説明

エルボ装置

【課題】 案内筒接続部と案内筒との着脱操作を簡易に行い得、管接続が強固で漏水のおそれが無く、トラップの分解清掃を簡易に実施し得るエルボ装置を提供する。
【解決手段】 案内筒接続部12を備えるエルボ本体1と、案内筒3を内装する排水トラップ本体4と、この案内筒3と案内筒接続部12との管接続状態をロックするロック手段2とからなり、ロック手段2は案内筒接続部12の外周に配備され、裾広がり状の下周部21Bと案内筒接続部12との間に案内筒3の上周部が嵌入する嵌合溝21eを設けると共に、裾広がり状の下周部21Bに案内筒3の上周部に設けた係合受け部31aに対応する係合部21dを備える袴状フラップ21と、この袴状フラップ21に対し外嵌し且つ昇降可能に配備され、ロック時に降下して裾広がり状の下周部21Bを内方向へ押圧し、上記係合部21dと係合受け部31aとの係合をロックするリング状ロック部23とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エルボ装置、例えば洗濯機の排水を防水パンの排水トラップに導水するのに使用されるエルボ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機の排水を排水トラップに導水するエルボとして、図8に示すようなものが一般的に使用されている。
【0003】
このエルボ1は、所謂L字型管継手で、一方に洗濯機の排水ホースに接続するホース接続部11、他方に排水トラップ4の案内筒(消泡管)3に接続する案内筒接続部12を備えている。
【0004】
図8で示すように、防水パンの床面に埋設状に配備される排水トラップは、上開口有底の排水トラップ本体4内に内筒42を嵌入し、この内筒42内にラッパ筒43並びにラッパ筒43の下部を嵌入する案内筒(消泡管)3を嵌挿配備している。案内筒3の上部は、トラップ本体4の上開口面に配備される目皿41より上方へ臨出している。そして、上記エルボ1の案内筒接続部12が、案内筒3の上部に内嵌されている。
【特許文献1】特開2006−97408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記エルボでは、案内筒接続部が排水トラップの案内筒に対し、単に挿し込み状に嵌挿する構成となっている。
このため、排水時の強い水流と震動とに起因して、この接続が外れ漏水するおそれがあった。
【0006】
そこで、近年は、図8で示すように、案内筒3の上周部の内面に内方向へ突出する固定用突条33を膨出配備している。この場合、案内筒接続部12は固定用突条33によって内径が縮小された分、緊密に嵌着される反面、エルボと案内筒との着脱作業が極めて困難となる不利がある。
【0007】
更に、エルボと案内筒との挿脱は床面に対し上下方向へ抜き挿しする構成であるため、緊密に嵌着固定されたエルボを外すには、上方向への十分な空間が要求される。ところが、この上方には大重量で容易には動かし難い洗濯機が存在する。この結果、排水トラップの分解清掃を行い難い不利があった。
【0008】
この発明は、以上のような課題を解消させ、案内筒接続部と案内筒との着脱操作を簡単容易に行い得る許かりでなく、管接続が強固で、且つ漏水のおそれが無く、しかも排水トラップの分解清掃を簡易に実施し得る衛生的で使い勝手の良いエルボ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】

この目的を達成させるために、この発明のエルボ装置では、次のような構成としている。
【0010】
エルボ装置は、案内筒接続部を備えるエルボ本体と、案内筒を内装する排水トラップ本体と、この案内筒と案内筒接続部との管接続状態をロックするロック手段とからなり、ロック手段は案内筒接続部の外周に配備され、裾広がり状の下周部と案内筒接続部との間に案内筒の上周部が嵌入する嵌合溝を設けると共に、裾広がり状の下周部に案内筒の上周部に設けた係合受け部に対応する係合部を備える袴状フラップと、この袴状フラップに対し外嵌し且つ昇降可能に配備され、ロック時に降下して裾広がり状の下周部を内方向へ押圧し、上記係合部と係合受け部との係合をロックするリング状ロック部とから成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有するエルボ装置では、裾広がり状の下周部と案内筒接続部との間の嵌合溝に案内筒を嵌着し、この嵌着状態で係合部と係合受け部とを係合させ、且つこの係合状態を昇降するリング状ロック部で固定することとしたから、案内筒は開口幅の大きい嵌合溝に対し容易に挿脱させ得る。
【0012】
しかも、嵌合溝に嵌着した状態の案内筒と裾広がり状下周部とは、対応する係合部と係合受け部とが係合し、且つリング状ロック部によって、この係合状態が強力に固定され、意に反する嵌合脱落や漏水のおそれが解消される。
【0013】
更に、リング状ロック部は、単に操作部を回動させるだけで昇降動して裾広がり下周部を内方向への締め付け、及びこの締め付け解除を行い得る。従って、ロック及びロック解除の操作が簡単且つ容易である。
【0014】
しかも手指を挿入し得る僅かな隙間空間でロック操作が実行できるから、重量のある洗濯機を移動させる必要がなく、排水トラップの分解清掃を容易に実行し得る等、発明目的を達成した優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明に係るエルボ装置の具体的な実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、エルボ装置の分離斜視図である。
【0017】
エルボ装置は、エルボ本体1と、排水トラップの案内筒(消泡管)3と、ロック手段2とから成る。
【0018】
エルボ本体1は、比較的軟質な樹脂製で、一方にホース接続部11と他方に案内筒接続部12とを備えるL字状の管継手である。図4で示すように、このエルボ本体1の案内筒接続部12が排水トラップ本体4の案内筒(消泡管)3に嵌着してエルボ本体1と排水トラップ本体4とが接続される。
【0019】
上記案内筒3は、基端部32に載せ置部32aを周設し、排水トラップ本体1の内筒に嵌入配備してある。この状態で、案内筒3の上周部31は排水トラップ本体41の開口上面の目皿41より上方に臨出している。
【0020】
また、この案内筒3の上周部31の外面には、一周する凹み状の係合受け部31aが設けてある。この凹み部(係合受け部)31aが、後述する袴状フラップ21の係合部21dに対応して係合する。
【0021】
前記ロック手段2は、エルボ本体1のコーナー部13に配備してある。
ロック手段2は、案内筒接続部12の上方に配備される袴状フラップ21と、エルボ本体1のコーナー部13より突設される回動軸22aに取り付けされた回動操作部22と、この回動操作部22の偏心突軸22cに固定され、袴状フラップ21の外周を一周するリング状ロック部23とから構成される。
【0022】
袴状フラップ21は、筒状の上周部21aと上周部21aに連続する裾広がり状の下周部21Bとから成るラッパ状の筒体である。この上周部21aは、案内筒接続部12の上周面の外側に一体に嵌着している。
【0023】
裾広がり状の下周部21Bは、切欠部21cを介して分離する柔軟性を有する4枚のフラップ片21bを円陣状に配列して構成している。各フラップ片21bは、下方へ外広がり状に設定し、且つ下部に向けて漸次肉厚に設定し、この下端肉厚部を上記係合受け部31aに対応する係合部21dとしている。
【0024】
上記4枚のフラップ片21bで構成される袴状フラップ21の下周部21Bには、案内筒接続部12との間に、案内筒3の上周部31が容易に嵌合し得る開口幅の大きい嵌合溝21eが設けてある。
【0025】
前記回動操作部22は、コーナー部13の上方を囲むようなアーチ型アーム22eの下部にカム板22bが一体に取付けられ、このカム板22bが回動軸22aに回動可能に配備されている。
【0026】
上記リング状ロック部23は、左右一対の垂直アーム23aと垂直アーム23aの下端に連続する押圧リング23cとから成る。
【0027】
垂直アーム23aの上部が、前記偏心突軸22cに嵌着固定され、下方の押圧リング23cを常態において、袴状フラップ21の上周部21aに対応する位置に外嵌め状に吊り下げ配備している。
【0028】
この押圧リング23cは、回動操作部(アーチ型アーム22e)22の回動操作により、袴状フラップ21の上周部21aからフラップ片21b下端までの距離を昇降動する。
【0029】
尚、図2及び図3で示すように、押圧リング23cの上部内面には、内向きの係合突子23dが突設され、一方、案内筒接続部12の上周部21aには、この係合突子23dが嵌入する案内溝21fが設けられ、押圧リング23cのスムーズな昇降動を企図している。
【0030】
このような構成を有するエルボ装置では、回動操作部22すなわちアーチ型アーム22eを起立させた状態においては、リング状ロック部23すなわち押圧リング23cは袴状フラップ21の上周部21a上に位置している。
【0031】
いま、図2で示すように、案内筒3の上周部31を嵌合溝21eに嵌合する。嵌合溝21eは、フラップ片21bにより開口間口が大きい。従って、案内溝21eの嵌脱が容易である。
【0032】
案内筒3の先端部31bが嵌合溝21e底に突き当たったとき、フラップ片21bの係合部(肉厚部)21dと、係合受け部(凹み部)31aとが対向している。従って、案内筒3と案内筒接続部12とは抜き挿し自由状態にある。
【0033】
図3及び図4で示すように、回動操作部22の起立状態にあるアーチ型アーム22eを、ホース接続部11側へ回動(伏倒)させると、リング状ロック部23すなわち押圧リング23cが裾広がり状の下周部21B、つまりフラップ片21b上へ降下する。
【0034】
これにより、裾広がり状のフラップ片21bは、切欠部21c幅が狭まり、径が縮小する。そして、押圧リング23cの押圧を受けて対向していた係合部21dと係合受け部31aとが係合する。更に、押圧リング23cはロック解除、つまり押圧リング23cが上昇するまで、この係合状態を押圧固定する。
【0035】
一方、このロック状態(図3状態)から、アーチ型アーム22eを回動(起立)させると、押圧リング23c が上昇し、押圧リング23cの押圧から開放されたフラップ片21bが裾広がり状に復帰する。これにより、上記係合状態も解除され、案内筒3と案内筒接続部12とは自由な抜き挿し状態となる(図2参照)。
【0036】
図5は、係合部と係合受け部の他の実施の形態を示す説明断面図である。この実施の形態では、フラップ片21bの肉厚を等しくし、且つ先端を直角に屈曲させたカギ状係合部21fとしている。また、案内筒3側の係合受け部も案内筒3の上周縁にカギ状係合受け部31cを設けている。この場合、一層、強固な係合状態が得られる。
【0037】
図6は、係合部と係合受け部の更に他の実施の形態を示す説明断面図である。この実施の形態では、フラップ片21bの内面に凹み状の溝条21gを設けて係合部とし、案内筒3の上周部31に係合部21gに対応する突条31dを設けて係合受け部に設定している。
【0038】
図7は、ロック手段2の回動操作部22とリング状ロック部23とを兼用させた実施の形態を示している。つまり、この実施の形態では、案内筒接続部12の上部、すなわちハカマ状フラップ21の上周部21aの外面にネジ部21hを設けると共に、押圧リング23cの内面にネジ部21hに螺合する歯23eを設けた例を示している。この実施の形態の場合、押圧リング23cを回動するとそれ自体、つまり押圧リング23cが昇降動する。従って、回動操作部22を省略し得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態のエルボ装置を示す分離斜視図である。
【図2】ロックを解除した状態を示す要部断面の説明図である。
【図3】ロック状態を示す要部断面の説明図である。
【図4】エルボと案内筒の接続をロックした状態を示す側面図である。
【図5】係合部と係合受け部との他の実施の形態を示す説明図である。
【図6】係合部と係合受け部との更に他の実施の形態を示す説明図である。
【図7】回動操作部を省略したロック手段の他の実施の形態を示す説明図である。
【図8】現在、一般に使用されている従来例のエルボを示す説明断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 エルボ本体
2 ロック手段
3 案内筒
4 排水トラップ本体
11 ホース接続部
12 案内筒接続部
13 コーナー部
21 袴状フラップ
22 回動操作部
21 枠体状フック部
22 枠体状フック部
23 リング状ロック部
21a 上周部(袴状フラップの上周部)
21B 裾広がり状の下周部
21d 係合部
22e アーチ型アーム
23c 押圧リング
31a 係合受け部
41 目皿


【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内筒接続部を備えるエルボ本体と、案内筒3を内装する排水トラップ本体と、この案内筒と案内筒接続部との管接続状態をロックするロック手段とからなり、ロック手段は案内筒接続部の外周に配備され、裾広がり状の下周部と案内筒接続部との間に案内筒の上周部が嵌入する嵌合溝を設けると共に、裾広がり状の下周部に案内筒の上周部に設けた係合受け部に対応する係合部を備える袴状フラップと、この袴状フラップに対し外嵌し且つ昇降可能に配備され、ロック時に降下して裾広がり状の下周部を内方向へ押圧し、上記係合部と係合受け部との係合をロックするリング状ロック部とから成るエルボ装置。
【請求項2】
前記袴状フラップは、案内筒接続部の上周部に一体に外嵌する筒状上周部と、筒状上周部に連続する裾広がり状の下周部とからなり、裾広がり状下周部は切欠部を介して複数枚のフラップ片が外広がり状に配備されてなることを特徴とする請求項1記載のエルボ装置。
【請求項3】
前記リング状ロック部は、袴状フラップの上周部に外嵌する押圧リングの垂直アーム上端を、エルボ本体のコーナー部に配備された回動操作部を構成するカム板の偏心軸に固定してなり、回動操作部の回動操作で押圧リングが昇降動するものであることを特徴とする請求項1記載のエルボ装置。
【請求項4】
前記袴状フラップの上周部外面にネジ部をもうけ、このネジ部に螺合する歯をリング状ロック部を構成する押圧リングの内面に設けることで、リング状ロック部に回動操作機能を兼用させたものであることを特徴とする請求項1記載のエルボ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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