において、組成物を1人の個人に投与してもよい。
【0016】
本開示の1つの態様は、ユーザーの手で保持されるための形状のハウジングを含むポータブル式のエアロゾル送達装置を備える。ハウジングは、使い捨てのエアロゾル化エレメントと、薬剤をエアロゾル化するためエアロゾル化エレメントに移動力を印加するよう動作可能なアクチュエータとを収容する。エアロゾル化エレメントは、あらかじめ定められた量の薬剤がその中に貯蔵される、一体式リザーバを含んでいてもよい。または、エアロゾル化エレメントは、その中に薬剤が貯蔵されるバイアルまたはコンテナに直接連結されてもよい。例えば、エアロゾル化エレメントは、バイアル内に貯蔵された薬剤がエアロゾル化エレメントへと流入できるようにするためにバイアルの穿刺可能栓(例、ゴムキャップ)に挿入される、穿刺プロングまたは針を含んでいてもよい。エアロゾル化エレメントおよび/またはバイアル内に貯蔵される薬剤の量は、その薬剤の単回または複数回の用量を投与するのに十分な量であってもよい。
【0017】
エアロゾル化エレメントは、リザーバから、および/またはエアロゾル化エレメントに連結されたバイアルから、薬剤を受ける内部チャンバを規定する。チャンバの1つの側面は、複数のオリフィスを規定するオリフィス表面と部分的に境界を接する。チャンバの反対側の側面は、アクチュエータに連結された移動可能エレメントと部分的に境界を接する。アクチュエータの震え振動により、移動可能エレメントがオリフィス表面に対して近づくおよび遠ざかるよう交互に動く。移動可能エレメントがオリフィス表面に近づく際に、チャンバ内の圧力が上昇し、これにより薬剤がオリフィスを通ってエアロゾル小滴の形態で吐出される。移動可能エレメントがオリフィス表面から遠ざかる際に、次のサイクルでエアロゾル化されるべき追加の薬剤がチャンバ内に引き入れられる。エアロゾル化エレメント(またはエアロゾル化エレメントに接続されたバイアル)が空のときは、エアロゾル化エレメントを廃棄のため取り外し、別のエアロゾル化エレメントに置換してもよい。
【0018】
薬剤は、重力または毛管現象のいずれかによってエアロゾル化エレメントのチャンバ内に供給してもよい。重力供給の場合は、重力の力によって薬剤がチャンバに流入できるよう、チャンバの上方に位置するリザーバおよび/またはバイアルに薬剤が貯蔵される。毛管現象供給の場合、薬剤は、チャンバの下方に位置するリザーバおよび/またはバイアルに貯蔵され、薬剤の毛管現象によって上向きにチャンバ内へと引き入れられる。
【0019】
有利な点として、エアロゾル化エレメントは、アクチュエータおよび装置の他の非使い捨て部品に薬剤が接触することを防ぎ、したがって、各セッション後に装置の洗浄またはフラッシングはほとんどまたは全く必要ない。したがって、本開示の装置は、従来のネブライザーと異なり、低開発国における大規模免疫キャンペーンなど作業負荷が高い用途に好適である。エアロゾル送達の使用により、熟練した人員の必要性、血液伝播性疾患のリスク、高コスト、注射に対する患者の忌避、ならびに使用後の針および注射器の安全な廃棄の必要性など、注射による薬剤投与の短所の多くもまた回避される。
【0020】
特定の態様において、エアロゾル送達装置はまた、薬剤のエアロゾル化の速度をモニターするエアロゾル化速度モニターも含む。エアロゾル化モニターは、エアロゾル化エレメントから出てくるエアロゾルプルームを横切るように光線を投射するための、レーザーダイオードなどの光源を含む。フォトダイオードなどの光検出器が光線の不明瞭化を検出する。この不明瞭化は、エアロゾルプルーム中のエアロゾル小滴の濃度を反映する。装置は、適切な用量が投与されていることを確実にするためにエアロゾル化速度を表示する、デジタル表示器などの視覚ディスプレイを含んでいてもよい。装置はまた、エアロゾル化速度が許容範囲外であるときにユーザーに警告するための表示灯および/または音響式アラームも含んでいてよい。
【0021】
エアロゾル送達装置は、エアロゾル化された薬剤を患者の口および/または鼻に送達する患者インターフェースを含む。患者インターフェースの1つの態様は、装置のハウジングに連結された角度付き延長部、および、患者の口および鼻を覆う形状の使い捨てフェースマスクを含む。1つの実施例において、マスクは、呼気および吸気がマスクを通過することは可能にするが呼息されたエアロゾルおよび粒子(例、咳またはくしゃみの粒子)は捕捉する多孔質材料で作られる。別の実施例において、マスクは非多孔質材料で作られ、延長部は、吸気が延長部内に引き込まれることを可能にする1つまたは複数の開口部を備えるように形成される。
【0022】
患者インターフェースの別の態様は、エアロゾル化された薬剤が患者に流入することを可能にしかつ反対方向へのフローを制限するように動作可能な、一方向弁を含む。一方向弁は、例えば、フラッパー式の弁または「ダックビル」式の弁であってもよい。弁は、エアロゾル化エレメントおよび他の再利用可能部品を、呼息された粒子による汚染から保護する。さらに、患者から患者への汚染に対してさらなる防御を施すため、患者インターフェース全体が使い捨てである。
【0023】
本発明の以上およびその他の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照しながら記述される以下の詳細な説明により、さらに明らかになると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】1つの態様に基づくエアロゾル送達装置の部分断面側面図である。
【図2】別の態様に基づくエアロゾル送達装置の側面図である。
【図3】さらに別の態様に基づくエアロゾル送達装置の部分断面側面図である。
【図4】1つの態様に基づくエアロゾル送達装置用の取り外し可能かつ使い捨てのエアロゾル化エレメントの、それぞれ正面図および断面図である。
【図5】エアロゾル送達装置用の毛管現象供給式エアロゾル化エレメントの1つの態様の断面図である。
【図6】エアロゾル送達装置用のエアロゾル化エレメントの別の態様の正面図である。
【図7】エアロゾル送達装置用のエアロゾル化エレメントの別の態様の、それぞれ正面図および断面図である。
【図8】図8Aおよび8Bは、2つの液体成分を貯蔵および混合するために用いられる、エアロゾル化エレメントの別の態様の、それぞれ正面図および断面図である。図8Cは図8Bと同様の断面図であり、液体成分が混合されエアロゾル化されるべき薬剤が生成された後のエアロゾル化エレメントを示したものである。
【図9】図9Aは、液体成分を乾燥成分と分けて収容する、エアロゾル化エレメントの別の態様の断面図である。図9Bは図9Aと同様の断面図であり、液体成分と乾燥成分とが混合されエアロゾル化されるべき薬剤が生成された後のエアロゾル化エレメントを示したものである。
【図10】図10Aは、エアロゾル送達装置用のエアロゾル化エレメントの別の態様の正面図である。図10Bは、図10Aの線10B-10Bに沿った断面図である。図10Cは、エアロゾル化エレメントの一部の拡大断面図である。
【図11】患者インターフェースの拡大断面図であり、図1Aおよび1Bのエアロゾル送達装置とともに使用されている状態を示したものである。
【図12】患者インターフェースの別の態様の拡大断面図であり、図1Aおよび1Bのエアロゾル送達装置とともに使用されている状態を示したものである。
【図13】患者インターフェースの別の態様の拡大断面図であり、図1Aおよび1Bのエアロゾル送達装置とともに使用されている状態を示したものである。
【図14】患者インターフェースの別の態様の拡大断面図であり、図1Aおよび1Bのエアロゾル送達装置とともに使用されている状態を示したものである。
【図15】患者インターフェースの別の態様の拡大断面図であり、図1Aおよび1Bのエアロゾル送達装置とともに使用されている状態を示したものである。
【図16】別の態様に基づく患者インターフェースの拡大断面図であり、図1Aおよび1Bのエアロゾル送達装置とともに使用されておりかつ患者への流路中に複数の内部バッフルを有する状態を示したものである。
【図17】別の態様に基づく患者インターフェースの拡大断面図であり、エアロゾル送達装置から患者へのフローは許容するが反対方向のフローは抑制するという患者インターフェース内の一方向弁の作動を示したものである。
【図18】別の態様に基づく患者インターフェースの拡大断面図であり、患者インターフェース内の一方向ダックビル弁の作動を示したものである。
【図19】別の態様に基づく、一方向弁を有する患者インターフェースの拡大断面図である。
【図20】別の態様に基づく、一方向弁を有する患者インターフェースの拡大断面図である。
【図21】図21Aは、エアロゾル送達装置用の圧電アクチュエータ、および同アクチュエータに連結されたヒートシンクの側面図である。図21Bは、図21Aのヒートシンクの端面図である。
【図22】別の態様に基づくエアロゾル化エレメントの、正面図、断面図、および分解図である。
【図23】エアロゾル送達装置の別の態様の断面図である。
【図24】図24Aおよび24Bは、図23のエアロゾル送達装置の構成部品の、それぞれ正面図および側面図である。図24Cは、図24Aの線24C-24Cに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
本明細書において、名詞の単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、そうでないことを文脈が明確に示しているのでない限り、1つかまたは1つより多いことを意味する。
【0026】
本明細書において、「含む(includes)」という用語は、「備える(comprises)」ことを意味する。
【0027】
本明細書において、薬剤(agents)とは、処置される生物に作用をもたらすことを目的に生きた生物に投与できる薬剤を含む。そのような薬剤としては、ワクチン用の生きたまたは殺した生物、免疫原、免疫賦活剤または免疫抑制剤、化学療法剤、医薬品、核酸、インスリン、ホルモン、抗体およびそのフラグメント、受容体、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、麻酔薬、麻薬、および鎮痛剤などがある。
【0028】
本開示は、患者に薬剤をエアロゾル送達するための方法およびシステムに関し、このシステムには装置も含む。本システムは、ワクチンおよび他の薬学的な物質など、様々な種類の薬剤を投与するために用いてもよい。ワクチン投与の目的など、薬剤送達に本システムを使用することは、多くの恩典をもたらす。例えば、本システムは、針および注射器の使用を置換し、薬剤送達の費用を削減する。さらに、本システムは、別の費用削減の恩典である、比較的訓練を受けていないスタッフによる患者の治療を可能にするとともに、針の再使用による血液伝播性疾患の伝染の予防に役立つ。
【0029】
本システムの特定の態様は、使い捨てのエアロゾル化エレメントに連結されたアクチュエータを利用し、エアロゾル化エレメントは、アクチュエータにより作動されたときに患者への送達のため薬剤をエアロゾル化する。エアロゾル化エレメントは、アクチュエータおよびシステムの他の非使い捨て部品に薬剤が接触することを防し、したがって洗浄またはメンテナンスの必要がほとんどまたは全くない。したがって、本システムは、大規模ワクチンキャンペーンなど作業負荷が高い用途において比較的訓練を受けていない人員が使用するのに非常に好適である。
【0030】
本システムはまた、薬剤がエアロゾル化される速度をモニターし、適切な用量が確実に投与されるようユーザーにフィードバックを提供する、エアロゾル化速度モニターも含んでいてもよい。例えば、システムは、エアロゾル化速度が許容範囲外である場合に点灯または点滅する表示灯も含んでいてよい。
【0031】
本開示の例示的な方法は、ワクチン組成物などの薬剤の送達を含む。本開示の方法は、エアロゾル投与によるワクチン組成物の送達を含む。本開示は、エアロゾル投与により送達できる任意のワクチン組成物を使用することを企図している。特に好ましいワクチン組成物は、麻疹、流行性耳下腺炎、および風疹に対するワクチン組成物である。そのような組成物は、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、風疹ワクチンを含んでいてもよく、ならびに、麻疹と流行性耳下腺炎、風疹と流行性耳下腺炎、麻疹と風疹、および麻疹と流行性耳下腺炎と風疹などの組み合わせおよび混合を含んでいてもよい。ワクチンは、当技術分野において公知であるものなどの薬学的成分または調剤用成分をさらに含み、そのような成分としては希釈液、配合剤、界面活性剤、および無菌性を保つための薬剤があるが、それに限定されるわけではない。
【0032】
図1Aおよび1Bに、1つの態様に基づくエアロゾル送達装置10を示す。エアロゾル送達装置10は、ユーザーの手で保持されるための形状のハンドル部14を備えるよう形成されたボディまたはハウジング12を含む。図の態様におけるハウジング12は、取り外し可能なエアロゾル化エレメント16、アクチュエータ18、およびアクチュエータ18を実質的に囲むエアマニホールド36を収容する。図のエアロゾル化エレメント16は、患者に投与される薬剤(例、ワクチン)を含むバイアル22に直接連結される。詳しく後述するように、アクチュエータ18の作動時、患者に送達するため、エアロゾル化エレメント16はバイアル22から薬剤を受け取り、オリフィス110(図4A)を介してエアロゾル小滴を吐出する。
【0033】
ハウジング12は、エアロゾル化エレメント16へのアクセスを可能にするため(図1Aに示すような)閉位置と(図1Bに示すような)開位置との間で双方向矢印25が示す方向に滑動するよう取り付けられる、可動性のフロント部24を備えるように形成される。フロント部24が閉位置にあるとき、エアロゾル化エレメント16はフロント部とアクチュエータ18との間の所定の位置にしっかり保持される。フロント部24を解放可能な状態で閉位置に保つため、ラッチ機構26およびラッチボタン28を設けてもよい。ラッチボタン28を押下すると、ラッチ機構26がフロント部24とのかみ合いから外れ、フロント部24を開位置に動かすことが可能になる。フロント部24は、望ましくは、洗浄を簡単にするため、ハウジング12から完全に取り外せるように適合される。図のフロント部24は、図に示すようにハウジング12に対して滑動するように取り付けられているが、他の任意の分離可能な接続(例、接着剤、スナップ嵌めなど)を用いてフロント部24をハウジングに取り付けてもよい。
【0034】
ハウジング12には、エアロゾル化された薬剤を患者に送達するための患者インターフェース30が連結される。図の患者インターフェース30は、可動部24に接続される概ね円筒形の延長部32、および延長部32の上端に取り付けられる使い捨てのフェースマスク34を含む。マスク34は、取り外して別の患者用の新しいマスクに取り替えることが容易にできるよう、取り外し可能な様式で延長部32に取り付けられる。延長部32は、ハウジング12のフロント部24を通って伸びる第一の部分32a、および第一の部分32aに対してある角度で上方に伸びる第二の部分32bを含む。延長部32は剛性または可撓性の設計であってもよく、かつ望ましくは、ゴム、厚紙、ファイバーボード、またはプラスチックなど低コストの材料で構成される。
【0035】
一般的に、汚染物質(例、患者から呼息された粒子)は、オリフィス110(図4A)に隣接するエアロゾル化エレメント16の表面に直接接触しない限り、再エアロゾル化されにくい。角度のついた第二の部分32bにより、患者からエアロゾル化エレメントに戻る直接的な経路がなくなり、これにより、呼息された粒子(例、咳またはくしゃみの粒子)がエアロゾル化エレメント16に直接接触することが防止される。したがってこのことは、エアロゾル化エレメント16を用いて複数の患者に用量を投与する場合に、患者から患者への汚染を防止する。詳しく後述するように、フェースマスク34は、多孔質材料または非多孔質材料で作られていてもよい。鼻用のプロング、口用のマウスピース、および保持チャンバなど、他の種類の非使い捨てまたは使い捨ての患者インターフェースもエアロゾル送達装置10とともに用いてもよい。
【0036】
アクチュエータ18は、エアロゾル化エレメント16に移動力を印加し、これによりエアロゾル化エレメントが薬剤のエアロゾル小滴を吐出するように動作可能である。アクチュエータ18は、エアロゾル化エレメント16に震え振動を与えることができる任意の種類の振動子であってよい。図4Bに最もよく示されているように、図のアクチュエータ18は、第一および第二の電極48a、48bと、第一の電極と第二の電極との間に配置された圧電素子50と、第一の電極48aに固定された動き伝達部品52とを含む、圧電駆動式のアクチュエータ(超音波ホーンとしても知られる)である。動き伝達部品の端部53はエアロゾル化エレメント16に連結される。
【0037】
振動電流が電極48a、48bに印加されると圧電素子50の震動が誘発され、これにより、双方向矢印55で示す方向に震動する動き伝達部品52の震動が誘発される。動き伝達部品52は、震動をエアロゾル化エレメント16に伝達して、その中の薬剤のエアロゾル化をもたらす。特定の態様において、アクチュエータ18は約20〜200 Hzの範囲の振動を生成する。ソレノイドまたはリニアモーター(例、スピーカーに用いられているものなどのボイスコイル)など、他の種類のアクチュエータも、エアロゾル化エレメントの振動を誘発するために用いてよい。
【0038】
前述のように、アクチュエータ18はエアマニホールド36の中に取り付けられ、エアマニホールド36は圧縮ガス(例、圧縮空気)を誘導してアクチュエータ18上を通過させ、作動中に生じた熱を除去する。マニホールド36は、アクチュエータ18を実質的に囲むフローチャネル38、および圧縮エアコンジット44に接続された開口部42を備えるように形成される。エアコンジット44は、図のエアポンプ46などの圧縮空気源から圧縮空気を受け取る。マニホールド36はまた、エアロゾル化エレメント16を通って矢印41の方向に流れるようフローチャネル38内の空気を誘導する1つまたは複数のアパーチャ40を備えるように形成される。エアロゾル化エレメント16を通って流れる空気は、エアロゾル化エレメントから吐出されたエアロゾル小滴を一緒に運び、患者への小滴の送達を助ける。
【0039】
作動中に生じる熱の放散を促すため、エアマニホールド36の代わりに、またはこれに加えて、ヒートシンク124(図21Aおよび21B)をアクチュエータ18に取り付けてもよい。図21Aおよび21Bに示すように、ヒートシンク124は、アクチュエータ18に取り付けられかつこれと熱接触状態にあるベース128から縦方向に伸びる、角度を形成するように間隔が空いた複数の放射状フィン126を含む。特定の態様において、エアマニホールド36は、アクチュエータ18およびヒートシンク124を収容するようサイズ決定されてもよい。他の態様において、アクチュエータ18および任意でヒートシンク124は、エアマニホールド36なしでハウジング12に取り付けられていてもよい。後者の態様において、エアポンプ46からの空気は、エアロゾル化された薬剤の患者への送達を助けるため、エアロゾル化エレメント16へと直接送られてもよい。
【0040】
図1Aおよび1Bに示すように、装置10は、エアポンプ46(例、ダイヤフラム式のエアポンプ)と、エアフィルター56と、装置に動力を供給するための1つまたは複数の電池58とを収容する、装着可能または身体取付可能なパックまたはケース54を含んでいてもよい。パック54は、例えば、ユーザーの腰回りに装着できるウエストパック(「ファニーパック(ウエストポーチ)」)、またはユーザーの一方もしくは両方の肩にかけることができるショルダーパックもしくはバックパックであってもよい。パック54はまた、コントローラ66、電池58を再充電するための充電ジャック62、およびオン/オフ電源スイッチ61も含んでいてよい。充電ジャック62は、電池58を充電するため、または動力を供給して電池を使用せずに装置を作動させるために、従来の様式で外部電源(図には示していない)に接続してもよい。パック54は、エアコンジット44と、コントローラ66をアクチュエータ18およびハウジング上のトリガスイッチ64に接続する配線とを含む、可撓性の連絡物60を介して、ハウジング12に連結されてもよい。ポンプ46と、電池58と、コントローラ66とをパック54の中に収容することにより、ハウジング12の全体的な重量を減らして取り扱いを容易にすることができる。別の態様において、これら構成部品のうち1つまたは複数を、ハンドル部14内またはハウジングの別の部分に収容してもよい。
【0041】
図の態様には示していないが、圧縮空気のレシーバまたはリザーバをハンドル部14またはパック54の中に収容してもよい。空気リザーバは、第一のコンジットを介してエアポンプ46からの圧縮空気を受け取るインレット、および別のコンジットを介して1回量の圧縮空気をエアマニホールド36に供給するアウトレットを有していてもよい。別の態様において、ハンドル部14は、参照により本明細書に組み入れられる同時係属中の米国特許出願第10/471,620号(米国特許出願公開公報第US-2004-0134494号)に開示されているような、空気レシーバを装填するよう動作可能な手動ポンプを備えていてもよい。装置10はまた、特許出願第'620号に開示されているような、電池58を再充電するよう動作可能な手動クランク式ダイナモを備えていてもよい。
【0042】
エアロゾル送達装置10は、連続モードまたは自動投与タイミングモードで作動してもよい。いずれかのモードで作動するよう装置を手動で設定するため、ハンドル部14またはパック54にセレクタスイッチ(図には示していない)を設けてもよい。連続モードでは、ユーザーがハンドル部14上のトリガスイッチ64を押下すると、コントローラ66に信号が送信される。コントローラ66はエアポンプ46およびアクチュエータ18に信号を送信して作動を開始させる。エアロゾル化エレメント16は、バイアル22から引き入れられた薬剤を、非常に小さなサイズの小滴(例えば約1〜10マイクロメートルの範囲であるが、小滴のサイズは用途によって異なり得る)に変換する。用量を投与後、ユーザーが再度トリガスイッチ64を押下すると、アクチュエータおよびエアポンプがオフになる。
【0043】
自動投与タイミングモードでは、ユーザーはまず、作動可能な状態でコントローラに接続されたタイマースイッチ(例、回転スイッチ)(図には示していない)を、あらかじめ定められたエアロゾル化周期(例、15、20、30、または60秒)に対応する所望の設定に合わせる。別の態様において、装置10は、ユーザーが所望の投与時間を設定することを可能にするキーパッドまたは別の種類の入力装置を含んでいてもよい。用量の投与を開始するには、ユーザーはトリガスイッチ64を押下し、これによりポンプ46が作動してマニホールド36に空気が供給される。あらかじめ定められた時間(例、0.5秒)の後、アクチュエータ18が作動して、エアロゾル化エレメント16内の薬剤をエアロゾル化する。エアロゾル化期間の最後にアクチュエータ18が自動的にオフになる。その後、あらかじめ定められた時間(例、5秒)にわたって、またはスイッチ64が押下されるまで、ポンプ46からの圧縮空気でエアロゾル化エレメントをパージしてもよい。
【0044】
図2に、ピボットピン69によってハウジング12に連結されるヒンジ式フロント部68を含む点を除いて、図1Aおよび1Bの態様と同様である、エアロゾル送達装置10の別の態様を示す。フロント部68は、(図2に示すように)エアロゾル化エレメント16を取り外しまたは取り替えするための開位置と、エアロゾル化エレメント16がフロント部68とハウジング12の隣接表面との間の所定の位置にしっかり保持される閉位置との間で、ピン69を軸にして(双方向矢印70が示す方向に)回転できる。ハウジング12には、フロント部68を解放可能な状態で閉位置に保つため、フロント部68の対応する表面とかみ合うラッチ71を設けてもよい。ラッチ71上のラッチボタン72は、ハウジング12の上面を通って上方向に伸びる。ラッチボタン72を押下すると、ラッチ71がフロント部68とのかみ合いから解放され、フロント部68を図2に示す開位置に動かすことが可能になる。フロント部68を解放可能な状態で閉位置に保つため、他の様々なラッチまたはロック機構を採用してもよい。
【0045】
図3Aおよび3Bに、図1Aおよび1Bに示す態様とほとんどの点において同様である、エアロゾル送達装置10の別の態様を示す。図3Aおよび3Bの態様は、エアロゾル化エレメント16を受けるようにサイズ決定される上部開口部75(図3B)を備えるよう形成されたハウジング74を含む。図3Aに示すように、エアロゾル化エレメント16は、開口部75に挿入されたとき、ハウジング74の上壁によって直立位置に支持される。この構成におけるアクチュエータ18は、アクチュエータがエアロゾル化エレメント16(図3A)とかみ合う作動時の第一の位置と、アクチュエータがエアロゾル化エレメント(図3B)から離れる第二の位置との間でアクチュエータ18を動かすように動作可能な可動レバー76に連結される。レバー76の下端は、双方向矢印79で示す方向にレバーが回転できるよう、ピボットピン77の部分で、ハウジング74の内部にピボット式に取り付けられる。レバー76の上端部分は、ユーザーが操作できるよう、ハウジング74の上壁を通って伸びる。レバーのピボット動作時にアクチュエータ18が実質的に直線の経路に沿って(双方向矢印115で示す方向に)移動するよう、アクチュエータ18は、ピン接続またはそれと同等の機構によってレバー76に連結される。
【0046】
エアロゾル化エレメント16をハウジングに装填する前に、レバー76をハウジングの後方に向かって動かし、図3Bに示す位置にする。エアロゾル化エレメントを挿入した後、レバーをハウジングの前方に向かって動かし、これによりアクチュエータ18を図3Aに示す作動位置に動かす。
【0047】
次に、図4Aおよび4Bを参照しながらエアロゾル化エレメント16を説明する。エアロゾル化エレメント16は、フロント部80と、リヤ部82と、フロント部80とリヤ部82との間に協同的に形成されたチャンバ84と、エアロゾル化エレメントの上端部分に形成されかつチャンバ84のインレットと流体接触状態にある一体式リザーバ86とを含むボディ78を有する。リザーバ86の上に位置するバイアルマウント90から上方向に、穿刺プロングまたは針88が伸びる。プロング88は、バイアル22の開口部に組み込まれるかまたは接続される穿刺可能な隔壁92を穿刺するのに用いられる、尖った上端を有する。隔壁92は、エラストマー材料(例、ゴム)または他の任意の様々な適した材料で作られていてよい。プロング88はまた、バイアル22をバイアルマウント90の上で逆さ位置に保持するようにも機能する。図のプロング88は小さな円筒形の管であるが、正方形、三角形、または長方形など、他の形状の管も用いてよい。
【0048】
プロング88は、バイアル22内の薬剤がリザーバへと流入できるよう、プロングの上端とリザーバ86との間にわたる第一の流路94を備えるように形成される。プロング88内の第二の流路96は、プロングの上端と、バイアルマウント90内に形成されたエアインレットまたは開口部98との間にわたる。開口部98には多孔性(通気性)のプラグ100(図4B)を嵌めてもよい。第二の流路96は、大気をバイアル22に引き入れて、バイアルから抽出された薬剤を置換することを可能にする。リザーバ86にも、リザーバ内の空気を抜くことを可能にするため、多孔性プラグ(図には示していない)を嵌めたアウトレットまたは開口部102(図4A)を設けてもよい。開口部98および102の多孔性プラグは、空気に対しては透過性であるが薬剤の漏出は表面張力により阻止する材料で作られる。
【0049】
エアロゾル化エレメント16のフロント部80は、複数のオリフィス110を備えるように形成されるオリフィス表面104を規定する。リヤ部82は、アクチュエータ18の端部53に連結される、オリフィス110の反対側の移動可能エレメント106を規定する。移動可能エレメント106は、アクチュエータ18に印加される力に対応してチャンバ84内の圧力を上昇させるように移動または変形できる。例えば図の態様において、移動可能エレメント106は、アクチュエータの動きに対応して内向きおよび外向きに交互に屈曲する可撓性ダイヤフラムを含む。作動時、アクチュエータ18の高速な動きが、ダイヤフラムを内向きかつオリフィス110に近づくように押し、これによりチャンバ84の圧力が上昇し、薬剤がオリフィス110を通って外向きに吐出されてエアロゾル小滴108が形成される。アクチュエータ18が逆方向に動くと、ダイヤフラムが外向きかつオリフィスから遠ざかるように屈曲し、これによりチャンバ84内の圧力が低下し、次のサイクルのためオリフィス後方のチャンバの領域内に薬剤が引き入れられる。別の態様において、可動部は可撓性または変形可能でなくてもよいが、アクチュエータ18の動きに対応してフロント部80に対して近づくおよび遠ざかるように動くよう、他の形式で構成される。
【0050】
図4Aに示すように、エアロゾル化エレメント16は、オリフィス表面104に隣接するエレメントの周辺部を通って伸びる1つまたは複数のエアフローアパーチャまたは開口部112を備えるように形成されていてもよい。開口部112は、エレメント16の後面でエアマニホールド36(図1B)のアパーチャ40と流体接触しており、これにより、アパーチャ40から出た空気は、開口部112を通って流れ、オリフィス110から吐出された小滴108を患者への送達のために運ぶ。
【0051】
オリフィス110は典型的に直径が約5マイクロメートルであるが、オリフィスのサイズは小滴108の所望のサイズに応じて異なり得る。フロント部およびリヤ部80、82は、従来の製造技術(例、成形)を用いて、プラスチックなど任意の様々な適した材料で作られていてよい。オリフィス110は、レーザー穿孔、電鋳、または化学エッチングなど、従来の微細加工技術を用いてフロント部80に直接形成してもよい。図4Bに示すように、リヤ部82は、厚さが実質的に一定の単体構造であってもよい。他の態様において、リヤ部は、移動可能エレメント106を規定する、オリフィス110の反対側の比較的薄い部分を有していてもよい。別の態様(例、詳しく後述する、図22A〜22Cのエアロゾル化エレメント800)において、移動可能エレメントは、オリフィスの反対側でチャンバと境界を接する別のエレメントであってもよい。後者の態様において、リヤ部82は、移動可能エレメントと連結するため、アクチュエータ18を受けるための開口部を備えるように形成されていてもよい。
【0052】
好ましくは、エアロゾル化エレメント16は使い捨てである。廃棄コストが非常に高くはないところ(例、近代的な病院)で本装置を使用する場合、エアロゾル化エレメント(およびマスク34)は、患者に用量を投与するごとに毎回廃棄してもよい。しかし、大規模ワクチンキャンペーンなど作業負荷が高い用途で本装置を使用する場合は、廃棄コストが懸念となりうる。そのような場合、エアロゾル化エレメントは、複数の患者に用量を投与するのに使用してもよいが、典型的には、細菌または他の汚染物質の増殖を防ぐため、複数回の用量を投与したセッション後に廃棄される。注目に値する点として、エアロゾル化エレメント16は、アクチュエータ18、および装置10の他の再利用可能な構成部品に薬剤が接触するのを防ぐ。したがって、従来のネブライザーと比較して、本装置の洗浄およびメンテナンスに要する時間は実質的に短い。
【0053】
図5に、本明細書に説明するエアロゾル送達装置のいずれにおいても使用できる、別の態様に基づくエアロゾル化エレメント120を示す。エアロゾル化エレメント120は、薬剤が毛管現象によりオリフィス110後方のチャンバ84の領域に上向きに引き入れられる点を除いて、エアロゾル化エレメント16と同様である。エアロゾル化エレメント120には、バイアル22から薬剤を上向きに引き入れるための穿刺プロング88が設けられていてもよい(図5には示していない)。または、薬剤をバイアルから引き入れるのではなく、エアロゾル化エレメント120は、単回または複数回の用量を提供するのに十分なあらかじめ定められた量の薬剤を受けるようサイズ決定された一体式リザーバを含んでいてもよい。
【0054】
チャンバ84の厚さ(フロント部およびリヤ部80、82の対向する内面の間の距離)は、毛管水頭を上回る圧力損失を引き起こすことなく、毛管現象による十分な薬剤フローを保つことができるように選択される。図に示すように、エアロゾル化エレメント120は、チャンバ84の中に位置する、間隔を開けた1つまたは複数のディンプルまたは突起122を含んでいてもよい。突起122は、不当な圧力損失を起こすことなく十分な毛管水頭を保つため、エレメントの可動部106とフロント部80との間のチャンバ84における最小限の間隔を保つ。
【0055】
図6に、本明細書に説明するエアロゾル送達装置のいずれにおいても使用できる、別の態様に基づくエアロゾル化エレメント130を示す。エアロゾル化エレメント130は、エアロゾル化する薬剤のリザーバとして機能する、第一の部分134と変形可能な第二の部分136とを含むボディ132を有する。第一の部分134は、エアロゾル化する薬剤を受けるための内部チャンバ(図には示していない)と、複数のオリフィス138を規定するオリフィス領域136と、薬剤をオリフィス138に通過させるためオリフィス138の反対側でチャンバと境界を接する可動部(図には示していない)とを含むという点において、エアロゾル化エレメント16と同様の構造物である。エアロゾル化エレメント130の変形可能部分136は、ゴムまたは別の好適なエラストマーなど、可撓性かつ弾性の材料で作られる。変形可能部分136からは、バイアル22に挿入するための穿刺プロング140が伸びる。穿刺プロング140は、バイアルから薬剤を受けるための開口部144を備えるように形成される。変形可能部分136は、従来の点眼容器の圧搾バルブと同様の様式で機能する。プロング140をバイアルに挿入する前に、ユーザーは変形可能部分136を圧搾する。挿入後、変形可能部分136から指の圧力を除去すると、変形可能部分136が通常の形状に戻ることができ、これにより薬剤がバイアルからプロング140を介して引き入れられる。変形可能部分136の中の薬剤は、図4A、図4B、および図5に示す態様について前述したように、重力または毛管現象によって、第一の部分134のチャンバへと供給してもよい。
【0056】
図7Aおよび7Bに、本明細書に説明するエアロゾル送達装置のいずれにおいても使用できる、別の態様に基づくエアロゾル化エレメント150を示す。エアロゾル化エレメント150は、フロント部154と、リヤ部156と、フロント部154とリヤ部156との間に協同的に形成されたチャンバ158と、エレメントの上端部分に形成されかつチャンバ158のインレットと流体接触状態にある拡大されたリザーバ160とを含むボディ152を有する。リザーバ160は、単回または複数回の用量を送達するのに十分なあらかじめ定められた量の薬剤を保持できるようサイズ決定されてもよい。リザーバ160には、望ましくは、薬剤がリザーバからチャンバ158に引き入れられたときにリザーバ内部を大気に接触させるための通気ポート166が設けられる。図7Aおよび7Bには示していないが、薬剤をバイアル22からリザーバ160に供給するため、取り外し可能な穿刺プロングを通気ポート166に挿入してもよい。さらに、針および注射器または同等の装置を用いて、ポート166を介してリザーバ60を充填してもよい。薬剤は、重力または毛管現象によってリザーバ160からチャンバ158へと供給されてもよい。
【0057】
フロント部154は、薬剤の小滴を吐出するための複数のオリフィスを有するオリフィスプレート164が嵌められた開口部162(図7B)を備えるように形成される。1つの実施例において、エアロゾル化エレメント150は、あらかじめ定められた量の薬剤で充填され、製薬会社または薬局で密閉される。この点において、薬剤が漏出することならびに異物および他の望ましい物質が使用前にエレメントに進入することを防ぐため、オリフィスプレート164の上に取り外し可能な密閉テープ168を配置してもよい。同様に、取り外し可能な密閉テープ170、取り外し可能なタブ、または他の閉鎖手段を用いて通気ポート166を閉じてもよい。密閉テープ168および170は、その後、薬剤投与前にユーザーにより取り外される。
【0058】
図8A〜8Cに、本明細書に説明するエアロゾル送達装置のいずれにおいても使用できる、さらに別の態様に基づくエアロゾル化エレメント180を示す。エアロゾル化エレメント180は、2つの異なる液体成分の貯蔵および混合に用いることができるという点で、これまでに説明した態様と異なる。図に示すように、エアロゾル化エレメント180は、フロント部184と、リヤ部186と、フロント部184とリヤ部186との間に協同的に形成されたチャンバ188と、チャンバ188のインレットと流体接触状態にある第一のリザーバ190と、エアロゾル化エレメントの上端部分に規定される第二のリザーバ192とを含むボディ182を有する。フロント部184に形成された開口部にオリフィスプレート164が配置される。
【0059】
図8Bに示すように、チャンバ188および第一のリザーバ190は第一の液体で充填され、第二のリザーバ192は第二の液体で充填される。使用前にこれらの液体を互いに分離するため、エアロゾル化エレメント180内の第一のリザーバと第二のリザーバとの間に、プラグまたは分離エレメント194が配置される。第二のリザーバ192は、プラグ196が嵌められた開口上部を有する。取り外し可能な環状のリング198がプラグ196の周囲に配置され、第二のリザーバ192の開口端に着座される。プラグ196は、リング198と部分的に重なる環状のフランジ部197を備えるように形成される。リング198は、プラグ196が第二のリザーバ192内へと動くことに抵抗することにより、第一の液体と第二の液体とが不注意によりまたは早すぎるタイミングで混合されることを防ぐ。
【0060】
使用時に第一および第二の液体を再構成するには、ユーザーは、リング198を取り外し、プラグ196を下方に押して第二のリザーバ192を加圧する。液体は非圧縮性であるため、プラグ194をより広い領域である第一のリザーバ190内へと押し出し、これにより、(図8Cに示すように)第二のリザーバ内の液体が第一のリザーバ内の液体と混合することが可能になる。使用において、薬剤は、重力または毛管現象によってリザーバ190からチャンバ188へと供給されてもよい。
【0061】
図9Aおよび9Bに、本明細書に説明するエアロゾル送達装置のいずれにおいても使用できる、さらに別の態様に基づくエアロゾル化エレメント200を示す。エアロゾル化エレメント200は、液体成分および乾燥成分(例、固形または粉末の成分)の貯蔵および混合に用いることができるという点で、これまでに説明した態様と異なる。図に示すように、エアロゾル化エレメント200は、フロント部204と、リヤ部206と、フロント部204とリヤ部206との間に協同的に形成されたチャンバ208と、チャンバ208のインレットと流体接触状態にある第一のリザーバ210と、エアロゾル化エレメントの上端部分に規定される第二のリザーバ212とを含むボディ202を有する。フロント部204に形成された開口部にオリフィスプレート164が配置される。
【0062】
図9Aに示すように、チャンバ208および第一のリザーバ210は液体(例、乾燥成分用の希釈液)で充填され、第二のリザーバ212は粉末(例、凍結乾燥物)または他の種類の乾燥成分で充填される。使用前に乾燥成分を液体成分から分離した状態に保つため、エアロゾル化エレメント200内の第一のリザーバと第二のリザーバとの間に、プラグ214が配置される。第二のリザーバ212は、プラグ216が嵌められた開口上部を有する。プラグ216から剛性のプッシュロッド218(例、ガラスロッド)が伸び、プラグ214に接触する(図9A)。ボディ202は、第一のリザーバ210と第二のリザーバ212との間にプラグ214と隣接して通気ポート220を備えるように形成されていてもよい。図9Aに示すように、プラグ214はポート220を覆って使用前の漏出を防ぐ。
【0063】
使用時に液体成分および乾燥成分を再構成するには、ユーザーは、リング198を取り外し、プラグ216を下方に押す。プラグ216およびプッシュロッド218の動きにより、プラグ214がより広い領域である第一のリザーバ210内へと押し出され、これにより、(図9Bに示すように)第二のリザーバ内の乾燥成分が第一のリザーバ内の液体と混合し患者投与用の薬剤を生成することが可能になる。プラグ214の移動はまた、第一のリザーバ210が通気ポート220を介して大気圧と接触することももたらし、これは、チャンバ208への薬剤の流入を促進する。使用において、薬剤は、重力または毛管現象によってリザーバ210からチャンバ208へと供給されてもよい。
【0064】
図10A〜10Cに、本明細書に説明するエアロゾル送達装置のいずれにおいても使用できる、別の態様に基づくエアロゾル化エレメント250を示す。エアロゾル化エレメント250は、フロント部254と、リヤ部256と、フロント部254とリヤ部256との間に協同的に形成されたチャンバ258と、エアロゾル化エレメントの上端部分に形成されかつチャンバ258のインレットと流体接触状態にある一体式リザーバ260とを含むボディ252を有する。リザーバ260には、望ましくは、薬剤がリザーバからチャンバ258に引き入れられたときにリザーバ内部を大気圧に接触させるための通気ポート266が設けられる。使用において、薬剤は、重力または毛管現象によってリザーバ260からチャンバ258へと供給されてもよい。
【0065】
フロント部254は、薬剤の小滴を吐出するためのオリフィスプレート164が嵌められた開口部を備えるように形成される。ボディ252は、チャンバ258のそれぞれ反対側に位置する周辺部268、270をさらに含む(図10A)。周辺部268、270には、対応する空気流路272(図10Bおよび10C)が形成される。図10Cに示すように、各経路272は、リヤ部256に形成されたインレット274から、インレット274からずれた位置でフロント部254に形成された1つまたは複数のアウトレット276まで伸びる。エアロゾル化エレメント250をエアロゾル送達装置(例、図1Aおよび1Bに示した装置10)のハウジングに入れたとき、インレット274は、エアマニホールド36からの圧縮空気を受けるように位置決めされる。空気は、(矢印278で示すように)インレット274に流入し、経路272を通って、アウトレット276から流出し、これにより、オリフィスプレート164が吐出した小滴を運ぶ。アウトレット276がインレット274からずれているため、患者から呼息された粒子がこの経路を通過してアクチュエータ18またはシステムの他の再利用可能部分に接触し得る可能性は小さくなる。
【0066】
図22A〜22Cに、本明細書に説明するエアロゾル送達装置のいずれにおいても使用できる、別の態様に基づくエアロゾル化エレメント800を示す。エアロゾル化エレメント800は、フロント部804と、リヤ部806と、エアロゾル化エレメントの上端部分に形成されたリザーバ810とを含むボディ802を有する。リザーバ810には、望ましくは、通気ポート812が設けられる。
【0067】
フロント部804とリヤ部806との間には、オリフィスプレート814(例、電鋳されたメッシュプレート)および可撓性のスペーサーエレメント816が配置される。オリフィスプレート814とスペーサーエレメント816との間には、リザーバ810から薬剤を受け取るためのチャンバ808が規定される。オリフィスプレート814は、フロント部804の開口部820とアライメントする複数のオリフィス818を備えるように形成される。スペーサーエレメント816は、オリフィスプレート814とスペーサーエレメント816との間のチャンバ808における最小限の間隔を保つ、複数の突起824を備えるように形成される。必須ではないが、組み立てを簡単にするため、オリフィスプレート上に配置されスペーサーエレメントの下端部分に固定された接着テープ片826によってオリフィスプレート814とスペーサーエレメント816とを一緒に保持してもよい。テープ826は、フロント部804の開口部820とアライメントする開口部828を備えるように形成される。リヤ部806は、アクチュエータ18の前端部53(図4B)を受けるようサイズ決定された開口部836を備えるように形成される。アクチュエータ18の端部53をスペーサーエレメント816に固定するため、両面テープ片840を用いてもよい。テープ826をフロント部804の内面832に固定するため、およびスペーサーエレメント816をリヤ部806の内面834に固定するため、好適なシーラント(例、シリコーン)を用いてもよい。
【0068】
特定の態様において、オリフィスプレート814は、厚さ約0.05 mmの薄い金属フォイル(例、ニッケル、アルミニウム、金、または他の好適な金属)を含む。セラミックまたは複合材料など他の好適な材料も、オリフィスプレート814の形成に用いてよい。オリフィス818は、レーザー穿孔、電鋳、および化学エッチングなど、従来の微細加工技術を用いて形成してもよい。スペーサーエレメント816は、厚さ約0.1 mmの薄い可撓性プラスチックを含む。スペーサーエレメント818の突起824の高さは約0.1 mmである。無論、これらの具体的な寸法(および本明細書に提供される他の寸法)および材料は、本発明の説明のために示されるものであり、本発明を限定することはない。本明細書に提供される寸法および材料は、異なる用途または状況において必要に応じて変更してもよい。
【0069】
スペーサーエレメント816は、オリフィスプレート814を通して薬剤を吐出するための可撓性ダイヤフラムとして機能する。使用において、アクチュエータ53の端部53は、開口部836を通り、スペーサーエレメント816を押さえつける。アクチュエータ18の振動はスペーサーエレメント816に伝達され、これにより、スペーサーエレメント816はオリフィスプレート814に対して近づくおよび遠ざかるように屈曲し、チャンバ808内の薬剤をオリフィス818に通すことおよび薬剤をリザーバ810からチャンバ808へと引き入れることが交互に生じる。
【0070】
図11に、エアロゾル送達装置10(または他の送達装置)とともに使用できる、別の態様に基づく患者インターフェースの延長部300を示す。延長部300は、ハウジング12に近接する1つまたは複数の開口部または通気孔302を含むという点を除いて、図1Aおよび1Bに示した延長部32と同様である。図1Aおよび1Bに示した様式で、延長部300の端に使い捨てのマスク34(図11には示していない)を連結してもよい。薬剤投与中に患者が通常どおり呼吸できるよう、開口部302は、矢印304が示すように、吸気された空気を延長部300に引き入れることを可能にする。外部の空気は、延長部に入る際に、エアロゾル化エレメント16から吐出されたエアロゾル小滴を一緒に運び、患者への小滴の送達を助ける。
【0071】
図12に、エアロゾル送達装置10(または他の送達装置)とともに使用できる、別の態様に基づく患者インターフェース350を示す。患者インターフェース350は、ハウジング12から伸びる延長部352、および延長部352の端に連結されるマスク354を含む。延長部352は、吸気された空気が延長部に流入することは許容するが周囲環境への反対方向のフローは抑制するように動作可能な一方向弁356を含む。図に示す弁356は、延長部352に形成された開口部358、および延長部の内面に1つの端が固定された可撓性の密閉部品360を含む。密閉部品360は、ゴムまたは他の任意の様々な適したエラストマーなど、可撓性材料および/またはエラストマー材料で作られていてもよい。通常の静止状態において、密閉部品360は開口部358を覆う。吸息中は、密閉部品360が開いて、(矢印370が示すように)外部の空気が開口部358を通って延長部に引き入れられることを可能にし、これにより、患者へのエアロゾル小滴の送達を助ける。呼息中は、密閉部品360が開口部358を覆い、延長部内のエアロゾル化された薬剤が周囲環境へと放出されることを防ぐ。
【0072】
この態様におけるマスク354は、非多孔質材料(空気を通過させない材料)で作られ、かつ呼息の流れを放出することを可能にする一方向弁362を含む。弁362は、外部の空気がマスクに流入することを防ぐため、通常の静止状態においてマスクの開口部366を覆う可撓性の密閉部品364を収容する。呼息中は、呼気された空気が開口部366および開口部368を通って環境中へと流出できるよう、密閉部品364が開く。
【0073】
図13に、エアロゾル送達装置10(または他の送達装置)とともに使用できる、別の態様に基づく患者インターフェース400を示す。患者インターフェース400は、ハウジング12から伸びる延長部402、および延長部402の端に連結されるマスク404を含む。この態様におけるマスク404は、空気の通過を可能にする多孔質材料で作られる。マスク404は、例えば、不織ポリプロピレン(従来の手術用マスクまたは防塵マスクに用いられているものなど)または他の好適な材料で作られていてもよい。呼気および吸気された空気は、(双方向矢印406が示すように)マスク404を通過できるが、呼息された粒子(例、咳またはくしゃみの粒子)、およびマスク内のエアロゾル化された薬剤は、環境中に放出されないよう捕捉される。延長部402は、外部の空気が流路内に引き入れられることを可能にしかつエアロゾル化エレメント16から吐出されたエアロゾル小滴の送達を助ける一方向弁356(図12)を含んでいてもよい。
【0074】
図14に、エアロゾル送達装置10(または他の送達装置)とともに使用できる、別の態様に基づく患者インターフェース450を示す。患者インターフェース450は、ハウジング12から伸びる延長部454、延長部454の端に連結される使い捨てマスク456、および延長部454の水平部分の周囲に同軸状に配置された空気分配プレナム458を含む。ポンプ46(図1Aおよび1B)(または別の圧縮空気源)からの圧縮空気をプレナム458に送達するため、プレナム458のエアインレット462に圧縮エアコンジット460が接続される。延長部454は、プレナム458内部の1つまたは複数の開口部464を備えるように形成される。使用において、コンジット460からの圧縮空気は、(矢印466の方向に沿って)プレナム458に流入し、開口部464を通って、延長部454に入る。プレナムからの空気流は、患者へのエアロゾル小滴の送達をさらに助け、かつ延長部の内面から遠ざかるようにエアロゾル小滴を誘導することによってこれら表面へのエアロゾル付着を低減する。
【0075】
図15に、エアロゾル送達装置10(または他の送達装置)とともに使用できる、別の態様に基づく患者インターフェース500を示す。患者インターフェース500は、ハウジング12から伸びる第一の部分502、ならびに患者の鼻および口を覆うようにサイズ決定された、拡大された第二の部分504を含む。患者インターフェース500は、インターフェースの全長にわたって呼気および吸気された空気が通過できるよう、多孔質材料で作られる。特定の態様においては、患者から患者への汚染に対して防御するため、患者インターフェース500全体が各使用後に廃棄されるよう意図される。
【0076】
図16に、エアロゾル送達装置10(または他の送達装置)とともに使用できる、別の態様に基づく患者インターフェース550を示す。患者インターフェース550は、ハウジング12から伸びる第一の部分552、ならびに患者の鼻および口を覆うようにサイズ決定された、拡大された第二の部分554を含む。複数のバッフル556が、第一の部分552の長さに沿って間隔を空けて配置され、エアロゾル化エレメント16から吐出されるエアロゾル小滴の流路内へと伸びる。バッフル556は、患者から患者への汚染に対して防御するため、エアロゾル化エレメント16および他の再利用可能部品を、呼息された粒子(例、咳またはくしゃみの粒子)から遮蔽する。図に示す態様において、第一の部分552は非多孔質材料で作られ、第二の部分554は多孔質材料で作られる。第一および第二の部分552、554は、接着剤またはファスナーなど、好適な技術または機構を用いて互いに固定してもよい。または、患者インターフェース550全体を、図15の患者インターフェース500と同様に単一の多孔質材料片で作ってもよく、もしくは別々に形成されそして一緒に結合されて患者インターフェースを形成する2つの多孔質材料片で作ってもよい。患者インターフェース550は、患者インターフェース500と同様、好ましくは使い捨ててである。
【0077】
図17Aおよび17Bに、ハウジング12から伸びる第一の部分602と、患者の鼻および口を覆うようにサイズ決定された、拡大された第二の部分604とを含む、別の態様に基づく患者インターフェース600を示す。第二の部分604は多孔質材料で作られ、一方、第一の部分602は多孔質材料で作られていてもまたは非多孔質材料で作られていてもよい。患者インターフェース600は、第一の部分602に配置された一方向弁606を含むという点を除いて、図16の患者インターフェース550と同様である。弁606は、第一の部分602の内面に1つの端が固定された可撓性の密閉部品608と、密閉部品608の反対側で第一の部分602の内面に1つの端が固定された非可動性の弁座610とを含む、フラッパー式の弁である。
【0078】
通常の静止状態において、密閉部品608は、弁座610と接触するかまたは部分的に重なって、エアロゾル化エレメント16から患者への流路を閉鎖する(図17B)。吸息中は、エアロゾル小滴および空気が患者に流入できるよう、密閉部品608が開く(図17A)。呼息中は、弁が閉じて(図17B)、呼息された粒子からの汚染に対してエアロゾル化エレメント16および他の再利用可能部品を保護する。別の態様において、患者インターフェース600は、汚染に対してさらに防御するため、弁606およびバッフル566(図16)の両方を含んでいてもよい。患者インターフェース600は、患者インターフェース500と同様、好ましくは使い捨ててである。
【0079】
図18Aおよび18Bに、ハウジング12から伸びる第一の部分652と、患者の鼻および口を覆うようにサイズ決定された、拡大された第二の部分654とを含む、別の態様に基づく患者インターフェース650を示す。第二の部分654は多孔質材料で作られ、一方、第一の部分652は多孔質材料で作られていてもまたは非多孔質材料で作られていてもよい。患者インターフェース650は、第一の部分652に配置された一方向の「ダックビル」式の弁656を含むという点を除いて、図17Aおよび17Bの患者インターフェース600と同様である。弁656は、それぞれが第一の部分652の内面に接続された、第一および第二の可撓性の密閉部品658を含む。密閉部品658は互いに向かって伸びて自由端で互いに接触し、これにより、弁が通常の静止状態にあるときエアロゾル化エレメント16から患者への流路を閉鎖する(図18B)。密閉部品658は、任意の様々な適したエラストマー材料で作られていてよい。吸息中は、エアロゾル小滴および空気が患者に流入できるよう、密閉部品658が開く(図18A)。呼息中は、弁が閉じて(図18B)、呼息された粒子からの汚染に対してエアロゾル化エレメント16および他の再利用可能部品を保護する。患者インターフェース650は、患者インターフェース500と同様、好ましくは使い捨ててである。
【0080】
図19Aおよび19Bに、ハウジング12から伸びる第一の部分702と、患者の鼻および口を覆うようにサイズ決定された、拡大された第二の部分704とを含む、別の態様に基づく患者インターフェース700を示す。第二の部分704は多孔質材料で作られ、一方、第一の部分702は多孔質材料で作られていてもまたは非多孔質材料で作られていてもよい。患者インターフェース700は、第一の部分702の内面に1つの端が固定された可撓性の密閉部品708を含む、一方向のフラッパー式の弁706を含む。概ね剛性の着座部品710が、可撓性密閉部品708の反対側で第一の部分702に固定される。着座部品710はハウジング12から離れるように角度を有し、かつ患者インターフェース700の縦方向の中心またはそれより上の位置まで伸び、これにより、呼息された粒子からエアロゾル化エレメント16を遮蔽する。弁706は、エアロゾル化エレメント16から患者へのフローを許容しかつ呼息中の反対方向のフローを制限するよう、図17Aおよび17Bに示す弁606と同様の様式で作動する。患者インターフェース700は、患者インターフェース500と同様、好ましくは使い捨ててである。
【0081】
図20Aおよび20Bに、ハウジング12から伸びる第一の部分752と、患者の鼻および口を覆うようにサイズ決定された、拡大された第二の部分754とを含む、別の態様に基づく患者インターフェース750を示す。第二の部分754は多孔質材料で作られ、一方、第一の部分752は多孔質材料で作られていてもまたは非多孔質材料で作られていてもよい。患者インターフェース750は、第一の部分752に固定された概ね剛性の着座部品758を含む一方向弁756を含む。ヒンジアセンブリは、着座部品758と反対側で第一の部分に固定された支持プレート762、および双方向矢印764で示す方向にピボット動作できるよう支持プレート762にピボット式に接続された密閉部品760を含む。通常の静止状態において、密閉部品760は着座部品758にもたれかかって(図20B)弁を閉じる。吸息中は、エアロゾル小滴および空気が患者に流入できるよう、密閉部品760が着座部品758から離れるように上方に回転する(図20A)。呼息中は、密閉部品760が閉位置に戻り、反対方向へのフローを制限する(図20B)。
【0082】
図11〜20の患者インターフェースは、アクチュエータ18およびエアロゾル化エレメント16を有するエアロゾル送達装置で使用されるものとして示したが、このことは必須ではない。したがって、ジェットネブライザーシステムおよび空気式のエアロゾル送達システムなど、他の種類のエアロゾル送達においてこれらの患者インターフェースを実施してもよい。
【0083】
図23および図24A〜24Cに、別の態様に基づくエアロゾル送達装置900を示す。エアロゾル送達装置900は、ユーザーの手で保持されるための形状のハンドル部904を備えるよう形成されたボディまたはハウジング902を含む。ハウジング902は、取り外し可能なエアロゾル化エレメント906、アクチュエータ18、およびアクチュエータ18を実質的に囲むエアマニホールド908を収容する。エアロゾル化エレメント906は、図22A〜22Cに示すエアロゾル化エレメント800の構造と同様の構造を有する。したがって、図22A〜22Cの構成部品と同様の図23および図24A〜24Cの構成部品は同じ符番が付与されており、これ以上説明はしない。図23に示すように、エアロゾル化装置906は、通気ポート972からバイアル22へと伸びる穿刺プロング970をさらに含む。
【0084】
ハンドル部904は、エアコンジット912を介してエアマニホールド908と流体的に連結されたエアポンプ910を収容する。ハウジング902上の第一の表示灯962は、薬剤がエアロゾル化されているか否かに関する視覚的表示を提供する。第二の表示灯964は、エアロゾル化速度があらかじめ定められた許容範囲外か否かに関する視覚的表示を提供する。表示灯962、964は、例えば、LEDまたはランプであってもよい。
【0085】
ハウジング902のフロント部914は、双方向矢印916で示すように、エアロゾル化エレメント906に対して近づくおよび遠ざかる方向に滑動するように取り付けられる。フロント部914は、(図23に示すような)作動時の閉位置において、エアロゾル化エレメント906を、アクチュエータ18に押し付けた所定の位置にしっかり保持する。エアロゾル化エレメント906にアクセスするため、ハウジング902から間隔を開けた開位置までフロント部914を動かしてもよい。
【0086】
解放可能な状態でフロント部914を閉位置に保持するためのラッチ機構918は、ハウジングを通って伸びるボタン920、ピボットピン928によりハウジングに接続されたレバー922、および、フロント部914内の対応するラッチ開口部の中へと上方に伸びるラッチピン924を含む。レバー922の1つの端はラッチピン924に連結され、レバーの反対側の端はボタン920を押さえつける。ピボットピン928の周囲に配置されたねじりばね926が、図23における反時計回り方向にレバー922にバイアスをかけ、これにより、ラッチピン924をフロント部914内のラッチ開口部の中に保持する。ボタン920を押下するとレバー922が時計回り方向に動き、これにより、ラッチピン924がラッチ開口部から外れて、フロン部914を開位置に動かせるようになる。フロント部914は、望ましくは、洗浄を簡単にするため、ハウジング902から完全に取り外し可能である。
【0087】
フロント部914は、マニホールド908と流体接触する空気流プレナム930、およびエアロゾル化された薬剤をエアロゾル化エレメント906から受け取る、同軸状に伸びる内部コンジット932を規定する。内部コンジット932は、空気流プレナム930と流体接触する1つまたは複数の開口部934を備えるように形成される。フロント部914には、上向きに角度のついた延長部938と使い捨てのフェースマスク940とを含む患者インターフェース936が連結される。延長部938は、望ましくは、洗浄を簡単にするためまたは使い捨てにするため、取り外し可能な様式で前方部分914に接続される。
【0088】
使用においては、アクチュエータ18を冷却するため、エアポンプ910からの空気がコンジット912を介してマニホールド908に流入する。空気流の一部は、エアロゾル化エレメント906の開口部98を介して内部コンジット932へと送られ(図24C)、患者へのエアロゾル小滴の運搬を助ける。マニホールド908内の空気流の別の部分は、矢印942が示すように、空気流プレナム930へと送られ、次に開口部934を介して内部コンジット932へと送られる。プレナム930からの空気流は、内面から遠ざかるようにエアロゾル小滴の流れを誘導することによって、内部コンジット932へのエアロゾル小滴の付着を防ぐことを助ける。
【0089】
エアロゾル送達装置900はまた、エアロゾル化エレメント906によって薬剤がエアロゾル化される速度を、エアロゾル化エレメント906から出てくるエアロゾルプルームを通過する光線の不明瞭化を検出することによってモニターするように動作可能な、エアロゾル化速度モニターも含む。図24A〜24Cにも示すように、エアロゾル化速度モニターは、光源944(例、ダイオードレーザーまたは発光ダイオード(LED))および光検出器またはセンサー946(例、フォトダイオード)を含み、これらはいずれもマニホールド908の後面に連結される。マニホールド908の前面と後面との間には第一の経路948および第二の経路950が伸びる。エアロゾル化エレメント906は、オリフィスプレート814のそれぞれ反対側に位置決めされた第一の反射鏡952および第二の反射鏡954を含む。各反射鏡952、954は、マニホールド908内の第一および第二の経路948、950に対して約45度の角度に位置決めされた反射面958を有する。
【0090】
光源944は、第一の経路948およびエアロゾル化エレメント906を通って第一の反射鏡952の反射面958上に光線を投射する。第一の反射鏡952は、エアロゾル化エレメント906から出てくるエアロゾルプルームを横切りそして第二の反射鏡954の反射面958に当たるように光線を反射する。第二の反射鏡954は、エアロゾル化エレメント906および第二の経路950を通って光検出器946へと向かうように光線を反射して返す。エアロゾル化エレメント906は、入射および反射した光線を伝えるため、望ましくは透明な材料(例、透明プラスチック)で作られる。または、エアロゾル化エレメント906は、入射および反射した光線がエアロゾル化エレメントを通過できるよう、第一および第二の経路948、950とアライメントした開口部を有する不透明材料でエアロゾル化エレメント906が作られていてもよい。反射面958は、反射鏡952、954に反射性塗料を塗布するかまたは反射材(例、反射テープ)の層を設けることによって形成してもよい。
【0091】
(図24Cに最もよく示されているように)反射された光線をエアロゾルプルームが通過すると、光検出器946が光線の不明瞭化を検出する。この不明瞭化はエアロゾルプルーム内のエアロゾル小滴の濃度に対応する。光検出器946はコントローラ960(図23)に信号をリレーし、コントローラ960がエアロゾル化速度を測定する。エアロゾル化速度が許容範囲の外にある場合は、表示灯964が点灯するかまたは点滅を開始して、この状態の視覚的表示を提供する。システム900はまた、エアロゾル化速度のデジタル読取値を提供するため、ハウジング902上の便利な位置に取り付けられたデジタル表示器966(図23)を含んでいてもよい。システムの作動状態に関する情報をユーザーに提供するため、音響式アラームなど他の表示装置も用いてよい。
【0092】
システム900はまた、投与された用量の数および各用量の量を計数または記録する計数装置を備えていてもよい。例えば1つの実施例において、コントローラ960は、用量情報(例、各用量の数および量)およびシステムの作動に関する他の情報を記録するためのメモリを有していてもよい。メモリに記録された情報をデジタル表示器966に表示してもよい。装置900はまた、そのような作動情報を保存するための取り外し可能なメモリ装置(例、フラッシュメモリカード)を含んでいてもよい。さらに、装置900の作動情報をケーブルまたはワイヤレス接続を介して汎用コンピュータ(例、ラップトップ)に伝送できるよう、通信ポート(図には示していない)が設けられていてもよい。
【0093】
開示した本発明の原理が適用され得る多数の可能な態様に鑑み、本明細書に示した態様は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでないことが理解されるべきである。むしろ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。したがって本発明者らは、これら特許請求の範囲および精神の範疇に入る全てを、本発明者らの発明として主張する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面およびその中に規定されるチャンバを有するボディと、
薬剤源に接続するため該ボディ内に規定されるインレットであって、該チャンバと流体接触状態にあるインレットと、
該ボディ内に規定されかつ該チャンバと連絡する薬剤放出オリフィスと、
該チャンバの一部を規定する内面を有する移動可能エレメントであって、該チャンバ内の薬物を該オリフィスを介して吐出するため該外面に印加された外力に反応して動くことができる移動可能エレメントと、
チャンバ内に配置されかつ移動可能エレメントとオリフィスとの間の最小限の間隔を保ち、外力が外面に印加される場合、該移動可能エレメントの内面と、該オリフィスを規定するチャンバの反対側の内面とを接触させ、最小限の間隔を保つように構成される突起とを含む、
薬剤をエアロゾル化するためのエアロゾル送達装置で使用するための取り外し可能なエアロゾル化エレメント。
【請求項2】
可動部が変形可能であり、かつチャンバ内の圧力を上昇させる外力の下で該可動部が変形しこれにより該チャンバからオリフィスを介して薬剤を吐出させる、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項3】
移動可能エレメントが可撓性ダイヤフラムを含む、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項4】
チャンバが、インレットと連絡する内部経路部およびオリフィスと概ね反対側の主チャンバ部を含む、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項5】
チャンバがあらかじめ定められた量の薬剤で充填されかつインレットが密閉される、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項6】
望ましくない物質がチャンバ内に入ることを低減するためインレット上に位置決めされるカバーをさらに含む、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項7】
ボディが、移動可能エレメントと概ね反対側でチャンバと部分的に境界を接しかつオリフィスを規定するオリフィスプレートを含む、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項8】
オリフィスプレートが実質的に金属フォイルからなる、請求項7記載のエアロゾル化薬剤。
【請求項9】
チャンバが、インレットからの重力送りによって薬剤で充填され得る、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項10】
チャンバが、毛管現象によって薬剤で充填され得る、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項11】
突起が、外力が移動可能エレメントに印加されない場合、該移動可能エレメントの内面とチャンバの反対側の内面とを接触させるような寸法である、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項12】
移動可能部品に印加される外力が、該移動可能部品を往復運動させて、チャンバ内の圧力を上昇させて薬剤を吐出させることと圧力を低下させて追加の薬剤を該チャンバ内に引き入れることとを交互に生じさせる震え振動を含む、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項13】
エレメントが、エアロゾル化される薬剤の少なくとも第一の成分および第二の成分であってエアロゾル化の前に該エレメント内で混合される成分であらかじめ充填される、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項14】
ボディが、薬剤の第一の成分であらかじめ充填された第一のリザーバと、薬剤の第二の成分であらかじめ充填された第二のリザーバと、該第一のリザーバと該第二のリザーバとの間に配置されかつ該第一の成分を該第二の成分から分離する分離エレメントであって該第一および第二の成分が混合できるよう該第一のリザーバ内へと移動可能な分離エレメントとを含む、請求項13記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項15】
ボディが薬剤のバイアルを受けるための形状である針部分を含み、該針の端がインレットを規定する、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項16】
エレメントが使用後に使い捨て可能である、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項17】
ボディの1つの側面が、エアロゾル化された薬剤をオリフィスから患者に向けて運搬するための患者インターフェースへの直接取り付けに適合した、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項18】
チャンバが、インレットとは別の空気孔を含む、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項19】
エアロゾル送達装置が、オリフィスを介して薬剤を吐出させるため移動可能エレメントに外力を印加するアクチュエータを含み、かつ
ボディが、該薬剤が該アクチュエータに接触することを防ぐように構成される、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項20】
ボディを通って伸びる少なくとも1つの空気流経路であって、該経路を通って流れる空気が吐出された薬剤をエレメントから遠ざかるように運搬できる経路をさらに含む、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項21】
空気流経路が、ボディの1つの側面に規定されたインレットと、ボディの反対の側面に規定され、該インレットからずれた位置であるアウトレットとを含む、請求項20記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項22】
エレメントを通過する光線が第一の反射面により反射されてオリフィスの前に伸び、該エレメントを通るように該光線を反射させる第二の反射面に当たるよう、ボディが、該オリフィスの反対側に位置決めされた第一および第二の反射面を含む、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項23】
ボディが、光線を伝える透明な材料を含む、請求項22記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項24】
可撓性ダイヤフラムが、最小限のチャンバ厚を保つ複数の突起を含む、請求項3記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項25】
ボディが、可撓性ダイヤフラムに隣接する開口部であって、該可撓性ダイヤフラムに連結しかつ外力を印加するため、アクチュエータを受けるよう適合した開口部を含む、請求項3記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項26】
ユーザーの手で保持されるためのサイズおよび形状であるハウジングと、
該ハウジング内に配置され、かつエアロゾル化された薬剤を吐出することができる、使い捨てエアロゾル化エレメントと、
該ハウジング内に配置され、かつ該使い捨てエアロゾル化エレメント内で薬剤をエアロゾル化するため該エレメントの一部に震え振動を作用させるように位置決めされた振動子と、
該ハウジングに連結され、かつ該使い捨てエアロゾル化エレメントから吐出されたエアロゾル化された薬剤を患者に送達するための形状である患者インターフェースとを含み、
該使い捨てエアロゾル化エレメントが装着および廃棄用に該ハウジングから取り外し可能である、エアロゾル化装置。
【請求項27】
エアロゾル化された薬剤を患者インターフェースを介して送達することを助けるため、装置に圧縮空気を供給するよう構成された圧縮空気源をさらに含む、請求項26記載の装置。
【請求項28】
圧縮空気源により運搬される空気の一部が、振動子の冷却用に誘導される、請求項27記載の装置。
【請求項29】
エアロゾル化された薬剤を患者インターフェースを介して送達することを助けるため、大気が装置内に進入できるように位置決めされたエアインレットホールをさらに含む、請求項26記載の装置。
【請求項30】
使い捨てエアロゾル化エレメントが、チャンバを薬剤で充填することを助けるためチャンバ内部に陰圧を生じさせる目的でユーザーが手で圧搾できる可撓性部分によって少なくとも部分的に規定される内部チャンバを有する、請求項26記載の装置。
【請求項31】
使い捨てエアロゾル化エレメントが、エアロゾル化される薬剤を受けるためのインレットを有し、かつ薬剤が振動子に接触することを防ぐ、請求項26記載の装置。
【請求項32】
ユーザーの身体上に装着または携帯される、身体取付可能なパックと、
該パック内に配置された1つまたは複数の電池を含む装置用の動力源とをさらに含む、請求項26記載の装置。
【請求項33】
パック内に配置されたエアポンプと、該エアポンプをハウジングに流体的に接続するエアコンジットとをさらに含み、エアロゾル化された薬剤を患者インターフェースを介して送達することを助けるため該エアポンプが該ハウジングに圧縮空気を供給するよう動作可能な、請求項32記載の装置。
【請求項34】
パックが、ユーザーの腰周りまたは肩の上に装着される、請求項32記載の装置。
【請求項35】
患者インターフェースが、患者の口および鼻の周囲にフィットする形状である使い捨てマスクを含む、請求項26記載の装置。
【請求項36】
マスクが、空気に対して通気性である材料を含む、請求項35記載の装置。
【請求項37】
患者インターフェースが、該患者インターフェースを通る使い捨てエアロゾル化エレメントから患者へのフローを許容し、かつ該患者インターフェースを通る逆方向のフローを抑制するように動作可能な一方向弁を含む、請求項26記載の装置。
【請求項38】
一方向弁がダックビル弁を含む、請求項37記載の装置。
【請求項39】
患者インターフェースが、呼息された粒子から使い捨てエアロゾル化エレメントを遮蔽する1つまたは複数のバッフルを含む、請求項26記載の装置。
【請求項40】
薬剤がエアロゾル化エレメントによりエアロゾル化される速度を検出するように動作可能なエアロゾル化速度モニターをさらに含む、請求項26記載の装置。
【請求項41】
装置により投与された用量の数を記録するように動作可能な計数装置をさらに含む、請求項26記載の装置。
【請求項42】
エアロゾル化された薬剤を吐出することができる使い捨てエアロゾル化エレメントと、
該使い捨てエアロゾル化エレメント内で薬剤をエアロゾル化するため該エレメントの一部に震え振動を作用させるように位置決めされた電池駆動式アクチュエータと、
該使い捨てエアロゾル化エレメントから吐出されたエアロゾル化された薬剤を患者に送達するための形状である患者インターフェースとを含み、
該エアロゾル化エレメントが、薬剤がアクチュエータに接触することを防ぐ、手持ち式のエアロゾル化装置。
【請求項43】
薬剤の供給源から患者インターフェースまでの流体経路が実質的にエアロゾル化エレメントの内部に含まれ、かつ該エレメントが装置から分離式に取り外し可能である、請求項42記載の装置。
【請求項44】
薬剤の供給源がエアロゾル化エレメントの内部に含まれる、請求項43記載の装置。
【請求項45】
エアロゾル化エレメントが、薬剤の供給源に直接接続するための形状である、請求項43記載の装置。
【請求項46】
エアロゾル化エレメントが、薬剤の体積であらかじめ充填される、請求項42記載の装置。
【請求項47】
薬剤の体積が、複数の単回投与を送達するのに十分である、請求項46記載の装置。
【請求項48】
エアロゾル化エレメントに直接連結するための、薬剤を含むバイアルをさらに含む、請求項47記載の装置。
【請求項49】
患者インターフェースが、各使用後に廃棄するよう意図されたマスクを含む、請求項42記載の装置。
【請求項50】
患者インターフェースが、各使用後に廃棄するよう意図された、多孔質でありかつ患者から呼息されたエアロゾルを捕捉するマスクを含む、請求項42記載の装置。
【請求項51】
患者インターフェースが、各使用後に廃棄するよう意図された鼻用プロングである、請求項42記載の装置。
【請求項52】
使用中にエアロゾル化速度をモニターすることを可能にするエアロゾル化速度モニターをさらに含む、請求項42記載の装置。
【請求項53】
エアロゾル化速度モニターが、エアロゾル化エレメントにより吐出されるエアロゾル小滴を通って伸びる光線を投射するように動作可能な光源と、該エアロゾル小滴により生じた該光線の不明瞭化を検出するように動作可能な光検出器とを含む、請求項52記載の装置。
【請求項54】
エアロゾル化速度モニターがコントローラと視覚表示器とを含み、該コントローラが光検出器からの信号を受け取りかつ該信号に基づいてエアロゾル化速度を測定し、かつ該視覚表示器が該エアロゾル化速度に関する視覚表示を提供する、請求項53記載の装置。
【請求項55】
エアロゾル化エレメントが第一のおよび第二の反射面を含み、該第一の反射面が、光源からの光線を、エアロゾル小滴を通る第一の方向に伸びるように反射するよう位置決めされ、該第二の反射面が、該エアロゾル小滴を通って伸びる該光線を、光検出器に向かう第二の方向に伸びるように反射するよう位置決めされる、請求項53記載の装置。
【請求項56】
少なくともエアロゾル化エレメントおよび振動子が、ユーザーの手で保持するためのサイズであるハウジング内に一緒に配列される、請求項42記載の装置。
【請求項57】
少なくとも電池がその中に位置決めされる、ハウジングとは別の構成部品であって、ハウジングへの動力接続を有しかつユーザーの身体上に装着または携帯されるよう適合した構成部品をさらに含む、請求項42記載の装置。
【請求項58】
エアロゾル化装置内の使い捨てエアロゾル化エレメントに震え振動を印加することによって、エアロゾル化された薬剤を該エアロゾル化装置から投与する段階、および該薬剤の投与後に該エアロゾル化エレメントを廃棄する段階を含む、エアロゾル化装置を使用する方法。
【請求項59】
突起が移動可能エレメント上に形成される、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項60】
突起がチャンバの最小限の間隔と等しい約0.1mmの高さを有する、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項61】
オリフィスがレーザー穿孔によって形成される、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項62】
突起が、移動可能エレメントの内面とチャンバの反対側の内面と接触する場合、薬剤がチャンバを通って流れることを可能にするよう構成される、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。
【請求項63】
移動可能エレメントに連結される超音波ホーンを含み、かつアクチュエータと、アクチュエータの震動を移動可能エレメントに伝達するためにアクチュエータを移動可能エレメントに連結させる動き伝達部品とを含むエアロゾル送達装置と組み合わされた、請求項1記載のエアロゾル化エレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−87959(P2011−87959A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291423(P2010−291423)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【分割の表示】特願2007−506310(P2007−506310)の分割
【原出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(503245650)アメリカ合衆国 (9)
【出願人】(506020252)クレアーレ インコーポレイテッド (2)