エンジンの冷却システム
【課題】 内燃機関の暖機性能を向上させ、各熱交換器への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御可能な冷却システムを提供する。
【解決手段】 本発明は、エンジン内の冷却通路を通過しラジエータが介装されるラジエータ通路を通過した後再び冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させるエンジンの冷却システムであって、冷却媒体の一部が導かれ、介装される補機用熱交換器を通過させた後冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路が少なくとも1つ配設されると共に、一端がラジエータに接続され他端が補機用熱交換器に接続される通路が設けられ、冷却媒体の温度に応じて熱応動する熱応動素子により駆動される弁体を含んで構成されるサーモスタットが、ラジエータへの冷却媒体の流入を制御すると共に、補機用熱交換器を通過させた後冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路と、前記補機用熱交換器に接続される通路と、を要求に応じて切替え制御する。
【解決手段】 本発明は、エンジン内の冷却通路を通過しラジエータが介装されるラジエータ通路を通過した後再び冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させるエンジンの冷却システムであって、冷却媒体の一部が導かれ、介装される補機用熱交換器を通過させた後冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路が少なくとも1つ配設されると共に、一端がラジエータに接続され他端が補機用熱交換器に接続される通路が設けられ、冷却媒体の温度に応じて熱応動する熱応動素子により駆動される弁体を含んで構成されるサーモスタットが、ラジエータへの冷却媒体の流入を制御すると共に、補機用熱交換器を通過させた後冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路と、前記補機用熱交換器に接続される通路と、を要求に応じて切替え制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの冷却媒体を循環させる冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の冷却システムとして、例えば、特許文献1には、暖機時間を短縮でき、かつ、暖機終了後にEGR(Exhaust Gas Recirculation)クーラを充分冷却することができるようにしたエンジンの冷却水回路が記載されている。
そして、特許文献1に記載のエンジンの冷却水回路には、図14に示すように、通常の内燃機関に備えられるサーモスタット10やウォーターポンプ11の他に、第1電磁バルブ27、第2電磁バルブ28、第3電磁バルブ29などの複数の電磁バルブや電動ポンプ35が備えられると共に、これらを電気的に制御するための制御手段31やエンジン出口水温を検出する水温検出手段30などが備えられている。
【特許文献1】特開2007−263034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、上述したように、通常の内燃機関(エンジン)の冷却水回路に備えられるサーモスタット10やウォーターポンプ11の他に、複数の電磁バルブ26〜29や電動ポンプ35、制御手段31、水温検出手段30などが必要とされる構成であるため、製品コストが嵩むといった実情がある。
【0004】
また、上述のように複数の構成要素が冷却水回路に配設されると共に、冷却水回路も複雑な回路となっているため、システム全体が大型化すると共に複雑化し、小型軽量化が困難であり、車両への搭載レイアウト等の自由度に対する制限も大きくなるといった実情がある。
【0005】
更に、複数の電磁バルブ27〜29の開閉動作や電動ポンプ35のオンオフ動作によって冷却水が流れる冷却水通路を切り換える制御が行われるだけであり、開閉動作やオンオフ動作といった切り換え制御だけでなく冷却水通路を流れる冷却水の連続的な流量制御を行うことについての考慮がなされていないといった実情がある。
【0006】
また、特許文献1に記載のものは、EGRクーラを熱交換器とした場合に特化した制御・作動形態であり、多様性に乏しく、例えば、ATF(Automatic Transmission Fluid)クーラ、オイルクーラ、インタークーラなどの他の熱交換器或いは複数の熱交換器を備えた冷却水システムに適用しようとした場合には採用し難い場合が想定されるといった実情がある。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、小型軽量で簡単かつ安価な構成でありながら、内燃機関の暖機性能を向上させることができると共に、各熱交換器への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御することができるエンジン(内燃機関)の冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明に係るエンジンの冷却システムは、
エンジン内の冷却通路を通過しラジエータが介装されるラジエータ通路を通過した後再び冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させるエンジンの冷却システムであって、
前記冷却媒体の一部が導かれ、介装される補機用熱交換器を通過させた後、当該冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路が少なくとも1つ配設されると共に、
一端が前記ラジエータに接続され、他端が前記補機用熱交換器に接続される通路が設けられ、
冷却媒体の温度に応じて熱応動する熱応動素子により駆動される弁体を含んで構成されるサーモスタットが、
前記ラジエータへの冷却媒体の流入を制御すると共に、
前記補機用熱交換器を通過させた後、当該冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路と、前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路と、を要求に応じて切替え制御する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路において、一端がラジエータより下流側に接続され、他端が熱交換器より上流に接続されることを特徴とすることができる。
【0010】
本発明は、前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路において、一端がラジエータより上流側に接続され、他端が熱交換器より下流に接続されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型軽量で簡単かつ安価な構成でありながら、内燃機関の暖機性能を向上させることができると共に、各熱交換器への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御することができるエンジンの冷却システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係るエンジン(内燃機関)の冷却システムの実施例を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施例により、本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1に係る内燃機関1の冷却水システムは、図1に示すように、例えば自動車等に搭載される或いは定置式のエンジン1などに採用される(ガソリン、軽油、アルコール等の他、種々の雑燃料を燃料とする内燃機関や外燃機関などの熱機関の他、動力等を取り出さない燃焼装置の冷却回路や燃料電池のセル冷却回路などの冷却システムにも本発明は適用可能である)。
【0014】
図1に示したように、エンジン1にはクランク軸等により駆動されるメカニカル駆動のウォータポンプ2がエンジン1の内部の冷却通路(図示せず)の入口側に接続され、エンジン1の内部の冷却通路の出口側には、サーモスタット100が配設され、当該サーモスタット100には、エンジン1の冷却水の放熱用の熱交換器であるラジエータ3が介装されウォータポンプ2に接続されるラジエータ通路200が接続されると共に、ヒータシステム用の熱交換器であるヒータコア4が介装されウォータポンプ2に接続されるヒータコア通路300が接続されている。
【0015】
また、サーモスタット100には、前記ラジエータ3をバイパスしウォータポンプ2に接続されるバイパス通路400が接続されている。
更に、本実施例では、エンジン1の内部の冷却通路の出口側に、EGRガスの冷却用の熱交換器であるEGRクーラ5が介装されウォータポンプ2に接続されるEGRクーラ通路500が接続されると共に、当該EGRクーラ通路500にはエンジンオイルやトランスミッションオイル等の冷却用の熱交換器であるオイルクーラ6が介装されウォータポンプ2に接続されるオイルクーラ通路600が接続されている。
【0016】
加えて、本実施例においては、ラジエータ通路200を通過後に分岐される分岐通路210が配設され、当該分岐通路210は、EGRクーラ5の冷却水流れの上流側に接続される通路510と、オイルクーラ6の冷却水流れの上流側に接続される通路610と、に分岐されている。
【0017】
ここで、本実施例において用いられるサーモスタット100は、従来のサーモスタットと同様の構成であり、例えば図4に示すように、内部にサーモエレメント180(熱応動素子)の温度感知部181側を収容するハウジング部101を備えて構成されている。また、サーモエレメント180のピストンロッド181aを支持する支持部102と、前記ラジエータ通路200が接続されるラジエータ側接続部120と、が備えられている。
【0018】
前記ハウジング部101には、ウォータポンプ2の出口側(すなわち、エンジン1の内部の冷却通路の出口側)に接続されるエンジン側接続部110と、前記ヒータコア通路300に接続されるヒータコア通路接続部130と、前記バイパス通路400に接続されるバイパス通路接続部140が設けられている。
【0019】
ここで、サーモエレメント180は、ハウジング部101内の冷却水の温度を感知して膨張収縮するワックス等の熱膨張体を内封した温度感知部181を備え、この温度感知部181から、当該温度感知部181内部の熱膨張体の熱膨張収縮に応じて図2中上下方向に沿って伸縮するピストンロッド181aが突出している。
【0020】
このピストンロッド181aの一端(図2中上端)部は前記支持部102に支持されており、他端側は前記温度感知部181に収容されている。
【0021】
前記温度感知部181には、ピストンロッド181a側に当該温度感知部181と略一体的にスプリングシート182が取り付けられており、当該スプリングシート182は前記ラジエータ側接続部120側と前記ハウジング部101の内部とを連通或いは遮断する弁としての機能を奏することが可能な弁形状を有して構成されている。
【0022】
また、前記ハウジング部101(前記支持部102)と略一体的なスプリングシート103が前記スプリングシート182に対向して設けられており、スプリングシート103と前記スプリングシート182との間には、前記スプリングシート182を閉弁側(図2上方)に付勢するコイルスプリング185が配設されている。
【0023】
なお、本実施例に係るサーモスタット100の前記温度感知部181の下端部には、図2中下側にロッド183が延在している。
【0024】
当該ロッド183の下端部にはスプリングシート184が取り付けられている。このスプリングシート184は、ロッド183に対して摺動自在に嵌挿され、例えば、ロッド183の下端部に配設されたスナップリング等の位置規制部材189を介して下方への移動を規制されつつ、当該位置規制部材189に対してスプリング187により付勢されている。
【0025】
前記スプリングシート184は、前記バイパス通路接続部140と前記ハウジング部101の内部とを連通或いは遮断する弁としての機能を奏することが可能な弁形状を有して構成されている。
【0026】
上述したような構成を備えた本実施例に係るサーモスタット100の動作について、以下で説明する。
【0027】
(バイパス循環状態:図1、図4)
図1及び図4は、エンジン始動から暖機までの状態を示しており、冷却水温度が低く、前記温度感知部181が初期位置にある状態で、図4に示したように、スプリングシート182が閉弁され、スプリングシート184が開弁された状態となっている。
【0028】
従って、ウォータポンプ2により給送される冷却水は、エンジン1の内部の冷却通路の出口側に接続されるエンジン側接続部110からサーモスタット100のハウジング101内に導かれ、図4に示すようにサーモスタット100内を流れ、図1に示したように、前記ヒータコア通路300と前記バイパス通路400とを介してウォータポンプ2に戻されることになる。
これにより、冷却水から外部へ持ち去られる熱量が低減され、エンジン1の暖機が促進されることになる。
なお、図1に示したように、サーモスタット100を介さずにエンジン1の内部の冷却通路の出口側に接続されているEGRクーラ通路500には、エンジン1の内部の冷却通路を通過した冷却水が導かれ、EGRクーラ通路500及びオイルクーラ通路600を循環する。
【0029】
(温度調整状態(暖機終了〜温調動作):図2、図5)
図1及び図4のバイパス循環状態から、エンジン1の熱を受けて冷却水温が所定に上昇すると、サーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が熱膨張してピストンロッド181aを伸張させるため、図5に示すように、前記スプリングシート182は、前記コイルスプリング185の付勢力に抗して図5中下方に移動されて開弁され、前記ラジエータ側接続部120延いては前記ラジエータ通路200と前記ハウジング部101の内部とが連通される。
【0030】
また、図5に示したように、スプリングシート184はロッド183によって図5中下方に押し下げられるが開弁された状態が維持されており、その開弁量(前記バイパス通路接続部140の図5中上端面(弁座)との距離)は、ロッド183が図5中下方に移動した分だけ小さくなっている。
【0031】
これにより、図5に示すように、ウォータポンプ2により給送される冷却水は、前記ラジエータ側接続部120延いては前記ラジエータ通路200にも流入することになり、図2に示すように、前記ラジエータ通路200、前記ヒータコア通路300、前記バイパス通路400、前記EGRクーラ通路500、前記オイルクーラ通路600を介してウォータポンプ2に戻されることになる。
【0032】
このため、前記ラジエータ通路200に介装されているラジエータ3により、エンジン1の冷却水の冷却を行うことが可能となる。
また、ラジエータ通路200から分岐する分岐通路210にも、冷却水は流入するため、当該分岐通路210に接続される前記通路510及び通路610に冷却水は流入するようになる。従って、ラジエータ3を通過し冷却された比較的低温の冷却水の一部を、EGRクーラ5やオイルクーラ6へ導くことができるため、効果的にEGRガスやオイルを冷却することができることになる。
【0033】
かかる状態のようにスプリングシート182が開弁されると、冷却水の温度変化に応じてサーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が熱膨張或いは収縮してピストンロッド181aが伸張或いは収縮されることによって、前記ラジエータ側接続部120延いては前記ラジエータ通路200と前記ハウジング部101の内部との連通度合い(すなわち、前記スプリングシート182の開弁量)が調整され、以ってラジエータ3による冷却水からの放熱量が制御され、延いては冷却水の温度を所定の温度に制御することができることになる。
【0034】
更に、分岐通路210(延いては通路510、610)、EGR通路500、オイルクーラ通路600を流れる冷却水が制御され、以ってラジエータ3によるエンジン1の温度状態、EGRクーラ5によるEGRガスの温度状態、オイルクーラ6によるエンジンオイルやトランスミッションオイル等の温度状態を要求に応じて好適に制御することが可能となる。
【0035】
(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時):図3、図6)
上記の温度調整状態から、冷却水の温度が更に上昇してサーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が更に熱膨張してピストンロッド181aが伸張されると、図6に示すように、前記スプリングシート182の開弁状態を維持しつつ、ロッド183に取り付けられているスプリングシート184が図6中下方に移動して、前記バイパス通路側接続部140延いては前記バイパス通路400と前記ハウジング部101の内部との連通を遮断した閉弁状態となる。
【0036】
すなわち、このようにスプリングシート184が閉弁されると、図3に示したように、ウォータポンプ2により給送される冷却水は、前記バイパス通路側接続部140延いては前記バイパス通路400への流入が遮断され、前記ラジエータ通路200、分岐通路210(延いては通路510、610)、前記ヒータコア通路300、前記EGRクーラ通路500、前記オイルクーラ通路600を介してウォータポンプ2に戻されることになる。
【0037】
このため、前記ラジエータ通路200に介装されているラジエータ3を通過する冷却水流量をより増加させることができるため、エンジン1の冷却水が所定以上に高温となることなどを効果的に抑制することが可能となる。また、ラジエータ3を通過し冷却された比較的低温の冷却水の一部をより多くEGRクーラ5やオイルクーラ6へ導くことができるため、効果的にEGRガスやオイルを冷却することができることになる。
【0038】
このように、本実施例に係る冷却システムによれば、複数の熱交換器3、4、5、6などを備えた場合でも、小型軽量で簡単かつ安価な構成としながら、エンジン1の暖機性能を向上させると共に、各熱交換器3、4、5、6への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御することができる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明に係る実施例2について説明する。
実施例2は、実施例1に対して、図7〜図9に示すように、サーモスタット100をウォータポンプ2の吸込側(エンジン1の内部の冷却通路の入口側)に配設した場合の一例を示している。なお、実施例1で説明した要素と同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施例に係るサーモスタット100の動作について、以下で説明する。
【0041】
(バイパス循環状態:図7、図10)
図7及び図10は、エンジン始動から暖機までの状態を示しており、冷却水温度が低く、前記温度感知部181が初期位置にある状態で、スプリングシート182が閉弁され、スプリングシート184が開弁された状態となっている。
【0042】
従って、ウォータポンプ2により給送されエンジン1の内部の冷却通路を通過した冷却水は、ヒータコア通路300とバイパス通路400からサーモスタット100に流入して、図10に示すようにサーモスタット100内を流れ、エンジン1の内部の冷却通路の入口側に接続されるエンジン側接続部110を通過して、図7に示したように、ウォータポンプ2に戻されることになる。
これにより、冷却水から外部へ持ち去られる熱量が低減され、エンジン1の暖機が促進されることになる。
【0043】
なお、図7に示したように、サーモスタット100を介さずにエンジン1の内部の冷却通路の出口側に接続されているEGRクーラ通路500には、エンジン1の内部の冷却通路を通過した冷却水が導かれ、EGRクーラ通路500及びオイルクーラ通路600を循環する。
【0044】
(温度調整状態(暖機終了〜温調動作):図8、図11)
図7及び図10のバイパス循環状態から、エンジン1の熱を受けて冷却水温が所定に上昇すると、サーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が熱膨張してピストンロッド181aを伸張させるため、図8に示すように、前記スプリングシート182は、前記コイルスプリング185の付勢力に抗して図8中下方に移動されて開弁され、前記ラジエータ側接続部120延いては前記ラジエータ通路200と前記ハウジング部101の内部とが連通される。
【0045】
また、図8に示したように、スプリングシート184はロッド183によって図8中下方に押し下げられるが開弁された状態が維持されており、その開弁量(前記バイパス通路接続部140の図8中上端面(弁座)との距離)は、ロッド183が図8中下方に移動した分だけ小さくなっている。
【0046】
これにより、図8に示すように、ウォータポンプ2により給送されエンジン1の内部の冷却通路を通過した冷却水は、ラジエータ通路200とヒータコア通路300とバイパス通路400からサーモスタット100に流入して、図11に示すようにサーモスタット100内を流れ、エンジン1の内部の冷却通路の入口側に接続されるエンジン側接続部110を通過して、図8に示したように、ウォータポンプ2に戻されることになる。
このため、前記ラジエータ通路200に介装されているラジエータ3により、エンジン1の冷却水の冷却を行うことが可能となる。
また、前記スプリングシート182が開弁されると、ラジエータ通路200に接続されている分岐通路210にも冷却水はエンジン1からの流入が許容されることになるため、当該分岐通路210には、図8に示すように、これに接続される前記通路510及び通路610から冷却水が流入するようになる。従って、EGRクーラ5やオイルクーラ6を通過した比較的高温の冷却水の一部をラジエータ3を通過させて効果的に冷却することができることになる。
【0047】
かかる状態のようにスプリングシート182が開弁されると、冷却水の温度変化に応じてサーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が熱膨張或いは収縮してピストンロッド181aが伸張或いは収縮されることによって、前記ラジエータ側接続部120延いては前記ラジエータ通路200と前記ハウジング部101の内部との連通度合い(すなわち、前記スプリングシート182の開弁量)が調整され、以ってラジエータ3による冷却水からの放熱量が制御され、延いては冷却水の温度を所定の温度に制御することができることになる。
【0048】
更に、分岐通路210(延いては通路510、610)、EGR通路500、オイルクーラ通路600を流れる冷却水が制御され、以ってラジエータ3によるエンジン1の温度状態、EGRクーラ5によるEGRガスの温度状態、オイルクーラ6によるエンジンオイルやトランスミッションオイル等の温度状態を要求に応じて好適に制御することが可能となる。
【0049】
(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時):図9、図12)
上記の温度調整状態から、冷却水の温度が更に上昇してサーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が更に熱膨張してピストンロッド181aが伸張されると、図12に示すように、前記スプリングシート182の開弁状態を維持しつつ、ロッド183に取り付けられているスプリングシート184が図12中下方に移動して、前記バイパス通路側接続部140延いては前記バイパス通路400と前記ハウジング部101の内部との連通を遮断した閉弁状態となる。
【0050】
すなわち、このようにスプリングシート184が閉弁されると、図9に示したように、ウォータポンプ2により給送されエンジン1の内部の冷却通路を通過した冷却水は、前記バイパス通路側接続部140延いては前記バイパス通路400への流入が遮断され、前記ラジエータ通路200、分岐通路210(延いては通路510、610)、前記ヒータコア通路300、前記EGRクーラ通路500、前記オイルクーラ通路600を介してウォータポンプ2に戻されることになる。
【0051】
このため、前記ラジエータ通路200に介装されているラジエータ3を通過する冷却水流量をより増加させることができるため、エンジン1の冷却水が所定以上に高温となることなどを効果的に抑制することが可能となる。また、EGRクーラ5やオイルクーラ6を通過した比較的高温の冷却水の一部をより多くラジエータ3に通過させて効果的に冷却することができることになる。
【0052】
このように、本実施例に係る冷却システムによれば、複数の熱交換器3、4、5、6などを備えた場合でも、小型軽量で簡単かつ安価な構成としながら、エンジン1の暖機性能を向上させると共に、各熱交換器3、4、5、6への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御することができる。
【実施例3】
【0053】
次に、本発明に係る実施例3について説明する。
実施例3は、実施例1に対して、図13に示すように、サーモスタット100に接続されているバイパス通路400に、EGRクーラ通路500の上流側端部及びオイルクーラ通路600の上流側端部が接続された構成となっている。なお、実施例1で説明した要素と同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
かかる構成の冷却システムのように、EGRクーラ5が介装されるEGRクーラ通路500と、オイルクーラ6が介装されるオイルクーラ通路600と、バイパス通路400と、が相互に接続(連通)された場合、図6に示したバイパスバルブ(スプリングシート184)の閉止時に、エンジン1内の冷却通路に冷却水を還流させる補機用冷却通路(ここでは、EGRクーラ通路500、オイルクーラ通路600)を流れる冷却水の流通を制限(遮断)することができるようになり、ラジエータ3を通過する冷却水流量をより増加させることができるため、エンジン1の冷却水が所定以上に高温となることなどを効果的に抑制することが可能となる。
【0055】
加えて、ラジエータ3を通過し冷却された比較的低温の冷却水の一部を、分岐通路210、通路510、610を介して、更に多くEGRクーラ5やオイルクーラ6へ導くことができるため、より効果的にEGRガスやオイルを冷却することができることになる。
【0056】
なお、実施例2に示したようなサーモスタット100をエンジン1の入口側に配設した場合おいて、サーモスタット100に接続されるバイパス通路400と、EGRクーラ通路500の下流側端部及びオイルクーラ通路600の下流側端部を接続した構成とすることもでき、かかる場合も同様に、バイパスバルブ(スプリングシート184)の閉止時に、ラジエータ3を通過する冷却水流量をより増加させることができるため、エンジン1の冷却水が所定以上に高温となることなどを効果的に抑制することが可能となる。
【0057】
更に、かかる場合には、サーモスタット100をエンジン1の出口側に配設した場合(図13の例)が熱交換器(EGRクーラ5、オイルクーラ6)にラジエータ3を通過して冷却された冷却水を供給するのに対して、熱交換器(EGRクーラ5、オイルクーラ6)で加熱された冷却水をラジエータ3で冷却することになるため、熱交換器(EGRクーラ5、オイルクーラ6)を通ってエンジン1に戻していた熱をラジエータ3でより一層放熱できるといった利点がある。
【0058】
ところで、上記に限らず、EGRクーラ通路500の上流側端部(サーモスタット100をエンジン1の入口側に配設した場合は下流側端部)或いはオイルクーラ通路600の上流側端部(サーモスタット100をエンジン1の入口側に配設した場合は下流側端部)の一方をバイパス通路400に接続し、他方を図1(サーモスタット100をエンジン1の入口側に配設した場合は図7)に示したように、エンジン1内の冷却通路に接続する構成とすることもできる。
【0059】
従って、本実施例に係る冷却システムにおいても、複数の熱交換器3、4、5、6などを備えた場合でも、小型軽量で簡単かつ安価な構成としながら、エンジン1の暖機性能を向上させると共に、各熱交換器3、4、5、6への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御することができる。
【0060】
ところで、上述した各実施例において、EGRクーラ通路500、オイルクーラ通路600の配置を入れ替えた配置とすることができると共に、要求に応じて別の通路(例えば、トルクコンバータやトルクコンバータオイルを冷却するための熱交換器に供給される冷却水の通路、給気を冷却するためのインタークーラに供給される冷却水の通路など)に置き換えることも可能である。
【0061】
また、各実施例では、ヒータコア4とヒータコア通路400とが接続される場合について説明したが、ヒータシステムについては独立の制御システムにより制御可能であり、従って、ヒータコア4とヒータコア通路400とが接続されない場合についても、本発明は適用可能である。
【0062】
更に、上述した各実施例では、熱応動素子であるサーモエレメント180のワックス等の熱膨張体を内封した温度感知部181を、ハウジング部101(所定領域)内の冷却水の温度を感知する位置に配設して説明したが、これに限定されるものではなく、所望の制御したい冷却水の温度を感知することができるように、サーモエレメント180のワックス等の熱膨張体を内封した温度感知部181を、前記ハウジング部101(所定領域)内とは異なる部位に配設するような構成とすることもできる。
【0063】
なお、本発明は上述した各実施例で説明した構造には限定されず、サーモスタット100を構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
【0064】
また、熱応動弁のアクチュエータとしては、上述した各実施例で説明した温度を感知して膨張収縮するワックス等の熱膨張体を内封したサーモエレメントに限らず、バイメタルや形状記憶合金といった温度に応じて変形する部材などを用いたものも採用可能である。
【0065】
また、上述した各実施例に係る各サーモスタットは、エンジン冷却水回路においてエンジン1の入口側に配設しても、出口側に配設してもよいものである
【0066】
更に、本発明に係るサーモスタット(熱応動弁)装置は、内燃機関の冷却システムに適用される場合に限定されるものではなく、冷媒の分配を必要とする車両、機器等、燃料電池自動車の冷却装置、その他暖機を必要とする冷却装置、液体ライン等にも適用可能である。
【0067】
以上で説明した一実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1に係る内燃機関の冷却水システム(バイパス循環状態:暖機中)の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図2】同上実施例に係る内燃機関の冷却水システム(温度調整状態(暖機終了〜温調動作))の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図3】同上実施例に係る内燃機関の冷却水システム(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時))の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図4】同上実施例に係るサーモスタット(バイパス循環状態:暖機中)の作動状態を説明する概略断面図である。
【図5】同上実施例に係るサーモスタット(温度調整状態(暖機終了〜温調動作))の作動状態を説明する概略断面図である。
【図6】同上実施例に係るサーモスタット(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時))の作動状態を説明する概略断面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る内燃機関の冷却水システム(バイパス循環状態:暖機中)の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図8】同上実施例に係る内燃機関の冷却水システム(温度調整状態(暖機終了〜温調動作))の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図9】同上実施例に係る内燃機関の冷却水システム(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時))の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図10】同上実施例に係るサーモスタット(バイパス循環状態:暖機中)の作動状態を説明する概略断面図である。
【図11】同上実施例に係るサーモスタット(温度調整状態(暖機終了〜温調動作))の作動状態を説明する概略断面図である。
【図12】同上実施例に係るサーモスタット(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時))の作動状態を説明する概略断面図である。
【図13】本発明の実施例3に係る内燃機関の冷却水システムの一例を概略的に示す全体構成図である。
【図14】従来の内燃機関の冷却水回路(冷却水システム)の一例を概略的に示す全体構成図である。
【符号の説明】
【0069】
1 内燃機関(エンジン)
2 ウォータポンプ
3 ラジエータ
4 ヒータコア(本発明に係る補機用熱交換器の一例)
5 EGRクーラ(本発明に係る補機用熱交換器の一例)
6 オイルクーラ(本発明に係る補機用熱交換器の一例)
8 電動式ウォータポンプ
100 サーモスタット
200 ラジエータ通路
210、510、510 分岐通路
300 ヒータコア通路(本発明に係る補機用冷却通路の一例)
400 バイパス通路
500 EGRクーラ通路(本発明に係る補機用冷却通路の一例)
600 オイルクーラ通路(本発明に係る補機用冷却通路の一例)
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの冷却媒体を循環させる冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の冷却システムとして、例えば、特許文献1には、暖機時間を短縮でき、かつ、暖機終了後にEGR(Exhaust Gas Recirculation)クーラを充分冷却することができるようにしたエンジンの冷却水回路が記載されている。
そして、特許文献1に記載のエンジンの冷却水回路には、図14に示すように、通常の内燃機関に備えられるサーモスタット10やウォーターポンプ11の他に、第1電磁バルブ27、第2電磁バルブ28、第3電磁バルブ29などの複数の電磁バルブや電動ポンプ35が備えられると共に、これらを電気的に制御するための制御手段31やエンジン出口水温を検出する水温検出手段30などが備えられている。
【特許文献1】特開2007−263034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、上述したように、通常の内燃機関(エンジン)の冷却水回路に備えられるサーモスタット10やウォーターポンプ11の他に、複数の電磁バルブ26〜29や電動ポンプ35、制御手段31、水温検出手段30などが必要とされる構成であるため、製品コストが嵩むといった実情がある。
【0004】
また、上述のように複数の構成要素が冷却水回路に配設されると共に、冷却水回路も複雑な回路となっているため、システム全体が大型化すると共に複雑化し、小型軽量化が困難であり、車両への搭載レイアウト等の自由度に対する制限も大きくなるといった実情がある。
【0005】
更に、複数の電磁バルブ27〜29の開閉動作や電動ポンプ35のオンオフ動作によって冷却水が流れる冷却水通路を切り換える制御が行われるだけであり、開閉動作やオンオフ動作といった切り換え制御だけでなく冷却水通路を流れる冷却水の連続的な流量制御を行うことについての考慮がなされていないといった実情がある。
【0006】
また、特許文献1に記載のものは、EGRクーラを熱交換器とした場合に特化した制御・作動形態であり、多様性に乏しく、例えば、ATF(Automatic Transmission Fluid)クーラ、オイルクーラ、インタークーラなどの他の熱交換器或いは複数の熱交換器を備えた冷却水システムに適用しようとした場合には採用し難い場合が想定されるといった実情がある。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、小型軽量で簡単かつ安価な構成でありながら、内燃機関の暖機性能を向上させることができると共に、各熱交換器への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御することができるエンジン(内燃機関)の冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明に係るエンジンの冷却システムは、
エンジン内の冷却通路を通過しラジエータが介装されるラジエータ通路を通過した後再び冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させるエンジンの冷却システムであって、
前記冷却媒体の一部が導かれ、介装される補機用熱交換器を通過させた後、当該冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路が少なくとも1つ配設されると共に、
一端が前記ラジエータに接続され、他端が前記補機用熱交換器に接続される通路が設けられ、
冷却媒体の温度に応じて熱応動する熱応動素子により駆動される弁体を含んで構成されるサーモスタットが、
前記ラジエータへの冷却媒体の流入を制御すると共に、
前記補機用熱交換器を通過させた後、当該冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路と、前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路と、を要求に応じて切替え制御する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路において、一端がラジエータより下流側に接続され、他端が熱交換器より上流に接続されることを特徴とすることができる。
【0010】
本発明は、前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路において、一端がラジエータより上流側に接続され、他端が熱交換器より下流に接続されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型軽量で簡単かつ安価な構成でありながら、内燃機関の暖機性能を向上させることができると共に、各熱交換器への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御することができるエンジンの冷却システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係るエンジン(内燃機関)の冷却システムの実施例を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施例により、本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1に係る内燃機関1の冷却水システムは、図1に示すように、例えば自動車等に搭載される或いは定置式のエンジン1などに採用される(ガソリン、軽油、アルコール等の他、種々の雑燃料を燃料とする内燃機関や外燃機関などの熱機関の他、動力等を取り出さない燃焼装置の冷却回路や燃料電池のセル冷却回路などの冷却システムにも本発明は適用可能である)。
【0014】
図1に示したように、エンジン1にはクランク軸等により駆動されるメカニカル駆動のウォータポンプ2がエンジン1の内部の冷却通路(図示せず)の入口側に接続され、エンジン1の内部の冷却通路の出口側には、サーモスタット100が配設され、当該サーモスタット100には、エンジン1の冷却水の放熱用の熱交換器であるラジエータ3が介装されウォータポンプ2に接続されるラジエータ通路200が接続されると共に、ヒータシステム用の熱交換器であるヒータコア4が介装されウォータポンプ2に接続されるヒータコア通路300が接続されている。
【0015】
また、サーモスタット100には、前記ラジエータ3をバイパスしウォータポンプ2に接続されるバイパス通路400が接続されている。
更に、本実施例では、エンジン1の内部の冷却通路の出口側に、EGRガスの冷却用の熱交換器であるEGRクーラ5が介装されウォータポンプ2に接続されるEGRクーラ通路500が接続されると共に、当該EGRクーラ通路500にはエンジンオイルやトランスミッションオイル等の冷却用の熱交換器であるオイルクーラ6が介装されウォータポンプ2に接続されるオイルクーラ通路600が接続されている。
【0016】
加えて、本実施例においては、ラジエータ通路200を通過後に分岐される分岐通路210が配設され、当該分岐通路210は、EGRクーラ5の冷却水流れの上流側に接続される通路510と、オイルクーラ6の冷却水流れの上流側に接続される通路610と、に分岐されている。
【0017】
ここで、本実施例において用いられるサーモスタット100は、従来のサーモスタットと同様の構成であり、例えば図4に示すように、内部にサーモエレメント180(熱応動素子)の温度感知部181側を収容するハウジング部101を備えて構成されている。また、サーモエレメント180のピストンロッド181aを支持する支持部102と、前記ラジエータ通路200が接続されるラジエータ側接続部120と、が備えられている。
【0018】
前記ハウジング部101には、ウォータポンプ2の出口側(すなわち、エンジン1の内部の冷却通路の出口側)に接続されるエンジン側接続部110と、前記ヒータコア通路300に接続されるヒータコア通路接続部130と、前記バイパス通路400に接続されるバイパス通路接続部140が設けられている。
【0019】
ここで、サーモエレメント180は、ハウジング部101内の冷却水の温度を感知して膨張収縮するワックス等の熱膨張体を内封した温度感知部181を備え、この温度感知部181から、当該温度感知部181内部の熱膨張体の熱膨張収縮に応じて図2中上下方向に沿って伸縮するピストンロッド181aが突出している。
【0020】
このピストンロッド181aの一端(図2中上端)部は前記支持部102に支持されており、他端側は前記温度感知部181に収容されている。
【0021】
前記温度感知部181には、ピストンロッド181a側に当該温度感知部181と略一体的にスプリングシート182が取り付けられており、当該スプリングシート182は前記ラジエータ側接続部120側と前記ハウジング部101の内部とを連通或いは遮断する弁としての機能を奏することが可能な弁形状を有して構成されている。
【0022】
また、前記ハウジング部101(前記支持部102)と略一体的なスプリングシート103が前記スプリングシート182に対向して設けられており、スプリングシート103と前記スプリングシート182との間には、前記スプリングシート182を閉弁側(図2上方)に付勢するコイルスプリング185が配設されている。
【0023】
なお、本実施例に係るサーモスタット100の前記温度感知部181の下端部には、図2中下側にロッド183が延在している。
【0024】
当該ロッド183の下端部にはスプリングシート184が取り付けられている。このスプリングシート184は、ロッド183に対して摺動自在に嵌挿され、例えば、ロッド183の下端部に配設されたスナップリング等の位置規制部材189を介して下方への移動を規制されつつ、当該位置規制部材189に対してスプリング187により付勢されている。
【0025】
前記スプリングシート184は、前記バイパス通路接続部140と前記ハウジング部101の内部とを連通或いは遮断する弁としての機能を奏することが可能な弁形状を有して構成されている。
【0026】
上述したような構成を備えた本実施例に係るサーモスタット100の動作について、以下で説明する。
【0027】
(バイパス循環状態:図1、図4)
図1及び図4は、エンジン始動から暖機までの状態を示しており、冷却水温度が低く、前記温度感知部181が初期位置にある状態で、図4に示したように、スプリングシート182が閉弁され、スプリングシート184が開弁された状態となっている。
【0028】
従って、ウォータポンプ2により給送される冷却水は、エンジン1の内部の冷却通路の出口側に接続されるエンジン側接続部110からサーモスタット100のハウジング101内に導かれ、図4に示すようにサーモスタット100内を流れ、図1に示したように、前記ヒータコア通路300と前記バイパス通路400とを介してウォータポンプ2に戻されることになる。
これにより、冷却水から外部へ持ち去られる熱量が低減され、エンジン1の暖機が促進されることになる。
なお、図1に示したように、サーモスタット100を介さずにエンジン1の内部の冷却通路の出口側に接続されているEGRクーラ通路500には、エンジン1の内部の冷却通路を通過した冷却水が導かれ、EGRクーラ通路500及びオイルクーラ通路600を循環する。
【0029】
(温度調整状態(暖機終了〜温調動作):図2、図5)
図1及び図4のバイパス循環状態から、エンジン1の熱を受けて冷却水温が所定に上昇すると、サーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が熱膨張してピストンロッド181aを伸張させるため、図5に示すように、前記スプリングシート182は、前記コイルスプリング185の付勢力に抗して図5中下方に移動されて開弁され、前記ラジエータ側接続部120延いては前記ラジエータ通路200と前記ハウジング部101の内部とが連通される。
【0030】
また、図5に示したように、スプリングシート184はロッド183によって図5中下方に押し下げられるが開弁された状態が維持されており、その開弁量(前記バイパス通路接続部140の図5中上端面(弁座)との距離)は、ロッド183が図5中下方に移動した分だけ小さくなっている。
【0031】
これにより、図5に示すように、ウォータポンプ2により給送される冷却水は、前記ラジエータ側接続部120延いては前記ラジエータ通路200にも流入することになり、図2に示すように、前記ラジエータ通路200、前記ヒータコア通路300、前記バイパス通路400、前記EGRクーラ通路500、前記オイルクーラ通路600を介してウォータポンプ2に戻されることになる。
【0032】
このため、前記ラジエータ通路200に介装されているラジエータ3により、エンジン1の冷却水の冷却を行うことが可能となる。
また、ラジエータ通路200から分岐する分岐通路210にも、冷却水は流入するため、当該分岐通路210に接続される前記通路510及び通路610に冷却水は流入するようになる。従って、ラジエータ3を通過し冷却された比較的低温の冷却水の一部を、EGRクーラ5やオイルクーラ6へ導くことができるため、効果的にEGRガスやオイルを冷却することができることになる。
【0033】
かかる状態のようにスプリングシート182が開弁されると、冷却水の温度変化に応じてサーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が熱膨張或いは収縮してピストンロッド181aが伸張或いは収縮されることによって、前記ラジエータ側接続部120延いては前記ラジエータ通路200と前記ハウジング部101の内部との連通度合い(すなわち、前記スプリングシート182の開弁量)が調整され、以ってラジエータ3による冷却水からの放熱量が制御され、延いては冷却水の温度を所定の温度に制御することができることになる。
【0034】
更に、分岐通路210(延いては通路510、610)、EGR通路500、オイルクーラ通路600を流れる冷却水が制御され、以ってラジエータ3によるエンジン1の温度状態、EGRクーラ5によるEGRガスの温度状態、オイルクーラ6によるエンジンオイルやトランスミッションオイル等の温度状態を要求に応じて好適に制御することが可能となる。
【0035】
(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時):図3、図6)
上記の温度調整状態から、冷却水の温度が更に上昇してサーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が更に熱膨張してピストンロッド181aが伸張されると、図6に示すように、前記スプリングシート182の開弁状態を維持しつつ、ロッド183に取り付けられているスプリングシート184が図6中下方に移動して、前記バイパス通路側接続部140延いては前記バイパス通路400と前記ハウジング部101の内部との連通を遮断した閉弁状態となる。
【0036】
すなわち、このようにスプリングシート184が閉弁されると、図3に示したように、ウォータポンプ2により給送される冷却水は、前記バイパス通路側接続部140延いては前記バイパス通路400への流入が遮断され、前記ラジエータ通路200、分岐通路210(延いては通路510、610)、前記ヒータコア通路300、前記EGRクーラ通路500、前記オイルクーラ通路600を介してウォータポンプ2に戻されることになる。
【0037】
このため、前記ラジエータ通路200に介装されているラジエータ3を通過する冷却水流量をより増加させることができるため、エンジン1の冷却水が所定以上に高温となることなどを効果的に抑制することが可能となる。また、ラジエータ3を通過し冷却された比較的低温の冷却水の一部をより多くEGRクーラ5やオイルクーラ6へ導くことができるため、効果的にEGRガスやオイルを冷却することができることになる。
【0038】
このように、本実施例に係る冷却システムによれば、複数の熱交換器3、4、5、6などを備えた場合でも、小型軽量で簡単かつ安価な構成としながら、エンジン1の暖機性能を向上させると共に、各熱交換器3、4、5、6への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御することができる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明に係る実施例2について説明する。
実施例2は、実施例1に対して、図7〜図9に示すように、サーモスタット100をウォータポンプ2の吸込側(エンジン1の内部の冷却通路の入口側)に配設した場合の一例を示している。なお、実施例1で説明した要素と同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施例に係るサーモスタット100の動作について、以下で説明する。
【0041】
(バイパス循環状態:図7、図10)
図7及び図10は、エンジン始動から暖機までの状態を示しており、冷却水温度が低く、前記温度感知部181が初期位置にある状態で、スプリングシート182が閉弁され、スプリングシート184が開弁された状態となっている。
【0042】
従って、ウォータポンプ2により給送されエンジン1の内部の冷却通路を通過した冷却水は、ヒータコア通路300とバイパス通路400からサーモスタット100に流入して、図10に示すようにサーモスタット100内を流れ、エンジン1の内部の冷却通路の入口側に接続されるエンジン側接続部110を通過して、図7に示したように、ウォータポンプ2に戻されることになる。
これにより、冷却水から外部へ持ち去られる熱量が低減され、エンジン1の暖機が促進されることになる。
【0043】
なお、図7に示したように、サーモスタット100を介さずにエンジン1の内部の冷却通路の出口側に接続されているEGRクーラ通路500には、エンジン1の内部の冷却通路を通過した冷却水が導かれ、EGRクーラ通路500及びオイルクーラ通路600を循環する。
【0044】
(温度調整状態(暖機終了〜温調動作):図8、図11)
図7及び図10のバイパス循環状態から、エンジン1の熱を受けて冷却水温が所定に上昇すると、サーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が熱膨張してピストンロッド181aを伸張させるため、図8に示すように、前記スプリングシート182は、前記コイルスプリング185の付勢力に抗して図8中下方に移動されて開弁され、前記ラジエータ側接続部120延いては前記ラジエータ通路200と前記ハウジング部101の内部とが連通される。
【0045】
また、図8に示したように、スプリングシート184はロッド183によって図8中下方に押し下げられるが開弁された状態が維持されており、その開弁量(前記バイパス通路接続部140の図8中上端面(弁座)との距離)は、ロッド183が図8中下方に移動した分だけ小さくなっている。
【0046】
これにより、図8に示すように、ウォータポンプ2により給送されエンジン1の内部の冷却通路を通過した冷却水は、ラジエータ通路200とヒータコア通路300とバイパス通路400からサーモスタット100に流入して、図11に示すようにサーモスタット100内を流れ、エンジン1の内部の冷却通路の入口側に接続されるエンジン側接続部110を通過して、図8に示したように、ウォータポンプ2に戻されることになる。
このため、前記ラジエータ通路200に介装されているラジエータ3により、エンジン1の冷却水の冷却を行うことが可能となる。
また、前記スプリングシート182が開弁されると、ラジエータ通路200に接続されている分岐通路210にも冷却水はエンジン1からの流入が許容されることになるため、当該分岐通路210には、図8に示すように、これに接続される前記通路510及び通路610から冷却水が流入するようになる。従って、EGRクーラ5やオイルクーラ6を通過した比較的高温の冷却水の一部をラジエータ3を通過させて効果的に冷却することができることになる。
【0047】
かかる状態のようにスプリングシート182が開弁されると、冷却水の温度変化に応じてサーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が熱膨張或いは収縮してピストンロッド181aが伸張或いは収縮されることによって、前記ラジエータ側接続部120延いては前記ラジエータ通路200と前記ハウジング部101の内部との連通度合い(すなわち、前記スプリングシート182の開弁量)が調整され、以ってラジエータ3による冷却水からの放熱量が制御され、延いては冷却水の温度を所定の温度に制御することができることになる。
【0048】
更に、分岐通路210(延いては通路510、610)、EGR通路500、オイルクーラ通路600を流れる冷却水が制御され、以ってラジエータ3によるエンジン1の温度状態、EGRクーラ5によるEGRガスの温度状態、オイルクーラ6によるエンジンオイルやトランスミッションオイル等の温度状態を要求に応じて好適に制御することが可能となる。
【0049】
(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時):図9、図12)
上記の温度調整状態から、冷却水の温度が更に上昇してサーモエレメント180の温度感知部181内の熱膨張体が更に熱膨張してピストンロッド181aが伸張されると、図12に示すように、前記スプリングシート182の開弁状態を維持しつつ、ロッド183に取り付けられているスプリングシート184が図12中下方に移動して、前記バイパス通路側接続部140延いては前記バイパス通路400と前記ハウジング部101の内部との連通を遮断した閉弁状態となる。
【0050】
すなわち、このようにスプリングシート184が閉弁されると、図9に示したように、ウォータポンプ2により給送されエンジン1の内部の冷却通路を通過した冷却水は、前記バイパス通路側接続部140延いては前記バイパス通路400への流入が遮断され、前記ラジエータ通路200、分岐通路210(延いては通路510、610)、前記ヒータコア通路300、前記EGRクーラ通路500、前記オイルクーラ通路600を介してウォータポンプ2に戻されることになる。
【0051】
このため、前記ラジエータ通路200に介装されているラジエータ3を通過する冷却水流量をより増加させることができるため、エンジン1の冷却水が所定以上に高温となることなどを効果的に抑制することが可能となる。また、EGRクーラ5やオイルクーラ6を通過した比較的高温の冷却水の一部をより多くラジエータ3に通過させて効果的に冷却することができることになる。
【0052】
このように、本実施例に係る冷却システムによれば、複数の熱交換器3、4、5、6などを備えた場合でも、小型軽量で簡単かつ安価な構成としながら、エンジン1の暖機性能を向上させると共に、各熱交換器3、4、5、6への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御することができる。
【実施例3】
【0053】
次に、本発明に係る実施例3について説明する。
実施例3は、実施例1に対して、図13に示すように、サーモスタット100に接続されているバイパス通路400に、EGRクーラ通路500の上流側端部及びオイルクーラ通路600の上流側端部が接続された構成となっている。なお、実施例1で説明した要素と同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
かかる構成の冷却システムのように、EGRクーラ5が介装されるEGRクーラ通路500と、オイルクーラ6が介装されるオイルクーラ通路600と、バイパス通路400と、が相互に接続(連通)された場合、図6に示したバイパスバルブ(スプリングシート184)の閉止時に、エンジン1内の冷却通路に冷却水を還流させる補機用冷却通路(ここでは、EGRクーラ通路500、オイルクーラ通路600)を流れる冷却水の流通を制限(遮断)することができるようになり、ラジエータ3を通過する冷却水流量をより増加させることができるため、エンジン1の冷却水が所定以上に高温となることなどを効果的に抑制することが可能となる。
【0055】
加えて、ラジエータ3を通過し冷却された比較的低温の冷却水の一部を、分岐通路210、通路510、610を介して、更に多くEGRクーラ5やオイルクーラ6へ導くことができるため、より効果的にEGRガスやオイルを冷却することができることになる。
【0056】
なお、実施例2に示したようなサーモスタット100をエンジン1の入口側に配設した場合おいて、サーモスタット100に接続されるバイパス通路400と、EGRクーラ通路500の下流側端部及びオイルクーラ通路600の下流側端部を接続した構成とすることもでき、かかる場合も同様に、バイパスバルブ(スプリングシート184)の閉止時に、ラジエータ3を通過する冷却水流量をより増加させることができるため、エンジン1の冷却水が所定以上に高温となることなどを効果的に抑制することが可能となる。
【0057】
更に、かかる場合には、サーモスタット100をエンジン1の出口側に配設した場合(図13の例)が熱交換器(EGRクーラ5、オイルクーラ6)にラジエータ3を通過して冷却された冷却水を供給するのに対して、熱交換器(EGRクーラ5、オイルクーラ6)で加熱された冷却水をラジエータ3で冷却することになるため、熱交換器(EGRクーラ5、オイルクーラ6)を通ってエンジン1に戻していた熱をラジエータ3でより一層放熱できるといった利点がある。
【0058】
ところで、上記に限らず、EGRクーラ通路500の上流側端部(サーモスタット100をエンジン1の入口側に配設した場合は下流側端部)或いはオイルクーラ通路600の上流側端部(サーモスタット100をエンジン1の入口側に配設した場合は下流側端部)の一方をバイパス通路400に接続し、他方を図1(サーモスタット100をエンジン1の入口側に配設した場合は図7)に示したように、エンジン1内の冷却通路に接続する構成とすることもできる。
【0059】
従って、本実施例に係る冷却システムにおいても、複数の熱交換器3、4、5、6などを備えた場合でも、小型軽量で簡単かつ安価な構成としながら、エンジン1の暖機性能を向上させると共に、各熱交換器3、4、5、6への冷却水の流通を要求に応じて適宜に制御することができる。
【0060】
ところで、上述した各実施例において、EGRクーラ通路500、オイルクーラ通路600の配置を入れ替えた配置とすることができると共に、要求に応じて別の通路(例えば、トルクコンバータやトルクコンバータオイルを冷却するための熱交換器に供給される冷却水の通路、給気を冷却するためのインタークーラに供給される冷却水の通路など)に置き換えることも可能である。
【0061】
また、各実施例では、ヒータコア4とヒータコア通路400とが接続される場合について説明したが、ヒータシステムについては独立の制御システムにより制御可能であり、従って、ヒータコア4とヒータコア通路400とが接続されない場合についても、本発明は適用可能である。
【0062】
更に、上述した各実施例では、熱応動素子であるサーモエレメント180のワックス等の熱膨張体を内封した温度感知部181を、ハウジング部101(所定領域)内の冷却水の温度を感知する位置に配設して説明したが、これに限定されるものではなく、所望の制御したい冷却水の温度を感知することができるように、サーモエレメント180のワックス等の熱膨張体を内封した温度感知部181を、前記ハウジング部101(所定領域)内とは異なる部位に配設するような構成とすることもできる。
【0063】
なお、本発明は上述した各実施例で説明した構造には限定されず、サーモスタット100を構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
【0064】
また、熱応動弁のアクチュエータとしては、上述した各実施例で説明した温度を感知して膨張収縮するワックス等の熱膨張体を内封したサーモエレメントに限らず、バイメタルや形状記憶合金といった温度に応じて変形する部材などを用いたものも採用可能である。
【0065】
また、上述した各実施例に係る各サーモスタットは、エンジン冷却水回路においてエンジン1の入口側に配設しても、出口側に配設してもよいものである
【0066】
更に、本発明に係るサーモスタット(熱応動弁)装置は、内燃機関の冷却システムに適用される場合に限定されるものではなく、冷媒の分配を必要とする車両、機器等、燃料電池自動車の冷却装置、その他暖機を必要とする冷却装置、液体ライン等にも適用可能である。
【0067】
以上で説明した一実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1に係る内燃機関の冷却水システム(バイパス循環状態:暖機中)の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図2】同上実施例に係る内燃機関の冷却水システム(温度調整状態(暖機終了〜温調動作))の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図3】同上実施例に係る内燃機関の冷却水システム(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時))の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図4】同上実施例に係るサーモスタット(バイパス循環状態:暖機中)の作動状態を説明する概略断面図である。
【図5】同上実施例に係るサーモスタット(温度調整状態(暖機終了〜温調動作))の作動状態を説明する概略断面図である。
【図6】同上実施例に係るサーモスタット(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時))の作動状態を説明する概略断面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る内燃機関の冷却水システム(バイパス循環状態:暖機中)の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図8】同上実施例に係る内燃機関の冷却水システム(温度調整状態(暖機終了〜温調動作))の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図9】同上実施例に係る内燃機関の冷却水システム(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時))の一例を概略的に示す全体構成図である。
【図10】同上実施例に係るサーモスタット(バイパス循環状態:暖機中)の作動状態を説明する概略断面図である。
【図11】同上実施例に係るサーモスタット(温度調整状態(暖機終了〜温調動作))の作動状態を説明する概略断面図である。
【図12】同上実施例に係るサーモスタット(バイパスバルブ閉弁状態(高水温時))の作動状態を説明する概略断面図である。
【図13】本発明の実施例3に係る内燃機関の冷却水システムの一例を概略的に示す全体構成図である。
【図14】従来の内燃機関の冷却水回路(冷却水システム)の一例を概略的に示す全体構成図である。
【符号の説明】
【0069】
1 内燃機関(エンジン)
2 ウォータポンプ
3 ラジエータ
4 ヒータコア(本発明に係る補機用熱交換器の一例)
5 EGRクーラ(本発明に係る補機用熱交換器の一例)
6 オイルクーラ(本発明に係る補機用熱交換器の一例)
8 電動式ウォータポンプ
100 サーモスタット
200 ラジエータ通路
210、510、510 分岐通路
300 ヒータコア通路(本発明に係る補機用冷却通路の一例)
400 バイパス通路
500 EGRクーラ通路(本発明に係る補機用冷却通路の一例)
600 オイルクーラ通路(本発明に係る補機用冷却通路の一例)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン内の冷却通路を通過しラジエータが介装されるラジエータ通路を通過した後再び冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させるエンジンの冷却システムであって、
前記冷却媒体の一部が導かれ、介装される補機用熱交換器を通過させた後、当該冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路が少なくとも1つ配設されると共に、
一端が前記ラジエータに接続され、他端が前記補機用熱交換器に接続される通路が設けられ、
冷却媒体の温度に応じて熱応動する熱応動素子により駆動される弁体を含んで構成されるサーモスタットが、
前記ラジエータへの冷却媒体の流入を制御すると共に、
前記補機用熱交換器を通過させた後、当該冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路と、前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路と、を要求に応じて切替え制御する
ことを特徴とするエンジンの冷却システム。
【請求項2】
前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路において、一端がラジエータより下流側に接続され、他端が熱交換器より上流に接続されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの冷却システム。
【請求項3】
前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路において、一端がラジエータより上流側に接続され、他端が熱交換器より下流に接続されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの冷却システム。
【請求項1】
エンジン内の冷却通路を通過しラジエータが介装されるラジエータ通路を通過した後再び冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させるエンジンの冷却システムであって、
前記冷却媒体の一部が導かれ、介装される補機用熱交換器を通過させた後、当該冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路が少なくとも1つ配設されると共に、
一端が前記ラジエータに接続され、他端が前記補機用熱交換器に接続される通路が設けられ、
冷却媒体の温度に応じて熱応動する熱応動素子により駆動される弁体を含んで構成されるサーモスタットが、
前記ラジエータへの冷却媒体の流入を制御すると共に、
前記補機用熱交換器を通過させた後、当該冷却媒体をエンジン内の冷却通路に還流させる通路と、前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路と、を要求に応じて切替え制御する
ことを特徴とするエンジンの冷却システム。
【請求項2】
前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路において、一端がラジエータより下流側に接続され、他端が熱交換器より上流に接続されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの冷却システム。
【請求項3】
前記一端が前記ラジエータに接続され他端が前記補機用熱交換器に接続される通路において、一端がラジエータより上流側に接続され、他端が熱交換器より下流に接続されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの冷却システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−121456(P2010−121456A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293199(P2008−293199)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(391026287)富士精工株式会社 (25)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(391026287)富士精工株式会社 (25)
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