説明

エストリオールの低用量での使用

本発明は、女性におけるエストロゲン不足による泌尿生殖器萎縮の治療および/または予防のための経膣経路による低用量のエストリオールの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、女性におけるエストロゲン不足による泌尿生殖器萎縮の予防および/または治療における経膣経路による低用量のエストリオールの使用に関する。
【0002】
発明の背景
更年期は、生殖期と非生殖期との間にある、女性の人生の過渡期であると考えられている。更年期の間には、卵巣によるエストロゲン類産生の漸減が生じ、通常、一連の徴候、症状、および病変を伴う。
【0003】
この過渡期の主な徴候は、月経の消失(閉経)や多数のホルモンおよび精神症状の発現であり、血管運動障害(一過性熱感および発汗)および泌尿生殖器萎縮が最も多くみられる。
【0004】
閉経期および閉経後には、エストロゲン類の漸減とともに、膣粘膜、尿道粘膜、および膀胱粘膜の段階的な減少が生じる。この萎縮がより著しくなると、生殖器症状(膣の灼熱感および痒み、萎縮性膣炎、性交疼痛、ならびに外傷性出血)や泌尿器症状(反復性感染症、排尿困難、および尿失禁)が増加し得る。さらに、ホルモン不足により支持組織が減少し、それによって脱出や腹圧性尿失禁が起こり得る。
【0005】
泌尿生殖器萎縮は、更年期および閉経の自然の成り行きであるが、その関連障害は女性の生活の質に影響を及ぼすことが多い。そのため、医師がその存在を迅速に見つけ、治療を指示することが重要である。
【0006】
エストロゲン不足は更年期に起こるだけでなく、他の状況(例えば、産後期)にも起こり、泌尿生殖器萎縮も同様に起こるがこれは治療し得る。
【0007】
ホルモン欠乏の影響を補正または軽減しようと、エストロゲン類を用いるホルモン補充療法が行われており、このホルモン補充療法は血管運動症状および泌尿生殖器症状に有益な効果をもたらし、骨量減少および心血管系リスクを軽減する。しかし、ある特定種の癌、特に乳癌または子宮内膜癌、および他の病変、例えば血栓塞栓症および高血圧症に罹患するリスクも高める。
【0008】
これらの関連リスクから通常のプロトコールは不安を与え、医師および患者は毒性の低いホルモン補充の提案を絶えず求めている。
【0009】
泌尿生殖器萎縮の場合、経口経路によるホルモン補充療法を用いた症状の系統的治療は必ずしも必要ではない。代替法は経膣経路によるエストロゲン類の投与である。しかしながら、局所投与されたエストロゲンホルモンは望ましくない子宮内膜増殖に有利に働く可能性があるため、この経路はリスクが無いわけではなく、この増殖症が、著しい場合には、悪化してホルモン依存性癌になる可能性がある。
【0010】
泌尿生殖器萎縮の治療において、特に経膣経路により用いられるエストロゲン類の一つがエストリオールである。
【0011】
現在市販されているエストリオール処方物は、治療の最初の2〜3週間は0.5mg/日(500μg/日)の用量、その後0.5mg 2回または3回/週の用量の経膣投与用に設計されている。この用量は、局所投与がその効果を有するように必要と考えられる用量である。しかしながら、長期的に投与する場合にはこれらの水準は子宮内膜増殖症のリスクを伴うため、投与は続けて行われない。一般的には、治療を2〜3ヶ月以上延長しないことが推奨されている。
【発明の概要】
【0012】
上述のように、泌尿生殖器萎縮の予防および/または治療のためにエストリオールの経膣投与計画を用意する必要性が生じ、この計画は、安全性と効力の両方を提供し、その結果、医師および患者により受け入れられ、その結果として治療に一層順守させ、そして患者の生活の質をより良好にするものである。
【0013】
本発明者らは、驚くべきことに、1日当たり500マイクログラム(500μg=0.5mg)未満のエストリオールの投与によりこれらの目的を達成することができ、子宮内膜増殖症を引き起こすことなく女性の泌尿生殖器萎縮を逆転させることを見出した。
【0014】
これらのような低用量のエストリオールは、用いる処方物の種類にかかわらず、効果的かつ安全であり、患者へのリスクなしに治療を延長することができる。実際には、製品の3週間を超えての連日投与が可能になるであろう。
【0015】
よって、本発明は、女性におけるエストロゲン不足による泌尿生殖器萎縮の予防および/または治療のための経膣投与に用いる医薬組成物の製造のためのエストリオールの使用に関し、該組成物は、該患者がエストリオールの0.5mg/日未満の用量を受けるように投与され、該治療はリスクなしに延長することができる。
【発明の具体的説明】
【0016】
本発明者らは、有効成分として、エストリオールを含む局所処方物はとりわけ低用量で投与することができ、そうであっても女性の泌尿生殖器萎縮の治療において効果的であることを見出した。
【0017】
非常に驚くべきことに、通常用量の10〜250分の1の用量でも膣の萎縮状態を逆転させ、追加療法さえ必要としないことを見出した。さらに、これらの低用量は、エストロゲン類を用いる治療によるリスクを著しく軽減する。
【0018】
一つの態様においては、本発明は、女性におけるエストロゲン不足による泌尿生殖器萎縮の予防および/または治療のための経膣投与に用いる医薬組成物の製造のためのエストリオールの使用に関し、該組成物は、該患者がエストリオールの0.5mg/日未満の用量を受けるように投与されるものである。
【0019】
本発明において用いる医薬組成物は、エストリオールの0.5mg/日未満の用量の投与が可能な、当業者に公知のもののいずれであってもよい。前記組成物は、例えば、固体形態(カプセル、錠剤など)、半固体形態(ゲル、クリームなど)、液体形態、または泡沫形態であってもよい。また、前記組成物は、当業者に公知の賦形剤のいずれを含んでもよい。
【0020】
本発明の重要な態様は、本発明において定義する処方物に用いることができ、エストロゲン不足による泌尿生殖器萎縮の治療に効果的である、とりわけ低用量のエストリオールである。
【0021】
本発明の特定の実施形態においては、エストリオールは、エストロゲン不足による泌尿生殖器萎縮の予防および/または治療のために0.3mg/日以下の用量で投与される。
【0022】
別のさらに好ましい実施形態は、0.1mg/日以下の用量でのエストリオールの使用に関する。
【0023】
別の特に好ましい実施形態は、0.002〜0.05mg/日(2〜50μg/日)の用量でのエストリオールの使用に関する。
【0024】
別の特に好ましい実施形態は、0.02〜0.05mg/日(20〜50μg/日)の用量でのエストリオールの使用に関する。
【0025】
驚くべきことに、エストリオールをこのような低用量で用いる場合には、この製品は連日長期間にわたって投与することができ、有害作用がない。本発明のエストリオール投与計画の安全性が高いことから、泌尿生殖器萎縮の予防または治療は、長期間、例えば数ヶ月または数年間中断することなく継続し得る。
【0026】
本発明の特定の実施形態においては、前記処方物は、連日投与計画により少なくとも3週間投与される。他の実施形態においては、前記処方物は、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも6ヶ月間、または少なくとも1年間連日投与することができる。これらの場合には、治療を中断する必要がないことが好ましい。
【0027】
他の実施形態においては、前記処方物は、2日に1回、3日に1回、または週に1回の投与計画により少なくとも3週間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも6ヶ月間、または少なくとも1年間投与してもよい。
【0028】
本発明のいくつかの例示を以下に記載するが、それらを特許請求の範囲の解釈に対する限定と考えてはならない。
【実施例】
【0029】
泌尿生殖器萎縮の治療における低用量のエストリオールの使用についての効力を次のインビボアッセイを通じて示す。
【0030】
アッセイI
処方物
この研究では処方物を試験し、これらの処方物はそれぞれ、0.005%(w/w)のエストリオールを含むものであった。
【0031】
有効成分を溶解するために、グリセリン中のエストリオール原液を調製した。そのために、25mgの微粉化エストリオールを50gの植物性グリセリンに加え、それを1時間攪拌し、エストリオールが完全に溶解したことを確認した。
【0032】
クリーム処方物(処方物1)を調製するために、一方で、外部水相中のNeo PCL o/w自己乳化基剤20gを磁気攪拌下、75℃で加熱し、もう一方で、40mgのブロノポール(Bronopol)を70mlの精製水に75℃で溶かした。このブロノポール溶液(水性、w)を自己乳化基剤(油性、o)に徐々に加え、連続攪拌下で、30℃に達するまで、その温度を下げた。攪拌を停止させずに、10グラムの予め調製したグリセリン中エストリオール溶液を加え、次の組成を有する0.005%エストリオール処方物を得た。
【表1】

【0033】
ゲル処方物(処方物2)を調製するために、40mgのブロノポールを88mlの精製水に溶かし、連続攪拌下で2gのNatrosolをゆっくり加えた。最後に、攪拌を停止せずに、10グラムのグリセリン中エストリオール溶液を加え、次の組成を有する0.005%エストリオール処方物を得た。
【表2】

【0034】
膣萎縮に対する効果の評価
この研究においては、合計8体の雌卵巣切除Wistar Hanラットを用い、そしてそれらを無作為に2群に分け、各群に動物4体とした。群Aを処方物1で処置し、一方、群Bを処方物2で処置した。
【0035】
卵巣切除動物の受け入れから18日経過した後、総てのラットにおいて閉経期の状態(特に膣萎縮)が確認されるまで、各ラットにおいて膣スミアを定期的に数回行い、膣上皮の成熟度指数を決定した。
【0036】
処置開始後、処方物1(0.005%エストリオールのクリーム)および処方物2(0.005%エストリオールのゲル)を実験群AおよびBそれぞれに、1日1回5日間投与した。この投与は、経膣経路により、1動物当たり処方物5.8mg(1動物当たりエストリオール0.29μgに相当する)の量で、専用のチップ取り付けた容積式マルチピペットを用いて行った。
【0037】
各動物に投与する用量の計算では、女性の場合には60kg、ラットの場合には350gという平均重量を考慮し、それによって、各ラットには0.29μgのエストリオールを投与して、女性の場合に0.05mgのエストリオールの投与にあると思われる効果を評価した。
【0038】
投与前日に各ラットにおいて膣スミアを1回行い、第5日の投与後8時間が経過した場合にスミアをもう1回行った。これらのスミアは膣洗浄法によって行い、固定し、パパニコロー法で染色した。
【0039】
各処方物での処置の効果は、角化細胞の出現、膣上皮成熟度指数の決定、および全体的トロフィズム(overall trophism)の評価を利用して評価した。
【0040】
得た結果を次の表に示す。
【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
【表5】

【0044】
これらの結果は、現在、通常用いられている用量よりも10倍低いエストリオール用量の投与により、両群のラットにおいて膣萎縮状態を逆転させ、処置後に角化細胞および中間細胞の存在ならびに栄養良好の子宮内膜に相当する成熟度指数が得られることを示す。
【0045】
従って、本発明において提示した投与計画は、安全性がより高く、現在用いられている投与計画と同様の治療効力を得ることを可能にすると結論付けることができる。
【0046】
アッセイII
この研究では二つのゲル処方物を試験し、一方の処方物は0.002%のエストリオールを含み、もう一方の処方物は0.0002%(w/w)のエストリオールを含み、次の組成を有するものであった。
エストリオール 0.002%または0.0002%
Carbopol 971P 0.5%
ポリカルボフィルAA−1 1.5%
グリセリン 10%
メチルパラベン 0.15%
プロピルパラベン 0.05%
37%HCl 適量でpH2.5〜3.5とする
10%KOH 定量でpH4.5とする
水 適量で100%とする
【0047】
膣萎縮に対する効果の評価
このアッセイでは、おがくずの床などを備えた255x405xl97mmのポリカーボネート製Eタイプケージに収容された成体雌卵巣切除Wistarラットを用いる。
【0048】
それらのラットを、無作為に選択し、各ケージ中に動物5体の群に分け、それらを温度(22±2℃)、光周期(12/12時間 明/暗)、空気圧、更新回数、および相対湿度(40〜60%)について制御された条件において動物飼育ユニットに収容する。
【0049】
それらのラットにラット標準食を与え(ペレットで給餌、Harlan Iberica S.L.による供給品)、ラットには飲料水(公共消費向け飲用水)を自由に入手できるようにする。
【0050】
この研究においては、各群動物5体の5実験群を用いる。アッセイする物質はエストリオールに基づく三種の医薬処方物とプラセボである:
群A:対照(シミュレーション)
群B:プラセボゲルで処置
群C:0.0002%ゲルで処置
群D:0.002%ゲルで処置
群E:参照物質(0.1%Ovestinon)で処置
【0051】
各動物に投与するアッセイ物質の量の計算では、ヒトにおける用量 1日当たりゲル1gを考慮した。
【0052】
女性の場合には60Kg、ラットの場合には350gを平均重量とする。
60Kg=ゲル1g
350gのラット=ゲル5.8mg
【0053】
参照物質(0.1%Ovestinon)の場合、ヒトにおける用量は1日当たり0.5gである。
【0054】
女性の場合には60Kg、ラットの場合には350gを平均重量とする。
60Kg=クリーム0.5g
350gのラット=クリーム2.9mg
【0055】
よって、群B、C、およびDの各動物には5.8mgの対応するアッセイ物質が投与され、一方、群Eの動物は2.9mgの参照物質を受ける。
【0056】
0.0002%/0.002%ゲル=100gのゲル中、0.0002g/0.002g のエストリオール
1gのゲル中、0.002mg/0.02mg
のエストリオール
0.1%Ovestinon=100gのクリーム中0.1gのエストリオール
0.5gのクリーム中0.0005gのエストリオール
【0057】
従って、各群に投与した有効成分の相当物は:
群A:対照 =0μgエストリオール
群B:プラセボ =0μgエストリオール
群C:0.0002%ゲル=0.01μgエストリオール:用量1
群D:0.002%ゲル =0.1μgエストリオール:用量2
群E:0.1%Ovestinon =2.9μgエストリオール:用量3
である。
【0058】
対照群を含め、この対照群では観察される栄養応答に与え得る「機械的」効果の貢献を決定することができるように経膣投与をシミュレートする。
【0059】
この研究は4段階から成る:
・第1段階は15日間継続し、動物の毎日の処置を必要とする。
・第2段階は15日間継続し、動物の週2回の処置を必要とする(総ての群)。
・第3段階は7日間継続し、動物の週1回の処置を必要とする(総ての群)。
・第3段階は15日間継続し、処置を伴わない。
【0060】
アッセイ物質および参照物質の初回投与(24時間)の前に、各ラットにおいて膣スミアを行って、その閉経期の状態(膣萎縮)を確認し、膣上皮の成熟度指数を決定する。
【0061】
そのために、膣スミアを洗浄法により行い、細胞診のために水溶性固定スプレーで固定し、成熟度指数の評価のためにパパニコロー法に従って染色する。
【0062】
次いで、各処置群に対応処方物の初回用量を投与する。この投与は1日1回(24時間おきに)連続15日間繰り返す。
【0063】
この期間が経過した後、群A、B、C、D、およびE(対照、プラセボ、0.0002%ゲル、0.002%ゲル、および0.1%Ovestinon)の総てにおいて投薬を週2回の投与に2週間変更する。
【0064】
この2週間が終わった場合に、総ての群において投薬をもう一度、週1回の投与に1週間変更する。
【0065】
初回反復投与(連続15日間)の期間中、その日の投与の前に、総ての動物において膣スミアを第8日まで(第8日を含めた)毎日行う。さらに、第16日に、最終投与の24時間後に総ての動物においてもう1回膣スミアを行う。
【0066】
この時点以降、この研究が終わるまで総ての動物において膣スミアを3日おきに行う。
【0067】
総ての塗抹標本を、細胞診のために水溶性固定スプレーで固定し、成熟度指数の評価のためにパパニコロー法に従って染色する。
【0068】
適用した異なる処置の栄養効果についての定性的評価を次のスキームに従って行った:
A−萎縮細胞診(Atrophic cytology)
H−発育不全細胞診(Hypotrophic cytology)
M−中間トロフィズム細胞診(intermediate trophism cytology)
B−良好なトロフィズムに関する細胞診
【0069】
初期統計分析を行うために、これらの診断それぞれに数値を与えた:
0−A−萎縮細胞診
1−H−発育不全細胞診
2−M−中間トロフィズム細胞診
3−B−良好なトロフィズムに関する細胞診
これらの前提に従って次の結果を得る:
【0070】
【表6】

【0071】
【表7】

【0072】
【表8】

【0073】
その結果、以下であることを観察することができる:
・対照群(シミュレーション)およびプラセボ群では、中間の栄養効果が第2日〜第8日の間に観察され、良好なトロフィズムが第4日〜第7日の間に(数日だけ)観察される。過去の研究において観察されたように、この増加には、実際の細胞診サンプル採取の機械的な効果が寄与している可能性があり、同時にその後の減少は前記機械的な効果に対する「慣れ」すなわち脱感作による因子であり得る(表8および表9参照)。
・エストリオールを含む物質を投与した群(用量1(0.01μgエストリオール)、用量2(0.1μgエストリオール)、用量3(2.9μgエストリオール)では、良好なトロフィズムが第2日〜第37日の間に観察される。この時期からそれが発育不全になり、異なるアッセイ物質および参照物質の投与の停止と一致する(第36日が投与最終日であった)。
【0074】
よって、長期間の投与を可能にし、発育不全または泌尿生殖器萎縮の期間を抑え、かつ患者に高い安全性を提供する極低用量エストリオールの処方物を有することが非常に有利である。
【0075】
定量的解析は、細胞成熟度指数(MI)を用いることによって行い、細胞総数の比率を、基底/傍基底細胞、中間細胞、および表面細胞(B/I/S)の量に割り当てる。
【0076】
初期統計分析を行うために、各サンプルに数値を割り当てる目的で、次の式を用いた:
値=(−1B)+(0I)+(1S)
【0077】
この式を用いて、−100(基底/傍基底細胞の100%)〜100(表面細胞の100%)の値の範囲を得、−90より小さい値は完全萎縮、−89〜−30間の値は発育不全、−29〜+20間の値は中間のトロフィズム、+20より大きい値は良好なトロフィズムと考えた。
【0078】
これらの前提に従って次の結果を得る:
【表9】

【表10】

【表11】

【0079】
その結果、以下であることを観察することができる:
・これらの結果、評価および解析は、定性的評価で得られたものと極めてよく似ている。
・対照群(シミュレーション)およびプラセボ群では、中間の栄養効果は第2日〜第8日の間に観察され、良好なトロフィズムは第4日〜第7日の間に観察され、これは中間細胞およびある場合には表面細胞の出現により示される。この効果は研究を通して漸進的に減少する。
・用量1群(0.01μgエストリオール)では、中間細胞および表面細胞に関する良好なトロフィズムは治療第2日〜第16日の間に観察され、第15日に至るまで連日投与と一致する。その後、良好なトロフィズム〜中間のトロフィズム間の変動が観察され、研究の第37日から中間のトロフィズム状態となり(第36日が投与最終日であった)、第40日から発育不全状態に到達する。
・エストリオールを含む残りの群(用量2(0.1μgエストリオール)および用量3(2.9μgエストリオール))は類似挙動を示す。良好なトロフィズムが第2日〜第36日の間に観察される。第37日において用量3では良好なトロフィズムがあり、一方、用量2では中間のトロフィズムがある。用量2では発育不全状態が用量3の場合よりも1日早く得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性におけるエストロゲン不足による泌尿生殖器萎縮の予防および/または治療のための経膣投与に用いる医薬組成物の製造のためのエストリオールの使用であって、該組成物が、該患者がエストリオールの0.5mg/日未満の用量を受けるように投与されるものである、使用。
【請求項2】
前記患者がエストリオールの0.3mg/日以下の用量を受ける、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記患者がエストリオールの0.1mg/日以下の用量を受ける、請求項1または請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記患者がエストリオールの0.002〜0.05mg/日の用量を受ける、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記患者がエストリオールの0.02〜0.05mg/日の用量を受ける、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記投与が少なくとも3週間、毎日投与されるものである、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記投与が少なくとも30日間、毎日投与されるものである、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記投与が少なくとも60日間、毎日投与されるものである、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記投与が少なくとも90日間、毎日投与されるものである、請求項6に記載の使用。

【公表番号】特表2010−531302(P2010−531302A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512722(P2010−512722)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/ES2008/000450
【国際公開番号】WO2009/000954
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509344881)イタルファルマコ、ソシエダッド、アノニマ (3)
【氏名又は名称原語表記】ITALFARMACO, S.A.
【Fターム(参考)】