説明

エアージェットルーム用フィラメント糸条

【課題】 エアージェットルームによる高速製織であっても、品位、風合いの良好な織物を得ることが出来る、エアージェットルーム用フィラメント糸条を提供すること。
【解決手段】 セルロースフィラメントからなり、沸水処理後の伸縮伸長率(SB)が4%以上、単糸バラケ長さ(L)がL=10mm〜60mmの範囲内にある仮撚加工糸であることを特徴とするエアージェットルーム用フィラメント糸条。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアージェットルーム用フィラメント糸条に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、北陸のセルロースフィラメント織物産地では、高速回転を可能とするエアージェットルームへの代替が進んでおり、マルチフィラメント素材を中心に、その緯入れ速度は従来の650m/分前後から、最近では、約1200m/分まで高速化されてきた。しかし、高速緯入れで製織する場合は、織機の停台回数が増加し稼動率が悪化すると同時に織物品位が低下する傾向にある。これらの問題を解決するために、例えば、緯糸に交絡数を付与する等、高速製織に耐えうる緯糸への改良がなされているが、交絡数を付与すると、イラツキ欠点等が発現するなどして織物品位は低下する傾向にある。
【0003】
一方、エアージェットルームで製織された織物は、織成過程で経糸や緯糸に高い張力が付与される為、出来上がった織物はペーパーライクな硬い風合いとなってしまう欠点がある。これらの問題に対し、捲縮を付与したセルロースフィラメントを用いる方法がある。加撚−熱固定−解撚という、所謂、加撚−解撚法による堅牢度の高い捲縮糸が開示されている(例えば、特許文献1参照)が、熱固定が不十分で、沸水処理後の伸縮伸長率は5%未満と小さく、充分な嵩高性は得られないうえに、3工程という多くの工程を要するので生産性に劣る。また、リヨセル繊維において、湿熱処理(60%水分率)により押し込み捲縮を付与する方法(例えば、特許文献2参照)や、セルロースからなる繊維を高圧蒸気で処理する方法で、デニット加工糸やギア加工糸の形状を記憶処理する方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。しかし、これらの方法は、ヤーン単位での捲縮であり、伸縮保持率は高いものの、本発明で意図するような、沸水処理後に捲縮が大きく発現することで、ソフト感に優れた織物が得られるというレベルには程遠い。またフィラメント単位の捲縮にもなっていないので織物品位が悪くなる。
【0004】
従って、エアージェットルームによる高速製織であっても、高品位でソフトな風合の織物を得ることが出来るような、セルロースフィラメント糸条が要望されている。
【特許文献1】特公昭31−1950号公報
【特許文献2】特表平9−509987号公報
【特許文献3】特開平5−33259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、エアージェットルームによる高速製織であっても、品位、風合いの良好な織物を得ることが出来る、エアージェットルーム用フィラメント糸条を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は下記の通りである。
(1) セルロースフィラメントからなり、沸水処理後の伸縮伸長率(SB)が4%以上、単糸バラケ長さ(L)がL=10mm〜60mmの範囲内にある仮撚加工糸であることを特徴とするエアージェットルーム用フィラメント糸条。
(2)少なくとも緯糸に(1)記載のフィラメント糸条を用い、エアージェットルームにより製織された織物。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエアージェットルーム用フィラメント糸条を用いることで、エアージェットルーム高速製織であっても、品位、風合いの良好な織物を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明について、特にその好ましい形態を中心に、以下具体的に説明する。
本発明において、セルロースフィラメントとしては、例えば、キュプラアンモニウムレーヨン、ビスコースレーヨンなどの再生セルロース繊維、ポリノジック、精製セルロース系繊維等、セルロース繊維のフィラメントであればよい。セルロースフィラメントの繊度は希望に応じて適宜選定すれば良く、例えば、単糸繊度としては0.8〜5.5dtex、フィラメント数20〜120本、トータル繊度は55〜330dtex程度のものが好ましく用いられる。
本発明のエアージェットルーム用フィラメント糸条は、伸縮伸長率(SB)が4%以上、好ましくは10%以上、50%以下、特に好ましくは10〜40%である、セルロースフィラメントを用いることが最大の特徴であり、織物となした時に、ソフト感に優れた織物が得られる。尚、SBが50%を超えると、嵩高性が大きくなりすぎて、凹凸感のある織物となり外観が損なわれる傾向となる。
【0009】
本発明においてさらに好ましい要件としては、沸水処理前後の伸縮伸長率の比(SB/S0)が0.5以上、特に好ましくは0.7以上、10以下であると、織物となした時にシフト感に優れた織物が得られる。SB/S0が0.5未満では、精練や染色に基づく熱水処理で嵩高性が損なわれることがあり、10を超えると、嵩高性は大きいものの、凹凸感のある織物となり外観が損なわれる傾向がある。SB/S0とは、沸水処理して乾燥した後の伸縮伸長率(SB)と、沸水処理前の伸縮伸長率(S0)との比である。
さらに、本発明においては、X線回析による算出法にて、セルロースIV型結晶成分が20%以上混在することが好ましく、より好ましくは20〜60%混在するのが好ましい。この範囲であると、セルロースIV型の特徴である湿潤処理による形態保持性が充分に発揮される。
【0010】
このような沸水処理後の伸縮伸長率(SB)が4%以上のセルロースフィラメント糸条は、例えば、特開2002−54044号公報、特開2002−327343号公報、特開2004−131890号公報に開示されている方法によって製造することが出来る。
好ましい製法例としては、セルロースフィラメント糸条の仮撚加工糸を高圧水蒸気処理後に高圧熱水処理する方法がある。具体的な条件としては、絶対圧力0.41〜1.23MPa、温度160〜210℃、処理時間300〜1800秒が好ましい。高圧水蒸気処理は、従来公知の高圧釜装置を備えている装置で、チーズ状あるいはビーム状で処理できれば良く、例えば特開平9−31830号公報に記載されている高圧釜等である。
【0011】
高圧熱水処理の場合、従来公知の高圧釜装置を備えていて、チーズ染色あるいはビーム染色などができる装置で有れば良い。熱水処理においては、縦型処理機が好ましく、予め、処理糸を装着し、その中に水を投入したのち、染色ビームの内側から、外側に向かって液循環させながら、所定の処理を行うものである。
高圧水蒸気処理、高圧熱水処理する時の糸形態は、巻密度0.30〜0.45g/cmにしたチーズ形態で処理することが好ましい。
【0012】
又、他の好ましい製法例としては、セルロースフィラメント糸条を仮撚加工するに際し、仮撚加工前の供給糸に水分を付与し、加撚時にヒーター温度180℃以上の高温で処理をすることにより製造される。付与する水分は、水のみ、または、水に浸透剤等の界面活性剤、あるいは目的に応じて各種の機能を付与するための加工剤を添加しても良い。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル系活性剤等の非イオン系活性剤やジアルキルサクシネート、ジオクチルスルホサクシネートなどのアニオン系活性剤等を使用する。使用量としては、好ましくは0.1〜20g/リットル、より好ましくは0.5〜10g/リットルである。また、水と共にグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピリングリコール等のポリアルキレングリコールなどを付与することにより、仮撚加工糸の強度低下を防止することができる。付与する水分は、常温でも温湯でも良いが、15〜25℃が好ましい。水分の付与は、仮撚加工する前、即ち、クリール仕掛けをする前に別工程で付与しても良く、又、仮撚加工工程での第1ヒーター前でも良い。また、セルロース系繊維のフィラメント原糸製造工程における乾燥工程に仮撚機構を組み入れ、一次乾燥時に仮撚工程を組み入れて製造しても良い。水分を付与する方法は、供給糸を水中に走行させる浸漬法、水をノズルから噴出させて付与するノズル法、水で濡れたローラー表面に糸を接触させる単純ローラー法、また、ローラーの前で糸を水に浸漬させるデイップローラー法、走行中の糸に水をシャワーする噴霧法等、何れの方法でも良い。付与する水分量は、第1ヒーターに入る前の供給糸の絶乾水分率を20〜130%にするのが好ましく、更に好ましくは30〜100%である。尚、絶乾水分率は(株)ケット科学研究所製の赤外線水分計(商標、FD−240)を用いて測定した。
【0013】
仮撚加工温度は、例えば、加工速度60〜100m/分、接触式ヒーターゾーンの通過時間が0.69〜1.15秒の場合、第1ヒーター温度は180〜260℃が好ましく、更に好ましくは220〜260℃である。
尚、第1ヒーター通過直後の糸の絶乾水分率は0〜15%が好ましく、特に5〜12%が更に好ましい。又、第2ヒーターを使用した2ヒーター仮撚加工糸にしても良い。
仮撚加工は、ピン、ニップベルト、ディスク等によって撚をかける仮撚方式により加工することが好ましく、なかでも均一な捲縮を得るためにはピン仮撚方式が好ましい。他の好ましい仮撚加工条件は、
仮撚数=(24000/D1/2+590)×(0.6〜1.1)
式中、Dは供給糸の繊度(dtex)を表す。
第1フィード率は−3〜10%、テイクアップ(TU)フィード率は1〜8%、加撚張力は0.05〜0.29cN/dtex、解撚張力は、(加撚張力)×(3.0〜8.0)倍である。
【0014】
次に、本発明のフィラメント糸条は該糸条の単糸バラケ長さ(L)が10mm〜60mmの範囲内にあることが特徴であり、より好ましくは25mm〜50mmである。この単糸バラケ長さが10mm未満では、エアージェットルームによる緯入れにおいて、緯糸の搬送力が極端に低下するため、噴射空気圧力を高くする必要が生じ、糸条の柔軟性が損なわれることで、緯糸ゆるみ欠点等の織物欠点が増加するとともに、出来上がった織物の風合いも硬くなる。一方、60mmを越えると噴射空気圧は低く出来るものの、高速製織下では、極端に単糸がバラケ易くなり緯節欠点等の織物欠点が増加すると共に、バラケた単糸は正常に緯糸搬送がされず織機を停止させてしまうため、織機稼動率が著しく低下する。
【0015】
本発明で言う単糸バラケ長さ(L)は、次の方法で測定される。一本のフィラメント糸条を50cmの長さにとり、この上端を固定し、下端に0.56g/dtexの荷重を吊るす。次に、荷重によって緊張された該糸条の上端より25cmの長さのところを、ハサミで切断する。切断された該糸条の両端部の単糸のバラケた長さ(L)を測定し、その長さを単糸バラケ長さ(L)として表す。その場合、切断された該糸条は、糸先端においても単糸がバラケて枝分かれした状態となるが、各単糸の枝分かれ開始点が必ずしも同じでないため、最も長く枝分かれしている単糸の枝分かれ開始点から切断された先端の長さまでの長さを測定する。尚、測定数は20本以上とし、その平均値で表す。
【0016】
単糸バラケ長さ(L)を調整する方法としては、例えば、油剤の追油による油剤付着量を調整したり、インターレースによってエアー交絡を付与する方法あるいは両者を組み合わせる方法があり、油剤の付着量が少ないほど、エアー交絡数が少ないほど単糸バラケ(L)は大きくなる。好ましい油剤の付着量は0.5〜2重量%、エアー交絡数は5〜20ケ/mがよい。但し、インターレースによるエアー交絡付与はイラツキ欠点等の織物品位を損なう可能性があるため、エアー交絡数は十分な検討が必要である。一方、油剤の種類については特に限定されず、通常は、鉱物油、脂肪酸エステル、ノニオン系の界面活性剤等を主成分とする油剤が用いられる。本発明のフィラメント糸条の緯糸形態は、パーンよりチーズあるいはコーンの形態が、緯糸解舒性が良好であり好ましい。
【0017】
本発明に用いるエアージェットルームとは、図1に示すように、緯糸1を織物幅分の長さを貯えておく貯留ドラム2を備え、貯えた緯糸1を貯留ドラム2から、変形筬3の導糸孔内4に飛走させる主ノズル5を有し、更に導糸孔を有する変形筬3と図1、図2に示すように変形筬3の導糸孔4の下部前方に任意の距離で長手方向に補助ノズル6が複数本設置されているものであり、その緯入れ方法は、図1、図2に示すように、緯糸1が開口された経糸7の間を主ノズル5からの噴射空気流によって、変形筬3の導糸孔4の中を飛走し始め、その緯糸1が主ノズル5に隣接する複数本の補助ノズル6の空気噴射口8から導糸孔内に噴射された空気流によって順次受け渡され、反主ノズル方向に飛走させ緯入れする。この緯入れにおいては、0.05〜0.5MPaのエアー噴射圧力にて緯糸を飛走させるが、緯糸へのダメージを少なくするために、0.4MPa以下の低い噴射圧力で飛走させることが好ましい。
【0018】
本発明に用いるエアージェットルームの緯糸貯留ドラムは、ドラム部分がピンタイプであることが好ましく、緯糸がドラムより解舒されるときの接触抵抗が少なくなり、製織効率が上がると共に高品位の織物を得られる。該ドラム部分の材質は特に限定されるものではなく、ステンレス鋼に鏡面加工や梨地加工を施したもの、あるいは、クロムメッキ加工を施したもの等が挙げられる。
一方、本発明では、経糸については、従来公知の綿等の天然繊維、再生セルロース繊維、ポリエステル等の合成繊維等、特に限定されないが、本発明のフィラメント糸条を用いる場合、織機の筬やヘルドとの摩擦作用や張力作用に耐えるために糊油剤を付与する。糊剤としては、アクリル系糊剤、ポリビニールアルコール系糊剤、あるいはこれらの組み合わせによる混合糊剤でもよい。かかる糊付け糸条を得るには、スクイズローラー方式あるいはローラータッチ方式の糊付け機を用いることにより可能であるが、ローラータッチ方式を用いる方が、織物経品位は良好になる。
本発明のフィラメント糸条により得られる織物の組織は、平織、綾織、朱子組織があるが特に組織を限定するものではない。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
尚、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
(1)沸水処理後の伸縮伸長率(SB)
試料を20℃、65%RHの恒温恒湿の室内に約1週間放置した後、検尺機にて2cN/糸以下の張力で解舒して綛を作り、1昼夜リラックスさせた状態で調湿し、綛の状態でガーゼに包み、JIS−L−1013フィラメント収縮率(B法)に準じて、沸騰水中に30分間浸漬させた後、綛を取り出して手で挟んで軽く水を切り、ガーゼを外した後、吊り干しの状態で20℃、65%RHの標準状態の室内にて乾燥及び調湿した後にJIS−L−1090伸縮性試験法(A法)に準じて測定を行い、5回の平均値で算出した。
【0020】
(2)製織性等
試験糸を緯糸に用いて、津田駒エアージェットルーム(商標、ZA103、変形筬、補助ノズル併用タイプ)にて、製織性、生機品位の評価を行った。製織条件は下記の通りである。
経糸は84dtex/45fキュプラアンモニウムレーヨンフィラメントの原糸にタッチロール方式にて糊付けした糊付け糸を用いた。
・経糸密度:43.3本/cm
・筬羽密度:21羽/cm
・筬通し幅:135cm
・緯糸密度:33.1本/cm
・織物組織:平織
・緯糸貯留ドラムタイプ:ピンタイプ(1色仕様)
・織機回転数:750rpm
・エアー圧力:主ノズル0.2〜0.25MPa
補助ノズル0.32〜0.36MPa
・補助ノズルの孔径:1.5mmφ
・補助ノズルの取り付け間隔:80mm
・緯糸到達タイミング:225〜230°
(i)緯糸因停台率
織機を3台用い、24時間×10日間製織し、この時の緯糸因停台回数を1台、1日当りに換算し、5回以下=○、6〜10回=△、11回以上=×とした。
(ii)織物品位
製織した生機を1000m検反し、欠点の長さ0.5cm以上の経節、緯節、緯ゆるみ等の欠点箇所及び織段欠点箇所を数え、これを50m当りに換算し、5個以下=○、6〜10個=△、11個以上=×とした。
【0021】
(3)織物風合い
常法により精練仕上げ加工を行った織物の風合いを手触りで官能評価し、1級=柔らかい、2級=やや柔らかい、3級=普通、4級=やや硬い、5級=硬いの5段階の評価基準に基き、5人でランク付けして、その平均値で表し、1.5級以下=◎、1.6〜2.5級=○、2.6〜4級=△、4.1級以上=×とした。
【0022】
〔実施例1〜4、比較例1〜2〕
84dtex/45fキュプラアンモニウムレーヨンフィラメント(旭化成せんい社製:商標ベンベルグ:引張強さ23.0cN/tex、引張り伸度9.1%、沸水収縮率4.5%)を用い、仮撚加工機(石川製作所製:商標、IVF−338、加撚機構はピン方式、接触式ヒーター、ヒーター長115cm)の条件を、加工速度100m/分、加熱時間0.69秒、スピンドル回転数230000rpm,仮撚数2300T/m(Z撚)、第1フィード率0%、TUフィード率4%に設定した。
クリールから供給された糸に2.9cN/糸の張力を掛け、第1ヒーター前にて水中を走行させる浸漬法で水分を付与した後、鋭角のセラミック板に接触させ、更に、エアーサクションを用いて付着水を除去して絶乾水分率を40%とした後、第1ヒーター温度250℃で仮撚加工した。得られた仮撚加工糸の沸水処理後の伸縮伸長率(SB)は21.0%であった。
次に、得られた仮撚加工糸に、鉱物油、脂肪酸エステルを主成分とする油剤を追油方式で付与し、その付着量を変化させることにより表1に示す各種単糸バラケ長の異なる試験糸を得た。この試験糸を緯糸に用い評価した結果を表1に示す。
【0023】
〔比較例3〕
84dtex/45fキュプラアンモニウムレーヨンフィラメント(旭化成せんい社製:商標ベンベルグ:引張強さ23.0cN/tex、引張り伸度9.1%、沸水収縮率4.5%)を用い、水分を付与しない以外は実施例同様に仮撚加工した。得られた仮撚加工糸の沸水処理後の伸縮伸長率(SB)は2.5%であった。
次に、鉱物油、脂肪酸エステルを主成分とする油剤を追油方式で付与し、単糸バラケ長(L)=30としたの試験糸を得た。この試験糸を緯糸に用い評価した結果を表1に示す。
【0024】
〔比較例4〕
84dtex/45fキュプラアンモニウムレーヨンフィラメントの原糸に、鉱物油、脂肪酸エステルを主成分とする油剤を追油方式で付与し、単糸バラケ長(L)=30としたの試験糸を得た。この試験糸を緯糸に用い評価した結果を表1に示す。
表1から明らかなよう、単糸バラケ長さ(L)が10〜60mm、好ましくは25〜50mmでは、緯糸因停台率(織機の稼動率)が少なく、織物品位(織物欠点)も良好なものが得られる。
一方、少なくとも緯糸に本発明のフィラメント糸条を用いることで、高速製織であっても、緯因停台率、織物品位が良好で、かつ風合いも柔らかな、優れた織物が得られることがわかる。
【0025】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のエアージェットルーム用フィラメント糸条は、裏地織物やブラウス、シャツ等のアウター織物に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一般的エアージェットルームの緯入れ方法を示した説明図。
【図2】経糸と補助ノズルの空気噴射口との位置関係を模式的に示した説明図。
【符号の説明】
【0028】
1 緯糸
2 貯留ドラム
3 変形筬
4 導糸孔
5 主ノズル
6 補助ノズル
7 経糸
8 空気噴射口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースフィラメントからなり、沸水処理後の伸縮伸長率(SB)が4%以上、単糸バラケ長さ(L)がL=10mm〜60mmの範囲内にある仮撚加工糸であることを特徴とするエアージェットルーム用フィラメント糸条。
【請求項2】
少なくとも緯糸に請求項1記載のフィラメント糸条を用い、エアージェットルームにより製織された織物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−2284(P2006−2284A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179486(P2004−179486)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】