説明

エコドライブ支援システム、並びに、そのシステムを構成するエコドライブ支援装置及び特典付与装置

【課題】より多くの運転者によるエコドライブの実践を支援するエコドライブ支援装置を提供すること。
【解決手段】エコドライブの実践を支援するエコドライブ支援装置100は、車両の走行状態に基づいてエコドライブが行われているか否かを判定するエコドライブ判定手段11と、エコドライブが行われた時間の総走行時間に占める比率をエコ度として算出するエコ度算出手段12と、エコ度算出手段12が算出したエコ度を表示するエコ度表示手段13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エコドライブの実践を支援するエコドライブ支援システム、並びに、そのシステムを構成するエコドライブ支援装置及び特典付与装置に関し、特に、多様な運転者によるエコドライブの実践を促進するエコドライブ支援システム、並びに、そのシステムを構成するエコドライブ支援装置及び特典付与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者のエコドライブに対する努力に応じてエコドライブの実践度を評価するエコドライブ評価システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このエコドライブ評価システムは、燃料消費率が所定値より低くなっている時間、又は、加速操作が行われていない時間等、エコドライブを実践した時間を計測し、走行距離が予め設定された距離に達した場合に、エコドライブを実践した時間に基づいてエコドライブ評価指数を算出する。なお、エコドライブ評価指数は、エコドライブを実践した時間が長くなるほど増大する。
【0004】
そして、このエコドライブ評価システムは、そのエコドライブ評価指数に応じて各種特典を運転者に付与することで、エコドライブの実践を促すようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−16443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のエコドライブ評価システムは、エコドライブを実践した時間が長いほど高い評価を行うので、長い距離を運転する運転者や比較的混雑の少ない道路を運転する運転者にとっては有利であり、そのような運転者のエコドライブを促進する上で効果的となり得るが、短い距離しか運転しない運転者や比較的混雑の多い道路を走行する運転者に対しては不利となり、そのような運転者のエコドライブに対する関心を殺いでしまうおそれがある。
【0007】
上述の点に鑑み、本発明は、より多くの運転者によるエコドライブの実践を支援するエコドライブ支援システム、並びに、そのシステムを構成するエコドライブ支援装置及び特典付与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係るエコドライブ支援装置は、エコドライブの実践を支援するエコドライブ支援装置であって、車両の走行状態に基づいてエコドライブが行われているか否かを判定するエコドライブ判定手段と、エコドライブが行われた時間の総走行時間に占める比率をエコ度として算出するエコ度算出手段と、前記エコ度算出手段が算出したエコ度を表示するエコ度表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第二の発明は、第一の発明に係るエコドライブ支援装置であって、前記総走行時間は、イグニッションスイッチがオンされてからオフされるまでの時間であることを特徴とする。
【0010】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係るエコドライブ支援装置であって、前記エコドライブがアイドリングストップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述の手段により、本発明は、より多くの運転者によるエコドライブの実践を支援するエコドライブ支援システム、並びに、そのシステムを構成するエコドライブ支援装置及び特典付与装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るエコドライブ支援システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】エコドライブ支援装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】特典付与装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】特典テーブルの構成例を示す図(その1)である。
【図5】特典テーブルの構成例を示す図(その2)である。
【図6】エコドライブ通知処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】特典付与処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明に係るエコドライブ支援システムの構成例を示すブロック図であり、エコドライブ支援システムSYSは、エコドライブ支援装置100を搭載する車両V1〜V3、及び、それら車両との間で無線通信を行う特典付与装置Cで構成される。
【0015】
車両V1〜V3は、それぞれ、エコドライブ支援装置100を搭載しており、各車両に搭載されたエコドライブ支援装置100は、各車両によりエコドライブが行われた時間又は走行距離に基づいてエコ度を算出し、算出したエコ度を特典付与装置Cに送信する。
【0016】
「エコドライブ」とは、省エネルギーに配慮した運転、又は、二酸化炭素若しくは大気汚染物質の排出を抑えるための運転を意味し、例えば、経済速度による走行、エンジンブレーキによる減速、緩やかな加速、アイドリングストップ等が含まれる。また、エコドライブは、渋滞する道路やラッシュの時間帯を避けて車両を利用することをも含む概念である。
【0017】
「エコ度」とは、エコドライブを行った時間又は距離の総走行時間又は総走行距離に占める割合であり、総走行時間は、例えば、イグニッションスイッチがオンされてからオフされるまでの時間であって、速度ゼロの状態である暖機運転等の時間も含まれるものとし、アイドリングストップによる短期間(例えば、3分間未満)のエンジン停止状態も走行時間に含まれるものとする。
【0018】
特典付与装置Cは、エコドライブ支援装置100が送信する各車両のエコ度を受信し、受信したエコ度に応じて各種処理を実行する装置であり、例えば、ETC(Electric Toll Collection system)等を用いて駐車料金若しくは高速道路の通行料金等を回収するための装置、又は、ガソリンスタンドにおけるガソリン料金算出装置であり、広域無線通信を介して各車両に情報を配信する情報配信サーバであってもよい。
【0019】
例えば、特典付与装置Cであるガソリン料金算出装置は、エコドライブ支援装置100を搭載した車両がガソリンスタンドに進入したときにその車両のエコ度に関する情報を受信し、受信したエコ度に基づいてガソリン料金に適用する割引率を決定し、割引率が適用されたガソリン料金を算出する。
【0020】
このようにして、エコドライブ支援システムSYSは、エコ度が高い車両に対する割引率を増大させることにより、エコドライブの実践を促すようにする。
【0021】
図2は、車両V1が搭載するエコドライブ支援装置100の構成例を示すブロック図であり、エコドライブ支援装置100は、制御装置1、走行状態検出装置2、ナビゲーション装置3、通信装置4、記憶装置5、エコランプ6及び表示装置7を含む。なお、車両V2、V3も同様のエコドライブ支援装置100を搭載しているものとする。
【0022】
制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、走行情報収集手段10、エコドライブ判定手段11、エコ度算出手段12、エコ度表示手段13のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0023】
走行状態検出装置2は、車両の走行状態を検出するための装置であり、例えば、速度センサ、加速度センサ、スロットル開度センサ、ブレーキ圧センサ等であって、各種データを制御装置1に出力する。
【0024】
ナビゲーション装置3は、GPS(Global Positioning System)によって取得される車両V1の位置情報(緯度、経度、高度)と、記憶装置5に記憶される地図情報データベースとに基づいて目的地までの経路を示し、車両V1を誘導するためのシステムである。
【0025】
通信装置4は、車両V1と特典付与装置Cとの間の通信を制御するための装置であり、例えば、DSRC(Dedicated Short Range Communication)や携帯電話周波数を用いた無線通信を制御する装置であって、特典付与装置Cが発信する要求信号を受信した場合に、エコ度通知信号を特典付与装置Cに向けて送信する。
【0026】
なお、通信装置4は、要求信号を受信することなく、所定位置に接近した場合にエコ度通知信号を発信するようにしてもよく、所定周期でエコ度通知信号を発信するようにしてもよい。
【0027】
エコ度通知信号は、エコ度に関する情報を含み、また、発信元の車両を特定するための車両識別番号、総走行時間、総走行距離等に関する情報を含んでいてもよい。
【0028】
記憶装置5は、各種情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスクやDVD(Digital Versatile Disk)等の記憶媒体であって、地図情報データベース、走行情報データベース50(以下、「走行情報DB50」とする。)等を格納する。
【0029】
走行情報DB50は、走行状態検出装置2が出力する走行状態に関する情報を体系的に記憶するデータベースであり、例えば、走行速度、加速度、スロットル開度、ブレーキ圧等を所定周期(例えば、1秒刻みである。)で記憶する。
【0030】
エコランプ6は、エコドライブが行われていることを運転者に知らせるための装置であり、例えば、インストルメントパネル内に設置されたLED(Light Emitting Diode)ランプであって、後述のエコドライブ判定手段11によりエコドライブが行われていると判定された場合に点灯する。
【0031】
また、エコランプ6は、エコドライブの継続時間に応じて発光色や輝度を変化させてもよく、例えば、エコドライブの継続時間が長くなるにつれて、黄色、黄緑色、緑色というように発光色を変化させるようにしてもよい。
【0032】
更に、エコランプ6は、エコドライブが実行されていないと判定された場合に別の色(例えば、赤色である。)を発光させてもよく、エコドライブが行われていない継続時間に応じてその発光色を変化させてもよい。
【0033】
表示装置7は、各種情報を表示するための装置であり、例えば、ナビゲーション装置3に付属の液晶ディスプレイであって、道路地図や推奨経路の他、エコ度に関する情報を表示する。
【0034】
エコランプ6は、速度、加速度、スロットル開度、ブレーキ圧等の瞬間値に基づいて判定される現時点におけるエコドライブの状態を簡易かつ迅速に運転者に知らせることができるのに対し、表示装置7は、道路の混雑状況、車速の推移、エアコンの稼働状態等の他の情報を加味してより詳細に算出されたエコ度を運転者に知らせることができる。
【0035】
次に、制御装置1が有する各種手段について説明する。
【0036】
走行情報収集手段10は、車両V1の走行情報を収集するための手段であり、例えば、走行状態検出装置2が出力する各種情報をそのまま記憶装置5の走行情報DB50に記憶したり、或いは、走行状態検出装置2が出力する各種情報を加工して走行情報DB50に記憶したりする。
【0037】
例えば、走行情報収集手段10は、加速度センサが出力する前後方向の加速度が閾値T1を超えた場合に、その加速度の値、又は、単にその事実(例えば、YES・NOの二値で表される値である。)を走行情報DB50に記憶するようにしてもよく、速度センサが出力する車速が一定の幅に収まった場合に、その速度の値、又は、単にその事実を走行情報DB50に記憶するようにしてもよい。
【0038】
また、走行情報収集手段10は、ナビゲーション装置3の出力に基づいて車両V1が走行する道路の種別(高速道路、主要国道等があり、好適には、識別番号で表される。)を走行情報DB50に記憶するようにしてもよく、通信装置4を介して取得する渋滞情報、道路規制情報、イベント情報等に基づいて車両V1が走行する道路の混雑度等を走行情報DB50に記憶するようにしてもよい。
【0039】
エコドライブ判定手段11は、車両の走行状態がエコドライブであるか否かを判定するための手段であり、例えば、走行状態検出装置2が出力する速度、加速度、スロットル開度、ブレーキ圧等の瞬間値に基づいて現時点でエコドライブを行っているか否かを判定し、その判定結果に応じた制御信号をエコランプ6に出力する。
【0040】
また、エコドライブ判定手段11は、エコドライブの継続時間を監視し、その継続時間に応じてエコランプ6に出力する制御信号の内容を変化させるようにしてもよい。エコランプ6の発光色を、その継続時間に応じて変化させるようにするためである。
【0041】
また、エコドライブ判定手段11は、走行情報収集手段10によって走行情報DB50に記憶された走行情報を参照しながら所定期間又は所定区間でエコドライブが行われたか否かを判定する。
【0042】
例えば、エコドライブ判定手段11は、経済速度での定速運転が行われたことを認識した場合、その期間又は区間でエコドライブが行われたものとする。なお、経済速度は、車両V1が走行する道路の種別、混雑度、時間帯又は気象条件等に応じて決定される。
【0043】
また、エコドライブ判定手段11は、所定速度P1未満で加速が行われた場合の加速度が閾値T1未満であったときに、その期間又は区間でエコドライブが行われたものとしてもよい。なお、所定速度P1、閾値T1も、経済速度と同様に、車両V1が走行する道路の種別、混雑度、時間帯又は気象条件等に応じて決定される。
【0044】
更に、エコドライブ判定手段11は、エアコンの設定温度を参照し、エアコンの設定温度が所定範囲外であれば、一旦、他の条件によりエコドライブが行われているものと判定された場合であっても、その期間又は区間ではエコドライブが行われていないものとしてもよい。エアコンを効かせ過ぎる行為は、燃料消費率を悪化させ、エコドライブに反するからである。
【0045】
エコ度算出手段12は、各車両のエコ度を算出するための手段であり、例えば、エコドライブ判定手段11によりエコドライブが行われたと判定された時間又は区間距離を全て加算して、エコドライブが行われた時間又は距離の総走行時間又は総走行距離に占める割合をエコ度として算出する。
【0046】
また、エコ度算出手段12は、例えば、これまでのラッシュ利用率(ラッシュ時間帯に車両を使用した時間の総走行時間に占める割合である。)、又は、渋滞遭遇率(渋滞に巻き込まれた時間の総走行時間に占める割合である。)等を導き出し、既に算出したエコ度を調整するようにしてもよい。
【0047】
例えば、エコ度算出手段12は、ラッシュ利用率又は渋滞遭遇率が高い場合に、その車両のエコ度を低めに調整したり、閑散期利用率(ラッシュの時間帯以外の時間帯における車両の使用率)が高い場合、或いは、高速道路利用率が高い場合、その車両のエコ度を高めに調整したりするようにしてもよい。ラッシュの時間帯や渋滞が発生するような区間における車両の利用を避けるよう促すためである。
【0048】
エコ度表示手段13は、エコ度算出手段12が算出し、かつ、調整したエコ度を表示装置7に表示させるための手段であり、例えば、エコ度の値をそのまま数値で表示させたり、バーグラフで表示させたり、或いは、色を区別して表示させたりする(例えば、表示装置7の背景又は一部領域を、エコ度が高い順に、緑色、黄色、赤色で表示させる。)。
【0049】
また、エコ度表示手段13は、エコ度の推移をグラフ表示させてもよく、これまでの最高値、最低値、平均値等の統計値を表示させるようにしてもよい。エコドライブの実践を促すためである。
【0050】
以上の構成により、エコドライブ支援装置100は、エコドライブを行った時間又は走行距離の総走行時間又は総走行距離に占める割合としてエコ度を算出し表示するので、総走行時間又は総走行距離が大きい車両の運転者ばかりでなく、総走行時間又は総走行距離が小さい車両の運転者によるエコドライブをも促進することができる。
【0051】
また、エコドライブ支援装置100は、走行する道路の種別や混雑度等を考慮してエコ度を調整するので、経済速度での走行が困難な道路を頻繁に利用せざるを得ない運転者のエコドライブをも促進することができる。
【0052】
次に、図3を参照しながら、特典付与装置Cについて説明する。なお、図3は、特典付与装置Cの構成例を示すブロック図であり、特典付与装置Cは、制御装置C1、通信装置C2及び記憶装置C3を含む。
【0053】
制御装置C1は、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータであって、例えば、特典付与手段C10に対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0054】
通信装置C2は、車両と特典付与装置Cとの間の通信を制御するための装置であり、例えば、DSRCや携帯電話周波数を用いた無線通信を制御する装置であって、所定周期で要求信号を発信し、その要求信号に応じて車両が返信するエコ度通知信号を受信する。
【0055】
また、通信装置C2は、要求信号を発信することなく、車両が定期的に発信するエコ度通知信号を受信するようにしてもよい。
【0056】
記憶装置C3は、各種情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスクやDVD等の記憶媒体であって、特典テーブルC30等を格納する。なお、特典テーブルC30については後述する。
【0057】
制御装置C1における特典付与手段C10は、特典付与装置Cを利用する車両のエコ度に応じて各種特典を付与するための手段であり、例えば、車両のエコ度に応じて駐車料金に対する割引率を付与したり、情報配信サーバの月額利用料金に対する割引率を付与したりする。
【0058】
特典付与手段C10は、車両が送信するエコ度通知信号を受信すると、記憶装置C3に記憶された特典テーブルC30を参照し、エコ度通知信号に含まれるエコ度に対応する割引率を抽出する。
【0059】
なお、特典付与手段C10は、エコ度に加え、総走行時間、総走行距離等をも考慮して割引率を決定するようにしてもよく、エコ度通知信号に含まれる車両識別番号を取得しながら車両毎にエコ度、総走行時間、総走行距離等の推移を管理し、月間平均走行時間、年間平均走行距離等の統計値を算出しながら割引率等の特典内容を決定するようにしてもよい。
【0060】
ここで、特典テーブルC30の例を利用しながら特典付与手段C10が特典を付与する処理について説明する。
【0061】
特典テーブルC30は、エコ度算出手段12が算出、調整したエコ度とそのエコ度を実現した車両に付与される特典との間の関係を表すテーブルである。
【0062】
図4及び図5は、特典テーブルC30の構成例を示す図であり、図4は、特典付与装置Cの一例である駐車料金回収装置が有する特典テーブルC30を示し、図5は、特典付与装置Cの別の一例である情報配信サーバが有する特典テーブルC30aを示す。
【0063】
図4において、特典テーブルC30は、「エコレベル」欄、「エコ度」欄、「総走行距離」欄及び「割引率」欄から構成される。
【0064】
ここで、特典テーブル30は、総走行距離にかかわらず、エコ度が50%以上であれば、エコレベルが「1」であり、駐車料金の3%割引が付与されることを示す。
【0065】
また、特典テーブル30は、総走行距離が1000km以上で、かつ、エコ度が50%以上であれば、エコレベルが「2」であり、駐車料金の10%割引が付与されることを示す。
【0066】
特典付与手段C10は、特典テーブルC30を参照することで、エコ度が所定値以上であれば、総走行距離が増大するにつれて特典として付与する駐車料金の割引率を増大させるので、長距離走行を楽しむ運転者によるエコドライブを促進することができる。
【0067】
また、図5において、特典テーブルC30aは、「エコレベル」欄、「エコ度」欄、「月間平均走行時間」欄及び「割引率」欄から構成される。
【0068】
ここで、特典テーブルC30aは、月間平均走行時間が50時間以上100時間未満で、かつ、エコ度が60%以上であれば、エコレベルが「A」であり、情報配信サーバを利用するための月額利用料金の3%割引が付与されることを示す。
【0069】
また、特典テーブルC30aは、月間平均走行時間が30時間以上50時間未満で、かつ、エコ度が60%以上であれば、エコレベルが「B」であり、情報配信サーバを利用するための月額利用料金の5%割引が付与されることを表す。
【0070】
特典付与手段C10は、特典テーブルC30aを参照することで、エコ度が所定値以上であれば、総走行時間が短いほど特典として付与する月額利用料金の割引率を増大させるので、たまにしか車両を運転しないような運転者によるエコドライブを促進することができる。
【0071】
以上の構成により、エコドライブ支援システムSYSは、特典テーブルC30の構成を変更することで、運転環境、車両利用状況、車両利用目的等の異なる多様な運転者のそれぞれに応じた特典付与体系を構築することができ、それら多様な運転者によるエコドライブを促進することができる。
【0072】
また、エコドライブ支援システムSYSは、情報配信サーバの月額利用料金に対する割引を付与することでその情報配信サーバの利用を更に普及させることもできる。
【0073】
次に、図6を参照しながら、エコドライブ支援装置100がエコドライブの状態を運転者に知らせる処理(以下、「エコドライブ状態通知処理」とする。)について説明する。なお、図6は、エコドライブ通知処理の流れを示すフローチャートであり、エコドライブ支援装置100は、所定周期(例えば、1秒刻みである。)で繰り返しエコドライブ状態通知処理を実行することとする。
【0074】
最初に、エコドライブ支援装置100における制御装置1のエコドライブ判定手段11は、走行状態検出装置2が出力する各種情報に基づいて自車両がエコドライブを行っているか否かを判定する(ステップS1)。
【0075】
エコドライブが行われていると判定した場合(ステップS1のYES)、エコドライブ判定手段11は、エコランプ6に制御信号を出力してエコランプ6を点灯させるようにする(ステップS2)。
【0076】
一方、エコドライブが行われていないと判定した場合(ステップS1のNO)、エコドライブ判定手段11は、エコランプ6を点灯させることなく、次のステップに移行する。
【0077】
その後、エコ度算出手段12は、走行情報収集手段10が走行情報DB50に記録した走行情報に基づいて自車両のエコ度を算出し(ステップS3)、エコ度表示手段13は、その算出されたエコ度を表示装置7に表示させる(ステップS4)。
【0078】
このように、エコドライブ支援装置100は、エコランプ6を通じて現在の運転がエコドライブに該当するか否かを運転者に提示しながら、過去の運転を総合的に判断したエコ度を同時に表示させ運転者のエコドライブに対する意識を高めることで、エコドライブの実践を促進することができる。
【0079】
また、エコドライブ支援装置100は、エコランプ6や表示装置7を通じて、運転者の環境保護に対する貢献度を実感させたり、運転者がゲーム感覚でエコドライブを実践できるようにしたりすることで、エコドライブの実践を更に促進することができる。
【0080】
次に、図7を参照しながら、エコドライブ支援システムSYSが所定のエコ度を実現した車両に特典を付与する処理(以下、「特典付与処理」とする。)について説明する。なお、図7は、特典付与処理の流れを示すフローチャートであり、特典付与装置Cは、駐車料金回収装置であって、車両が発信するエコ度通知信号を受信した場合に、特典付与処理を実行することとする。
【0081】
最初に、駐車料金回収装置における制御装置C1の特典付与手段C10は、通信装置C2を介して受信したエコ度通知信号に含まれるエコ度及び総走行距離等を抽出して取得する(ステップS11)。
【0082】
その後、特典付与手段C10は、記憶装置C3に格納された特典テーブルC30を参照して(図4参照。)、取得したエコ度及び総走行距離に適合するエコレベルを特定し、そのエコレベルの割引率を抽出する(ステップS12)。
【0083】
その後、特典付与手段C10は、抽出した割引率を標準駐車料金に適用し(ステップS13)、割引後の駐車料金をその車両から徴収するようにする。
【0084】
このように、エコドライブ支援システムSYSは、各車両のエコ度に応じて各種特典を付与することで、多様な運転者によるエコドライブの実践を更に促進することができる。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0086】
例えば、上述の実施例において、エコ度表示手段13は、自車両のエコ度の推移等を表示させるが、通信装置4を利用しながら他車両のエコ度に関する情報を取得し、自車両のエコ度の順位や他車両の平均エコ度等を表示させ、ゲーム感覚をより高めるようにしてもよい。エコドライブに対する関心を更に高めるようにするためである。
【符号の説明】
【0087】
1、C1 制御装置
2 走行状態検出装置
3 ナビゲーション装置
4、C2 通信装置
5、C3 記憶装置
6 エコランプ
7 表示装置
10 走行情報収集手段
11 エコドライブ判定手段
12 エコ度算出手段
13 エコ度表示手段
50 走行情報データベース
100 エコドライブ支援装置
C 特典付与装置
C10 特典付与手段
C30、C30a 特典テーブル
SYS エコドライブ支援システム
V1〜V3 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エコドライブの実践を支援するエコドライブ支援装置であって、
車両の走行状態に基づいて前記エコドライブが行われているか否かを判定するエコドライブ判定手段と、
前記エコドライブが行われた時間の総走行時間に占める比率をエコ度として算出するエコ度算出手段と、
前記エコ度算出手段が算出したエコ度を表示するエコ度表示手段と、
を備えることを特徴とするエコドライブ支援装置。
【請求項2】
前記総走行時間は、イグニッションスイッチがオンされてからオフされるまでの時間である、
ことを特徴とする請求項1に記載のエコドライブ支援装置。
【請求項3】
前記エコドライブは、アイドリングストップを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエコドライブ支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−166784(P2012−166784A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−93030(P2012−93030)
【出願日】平成24年4月16日(2012.4.16)
【分割の表示】特願2011−23639(P2011−23639)の分割
【原出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】