説明

エンジン発電機

【課題】筐体の内部で各機器をコンパクトに配置しながら、冷却風による冷却効果の向上を図ることができるエンジン発電機を提供する。
【解決手段】エンジン2と、発電機3と、インバータ4と、制御装置と、燃料タンク7と、エアクリーナ16と、マフラー18と、ラジエータ6と、これらの機器を内部に設ける筐体5とを備えたエンジン発電機において、筐体5の側部に冷却風導入口12・11および冷却風排出口14を設け、これらの間に冷却風通路を形成し、冷却風通路のエンジン2よりも上流側に、発電機3と、インバータ4と、エアクリーナ16とを配置し、冷却風通路のエンジン2の下流側に、燃料タンク7と、ラジエータ6と、マフラー18とを配置し、外気を冷却風として冷却風導入口12・11から筐体5の内部に取り込み、冷却風通路の上流から下流に向かって流し、冷却風排出口14から筐体5の外部に排出するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと、該エンジンにより駆動される発電機と、を備えるエンジン発電機において、特に冷却効果を必要とするインバータやエアクリーナの冷却効率を高めるための、内部の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンと発電機を並設して筐体(パッケージ)の内部に設けたエンジン発電機が公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。このようなエンジン発電機には、発電機によって発電された電力を整流し、所望の周波数に変換するインバータが具備されており、これらエンジンや、発電機や、インバータや、その他必要機器類の全てが筐体に内装されている。そして、これら必要機器類については、その配置構成の単純化、および、コンパクト化が図られており、エンジン発電機の設置や、搬送や、メンテナンス時の取扱を容易にすることができるようになっている。
【特許文献1】特開2005−299601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のようなエンジン発電機においては、熱に弱い電装機器であるインバータが、熱源であるエンジンや発電機とともに筐体の内部の略中央に設けられることがある。この場合、インバータ自体の発熱に加えて、前記熱源による発熱によりインバータの温度が上昇し、電気回路において、電圧変動や周波数変動等の不具合が生じるおそれがあった。
【0004】
そこで本発明は、筐体の内部で各機器をコンパクトに配置しながら、冷却風による冷却効果の向上を図ることができるエンジン発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、エンジンと、前記エンジンにより駆動されて発電を行う発電機と、前記発電機により発電された電力を交流に変換して出力するインバータと、前記エンジンと前記発電機の制御を行う制御装置と、前記エンジンへ供給する燃料を貯溜する燃料タンクと、前記エンジンへ供給する空気を浄化するエアクリーナと、前記エンジンの排気音を消音するマフラーと、前記エンジンの冷却水を冷却するラジエータと、これらの機器を内部に設ける筐体と、を備えたエンジン発電機において、前記エンジンの一側方で、前記筐体の側部に冷却風導入口を設け、前記エンジンの他側方で、前記筐体の側部に冷却風排出口を設け、前記筐体の内部で前記冷却風導入口と前記冷却風排出口との間に冷却風通路を形成し、前記冷却風通路のエンジンよりも上流側に、前記発電機と、前記インバータと、前記エアクリーナと、を配置し、前記冷却風通路のエンジンの下流側に、前記燃料タンクと、前記ラジエータと、前記マフラーと、を配置し、前記エンジンの冷却ファンを当該エンジンにより駆動する場合に、外気を冷却風として前記冷却風導入口から前記筐体の内部に取り込み、前記冷却風通路の上流から下流に向かって流し、前記冷却風排出口から前記筐体の外部に排出するように構成したものである。
【0007】
請求項2においては、前記筐体の側部の上下両側にそれぞれ前記冷却風導入口に含まれる上下の第一冷却風導入口を設け、前記筐体の内部に二つの前記インバータを上下に設けて、それぞれ前記上下の第一冷却風導入口と対向するように前記筐体の側部と並置し、前記上下のインバータと前記筐体の側部との間に支持部材を並置して、前記支持部材に前記冷却風通路の一部をなす第一ダクトを上下の第一冷却風導入口から上下のインバータに向けて延びるように形成し、前記冷却風導入口からの冷却風を前記第一ダクトに流入させ、前記上下のインバータに沿って上方または下方に向けて案内するように構成したものである。
【0008】
請求項3においては、前記第一ダクトの内部に、前記第一冷却風導入口からの冷却風を上下に分流させる仕切部材を設け、前記第一ダクトに流入した冷却風の一部を前記上側のインバータに沿って上方に案内し、前記第一ダクトに流入した冷却風の残部を前記下側のインバータに沿って下方に案内するように構成したものである。
【0009】
請求項4においては、前記筐体の側部の下側に前記冷却風導入口に含まれる第二冷却風導入口を設け、前記筐体の内部に前記第二冷却風導入口向き、および、上向きに開口する箱状の案内部材を設けて、前記第二冷却風導入口と対向するように前記筐体の側部の下側と並置し、前記案内部材に前記冷却風通路の一部をなす第二ダクトを前記第二冷却風導入口から前記筐体の内部上側に延びるように形成し、前記第二冷却風導入口と前記第二ダクトとを連通して、この第二冷却風導入口からの冷却風を前記第二ダクトに流入させ、前記案内部材に沿って上方に向けて案内するように構成したものである。
【0010】
請求項5においては、前記ラジエータの長手方向を横方向として、前記燃料タンクの長手方向と一致させ、前記ラジエータを前記燃料タンクと並置したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、特に冷却する必要があるインバータやエアクリーナを比較的に温度が低い冷却風に冷却することが可能となる。したがって、各機器を必要に応じて効率よく冷却でき、冷却風による冷却効果の向上を図ることができる。また、エンジンを挟み囲むようにその他の機器が配置されることとなる。したがって、その他の機器をコンパクトに配置することができるとともに、防音壁として利用し、エンジンの騒音の低減を図ることができる。
【0013】
請求項2においては、冷却風を上下のインバータに向けて第一ダクトを通じて送ることが可能となる。したがって、上下のインバータを冷却風により効率よく冷却して、冷却風による冷却効果の向上を図ることができる。また、第一冷却風導入口の内側に第一ダクトが位置することとなる。したがって、この第一冷却風導入口から筐体の外部へ漏れる騒音を低減することができる。
【0014】
請求項3においては、冷却風を上下のインバータに上下に分流させ、均等な風量の冷却風を上下のインバータに向けて送ることが可能となる。したがって、上下のインバータを冷却風により均一に冷却して、冷却風による冷却効果の偏りを軽減することができる。
【0015】
請求項4においては、第二冷却風導入口の内側に第二ダクトが位置することとなる。したがって、この第二冷却風導入口から筐体の外部へ漏れる騒音を低減することができる。
【0016】
請求項5においては、ラジエータ、および、燃料タンクを筐体の内部でコンパクトに配置しながら、ラジエータの冷却容量を必要なだけ確保することができるとともに、燃料タンクの大容量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1はエンジン発電機における筐体の外部の構成を示す斜視図、図2はエンジン発電機における筐体の内部の構成を示す斜視図、図3は筐体の右側部の一部構成を示す側面図、図4は筐体の内部の後側の構成を示す背面図、図5は筐体の右側部の前側付近の構成を示す側面図、図6は筐体の右側部の前側付近の構成を示す正面断面図、図7は筐体の右側部の前側付近の構成を示す斜視図、図8は筐体の前側部付近の構成を示す斜視図、である。
【0018】
まず、本発明の一実施形態に係るエンジン発電機1の全体的な構成について説明する。なお、各図に適宜記載する矢印Aの方向を前方向として、前後および左右方向を規定する。
【0019】
図1、図2に示すように、エンジン発電機1はインバータ式エンジン発電機である。エンジン発電機1には、筐体5、エンジン2、発電機3、インバータ4、冷却ファン17、ラジエータ6、燃料タンク7、エアクリーナ16、マフラー18、制御装置、バッテリ24等が備えられる。
【0020】
筐体5は、エンジン発電機1の外装部材であり、エンジン2や発電機3等の各機器を内部に設けるものである。筐体5は、底部に備えるベース8と、上部に備えるカバー9と、で構成される。
【0021】
エンジン2は、筐体5内部の各機器の駆動源となるものである。エンジン2は、筐体5の内部の略中央に配置され、ベース8の上面上に図示せぬ防振部材を介して支持される。
【0022】
発電機3は、エンジン2の動力によって駆動され、発電を行うものである。発電機3は、エンジン2の前方であって、バッテリ24の後方に配置される。
【0023】
インバータ4は、発電機3により発電された電力を整流した後に、所定の周波数の交流電力に変換して出力するものである。インバータ4は、エンジン2の右前方に配置されるとともに、筐体5の右側部、即ちカバー9の右側板9bの前側近傍に配置される。
【0024】
冷却ファン17は、筐体5の内部に外気を取り込むものである。冷却ファン17は、筐体5の内部でエンジン2の後方であって、ラジエータ6の前方に配置され、エンジン2の動力によって駆動される。
【0025】
ラジエータ6は、エンジン2内を循環させる冷却水を冷却するものである。ラジエータ6は、筐体5の内部で冷却ファン17の後方であって、燃料タンク7の上方に配置され、連通管19・20を介してエンジン2と接続される。
【0026】
燃料タンク7は、エンジン2に供給する燃料を貯溜するためのものである。燃料タンク7は、エンジン2の後方であって、ラジエータ6の下方付近に配置される。
【0027】
エアクリーナ16は、外気を浄化してエンジン2に供給するものである。エアクリーナ16は、エンジンの左前方であって、バッテリ24の上方付近に配置され、吸気管22を介してエンジン2と接続される。
【0028】
マフラー18は、エンジン2の排気音を消音するものである。マフラー18は、ラジエータ6の後方であって、燃料タンク7の上方に配置され、排気管21を介してエンジン2と接続される。
【0029】
マフラー18からはテールパイプ18aが上方へ向けて筐体の天井部、即ちカバーの天井板9d付近まで延出され、その延出端部で外部に臨むように開口される。そして、エンジン2からの排気ガスが、排気管21を介してマフラー18を経由し、テールパイプ18aから筐体5の外部へ排出可能とされる。
【0030】
制御装置はエンジン2や発電機3の制御を行うものである。制御装置は発電機3の前方であって、バッテリ24の上方に配置されるとともに、筐体5の前側部、即ちカバー9の前側板9aの前側近傍に配置される。
【0031】
コントロールパネル10は、エンジン発電機1の起動等の操作や運転状態等の表示を行うものである。コントロールパネル10は、制御装置の前方に配置され、筐体5の前側部、即ちカバー9の前側板9aの上部において外部に露出される。コントロールパネル10にはエンジン発電機1の運転を操作するためのスイッチ類や、運転状況を表示するためのモニター等が備えられる。
【0032】
バッテリ24は、エンジン2の始動時に図示せぬスタータ、インバータ4の制御部、後述するコントロールパネル10等に電力を供給するものである。バッテリ24は、ベース8の前部に配置される。
【0033】
このようにして、エンジン発電機1においては、各機器が筐体5の内部に設けられる。そして、燃料タンク7から燃料が供給され、エアクリーナ16を経由して空気が供給されて、エンジン2が始動される。エンジン2の動力により発電機3が駆動され、発電が行われる。発電機3により発電された電力が、インバータ4・4により整流された後、所定の周波数の交流電力に変換されて出力される。
【0034】
次に、筐体5、および、その内部の構成について詳細に説明する。
【0035】
図1、図2、図3に示すように、筐体5は、前述のごとく、ベース8とカバー9とで構成される。ベース8は筐体5の底部に備えられ、平面視矩形状とされる。カバー9は筐体5の上部に備えられ、下向きに開口する直方体形状の箱体とされて、ベース8に上方から被装される。
【0036】
筐体5の前側部、即ちカバー9の前側板9aには第二冷却風導入口11が設けられる。第二冷却風導入口11は開口部11a・11a・・・群で構成され、前側板9aの右下側に配置される。そしてこの第二冷却風導入口11を介して筐体5の外部と内部とが連通され、冷却ファン17がエンジン2により駆動された場合に、外気が冷却風として筐体5の内部に取込可能とされる。
【0037】
筐体5の右側部、即ちカバー9の右側板には上下の第一冷却風導入口12が設けられる。上第一冷却風導入口12Aは開口部12a・12a・・・群で構成され、右側板の前上側に配置される。下第一冷却風導入口12Bは開口部12b・12b・・・群で構成され、右側板の前下側で上第一冷却風導入口12Aの下方に配置される。そして、これらの第一冷却風導入口12を介して筐体5の外部と内部とが連通され、冷却ファン17がエンジン2により駆動された場合に、外気が冷却風として筐体5の内部へ取込可能とされる。
【0038】
筐体5の天井部(上側部)、即ちカバー9の天井板9dには冷却風排出口14が設けられる。冷却風排出口14は開口部14a・14a・・・群で構成され、天井板9dの後側に配置される。そして、この冷却風排出口14を介して筐体5の内部と外部とが連通され、冷却ファン17がエンジン2により駆動された場合に、筐体5の内部に取り込まれた冷却風が筐体5の外部へ排出可能とされる。
【0039】
筐体5の内部において、上下の第一冷却風導入口12A・12Bと、冷却風排出口14と、の間に前後方向に延びる冷却風通路が形成される。同様に、第二冷却風導入口11と、冷却風排出口14と、の間に前後方向に延びる冷却風通路が形成される。こうして、上下の第一冷却風導入口12A・12Bまたは第二冷却風導入口11から取り込まれた冷却風が冷却風通路を通って冷却風排出口14まで流れる構成とされる。
【0040】
このような冷却風通路の前後中途部にエンジン2が配置される。エンジン2はクランク軸の軸方向を前後方向として、筐体5の内部の略中央に配置される。そして、このエンジン2よりも前方の空間が冷却風通路の上流と設定され、エンジン2よりも後方の空間が冷却風通路の下流と設定される。
【0041】
冷却風通路の上流には、発電機3と、インバータ4と、エアクリーナ16と、がエンジン2を前方から囲むように配置される。冷却風通路の上流において、発電機3はエンジン2の前方で筐体5の内部の中央前寄りに配置され、第二冷却風導入口11と近接するように設けられる。発電機3はエンジン2の前部から前方へ向けて突出されるクランク軸に連動連結される。
【0042】
インバータ4はエンジン2の右前方で筐体5の内部の右前側に配置され、カバー9の右側板9b近傍で上下の第一冷却風導入口12A・12Bと対向するように設けられる。本実施形態においては、インバータ4・4は上下に二つ備えられ、上インバータ4が上第一冷却風導入口12Aと対向し、下インバータ4が下第一冷却風導入口12Bと対向するように設けられる。上下のインバータ4・4は後述の支持部材13を介して筐体5に取り付けられる。
【0043】
エアクリーナ16は長手方向を上下方向として、エンジン2の左前方で筐体5の内部の左前上側に配置され、カバー9の左側板9c近傍で第二冷却風導入口11と近接するように設けられる。エアクリーナ16はその上部でエンジン2の吸気側に筐体5の内部の左側で前後方向に延設された吸気管22を介して接続される。
【0044】
一方、冷却風通路の下流には、燃料タンク7と、ラジエータ6と、マフラー18と、がエンジン2を後方から囲むように配置される。冷却風通路の下流において、燃料タンク7はエンジン2の下後方で筐体5の内部の後側に配置され、冷却風排出口14の下方に設けられる。燃料タンク7は、図4にも示すように、直方体形状の箱体とされ、長手方向を横方向、即ち左右方向としてその方向に筐体5いっぱいに延長され、横長形状とされる。
【0045】
ラジエータ6は、エンジン2の後方で筐体5の内部の後側に配置され、冷却風排出口14の下方に設けられる。ラジエータ6は、図4にも示すように、長手方向を横方向、即ち左右方向としてその方向に延長されて、燃料タンク7と同じく横長形状とされ、燃料タンク7の上方付近でこれと並置される。ラジエータ6の前面には筒状のファンカバー6aが一体的に設けられ、これに冷却ファン17が被装される。
【0046】
マフラー18はエンジン2の後方で筐体5の内部の後側に配置され、冷却風排出口14の下方に設けられる。マフラー18は長手方向を横方向、即ち左右方向としてその方向に延長されて、燃料タンク7とともに横長形状とされ、燃料タンク7の上方、かつ、ラジエータ6の後方でこれらと並置される。マフラー18は右上部でエンジン2の排気側に筐体5の内部の右側で前後方向に延設された排気管21を介して接続される。
【0047】
このような構成により、冷却ファン17がエンジン2により駆動される場合に、外気が冷却風として第一冷却風導入口12、および、第二冷却風導入口11から前記筐体5の内部に取り込まれる。そして、第一冷却風導入口12から取り込まれた冷却風は、まず冷却風通路の上流に位置するインバータ4・4に向かって流れ、ついでエンジン2や排気管21等の周辺を経由して冷却風通路に位置するラジエータ6等に向かって流れ、最後に冷却風排出口14から筐体5の外部に排出される。
【0048】
また、第二冷却風導入口11から取り込まれた冷却風は、まず冷却風通路の上流に位置する発電機3やエアクリーナ16に向かって流れ、ついでエンジン2等の周辺を経由して冷却風通路に位置するラジエータ6等に向かって流れ、最後に冷却風排出口14から筐体5の外部に排出される。こうして、外気が冷却風として第一冷却風導入口12、および、第二冷却風導入口11から前記筐体5の内部に取り込まれ、特に冷却が必要なインバータ4・4やエアクリーナ16等の機器から順に冷却しながら、冷却風通路の上流から下流に向かって流れ、冷却風排出口14から筐体の外部に排出される。
【0049】
次に、筐体5の右側部の前側付近の構成について説明する。
【0050】
図3、図5、図6、図7に示すように、筐体5の右側部、即ちカバー9の右側板9bの前側には前述のように開口部12a・12a・・・群からなる上第一冷却風導入口12Aと、開口部12b・12b・・・群からなる下第一冷却風導入口12Bと、が上下に設けられる。上第一冷却風導入口12Aと下第一冷却風導入口12Bとは互いに同一形状とされ、上下方向に所定の間隔をとって配置される。
【0051】
また、筐体5の内部でカバー9の右側板9bの前側近傍に、二つのインバータ4・4が上下に設けられる。上インバータ4は上第一冷却風導入口12Aと対向するようにカバー9の右側板9bと並置され、下インバータ4は下第一冷却風導入口12Bと対向するようにカバー9の右側板9bと並置される。同時に、上下のインバータ4・4は正面視において上下方向に延びる同一直線上に所定の間隔をとって配置される。
【0052】
上下のインバータ4・4とカバー9の右側板9bとの間には支持部材13が設けられる。支持部材13には外板13bと枠体13aとが備えられ、上下のインバータ4・4がそれぞれ支持される。外板13bは、ベース8とカバー9の天井板9dとの間に介設され、前部および後部を左側方へ屈曲したうえで、上下のインバータ4・4を前後、および、右側方から覆い囲むように配置される。枠体13aは外板13bに取り付けられ、カバー9の右側板9bと当接するように配置される。
【0053】
外板13bの上部および下部にはそれぞれ上下の連通口13c・13cが枠体13aの内側方に位置するように設けられる。上下の連通口13c・13cはそれぞれ矩形状とされ、上下の第一冷却風導入口12および上下のインバータ4・4、特にそのヒートシンク部4a・4aと対向するように設けられる。ここで、ヒートシンク部4a・4aは上インバータ4ではその右側面の上側に備えられ、下インバータ4ではその右側面の下側に備えられる。
【0054】
こうして、支持部材13において、前記冷却風通路の一部をなす第一ダクト31が、右側板9bと外板13bとの間において枠体13aで囲まれる空間と、外板13bで囲まれる空間(外板13bと上下のインバータ4・4とで囲まれる空間)と、これらの空間を連通する上下の連通口13c・13cとで、上下の第一冷却風導入口12から上下のインバータ4・4に向けて延びるように形成され、第一冷却風導入口12と連通されるとともに、筐体5の内部空間と連通される。
【0055】
さらに、上インバータ4の右側面の下側と外板13bとの間にスポンジ部材等からなる上仕切部材23が設けられる。上仕切部材23は前後方向に延長され、上連通口13cと同程度の左右幅をもってその下方に配置される。そして、上仕切部材23はその左右両面でそれぞれインバータ4・4と外板13bに当接され、前後両面でそれぞれ外板13bの屈曲部分と当接され、この上仕切部材23により外板で囲まれる空間が上下方向に閉塞される。
【0056】
下インバータ4の右側面の上側と外板13bとの間にスポンジ部材等からなる下仕切部材23が設けられる。下仕切部材23は前後方向に延長され、上連通口13cと同程度の左右幅をもってその上方に配置される。そして、下仕切部材23がその左右両面でそれぞれ下インバータ4と外板13bに当接され、前後両面でそれぞれ外板13bの屈曲部分と当接されて、この下仕切部材23により外板13bで囲まれる空間が上下方向に閉塞される。
【0057】
こうして、第一ダクト31において、外板13bで囲まれる空間が上仕切部材23により上下に隔てられ、上仕切部材23よりも上方の空間のみが上連通口13cを介して枠体13aで囲まれる空間と連通される。同様に、外板13bで囲まれる空間が下仕切部材23により上下に隔てられ、下仕切部材23よりも下方の空間のみが下連通口13cを介して枠体13aで囲まれる空間と連通される。これにより、第一ダクト31が外板13bで囲まれる空間では上下に分けられる。
【0058】
このような構成により、冷却ファン17がエンジン2により駆動された場合に、外気が冷却風として上下の第一冷却風導入口12から前記筐体5の内部に取り込まれ、第一ダクト31に流入される。図6および図7の矢印bに示すように、冷却風は枠体13aで囲まれる空間から上下の連通口13cに分かれて流れ、一部が上連通口13cから外板13bで囲まれる空間の上側に流れ、残部が下連通口13cから外板13bで囲まれる空間の下側に流れる。
【0059】
上下に分流された冷却風のうち、上連通口13cからの冷却風は、外板13bで囲まれる空間において、図6および図7の矢印bに示すように、冷却風通路の上流側に位置する上インバータ4のヒートシンク部4aに導かれる。このとき、外板13bで囲まれる空間が上連通口13cの下方で上仕切部材23によりに閉塞されていることから、冷却風の下方へ向けての流れは遮られる。そのため、冷却風がヒートシンク部4aに沿って上方に向けて案内され、上インバータ4の上方から排気管21の上方に向けて送られる。
【0060】
上下に分流された冷却風のうち、下連通口13cからの冷却風は、外板13bで囲まれる空間において、図6および図7の矢印bに示すように、冷却風通路の上流側に位置する下インバータ4のヒートシンク部4aに導かれる。このとき、外板13bで囲まれる空間が下連通口13cの上方で下仕切部材23によりに閉塞されていることから、冷却風の上方へ向けての流れは遮られる。そのため、冷却風がヒートシンク部4aに沿って下方に向けて案内され、下インバータ4の上方から排気管21の下方に向けて送られる。
【0061】
次に、筐体5の前側部付近の構成について説明する。
【0062】
図2および図8に示すように、筐体5の前側部、即ちカバー9の前側板9aには、その上部および下部に正面視矩形状の開口部26・27が設けられる。上側の開口部26はコントロールパネル10で閉塞され、下側の開口部27は板材28で閉塞される。板材28は前側板9aの一部としてカバー9本体に着脱可能に取り付けられる。そしてこの板材28の右側に、前述のように開口部11a・11a・・・群からなる第二冷却風導入口11が設けられる。
【0063】
また、板材28の右側にはその後面(裏面)から案内部材25が取り付けられる。案内部材25は、前向き、即ち第二冷却風導入口11向きおよび上向きに開口する箱状に構成され、前側開口部27が第二冷却風導入口11と対向するように配置される。案内部材25の底部は前低後高状に傾斜するように形成される。
【0064】
案内部材25の左右および上下幅は第二冷却風導入口11の左右および上下幅よりも大きく設定され、案内部材25により第二冷却風導入口11が後方から被覆される。こうして、冷却風通路の一部をなす第二ダクト32が、案内部材25に前記第二冷却風導入口11から前記筐体5の内部上側に延びるように形成され、第二冷却風導入口11と連通されるとともに、筐体5の内部空間と連通される。
【0065】
このような構成により、冷却ファン17がエンジン2により駆動された場合に、外気が冷却風として第二冷却風導入口11から筐体5の内部に取り込まれ、第二ダクト32に流入される。図2の矢印aに示すように、冷却風は案内部材25の底部の傾斜面に沿って上方に向けて案内され、まず冷却風通路の上流側に位置するエアクリーナ16や発電機3に向けて送られる。
【0066】
以上のように、本発明の一実施形態に係るエンジン発電機1は、エンジン2と、前記エンジン2により駆動されて発電を行う発電機3と、前記発電機3により発電された電力を交流に変換して出力するインバータ4と、前記エンジン2と前記発電機3の制御を行う制御装置と、前記エンジン2へ供給する燃料を貯溜する燃料タンク7と、前記エンジン2へ供給する空気を浄化するエアクリーナ16と、前記エンジン2の排気音を消音するマフラー18と、前記エンジン2の冷却水を冷却するラジエータ6と、これらの機器を内部に設ける筐体5とを備えたものであって、前記エンジン2の一側方で、前記筐体5の前および右側部、即ちカバー9の前および右側板9a・9bに冷却風導入口11・12を設け、前記エンジン2の他側方で、前記筐体5の上側部(天井部)、即ちカバー9の天井板9dに冷却風冷却風排出口14を設け、前記筐体5の内部で前記冷却風導入口11・12と前記冷却風排出口14との間に冷却風通路を形成し、前記冷却風通路のエンジン2よりも上流側に、前記発電機3と、前記インバータ4と、前記エアクリーナ16とを配置し、前記冷却風通路のエンジン2の下流側に、前記燃料タンク7と、前記ラジエータ6と、前記マフラー18とを配置し、前記エンジン2の冷却ファン17を当該エンジン2により駆動する場合に、外気を冷却風として前記冷却風導入口11・12から前記筐体5の内部に取り込み、前記冷却風通路の上流から下流に向かって流し、前記冷却風排出口14から前記筐体5の外部に排出するように構成したものとされる。
【0067】
これにより、特に冷却する必要があるインバータ4やエアクリーナ16を比較的に温度が低い冷却風に冷却することが可能となる。したがって、各機器を必要に応じて効率よく冷却でき、冷却風による冷却効果の向上を図ることができる。また、エンジン2を挟み囲むようにその他の機器が配置されることとなる。したがって、その他の機器をコンパクトに配置することができるとともに、防音壁として利用し、エンジン2の騒音の低減を図ることができる。
【0068】
本発明の一実施形態に係るエンジン発電機1は、また、前記筐体5の側部の上下両側にそれぞれ前記冷却風導入口11・12に含まれる上下の第一冷却風導入口12を設け、前記筐体5の内部に二つの前記インバータ4・4を上下に設けて、それぞれ前記上下の第一冷却風導入口12と対向するように前記筐体5の側部と並置し、前記上下のインバータ4・4と前記筐体5の側部との間に支持部材13を並置して、前記支持部材13に前記冷却風通路の一部をなす第一ダクト31を上下の第一冷却風導入口12から上下のインバータに向けて延びるように形成し、前記第一冷却風導入口12からの冷却風を前記第一ダクト31に流入させ、前記上下のインバータ4・4に沿って上方または下方に向けて案内するように構成したものとされる。
【0069】
これにより、冷却風を上下のインバータ4・4に向けて第一ダクト31を通じて送ることが可能となる。したがって、上下のインバータ4・4を冷却風により効率よく冷却して、冷却風による冷却効果の向上を図ることができる。また、第一冷却風導入口12の内側に第一ダクト31を有するダクト構造が設けられることとなる。したがって、この第一冷却風導入口12から筐体5の外部へ漏れる騒音を低減することができる。
【0070】
本発明の一実施形態に係るエンジン発電機1は、また、前記第一ダクト31の内部に、前記第一冷却風導入口12からの冷却風を上下に分流させる仕切部材23を設け、前記第一ダクト31に流入した冷却風の一部を前記上側のインバータ4に沿って上方に案内し、前記第一ダクト31に流入した冷却風の残部を前記下側のインバータ4に沿って下方に案内するように構成したものとされる。
【0071】
これにより、冷却風を上下のインバータ4・4に上下に分流させ、均等な風量の冷却風を上下のインバータ4・4に向けて送ることが可能となる。したがって、上下のインバータを冷却風により均一に冷却して、冷却風による冷却効果の偏りを軽減することができる。
【0072】
本発明の一実施形態に係るエンジン発電機1は、また、前記筐体5の側部、即ちカバー9の前側板9aの下側に前記冷却風導入口11・12に含まれる第二冷却風導入口11を設け、前記筐体5の内部に前記第二冷却風導入口11向きおよび上向きに開口する箱状の案内部材25を設けて、前記第二冷却風導入口11と対向するように前記筐体5の側部の下側と並置し、前記案内部材25に前記冷却風通路の一部をなす第二ダクト32を前記第二冷却風導入口11から前記筐体5の内部上側に延びるように形成し、前記第二冷却風導入口11と前記第二ダクト32とを連通して、この第二冷却風導入口11からの冷却風を前記第二ダクト32に流入させ、前記案内部材25に沿って上方に向けて案内するように構成したものとされる。
【0073】
これにより、第二冷却風導入口11の内側に第二ダクト32を有するダクト構造が設けられることとなる。したがって、この第二冷却風導入口11から筐体5の外部へ漏れる騒音を低減することができる。
【0074】
本発明の一実施形態に係るエンジン発電機1は、また、前記ラジエータ6の長手方向を横方向として、前記燃料タンク7の長手方向と一致させ、前記ラジエータ6を前記燃料タンク7と並置したものとされる。
【0075】
これにより、ラジエータ6および燃料タンク7を筐体5の内部でコンパクトに配置しながら、ラジエータ6の冷却容量を必要なだけ確保することができるとともに、燃料タンク7の大容量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】エンジン発電機における筐体の外部の構成を示す斜視図。
【図2】エンジン発電機における筐体の内部の構成を示す斜視図。
【図3】筐体の右側部の一部構成を示す側面図。
【図4】筐体の内部の後側の構成を示す背面図。
【図5】筐体の右側部の前側付近の構成を示す側面図。
【図6】筐体の右側部の前側付近の構成を示す正面断面図。
【図7】筐体の右側部の前側付近の構成を示す斜視図。
【図8】筐体の前側部付近の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0077】
1 エンジン発電機
2 エンジン
3 発電機
4 インバータ
5 筐体
6 ラジエータ
7 燃料タンク
11 第二冷却風導入口
12 第一冷却風導入口
12A 上第一冷却風導入口
12B 下第一冷却風導入口
13 支持部材
14 冷却風排出口
16 エアクリーナ
18 マフラー
23 仕切部材
25 案内部材
31 第一ダクト
32 第二ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンにより駆動されて発電を行う発電機と、
前記発電機により発電された電力を交流に変換して出力するインバータと、
前記エンジンと前記発電機の制御を行う制御装置と、
前記エンジンへ供給する燃料を貯溜する燃料タンクと、
前記エンジンへ供給する空気を浄化するエアクリーナと、
前記エンジンの排気音を消音するマフラーと、
前記エンジンの冷却水を冷却するラジエータと、
これらの機器を内部に設ける筐体と、
を備えたエンジン発電機において、
前記エンジンの一側方で、前記筐体の側部に冷却風導入口を設け、
前記エンジンの他側方で、前記筐体の側部に冷却風排出口を設け、
前記筐体の内部で前記冷却風導入口と前記冷却風排出口との間に冷却風通路を形成し、
前記冷却風通路のエンジンよりも上流側に、前記発電機と、前記インバータと、前記エアクリーナと、を配置し、
前記冷却風通路のエンジンの下流側に、前記燃料タンクと、前記ラジエータと、前記マフラーと、を配置し、
前記エンジンの冷却ファンを当該エンジンにより駆動する場合に、外気を冷却風として前記冷却風導入口から前記筐体の内部に取り込み、前記冷却風通路の上流から下流に向かって流し、前記冷却風排出口から前記筐体の外部に排出するように構成した
ことを特徴とするエンジン発電機。
【請求項2】
前記筐体の側部の上下両側にそれぞれ前記冷却風導入口に含まれる上下の第一冷却風導入口を設け、
前記筐体の内部に二つの前記インバータを上下に設けて、それぞれ前記上下の第一冷却風導入口と対向するように前記筐体の側部と並置し、
前記上下のインバータと前記筐体の側部との間に支持部材を並置して、
前記支持部材に前記冷却風通路の一部をなす第一ダクトを上下の第一冷却風導入口から上下のインバータに向けて延びるように形成し、
前記冷却風導入口からの冷却風を前記第一ダクトに流入させ、前記上下のインバータに沿って上方または下方に向けて案内するように構成した
ことを特徴とする、請求項1に記載のエンジン発電機。
【請求項3】
前記第一ダクトの内部に、前記第一冷却風導入口からの冷却風を上下に分流させる仕切部材を設け、
前記第一ダクトに流入した冷却風の一部を前記上側のインバータに沿って上方に案内し、
前記第一ダクトに流入した冷却風の残部を前記下側のインバータに沿って下方に案内するように構成した
ことを特徴とする、請求項2に記載のエンジン発電機。
【請求項4】
前記筐体の側部の下側に前記冷却風導入口に含まれる第二冷却風導入口を設け、
前記筐体の内部に前記第二冷却風導入口向き、および、上向きに開口する箱状の案内部材を設けて、前記第二冷却風導入口と対向するように前記筐体の側部の下側と並置し、
前記案内部材に前記冷却風通路の一部をなす第二ダクトを前記第二冷却風導入口から前記筐体の内部上側に延びるように形成し、
前記第二冷却風導入口と前記第二ダクトとを連通して、この第二冷却風導入口からの冷却風を前記第二ダクトに流入させ、前記案内部材に沿って上方に向けて案内するように構成した
ことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエンジン発電機。
【請求項5】
前記ラジエータの長手方向を横方向として、前記燃料タンクの長手方向と一致させ、
前記ラジエータを前記燃料タンクと並置した
ことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエンジン発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−106697(P2010−106697A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277335(P2008−277335)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(000253075)澤藤電機株式会社 (31)