説明

エンジン発電機

【課題】筐体の小型化を図りながら、エアクリーナのメンテナンス作業を容易に行うことができるエンジン発電機を提供する。
【解決手段】エアクリーナ8をその長手方向を上下方向として、筐体10の内部の上側で前記制御装置の外装部材である制御ボックス31と対向するように配置するとともに、外装部材である制御ボックス31の対向側の一部が前記制御装置の内側に凹むように形成して、この凹んだ部分(凹部33)にエアクリーナ8の少なくとも一部を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン発電機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン、発電機、制御装置、エアクリーナ等を筐体に内部に設けたエンジン発電機は公知となっている。このようなエンジン発電機において、エアクリーナはその長手方向を水平方向、即ち横向きとして、筐体の内部でエンジンの上方に配置され、前記エンジンの上面に接続部材を介して固定されている(例えば、特許文献1参照。)。そして、前記エアクリーナのエレメントの交換を行うためのメンテナンス用スペースが、エアクリーナの横側方に設けられている。
【特許文献1】特開2008−14164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のようなエンジン発電機において、エアクリーナのメンテナンス用スペースをできるだけ小さくすれば、筐体の小型化を図ることができる。しかし、このようにエアクリーナのメンテナンス用スペースを犠牲にして、筐体の小型化を図った場合、エアクリーナ、ひいてはエンジン発電機全体のメンテナンス作業が困難となる。
【0004】
そこで本発明は、筐体の小型化を図りながら、エアクリーナのメンテナンス作業を容易に行うことができるエンジン発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち請求項1においては、エンジンと、前記エンジンにより駆動されて発電を行う発電機と、前記発電機により発電された電力を交流に変換して出力するインバータと、前記エンジンと前記発電機の制御を行う制御装置と、前記エンジンに供給される空気を浄化処理するエアクリーナと、これらの部材を内部に設ける筐体とを備えたエンジン発電機において、前記エアクリーナをその長手方向を上下方向として、前記筐体の内部の上側で前記制御装置の外装部材と対向するように配置するとともに、前記外装部材の対向側の一部が前記制御装置の内側に凹むように形成して、この凹んだ部分に前記エアクリーナの少なくとも一部を配置したものである。
【0007】
請求項2においては、前記筐体の側部に、少なくとも一つの開口部と、この開口部を開閉可能な開閉扉と、この開口部に臨み当該筐体の底部と天井部との間に介設される円柱形状の支持部材とを備え、前記エアクリーナを前記支持部材の上側に取り付けたものである。
【0008】
請求項3においては、前記筐体の内部に設けられた内部燃料タンク、または前記筐体の外部に設けられた外部燃料タンクから燃料配管を介して前記エンジンへ燃料を供給可能とし、前記燃料配管の中途部に燃料供給切換手段を設けて、この燃料供給切換手段により、前記エンジンへの燃料の供給元を前記内部燃料タンクと、前記外部燃料タンクとのいずれか一方に切換可能に構成したものである。
【0009】
請求項4においては、前記筐体の底部に下向きに開口するチャンネル形状の嵌合部材を少なくとも二つ一体的に組み込み、これらの嵌合部材をそれぞれ横方向に延長して互いに所定間隔をとって平行に配置したものである。
【0010】
請求項5においては、前記嵌合部材に複数の筐体固定用孔を横向きに開口したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、エアクリーナの下方にそのメンテナンス用スペースを形成して、エアクリーナのメンテナンス作業を下方から行うことが可能となる。したがって、エアクリーナのメンテナンス作業を容易に行うことができる。しかも、筐体の内部でエアクリーナのメンテナンス用スペースを横方向にとる必要がなくなり、筐体の小型化を図ることができる。
【0013】
請求項2においては、エアクリーナのメンテナンス作業を筐体の外部から開口部を通じて行うことが可能となる。さらに、このような開口部を通じたメンテナンス作業時に、角部を有する支持部材に比べて、支持部材に引っかかることがなくなる。したがって、エアクリーナのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0014】
請求項3においては、筐体の内部または外部の燃料タンクのいずれか一方を選択して、燃料をエンジンへ供給することが可能となる。したがって、内部燃料タンクに比べて容量の大きい外部燃料タンクから燃料をエンジンへ供給するなどして、エンジン発電機の運転時間を任意に延長することができる。また、エンジンへの燃料の供給元を燃料供給切換手段を用いて容易に切り換えることができる。
【0015】
請求項4においては、フォークリフトのフォークを嵌合部材に嵌合させることが可能となる。したがって、このフォークリフトにより筐体、ひいてはエンジン発電機全体を移動させることができる。また、フォークリフトのフォークを嵌合させるためのフォーク孔を有する他の部材を筐体に別途設けることなく、筐体の底部の一部をなす嵌合部材をフォーク孔として利用することが可能となる。したがって、部品点数を削減して、コストの低減化を図ることができる。
【0016】
請求項5においては、他の部材を筐体に別途設けることなく、筐体の底部の一部をなす嵌合部材に形成した孔を筐体固定用手段として利用することが可能となる。したがって、部品点数を削減して、コストの低減化を図ることができる。また、他の部材を筐体固定用手段として筐体に別途設けて当該筐体の底部に溶接により固定した場合、溶接部分に負荷がかかると亀裂が入る不具合が発生することあるが、このような不具合をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、発明の実施の例を説明する。
図1はエンジン発電機における筐体の外部の構成を示す斜視図、図2はエンジン発電機における筐体の開閉扉を開けた状態の構成を示す斜視図、図3はエンジン発電機における筐体の内部の構成を示す斜視図、図4はエアクリーナの取付構成を示す斜視図、図5は燃料系統の構成を説明する図、図6は燃料系統の別実施例の構成を説明する図、図7は筐体のベースの構成を示す斜視図である。
【0018】
以下では、図1、図2および図3を用いて本発明に係るエンジン発電機の実施の一例であるエンジン発電機1について説明する。
なお、図1に示す矢印Dの方向を前方向として、前後および左右方向を規定する。
【0019】
エンジン発電機1は、インバータ式エンジン発電機である。エンジン発電機1には、筐体10、バッテリ2、エンジン3、発電機4、インバータ5、冷却ファン、ラジエータ7、エアクリーナ8、内部燃料タンク9aおよびマフラー50が備えられる。
【0020】
筐体10は、エンジン発電機1の外装部材であり、筐体10の内部に前述のエンジン3や発電機4等の各機器を設けるものである。筐体10は、底部に備えるベース20と、上部に備えるカバー19とで構成される。
【0021】
バッテリ2は、エンジン3の始動時に図示せぬスタータ、インバータ5の制御部、後述するコントロールパネル30等に電力を供給するものである。バッテリ2は、筐体10の内部でベース20の前部に配置される。
【0022】
エンジン3は、エンジン発電機1の駆動源となるものである。エンジン3は、筐体10の内部の略中央部に配置され、ベース20の上面上に図示せぬ防振部材を介して支持される。
【0023】
発電機4は、エンジン3の動力によって駆動され、発電するものである。発電機4は、エンジン3の前方であって、バッテリ2の後方に配置される。
【0024】
インバータ5は、発電機4により発電された電力を整流した後に、所定の周波数の交流電力に変換して出力するものである。インバータ5は、エンジン3の右前方に配置されるとともに、筐体10の右側部、即ちカバー19の右側面の前側近傍に配置される。
【0025】
前記冷却ファンは、筐体10の内部に外気を取り込むものである。前記冷却ファンは、エンジン3の後方であって、ラジエータ7の前方に配置され、エンジン3の動力によって駆動される。
【0026】
ラジエータ7は、エンジン3内を循環させる冷却水を冷却するものである。ラジエータ7は、前記冷却ファンの後方であって、内部燃料タンク9aの上方付近に配置され、連通管を介してエンジンと接続される。
【0027】
エアクリーナ8は、外気を浄化してエンジン3に供給するものである。エアクリーナ8は、筐体10の内部でバッテリ2の後方であって、筐体10の内部の上方に配置される。
【0028】
内部燃料タンク9aは、エンジン3に燃料を供給するために筐体10の内部に設けられるものである。内部燃料タンク9aは、ラジエータ7の下方付近に配置される。
【0029】
マフラー50は、エンジン3の排気音を消音するものである。マフラー50は、ラジエータ7の後方であって、内部燃料タンク9aの上方に配置され、排気管を介してエンジン3と接続される。
【0030】
マフラー50からはテールパイプ3aが筐体10の天井部、即ちカバーの上板10e付近までは上方へ向けて延出され、その延出端部で外部に臨むように開口される。そして、エンジン3からの排気ガスが、前記排気管を介してマフラー50を経由し、テールパイプ3aから筐体10の外部へ排出可能とされる。
【0031】
制御装置はエンジンや発電機等の制御を行うものである。前記制御装置は筐体10の発電機4の前方であって、バッテリ2の上方に配置されるとともに、筐体10の前側部、即ちカバー19の前側板10a近傍に配置される。
【0032】
コントロールパネル30は、エンジン発電機1の起動等の操作や運転状態等の表示を行うものである。コントロールパネル30は、前記制御装置の前方に配置され、カバー19の前側板10aの上部において外部に露出される。
【0033】
このようにして、エンジン発電機1においては、各機器が筐体10の内部に設けられる。そして、内部燃料タンク9aから燃料が供給され、エアクリーナ8から空気が供給されて、エンジン3が始動される。エンジン3の動力により発電機4が駆動され、発電が行われる。発電機4により発電された電力が、インバータ5により整流された後、所定の周波数の交流電力に変換されて出力される。
【0034】
次に、前述した筐体10についてさらに詳しく説明する。
筐体10は、筐体10の内部でベース20の上側にバッテリ2やエンジン3等を配置するものである。筐体10は、その底部を構成するベース20とその上側を構成するカバー19から形成される。カバー19は、前側板10a、左側板10b、右側面および後側面がそれぞれベース20の前、左右および後端部より略垂直に構成され、上板10eが筐体10の上端部で箱蓋状に構成される。
筐体10では、その内部にバッテリ2やエンジン3等が設けられるほかに、上部フレーム11、冷却風導入口14、冷却風排出口15、給油口16、連結口17a・17b、コントロールパネル30および制御ボックス31等が設けられる。
【0035】
上部フレーム11は、ベース20の前後方向中央部で左側から立設したセンタービーム13上端部と、ベース20の前後方向中央部で右側から立設したセンターフレーム18の上端部との間に左右方向に架設され、上板10eを下方から支持するものである。上部フレーム11は、断面視略U字状に折り曲げ形成され、左右略中央部にはエンジン発電機1を吊り上げて移動するための係止具11aが設けられ、移動する時にはクレーン等のフックを係止具11aに係止して持ち上げることができる。
【0036】
冷却風導入口14は、バッテリ2やエンジン3等を冷却するための外気を前記冷却ファンの駆動により筐体10の内部へ取り込む入口となるものである。冷却風導入口14は、前側板10aに上下方向略中央部から下部に渡って設けられる。
【0037】
冷却風排出口15は、冷却風導入口14から筐体10の内部に取り込んだ外気を、バッテリ2やエンジン3等を冷却した後に筐体10外部へ排気する出口となるものである。また、テールパイプ3aから排出されるエンジン3の排気ガスが冷却風排出口15から排気される。冷却風排出口15は、上板10eの後部に網目状に設けられる。
【0038】
給油口16は、内部燃料タンク9aに連通され、前記給油口16から燃料を給油するものである。給油口16には、給油口キャップ16aが被せられる。給油口16は、左側板10bの外側であって、開口部12の後方に設けられる。
【0039】
連結口17aは、筐体10外部からエンジン3に燃料を供給するために、筐体10外部に設けられる外部燃料タンク9bと筐体10とを燃料配管を介して連通させるものである。
連結口17bは、外部燃料タンク9bから供給され筐体10の内部でドレン等される燃料を前記外部燃料タンク9bに戻すために、外部燃料タンク9bと筐体10とを燃料配管を介して連通させるものである。
連結口17a・17bは、給油口16近傍の左側板10bの外側で、開口部12と給油口16との間に設けられる。連結口17a・17bには、それぞれ連結口キャップ17cが着脱可能に被せられる。
【0040】
コントロールパネル30は、エンジン発電機1の起動等の操作や運転状態等の表示を行うものである。コントロールパネル30は、スイッチ類30aやモニター30b等で構成される。コントロールパネル30は、前側板10aの上部であって、冷却風導入口14の上方に配置される。
スイッチ類30aは、エンジン発電機1の起動等の操作を行うものであり、たとえば複数の操作スイッチ34・34・・・が設けられる。モニター30bは、運転状態等を表示するためのものである。
【0041】
制御ボックス31は、エンジン3と発電機4の制御を行う図示せぬ制御装置等を格納する外装部材である。前記制御装置は、操作スイッチ34・34・・・と電気的に接続される。制御ボックス31は、コントロールパネル30の後部に、前側板10aを介して筐体10の内部側に配置される。制御ボックス31は、板状の部材が組み合わさり略箱状に前記制御装置の外周部に備えられる。
【0042】
次に図3および図4を用いて、エアクリーナ8の配置構成について詳しく説明する。
【0043】
エアクリーナ8は、エアクリーナ8本体に図示せぬエレメントをその内部に収納し蓋部8aで抑える構造物である。蓋部8aは取り外し可能であり、蓋部8aを取り外すことで前記エレメントをエアクリーナ8本体から取り出して交換可能に構成される。
【0044】
図2に示す如く、エアクリーナ8は、長手方向を上下方向として、筐体10の内部の上側で、前記制御装置の外装部材である制御ボックス31に対向するように配置される。
【0045】
また、エアクリーナ8は、制御ボックス31の凹部33に配置される。
凹部33とは、制御ボックス31においてエアクリーナ8に対向する側の一部が内側(前記制御装置の各部材を収納する側)に凹むことにより形成されるものである。本実施例の制御ボックス31においては、従来制御ボックス31の左側面と後面とが交わる角(角部31a)を凹ますことで、凹部33が形成される。凹部33にエアクリーナ8の少なくとも一部を配置することで、エアクリーナ8および制御ボックス31の配置スペースをコンパクトにすることができる。
【0046】
以上の如く構成することにより、エアクリーナ8の下方にそのメンテナンス用スペースを形成して、エアクリーナ8のメンテナンス作業を下方から行うことが可能となる。したがって、エアクリーナ8のメンテナンス作業を容易に行うことができる。しかも、筐体10の内部でエアクリーナ8のメンテナンス用スペースを横方向にとる必要がなくなり、筐体10の小型化を図ることができる。
【0047】
また、エンジン発電機1は、筐体10の側部である左側板10bおよび前記右側面に少なくとも一つの開口部12を備える構成とすることができる。本実施例においては、左側板10bに開口部12が配置される。
【0048】
開口部12は、作業者が筐体10外部から内部のメンテナンス作業を行うものである。開口部12には開閉扉12aが設けられ、開口部12を臨んで円柱形状の支持部材としてセンタービーム13が設けられる。
【0049】
開閉扉12aは作業者が筐体10の内部をメンテナンス作業する際に開ける扉であり、開閉可能に構成される。開閉扉12aは、開閉扉12aを閉じた状態で開口部12の全部を覆うように構成される。
【0050】
センタービーム13は、開口部12の上下方向の剛性を高めるために略垂直に立設して構成される。センタービーム13は、筐体10の底部であるベース20と、筐体10の天井部、即ちカバー19の上板10e、ここでは上板19eを下側から支持する上部フレーム11との間に介設される。センタービーム13とベース20との接合部は、筐体10内側であって、開口部12の近傍に配置される。
【0051】
また、センタービーム13の上側に、エアクリーナ8を取り付けることができる。即ち、エアクリーナ8は、センタービーム13と固定部材8bを介して連結固定される。固定部材8bはプレート等を折り曲げて、前後一端をセンタービーム13の上部に溶接等により固設し、前後他端にエアクリーナ8を取り付けるのである。
【0052】
以上の如く構成することにより、エアクリーナ8のメンテナンス作業を筐体10の外部から開口部12を通じて行うことが可能となる。さらに、このような開口部12を通じたメンテナンス作業時に、角部を有する支持部材に比べて、円柱形状の支持部材であるセンタービーム13に引っかかることがなくなる。したがって、エアクリーナ8のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0053】
また、センタービーム13は、丸パイプ状の部材で形成される構成とすることができる。本実施例において丸パイプ状の部材であるセンタービーム13の上端は上部フレーム11の凹部内で開口され、下端はベース20で下方に開口されている。こうして、カバー19の上板10eに備える凹部11bから上部フレーム11の凹部に入り溜まった雨水は、センタービーム13内を通り、下方に流れて排出される構成としている。こうして、竪樋等を設けることなく、また、側板を汚すことなく雨水を排水することができるのである。
【0054】
次に図5を用いて、エンジン発電機1に係る燃料の経路を説明する。
【0055】
内部燃料タンク9aからエンジン3に燃料を供給するための燃料の経路は、主として内部燃料タンク9a、ウォータセパレータ43、フィードポンプ44、燃料フィルタ45および燃料噴射ポンプ46から構成される。
【0056】
内部燃料タンク9aは、前述の如くエンジン3に燃料を供給するために筐体10の内部に設けられるものである。内部燃料タンク9aの燃料は、燃料を供給する燃料配管である燃料供給ホース49aを介してウォータセパレータ43に送られる。
【0057】
ウォータセパレータ43は、燃料に含まれる水分を取り除くものである。ウォータセパレータ43に送られた燃料は、燃料供給ホース49bを介してフィードポンプ44に送られる。
【0058】
フィードポンプ44は、燃料を内部燃料タンク9aから吸入してエンジン3へ供給するものである。フィードポンプ44に送られた燃料は、燃料供給ホース49cを介して燃料フィルタ45に送られる。
【0059】
燃料フィルタ45は、フィルタにより燃料中の異物を取り除くものである。燃料フィルタ45に送られた燃料は、燃料供給ホース49dを介してエンジン3に設けられる燃料噴射ポンプ46に送られる。
【0060】
燃料噴射ポンプ46は、燃料を高圧に加圧するものである。高圧に加圧された燃料は、燃料噴射ノズル46aへ送油され、シリンダ内に噴射され、燃焼される。
【0061】
次に、エンジン3から内部燃料タンク9aへ戻る燃料の経路を説明する。
エンジン3、即ちエンジン3に設けられる燃料噴射ポンプ46や燃料噴射ノズル46aで使用されなかった燃料、所謂、余剰燃料を、燃料を戻す燃料配管であるドレンホース48aを介して燃料フィルタ45または内部燃料タンク9aにドレンされる。
【0062】
次に図6を用いて、内部燃料タンク9aに替えて、外部燃料タンク9bを使用する場合の燃料の経路を説明する。
【0063】
外部燃料タンク9bとは、筐体10外部に設けられる燃料用のタンクであって、燃料配管を介してエンジン3に燃料を供給可能とするものである。外部燃料タンク9bと内部燃料タンク9aとは、燃料供給切換手段としての三方コック40a・40bにてエンジン3への燃料の供給元をいずれか一方の燃料タンクに切換可能に構成されるものである。
【0064】
外部燃料タンク9bは、燃料を供給する燃料配管として燃料供給ホース49eおよび燃料を戻す燃料配管としてドレンホース48cの一端がそれぞれ連通して設けられる。燃料供給ホース49eおよびドレンホース48cの他端は筐体10の側面に設けられる連結口17aおよび連結口17bにそれぞれ連結される。
【0065】
本実施例においては、内部燃料タンク9aとエンジン3とを連通する燃料配管のうち、燃料供給ホース49aおよびドレンホース48aの中途部に燃料供給切換手段としての三方コック40aおよび三方コック40bがそれぞれ配置される。
【0066】
三方コック40a・40bは、燃料の経路を内部燃料タンク9aから外部燃料タンク9bに切り換えるものである。三方コック40a・40bの操作は、筐体10外部から開口部12の開閉扉12aを開け、作業者の手動で行うことができる。したがって、三方コック40a・40bは、筐体10の開口部12から作業者が操作可能な位置に配置される。ただし、三方コック40a・40bは電磁弁で構成することも可能であり、この場合、スイッチ等の操作で電気的に切り換えることが可能である。
【0067】
三方コック40aは燃料供給ホース49fの一端が連結され、燃料供給ホース49fの他端は連結口17aと連結される。三方コック40bはドレンホース48bの一端が連結され、ドレンホース48bの他端は連結口17bと連結される。
【0068】
即ち、三方コック40aを外部供給側に切り換え操作すると、エンジン3に供給される燃料は、外部燃料タンク9b、燃料供給ホース49e、連結口17a、燃料供給ホース49f、三方コック40a、燃料供給ホース49a、ウォータセパレータ43・・・(以下、内部燃料タンク9aの使用時と同じ)、の順番で送られるものである。
【0069】
また、三方コック40bを切り換え操作すると、エンジン3からドレンする燃料は、燃料噴射ポンプ46・燃料噴射ノズル46a、ドレンホース48a、三方コック40b、ドレンホース48b、連結口17b、ドレンホース48c、外部燃料タンク9b、の順番で送られるものである。
【0070】
以上の如く構成することにより、筐体10の内部の内部燃料タンク9aまたは外部の外部燃料タンク9bのいずれか一方を選択して、燃料をエンジン3へ供給することが可能となる。したがって、内部燃料タンク9aに比べて容量の大きい外部燃料タンク9bから燃料をエンジン3へ供給するなどして、エンジン発電機1の運転時間を任意に延長することができる。また、エンジン3への燃料の供給元を燃料供給切換手段である三方コック40a・40bを用いて容易に切り換えることができる。
【0071】
次に図7を用いて、筐体10の底部を構成するベース20について詳しく説明する。
【0072】
筐体10の底部であるベース20は、ベース20に下向きに開口するチャンネル形状の嵌合部材を少なくとも二つ一体的に組み込み、これらの嵌合部材は、それぞれ横方向、即ち左右方向に延長して互いに所定間隔をとって平行に配置される構成とすることができる。
【0073】
本実施例においては、前記嵌合部材として断面視コの字状のチャンネル部材22a・22bがベース20に一体的に組み込まれる。即ちベース20は、主としてチャンネル部材22a・22b、前部材23、中部材24、後部材25およびフレーム26L・26Rから構成される。前部材23はベース20の前部分、中部材24はベース20の前後略中央部分、後部材25はベース20の後部分を構成するそれぞれベース20の底部となるものである。
【0074】
ベース20は、ベース20の前側から前部材23、チャンネル部材22a、中部材24、チャンネル部材22b、後部材25の順番で配置され、チャンネル部材22aとチャンネル部材22bとの間に介装される中部材24の前後方向の長さを変更することにより、チャンネル部材22aとチャンネル部材22bとの間を所望の間隔にすることができる。
【0075】
チャンネル部材22a・22bは、断面視で略コの字状であり、開口部を下側に向けて配置される。チャンネル部材22a・22b、前部材23、中部材24および後部材25はそれぞれ左右方向に平行に配置され、結合されることで一体的に構成される。
【0076】
フレーム26L・26Rは、それぞれベース20の左右縁部にて、ベース20の前端部から後端部に渡って配置される枠材である。フレーム26L・26Rは、それぞれ長手方向中途にてチャンネル部材22a・22bの側端部が固設され、チャンネル部材22a・22bの側部開口からフォークリフトのフォークを挿入可能に構成される。
【0077】
以上の如く構成することにより、フォークリフトのフォークを嵌合部材であるチャンネル部材22a・22bに嵌合させることが可能となる。したがって、このフォークリフトにより筐体10、ひいてはエンジン発電機1全体を移動させることができる。また、フォークリフトのフォークを嵌合させるためのフォーク孔を有する他の部材を筐体10に別途設けることなく、筐体10の底部であるベース20の一部をなす嵌合部材であるチャンネル部材22a・22bをフォーク孔として利用することが可能となる。したがって、部品点数を削減して、コストの低減化を図ることができる。
【0078】
また、嵌合部材であるチャンネル部材22a・22bに複数の筐体固定用孔である固定孔21・21・・・を横向きに開口した構成とすることができる。
【0079】
本実施例においては、ベース20を構成するチャンネル部材22a・22bの左右両側端部の縦面に固定孔21・21・・・が前後方向に開口される。
【0080】
以上の如く構成することにより、他の部材を筐体10に別途設けることなく、筐体10の底部の一部をなす嵌合部材であるチャンネル部材22a・22bに形成した孔を筐体固定用手段として利用することが可能となる。したがって、部品点数を削減して、コストの低減化を図ることができる。また、他の部材を筐体固定用手段として筐体10に別途設けて筐体10の底部に溶接により固定した場合、溶接部分に負荷がかかると亀裂が入る不具合が発生することあるが、このような不具合をなくすことができる。
【0081】
以上のように、エンジン3と、エンジン3により駆動されて発電を行う発電機4と、発電機4により発電された電力を交流に変換して出力するインバータ5と、エンジン3と発電機4の制御を行う制御装置と、エンジン3に供給される空気を浄化処理するエアクリーナ8と、これらの部材を内部に設ける筐体10とを備えたエンジン発電機1において、エアクリーナ8をその長手方向を上下方向として、筐体10の内部の上側で前記制御装置の外装部材である制御ボックス31と対向するように配置するとともに、外装部材である制御ボックス31の対向側の一部が前記制御装置の内側に凹むように形成して、この凹んだ部分(凹部33)にエアクリーナ8の少なくとも一部を配置したので、エアクリーナ8の下方にそのメンテナンス用スペースを形成して、エアクリーナ8のメンテナンス作業を下方から行うことが可能となる。したがって、エアクリーナ8のメンテナンス作業を容易に行うことができる。しかも、筐体10の内部でエアクリーナ8のメンテナンス用スペースを横方向にとる必要がなくなり、筐体10の小型化を図ることができる。
【0082】
また、筐体10の側部に、少なくとも一つの開口部12と、この開口部12を開閉可能な開閉扉12aと、この開口部12に臨み筐体10の底部と天井部との間に介設される円柱形状の支持部材であるセンタービーム13とを備え、エアクリーナ8を支持部材であるセンタービーム13の上側に取り付けたので、エアクリーナ8のメンテナンス作業を筐体10の外部から開口部12を通じて行うことが可能となる。さらに、このような開口部12を通じたメンテナンス作業時に、角部を有する支持部材に比べて、円柱形状の支持部材であるセンタービーム13に引っかかることがなくなる。したがって、エアクリーナ8のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0083】
また、筐体10の内部に設けられた内部燃料タンク9a、または筐体10の外部に設けられた外部燃料タンク9bから燃料配管を介してエンジン3へ燃料を供給可能とし、前記燃料配管の中途部に燃料供給切換手段として三方コック40a・40bを設けて、この燃料供給切換手段により、エンジン3への燃料の供給元を内部燃料タンク9aと、外部燃料タンク9bとのいずれか一方に切換可能に構成したので、筐体10の内部または外部の燃料タンクのいずれか一方を選択して、燃料をエンジン3へ供給することが可能となる。したがって、内部燃料タンク9aに比べて容量の大きい外部燃料タンク9bから燃料をエンジン3へ供給するなどして、エンジン発電機1の運転時間を任意に延長することができる。また、エンジン3への燃料の供給元を燃料供給切換手段として三方コック40a・40bを用いて容易に切り換えることができる。
【0084】
また、筐体10の底部に下向きに開口するチャンネル形状の嵌合部材であるチャンネル部材22a・22bを少なくとも二つ一体的に組み込み、これらのチャンネル部材22a・22bをそれぞれ横方向、即ち左右方向に延長して互いに所定間隔をとって平行に配置したので、フォークリフトのフォークを嵌合部材に嵌合させることが可能となる。したがって、このフォークリフトにより筐体10、ひいてはエンジン発電機1全体を移動させることができる。また、フォークリフトのフォークを嵌合させるためのフォーク孔を有する他の部材を筐体10に別途設けることなく、筐体10の底部であるベース20の一部をなす嵌合部材をフォーク孔として利用することが可能となる。したがって、部品点数を削減して、コストの低減化を図ることができる。
【0085】
また、嵌合部材であるチャンネル部材22a・22bに複数の筐体固定用孔である固定孔21を横向きに開口したので、他の部材を筐体10に別途設けることなく、筐体10の底部の一部をなす嵌合部材に形成した孔を筐体固定用手段として利用することが可能となる。したがって、部品点数を削減して、コストの低減化を図ることができる。また、他の部材を筐体固定用手段として筐体10に別途設けて筐体10の底部に溶接により固定した場合、溶接部分に負荷がかかると亀裂が入る不具合が発生することあるが、このような不具合をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】エンジン発電機における筐体の外部の構成を示す斜視図。
【図2】エンジン発電機における筐体の開閉扉を開けた状態の構成を示す斜視図。
【図3】エンジン発電機における筐体の内部の構成を示す斜視図。
【図4】エアクリーナの取付構成を示す斜視図。
【図5】燃料系統の構成を説明する図。
【図6】燃料系統の別実施例の構成を説明する図。
【図7】筐体のベースの構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0087】
1 エンジン発電機
3 エンジン
8 エアクリーナ
9a 内部燃料タンク
9b 外部燃料タンク
10 筐体
12 開口部
13 センタービーム
20 ベース
21 固定孔
30 コントロールパネル
33 凹部
40a 三方コック
40b 三方コック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンにより駆動されて発電を行う発電機と、前記発電機により発電された電力を交流に変換して出力するインバータと、前記エンジンと前記発電機の制御を行う制御装置と、前記エンジンに供給される空気を浄化処理するエアクリーナと、これらの部材を内部に設ける筐体とを備えたエンジン発電機において、前記エアクリーナをその長手方向を上下方向として、前記筐体の内部の上側で前記制御装置の外装部材と対向するように配置するとともに、前記外装部材の対向側の一部が前記制御装置の内側に凹むように形成して、この凹んだ部分に前記エアクリーナの少なくとも一部を配置したことを特徴とするエンジン発電機。
【請求項2】
前記筐体の側部に、少なくとも一つの開口部と、この開口部を開閉可能な開閉扉と、この開口部に臨み当該筐体の底部と天井部との間に介設される円柱形状の支持部材とを備え、前記エアクリーナを前記支持部材の上側に取り付けたことを特徴とする、請求項1に記載のエンジン発電機。
【請求項3】
前記筐体の内部に設けられた内部燃料タンク、または前記筐体の外部に設けられた外部燃料タンクから燃料配管を介して前記エンジンへ燃料を供給可能とし、前記燃料配管の中途部に燃料供給切換手段を設けて、この燃料供給切換手段により、前記エンジンへの燃料の供給元を前記内部燃料タンクと、前記外部燃料タンクとのいずれか一方に切換可能に構成したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のエンジン発電機。
【請求項4】
前記筐体の底部に下向きに開口するチャンネル形状の嵌合部材を少なくとも二つ一体的に組み込み、これらの嵌合部材をそれぞれ横方向に延長して互いに所定間隔をとって平行に配置したことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエンジン発電機。
【請求項5】
前記嵌合部材に複数の筐体固定用孔を横向きに開口したことを特徴とする、請求項4に記載のエンジン発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−106698(P2010−106698A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277336(P2008−277336)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(000253075)澤藤電機株式会社 (31)