説明

エスカレータ

【課題】エスカレータが設置される商業施設等において、人の関心を引くことを可能とするエスカレータを提供することである。
【解決手段】エスカレータにおいて、一方の乗降口12と他方の乗降口14との間に架設され一対の側面部31とその側面部31を連結する底面部33を含んで構成されるトラス34であって、少なくとも側面部31の一部が透明材質で構成される透明部32を有するトラス34と、トラス34の側面部31の近傍に設けられ、トラス34の透明部32に向けて光を発する光源装置とを備え、透明部32に表示物を付することにより広告機能を発揮させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータに係り、特に、広告表示機能を備えたエスカレータに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、駅構内やデパートといった商業施設等のさまざまな場所でエスカレータが設けられており、多くの人がエスカレータを利用している。そのため、エスカレータに広告等を設けると利用者の注意を引いて関心を持つ可能性が高く、広告による宣伝効果が大きいと考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、踏板および/またはステップの蹴上げ部分であるライザに、文字、図形または記号、あるいはこれらの組合せにより成る広告等表示を印刷したシールを貼着して貼着表示体とした広告等の表示体を備えたものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−56667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成を用いることで、エスカレータに広告等を設けることができるため、利用者の注意を引き関心を持たせることが可能となる。しかし、特許文献1の構成では、踏板および/またはライザに広告等を設けているため、エスカレータに実際に乗っている利用者のみしか見ることができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、エスカレータが設置される商業施設等において、人の関心を引くことを可能とするエスカレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエスカレータは、一方の乗降口と他方の乗降口との間に架設され一対の側面部とその側面部を連結する底面部を含んで構成されるトラスであって、少なくとも側面部の一部が透明材質で構成される透明部を有するトラスと、トラスの側面部の近傍に設けられ、トラスの透明部に向けて光を発する光源装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るエスカレータにおいて、透明部に表示物を付することにより広告機能を発揮させることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るエスカレータにおいて、光源装置が発する光は、トラス内を移動するステップを構成する部材によって周期的に遮られることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るエスカレータにおいて、光源装置が発する光は、トラス内を移動するステップに取り付けられるローラによって周期的に遮られることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るエスカレータにおいて、光源装置は、ステップの長手方向の両側に設けられる一対の部材のうち、透明部に近い側の部材によって透明部への光が周期的に遮られる位置に設けられることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るエスカレータにおいて、光源装置は、ステップの長手方向の両側に設けられる一対のローラのうち、透明部に近い側のローラによって透明部への光が周期的に遮られる位置に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記構成のエスカレータによれば、光源装置の発光によってトラスに設けられた透明部が点灯されるため、意匠的美観が向上する。
【0014】
また、透明部に広告等を設ければ、エスカレータが設置された商業施設等に居る人に関心を持たせることができる。
【0015】
また、上記構成のエスカレータによれば、光源装置から発せられる光がステップを構成する部材等によって周期的に遮られ、透明部が点滅することで注意をより引き易くなる。したがって、エスカレータが設置された商業施設等に居る人に関心をより持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、エスカレータの透明部は、トラスの側面部に設けられた円形の形状のものであるとして説明するが、矩形や三角形等の形状であってもよく、またトラス全体が透明であってもよい。また、この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態であるエスカレータ10を側面方向から示した図である。図2は、エスカレータ10において、トラス34が取り外された様子を示す図である。エスカレータ10は、高低差のある乗降口12と乗降口14との間で乗客4を移動させる装置である。エスカレータ10は、乗客4が乗る踏板49とライザ48とを含んで構成されるステップ部40と、それぞれのステップ部40が連結されるステップチェーン16と、ステップチェーン16を駆動する主駆動装置18と、移動手摺22と、欄干部24と、トラス34と、透明部32と、光源装置50と含んで構成される。
【0018】
踏板49は、乗客4が一人または二人乗れる程度の大きさを有する。エスカレータ10が斜面を運行する際に、複数の踏板49は、地面に対して水平な状態を保ちつつ移動する。また、踏板49にはスリップ防止等のための溝が複数設けられている。
【0019】
ステップチェーン16は、図示されていない適当な軸部材を介して、それぞれのステップ部40を連結し、主駆動装置18の駆動力をそれぞれのステップ部40に伝達するものである。また、ステップチェーン16は、エスカレータ10のステップ部40の左右両側に1本ずつ配置されている。
【0020】
主駆動装置18は、エスカレータ10を駆動する駆動力を出力する装置で、例えば、電動機と減速歯車等から構成される。主駆動装置18により出力された駆動力は、図示されていない駆動伝達手段を介してステップチェーン16及び図示されていない移動手摺チェーンに伝達される。
【0021】
移動手摺22は、乗客4が手を添え、または掴むことができるものであり、欄干部24は、踏板49が移動する際に、乗客4の体がエスカレータ10外に出ることを防止する役割を果たす。
【0022】
トラス34は、エスカレータ10の自重および積載荷重をささえる構造部分である一対の側面部31とその側面部31を連結する底面部33とを含んで構成される。トラス34の内部には、主駆動装置18の他、図示しない制御盤や移動手すり駆動装置等が組み込まれている。トラス34の側面部31と底面部33は、ステンレス等の適当な強度を有する材料で構成されている。
【0023】
透明部32は、透明アクリル板等の透明な材質で構成された円形形状の部材であり、図1に示されるように、トラス34の側面部31において、適当な間隔で対応する円形形状をくり抜いて、透明部32がその孔に嵌め込まれて設けられる。また、透明部32は、トラス34の一方側の側面部31において、例えば、6個設けられており、文字や商品等が表示されたシール等を透明部32に貼り付けることで広告等として機能させることができる。
【0024】
光源装置50は、トラス34の内部の他方側の側面部31の近傍に設けられる発光装置であって、トラス34に設けられる透明部32に向けて光を発するように配置される。光源装置50としては、例えば蛍光灯や白熱灯を用いた照明器具を用いることができ、トラス34の一方側の側面部31に設けられる複数の透明部32にそれぞれ対応して設けられる。
【0025】
続いて、上記構成からなるエスカレータ10の動作について図1等を参照して説明する。エスカレータ10は、図1において、6個の透明部32に、例えば、それぞれ「ク」「リ」「ア」「ラ」「ン」「ス」といった文字を表示するシールを貼り付け、デパート等に設置されたエスカレータ10のトラス34の側面部31に全体として「クリアランス」と表示することで、現在、そのデパートがクリアランスセール中であることを広告することができる。また、光源装置50によって透明部32が点灯されているため、デパート内に居るお客様の注意を引いて、その広告内容に関心も持たせることが可能となる。
【0026】
なお、上記のように透明部32は、透明材質の円形部材に広告用のシールを貼り付けており、このシールを貼りかえることで、季節等に応じて広告内容を容易に変更することが可能である。また、上記の例では、6個の透明部32を用い、全体として一つの広告内容を表現しているものとして説明したが、それぞれの透明部32で独立した広告を表示してもよく、例えば、デパートで販売する靴や鞄また口紅等の商品を表示するシールをそれぞれの透明部32に貼り付けてもよい。また、透明部32は、透明材質の円形部材を用いるものとして説明したが、広告内容に変更がない場合には、透明部32自体の形状を例えば上記のような「ク」「リ」「ア」「ラ」「ン」「ス」といった文字の形状とし、シールを用いることなく広告することもできる。
【0027】
次に、図3と図4を参照して本発明の第2実施形態であるエスカレータ11について説明する。ここで、エスカレータ11は、上記第1実施形態のエスカレータ10とほぼ同様の構成を有するため、同一構成要素には同一符号を付して重複することとなる説明を援用によって省略し、異なる構成およびその作用について説明する。エスカレータ11は、光源装置50が設けられる位置がエスカレータ10と相違するため、以下では、特に、光源装置50とステップ部40との配置関係を説明する必要があり、その内容について詳細な説明を行う。
【0028】
図3は、エスカレータ11を上方から見た様子を示す図である。ここでは、トラス34内部における光の様子を分かりやすくするためにステップ部40を一部取り外し、また光源装置50と透明部32の位置について確認しやすくするために側面部31は上方から視認できるものとして描いている。
【0029】
透明部32は、上記で説明したようにトラス34の側面部31において、所定の間隔で設けられている。光源装置50は、トラス34を構成する一対の側面部31のうち、透明部32が設けられる一方側の側面部31とは異なる他方側の側面部31において、透明部32と対向して配置され、それぞれ対となる透明部32に向けて発光する。また、ステップ部40は、その構成部材によって、光源装置50から透明部32へ向けて発せられる光を周期的に遮りながら移動する。
【0030】
図4は、エスカレータ11の図1に相当する図から帰還側のステップ部40の一つを取り出して拡大した様子を示す側面図である。ステップ部40は、踏板49と、ライザ48と、第1支持棒44と、第2支持棒45と、第3支持棒46とを含んで構成される。また、駆動ローラ41と追従ローラ42は、ステップ部40に取り付けられるローラである。
【0031】
踏板49は、上記のように、乗客4が一人または二人乗れる程度の大きさを有し、ライザ48は、ステップ部40の蹴上げの部分である。駆動ローラ41は、ステップチェーン16の左右両側に対となるように取り付けられており、ステップ部40を牽引するためのローラである。追従ローラ42は、ステップ部40の左右両側に対となるように取り付けられており、踏板49を水平に保つためのローラである。ここで、第1支持棒44と、第2支持棒45と、第3支持棒46によって規定された略三角形状の空間を三角空間部47とする。ここで、光源装置50とステップ部40の移動の関係について説明すると、光源装置50から透明部32へ向けられた光が、三角空間部47等によって通過され、第2支持棒45あるいは第3支持棒46あるいは踏板49によって遮られる位置に光源装置50が配置されている。
【0032】
続いて、上記構成からなるエスカレータ11の動作について図4を参照して説明する。光源装置50の光は、ステップ部40が矢印方向に移動するため、ステップ部40を構成する部材によって周期的に遮られる。具体的には、光源装置50の光は、三角空間部47等の光を通す部分においてそのまま通過して透明部32を点灯し、一方、第2支持棒45あるいは第3支持棒46あるいは踏板49といったステップ部40の構成部材において遮られるため透明部32を消灯する。したがって、デパートに居るお客様からは、その透明部32が一定の周期で点滅しているように見える。これにより、エスカレータ11のステップ部40の移動により透明部32が点滅することとなるため、デパート内にいるお客様の注意を引いて、その広告内容に関心を持たせることが可能となる。
【0033】
次に、図5を参照して本発明の第3実施形態であるエスカレータ13について説明する。図5は、図3と同様に、エスカレータ13を上方から見た様子を示す図である。ここで、エスカレータ13は、上記第1実施形態のエスカレータ10及び上記第2実施形態のエスカレータ11とほぼ同様の構成を有するため、同一構成要素には同一符号を付して重複することとなる説明を援用によって省略し、異なる構成およびその作用について説明する。エスカレータ13は、光源装置50が設けられる位置においてエスカレータ10,11と相違する。なお、光源装置50を可能な限り透明部32に近づけて配置するために、図5に示されるようにステップ部40の進行方向に沿って装置取付部材60を設ける。
【0034】
続いて、上記構成からなるエスカレータ13の動作について、図5等を参照して説明する。光源装置50から透明部32に向けられた光は、ステップ部40が矢印方向に移動するため、ステップ部40を構成する部材によって周期的に遮られる。具体的には、光源装置50の光は、三角空間部47等の光を通す部分においてそのまま通過して透明部32を点灯し、一方、第2支持棒45あるいは第3支持棒46あるいは踏板49といったステップ部40の構成部材において遮られるため透明部32を消灯する。したがって、エスカレータ11のステップ部40の移動により透明部32が点滅することとなるため、デパート内にいるお客様の注意を引いて、その広告内容に関心を持たせることが可能となる。
【0035】
図6は、透明部32に近い位置に設けられた光源装置151と、透明部32に遠い位置に設けられた光源装置152からトラス34の側面部31が照らされる光の範囲を示す図である。光源装置151と光源装置152とが同じ機能を有する装置である場合に、光源装置151が発した光により透明部32が設けられることとなるトラス34の側面部31はd1の範囲で照らされる。一方、光源装置152が発した光によりトラス34の側面部31はd2の範囲で照らされる。ここで、図6に示されるように、それぞれの光源装置151,152によって照らされる光の範囲の大きさを比較するとd1<d2の関係となる。したがって、同じ光源装置を用いる場合には、透明部32に近い側に光源装置を設けた方がより細かい間隔で側面部31に透明部32を設けることができる。したがって、本発明の第3実施形態であるエスカレータ13は、より細かい間隔でトラス34の側面部31に透明部32を設けることができる。
【0036】
上記第2実施形態のエスカレータ11及び上記第3実施形態のエスカレータ13では、光源装置50から透明部32へ発せられた光は、第2支持棒45あるいは第3支持棒46あるいは踏板49によって周期的に遮られるものとして説明したが、光源装置50から透明部32へ向けられた光が駆動ローラ41と追従ローラ42によって遮られる位置に光源装置50が配置されてもよい。このとき、光源装置50の光は、ステップ部40が矢印方向に移動するため駆動ローラ41あるいは追従ローラ42によって周期的に遮られる。具体的には、光源装置50の光は、第1支持棒44の外側に位置する外側空間部51(図4参照)等の光を通す部分においてそのまま通過して透明部32を点灯し、一方、駆動ローラ41あるいは追従ローラ42によって遮られるため透明部32を消灯する。したがって、エスカレータ11,13のステップ部40の移動により透明部32が点滅することとなるため、デパート内にいるお客様の注意を引いて、その広告内容に関心を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態であるエスカレータを側面方向から示した図である。
【図2】本発明の第1実施形態であるエスカレータにおいて、トラスが取り外された様子を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態であるエスカレータを上方から見た様子を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態であるエスカレータの図1に相当する図から帰還側のステップ部の一つを取り出して拡大した様子を示す側面図である。
【図5】本発明の第3実施形態であるエスカレータを上方から見た様子を示す図である。
【図6】2つの光源装置からトラスの側面部が照らされる光の範囲を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
4 乗客、10,11,13 エスカレータ、12,14 乗降口、16 ステップチェーン、18 主駆動装置、22 移動手摺、24 欄干部、31 側面部、32 透明部、33 底面部、34 トラス、40 ステップ部、41 駆動ローラ、42 追従ローラ、44 第1支持棒、45 第2支持棒、46 第3支持棒、47 三角空間部、48 ライザ、49 踏板、50 光源装置、51 外側空間部、60 装置取付部材、151,152 光源装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の乗降口と他方の乗降口との間に架設され一対の側面部とその側面部を連結する底面部を含んで構成されるトラスであって、少なくとも側面部の一部が透明材質で構成される透明部を有するトラスと、
トラスの側面部の近傍に設けられ、トラスの透明部に向けて光を発する光源装置と、
を備えることを特徴とするエスカレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のエスカレータにおいて、
透明部に表示物を付することにより広告機能を発揮させることを特徴とするエスカレータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエスカレータにおいて、
光源装置が発する光は、トラス内を移動するステップを構成する部材によって周期的に遮られることを特徴とするエスカレータ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載のエスカレータにおいて、
光源装置が発する光は、トラス内を移動するステップに取り付けられるローラによって周期的に遮られることを特徴とするエスカレータ。
【請求項5】
請求項3に記載のエスカレータにおいて、
光源装置は、
ステップの長手方向の両側に設けられる一対の部材のうち、透明部に近い側の部材によって透明部への光が周期的に遮られる位置に設けられることを特徴とするエスカレータ。
【請求項6】
請求項4に記載のエスカレータにおいて、
光源装置は、
ステップの長手方向の両側に設けられる一対のローラのうち、透明部に近い側のローラによって透明部への光が周期的に遮られる位置に設けられることを特徴とするエスカレータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−203039(P2009−203039A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48432(P2008−48432)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】