説明

エパルレスタットの主要中間体であるロダニン−3−酢酸の調製方法

(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸を調製するための方法であって、(a)式(VIII)(式中、YはCl、Br、I、OTs、OMsであり、RはC18アルキル、ベンジル、シクロアルキル、フェニル、および置換フェニル等である)の化合物を式(VIIIA)(式中、MはK、NaまたはLi、好ましくはKであり、R1はC14アルキル、ベンジル、C1〜C8シクロアルキルおよびフェニル等である)の化合物と水性媒体中で反応させて、式(IX)の化合物を得ることと、(b)塩基を使用して式(IX)の化合物を環化して、溶媒中で式(X)の化合物を得ることと、(c)鉱酸水溶液を使用して(X)を加水分解することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エパルレスタット[I]として知られる、(E,E)−5−(2−メチル−3−フェニル−2−プロペニリデン)−4−オキソ−2−チオキソ−3−チアゾリジン酢酸の調製に使用されるCAS番号[5718−83−2]を有するロダニン−3−酢酸[式IIの化合物]を調製するための新規かつ改善された方法に関する。エパルレスタットは、糖尿病性神経障害の治療に使用される。エパルレスタットは、CAS番号[82159−09−9]を有する。
【0002】
【化1】

【0003】
Toshimasa ISHIDAらは、Tetrahedron Letters第30巻、第8号、959〜962頁(1989)に、NMRおよびUV分光測定結果に基づいてエパルレスタットの(ONO−2235)のすべての4つの幾何異性体の構造解明を発表し、(Z)−3−カルボキシメチル−[(2E)−メチルフェニルプロペニリデン]−ロダニンを臨床的に重要な化合物として特定した。エパルレスタットは、1992年から「Kinedak」の商品名で小野薬品工業株式会社により(Z、E)形態で市販されている。
【背景技術】
【0004】
Li,Yuezhenらは、Chinese Journal Zhongguo Yaowu Huaxue Zazhi(2001)、11(3)、165〜167頁に、相間移動触媒を使用して二硫化炭素をNH4OH中のグリシンに添加した後、クロロ酢酸ナトリウムと反応させ、濃HClを使用して環化して、式[II]のロダニン−3−酢酸を得るスキームIに示される式IIのロダニン−3−酢酸の合成を記載している。
【0005】
【化2】

【0006】
Li,Duxinらは、Chinese Journal Shanxi Daxue Xuebao、Ziran Kexuban(1995)、18(4)、413〜416頁に、化合物−[IV]をNa2CO3水溶液中でクロロ酢酸と反応させて、式[V]の化合物を得るIIの調製[スキームI参照]を記載している。式[V]の化合物は、HClと反応し、ロダニン−3−酢酸[II]を与える。
【0007】
Journal of Zhejiang University、Medical Science(2003 Aug)、32(4)、356〜358頁の文献には、グリシンを二硫化炭素およびクロロ酢酸ナトリウムと反応させて、ロダニン−3−酢酸を得ることを含む式[II]のロダニン−3−酢酸の合成方法が記載されている。
【0008】
従来技術に開示されている方法は何れも、有害であり、大規模な商業的方法では一般に望ましくない、二硫化炭素を使用する。したがって、二硫化炭素を使用せずにロダニン−3−酢酸を調製するための方法を開発することが望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の方法は、ロダニン−3−酢酸の調製における二硫化炭素の使用を回避することによって従来技術の方法の欠点を解消する。
本発明はまた、式[IX]の構造を有する新規の中間体の形成および使用を含む、ロダニン−3−酢酸の新規の調製方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、ロダニン−3−酢酸[II]は、
1.アミノ酢酸[VI]をHCl中でメタノールと反応させて、アミノ酢酸メチル塩酸塩[VII;RはMeである]を得る段階と、
2.アミノ酢酸メチル塩酸塩[VII;RはMeである]を塩化クロロアセチル[VIIA;XおよびYはClである]と反応させて、[(クロロアセチル)アミノ]酢酸メチル[VIII;YはClであり、RはMeである]を得る段階と、
3.[(クロロアセチル)アミノ]酢酸メチル[VIII;YはClであり、RはMeである]を、エチルキサントゲン酸アルカリ金属塩[VIIIA;MはKである]、すなわちエチルキサントゲン酸カリウムを反応させて、({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチル[IX;RはMeであり、R1はEtである]を得る段階と、
4.({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチル[IX;RはMeであり、R1はEtである]を環化して、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル[X;Rはメチルである]を得る段階と、
5.(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル[X;Rはメチルである]を加水分解して、ロダニン−3−酢酸[II]を得る段階、
を含むスキームIIに従って調製される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
これらの反応は、有害であり、大規模な商業的方法では望ましくない二硫化炭素を使用せずに実施されることが注目される。
ロダニン−3−酢酸は、エパルレスタットの合成における主要中間体である。
ロダニン−3−酢酸は、以下のように、スキームIIに記載される以下の段階によってグリシンから調製される。
【0012】
【化3】

【0013】
式中、Rは、C18アルキル、ベンジル、シクロアルキル、アルキレンC16、フェニル、置換フェニル等であり、
Xは、Cl、Br、I、OTs、OMsであり、
Yは、Cl、Br、I、OTs、OMsであり、
R1は、C1〜C4アルキル、ベンジル、アリール等から選択され、好ましくは、R1は、エチルまたはイソプロピルであり、より好ましくはエチルである。
【0014】
段階1
段階1における溶媒は、MeOH、EtOH、IPA、BuOHなどのアルコール;トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタンなどのシクロアルカン;アセトニトリル、プロピオニトリルまたはそれらの混合物などのニトリル溶媒群から選択される。
【0015】
段階2
段階2で使用される溶媒は、
(a)水、
(b)ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなどの芳香族炭化水素、
(c)ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化溶媒、
(d)テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル、
(e)アセトニトリルなどのニトリル、
またはそれらの混合物、から選択される。
【0016】
好ましい溶媒は、水である。
反応の温度は、0℃から40℃である。
中和に使用される塩基は、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウムなどの無機アルカリ金属の重炭酸塩、炭酸塩および水酸化物、好ましくは重炭酸ナトリウム、又は、NEt3、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、N−エチルピペリジン、DBU、DBN、ジイソプロピルエチルアミンなどの有機三級アミンから選択される。
【0017】
段階3
反応のための溶媒は、水である。
反応の温度は、0から100℃、好ましくは30から35℃である。
【0018】
段階4
環化に使用される塩基は、
(a)トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、DBNのような三級アミン;
NaOMe、NaOEt、ナトリウムまたはカリウムイソプロポキシド、ナトリウムまたはカリウムtertブトキシドのような、塩基のアルコキシド群から選択される。好ましい塩基は、NaOMeである。
【0019】
反応のための溶媒は、
(a)ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、および所望のそれらの混合物などの、ハロゲン溶媒群、
(b)ベンゼン、トルエン、キシレン、および所望のそれらの混合物などの、芳香族炭化水素溶媒群、
(c)アセトニトリル、プロピオニトリルおよび所望のそれらの混合物などの、ニトリル溶媒群、
から選択することができる。
【0020】
段階5
加水分解反応において、使用される酸は、塩酸水溶液、硫酸水溶液、リン酸水溶液、臭化水素酸水溶液等から選択される。
反応の温度は、25から125℃であり、好ましくは、還流温度(約100℃)で実施される。
本発明を、以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例】
【0021】
実施例1
(a)アミノ酢酸メチル塩酸塩の調製[VII;Rは、Meである]
撹拌機、凝縮器、温度計およびHClガスパージ機構を装備した3リットルの多口丸底フラスコにおいて、アミノ酢酸(300g、4mol)を冷却下で1.5Lのメタノールと共に撹拌する。乾燥HClガスを冷却された塊にパージする。反応塊を還流し、還流温度で2時間維持する。アミノ酢酸が存在しないことをTLCで確認する。反応塊を室温まで冷却し、1時間維持する。白色の結晶生成物を濾過し、300mlのメタノールで洗浄し、吸引して乾燥させる。生成物を50〜55℃で6時間乾燥させる。
アミノ酢酸メチル塩酸塩の収量=460gms
M.P.=175℃
【0022】
(b)硫酸水素アミノ酢酸メチルの調製
撹拌機、凝縮器、水浴を装備した500mlの三口丸底フラスコにおいて、アミノ酢酸(25gm、0.33mol)を125mlのメタノールと共に10℃で撹拌する。硫酸(34.96g、0.349mol)を10℃で1時間にわたって滴下する。加熱して還流させ、2時間維持する。アミノ酢酸が存在しないことをTLCで確認する。メタノールを蒸留除去して、硫酸水素アミノ酢酸メチルを油として得る。
収量=60gm
【0023】
実施例2
(クロロアセチルアミノ)酢酸メチルの調製[VIII;RはMeであり、YはClである]
機械的撹拌機、添加漏斗、温度計を装備した10Lの多口丸底フラスコを氷浴中に配置し、重炭酸ナトリウム(301g、3.58mol)を入れ、4.5Lの水と共に撹拌し、0〜5℃まで冷却する。アミノ酢酸メチル塩酸塩(450g、3.58mol)を0〜5℃で徐々に添加する。次いで、重炭酸ナトリウム(400g、4.76mol)で6〜7のpHを維持しながら、塩化クロロアセチル(286ml、3.58mol)を0〜5℃で滴下する。塊を0〜5℃で1時間、次いで25〜30℃で1時間撹拌する。出発材料が存在しないことをTLCで確認する。TLCにおいて出発材料がなくなった後に、反応塊をクロロホルム(4.5L)で抽出する。クロロホルムを完全に蒸留除去して、(クロロアセチルアミノ)酢酸メチルを油として得る。
収量=460g(収率=77%)
【0024】
実施例3
({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチルの調製[IX;RはMeであり、R1はEtである]
撹拌機、温度計および滴下漏斗を装備した5リットルの多口丸底フラスコにおいて、エチルキサントゲン酸カリウム(271g、1.69mol)を2.2Lの水と共に30〜35℃で撹拌する。[(クロロアセチル)アミノ]酢酸メチル(280g、1.69mol)を600mlの水に溶解させた溶液を30〜35℃で添加する。反応塊を5時間撹拌する。[(クロロアセチル)アミノ]酢酸メチルが存在しないことをTLCで確認する。反応塊を濾過し、1800mlの水で洗浄する。湿ったケーキを取り出し、オーブンにて55〜60℃で5〜6時間乾燥させる。
({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチルの収量=366g(収率=86%)
【0025】
実施例4
(a)(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチルの調製[X;RはMeである]
機械的撹拌機、水浴温度計、凝縮器、窒素ガスパージ機構を装備した1リットルの多口丸底フラスコにおいて、ナトリウムメトキシド(32.3g、0.6mol)を窒素雰囲気下で150mlの二塩化メチレンと共に5〜10℃で撹拌する。({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチル(50g、0.1989mol)を150mlのジクロロメタンに溶解させた溶液を、5〜10℃で1時間にわたって添加する。反応塊を5〜10℃で4時間撹拌する。({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチルが存在しないことをTLCで確認する。反応塊を、冷却した(0〜5℃の)70mlの30%塩酸に投入する。300mlの水を0〜5℃で添加し、25〜30℃まで昇温させる。有機層を分離する。水層を500ml酢酸エチルで抽出する。有機層を主たる有機層と一緒にし、蒸留して、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル[X;RはMeである]を橙赤色の油として得る。収量=40gm(収率=97%)
【0026】
(b)(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチルの調製[X;RはMeである]
100mlの三口丸底フラスコにおいて、({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチル(2g、0.0079mol)をトルエン(20ml)と共に60〜65℃で撹拌する。トリエチルアミン溶液(10mlのトルエン中8ml、0.0569mol)を窒素雰囲気下で60〜65℃にて徐々に添加する。反応塊を撹拌し、80〜85℃まで12時間加熱する。({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチルが存在しないことをTLCで確認する。反応塊を250mlの氷水に投入する。トルエン層を分離する。水層を25mlのトルエンで再び抽出する。トルエン層を回収し、水(50ml)で3回洗浄する。トルエン層を蒸留除去して、橙−赤色の油状塊を得る。カラムクロマトグラフィーにより、95mgの(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル[X;RはMeである]が得られる。
【0027】
(c)(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチルの調製[X;RはMeである]
撹拌機、温度計を装備した100mlの栓付三口丸底フラスコにおいて、カリウムtertブトキシド(10.03g、0.089mol)を窒素雰囲気下で5〜10℃にて20mlの二塩化エチレンと共に撹拌する。({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチル(5g、0.019mol)を20mlの二塩化エチレンに溶解させた溶液を5〜10℃で1時間にわたって添加する。5〜10℃で3時間維持する。({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチルが存在しないことをTLCで確認する。反応塊を氷冷したHCl水溶液(200mlの水中の30%HClを50ml)に投入する。二塩化エチレン層を25〜30℃で分離する。水層を100mlの酢酸エチルで抽出する。両有機層を一緒にする。有機層を蒸留して、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル[X;RはMeである]を橙−赤色の油状塊として得る。収量=4gm(収率=97%)
【0028】
(d)(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチルの調製[X;RはMeである]
撹拌機、温度計、氷浴を装備した250mlの栓付三口丸底フラスコにおいて、ナトリウムメトキシド(6.5g、0.12mol)を窒素雰囲気下で5〜10℃にて50mlのジクロロエタンと共に撹拌する。({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチル(10g、0.039mol)を50mlのジクロロエタンに溶解させた溶液を、上記溶液に5〜10℃で1時間にわたって添加する。5〜10℃で3時間攪拌する。({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチルが存在しないことをTLCで確認する。反応塊を氷冷した(0〜5℃の)100mlの15%塩酸水溶液に投入する。反応塊の温度を25〜30℃まで昇温させる。有機層を分離する。水層を50mlの酢酸エチルで抽出する。両有機層を一緒にし、蒸留除去して、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル[X;RはMeである]を橙−赤色の油として得る。
収量=8gm(収率=97%)
【0029】
(e)(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチルの調製[X;RはMeである]
撹拌機、氷浴、滴下漏斗および温度計を装備した500mlの三口丸底フラスコにおいて、({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチル(15.0g、0.059mol)を塩化メチレン(150ml)に溶解させ、10℃まで冷却する。ナトリウムメトキシド(9.68g、0.179mol)を30mlのメタノールに溶解させた溶液を8〜12℃で窒素雰囲気下で1時間にわたって反応塊に添加する。温度を1時間にわたって8〜12℃に維持する。({[(エトキシカルボノチオイル)チオ]アセチル}アミノ)酢酸メチルが存在しないことをTLCで確認する。反応塊を冷却した5〜10℃のリン酸溶液(40mlの水に対して15mlのH3PO4)に投入する。反応塊に対して、100mlの水を5〜10℃で充填する。温度を25〜30℃まで上昇させる。有機層を分離する。水層を酢酸エチル(75ml)で抽出する。有機層を一緒にし、有機層を蒸留除去して、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル[X;RはMeである]を橙−赤色油として得る。
収量=12g(収率=97%)
【0030】
実施例5
(a)(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸[II]の調製
撹拌機、凝縮器、温度計、油浴を装備した100mlの三口丸底フラスコにおいて、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル(8g、0.038mol)を、25mlの酢酸と20mlの25%硫酸溶液との混合物と共に還流温度で2時間撹拌する。20mlの33%酢酸水溶液を反応塊に添加する。還流を21時間維持する。(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチルが存在しないことをTLCで確認する。反応塊を冷却した水に投入する。水層を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を蒸留除去し、20mlのヘキサンで滴定して、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸[II]を黄色生成物として得る。
収量=4gm(収率=53.7%)
【0031】
(b)(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸[II]の調製
撹拌機、温度計、凝縮器および油浴を装備した250mlの栓付三口丸底フラスコにおいて、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル(28g、0.1364mol)を48%のHBr水溶液(60ml)と共に還流させながら4時間撹拌する。(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチルが存在しないことをTLCで確認する。反応塊を冷却した水に投入する。水層を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を蒸留除去して、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸[II]を暗赤色の生成物として得る。
収量=19gm(収率=72.8%)
【0032】
(c)(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸[II]の調製
撹拌機、温度計、凝縮器および油浴を装備した100mlの栓付三口丸底フラスコにおいて、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル(8g、0.038mol)を、32mlの酢酸と32mlの塩酸との混合物と共に還流温度で40時間撹拌する。(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチルが存在しないことをTLCで確認する。反応塊を氷水に投入する。反応塊を酢酸エチルで抽出する。有機相を蒸留除去して、油状塊を得て、それをヘキサンで滴定して、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸[II]を黄色固体として得る。
収量=3.3gm(収率=44%)
【0033】
(d)(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸[II]の調製
撹拌機、温度計、凝縮器および油浴を装備した250mlの三口丸底フラスコにおいて、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル(10g、0.048mol)を30%塩酸水溶液(70ml)と共に還流温度で15時間撹拌する。(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチルが存在しないことをTLCで確認する。反応塊をDM水で急冷する。水層を酢酸エチルで抽出する。有機層を回収し、それを蒸留除去して、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸[II]を油状塊として得て、それをヘキサンで滴定して、黄色の生成物を得る。
収量=7gm
【0034】
(e)(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸[II]の調製
温度計、撹拌機、油浴、凝縮器を装備した100mlの三口丸底フラスコにおいて、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸メチル(12g、0.058mol)を、10mlの85%H3PO4の溶液と40mlの水の混合溶液と共に還流温度で50時間撹拌する。出発材料の完了についてTLCを確認し、反応塊を氷水に入れて急冷する。反応塊を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、酢酸エチルを蒸留除去し、高真空にして、油状塊を得て、それをヘキサンで滴定して、(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸[II]を黄色の生成物として得る。
収量=4gm

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(4−オキソ−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−3−イル)酢酸を式:
【化1】

(式中、Rは、C18アルキル、ベンジル、シクロアルキル、C16アルキレン、フェニル、置換フェニル等である)の化合物から調製する方法であって、
該化合物は、式:
【化2】

(式中、R1は、C14アルキル、ベンジル、C1〜C8シクロアルキル、フェニル等であり、Rは、上記定義の通りである)の化合物の塩基触媒分子内環化によって調製され、使用される塩基は、C14アルカリ金属アルコキシドまたは三級アミン塩基であり、
式IXの化合物は、式:
【化3】

(式中、Yは、Cl、Br、I、OTs、OMsであり、Rは、上記定義の通りである)の化合物と、式:
【化4】

(式中、Mは、K、NaまたはLi、好ましくはKであり、RおよびR1は、上記定義の通りであり、YはCl、Br、OTs、OMsである)の化合物との反応によって調製される、上記の方法。
【請求項2】
YはClであり、RはMeであり、R1はEtであり、MはKである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
VIIIAとVIIIの反応が水性媒体中で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(a)トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU DBNのような三級アミン;
NaOMe、NaOEt、ナトリウムまたはカリウムイソプロポキシド、ナトリウムまたはカリウムtertブトキシドのようなアルコキシド塩基群から選択され、好ましい塩基はNaOMeである、式IXの化合物を式Xの化合物に変換するために使用される塩基。

【公表番号】特表2009−528978(P2009−528978A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548043(P2008−548043)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003790
【国際公開番号】WO2007/074390
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(508192430)
【出願人】(508192692)
【出願人】(508192706)
【出願人】(508192717)
【出願人】(508192728)
【出願人】(508192739)
【出願人】(508192740)
【Fターム(参考)】