説明

エチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物

【課題】 高歪でも耐久性を保持することが可能なエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物を提供すること。
【解決手段】本発明に係るエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物は、エチレン含量60モル%以上のエチレン・プロピレン系共重合ゴム成分を60重量%以上含むエチレン・プロピレン系共重合ゴム100重量部当り、白色充填剤を20〜50重量部、平均粒子径が61〜100nmのカーボンブラックを60〜100重量部配合してなることを特徴とする。好ましい態様は、エチレン・プロピレン系共重合ゴム成分が、EPDMであること、更に、EPDMが、エチレン含量66モル%以上であること、有機過酸化物の配合量は、エチレン・プロピレン系共重合ゴム100重量部当り2〜5重量部の範囲であること、カップリング材料に用いられることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアカップリング材料などに用いられるエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物に関し、詳しくは高歪でも耐久性を保持することが可能なエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエアコンコンプレッサにおける動力伝達装置のプーリにエンジン側から入力されるトルク変動(振り振動)を吸収するためにエアコンカップリングが設けられている。
【0003】
従来、かかるエアコンカップリングの材料としては、一般にブチルゴムが用いられている。これは、従来のエアコンカップリングがクラッチタイプによるON/OFFタイプであり、ON/OFF時の衝撃を和らげる効果があること(40℃前後の減衰が大きい)、使用環境が最大120℃程度であることから、耐熱性よりも高減衰性能を重視していたからである。
【特許文献1】特開平8−269269号公報 特許文献1の実施例には、EPDMにカーボンブラックを配合する例が記載されているが、当該実施例で用いているゴム用のカーボンブラックは旭カーボンブラック社製「FEFカーボンブラック」で、平均粒径は40〜45nmである。
【特許文献2】特開2000−143905号公報 従来のEPDM配合。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、最近のエンジンの高出力化・コンパクト化に伴い、使用環境全体の温度が上昇の傾向にある。エアコンカップリングも当然のことながら、耐熱性の向上が要求され、具体的には+15℃程度(135℃)での耐熱耐久性が要求される。現在、広く使用されているブチルゴムは120℃前後までの使用が限界であり、それ以上の熱負荷に対してはポリマーが熱軟化し、機能部品として成立しなくなる欠点がある。
【0005】
また、製品の機構もクラッチタイプから常時回転タイプが主流となる方向にあり、そのためON/OFFの際には衝撃緩衝機能よりもカップリングとしての動力伝達機能が重視されてきているので、ブチルゴムではその要請を満足できないのが実情である。なお、100℃前後の振動吸収性〔tanδ〕がブチルゴムと同じであれば問題ないとされている。
【0006】
そこで、本発明者は、従来のブチルゴムの欠点を解決すべく、自動車・トーショナルダンパ用材料に用いられているEPDM配合(特許文献2参照)を採用したところ、耐熱性については確保できたが、圧縮永久歪が悪く、耐久性が十分に確保できないことが判った。具体的には、このEPDM配合の場合、低歪時(〜50%程度)では従来のブチル材料と同等の耐久性を保持していたが、高歪においては急激に耐久性が低下することが判明した。
【0007】
本発明は、高歪でも耐久性を保持することが可能なエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0010】
(請求項1)
エチレン含量60モル%以上のエチレン・プロピレン系共重合ゴム成分を60重量%以上含むエチレン・プロピレン系共重合ゴム100重量部当り、白色充填剤を20〜50重量部、平均粒子径が61〜100nmのカーボンブラックを60〜100重量部配合してなることを特徴とするエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物。
【0011】
(請求項2)
エチレン・プロピレン系共重合ゴム成分が、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)であることを特徴とする請求項1記載のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物。
【0012】
(請求項3)
エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)が、エチレン含量66モル%以上であることを特徴とする請求項2記載のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物。
【0013】
(請求項4)
有機過酸化物の配合量は、エチレン・プロピレン系共重合ゴム100重量部当り2〜5重量部の範囲であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物。
【0014】
(請求項5)
カップリング材料に用いられることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、高歪でも耐久性を保持することが可能なエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物を提供でき、具体的には後述の実施例でも明らかな通り、120℃×70時間での圧縮永久歪が25%以下、100℃雰囲気にて伸長疲労性(高歪0〜110%)が10万回以上(ワイブル平均値)で、かつ100℃でのtanδが0.15以上の特性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
本発明のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物中には、主成分としてエチレン・プロピレン系共重合ゴムが含まれ、かかるエチレン・プロピレン系共重合ゴムを構成するエチレン・プロピレン系共重合ゴム成分としては、エチレン・プロピレン・ジエンの三元共重合ゴム(以下、必要により「EPDM」と称する)が好ましく用いられる。
【0018】
以下、エチレン・プロピレン系共重合ゴムとしてEPDMを用いた場合について説明する。
【0019】
本発明に用いられるEPDMは、高分子ポリマーであるEPDMと共に、低粘度ポリマー(低分子ポリマー)であるEPDM(以下、必要により「低粘度EPDM」と称する)を配合することが好ましい。
【0020】
この低粘度EPDMとしては、ムーニー粘度(ML1+4、124℃)10以下のものが好ましく用いられ、より好ましくは5以下のものが用いられる。具体例としては、例えば、三井化学社製「EPT4010」などが挙げられる。
【0021】
高分子ポリマーであるEPDMは、エチレン含量が60モル%以上であり、好ましくは66モル%以上である。エチレン含量が60モル%未満であると、エチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物の伸長疲労性(高歪1〜110%)が劣る欠点がある。
【0022】
また低粘度EPDMを配合する場合、高分子ポリマーであるEPDMは、全EPDM量(低粘度EPDMと高分子ポリマーであるEPDMの量を合計した量、以下同じ。)の60重量%以上、好ましくは65〜75重量%とすることが必要であり、60重量%未満であると、エチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物の伸長疲労性が低下する。
【0023】
本発明のエチレン・プロピレン系共重合ゴムの加硫処方は、過酸化加硫、硫黄加硫、キノイド加硫、樹脂加硫などがあるが、中でも有機過酸化物加硫処方、または有機過酸化物に硫黄を加えた加硫処方も好ましい。
【0024】
有機過酸化物としては、例えばジクミルパーオキサイド、第3ブチルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ(第3ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,1,3−ジ(第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n−ブチル−4,4−ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレート等が用いられる。
【0025】
有機過酸化物加硫処方において、有機過酸化物の配合量は、全EPDM量100重量部当り2〜5重量部の範囲であることが好ましい。上記の範囲で有機過酸化物を配合すると、圧縮永久歪特性が優れる効果がある。
【0026】
また有機過酸化物に硫黄を加えた加硫処方の場合に、全EPDM量100重量部当りの配合量は、有機過酸化物が2〜5重量部の範囲、硫黄が0.1〜0.3重量部の範囲が好
ましい。硫黄を上記範囲で配合すると、エチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物の伸長疲労性と圧縮永久歪のいずれの特性も改善できるという効果がある。
【0027】
本発明において、エチレン・プロピレン系共重合ゴムの製造に際して、可塑剤の添加または油展ポリマーを使用し、ポリマー粘度を適時調整することは好ましいことである。
【0028】
可塑剤としては、パラフィン系オイル(例えば出光興産社製「PW380」)などが挙げられ、油展ポリマーとしては、三井化学社製「3072E」などが挙げられる。
【0029】
本発明のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物は、平均粒子径が61nm以上100nm以下のカーボンブラックを全EPDM量100重量部に対して、60〜100重量部配合することを特徴としている。
【0030】
なお、平均粒子径は画像処理技術により自動的に測定できる。
【0031】
カーボンブラックに関しては、1967年にASTMでコードNO.制度が導入され、分類名と平均粒子径の関係が決められている。以下にその関係を示す。
【0032】
コードNO. 分類名 平均粒子径
− − 1〜10nm
N100 SAF 11〜19nm
N200 ISAF 20〜25nm
N300 HAF 26〜30nm
N400 XCE 31〜39nm
N500 FEF 40〜48nm
N600 GPF 49〜60nm
N700 SRF 61〜100nm
N800 FT 101〜200nm
N900 MT 201〜500nm
【0033】
本発明に用いられるカーボンブラックは、ASTMコードがN700、分類名SRFで、平均粒子径61〜100nmのものである。
【0034】
本発明においては、カーボンブラックの平均粒子径が61nm以上100nm以下のものであれば、メーカー各社の複数種を任意に選択使用でき、上記粒子径を満足する限り、複数種を混合使用することも可能である。
【0035】
カーボンブラックの平均粒子径が61nm未満のものを用いても、後述の実施例で例証する如く本発明の効果を発揮し得ない。
【0036】
本発明に用いられる白色充填剤は、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム(CaCO)、タルク、クレー、グラファイト、ケイ酸カルシウム等を用いることができ、好ましい白色充填剤としては、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム(CaCO)が挙げられる。
【0037】
白色充填剤の配合量は、全EPDM量100重量部に対して、20〜50重量部の範囲が好ましい。
【0038】
白色充填剤の添加により、カップリングにおける金属との接着性を確保することが可能となる。
【0039】
本発明のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物に添加できるその他添加剤としては、一般に用いられる老化防止剤(例えばポリメライズド−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、2−メルカプトベンゾイミダゾール)、助剤(例えば酸化亜鉛、ステアリン酸)等を使用してもよい。
【0040】
本発明において、ゴム組成物の調製は、インターミックス、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機またはオープンロールなどを用いて混練することによって行われ、それの加硫は加硫プレス、圧縮成形機、射出成形機等を用いて、一般に約150〜200℃に約3〜60分間程度加熱することによって行われ、必要に応じて約120〜200℃で約1〜24時間オーブン加硫(二次加硫)することも行われる。
【実施例】
【0041】
次に、実施例に基づき本発明の効果を例証する。
【0042】
(実施例1)
ポリマー成分
高分子ポリマーであるEPDM(エチレン含量:66モル%)
(JSR社製「EP57C」) 65重量部
低粘度EPDM(エチレン含量:59モル%)
ムーニー粘度(ML1+4、124℃)4
(三井化学社製「EPT4010」) 35重量部 可塑剤(軟化剤):パラフィンオイル
(出光興産社製「ダイアナプロセスオイルPW−380」) 45重量部
カーボンブラック:SRF−HSカーボン(東海カーボン社製)
平均粒子径62nm 85重量部
白色充填剤:
ホワイトカーボン:湿式法ホワイトカーボン 20重量部
(日本シリカ工業社製「ニップシールE74P」
CaCO3 :極微細活性化CaCO3 20重量部
(白石工業社製「ハクエンカCC」
助剤:
酸化亜鉛 5重量部
ステアリン酸 0.5重量部
老化防止剤:
ポリメライズド−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン 1重量部
2−メルカプトベンゾイミダゾール 2重量部
加硫剤:
ジクミルパーオキサイド
(三井化学社製「三井DCP」 2.7重量部
硫黄 0.2重量部
【0043】
以上の各配合成分をニーダおよびオープンロールで混練し、混練物について170℃、20分間のプレス加硫にて、エアコンカップリング用ゴム材料を加硫成形した。
【0044】
〔評価項目〕
上記で得られたエアコンカップリング用ゴム材料について、以下のエアコンカップリングに要求される機能について評価した。
【0045】
(1)常態物性値(JIS K−6253、K−6251準拠)
硬さHs(デュロメータ−A)、引張強さTb(MPa)、伸びEb(%)を測定し、その結果を表1に示した。
【0046】
(2)接着性
金属リング・ハブ間にゴムが位置することから、金属との接着性が必要である。接着性試験はJIS K−6256に従って測定した。測定は初期と120℃で70時間経過後の両方行った。
その結果を表1に示した。表1において、R100はゴム残存率が100%であることを示している。
【0047】
(3)耐熱性(JIS K−6257準拠)
150℃下で、70時間経過後に常態物性値がどのように変化したかを示す。
耐熱性の結果を表1に示した。硬さ(硬度)Hsについては変化値ΔHsを示した。引張強さTbについては、変化率ΔTb(%)で示し、また伸びEbも変化率ΔEb%で示した。
ΔHs<5、ΔEb<−10であれば良好な耐熱性を示している。
【0048】
(4)伸長疲労性(JIS K−6270準拠)
カップリングはエンジン始動時に大変形を発生させるため、高歪での耐疲労性が必要である。
その測定結果を表1に示した。100℃雰囲気で、0〜80%(低歪)、0〜110%(高歪)10万回以上を測定し、0〜110%で10万回以上が高歪(伸長疲労性)が良好である。
【0049】
(5)圧縮永久歪(JIS K−6262準拠)
圧縮永久歪が大きい場合、伸長疲労性が良好でもヘタリの影響で疲労破壊に達する時間が早い。圧縮永久歪の測定結果を表1に示した。
120℃で70時間における圧縮永久歪が30%以下の場合良好であり、25%以下が望ましい。
【0050】
(実施例2)
実施例1において、高分子ポリマーを以下のように変化させた以外は同様にして、エアコンカップリング用ゴム材料を加硫成形し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0051】
高分子ポリマーであるEPDM(エチレン含量:67モル%)
40重量部油展(三井化学社製「3072E」) 105重量部
【0052】
(比較例1)
実施例1において、カーボンブラックを以下のように変化させた以外は同様にして、エアコンカップリング用ゴム材料を加硫成形し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0053】
カーボンブラック:FEFカーボン(東海カーボン社製)
平均粒子径43nm 82重量部
【0054】
(比較例2)
実施例1において、カーボンブラックを以下のように変化させた以外は同様にして、エアコンカップリング用ゴム材料を加硫成形し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0055】
カーボンブラック:HAFカーボン(東海カーボン社製)
平均粒子径28nm 80重量部
【0056】
(比較例3)
実施例1において、高分子ポリマーを以下のように変化させた以外は同様にして、エアコンカップリング用ゴム材料を加硫成形し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0057】
高分子ポリマーであるEPDM(エチレン含量:59モル%)
70重量部油展(三井化学社製「ESP601F」) 110.5重量部
【0058】
(比較例4)
実施例1において、高分子ポリマーを以下のように変化させた以外は同様にして、エアコンカップリング用ゴム材料を加硫成形し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0059】
高分子ポリマーであるEPDM(エチレン含量:54モル%)
(三井化学社製「EP27」) 65重量部
【0060】
(比較例5)
実施例1において、高分子ポリマーを以下のように変化させた以外は同様にして、エアコンカップリング用ゴム材料を加硫成形し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0061】
高分子ポリマーであるEPDM(エチレン含量:58モル%)
25重量部油展(三井化学社製「EP806EF」) 81.3重量部
【0062】
(比較例6)
実施例1において、加硫剤の配合量を以下のように変化させた以外は同様にして、エアコンカップリング用ゴム材料を加硫成形し、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0063】
加硫剤:
ジクミルパーオキサイド
(三井化学社製「三井DCP」 1.8重量部
硫黄 0.2重量部
【0064】
【表1】

【0065】
〔評価結果〕
表1から明らかなように、カーボンブラックの平均粒子径が61nm未満とした比較例1、2あるいはポリマーのエチレン含量を下げた比較例3、4、5では、伸長疲労性(特に高歪耐久性)が低下していることが判る。
【0066】
実施例1、2は、高エチレン含量のポリマーと粒子径の大きいカーボンブラックを組み合わせることで、高歪耐久性を実現し、また加硫剤の配合量を調整して高歪耐久性と圧縮永久歪を共に実現することが出来ることが判る。
【0067】
(比較例7)
ハロゲン化ブチルポリマー:
(ポリサー社製「HT10−66」) 100重量部
カーボンブラック:HAFカーボン(東海カーボン社製)
平均粒子径28nm 70重量部
助剤:
酸化亜鉛 10重量部
ステアリン酸 1重量部
テトラメチルチウラムスルフィド 1重量部
【0068】
以上の各配合成分を実施例1と同様にして成形してブチルゴム材料を得た。その材料を実施例1と同様に評価し、その測定結果を表2に示す。
【0069】
【表2】

【0070】
表2から明らかなように、ブチルゴム材料は150℃での耐熱性が悪いことが判る。
【0071】
(実施例3)
実施例2と比較例7(ブチル材料)での振動吸収性(tanδ)の比較実験を行った。
振動吸収性は、使用環境の通常雰囲気温度(60℃)以上にて振動吸収性(tanδ)がブチル材料と同等であることを立証するものである。
振動吸収機能の比較の結果を図1に示す。
【0072】
tanδの測定はUBM社製測定装置〔E−4000HP〕を用いた。測定モードは引っ張り、測定周波数:100Hz、ゴム歪:0.1%(サンプルは2mm×0.5mm×20mmのものを用いた)。また、初期歪として10%伸長を与えている。
【0073】
図1の結果から、約60℃以上では同等の値となることから、使用上問題ないことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、エアコンカップリングやカップリング機能や耐熱性を要求される自動車などの部位や自動車用部品、工業材部品などの用途に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施例2と比較例7(ブチル材料)での振動吸収性(tanδ)を比較した図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン含量60モル%以上のエチレン・プロピレン系共重合ゴム成分を60重量%以上含むエチレン・プロピレン系共重合ゴム100重量部当り、白色充填剤を20〜50重量部、平均粒子径が61〜100nmのカーボンブラックを60〜100重量部配合してなることを特徴とするエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物。
【請求項2】
エチレン・プロピレン系共重合ゴム成分が、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)であることを特徴とする請求項1記載のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物。
【請求項3】
エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)が、エチレン含量66モル%以上であることを特徴とする請求項2記載のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物。
【請求項4】
有機過酸化物の配合量は、エチレン・プロピレン系共重合ゴム100重量部当り2〜5重量部の範囲であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物。
【請求項5】
カップリング材料に用いられることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−152116(P2006−152116A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344460(P2004−344460)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】