説明

エレベータ表示装置

【課題】構造が簡単で薄く、安価で、視認性の良い立体的な表示ができるエレベータ表示装置を提供する。
【解決手段】エレベータ表示装置は、開口を有し、上記開口をエレベータのかご室あるいは乗場に望ませて、壁面に取り付けられるフレームボックスと、上記開口に面して設けられ、表示すべき文字あるいは記号を有する表示板と、上記表示板に光を照射する発光体と、上記表示板と上記開口との間に設けられ、上記表示板からの光を反射させて上記表示板の鏡像を形成させる反射型面対称結像素子とを備えている。
【効果】構造が簡単で薄く、安価で、視認性の良い立体的な表示ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗場およびかごにおいて各種表示を行うためのエレベータ表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ表示装置としては、エレベータのかご内あるいは乗場の壁面に、一側面に開口部を有する表示灯ボックス内に発光体を設け、開口部側に表示すべき情報を表す文字や記号等が付された照光体を設け、発光体の光で照光体を裏から照射して情報をエレベータのかご内あるいは乗り場に向けて表示するものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、鏡に映った映像を空中に立体的に結像させる光学素子として、光を屈曲させつつ透過させて面対称位置へ実像の結像作用を持つ光線屈曲面と、当該光線屈曲面に向けて配置される鏡面とを具備し、光線屈曲面を挟んで鏡面とは反対側である観察側に配置した被投影物の像を、当該被投影物から発せられる光が光線屈曲面を透過して鏡面に反射し更に光線屈曲面を透過することによって、鏡面の光線屈曲面に対する面対称位置に移動させた実体のない仮想鏡に映した位置に結像させる反射型面対称結像素子が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−182468号公報
【特許文献2】特開2008−158114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているようなエレベータ表示装置においては、照光体をフェイスプレートから突出させたり、照光体の裏面に文字あるいは記号を彫り込んだり、多数の細いラインを描くなどして立体感を出して視認性をよくする一方、発光体として冷陰極蛍光ランプを用いるなどして表示装置の厚さ寸法を小さくしようとしている。
【0006】
しかしながら、立体感を持たせるために照光体の裏面に文字や記号を彫込むため、製作が困難でコスト高となる。また、厚さが十分に小さくできないため近年の薄型化の要求を必ずしも満足させることができない。
【0007】
従ってこの発明の目的は、構造が簡単で薄く、安価で、視認性の良い立体的な表示ができるエレベータ表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のエレベータ表示装置は、開口を有し、上記開口をエレベータのかご室あるいは乗場に望ませて、壁面に取り付けられるフレームボックスと、上記開口に面して設けられ、表示すべき標識パターンを有する表示板と、上記表示板に光を照射する発光体と、上記表示板と上記開口との間に設けられ、上記表示板からの光を反射させて上記表示板の鏡像を形成させる反射型面対称結像素子とを備えたことを特徴とするエレベータ表示装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明のエレベータ表示装置によれば、構造が簡単で薄く、安価で、視認性の良い立体的な表示ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明のエレベータ表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】図1のエレベータ表示装置の表示板を示す概略平面図である。
【図3】図1のエレベータ表示装置に用いられている反射型面対称結像素子を示す概略平面図である。
【図4】図3の円Aで囲んだ部分の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明のエレベータ表示装置の一実施形態を示す概略断面図であり、図2は図1のエレベータ表示装置の表示板を示す概略平面図であり、図3は図1のエレベータ表示装置に用いられている反射型面対称結像素子を示す概略平面図であり、図4は図3の円Aで囲んだ部分の拡大斜視図である。
【0013】
エレベータ表示装置は、エレベータのかご室あるいは乗場の壁1に形成された壁開口2に取り付けられて、かご室あるいは乗場に望ませて配置された開口3を持つフレームボックス4と、フレームボックス4内で開口3に面して設けられ、表示すべき文字、記号および図形を含む標識パターン5を有する表示板6と、フレームボックス4内に設けられて表示板6に光を照射する発光体7と、フレームボックス4内で表示板6と開口3との間に設けられ、表示板6からの光を反射させて表示板6の鏡像8を形成させる反射型面対称結像素子9とを備えている。
【0014】
フレームボックス4は開口3を壁開口2内に嵌合させて、フランジ10によってネジ11で壁1の裏面に取り付けられていて、その底部内側に発光体7が取り付けられている。フレームボックス4の内部には開口3に近い部分に取付タブ12が設けられていて、この取付タブ12の図1で下面に遮光カバー13が取り付けられていて、遮光カバー13の内部には表示板6が取りつけられている。取付タブ12の図1で上面には反射型面対称結像素子9と、透明板14とが乗せられていて、開口3の部分を覆うフェイスプレート15が設けられている。フェイスプレート15の裏面からは、透明板14、反射型面対称結像素子9、取付タブ12よび遮光カバー13を貫通するボルト16が延びていて、ナット17によって締結されている。このように、表示板6、発光体7および反射型面対称結像素子9だけでなく、遮光カバー13、透明板14およびフェイスプレート15もすべてフレームボックス4によって支持されており、フレームボックス4はフランジ10とネジ11によって乗場の壁1に取りつけられている。
【0015】
表示板6は、図2に示すような、透明あるいは半透明の板部材に矢印などの文字、記号および図形を含むパターンである標識パターン5が描かれた光透過型のものであり、背後に設けられた発光体7からの光による照射を受けて光を透過させ、反射型面対称結像素子9を通して、表示板6すなわち表示板6上の標識パターン5の鏡像8が乗場の壁1から離れた位置に形成される。
【0016】
反射型面対称結像素子9は、基板20に内面が反射鏡面になっている多数の微少な貫通穴21が一面に設けられた板状部材であり、貫通穴21は、ほぼ正方形断面の角柱状であり、内壁が鏡面処理されて、互いに隣接して直交する2つのマイクロミラー22および23で構成された2面コーナーリフレクター24を備えた光学素子である。
【0017】
この発明の目的に使用できる反射型面対称結像素子9としては、例えば、特開2008−158114号公報に記載されている公知の光学素子である。図3および4に示す例では、反射型面対称結像素子9は、厚さが例えば100ミクロンの基板20に内面が反射鏡面になっている多数の微少な貫通穴21が一面に設けられたものである。貫通穴21は、1辺が例えば100μmの正方形断面の角柱状であり、互いに平行に例えば50μm間隔で配置されている。この貫通穴21の内壁には鏡面処理が施され、鏡面処理されて互いに隣接して直交する2つの内壁がマイクロミラー22および23となり、一方向を向くように配列された多数の2面コーナーリフレクター24が構成されている。
【0018】
このような反射型面対称結像素子9の背後に標識パターン5を持つ表示板6を設置して発光体7によって照明することにより、そこから発する光が貫通穴21を通過する際にマイクロミラー22および23で2回反射されて鏡像8が作られるので、正面側から反射型面対称結像素子9を見ると背後の表示板6すなわち矢印等の標識パターン5が浮き上がって見え、立体感を出すことができ、視認性が高くなって注意喚起性が向上でき、意匠上も優れたものとなる。従って、従来奥行きを持たせて立体的に見せるために突出させることが必要であった表示板6の厚さを小さくすることができ、薄型化、材料費削減が図れる。また、表示板6の裏面に立体感を持たせるために彫り込んでいた凹型の矢印マークも必要がなく、作業時間およびコストの削減が図れる。
【0019】
このようなエレベータ表示装置は、運行表示灯、呼びボタン、方向階床表示灯、などとして使用すると特にその効果が発揮できる。かご内の操作盤等に搭載されている運行表示灯として使用すれば、2方口のエレベータでドアが開く際にどちらのドアが開くかを知らせるときや、火災、停電、地震等の災害時などの、注意喚起を目的として使用することができる。また、エレベータ表示装置は、かご内の操作盤等に搭載されている階床登録ボタンに適用し、ボタンを押下して階床登録を行い、登録されたボタンはその階床に到着するまで点灯が維持されるようにすることができる。さらに、エレベータ表示装置は、かご内や乗場設置されていて、かごの走行方向や現在通過している階床についての情報等を提供するインジケータについても適用可能である。
【0020】
以上に図示して説明したエレベータ装置は単なる例であって様々な変形が可能であり、またそれぞれの具体例の特徴を全てあるいは選択的に組み合わせて用いることもできる。例えば、標識パターン5を持つ表示板6を光を透過しない光反射型表示板とし、発光体7は表示板6と反射型面対称結像素子9との間に配置して、標識パターン5の鏡像8が表示板6からの反射光により形成されるようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明はエレベータ表示装置として利用できるものである。
【符号の説明】
【0022】
1 壁、2 壁開口、3 開口、4 フレームボックス、5 標識パターン、6 表示板、7 発光体、8 鏡像、9 反射型面対称結像素子、10 フランジ、11 ネジ、12 取付タブ、13 遮光カバー、14 透明板、15 フェイスプレート、16 ボルト、17 ナット、20 基板、21 貫通穴、22、23 マイクロミラー、24 2面コーナーリフレクター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し、上記開口をエレベータのかご室あるいは乗場に望ませて、壁面に取り付けられるフレームボックスと、
上記開口に面して設けられ、表示すべき標識パターンを有する表示板と、
上記表示板に光を照射する発光体と、
上記表示板と上記開口との間に設けられ、上記表示板からの光を反射させて上記表示板の鏡像を形成させる反射型面対称結像素子と
を備えたことを特徴とするエレベータ表示装置。
【請求項2】
上記フレームボックスが上記表示板、上記発光体および上記反射型面対称結像素子を支持していることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ表示装置。
【請求項3】
上記表示板が光透過型表示板であり、上記鏡像が、上記表示板の透過光により形成されることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のエレベータ表示装置。
【請求項4】
上記表示板が光反射型表示板であり、上記鏡像が、上記表示板の反射光により形成されることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のエレベータ表示装置。
【請求項5】
上記反射型面対称結像素子は、基板に内面が反射鏡面になっている多数の微少な貫通穴が一面に設けられ、上記貫通穴は、ほぼ正方形断面の角柱状であり、内壁が鏡面処理されて、互いに隣接して直交する2つのマイクロミラーで構成された2面コーナーリフレクターを備えたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレベータ表示装置。
【請求項6】
上記反射型面対称結像素子が透明板で覆われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレベータ表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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