説明

エアーシャフト

【課題】様々な内径の芯管を偏芯なく装着・支持できるエアーシャフトを提供する。
【解決手段】芯管18を支持するエアーシャフト4であって、前記芯管18の内径よりも小さい外径のシャフト本体17と、該シャフト本体17の両端それぞれの近傍に設けた溝24に嵌挿されたときの外径が前記シャフト本体17の外径より大きく前記芯管18の内径より僅かに小さい外周面23を有する複数のアダプタ22とを備える。また、外周面23は、段部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム等を捲着する芯管を支持して駆動するエアーシャフトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアーシャフトに関しては、例えば特許文献1に記載がある。特許文献1のエアーシャフトは、回転駆動される中空のシャフト本体と、該シャフト本体の内部に軸方向に沿って配設され、空気の供給によって膨脹するエアーチューブと、前記シャフト本体とエアーチューブとの間に径方向に沿って介在され、前記エアーチューブの膨脹により前記シャフト本体の外面から突出する複数のラグとから成り、前記シャフト本体の外周面の軸方向両端部に互いに間隔をおいて、前記シャフト本体の外径より僅かに大径の外径を有する突条を周方向に沿って形成したものである。
【0003】
しかしながら、積層成形装置のフィルム巻き取り・巻き出しロールに特許文献1のエアーシャフトを採用したときには、フィルムの種類に応じて交換される芯管の内径が変化し、シャフト本体の外周に設けた突条と芯管の内周との間の間隙が変化する。そして、その間隙が偏芯した状態でエアーシャフトは芯管を固定するので、芯管に捲着されたフィルムの外径も偏芯することとなり、図1に示すようにフィルムを両側からエアーシャフトで牽引駆動してフィルムの張力を制御する場合に張力の変動を惹起させ、積層装置内でのフィルムの安定性が低下する。また、そのように偏芯したフィルムをエアーシャフトの回転駆動で搬送したときには、フィルムに皺が発生する。
【0004】
【特許文献1】特開2001−10750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した問題を解決すべくなされたものであって、様々な内径の芯管を偏芯なく装着・支持できるエアーシャフトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、芯管を支持するエアーシャフトであって、前記芯管の内径よりも小さい外径のシャフト本体と、該シャフト本体の両端それぞれの近傍に設けた溝に嵌挿されたときの外径が前記シャフト本体の外径より大きく前記芯管の内径より僅かに小さい外周面を有する複数のアダプタとを備えるエアーシャフトに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエアーシャフトによれば、様々な内径の芯管を偏芯なく装着・支持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明のエアーシャフトを装備した積層成形装置の構成図である。図2は、本発明に係るエアーシャフトの部分断面の正面図である。
【0009】
積層成形装置1は、ラミネータ2と、プレス機3と、巻き出しロール11と、巻き取りロール12と、巻き出しロール11及び巻き取りロール12の芯管を装着・支持するエアーシャフト4とからなる。ラミネータ2は、固定的に配設され下面が真空チャンバを構成する固定盤7と、固定盤7に対向して可動的に配設され上面が真空チャンバを構成する可動盤8と、可動盤8を上下駆動させると共に固定盤7と協働して圧締させ真空チャンバを形成させる駆動手段5とからなる。なお、前記真空チャンバは、図示しない弾性体の加圧膜で区画された内側に形成される。そして、巻き出しロール11,11から繰り出される搬送フィルム13,13に挟持された被積層材14と積層材15は、搬送フィルム13,13の搬送移動に伴ってラミネータ2の開いたチャンバ内へ搬入され位置決めされる。駆動手段5で固定盤7と可動盤8を圧締して真空チャンバを形成後、加圧流体で膨張させた加圧膜と固定盤7の下面との間で搬送フィルム13,13を介して被積層材14と積層材15を加圧し、チャンバの外方に設けた図示しない加熱手段により加熱しつつ積層成形する。なお、ラミネータは、加圧膜を用いずにプレス機のように構成してもよいし、真空雰囲気中でなく大気中で積層成形するようなものであってもよい。
【0010】
プレス機3は、固定的に配設される上熱盤9と、上熱盤9に対向して可動的に配設される下熱盤10と、下熱盤10を上下駆動させると共に上熱盤9と協働して圧締させる駆動手段6とからなる。巻き取りロール12,12に巻き取られる搬送フィルム13,13の被積層材14(積層材15)が挟持された先方にあり前の成形サイクルで被積層材14と積層材15が積層成形されてできた積層品16が、ラミネータ2から搬出され、続いて、プレス機3に搬入される。被積層材14(積層材15)と積層品16との挟持距離は、ラミネータ2とプレス機3との中心間隔に等しいので、積層品16はプレス機3の上熱盤9と下熱盤10との間に正しく位置決めされる。この積層品16は、上熱盤9の下面と下熱盤10の上面で、上熱盤9の下面と下熱盤10の上面近傍に設けた図示しない加熱手段により加熱されつつ駆動手段6によって圧締されて平坦化等の2次加工が行われる。なお、被積層材14(積層材15)の種類によっては、この2次加工が不要の場合もあり、ラミネータ2のみで積層成形装置を構成することもある。
【0011】
エアーシャフト4は、図2に示すように、その基本原理・構成は特許文献1にも開示されている。エアーシャフト4は、サーボモータ等の駆動源により回転駆動される中空のシャフト本体17と、シャフト本体17の内部に軸方向に沿って配設される膨縮自在なエアーチューブ20と、シャフト本体17とエアーチューブ20との間に径方向に沿って介在され、エアーチューブ20の膨脹によりシャフト本体17の外面から突出する複数のラグ19と、シャフト本体17の両端それぞれの近傍に刻設した溝24と、溝24に嵌挿して取り付けられる複数のアダプタ22とからなる。シャフト本体17の外周面は、アダプタ22を介して、フィルム13等が捲着された芯管18を挿脱可能に挿通する。
【0012】
溝24は、シャフト本体17の両端それぞれの近傍に、シャフト本体17の周方向環状に設けることが好ましいが、シャフト本体17の表面の円周上等間隔位置に軸方向又は軸方向から適度に傾いた方向に複数設けてもよい。
【0013】
アダプタ22は、溝24が環状であるときには少なくとも2分割の円環体であることが好ましいが、溝24が軸方向等に複数設けられたときには各溝にそれぞれ嵌挿できる形状のものとする。
【0014】
アダプタ22は、溝24に嵌挿した後脱落を防止するため、ボルト等で溝24の底面に固着させる。そしてこのとき、アダプタ22の外周面23の径は、シャフト本体17の外径より大きく芯管18の内径より僅かに小さくなるように設定されている。さらに、様々なフィルムの種類に応じて変化する芯管18の内径に対応するために用意された異なる外周面23の径を有する複数のアダプタ22を容易に交換可能としている。そのため、芯管18を交換してもエアーシャフト4への芯管18の装着・支持を偏芯のない最適な状態に保つことができ、積層成形装置での成形時にフィルム13に皺を生じさせたり、ラミネータ2のチャンバ内でフィルム13が垂れ下がって成形不良を生じさせることがない。
【0015】
ところで、アダプタ22の芯管18を嵌挿する部分である外周面23は、アダプタ22の芯管18中心部側に設けた段部を形成している。すなわち、アダプタ22はその外周面23である小径部と、芯管18の外径と略同一径の大径部とを有する。この段部は、芯管18を軸方向に位置決めするのに効果的である。なお、段部は必ずしも必須のものではなく、アダプタ22は段部を有せず外周部23のみで構成されるものであってもよい。
【0016】
次に、エアーシャフト4への芯管18の着脱方法について説明する。芯管18をシャフト本体17に装着するときは、エア出入口21からエアチューブ20内の空気を排出して、ラグ19をシャフト本体17の外表面から埋没させる。シャフト本体17の両端近傍のアダプタ22のうち一方のアダプタ22を溝24から抜出した後、シャフト本体17のアダプタ22を抜いた側から芯管18又はフィルムが捲着された芯管18を挿入する。挿入する芯管18の先端部を、固着された状態のアダプタ22に嵌挿する。芯管18を挿入した側の溝24にアダプタ22を嵌挿し固着する。エア出入口21から圧空を供給して、エアチューブ20を膨張させてラグ19をシャフト本体17の外表面から突出させ芯管18の内表面に押圧させて、芯管18をシャフト本体17に固着させる。
【0017】
芯管18をシャフト本体17から取外すときは、エア出入口21からエアチューブ20内の空気を排出して、ラグ19をシャフト本体17の外表面から埋没させる。シャフト本体17の両端近傍のアダプタ22のうち一方のアダプタ22を溝24から抜出した後、シャフト本体17のアダプタ22を抜いた側から芯管18又はフィルムが捲着された芯管18を取り出す。
【0018】
この発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を付加して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のエアーシャフトを装備した積層成形装置の構成図である。
【図2】本発明に係るエアーシャフトの部分断面の正面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 積層成形装置
2 ラミネータ
3 プレス装置
4 エアーシャフト
5,6 駆動手段
7 固定盤
8 可動盤
9 上熱盤
10 下熱盤
11 巻き出しロール
12 巻き取りロール
13 フィルム
14 被積層材
15 積層材
16 積層品
17 シャフト本体
18 芯管
19 ラグ
20 エアチューブ
21 エア出入口
22 アダプタ
23 外周面(段部)
24 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯管を支持するエアーシャフトであって、前記芯管の内径よりも小さい外径のシャフト本体と、該シャフト本体の両端それぞれの近傍に設けた溝に嵌挿されたときの外径が前記シャフト本体の外径より大きく前記芯管の内径より僅かに小さい外周面を有する複数のアダプタとを備えることを特徴とするエアーシャフト。
【請求項2】
前記アダプタの外周面は、段部を形成する請求項1に記載のエアーシャフト。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−87924(P2008−87924A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271566(P2006−271566)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000155159)株式会社名機製作所 (255)
【Fターム(参考)】