説明

エネルギー資源の接続スタンド及びエネルギー資源の配管・配線システム

【課題】各種配管・配線と、それらに接続される外部の設備機器に関し、工事区分を切り分けて施工責任や維持管理責任を明確化することができ、かつ、施工効率にも優れるエネルギー資源の配管・配線システムを提供する。
【解決手段】エネルギー資源の引込口11、家屋内向け供給口12、外部設備用取出口13及び外部設備用取込口14を複数箇所ずつ備えるエネルギー資源の接続スタンド1を用いて、エネルギー資源の供給・分配経路を集約し、上記複数種類の接続口にて工事区分を切り分ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋内に電力、ガス、水道などのエネルギー資源を供給するために配設される複数種類の配管や配線を一括的に接続して集中的に維持管理するのに適したエネルギー資源の接続スタンドと、該接続スタンドを利用したエネルギー資源の配管・配線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅や事業用建物その他の一般家屋で利用される電気、ガス、水などのエネルギー資源は、公共部分の幹線や本管から分岐された引込線・引込管等を通じて各家屋の敷地内に引き込まれ、専用部分(私有部分)の配線や配管を経由して、家屋内各所の居室や設備機器類へと供給される。引込線・引込管と専用部分との接続箇所には、当該エネルギーの使用量を計測するための積算メーター等が設置される。
【0003】
特許文献1、2等には、特に集合住宅において、上述のようなエネルギー資源供給用の配管・配線を、一ヶ所のメーターボックス及びその近接部分に集約して配設することにより、施工面と管理面の合理化を図ろうとした配管・配線システムが開示されている。
【特許文献1】特開平06−257275号公報
【特許文献2】特開閉10−299953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気、ガス、水道その他のエネルギー資源は、基本的に、それぞれ異なる事業者によって供給されており、多くの場合、それら各事業者の代理店となる下請け施工業者が、個々の家屋内への引込工事や家屋内の配設工事を請け負っている。かかる事情から、新築工事や既設家屋の改修工事に際しては、エネルギー資源の種類ごとに配管・配線の施工範囲が重複したり、施工業者の工事スケジュールが交錯したりすることがあり、例えば、地中に配管を埋設した場所を、他の配管工事のために再度、掘り返すといった非効率がしばしば生じる。また、工事費の内訳や責任範囲が曖昧になってトラブルを招くこともある。
【0005】
さらに近年では、例えば家庭用太陽光発電装置や、ガスによって発電・給湯・暖房を行う家庭用ガスコージェネレーションシステム(エコウィル)、電力会社と給湯器メーカーとが共同で普及を図っている自然冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュート)など、エネルギー資源を複合的に活用する設備機器が普及しつつある。これらの設備機器は、家屋本体に外付けされる形態で設置されるのが一般的であるが、その設置工事については、当該設備機器のメーカーやその指定業者が行う場合もあれば、エネルギー資源供給事業者の下請け施工業者が行う場合もある。そのため、その種の設備機器と、それに関連する各種配管・配線の施工責任や管理責任が、一層、分かりにくくなる傾向にある。しかも、エネルギー資源を複合的に活用する設備機器は、例えばバイオ燃料や水素などを利用するものも含めて、今後、更に多様化することが予想される。
【0006】
省エネルギーや環境保護の観点からは、家屋内の配管・配線や各種設備機器を、長期間にわたってきめ細かく維持管理することが極めて重要である。しかし、各種の配管・配線と、それらに接続される設備機器は、種類ごとに耐用年数が相違しており、補修や交換のタイミングもずれてくる。そこで、これらの維持管理に際しては、配管・配線や設備機器のどの範囲を、どれくらいの期間で、どの工事業者が補修或いは交換するのか、また、不具合が生じた場合は、どの部分についてどの工事業者が対応するのか、といった工事区分と責任範囲の明確な切り分けが必要になってくる。
【0007】
しかし、上記特許文献に開示された配管・配線システムは、残念ながらそのような要請に応え得るものではない。そこで、本発明は、各種の配管・配線と、それらに接続される設備機器に関し、その工事区分を切り分けて施工責任や維持管理責任を明確化することができ、かつ、実際の配管・配線工事を効率的に行い得るようなエネルギー資源の配管・配線システムを提供するものである。
【0008】
さらに、かかる配管・配線システムを実現するための具体的な接続手段として、複数種類の配管・配線を一括的に接続して集中的に維持管理するのに適したエネルギー資源の接続スタンドを提供するものである。
【0009】
なお、本発明において「電気」のエネルギー資源とは、各種設備機器類を運転するための動力等として利用される「強電」のエネルギー資源と、各種設備機器類の制御信号等に利用される「弱電」のエネルギー資源の双方を包含する。また、エネルギー資源を供給するための「配管」と「配線」は、特にことわりのない限り、エネルギー資源の供給経路という意味においては同義概念として扱い、「配管・配線」とひと括りに記載する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のエネルギー資源の接続スタンドは、電気、ガス、水道その他の複数種類のエネルギー資源について、
(a)該エネルギー資源を引込むための配管・配線が接続される引込口と、
(b)上記引込口に連通して上記エネルギー資源を家屋内の適所に供給するための配管・配線が接続される家屋内向け供給口と、
(c)上記引込口に連通して、外部の設備機器に対し上記エネルギー資源の一部を供給するための配管・配線が接続される外部設備用取出口と、
(d)上記家屋内向け供給口に連通し、上記設備機器によって変換されたエネルギー資源を再度、取り込むための配管・配線が接続される外部設備用取込口と、
からなる少なくとも4種類の配管・配線接続手段が、略箱状のスタンド本体に設けられているものとして特徴づけられる。
【0011】
かかる構成は、家屋に供給される主要なエネルギー資源の供給経路を一ヶ所に集約するとともに、必要に応じて、その接続や切替を可能となすべく採用されたものである。この接続スタンドにおける引込口と家屋内向け供給口とは接続スタンドの内部で連通しており、電気、ガス、水道をはじめとする主要なエネルギー資源は、基本的に全て、一旦、この接続スタンドを経由して家屋内に供給される。また、家屋の外部に設置される設備機器に対しても、この接続スタンドから分配したエネルギー資源を供給することとし、該設備機器にて変換されたエネルギー資源を家屋内で利用する場合には、この接続スタンドを再経由させる。各接続手段は、配管・配線を必要に応じて容易に着脱し得る「口」として構成される。このように、各種エネルギー資源の供給経路をこの接続スタンドに集約すれば、この接続ボックスを中継拠点として、配管・配線の施工や維持管理に関する責任範囲を明快に切り分けることができる。
【0012】
なお、この発明における「外部の設備機器」とは、電気、ガス、水などのエネルギー資源を複合的に利用して所望のエネルギーに変換したり、該エネルギーを一時的に貯蔵したりするための設備機器であって、例えば、各種方式による給湯器や貯湯器、太陽光発電装置、燃料電池等がこれに該当する。
【0013】
上記構成に係るエネルギー資源の接続スタンドにおいて、引込口と家屋内向け供給口との連通経路、引込口と外部設備用取出口との連通経路、または外部設備用取込口と家屋内向け供給口との連通経路のいずれかには、エネルギー資源の種類ごとに該連通経路を通止するバルブその他の開閉手段が設けられるのが好ましい。
【0014】
この構成によれば、未使用の連通経路や一時的に取り外す連通経路を閉止したり、或いは、それらの連通経路を必要に応じて開通させたりする操作を、一ヶ所で集中的に行うことが可能になる。これにより、配管・配線の維持管理、更新、追加等に係る作業が効率化される。
【0015】
また、本発明のエネルギー資源の配管・配線システムは、公共本管等から引き込まれる複数種類のエネルギー資源を、上記構成に係る接続スタンドを経由させてそれぞれ家屋内へと供給するとともに、上記接続スタンド内に引き込んだエネルギー資源の一部を分配して外部の設備機器へと供給し、該設備機器で変換されたエネルギー資源を上記接続スタンド内を再経由させて家屋内へと供給しうるように、各種エネルギー資源の供給経路が配設されたものとして特徴づけられる。
【0016】
かかる構成によれば、各種エネルギー資源の供給経路における公共部分と専用部分とが、接続スタンドを挟んで区分される。各種エネルギー資源は基本的に全て、接続スタンドから家屋内の適所へと供給される。家屋の外部に設置される設備機器に対しても、接続スタンドを経由してエネルギー資源が送受される。こうして、全ての配管・配線を、接続スタンドを中継拠点とするネットワークとして構成することが可能になる。各配管・配線の配設領域における施工責任や維持管理責任は、接続スタンドに設けた複数種類の接続手段を境にして明快に切り分けられることとなり、これによって施工性や維持管理効率も著しく向上する。
【0017】
上記構成に係るエネルギー資源の配管・配線システムにおいては、接続スタンドの家屋内向け供給口に接続される配管・配線が、予め配設された案内用のさや管内に挿入されるように構成されるのが好ましい。
【0018】
この構成によれば、予め配設されたさや管を利用し、家屋内の各所に向けて配管・配線を容易に配設することができる。配管・配線の維持管理、更新、追加等に係る作業も効率化される。なお、「さや管」とは、例えばポリエチレンその他の樹脂材料や金属等によって蛇腹状に形成された可撓性管材であるが、その内部に各種配管・配線を挿通させ得るものであれば、特にその径や材質が限定されるものではない。
【0019】
上記エネルギー資源の配管・配線システムにおいては、接続スタンドが、家屋の外構部分に自立して、又は家屋の外壁部分に一体的に組み込まれて設置されるのが好ましい。この構成によれば、配管・配線の維持管理作業に際して家屋本体に影響を与えず、容易に実施することができるとともに、外観的にも、作業者が配管・配線の全体的な構成を把握しやすくなる。
【0020】
さらに、上記エネルギー資源の配管・配線システムにおいては、公共本管等から引き込まれる各エネルギー資源が、該エネルギー資源の使用量を計測するメーター設備をそれぞれ経由して接続スタンドの引込口に接続されるのが好ましい。
【0021】
各種エネルギー資源の使用量を計測するメーター設備は通常、計測員がメーターの読み取り作業をし易いよう、道路に面した敷地周縁部に設置される。そこで、本発明の配管・配線システムにおいても上記の事情に配慮し、メーター設備を適宜のボックス等に収容するなどして公共本管等からの引込み部分に設置する。そして、該メーター設備にできるだけ近接させて、その下流側に接続スタンドを設置すれば、実用に即した合理的な配管・配線システムが得られる。
【0022】
なお、各種エネルギー資源の引込みに関する事情が許せば、メーター設備を本発明の接続スタンドの内部に一体的に組み込むことも、もちろん可能である。
【発明の効果】
【0023】
上述のように構成される本発明のエネルギー資源の接続スタンドと、該接続スタンドを利用したエネルギー資源の配管・配線システムによれば、多くの種類の配管・配線を一括的に集約して集中的に維持管理し易くなる。また、多くの種類の配管・配線や、それらに接続される設備機器に関しても、接続スタンドを中心にして配管・配線の領域を切り分けることができるので、配管・配線工事の施工性が向上するとともに、施工責任や維持管理責任も明確化し易くなる。その結果、家屋内の配管・配線や各種設備機器を、長期間にわたって効率よく維持管理することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。
【0025】
図1は、エネルギー資源の接続スタンドの概略的なイメージを示し、図2は、該接続スタンドを用いた配管・配線システムの最も基本的な形態を示している。
【0026】
接続スタンド1は、配管・配線の取り回しがし易いよう、公共部分の幹線や本管から分岐された引込線・引込管が接続されるメーターボックス(メーター設備)2や、家屋3の外部等に設置される給湯器、貯湯器、太陽光発電装置、燃料電池その他の設備機器4に近接して設置される。例示形態にあっては、防排水性や点検修理の作業性等にも配慮して、メーターボックス2、接続スタンド1、外部の設備機器4等は全て、地盤面から若干高い位置に設けたデッキ床5等の上に設置されている。そして、デッキ床5を構成する床材の一部をめくると、その下部に配設された配管・配線を容易に点検修理することができるようになっている。接続スタンド1は、例示のように家屋3の外構部分に自立形態で設置するほか、家屋3の外壁部分に一体的に組み込む、いわゆるビルトイン形態で設置することも可能である。
【0027】
接続スタンド1は、例えば耐候性処理を施した金属板等からなる中空箱状のスタンド本体10を利用して構成される。スタンド本体10は、例えば底面が開口するとともに、天面部や側面部の一部が開閉又は着脱自在に形成される。例示形態にあっては、幅の広いひとつの側面部に複数個の窓孔101が形成されていて、各窓孔101には、水、ガス、電気、灯油、水素等、各種エネルギー資源の種類ごとに、その配管・配線をワンタッチで着脱しうるコネクタやコンセント等を備えた接続パネル102が取り付けられるようになっている。
【0028】
スタンド本体10には、少なくとも以下(a)〜(d)のような4種類の、配管・配線の接続口(接続手段)が設けられる。
(a)各種エネルギー資源をスタンド本体10内に引込むための引込口11。この引込口11は、家屋3に対するエネルギー資源の入口となる部分である。例示形態にあっては、上記接続パネル102に設けられた各エネルギー資源の種類別のコネクタやコンセント等がこれに割り当てられている。
(b)各種エネルギー資源を家屋3内に供給するための家屋内向け供給口12。この家屋内向け供給口12は、スタンド本体10の内部配管・配線を介して上記引込口11と連通しており、引き込んだエネルギー資源を家屋3内の適所に供給するための配管・配線が接続される。例示形態にあっては、家屋内向け供給口12はスタンド本体10の底面に集約されている。また、接続スタンド1の設置面となるデッキ床5には、家屋内向け供給口12に接続される配管・配線を挿入して案内するためのさや管6が複数本、その開口端を上向きにして配設されている。各さや管6は、地中に埋設されて家屋3の基礎31を貫通し、家屋3の床下に立ち上げられて、家屋3内に設けられたパイプスペース7その他の適所まで延設されている。
(c)各種エネルギー資源を外部の設備機器4に対して供給するための外部設備用取出口13。外部設備用取出口13は、スタンド本体10の内部配管・配線から分岐して、引き込んだエネルギー資源を外部の設備機器4に分配するための接続口となる。例示形態にあっては、外部設備用取出口13は、スタンド本体10の側面部を貫通するように設けられる。
(d)上記設備機器4によって変換されたエネルギー資源(2次エネルギー)を取り込むための外部設備用取込口14。外部の設備機器4を介して変換生成された電気や温湯等のエネルギーも基本的には再度、スタンド本体10内に取り込まれ、上記家屋内向け供給口12から家屋3内に供給される。ただし、2次エネルギーは、引込口11から直接、家屋内向け供給口12を経由して家屋3内に供給される経路に合流するのではなく、それらに並設された別の家屋内向け供給口12を経由し、バイパス経路として供給されることとなる。例示形態にあっては、外部設備用取出口13は、接続パネル102に設けられた各エネルギー資源の種類別のコネクタやコンセント等を割り当てるか、外部設備用取出口13と同様にスタンド本体10の側面部を貫通させて設けられる。
【0029】
上記の構成が、本発明に係るエネルギー資源の接続スタンド1及び配管・配線システムの基本概念を示すものであるが、実際の配管・配線の形態はエネルギー資源の種類によって若干、変化するので、以下、主要なエネルギー資源の種類ごとに、改めてその配設形態を具体的に説明する。
【0030】
図2は、主として水及び湯に関連する配管の配設形態を示している。公共部分の上水道本管から分岐されて家屋3の専用部分(私有地部分)に引き込まれた水道の引込管201が、水道メーター202を経由して、接続スタンド1の側面に設けられた水道用の引込口11に接続される。スタンド本体10内には、水道用の引込口11から直接、水道用の家屋内向け供給口12に連通する内部配管203と、該内部配管203から分岐されて外部設備用取出口13に連通する分配配管204とが設けられている。内部配管203には、水用の供給用配管205が接続され、家屋内向け供給口12からさや管6を経由して、家屋3内のパイプスペース7へと水が供給される。
【0031】
外部設備用取出口13には、給湯器等の設備機器4に水を供給する配管206が接続される。給湯器で生成された湯は、湯用の戻り配管207を通じて接続スタンド1の外部設備用取込口14に取り込まれる。そして、家屋内向け供給口12に接続される湯用の供給用配管208を通じて家屋3内のパイプスペース7へと送られる。パイプスペース7内には、ヘッダー71等が設置され、送られてきた水や湯を、浴室や洗面所その他の適所に分配する。接続スタンド1内の内部配管203や分配配管204等には、必要に応じて管路を通止し得るバルブその他の開閉手段15が設けられている。バルブ等の操作ハンドルは、例えばスタンド本体10の天面部に露出するように集約配置される。
【0032】
図2に示した配管形態において、外部に接続される設備機器4が、例えばガス給湯器である場合、ガスの供給経路も上記した水と概ね同様である。すなわち、ガスは、公共部分のガス本管からガスメーターを経由してガスの引込口11に引き込まれ、一部は直接、内部配管からガス用の家屋内向け供給口12を通じて家屋3内へと供給されるとともに、一部は分配配管から外部設備用取出口13を経由してガス給湯器等へと供給される。(ただし、ガスに関しては、ガス給湯器からの戻り配管はない。)
図3は、風呂の追い焚き用配管の配設形態を示す。風呂の浴槽73は、接続スタンド1を介して追い焚き機能を有する設備機器4に接続されている。それらを接続する配管には、往き管301と戻り管302とをペアにした往復管を用いることができる。往復管は、地中に埋設された1本のさや管6内に、抱き合わせ状態で挿入される。
【0033】
図4は、電気系統の配管・配線形態を示している。電気エネルギーのうち、機械設備の動力源や熱源等に供される「強電」分野のエネルギーは、公共部分の電気幹線から電気メーター401を経由して、接続スタンド1の側面に設けられた電気の引込口11に引き込まれる。そして、接続スタンド1内の内部配線402を経由し、電気の家屋内向け供給口12からさや管6内に挿通される配線403を通じて、パイプスペース7内に取り付けられた分電盤74へと接続される。家屋3内の照明やコンセント等に電力を供給するための配線は、分電盤74から家屋3内の各所へそれぞれ配設される(図示せず)が、外部の設備機器4に運転用の電力を供給するための配線は、分電盤74から、さや管6内に挿入された配線404を通じて再度、接続スタンド1に取り込まれ、強電の外部設備用取出口13から配線405を介して設備機器4へと供給される。
【0034】
一方、外部の設備機器4が、例えば燃料電池や太陽光発電装置のように電力の2次エネルギーを生成するものである場合は、生成された電気エネルギーが、配線406を通じて接続スタンド1の外部設備用取込口14から取り込まれ、家屋内向け供給口12から、さや管6内の配線407を通じて分電盤74へと送られる。図4のシステム図は、上記両系統の配線を包括的に図示したものである。図示は省くが、接続スタンド1には、必要に応じて各系統の配線を通止するブレーカースイッチ等の開閉手段が設けられていてもよい。
【0035】
また、電気エネルギーのうち、設備機器4の制御信号等に供される「弱電」分野のエネルギーについても、上記強電分野と概ね同様の配線形態によって実施することができる。
【0036】
このように、本発明のエネルギー資源の配管・配線システムは、エネルギー資源の種類や設備機器4等の構成に応じて配設形態が多少は変化するものの、基本的には、家屋3内で必要とするエネルギー資源の供給経路を全て、一ヶ所の接続スタンド1に集約し、接続スタンド1から必要な箇所へと分配するように構成される。その経路は、接続スタンド1に設けた複数種類の接続手段のいずれかによって、容易に接続・分離・切替等を行うことができる。このように、接続スタンド1を中継拠点として各種エネルギー資源の経路を集約すれば、接続スタンド1に設けた複数種類の接続手段が、配管・配線の施工や維持管理に関する責任範囲を切り分けるための境界となる。こうして、エネルギー資源の引込系統や取回し系統等の区を、常に接続スタンド1を基準にして切り分けることにより、工事区分や、各区分領域ごとの点検や維持管理責任が明確になって、配管・配線や設備機器4類の品質を長期間にわたって保障することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のエネルギー資源の接続スタンドの概略的なイメージを示す分解斜視図である。
【図2】上記接続スタンドを用いた本発明の配管・配線システムの基本的形態を示すシステムズであって、主に水及び湯についての配管系統を示した図である。
【図3】同じく、風呂の追い焚き用配管の系統を示したシステム図である。
【図4】同じく、電気系統の配管・配線系統を示したシステム図である。
【符号の説明】
【0038】
1 接続スタンド
10 スタンド本体
11 引込口
12 家屋内向け供給口
13 外部設備用取出口
14 外部設備用取込口
15 開閉手段
2 メーターボックス(メーター設備)
3 家屋
4 設備機器
6 さや管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気、ガス、水道その他の複数種類のエネルギー資源について、
(a)該エネルギー資源を引込むための配管・配線が接続される引込口(11)と、
(b)上記引込口(11)に連通して上記エネルギー資源を家屋(3)内の適所に供給するための配管・配線が接続される家屋内向け供給口(12)と、
(c)上記引込口(11)に連通して、外部の設備機器(4)に対し上記エネルギー資源の一部を供給するための配管・配線が接続される外部設備用取出口(13)と、
(d)上記家屋内向け供給口(12)に連通し、上記設備機器(4)によって変換されたエネルギー資源を再度、取り込むための配管・配線が接続される外部設備用取込口(14)と、
からなる少なくとも4種類の配管・配線接続手段が、略箱状のスタンド本体(10)に設けられていることを特徴とするエネルギー資源の接続スタンド(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー資源の接続スタンド(1)において、
引込口(11)と家屋内向け供給口(12)との連通経路、引込口(11)と外部設備用取出口(13)との連通経路、または外部設備用取込口(14)と家屋内向け供給口(12)との連通経路のいずれかには、エネルギー資源の種類ごとに該連通経路を通止するバルブその他の開閉手段(15)が設けられたことを特徴とするエネルギー資源の接続スタンド(1)。
【請求項3】
公共本管等から引き込まれる複数種類のエネルギー資源を、請求項1又は2に記載のエネルギー資源の接続スタンド(1)を経由させてそれぞれ家屋(3)内へと供給するとともに、上記接続スタンド(1)内に引き込んだエネルギー資源の一部を分配して外部の設備機器(4)へと供給し、該設備機器(4)で変換されたエネルギー資源を上記接続スタンド(1)内を再経由させて家屋(3)内へと供給しうるように、各種エネルギー資源の供給経路が配設されたことを特徴とするエネルギー資源の配管・配線システム。
【請求項4】
請求項3に記載のエネルギー資源の配管・配線システムにおいて、
接続スタンド(1)の家屋内向け供給口(12)に接続される配管・配線は、予め配設された案内用のさや管(6)内に挿入されることを特徴とするエネルギー資源の配管・配線システム。
【請求項5】
請求項4に記載のエネルギー資源の配管・配線システムにおいて、
接続スタンド(1)が、家屋(3)の外構部分に自立して、又は家屋(3)の外壁部分に一体的に組み込まれて設置されたことを特徴とするエネルギー資源の配管・配線システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のエネルギー資源の配管・配線システムにおいて、
公共本管等から引き込まれる各エネルギー資源は、該エネルギー資源の使用量を計測するメーター設備をそれぞれ経由して接続スタンド(1)の引込口(11)に接続されることを特徴とするエネルギー資源の配管・配線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−43406(P2010−43406A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206254(P2008−206254)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】