エンテロウイルス感染についてのインビトロ診断テスト
本発明は、中和抗ウイルス抗体を誘発せず、該ウイルス感染を増加させる“促進”抗体を誘発する、抗原または上述のエピトープを使用しての、抗原−抗体認識タイプの免疫学的反応の顕在化に基づく、エンテロウイルスについてのインビトロ診断テストに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗原−抗体認識タイプの免疫学的反応を明らかにすることに基づくエンテロウイルスのインビトロ診断アッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
エンテロウイルス(Enteroviruses)は、ピコルナウイルス科のエンテロウイルス属(gender)に属する。これらのウイルスは、直径25〜30nmのものであり、被覆されておらず、そして正二十面体シンメトリーを有し、そして一本鎖で線形の、フラグメント化されていない、かつポジティブのRNA(リボ核酸)である。
【0003】
被覆の欠如は、物理化学剤に対する耐性およびpH3〜10の範囲内での安定性をそれらに与える。これに反して、エンテロウイルスは、45℃(そして二価カチオンの存在下では50℃でさえ)より高い温度での熱によって、ならびに主要な殺菌剤(disinfectants)および防腐剤(antiseptics)(ヨウ化プロビドン(ioded providone)、次亜塩素酸ナトリウム、アルデヒド類)によって不活性化される。
【0004】
エンテロウイルスの64の血清型が存在する:3ポリオウイルス、23コクサッキーウイルスA(CVA)、6コクサッキーウイルスB(CVB)、28エコーウイルス(EV)および4の分類されていないエンテロウイルス。
【0005】
約7500ヌクレオチドのエンテロウイルスゲノムのうち80%超は、5’および3’の2つの非コーディング領域によって挟まれた唯一のリーディングフレームから構成される。このリーディングフレームによってコードされる嵩高い蛋白質は、4つの成熟構造蛋白(mature structural proteins)VP1、VP2、VP3およびVP4(VP=ウイルス蛋白質(viral protein))ならびに非構造蛋白質(例えば、プロテアーゼおよびウイルスRNAポリメラーゼ)に切断される。僅かな動物エンテロウイルスゲノムが配列決定された。にもかかわらず、配列決定されたものは、ヒトエンテロウイルスと非常に高い相同性を示す。
【0006】
エンテロウイルスは、ウイルスRNAポリメラーゼの転写エラー(これは、規則的な突然変異の源である)および種々のウイルスゲノム間の組換えに起因して、非常に高い遺伝的多様性である。この多様性は、エンテロウイルスの病理学的スペクトルおよび組織的屈性の多様性に寄与する。
【0007】
口−糞経路(oral-faecal route)は、同種の2個体の接触によるかあるいは水または汚染された食物を介してのヒトからヒトへのエンテロウイルスの伝染の主要な様式である。いくつかの血清型は、呼吸または皮膚−粘膜様式で伝染する。消化管を介して浸透するエンテロウイルスは、まず腸管において増殖し(従って、用語エンテロウイルス(enterovirus))、その後、血流を介して標的器官(中枢神経系、横紋筋、皮膚、...)へと体中に広がる。明白でない(non-apparent)感染は、エンテロウイルスの最も重要な部分である。急性感染および持続性感染は、症状形態の中でも顕著である。
【0008】
ヒト急性感染は、非常に多型性である。エンテロウイルスは、中枢神経系感染(リンパ球性髄膜炎、髄膜脳炎、灰白髄炎型の麻痺)の原因である最も頻繁な感染因子である。それらは、多数の他の呼吸性病理学的感染(鼻炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎)、心臓感染(心膜炎、心筋炎)、筋炎、斑丘疹(maculo-papulous)、または紫斑発疹(purpureous eruptions)、熱性症候群(febrile syndroms)、および、よりめったにないが、肝炎、腎炎、精巣炎または関節炎に関与する。臨床症状は、エンテロウイルスに対して、そしていくつかの血清型に対してさえ非常に特異的である;胸膜痛またはボーンホールム病(CVB)(痛覚過敏(hyperalgic)インフルエンザの類に対応する)、ヘルパンギナタイプの小胞発疹または手−足−口症候群(hand-foot-mouth syndrome)(CVA、CVB、エンテロウイルス70)、出血性結膜炎(CVA−24、エンテロウイルス70)。
【0009】
エンテロウイルスによって感染される動物は、ウシ、ブタおよびトリである。これらのエンテロウイルス感染の大部分は、明白でなく(not apparent)、そしてブタおよびトリエンテロウイルスのみが、経済的に重要な疾患の原因である。ブタエンテロウイルスのいくつかの株は、ブタのポリオ脳脊髄(porcine polio-encephalomyelitis)の原因である。SVDV(ブタの小胞性疾患ウイルス;swine vesicular disease virus)は、ブタの小胞性疾患を引き起こす。一般的に、該疾患自体は重篤ではなく、そして動物の大部分が生き残る。
【0010】
少なくとも4つの慢性ヒト病理学が、エンテロウイルスに関連しているとみなされている:慢性髄膜脳炎(chronic meningo-encephalitis)、灰白髄炎後症候群(post-poliomyelitic syndroma)、心疾患およびインスリン依存性糖尿病。実際に、インスリン依存性真性糖尿病(insulin-dependent diabetes mellitus;IDDM)または1型糖尿病におけるコクサッキーウイルスB関与に賛成する強力な議論が存在する。数人の権威者は、該疾患の臨床的症状発現の初期でのIDDM患者の末梢血中のCVBとの高い相同性を示すエンテロウイルスRNAの存在を検出した(Clements and al., 1995 ; Andreoletti and al., 1997 ; Nairn and al., 1999 ; Lonnrot and al., 2000)。最近、本出願人は、血漿中のインターフェロンα(IFNα)の高い割合が、その場合の50%において、1型糖尿病の成人および子供の循環血中のエンテロウイルス配列(特に、CVB3およびCVB4)の存在に相関していることを示した(Chehadeh and al., 2000)。本出願人はまた、CVB4が、循環するIgG抗体または関連する細胞との相互作用よって、IDDM患者の末梢血単核細胞(peripheric blood mononuclear cells;PBMC)によるIFNαの高い産生を誘発し得ることを示した(Hober and al., J. Gen. Virol., vol. 83, n°9, September 2002)。インターフェロンα産生は、ウイルス感染のマーカーである。この産生は、ウイルス感染を促進するいわゆる“促進”抗体の存在下以外では、CVB4によって弱く誘発される。従って、CVB4は、該ウイルス、抗ウイルス抗体および該細胞表面上の特異的受容体(CAR、Fcγ RII、Fcγ RIII)の相互作用を介しての抗体依存機構によって、単核細胞(大部分は、CD14+)に感染し得、IFNα産生が生じる。抗−CVB4 IgGによって誘発されるIFNαのこの合成は、ウイルス複製ではなく該単核細胞へのCVB4の浸透を反映し、そして該細胞中のCVB4 RNAの存在を必要とする。これら抗−CVB4 IgGによって誘発されるIFNα産生がブロックされると、PBMCによって産生されるウイルス粒子が検出され得る(Chehadeh and al., J. Gen. Virol., vol.82, n°8, August 2001)。その上、CVB4と共にプレインキュベートされその後健康な被験体の単離PBMCへ添加されたIDDM患者の血漿IFNαの誘発活性は、健康な被験体からの血漿のそれと比較して高い(Hober and al., J. Gen. Virol., vol. 83, n°9, September 2002)。IDDM患者は、コントロールと比較して、CVB誘発化IFNα合成を増強する、“促進”と呼ばれる、抗−CVB抗体のより高い有病率を有する。従って、エンテロウイルスに感染した患者の血漿は、該ウイルスを“固定化し(immobilise)”そして構造表面蛋白質VP1のエピトープに大部分は指向される既に知られている中和抗体に加えて、ウイルス感染を好む“促進”抗体を含有する。
【0011】
エンテロウイルスの診断について現在使用されている診断手段は、直接的な手段:細胞培養、新しく生まれたマウスへの接種、ゲノムの非コーディング5’領域におけるプライマーを使用してのゲノム増幅、ならびに間接的な手段:血清中和(sero-neutralisation)および免疫酵素技術である。
【0012】
細胞培養および血清中和は、全てのコクサッキーウイルスAに適用可能でなく、血清型A1、A19およびA22には培養可能でない。実際に、CVAの大部分は、CVA9を除いて容易には培養され得ない。
【0013】
新しく生まれたマウスへの接種は、コクサッキーウイルス感染を診断しそしてCVA(弛緩性麻痺)とCVB(痙攣性麻痺)とを区別することを可能にする、扱いにくくそして時間のかかる技術である。
【0014】
分子生物学の技術、例えばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によるゲノム増幅は、高度に保存された領域におけるプライマーの使用によって少量のエンテロウイルスを検出することを可能にした。しかし、それらは、全てのエンテロウイルス感染を検出することを可能とせず、特に、感染が局在化しておりそしてウイルス複製率が低い場合、互いに血清型を区別することを可能にしない。免疫−酵素技術もまた、せいぜいグループを区別し、そして中和抗体の検出に基づいて、それらは、エンテロウイルスで共通の抗原の非存在の問題に直面する。
【0015】
従って、これらの試験の中には、血清型または変異体を非常に細かいスケールで検出するための技術も(野生株とワクチン株との区別)、あるいは、感染された個体におけるウイルス負荷(viral load)を定量化する方法も存在しない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
この欠陥を満たすために、本出願人は、エンテロウイルスについての特異的かつ定量的なインビトロ診断アッセイを開発した。このアッセイは、ウイルス感染を“促進する”抗体を誘発しそして中和抗体を誘発しない抗原の存在に基づいている。
【0017】
実際に、本出願人は、コクサッキーウイルスB3およびB4感染の場合に“促進”抗体によって認識されるエピトープを提示するウイルス蛋白質を同定した。この蛋白質は、構造内部蛋白質VP4(structural internal protein VP4)であり、そしてその実証が以下の通りに与えられた:
a)先ず、ウイルスCVB3およびCVB4 E2を培養しそして精製し、
b)次いで、一方で蛋白質VP4、そして他方でH抗原(“アーティフィシャルエンプティーカプシド(artificial empty capsids)”のためにAECとも呼ばれる)を、解離させたウイルスCVB3およびCVB4 E2から単離しそして精製し、
c)最後に、VP4蛋白質は、CVB/血漿カップル誘発化IFNα産生の増強を阻害することが示された。実際に、CVBを添加する前に血漿と共にVP4がプレインキュベートされる場合、VP4は抗−VP4抗体に結合し、そして、従って、CVBへ結合しそしてPBMCのインビトロ感染およびそれらによるIFNα産生の増強を促進する抗−VP4抗体はほとんど残っていない。これは、“促進”抗体が抗−VP4抗体であることを証明している。
【0018】
他方で、抗−VP4CVB3抗体と抗−VP4CVB4抗体との間で、交差反応は観察されなかった。VP4CVB4がCVB3の添加前に血漿とプレインキュベートされた場合、PBMC培養物中のCVB3誘発化IFNαレベルの変化は観察されなかった。CVB3から解離されたVP4蛋白質も、CVB4誘発化IFNαレベルに影響を与えない。従って、VP4蛋白質によって提示されるこれら2つの血清型のエピトープは、十分に異なっており、その結果、“促進”抗体は、1または別の血清型に対して特異的である。
【0019】
この結果は、他のCVB、CVB1〜CVB5血清型で立証された。抗−VP4CVB4E2抗体は、他の血清型のCVBウイルスを認識しない(実施例3)。
【0020】
用語“促進抗体”(facilitating antibodies)は、ウイルス感染を促進しそしてウイルス血清型(ここに抗原が由来する)に特異的である非中和抗体を意味する。
【0021】
本出願人は、この実証を利用して、抗ウイルス中和抗体を誘発しないが、ウイルス感染を増加させる“促進”抗体を誘発する、抗原またはそのエピトープを使用することを特徴とする、抗原−抗体認識タイプの免疫学的反応を明らかにすること(revelation)に基づくエンテロウイルスのインビトロ診断アッセイを開発した。
【0022】
本発明の課題は、抗原が対応の“促進”抗体の検出のために支持体上に固定されているか、あるいは“促進”抗体が対応の抗原の検出のために支持体上に固定されていることを特徴とする、エンテロウイルスの診断アッセイに関する。支持体は、マルチウエルマイクロタイトレーションプレート(multi-well microtitration plate)または“チップ”タイプのものであるか、あるいは任意の他の支持体である。用語“チップ”は、無機または有機固体材料(例えば、ガラス、シリコンまたは合成ポリマー)の小型フラット支持体(miniaturised flat support)を意味し、この上に、共有結合または非共有結合によってポリペプチドが結合される。
【0023】
本発明のアッセイが、支持体上に固定された対応の抗原による“促進”抗体の検出を目的とする場合、反応は、標識された二次抗−種抗体(labelled secondary anti-species antibody)(例えば、抗−ヒト)によって明らかにされる。
【0024】
本発明のアッセイが、支持体上に固定された対応の“促進”抗体による抗原の検出を目的とする場合、反応は、標識された抗−ウイルス抗体によって、あるいは抗−ウイルス抗体(例えば、ヒト)、次いで標識された二次抗−種抗体(例えば、抗−ヒト)によって明らかにされる。
【0025】
該二次抗体のマーカーは、好ましくは、酵素、例えばその基質との着色化またはルミネッセント反応を示すHRP(“ホースラディシュペルオキシダーゼ”;horseradish peroxydase)、放射性同位体、蛍光化合物、化学発光化合物(chemiluminescent compound)、生物発光化合物(bioluminescent compound)または金属キレートである。
【0026】
“促進”抗−ウイルス抗体を誘発する抗原として、全長ウイルス内部蛋白質またはそのフラグメントを使用することが好ましい。この蛋白質は、ウイルスから精製され得るか、同一の免疫原性を示す組換え蛋白質であり得るか、あるいは化学的に合成され得そして同一の免疫原性を示し得る。
【0027】
特に、該ウイルス内部蛋白質が、構造蛋白質VP4であることが好ましい。
【0028】
特に好ましい様式において、本発明の診断アッセイにおいて使用される“促進”抗ウイルス抗体を誘発する抗原は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5の配列のペプチド(好ましくは、配列番号2の配列のペプチド)から取られるVP4蛋白質のペプチドフラグメントである。
【0029】
このアッセイは、特に、コクサッキーウイルスタイプAまたはB感染を診断することを可能にする。
【0030】
このアッセイは、以下の工程を包含する:
a−前記“促進”抗体または前記“促進”抗体を誘発するウイルス蛋白質、あるいはそのフラグメントの、支持体上への固定化、
b−コントロール抗体、コントロール蛋白質、またはそのフラグメントの、支持体上への固定化、
c−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄、
d−無関係の蛋白質の緩衝溶液での該被覆されていない支持体表面の飽和、
e−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄、
f−該飽和緩衝液中の異なる希釈での研究される試料の添加、
g−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄、
h−標識された抗体の使用による該応答の増幅、
i−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄、
j−標識強度の読み取り。
【0031】
特に、本発明のアッセイは、以下:
− 本発明の抗原または“促進”抗体、
− 抗原−抗体反応を行うために好ましい培地の構成に必要とされる試薬、
− 形成される複合体の検出を可能にする試薬、
を備えるボックスまたはキットの使用によって行われ得る。
【0032】
本発明によれば、該アッセイは、支持体上に固定された精製VP4蛋白質でそれらを捕捉することによる抗−VP4抗体の検出および用量決定(dosage)による、CVB3またはCVB4あるいは任意の他のCVB感染の診断に、特に適用され得る。実際に、血漿と共にプレインキュベートされたVP4蛋白質の量とIFNα産生のレベルとの間に、用量−応答関係(dose-response relation)が存在することが、明らかにされた。従って、血漿の抗−VP4抗体は、血漿と共にプレインキュベートされたVP4蛋白質によって捕捉される。このアッセイにおいてVP4蛋白質の量が増加するほど、CVBを認識する遊離の“促進”抗−VP4抗体の量が減少し、IFNα産生が低くなる。その上、用量−依存相関関係が、PBMCへ添加する前にCVB3またはCVB4と共にプレインキュベートされた抗−VP4抗体の量と、IFNα産生のレベルとの間に見られた。IFNαの産生は、抗−VP4抗体が枯渇した血漿の存在下または無関係の抗体の存在下では検出されない。
【0033】
本発明のアッセイ主題は、“促進”抗体、あるいはこれらの抗体によって認識されるエピトープを有するウイルス蛋白質の用量決定を可能にして、ウイルス感染に対する細胞の応答(例えば、IFNαの産生)を測定することを可能にする。
【0034】
上述のアッセイは、異なるウイルスによって引き起こされる感染のスクリーニングを行うために、他のエンテロウイルスの他のVP4蛋白質を用いて行われ得る。
【0035】
このアッセイは、該疾患の開始の予測値を確立することを目的とする、エンテロウイルス感染に関連した慢性疾患の場合に使用され得る。より詳細には、このアッセイは、CVB感染に関連した1型糖尿病を有する前糖尿病患者における開始を予測するために使用され得る。
【0036】
このアッセイはまた、検出される“促進”抗体の量と疾患の段階とを相互に関連付けるために使用され得る。より詳細には、このアッセイは、CVB感染に関連した1型糖尿病の段階を評価することを可能にする。
【0037】
本発明に従う診断アッセイは、急性ヒトまたは動物感染の原因であるエンテロウイルス血清型の決定(determination)のために使用され得る。実際に、“促進”抗体およびその抗原は、所定のエンテロウイルス血清型に特異的であり、そして本発明のアッセイは、多くの血清型によって拡大され得る。この効果のために、血清型と同じだけ多くの支持体が使用され得るか、あるいは“促進”抗体または対応の抗原を、各血清型について、小型化支持体(例えば、“チップ”)上に固定する。
【0038】
従って、本発明の診断アッセイはまた、所定のヒトまたは動物母集団における血清型によるエンテロウイルス感染の分布の測定のために使用され得る。
【0039】
本発明の更なる実施形態において、該診断アッセイは、抗ウイルス剤のウイルス標的の決定のために使用され得る。実際に、“促進”抗体を誘発する抗原が、1以上の支持体上に対応の“促進”抗体を固定することにより、本発明の診断アッセイによって各ウイルス血清型について測定および用量決定され(dosed)得る。従って、ほぼ重要な濃度の抗ウイルス剤の存在下または非存在下で培養可能なウイルスの細胞のインビトロ伝染力が、測定され得る。これはまた、測定され得る抗ウイルス剤のいくつかの血清型および標的について行われ得る。この実施形態において、本発明の診断アッセイは、ウイルス力価および抗ウイルス剤の濃度に依存する、インビトロでの細胞死の長く退屈な測定を置換することを可能にする。
【0040】
以下の実施例は、その範囲を限定することなく、本発明を例示する。
【実施例】
【0041】
実施例1:抗CVB3または抗CVB4“促進”抗体を誘発するCVB3またはCVB4のウイルス蛋白質の顕在化:
a)CVB3およびCVB4ウイルスの培養および精製
CVB3(Americain Type Culture Collection, Manassas, USA)および糖尿病誘発性CVB4 E2(Ji-Won Yoon, Julia McFarlane Diabetes Research Center, Calgary, Alberta. Canadaにより供給)を、熱で不活性化させたウシ胎児血清(Gibco BHL)10%およびL−グルタミン(Eurobio, France)1%を補充した、イーグル最小必須培地(Gibco BRL, Eragny, France)中、Hep−2細胞(Biowhittaker, Verviers, Belgium)において増殖させた。37℃、5%CO2で24時間のインキュベート後、該細胞懸濁液を3回凍結および解凍し、そして2000×gで10分間遠心分離した。上澄みから得られたウイルスを、Beckman TLA−100.4ローター中、4℃で3時間、500 000×gでの遠心分離によりペレット化した。該ペレットを、0.5%(vol/vol)のNonidet P40を含有する、3mlのTris−HCl 0.01M pH7.2中に再懸濁させ、4℃で20分間インキュベートし、ホモジナイズし、そして4000×gで遠心分離して、不溶性残渣を除去した。僅か0.5mlの精製したウイルス懸濁液を、0.5mlのスクロース(30%、wt/v)および3ml CsCl(40%、wt/vol)上に重ねた。4時間、Beckman TLA−100.4ローター中、4℃で348,000×gでの遠心分離後、勾配フラクション(gradient fractions)を回収し、そして勾配フラクション中のウイルス力価を、Hep−2細胞のコンフルエント培養物上での50%組織培養物感染用量(50% tissue culture infectious dose;TCID50)によって測定した。ピーク感染能力価(peak infectivity titers)を含有するフラクションを、プールし、透析し、そしてTris−HCl 0.01M pH7.2を用い、300Kの分子量カットオフ(MWCO;molecular weight cutoffs)でのMacrosepTM膜(Pall Filtron Corporation, Saint Germain en Laye, France)における4000×gでの遠心分離で平衡化した。−80℃で凍結させたアリコートを保存した。Mock調製物(mock preparation)を、Hep−2細胞をウイルス溶媒のみで感染させた以外は同一のプロトコルによって得た。
【0042】
b)CVB3およびCVB4ウイルスのVP4天然蛋白質およびH抗原の精製
VP4蛋白質およびH抗原を、ポリオウイルスについて他で記載されたように(Maizel and al., 1967)、完全ウイルスCVB3およびCVB4から解離させた。簡潔に言えば、精製しそして濃縮したCVBウイルス粒子(〜1mg)を、0.5mlナトリウム緩衝液(NaCl 0.1M、クエン酸ナトリウム0.005M、pH7.0)中、5分間、56℃でインキュベートした。この処理によって、ウイルスRNA、VP4およびH抗原での該ウイルスの解離が生じる。次いで、VP4蛋白質を、100KdのMWCOでの、MacrosepTM膜上における、4000×gでの遠心分離によって、該混合物から分離させた。H抗原およびRNAは該膜によって保持され、そしてVP4は該膜を通過した。RNAを、0.05mgのウシ膵臓リボヌクレアーゼA(Roche Molecular Biochemicals, Mannheim, Germany)を添加し、そして10分間37℃でインキュベートすることによって分解させた。H抗原およびVP4を脱塩しそしてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.2を用いて、それぞれ100Kdおよび3KdのMWCOでのMacrosepTM膜上における4000×gでの遠心分離により、平衡化させた。H抗原およびVP4を、Savant Speed Vac Concentrator SVC100H(Global Medical Instrumentation, Minnesota, USA)を使用して濃縮した。Mock解離もまた、上述のように精製した非感染のHep−2細胞の上澄みを用いて行い、そして以下のためにmock蛋白質を生成した。蛋白質の濃度を、1mg/mlの吸光係数を想定して、280nmでの吸光度から算出した。
【0043】
c)VP4蛋白質によるCVB/血漿カップル誘発化IFNα産生の阻害
VP4、H抗原またはmock蛋白質を、最適な希釈(1/10または1/100)で希釈した5人の健康な被験体からの血漿と共に、異なる濃度で、37℃で1時間、プレインキュベートした。次いで、CVB3またはCVB4を、1時間添加し、その後、PBMCと共にインキュベートした。図1に示されるように、CVB3/血漿誘発化IFNα産生の用量依存減少が、VP4CVB3蛋白質の存在下で観察され、一方、H抗原の存在下では、IFNα産生の用量依存減少は観察されなかった(図1aおよび1b)。同様のパターンの結果が、システムCVB4/血漿においてVP4CVB4で得られた(図1cおよび1d)。他方、非感染のHep−2細胞から単離されたmock蛋白質は、IFNα産生に対して影響を有さなかった。
【0044】
実施例2 抗−VP4抗体の検出によるCVB3またはCVB4感染の診断 −
CVB3およびCVB4の抗VP4抗体の検出と1型糖尿病との関係
ドナー血漿中の抗−VP4抗体を検出するために、96ウエルのマイクロタイタープレートを、PBS(pH7.4)中5μg/mlで、CVB3またはCVB4から解離させたVP4蛋白質と共に、室温で一晩インキュベートした。同一の様式で、マイクロタイタープレートをmock蛋白質と共にインキュベートした。次いで、該ウエルを、洗浄溶液(PBS pH7.4、0.05% Tween20)で3回洗浄し、飽和緩衝液(PBS pH7.4、2.5%スキムミルク、0.5%Tween20)を用いて37℃で1時間飽和し、そして再度4回洗浄した。次いで、最適な希釈(1/50)で飽和緩衝液中に希釈した0.1mlのサンプルを、マイクロウエルへ添加した。室温で2時間インキュベートした後、該ウエルを4回洗浄し、そして1/10000で希釈された、HRP(“ホースラディシュペルオキシダーゼ”)で標識された、0.1mlのIgA、G、M 抗−ヒト抗体混合物を添加し、そして1時間インキュベートした。4洗浄サイクル後、0.1mlの基質溶液(0.4mg/ml o−フェニレンジアミン、リン酸クエン酸緩衝液(0.05M、pH5.0)中0.012%H2O2)を30分間添加した。反応を、25μlの2N硫酸の添加によって停止する。吸光度測定を、マイクロプレートリーダーDynex MRX(登録商標)(Thermo Life Science, Cergy-Pontoise, France)において、490nmで行った。免疫学的アッセイカットオフ値(The immunologic assay cut-off value)を、VP4プレート上のブランクのものに対してmockプレートにおける試料吸光度を加えることによって測定した。1.0を超える指数(試料/カットオフ値比)を有する試験試料を、抗−VP4抗体の存在について陽性であるとみなした。
【0045】
このアッセイは、健康なドナーおよびIDDM患者由来の血漿中の抗−VP4抗体の検出および用量決定(dosage)のために使用した。40人の健康な被験体のうち14人(35%)、そして40人のIDDM患者のうち25人(62.5%)が、抗−VP4CVB3抗体について陽性であった。40人の健康な被験体のうち6人(15%)、そして40人のIDDM患者のうち32人(80%)が、抗−VP4CVB4抗体について陽性であった。得られた平均指数値は、健康な被験体の群において得られたものよりも有意に高かった(図2)。
【0046】
この実施例で明らかにされたアッセイは、抗−VP4抗体の検出および用量決定が、コクサッキーウイルス感染に関連する病理の診断のために使用され得ることを示す。実際に、IDDM患者は、健康な被験体よりも抗−VP4抗体のより高い有病率およびこれらの抗体のより多い量を示す。
【0047】
いくらかの患者は、該実施例のアッセイの検出閾値未満の抗−VP4抗体の割合を示したが、実際に、それは、それらの疾患がCVB3またはCVB4以外のウイルス(例えば、CVB2)に関連しているという事実によって説明され得る。
【0048】
実施例3:血清型レベルでの“促進”抗体の特異性の研究:
A)材料および方法
1−培養物におけるPBMCによるIFNαの産生
全ヘパリン化血(whole heparinated blood)から分離されたPBMCを、ウエルごとに100μlの補充化RPMI培地中5〜8.105細胞の割合で、マイクロウエル(96ウエルのプレート)へ分散させた。PMBCの感染を、各ウエルにおいて、最終容量100μlの調製物で行う。5%CO2雰囲気および90%湿度下、37℃で、48時間のインキュベーション後、上澄みを収穫し、そして直ぐにIFNα用量決定のために使用するか、あるいは180×gで10分間遠心分離により清澄化し、そして産生されるIFNαの用量決定まで−80℃で保存する。
【0049】
産生されるIFNαの濃度を、感度が高くそして特異的な技術、DELFIA法(Dissociation Enhanced Lanthanide FluoroImmmo Assay)(Ronnblom and al 1997)で測定する。
【0050】
2 − 産生されたIFNαの顕在化:イムノフルオロメトリック法(immunofluorometric method)DELFIA
IFNαの用量決定を、ユーロピウムで標識されたIFNαを結合する抗体を使用する遅延フェーズ法(retarded phase method)における免疫蛍光に基づく、DELFIA原理(Dissociation Enhanced Lanthanide FluoroImmunoAssay)に従って行う。活性化溶液(activation solution)の使用は、抗体と複合体化したユーロピウムを放出させ、そして産生されたIFNαの量に比例して蛍光を放出し、そしてフルオロメーターで測定される(fluorometer LKB Wallac 1230 ARCOS(登録商標), Turku, Finlande)。
【0051】
Gunar Alm博士(Uppsala, Sweden)によって供給されたモノクローナル抗−IFNα抗体LT273(5.4mg/ml)およびLT293(4.8mg/ml)を、室温で12時間インキュベーション後、ウエルの底へコーティングする。これらのプレートは、4℃の緩衝液中で保存され得るか、または直ぐに使用される。ヒトIFNαの標準サンプルを、“無関係の(irrelevant)”モノクローナルマウス抗体IgG1で調製して、リファレンス曲線(reference curve)を確立する(10測定)。分析される他のサンプルを、希釈緩衝液および“無関係の”抗体を有する各ウエルに添加して(100μl)、そして室温で穏やかに撹拌しながら2時間インキュベートする。ウエルを洗浄溶液で3回洗浄する。ユーロピウムへ結合された抗体(200μl)を各ウエルへ添加し、穏やかに撹拌しながら室温で1時間インキュベートするために放置する。プレートを洗浄溶液で6回洗浄する。洗浄後直ぐに添加されそして該ウエル中でのインキュベーションのために20〜30分放置された、活性化溶液(200μl)は、IFNαへ固定された抗体へ結合されたユーロピウムの切断を生じさせ、蛍光リーダーで測定される蛍光を放射する(LKB Wallac 1230 ARCUS(登録商標))。IFNα濃度を、Graphpadプログラム(San Diego, USA)によって、測定された蛍光の値から算出する。IFNαの検出閾値は、0.5IU/mlである。
【0052】
B)結果
1 − 血漿の存在下でのPBMCによるIFNα産生およびコクサッキーBの各血清型についての評価
ドナー血漿(1/10thまたは1/100thでの最適希釈)を、1/10thで希釈したコクサッキーウイルスBの異なる血清型(CVB1〜CVB6)と共に、37℃で1時間プレインキュベートする。次いで、末梢血単核細胞(peripheric blood mononuclear cells;PBMC)を感染させる。得られたIFNα産生の顕在化を、PBMCの48時間感染後、DELFIAイムノフルオロメトリック法(DELFIA immunofluorometric method)によって行う。同一の血漿を、血清型ごとに、IFNα産生の研究のために同一希釈で使用する。PBMCの量は、5.108〜7.105/ウエルで変化する。4人の異なる健康なドナーからの血漿を使用した。
【0053】
各CVB血清型は、血漿の存在下で、インターフェロンアルファ産生を生じさせる(図3を参照のこと)。IFNα産生は、実験において、血漿の非存在下で観察されない。1/10thでの血漿希釈は、1/100thでの希釈よりも高い平均でのIFNα産生を生じさせる(CVB6を除く)。他方で、CVB1ウイルスは、血漿の存在下で、IFNαの弱い誘導物質(inductor)のままである。
【0054】
2 − VP4−CVB4E2の存在下での異なるCVB血清型によるPBMCの感染の間のIFNα産生の研究についての促進抗体特異性の評価
各CVB血清型を、1/10thで希釈した血漿のみと共に、あるいは1/10thで希釈されたCVB4E2のVP4組換え蛋白質(実施例4を参照)と共に(またはMEMと共に)1時間前もってインキュベートされた1/10thで希釈された血漿と共に、1時間インキュベートした。
【0055】
結果は、前述のように、血漿の存在下でのPBMCの感染の間のIFNα産生を示す。CVB4E2のVP4蛋白質での血漿のプレインキュベーションによって、IFNαのこの産生は、CVB4E2の存在下(ここで、IFNα産生は急落した)を除いて、以前に得られた結果と比較して高くかつ安定のままである。CVB4E2によるIFNαの誘発を促進する抗体は、CVB4E2のVP4蛋白質に特異的に指向されるようである(図4を参照のこと)。
【0056】
3−CVB4E2のVP4またはCVB3のVP4の存在下でのPBMCのCVB4E2またはCVB3感染の間のIFNα産生を研究することによる、促進抗体特異性の評価:
健康なドナーからの血漿(最適希釈1/10thまたは1/100th)を、CVB4E2の組換えVP4蛋白質(1μg/mlでの最適濃度)と共に、37℃で1時間プレインキュベートする。全体を、再度、CVB4E2ウイルスの存在下、37℃で1時間インキュベートし(1/10thまたは1/100thでの希釈、1013 TCID50/mlでのウイルス力価)、次いで該PBMCへ適用し(5.105/ウエル)、48時間インキュベートする。PBMCによるIFNα産生を、48時間のインキュベーション後、DELFIAフルオロメトリック法によって明らかにする。
【0057】
同一の実験を、血漿(最適希釈)の同一のバッチ、CVB3の天然蛋白質VP4(1/10thで希釈)およびCVB3ウイルス(1/10thおよび1/100thの希釈、1013 TCID50/mlでのウイルス力価)で行う。PBMCによって産生されるIFNα量の測定をまた、DELFIA法によって、48時間で行う。
【0058】
交差反応を、感染促進抗体の特異性を評価するための同一原理において行う。1時間プレインキュベートした血漿およびCVB4E2のVP4の混合物を、CVB3でインキュベートし、その後、48時間PBMC上へ適用する。
【0059】
同一の様式で、1時間プレインキュベートした血漿調製物およびCVB3のVP4を、CVB4E2と共に1時間インキュベートし、その後、48時間PBMCを感染させ、そして産生されたIFNαの量を測定する。
【0060】
血漿の存在下でウイルス(CVB4E2またはCVB3)感染されたPBMCは、この実験の陽性コントロールとしてみなす。陰性コントロールは、PBMCのみの1つのウエル、ウイルスCVB4E2のみの1つのウエル、およびCVB3のみの1つのウエルで得られる。
【0061】
健康なドナーからの血漿と共に1時間インキュベートしたPBMCのウイルスCVB3感染は、323 IU/ml(陽性コントロール)のIFNα産生へ導く。健康なドナーからの同一の血漿をCVB4E2のVP4蛋白質と共に1時間プレインキュベートして、その後CVB3ウイルスの存在下に1時間置かれる場合、IFNα産生に差異は見られない(308 IU/ml)。他方、同一の血漿を、先ず、CVB3に特異的なVP4蛋白質と共に1時間プレインキュベートし、その後、CVB3へ添加する場合、IFNα産生は6.4 IU/mlまで減少し、これは、その初期値の2%である(図5を参照のこと)。
【0062】
健康なドナーからの血漿と共に1時間インキュベートしたPBMCのCVB4E2ウイルス感染は、148 IU/mlのIFNα産生へ導く(陽性コントロール)。健康なドナーからの同一の血漿を、CVB3のVP4蛋白質と共に1時間プレインキュベートし、その後、ウイルスCVB4E2の存在下に置かれる場合、PBCMによるIFNαの高い産生が見られた(87 IU/ml)。他方、同一の血漿を、先ず、CVB4E2のVP4蛋白質と共に1時間プレインキュベートし、その後CVB4E2ウイルスを添加する場合、PBMCによるIFNα産生は低い(8.5 IU/ml)。
【0063】
コントロールウイルスのみ(CVB4E2またはCVB3)、CVB3またはCVB4E2の蛋白質VP4のみ、MEMまたは血漿のみは、PBMCによるIFNα産生へ導かない。
【0064】
実施例4:CVB4E2の組換えVP4蛋白質の合成
A)組換えVP4の産生
1−使用した細菌
コンピテントな大腸菌(Escherichia coli bacteria)JM 109(Promega, Madison, United-States)を使用した。
【0065】
2−使用したプラスミド
コンピテントな細菌の形質転換のために使用したプラスミドは、Doctor Ruben Valera Calvinoによって供給される、pMAL−c2(Valera-Calvino and al., 2000)、ベータ−ラクタマーゼ[従って、アンピシリン含有培地上で該プラスミドを受容した細菌の選択]をコードしそしてMBP蛋白質[これは、IPTG誘導プロモーター(Promega, Madison, United-States)のコントロール下で、VP4蛋白質と結合された]をコードするプラスミドである(図6を参照のこと)。
【0066】
3−使用した培地
α.SOC培地
この培地は、1リットル当たり、20gのBactoTMトリプトン(DIFCO-BECTON DICKINSON, United-States)、5gの酵母抽出物(DIPCO, Detroit, United-States)、10mlのNaCl 1M、2.5mlのKCl1M、10mlのMgCl2 1M/MgSO41Mおよび10mlのグルコース 2Mを含有し、pHは7に調節する。
【0067】
β.LB培地
この培地は、1リットル当たり、10gのトリプトン(DIFCO-BBCTOM DICKINSON, United-States)、5gの酵母抽出物(DIPCO, Detroit, United-States)、5gのNaClを含有し、pH値を7.2に調節する。LP培地の皿について、この培地はまた、15gのアンピシリン含有寒天(Invitrogen, Cergy Pontoise, France)を含む。組換え蛋白質の産生のために使用されるLB培地は、1リットル当たり2gのグルコースの添加で富化され、そして1リットル当たり100μgのアンピシリンを含む。
【0068】
4−使用した緩衝液
α.カラム緩衝液
この溶液は、1リットル当たり、20mlのTris−HCl(Q.Biogene, United-States)1MpH7.4、11.7gのNaCl、2mlのEDTA 0.5M(Sigma-Aldrich, United-States)を含む。MPB−VP4蛋白質の溶出のために、3.6gのマルトース(Sigma-Aldrich, United-States)(10mM)を該カラム緩衝液へ添加し、溶出緩衝液と呼ぶ。
【0069】
β.消化緩衝液
この溶液は、1リットル当たり、3.2gのTris−HCl(Q.Biogene)(0.2M)、5.84gのNaCl(100mM)および0.22gのCaCl2を含み、pHは8へ調節される。
【0070】
5−細菌の形質転換
コンピテントな細菌のアリコートを氷中で解凍し、次いで、1〜2μlのプラスミドを添加し、そして氷中で30分間該細菌と共にインキュベートする。次いで、該細菌を熱ショックへ供し:それらを42℃で30秒間放置し、その後、氷中へ1〜2分間戻す。室温へもっていた250μlのSOC培地を添加し、チューブを撹拌しながら37℃で1時間インキュベートする。20〜100μlの細菌懸濁液を、形質転換された細菌の選択のためにアンピシリン含有培地の皿の上に広げ、該皿を37℃で一晩インキュベートする。
【0071】
種々の容量の細菌懸濁液を、種々の皿上に広げて、コロニーが単離されている少なくとも1つの皿を得る。コロニーを有する皿を4℃で保存する。
【0072】
6−組換えMBP−VP4蛋白質の産生
10mlのリッチなLB培地に、チューブFalcon(登録商標)15ml中、形質転換された細菌のコロニーを接種し、これを、37℃で一晩インキュベートする。翌日、2.5リットルのフラスコ中1リットルのリッチなLB培地に、これら10mlを接種し、次いで、そのO.D.(光学密度)が0.5〜0.6の範囲内の値を達成するまで、撹拌しながら37℃でインキュベートする。次いで、MBP−VP4産生を、該フラスコ中に3mlのIPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を添加することにより誘発し、これを、撹拌しながら37℃で少なくとも3時間インキュベートする。
【0073】
7−MBP−VP4蛋白質の回収および取得
細菌の培養物を、4℃、4000×gで20分間遠心分離する。次いで、上澄みを捨て、そして細菌ペレットを50mlのカラム緩衝液中に取り(taken up)、そして−20℃で一晩凍結させ、その後、冷水中で解凍し、そして翌朝氷中へ配置する。細菌を、15秒間の8の連続の超音波処理によって溶解させる。細菌溶解物を、4℃、900×gで30分間の遠心分離により清澄化して、上澄みを回収する。別に、5mlのアミロース樹脂(NEW ENGLAND BioLabs, United-States)を、クロマトグラフィーカラム中へ配置し、次いで、40mlのカラム緩衝液で洗浄する。融合蛋白質MBP−VP4を含有する細胞抽出物を、1時間当たり25.6mlのフローで該カラムへ注入する。該樹脂を、60mlのカラム緩衝液で洗浄する。MBP−VP4蛋白質を溶出緩衝液で溶出し、フラクションを1フラクション当たり1mlの割合で回収する。280nmで最大O.D.を示すフラクションをプールする。該蛋白質を、透析によりPBSに対して脱塩し、そして10KdでフィルターMacrosepTMフィルター膜(PALL, Life Sciences, United-States)上において、少なくとも30分間、4℃、5000×gでの遠心分離によって濃縮する。
【0074】
得られたMBP−VP4蛋白質を、第Xa因子(NEW ENGLAND) BioLabs United-States)によって切断し、この最適濃度は、溶出緩衝液または消化緩衝液中の該融合蛋白質のものの2%である(280nmでの吸光度でU.V.分光器により測定)。
【0075】
MBP蛋白質、切断されていないMBP−VP4およびXa因子を、VP4蛋白質に対してのみ透過性の10KdでのMacrosepTMフィルター膜上における遠心分離 により除去する。濾液を、3KdでのMacrosepTMフィルター膜(PALL, Life Sciences, United-States)における遠心分離により回収および濃縮する。濃縮したVP4蛋白質を−80℃で保存する。
【0076】
健康な被験体からの血漿の存在下で予めインキュベートしたPBMCの培養物中でのCVB4E2誘発化IFNα産生を測定した。IFNα産生レベルを、48時間後回収した培養上澄み中で、DELFIA法により測定する。各培養条件は、1ウエル当たり2.105細胞、およびCVB4E2について1のm.o.iを必要とする。血漿の試料は、RPMI培地中1/10 10倍(1/10 tenfold)に希釈し、そして37℃でCVB4E2と共に1時間インキュベートした。組換えVP4蛋白質を、CVB4E2と共のインキュベーション前に37℃で1時間、血漿の存在下に置く。結果は、3つの異なるドナーで行われた3つの独立した実験の平均および標準偏差を示す(図7を参照のこと)。
【0077】
種々の量の血漿(10、1、0.1、0.01μg/ml)と共にインキュベートした組換えVP4蛋白質は、該ウイルスと共の血漿のプレインキュベーションによってPBMCのCVB4E2と共のインキュベーションに対して発せられる効果に対する、組換えVP4蛋白質の用量−応答効果に注目することを可能にする。従って、0.01μg/mLの割合の該蛋白質で189.5+/−21.6IU/mLのIFNα産生、0.1μg/mlの割合で104.7+/−4.5IU/mL、1μg/mlの割合で44.1+/−24.3IU/mLのIFNαが得られ、そして10μg/mlの割合で15.3+/−7.9IU/mLが得られる。従って、血漿と共にインキュベートされた組換えVP4の用量が高いほど、IFNαの値がより低くなる(図7を参照のこと)。
【0078】
実施例5:CVB4E2全長のVP4蛋白質の生物学的活性を模倣するCVB4E2のVP4蛋白質のペプチドフラグメントの研究
A)材料および方法(ELISAアッセイ)
1−アッセイした血清および血漿:
非糖尿病患者からの40血漿および糖尿病患者からの40血漿または血清をアッセイした。
【0079】
2−ELISAアッセイにおいて使用したVP4ペプチド
使用した5つのVP4ペプチドは、CVB4−E2ウイルスのVP4蛋白質の配列(配列のNCBIデータバンクアクセッションナンバーに列挙される:Q86887)に基づいて、EPYTOPE Company (Nimes)によって合成された。CVB4E2ウイルスのVP4蛋白質の配列上のそれらの位置ならびにそれらの配列を下記の表1に示す。それらは重複しており、そしてVP4の配列の全体をカバーしている。
【0080】
【表1】
【0081】
3−使用した緩衝液の組成
−PBS緩衝液:(1リットルについて):
*NaCl 8.0g
*KCl 0.2g
*KH2PO4 0.3g
*Na2HPO4/2H2O 1.44g
pHを7.4へ調節
−洗浄溶液
PBS pH=7.4、0.05%Tween20を含有する
−飽和および希釈緩衝液:
水中に1/20thで希釈した濃縮ミルク希釈液/ブロッキング溶液(KPL)(Concentrated milk diluent/blocking solution)
−ポスト−コーティング緩衝液(Post-coating buffer):
リン酸ナトリウム緩衝液50mM、pH=4.5、以下を含有:
*D−ソルビトール 6%
*NaCl 0.9%
*BSA 0.1%
*CACl2/2 H2O 0.1mM
*EDTA 4μM
*NaN3 0.005%
pHを4.8に調節
− 二次抗体溶液:
希釈緩衝液中に1/10000thへ希釈されたペルオキシダーゼに結合された抗−IgG.A.M抗体(H+L)ヒト(Bio-Rad)
− 顕在化緩衝液(Revealing buffer)
蒸留水100mlにリン酸クエン酸緩衝液(Sigma)のカプセルを溶解させる(Cf=0.05M、pH5.0)。この緩衝液25mlを取り、そしてアルミニウムに包まれた50mlのボトル中へ配置する。10mgのODPパステル(pastille)(Sigma)を取り、そしてこれら25ml中に溶解する(Cf=0.4mg/ml)。ボルテックスを使用して混合する。使用直前に、10μlの30%H2O2を添加する。
【0082】
4− ELISAプレートの調製
PBS緩衝液(pH=7.4)中に5μg/mlで希釈したVP4蛋白質または5つのVP4ペプチドを、100μl/ウエルの割合で、96ウエルのマイクロプレート(FluoroMunc, MaxiSorp surface, NUNC, Danemark)のウエルにコーティングする。プレートを、湿潤雰囲気下37℃で1時間インキュベートし、次いで、室温で24時間放置する。PBS緩衝液で3回洗浄後、ウエルを、湿潤雰囲気下37℃で1時間、飽和緩衝液300μlで飽和し、その後、洗浄緩衝液で3回洗浄する。次いで、250μlのポスト−コーティング緩衝液(post-coating buffer)を各ウエルに添加し、そしてプレートを室温で24時間インキュベートし、次いで使用まで4℃で保存する。
【0083】
5− 用量決定ELISA:
VP4蛋白質または種々のペプチドVP4でコーティングされたウエルを、洗浄緩衝液で3回洗浄して、ポスト−コーティング溶液を除去する。次いで、希釈緩衝液中に1/50thへ希釈された血漿または血清100μlを、種々のウエルへ添加し、そしてプレートを、湿潤雰囲気下37℃で1時間インキュベートする。同時に、100μlの希釈緩衝液を含有するネガティブコントロールウエルを行う。次いで、ウエルを洗浄溶液で3回洗浄し、そして100μlの二次抗体溶液を各ウエルへ添加する。湿潤雰囲気下37℃で1時間インキュベーション後、ウエルを洗浄溶液で5回洗浄し、そして100μlの基質溶液を各ウエルへ添加する。プレートを、室温および暗所中で、30分間インキュベートする。着色反応を、1ウエル当たり25μlのH2SO4 2N(1M)の添加によって停止させ、そしてプレートを、490nmの波長でプレートリーダーにおいて読み取る。
【0084】
B)VP4蛋白質およびペプチドVP4−P1、VP4−P2、VP4−P3、VP4−P5、VP4−P6の比較からのELISAによって得られた結果:
VP4蛋白質および種々のペプチドVP4で各血清について得られたODを、ネガティブコントロールで得られたODで割る。下記の表は、アッセイされた血清の2つのシリーズで得られたODの割合の平均+/−標準偏差を示す(患者=糖尿病患者、コントロール=糖尿病でない)。(図8〜10を参照のこと)。
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
図8〜10は、ELISAアッセイの結果を図示する。
【0089】
ペプチドVP4−P1(配列番号1)およびVP4−P2(配列番号2)は、患者からの40の血清でのELISAアッセイにおいてVP4蛋白質に匹敵するOD示す(図8を参照のこと)。
【0090】
特に、ペプチドVP4−P2(配列番号2)は、患者からの40血清および非糖尿病患者からの40血清のODを比較するELISAアッセイにおいて、VP4と同一の挙動を示す(図9および10を参照のこと)。従って、ペプチドVP4−P2(配列番号2)は、VP4と同様に、非糖尿病でよりも糖尿病でより高レベルの抗体を認識する。
【0091】
C)VP4蛋白質およびペプチドVP4−P2の比較からの生物学的試験の結果(PBMCによるIFNα産生):
培養物中におけるPBMCによるIFNα産生のためおよび産生されるIFNαをDELFIA法により明らかにするための、材料および方法は、実施例3と同一である。
【0092】
ペプチドVP4−P2(配列番号2)は、血漿の存在下でのPBMCの感染の間の用量依存IFNα産生の減少を示す(図11、トラック7〜9を参照のこと)。
【0093】
従って、ペプチドVP4−P2は、この生物学的アッセイにおいてVP4蛋白質を模倣する。
【0094】
ELISAアッセイによって裏付けられたこれらの結果(ポイントB)は、ペプチドVP4−P2(配列番号2)が、“促進”抗−VP4抗体によって認識される1または数個のエピトープを提示することを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1:5人の健康な被験体からのCVB/血漿誘発化IFNα産生に対する、VP4蛋白質またはH抗原の効果。
【0096】
図1a:VP4CVB3蛋白質の存在下での用量−依存CVB3/血漿誘発化IFNα産生の減少。
【0097】
図1b:H抗原の存在下での用量−依存CVB3/血漿誘発化IFNα産生の増加。
【0098】
図1c:VP4CVB4蛋白質の存在下での用量−依存CVB4/血漿誘発化IFNα産生の減少。
【0099】
図1d:H抗原の存在下での用量−依存CVB4/血漿誘発化IFNα産生の増加。
【図2】図2:健康な被験体およびIDDM患者の抗−VP4抗体の平均指数値の比較。
【図3】図3:健康なドナーからの血漿との種々のCVB血清型のインキュベーション後のPBMCによる平均IFN−アルファ産生。
【図4】図4:DELFIA法を使用しての、健康なドナーから得られた血漿の存在下での(黒)、またはCVB4E2のVP4と共にプレインキュベートした血漿の存在下での(斜線)、ウイルスの種々の血清型でのPBMCの感染の間のIFNα産生を測定することによる、活性化抗体の特異性の評価。
【図5】図5:CVB4E2のVP4またはCVB3のVP4の存在下での、CVB4E2またはCVB3でのPBMCの感染の間のIFNα産生。
【図6】図6:プラスミドpMAL−c2。
【図7】図7:健康な被験体の血漿および必要に応じて組換えVP4の存在下で予めインキュベートしたCVB4E2でのPBMCの感染の間のIFNα産生。
【0100】
図7の凡例
1.RPMI培地
2.血漿
3.CVB4E2
4.VP4 1 μg/ml
5.血漿+VP4
6.血漿+CVB4E2
7.血漿+VP4 0.01 μg/ml+CVB4E2
8.血漿+VP4 0.1 μg/ml+CVB4E2
9.血漿+VP4 1 μg/ml+CVB4E2
10.血漿+VP4 10μg/ml+CVB4E2。
【図8】図8:VP4およびペプチドVP4-P1、VP4-P2、VP4-P3、VP4-P5、VP4-P6の比較ELISAアッセイ。
【図9】図9:VP4およびペプチドVP4−P2の比較ELISAアッセイ(患者=糖尿病患者からの40血清の平均、コントロール=非糖尿病患者からの40血清の平均)。
【図10】図10:組換えVP4、VP4およびペプチドVP4−P2の比較ELISAアッセイ(患者=糖尿病患者からの40血清の平均、コントロール=非糖尿病患者からの40血清の平均)。
【図11】図11:健康な被験体からの血漿および必要に応じてVP4の存在下で予めインキュベートしたCVB4E2でのPBMCの感染の間のIFNα産生。
【0101】
図11の凡例:
1:培地
2:P2 (1μg/ml)
3:血漿 1/100th
4:CVB4E2
5:CVB4E2+血漿1/100th+培地
6:CVB4E2+血漿1/100th+VP4(1μg/ml)
7:CVB4E2+血漿1/100th+VP4-P2(1mg/ml)
8:CVB4E2+血漿1/100th+VP4-P2(0.1mg/ml)
9:CVB4E2+血漿1/100th+VP4-P2(0.01mg/ml)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗原−抗体認識タイプの免疫学的反応を明らかにすることに基づくエンテロウイルスのインビトロ診断アッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
エンテロウイルス(Enteroviruses)は、ピコルナウイルス科のエンテロウイルス属(gender)に属する。これらのウイルスは、直径25〜30nmのものであり、被覆されておらず、そして正二十面体シンメトリーを有し、そして一本鎖で線形の、フラグメント化されていない、かつポジティブのRNA(リボ核酸)である。
【0003】
被覆の欠如は、物理化学剤に対する耐性およびpH3〜10の範囲内での安定性をそれらに与える。これに反して、エンテロウイルスは、45℃(そして二価カチオンの存在下では50℃でさえ)より高い温度での熱によって、ならびに主要な殺菌剤(disinfectants)および防腐剤(antiseptics)(ヨウ化プロビドン(ioded providone)、次亜塩素酸ナトリウム、アルデヒド類)によって不活性化される。
【0004】
エンテロウイルスの64の血清型が存在する:3ポリオウイルス、23コクサッキーウイルスA(CVA)、6コクサッキーウイルスB(CVB)、28エコーウイルス(EV)および4の分類されていないエンテロウイルス。
【0005】
約7500ヌクレオチドのエンテロウイルスゲノムのうち80%超は、5’および3’の2つの非コーディング領域によって挟まれた唯一のリーディングフレームから構成される。このリーディングフレームによってコードされる嵩高い蛋白質は、4つの成熟構造蛋白(mature structural proteins)VP1、VP2、VP3およびVP4(VP=ウイルス蛋白質(viral protein))ならびに非構造蛋白質(例えば、プロテアーゼおよびウイルスRNAポリメラーゼ)に切断される。僅かな動物エンテロウイルスゲノムが配列決定された。にもかかわらず、配列決定されたものは、ヒトエンテロウイルスと非常に高い相同性を示す。
【0006】
エンテロウイルスは、ウイルスRNAポリメラーゼの転写エラー(これは、規則的な突然変異の源である)および種々のウイルスゲノム間の組換えに起因して、非常に高い遺伝的多様性である。この多様性は、エンテロウイルスの病理学的スペクトルおよび組織的屈性の多様性に寄与する。
【0007】
口−糞経路(oral-faecal route)は、同種の2個体の接触によるかあるいは水または汚染された食物を介してのヒトからヒトへのエンテロウイルスの伝染の主要な様式である。いくつかの血清型は、呼吸または皮膚−粘膜様式で伝染する。消化管を介して浸透するエンテロウイルスは、まず腸管において増殖し(従って、用語エンテロウイルス(enterovirus))、その後、血流を介して標的器官(中枢神経系、横紋筋、皮膚、...)へと体中に広がる。明白でない(non-apparent)感染は、エンテロウイルスの最も重要な部分である。急性感染および持続性感染は、症状形態の中でも顕著である。
【0008】
ヒト急性感染は、非常に多型性である。エンテロウイルスは、中枢神経系感染(リンパ球性髄膜炎、髄膜脳炎、灰白髄炎型の麻痺)の原因である最も頻繁な感染因子である。それらは、多数の他の呼吸性病理学的感染(鼻炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎)、心臓感染(心膜炎、心筋炎)、筋炎、斑丘疹(maculo-papulous)、または紫斑発疹(purpureous eruptions)、熱性症候群(febrile syndroms)、および、よりめったにないが、肝炎、腎炎、精巣炎または関節炎に関与する。臨床症状は、エンテロウイルスに対して、そしていくつかの血清型に対してさえ非常に特異的である;胸膜痛またはボーンホールム病(CVB)(痛覚過敏(hyperalgic)インフルエンザの類に対応する)、ヘルパンギナタイプの小胞発疹または手−足−口症候群(hand-foot-mouth syndrome)(CVA、CVB、エンテロウイルス70)、出血性結膜炎(CVA−24、エンテロウイルス70)。
【0009】
エンテロウイルスによって感染される動物は、ウシ、ブタおよびトリである。これらのエンテロウイルス感染の大部分は、明白でなく(not apparent)、そしてブタおよびトリエンテロウイルスのみが、経済的に重要な疾患の原因である。ブタエンテロウイルスのいくつかの株は、ブタのポリオ脳脊髄(porcine polio-encephalomyelitis)の原因である。SVDV(ブタの小胞性疾患ウイルス;swine vesicular disease virus)は、ブタの小胞性疾患を引き起こす。一般的に、該疾患自体は重篤ではなく、そして動物の大部分が生き残る。
【0010】
少なくとも4つの慢性ヒト病理学が、エンテロウイルスに関連しているとみなされている:慢性髄膜脳炎(chronic meningo-encephalitis)、灰白髄炎後症候群(post-poliomyelitic syndroma)、心疾患およびインスリン依存性糖尿病。実際に、インスリン依存性真性糖尿病(insulin-dependent diabetes mellitus;IDDM)または1型糖尿病におけるコクサッキーウイルスB関与に賛成する強力な議論が存在する。数人の権威者は、該疾患の臨床的症状発現の初期でのIDDM患者の末梢血中のCVBとの高い相同性を示すエンテロウイルスRNAの存在を検出した(Clements and al., 1995 ; Andreoletti and al., 1997 ; Nairn and al., 1999 ; Lonnrot and al., 2000)。最近、本出願人は、血漿中のインターフェロンα(IFNα)の高い割合が、その場合の50%において、1型糖尿病の成人および子供の循環血中のエンテロウイルス配列(特に、CVB3およびCVB4)の存在に相関していることを示した(Chehadeh and al., 2000)。本出願人はまた、CVB4が、循環するIgG抗体または関連する細胞との相互作用よって、IDDM患者の末梢血単核細胞(peripheric blood mononuclear cells;PBMC)によるIFNαの高い産生を誘発し得ることを示した(Hober and al., J. Gen. Virol., vol. 83, n°9, September 2002)。インターフェロンα産生は、ウイルス感染のマーカーである。この産生は、ウイルス感染を促進するいわゆる“促進”抗体の存在下以外では、CVB4によって弱く誘発される。従って、CVB4は、該ウイルス、抗ウイルス抗体および該細胞表面上の特異的受容体(CAR、Fcγ RII、Fcγ RIII)の相互作用を介しての抗体依存機構によって、単核細胞(大部分は、CD14+)に感染し得、IFNα産生が生じる。抗−CVB4 IgGによって誘発されるIFNαのこの合成は、ウイルス複製ではなく該単核細胞へのCVB4の浸透を反映し、そして該細胞中のCVB4 RNAの存在を必要とする。これら抗−CVB4 IgGによって誘発されるIFNα産生がブロックされると、PBMCによって産生されるウイルス粒子が検出され得る(Chehadeh and al., J. Gen. Virol., vol.82, n°8, August 2001)。その上、CVB4と共にプレインキュベートされその後健康な被験体の単離PBMCへ添加されたIDDM患者の血漿IFNαの誘発活性は、健康な被験体からの血漿のそれと比較して高い(Hober and al., J. Gen. Virol., vol. 83, n°9, September 2002)。IDDM患者は、コントロールと比較して、CVB誘発化IFNα合成を増強する、“促進”と呼ばれる、抗−CVB抗体のより高い有病率を有する。従って、エンテロウイルスに感染した患者の血漿は、該ウイルスを“固定化し(immobilise)”そして構造表面蛋白質VP1のエピトープに大部分は指向される既に知られている中和抗体に加えて、ウイルス感染を好む“促進”抗体を含有する。
【0011】
エンテロウイルスの診断について現在使用されている診断手段は、直接的な手段:細胞培養、新しく生まれたマウスへの接種、ゲノムの非コーディング5’領域におけるプライマーを使用してのゲノム増幅、ならびに間接的な手段:血清中和(sero-neutralisation)および免疫酵素技術である。
【0012】
細胞培養および血清中和は、全てのコクサッキーウイルスAに適用可能でなく、血清型A1、A19およびA22には培養可能でない。実際に、CVAの大部分は、CVA9を除いて容易には培養され得ない。
【0013】
新しく生まれたマウスへの接種は、コクサッキーウイルス感染を診断しそしてCVA(弛緩性麻痺)とCVB(痙攣性麻痺)とを区別することを可能にする、扱いにくくそして時間のかかる技術である。
【0014】
分子生物学の技術、例えばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によるゲノム増幅は、高度に保存された領域におけるプライマーの使用によって少量のエンテロウイルスを検出することを可能にした。しかし、それらは、全てのエンテロウイルス感染を検出することを可能とせず、特に、感染が局在化しておりそしてウイルス複製率が低い場合、互いに血清型を区別することを可能にしない。免疫−酵素技術もまた、せいぜいグループを区別し、そして中和抗体の検出に基づいて、それらは、エンテロウイルスで共通の抗原の非存在の問題に直面する。
【0015】
従って、これらの試験の中には、血清型または変異体を非常に細かいスケールで検出するための技術も(野生株とワクチン株との区別)、あるいは、感染された個体におけるウイルス負荷(viral load)を定量化する方法も存在しない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
この欠陥を満たすために、本出願人は、エンテロウイルスについての特異的かつ定量的なインビトロ診断アッセイを開発した。このアッセイは、ウイルス感染を“促進する”抗体を誘発しそして中和抗体を誘発しない抗原の存在に基づいている。
【0017】
実際に、本出願人は、コクサッキーウイルスB3およびB4感染の場合に“促進”抗体によって認識されるエピトープを提示するウイルス蛋白質を同定した。この蛋白質は、構造内部蛋白質VP4(structural internal protein VP4)であり、そしてその実証が以下の通りに与えられた:
a)先ず、ウイルスCVB3およびCVB4 E2を培養しそして精製し、
b)次いで、一方で蛋白質VP4、そして他方でH抗原(“アーティフィシャルエンプティーカプシド(artificial empty capsids)”のためにAECとも呼ばれる)を、解離させたウイルスCVB3およびCVB4 E2から単離しそして精製し、
c)最後に、VP4蛋白質は、CVB/血漿カップル誘発化IFNα産生の増強を阻害することが示された。実際に、CVBを添加する前に血漿と共にVP4がプレインキュベートされる場合、VP4は抗−VP4抗体に結合し、そして、従って、CVBへ結合しそしてPBMCのインビトロ感染およびそれらによるIFNα産生の増強を促進する抗−VP4抗体はほとんど残っていない。これは、“促進”抗体が抗−VP4抗体であることを証明している。
【0018】
他方で、抗−VP4CVB3抗体と抗−VP4CVB4抗体との間で、交差反応は観察されなかった。VP4CVB4がCVB3の添加前に血漿とプレインキュベートされた場合、PBMC培養物中のCVB3誘発化IFNαレベルの変化は観察されなかった。CVB3から解離されたVP4蛋白質も、CVB4誘発化IFNαレベルに影響を与えない。従って、VP4蛋白質によって提示されるこれら2つの血清型のエピトープは、十分に異なっており、その結果、“促進”抗体は、1または別の血清型に対して特異的である。
【0019】
この結果は、他のCVB、CVB1〜CVB5血清型で立証された。抗−VP4CVB4E2抗体は、他の血清型のCVBウイルスを認識しない(実施例3)。
【0020】
用語“促進抗体”(facilitating antibodies)は、ウイルス感染を促進しそしてウイルス血清型(ここに抗原が由来する)に特異的である非中和抗体を意味する。
【0021】
本出願人は、この実証を利用して、抗ウイルス中和抗体を誘発しないが、ウイルス感染を増加させる“促進”抗体を誘発する、抗原またはそのエピトープを使用することを特徴とする、抗原−抗体認識タイプの免疫学的反応を明らかにすること(revelation)に基づくエンテロウイルスのインビトロ診断アッセイを開発した。
【0022】
本発明の課題は、抗原が対応の“促進”抗体の検出のために支持体上に固定されているか、あるいは“促進”抗体が対応の抗原の検出のために支持体上に固定されていることを特徴とする、エンテロウイルスの診断アッセイに関する。支持体は、マルチウエルマイクロタイトレーションプレート(multi-well microtitration plate)または“チップ”タイプのものであるか、あるいは任意の他の支持体である。用語“チップ”は、無機または有機固体材料(例えば、ガラス、シリコンまたは合成ポリマー)の小型フラット支持体(miniaturised flat support)を意味し、この上に、共有結合または非共有結合によってポリペプチドが結合される。
【0023】
本発明のアッセイが、支持体上に固定された対応の抗原による“促進”抗体の検出を目的とする場合、反応は、標識された二次抗−種抗体(labelled secondary anti-species antibody)(例えば、抗−ヒト)によって明らかにされる。
【0024】
本発明のアッセイが、支持体上に固定された対応の“促進”抗体による抗原の検出を目的とする場合、反応は、標識された抗−ウイルス抗体によって、あるいは抗−ウイルス抗体(例えば、ヒト)、次いで標識された二次抗−種抗体(例えば、抗−ヒト)によって明らかにされる。
【0025】
該二次抗体のマーカーは、好ましくは、酵素、例えばその基質との着色化またはルミネッセント反応を示すHRP(“ホースラディシュペルオキシダーゼ”;horseradish peroxydase)、放射性同位体、蛍光化合物、化学発光化合物(chemiluminescent compound)、生物発光化合物(bioluminescent compound)または金属キレートである。
【0026】
“促進”抗−ウイルス抗体を誘発する抗原として、全長ウイルス内部蛋白質またはそのフラグメントを使用することが好ましい。この蛋白質は、ウイルスから精製され得るか、同一の免疫原性を示す組換え蛋白質であり得るか、あるいは化学的に合成され得そして同一の免疫原性を示し得る。
【0027】
特に、該ウイルス内部蛋白質が、構造蛋白質VP4であることが好ましい。
【0028】
特に好ましい様式において、本発明の診断アッセイにおいて使用される“促進”抗ウイルス抗体を誘発する抗原は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5の配列のペプチド(好ましくは、配列番号2の配列のペプチド)から取られるVP4蛋白質のペプチドフラグメントである。
【0029】
このアッセイは、特に、コクサッキーウイルスタイプAまたはB感染を診断することを可能にする。
【0030】
このアッセイは、以下の工程を包含する:
a−前記“促進”抗体または前記“促進”抗体を誘発するウイルス蛋白質、あるいはそのフラグメントの、支持体上への固定化、
b−コントロール抗体、コントロール蛋白質、またはそのフラグメントの、支持体上への固定化、
c−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄、
d−無関係の蛋白質の緩衝溶液での該被覆されていない支持体表面の飽和、
e−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄、
f−該飽和緩衝液中の異なる希釈での研究される試料の添加、
g−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄、
h−標識された抗体の使用による該応答の増幅、
i−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄、
j−標識強度の読み取り。
【0031】
特に、本発明のアッセイは、以下:
− 本発明の抗原または“促進”抗体、
− 抗原−抗体反応を行うために好ましい培地の構成に必要とされる試薬、
− 形成される複合体の検出を可能にする試薬、
を備えるボックスまたはキットの使用によって行われ得る。
【0032】
本発明によれば、該アッセイは、支持体上に固定された精製VP4蛋白質でそれらを捕捉することによる抗−VP4抗体の検出および用量決定(dosage)による、CVB3またはCVB4あるいは任意の他のCVB感染の診断に、特に適用され得る。実際に、血漿と共にプレインキュベートされたVP4蛋白質の量とIFNα産生のレベルとの間に、用量−応答関係(dose-response relation)が存在することが、明らかにされた。従って、血漿の抗−VP4抗体は、血漿と共にプレインキュベートされたVP4蛋白質によって捕捉される。このアッセイにおいてVP4蛋白質の量が増加するほど、CVBを認識する遊離の“促進”抗−VP4抗体の量が減少し、IFNα産生が低くなる。その上、用量−依存相関関係が、PBMCへ添加する前にCVB3またはCVB4と共にプレインキュベートされた抗−VP4抗体の量と、IFNα産生のレベルとの間に見られた。IFNαの産生は、抗−VP4抗体が枯渇した血漿の存在下または無関係の抗体の存在下では検出されない。
【0033】
本発明のアッセイ主題は、“促進”抗体、あるいはこれらの抗体によって認識されるエピトープを有するウイルス蛋白質の用量決定を可能にして、ウイルス感染に対する細胞の応答(例えば、IFNαの産生)を測定することを可能にする。
【0034】
上述のアッセイは、異なるウイルスによって引き起こされる感染のスクリーニングを行うために、他のエンテロウイルスの他のVP4蛋白質を用いて行われ得る。
【0035】
このアッセイは、該疾患の開始の予測値を確立することを目的とする、エンテロウイルス感染に関連した慢性疾患の場合に使用され得る。より詳細には、このアッセイは、CVB感染に関連した1型糖尿病を有する前糖尿病患者における開始を予測するために使用され得る。
【0036】
このアッセイはまた、検出される“促進”抗体の量と疾患の段階とを相互に関連付けるために使用され得る。より詳細には、このアッセイは、CVB感染に関連した1型糖尿病の段階を評価することを可能にする。
【0037】
本発明に従う診断アッセイは、急性ヒトまたは動物感染の原因であるエンテロウイルス血清型の決定(determination)のために使用され得る。実際に、“促進”抗体およびその抗原は、所定のエンテロウイルス血清型に特異的であり、そして本発明のアッセイは、多くの血清型によって拡大され得る。この効果のために、血清型と同じだけ多くの支持体が使用され得るか、あるいは“促進”抗体または対応の抗原を、各血清型について、小型化支持体(例えば、“チップ”)上に固定する。
【0038】
従って、本発明の診断アッセイはまた、所定のヒトまたは動物母集団における血清型によるエンテロウイルス感染の分布の測定のために使用され得る。
【0039】
本発明の更なる実施形態において、該診断アッセイは、抗ウイルス剤のウイルス標的の決定のために使用され得る。実際に、“促進”抗体を誘発する抗原が、1以上の支持体上に対応の“促進”抗体を固定することにより、本発明の診断アッセイによって各ウイルス血清型について測定および用量決定され(dosed)得る。従って、ほぼ重要な濃度の抗ウイルス剤の存在下または非存在下で培養可能なウイルスの細胞のインビトロ伝染力が、測定され得る。これはまた、測定され得る抗ウイルス剤のいくつかの血清型および標的について行われ得る。この実施形態において、本発明の診断アッセイは、ウイルス力価および抗ウイルス剤の濃度に依存する、インビトロでの細胞死の長く退屈な測定を置換することを可能にする。
【0040】
以下の実施例は、その範囲を限定することなく、本発明を例示する。
【実施例】
【0041】
実施例1:抗CVB3または抗CVB4“促進”抗体を誘発するCVB3またはCVB4のウイルス蛋白質の顕在化:
a)CVB3およびCVB4ウイルスの培養および精製
CVB3(Americain Type Culture Collection, Manassas, USA)および糖尿病誘発性CVB4 E2(Ji-Won Yoon, Julia McFarlane Diabetes Research Center, Calgary, Alberta. Canadaにより供給)を、熱で不活性化させたウシ胎児血清(Gibco BHL)10%およびL−グルタミン(Eurobio, France)1%を補充した、イーグル最小必須培地(Gibco BRL, Eragny, France)中、Hep−2細胞(Biowhittaker, Verviers, Belgium)において増殖させた。37℃、5%CO2で24時間のインキュベート後、該細胞懸濁液を3回凍結および解凍し、そして2000×gで10分間遠心分離した。上澄みから得られたウイルスを、Beckman TLA−100.4ローター中、4℃で3時間、500 000×gでの遠心分離によりペレット化した。該ペレットを、0.5%(vol/vol)のNonidet P40を含有する、3mlのTris−HCl 0.01M pH7.2中に再懸濁させ、4℃で20分間インキュベートし、ホモジナイズし、そして4000×gで遠心分離して、不溶性残渣を除去した。僅か0.5mlの精製したウイルス懸濁液を、0.5mlのスクロース(30%、wt/v)および3ml CsCl(40%、wt/vol)上に重ねた。4時間、Beckman TLA−100.4ローター中、4℃で348,000×gでの遠心分離後、勾配フラクション(gradient fractions)を回収し、そして勾配フラクション中のウイルス力価を、Hep−2細胞のコンフルエント培養物上での50%組織培養物感染用量(50% tissue culture infectious dose;TCID50)によって測定した。ピーク感染能力価(peak infectivity titers)を含有するフラクションを、プールし、透析し、そしてTris−HCl 0.01M pH7.2を用い、300Kの分子量カットオフ(MWCO;molecular weight cutoffs)でのMacrosepTM膜(Pall Filtron Corporation, Saint Germain en Laye, France)における4000×gでの遠心分離で平衡化した。−80℃で凍結させたアリコートを保存した。Mock調製物(mock preparation)を、Hep−2細胞をウイルス溶媒のみで感染させた以外は同一のプロトコルによって得た。
【0042】
b)CVB3およびCVB4ウイルスのVP4天然蛋白質およびH抗原の精製
VP4蛋白質およびH抗原を、ポリオウイルスについて他で記載されたように(Maizel and al., 1967)、完全ウイルスCVB3およびCVB4から解離させた。簡潔に言えば、精製しそして濃縮したCVBウイルス粒子(〜1mg)を、0.5mlナトリウム緩衝液(NaCl 0.1M、クエン酸ナトリウム0.005M、pH7.0)中、5分間、56℃でインキュベートした。この処理によって、ウイルスRNA、VP4およびH抗原での該ウイルスの解離が生じる。次いで、VP4蛋白質を、100KdのMWCOでの、MacrosepTM膜上における、4000×gでの遠心分離によって、該混合物から分離させた。H抗原およびRNAは該膜によって保持され、そしてVP4は該膜を通過した。RNAを、0.05mgのウシ膵臓リボヌクレアーゼA(Roche Molecular Biochemicals, Mannheim, Germany)を添加し、そして10分間37℃でインキュベートすることによって分解させた。H抗原およびVP4を脱塩しそしてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.2を用いて、それぞれ100Kdおよび3KdのMWCOでのMacrosepTM膜上における4000×gでの遠心分離により、平衡化させた。H抗原およびVP4を、Savant Speed Vac Concentrator SVC100H(Global Medical Instrumentation, Minnesota, USA)を使用して濃縮した。Mock解離もまた、上述のように精製した非感染のHep−2細胞の上澄みを用いて行い、そして以下のためにmock蛋白質を生成した。蛋白質の濃度を、1mg/mlの吸光係数を想定して、280nmでの吸光度から算出した。
【0043】
c)VP4蛋白質によるCVB/血漿カップル誘発化IFNα産生の阻害
VP4、H抗原またはmock蛋白質を、最適な希釈(1/10または1/100)で希釈した5人の健康な被験体からの血漿と共に、異なる濃度で、37℃で1時間、プレインキュベートした。次いで、CVB3またはCVB4を、1時間添加し、その後、PBMCと共にインキュベートした。図1に示されるように、CVB3/血漿誘発化IFNα産生の用量依存減少が、VP4CVB3蛋白質の存在下で観察され、一方、H抗原の存在下では、IFNα産生の用量依存減少は観察されなかった(図1aおよび1b)。同様のパターンの結果が、システムCVB4/血漿においてVP4CVB4で得られた(図1cおよび1d)。他方、非感染のHep−2細胞から単離されたmock蛋白質は、IFNα産生に対して影響を有さなかった。
【0044】
実施例2 抗−VP4抗体の検出によるCVB3またはCVB4感染の診断 −
CVB3およびCVB4の抗VP4抗体の検出と1型糖尿病との関係
ドナー血漿中の抗−VP4抗体を検出するために、96ウエルのマイクロタイタープレートを、PBS(pH7.4)中5μg/mlで、CVB3またはCVB4から解離させたVP4蛋白質と共に、室温で一晩インキュベートした。同一の様式で、マイクロタイタープレートをmock蛋白質と共にインキュベートした。次いで、該ウエルを、洗浄溶液(PBS pH7.4、0.05% Tween20)で3回洗浄し、飽和緩衝液(PBS pH7.4、2.5%スキムミルク、0.5%Tween20)を用いて37℃で1時間飽和し、そして再度4回洗浄した。次いで、最適な希釈(1/50)で飽和緩衝液中に希釈した0.1mlのサンプルを、マイクロウエルへ添加した。室温で2時間インキュベートした後、該ウエルを4回洗浄し、そして1/10000で希釈された、HRP(“ホースラディシュペルオキシダーゼ”)で標識された、0.1mlのIgA、G、M 抗−ヒト抗体混合物を添加し、そして1時間インキュベートした。4洗浄サイクル後、0.1mlの基質溶液(0.4mg/ml o−フェニレンジアミン、リン酸クエン酸緩衝液(0.05M、pH5.0)中0.012%H2O2)を30分間添加した。反応を、25μlの2N硫酸の添加によって停止する。吸光度測定を、マイクロプレートリーダーDynex MRX(登録商標)(Thermo Life Science, Cergy-Pontoise, France)において、490nmで行った。免疫学的アッセイカットオフ値(The immunologic assay cut-off value)を、VP4プレート上のブランクのものに対してmockプレートにおける試料吸光度を加えることによって測定した。1.0を超える指数(試料/カットオフ値比)を有する試験試料を、抗−VP4抗体の存在について陽性であるとみなした。
【0045】
このアッセイは、健康なドナーおよびIDDM患者由来の血漿中の抗−VP4抗体の検出および用量決定(dosage)のために使用した。40人の健康な被験体のうち14人(35%)、そして40人のIDDM患者のうち25人(62.5%)が、抗−VP4CVB3抗体について陽性であった。40人の健康な被験体のうち6人(15%)、そして40人のIDDM患者のうち32人(80%)が、抗−VP4CVB4抗体について陽性であった。得られた平均指数値は、健康な被験体の群において得られたものよりも有意に高かった(図2)。
【0046】
この実施例で明らかにされたアッセイは、抗−VP4抗体の検出および用量決定が、コクサッキーウイルス感染に関連する病理の診断のために使用され得ることを示す。実際に、IDDM患者は、健康な被験体よりも抗−VP4抗体のより高い有病率およびこれらの抗体のより多い量を示す。
【0047】
いくらかの患者は、該実施例のアッセイの検出閾値未満の抗−VP4抗体の割合を示したが、実際に、それは、それらの疾患がCVB3またはCVB4以外のウイルス(例えば、CVB2)に関連しているという事実によって説明され得る。
【0048】
実施例3:血清型レベルでの“促進”抗体の特異性の研究:
A)材料および方法
1−培養物におけるPBMCによるIFNαの産生
全ヘパリン化血(whole heparinated blood)から分離されたPBMCを、ウエルごとに100μlの補充化RPMI培地中5〜8.105細胞の割合で、マイクロウエル(96ウエルのプレート)へ分散させた。PMBCの感染を、各ウエルにおいて、最終容量100μlの調製物で行う。5%CO2雰囲気および90%湿度下、37℃で、48時間のインキュベーション後、上澄みを収穫し、そして直ぐにIFNα用量決定のために使用するか、あるいは180×gで10分間遠心分離により清澄化し、そして産生されるIFNαの用量決定まで−80℃で保存する。
【0049】
産生されるIFNαの濃度を、感度が高くそして特異的な技術、DELFIA法(Dissociation Enhanced Lanthanide FluoroImmmo Assay)(Ronnblom and al 1997)で測定する。
【0050】
2 − 産生されたIFNαの顕在化:イムノフルオロメトリック法(immunofluorometric method)DELFIA
IFNαの用量決定を、ユーロピウムで標識されたIFNαを結合する抗体を使用する遅延フェーズ法(retarded phase method)における免疫蛍光に基づく、DELFIA原理(Dissociation Enhanced Lanthanide FluoroImmunoAssay)に従って行う。活性化溶液(activation solution)の使用は、抗体と複合体化したユーロピウムを放出させ、そして産生されたIFNαの量に比例して蛍光を放出し、そしてフルオロメーターで測定される(fluorometer LKB Wallac 1230 ARCOS(登録商標), Turku, Finlande)。
【0051】
Gunar Alm博士(Uppsala, Sweden)によって供給されたモノクローナル抗−IFNα抗体LT273(5.4mg/ml)およびLT293(4.8mg/ml)を、室温で12時間インキュベーション後、ウエルの底へコーティングする。これらのプレートは、4℃の緩衝液中で保存され得るか、または直ぐに使用される。ヒトIFNαの標準サンプルを、“無関係の(irrelevant)”モノクローナルマウス抗体IgG1で調製して、リファレンス曲線(reference curve)を確立する(10測定)。分析される他のサンプルを、希釈緩衝液および“無関係の”抗体を有する各ウエルに添加して(100μl)、そして室温で穏やかに撹拌しながら2時間インキュベートする。ウエルを洗浄溶液で3回洗浄する。ユーロピウムへ結合された抗体(200μl)を各ウエルへ添加し、穏やかに撹拌しながら室温で1時間インキュベートするために放置する。プレートを洗浄溶液で6回洗浄する。洗浄後直ぐに添加されそして該ウエル中でのインキュベーションのために20〜30分放置された、活性化溶液(200μl)は、IFNαへ固定された抗体へ結合されたユーロピウムの切断を生じさせ、蛍光リーダーで測定される蛍光を放射する(LKB Wallac 1230 ARCUS(登録商標))。IFNα濃度を、Graphpadプログラム(San Diego, USA)によって、測定された蛍光の値から算出する。IFNαの検出閾値は、0.5IU/mlである。
【0052】
B)結果
1 − 血漿の存在下でのPBMCによるIFNα産生およびコクサッキーBの各血清型についての評価
ドナー血漿(1/10thまたは1/100thでの最適希釈)を、1/10thで希釈したコクサッキーウイルスBの異なる血清型(CVB1〜CVB6)と共に、37℃で1時間プレインキュベートする。次いで、末梢血単核細胞(peripheric blood mononuclear cells;PBMC)を感染させる。得られたIFNα産生の顕在化を、PBMCの48時間感染後、DELFIAイムノフルオロメトリック法(DELFIA immunofluorometric method)によって行う。同一の血漿を、血清型ごとに、IFNα産生の研究のために同一希釈で使用する。PBMCの量は、5.108〜7.105/ウエルで変化する。4人の異なる健康なドナーからの血漿を使用した。
【0053】
各CVB血清型は、血漿の存在下で、インターフェロンアルファ産生を生じさせる(図3を参照のこと)。IFNα産生は、実験において、血漿の非存在下で観察されない。1/10thでの血漿希釈は、1/100thでの希釈よりも高い平均でのIFNα産生を生じさせる(CVB6を除く)。他方で、CVB1ウイルスは、血漿の存在下で、IFNαの弱い誘導物質(inductor)のままである。
【0054】
2 − VP4−CVB4E2の存在下での異なるCVB血清型によるPBMCの感染の間のIFNα産生の研究についての促進抗体特異性の評価
各CVB血清型を、1/10thで希釈した血漿のみと共に、あるいは1/10thで希釈されたCVB4E2のVP4組換え蛋白質(実施例4を参照)と共に(またはMEMと共に)1時間前もってインキュベートされた1/10thで希釈された血漿と共に、1時間インキュベートした。
【0055】
結果は、前述のように、血漿の存在下でのPBMCの感染の間のIFNα産生を示す。CVB4E2のVP4蛋白質での血漿のプレインキュベーションによって、IFNαのこの産生は、CVB4E2の存在下(ここで、IFNα産生は急落した)を除いて、以前に得られた結果と比較して高くかつ安定のままである。CVB4E2によるIFNαの誘発を促進する抗体は、CVB4E2のVP4蛋白質に特異的に指向されるようである(図4を参照のこと)。
【0056】
3−CVB4E2のVP4またはCVB3のVP4の存在下でのPBMCのCVB4E2またはCVB3感染の間のIFNα産生を研究することによる、促進抗体特異性の評価:
健康なドナーからの血漿(最適希釈1/10thまたは1/100th)を、CVB4E2の組換えVP4蛋白質(1μg/mlでの最適濃度)と共に、37℃で1時間プレインキュベートする。全体を、再度、CVB4E2ウイルスの存在下、37℃で1時間インキュベートし(1/10thまたは1/100thでの希釈、1013 TCID50/mlでのウイルス力価)、次いで該PBMCへ適用し(5.105/ウエル)、48時間インキュベートする。PBMCによるIFNα産生を、48時間のインキュベーション後、DELFIAフルオロメトリック法によって明らかにする。
【0057】
同一の実験を、血漿(最適希釈)の同一のバッチ、CVB3の天然蛋白質VP4(1/10thで希釈)およびCVB3ウイルス(1/10thおよび1/100thの希釈、1013 TCID50/mlでのウイルス力価)で行う。PBMCによって産生されるIFNα量の測定をまた、DELFIA法によって、48時間で行う。
【0058】
交差反応を、感染促進抗体の特異性を評価するための同一原理において行う。1時間プレインキュベートした血漿およびCVB4E2のVP4の混合物を、CVB3でインキュベートし、その後、48時間PBMC上へ適用する。
【0059】
同一の様式で、1時間プレインキュベートした血漿調製物およびCVB3のVP4を、CVB4E2と共に1時間インキュベートし、その後、48時間PBMCを感染させ、そして産生されたIFNαの量を測定する。
【0060】
血漿の存在下でウイルス(CVB4E2またはCVB3)感染されたPBMCは、この実験の陽性コントロールとしてみなす。陰性コントロールは、PBMCのみの1つのウエル、ウイルスCVB4E2のみの1つのウエル、およびCVB3のみの1つのウエルで得られる。
【0061】
健康なドナーからの血漿と共に1時間インキュベートしたPBMCのウイルスCVB3感染は、323 IU/ml(陽性コントロール)のIFNα産生へ導く。健康なドナーからの同一の血漿をCVB4E2のVP4蛋白質と共に1時間プレインキュベートして、その後CVB3ウイルスの存在下に1時間置かれる場合、IFNα産生に差異は見られない(308 IU/ml)。他方、同一の血漿を、先ず、CVB3に特異的なVP4蛋白質と共に1時間プレインキュベートし、その後、CVB3へ添加する場合、IFNα産生は6.4 IU/mlまで減少し、これは、その初期値の2%である(図5を参照のこと)。
【0062】
健康なドナーからの血漿と共に1時間インキュベートしたPBMCのCVB4E2ウイルス感染は、148 IU/mlのIFNα産生へ導く(陽性コントロール)。健康なドナーからの同一の血漿を、CVB3のVP4蛋白質と共に1時間プレインキュベートし、その後、ウイルスCVB4E2の存在下に置かれる場合、PBCMによるIFNαの高い産生が見られた(87 IU/ml)。他方、同一の血漿を、先ず、CVB4E2のVP4蛋白質と共に1時間プレインキュベートし、その後CVB4E2ウイルスを添加する場合、PBMCによるIFNα産生は低い(8.5 IU/ml)。
【0063】
コントロールウイルスのみ(CVB4E2またはCVB3)、CVB3またはCVB4E2の蛋白質VP4のみ、MEMまたは血漿のみは、PBMCによるIFNα産生へ導かない。
【0064】
実施例4:CVB4E2の組換えVP4蛋白質の合成
A)組換えVP4の産生
1−使用した細菌
コンピテントな大腸菌(Escherichia coli bacteria)JM 109(Promega, Madison, United-States)を使用した。
【0065】
2−使用したプラスミド
コンピテントな細菌の形質転換のために使用したプラスミドは、Doctor Ruben Valera Calvinoによって供給される、pMAL−c2(Valera-Calvino and al., 2000)、ベータ−ラクタマーゼ[従って、アンピシリン含有培地上で該プラスミドを受容した細菌の選択]をコードしそしてMBP蛋白質[これは、IPTG誘導プロモーター(Promega, Madison, United-States)のコントロール下で、VP4蛋白質と結合された]をコードするプラスミドである(図6を参照のこと)。
【0066】
3−使用した培地
α.SOC培地
この培地は、1リットル当たり、20gのBactoTMトリプトン(DIFCO-BECTON DICKINSON, United-States)、5gの酵母抽出物(DIPCO, Detroit, United-States)、10mlのNaCl 1M、2.5mlのKCl1M、10mlのMgCl2 1M/MgSO41Mおよび10mlのグルコース 2Mを含有し、pHは7に調節する。
【0067】
β.LB培地
この培地は、1リットル当たり、10gのトリプトン(DIFCO-BBCTOM DICKINSON, United-States)、5gの酵母抽出物(DIPCO, Detroit, United-States)、5gのNaClを含有し、pH値を7.2に調節する。LP培地の皿について、この培地はまた、15gのアンピシリン含有寒天(Invitrogen, Cergy Pontoise, France)を含む。組換え蛋白質の産生のために使用されるLB培地は、1リットル当たり2gのグルコースの添加で富化され、そして1リットル当たり100μgのアンピシリンを含む。
【0068】
4−使用した緩衝液
α.カラム緩衝液
この溶液は、1リットル当たり、20mlのTris−HCl(Q.Biogene, United-States)1MpH7.4、11.7gのNaCl、2mlのEDTA 0.5M(Sigma-Aldrich, United-States)を含む。MPB−VP4蛋白質の溶出のために、3.6gのマルトース(Sigma-Aldrich, United-States)(10mM)を該カラム緩衝液へ添加し、溶出緩衝液と呼ぶ。
【0069】
β.消化緩衝液
この溶液は、1リットル当たり、3.2gのTris−HCl(Q.Biogene)(0.2M)、5.84gのNaCl(100mM)および0.22gのCaCl2を含み、pHは8へ調節される。
【0070】
5−細菌の形質転換
コンピテントな細菌のアリコートを氷中で解凍し、次いで、1〜2μlのプラスミドを添加し、そして氷中で30分間該細菌と共にインキュベートする。次いで、該細菌を熱ショックへ供し:それらを42℃で30秒間放置し、その後、氷中へ1〜2分間戻す。室温へもっていた250μlのSOC培地を添加し、チューブを撹拌しながら37℃で1時間インキュベートする。20〜100μlの細菌懸濁液を、形質転換された細菌の選択のためにアンピシリン含有培地の皿の上に広げ、該皿を37℃で一晩インキュベートする。
【0071】
種々の容量の細菌懸濁液を、種々の皿上に広げて、コロニーが単離されている少なくとも1つの皿を得る。コロニーを有する皿を4℃で保存する。
【0072】
6−組換えMBP−VP4蛋白質の産生
10mlのリッチなLB培地に、チューブFalcon(登録商標)15ml中、形質転換された細菌のコロニーを接種し、これを、37℃で一晩インキュベートする。翌日、2.5リットルのフラスコ中1リットルのリッチなLB培地に、これら10mlを接種し、次いで、そのO.D.(光学密度)が0.5〜0.6の範囲内の値を達成するまで、撹拌しながら37℃でインキュベートする。次いで、MBP−VP4産生を、該フラスコ中に3mlのIPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を添加することにより誘発し、これを、撹拌しながら37℃で少なくとも3時間インキュベートする。
【0073】
7−MBP−VP4蛋白質の回収および取得
細菌の培養物を、4℃、4000×gで20分間遠心分離する。次いで、上澄みを捨て、そして細菌ペレットを50mlのカラム緩衝液中に取り(taken up)、そして−20℃で一晩凍結させ、その後、冷水中で解凍し、そして翌朝氷中へ配置する。細菌を、15秒間の8の連続の超音波処理によって溶解させる。細菌溶解物を、4℃、900×gで30分間の遠心分離により清澄化して、上澄みを回収する。別に、5mlのアミロース樹脂(NEW ENGLAND BioLabs, United-States)を、クロマトグラフィーカラム中へ配置し、次いで、40mlのカラム緩衝液で洗浄する。融合蛋白質MBP−VP4を含有する細胞抽出物を、1時間当たり25.6mlのフローで該カラムへ注入する。該樹脂を、60mlのカラム緩衝液で洗浄する。MBP−VP4蛋白質を溶出緩衝液で溶出し、フラクションを1フラクション当たり1mlの割合で回収する。280nmで最大O.D.を示すフラクションをプールする。該蛋白質を、透析によりPBSに対して脱塩し、そして10KdでフィルターMacrosepTMフィルター膜(PALL, Life Sciences, United-States)上において、少なくとも30分間、4℃、5000×gでの遠心分離によって濃縮する。
【0074】
得られたMBP−VP4蛋白質を、第Xa因子(NEW ENGLAND) BioLabs United-States)によって切断し、この最適濃度は、溶出緩衝液または消化緩衝液中の該融合蛋白質のものの2%である(280nmでの吸光度でU.V.分光器により測定)。
【0075】
MBP蛋白質、切断されていないMBP−VP4およびXa因子を、VP4蛋白質に対してのみ透過性の10KdでのMacrosepTMフィルター膜上における遠心分離 により除去する。濾液を、3KdでのMacrosepTMフィルター膜(PALL, Life Sciences, United-States)における遠心分離により回収および濃縮する。濃縮したVP4蛋白質を−80℃で保存する。
【0076】
健康な被験体からの血漿の存在下で予めインキュベートしたPBMCの培養物中でのCVB4E2誘発化IFNα産生を測定した。IFNα産生レベルを、48時間後回収した培養上澄み中で、DELFIA法により測定する。各培養条件は、1ウエル当たり2.105細胞、およびCVB4E2について1のm.o.iを必要とする。血漿の試料は、RPMI培地中1/10 10倍(1/10 tenfold)に希釈し、そして37℃でCVB4E2と共に1時間インキュベートした。組換えVP4蛋白質を、CVB4E2と共のインキュベーション前に37℃で1時間、血漿の存在下に置く。結果は、3つの異なるドナーで行われた3つの独立した実験の平均および標準偏差を示す(図7を参照のこと)。
【0077】
種々の量の血漿(10、1、0.1、0.01μg/ml)と共にインキュベートした組換えVP4蛋白質は、該ウイルスと共の血漿のプレインキュベーションによってPBMCのCVB4E2と共のインキュベーションに対して発せられる効果に対する、組換えVP4蛋白質の用量−応答効果に注目することを可能にする。従って、0.01μg/mLの割合の該蛋白質で189.5+/−21.6IU/mLのIFNα産生、0.1μg/mlの割合で104.7+/−4.5IU/mL、1μg/mlの割合で44.1+/−24.3IU/mLのIFNαが得られ、そして10μg/mlの割合で15.3+/−7.9IU/mLが得られる。従って、血漿と共にインキュベートされた組換えVP4の用量が高いほど、IFNαの値がより低くなる(図7を参照のこと)。
【0078】
実施例5:CVB4E2全長のVP4蛋白質の生物学的活性を模倣するCVB4E2のVP4蛋白質のペプチドフラグメントの研究
A)材料および方法(ELISAアッセイ)
1−アッセイした血清および血漿:
非糖尿病患者からの40血漿および糖尿病患者からの40血漿または血清をアッセイした。
【0079】
2−ELISAアッセイにおいて使用したVP4ペプチド
使用した5つのVP4ペプチドは、CVB4−E2ウイルスのVP4蛋白質の配列(配列のNCBIデータバンクアクセッションナンバーに列挙される:Q86887)に基づいて、EPYTOPE Company (Nimes)によって合成された。CVB4E2ウイルスのVP4蛋白質の配列上のそれらの位置ならびにそれらの配列を下記の表1に示す。それらは重複しており、そしてVP4の配列の全体をカバーしている。
【0080】
【表1】
【0081】
3−使用した緩衝液の組成
−PBS緩衝液:(1リットルについて):
*NaCl 8.0g
*KCl 0.2g
*KH2PO4 0.3g
*Na2HPO4/2H2O 1.44g
pHを7.4へ調節
−洗浄溶液
PBS pH=7.4、0.05%Tween20を含有する
−飽和および希釈緩衝液:
水中に1/20thで希釈した濃縮ミルク希釈液/ブロッキング溶液(KPL)(Concentrated milk diluent/blocking solution)
−ポスト−コーティング緩衝液(Post-coating buffer):
リン酸ナトリウム緩衝液50mM、pH=4.5、以下を含有:
*D−ソルビトール 6%
*NaCl 0.9%
*BSA 0.1%
*CACl2/2 H2O 0.1mM
*EDTA 4μM
*NaN3 0.005%
pHを4.8に調節
− 二次抗体溶液:
希釈緩衝液中に1/10000thへ希釈されたペルオキシダーゼに結合された抗−IgG.A.M抗体(H+L)ヒト(Bio-Rad)
− 顕在化緩衝液(Revealing buffer)
蒸留水100mlにリン酸クエン酸緩衝液(Sigma)のカプセルを溶解させる(Cf=0.05M、pH5.0)。この緩衝液25mlを取り、そしてアルミニウムに包まれた50mlのボトル中へ配置する。10mgのODPパステル(pastille)(Sigma)を取り、そしてこれら25ml中に溶解する(Cf=0.4mg/ml)。ボルテックスを使用して混合する。使用直前に、10μlの30%H2O2を添加する。
【0082】
4− ELISAプレートの調製
PBS緩衝液(pH=7.4)中に5μg/mlで希釈したVP4蛋白質または5つのVP4ペプチドを、100μl/ウエルの割合で、96ウエルのマイクロプレート(FluoroMunc, MaxiSorp surface, NUNC, Danemark)のウエルにコーティングする。プレートを、湿潤雰囲気下37℃で1時間インキュベートし、次いで、室温で24時間放置する。PBS緩衝液で3回洗浄後、ウエルを、湿潤雰囲気下37℃で1時間、飽和緩衝液300μlで飽和し、その後、洗浄緩衝液で3回洗浄する。次いで、250μlのポスト−コーティング緩衝液(post-coating buffer)を各ウエルに添加し、そしてプレートを室温で24時間インキュベートし、次いで使用まで4℃で保存する。
【0083】
5− 用量決定ELISA:
VP4蛋白質または種々のペプチドVP4でコーティングされたウエルを、洗浄緩衝液で3回洗浄して、ポスト−コーティング溶液を除去する。次いで、希釈緩衝液中に1/50thへ希釈された血漿または血清100μlを、種々のウエルへ添加し、そしてプレートを、湿潤雰囲気下37℃で1時間インキュベートする。同時に、100μlの希釈緩衝液を含有するネガティブコントロールウエルを行う。次いで、ウエルを洗浄溶液で3回洗浄し、そして100μlの二次抗体溶液を各ウエルへ添加する。湿潤雰囲気下37℃で1時間インキュベーション後、ウエルを洗浄溶液で5回洗浄し、そして100μlの基質溶液を各ウエルへ添加する。プレートを、室温および暗所中で、30分間インキュベートする。着色反応を、1ウエル当たり25μlのH2SO4 2N(1M)の添加によって停止させ、そしてプレートを、490nmの波長でプレートリーダーにおいて読み取る。
【0084】
B)VP4蛋白質およびペプチドVP4−P1、VP4−P2、VP4−P3、VP4−P5、VP4−P6の比較からのELISAによって得られた結果:
VP4蛋白質および種々のペプチドVP4で各血清について得られたODを、ネガティブコントロールで得られたODで割る。下記の表は、アッセイされた血清の2つのシリーズで得られたODの割合の平均+/−標準偏差を示す(患者=糖尿病患者、コントロール=糖尿病でない)。(図8〜10を参照のこと)。
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
図8〜10は、ELISAアッセイの結果を図示する。
【0089】
ペプチドVP4−P1(配列番号1)およびVP4−P2(配列番号2)は、患者からの40の血清でのELISAアッセイにおいてVP4蛋白質に匹敵するOD示す(図8を参照のこと)。
【0090】
特に、ペプチドVP4−P2(配列番号2)は、患者からの40血清および非糖尿病患者からの40血清のODを比較するELISAアッセイにおいて、VP4と同一の挙動を示す(図9および10を参照のこと)。従って、ペプチドVP4−P2(配列番号2)は、VP4と同様に、非糖尿病でよりも糖尿病でより高レベルの抗体を認識する。
【0091】
C)VP4蛋白質およびペプチドVP4−P2の比較からの生物学的試験の結果(PBMCによるIFNα産生):
培養物中におけるPBMCによるIFNα産生のためおよび産生されるIFNαをDELFIA法により明らかにするための、材料および方法は、実施例3と同一である。
【0092】
ペプチドVP4−P2(配列番号2)は、血漿の存在下でのPBMCの感染の間の用量依存IFNα産生の減少を示す(図11、トラック7〜9を参照のこと)。
【0093】
従って、ペプチドVP4−P2は、この生物学的アッセイにおいてVP4蛋白質を模倣する。
【0094】
ELISAアッセイによって裏付けられたこれらの結果(ポイントB)は、ペプチドVP4−P2(配列番号2)が、“促進”抗−VP4抗体によって認識される1または数個のエピトープを提示することを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1:5人の健康な被験体からのCVB/血漿誘発化IFNα産生に対する、VP4蛋白質またはH抗原の効果。
【0096】
図1a:VP4CVB3蛋白質の存在下での用量−依存CVB3/血漿誘発化IFNα産生の減少。
【0097】
図1b:H抗原の存在下での用量−依存CVB3/血漿誘発化IFNα産生の増加。
【0098】
図1c:VP4CVB4蛋白質の存在下での用量−依存CVB4/血漿誘発化IFNα産生の減少。
【0099】
図1d:H抗原の存在下での用量−依存CVB4/血漿誘発化IFNα産生の増加。
【図2】図2:健康な被験体およびIDDM患者の抗−VP4抗体の平均指数値の比較。
【図3】図3:健康なドナーからの血漿との種々のCVB血清型のインキュベーション後のPBMCによる平均IFN−アルファ産生。
【図4】図4:DELFIA法を使用しての、健康なドナーから得られた血漿の存在下での(黒)、またはCVB4E2のVP4と共にプレインキュベートした血漿の存在下での(斜線)、ウイルスの種々の血清型でのPBMCの感染の間のIFNα産生を測定することによる、活性化抗体の特異性の評価。
【図5】図5:CVB4E2のVP4またはCVB3のVP4の存在下での、CVB4E2またはCVB3でのPBMCの感染の間のIFNα産生。
【図6】図6:プラスミドpMAL−c2。
【図7】図7:健康な被験体の血漿および必要に応じて組換えVP4の存在下で予めインキュベートしたCVB4E2でのPBMCの感染の間のIFNα産生。
【0100】
図7の凡例
1.RPMI培地
2.血漿
3.CVB4E2
4.VP4 1 μg/ml
5.血漿+VP4
6.血漿+CVB4E2
7.血漿+VP4 0.01 μg/ml+CVB4E2
8.血漿+VP4 0.1 μg/ml+CVB4E2
9.血漿+VP4 1 μg/ml+CVB4E2
10.血漿+VP4 10μg/ml+CVB4E2。
【図8】図8:VP4およびペプチドVP4-P1、VP4-P2、VP4-P3、VP4-P5、VP4-P6の比較ELISAアッセイ。
【図9】図9:VP4およびペプチドVP4−P2の比較ELISAアッセイ(患者=糖尿病患者からの40血清の平均、コントロール=非糖尿病患者からの40血清の平均)。
【図10】図10:組換えVP4、VP4およびペプチドVP4−P2の比較ELISAアッセイ(患者=糖尿病患者からの40血清の平均、コントロール=非糖尿病患者からの40血清の平均)。
【図11】図11:健康な被験体からの血漿および必要に応じてVP4の存在下で予めインキュベートしたCVB4E2でのPBMCの感染の間のIFNα産生。
【0101】
図11の凡例:
1:培地
2:P2 (1μg/ml)
3:血漿 1/100th
4:CVB4E2
5:CVB4E2+血漿1/100th+培地
6:CVB4E2+血漿1/100th+VP4(1μg/ml)
7:CVB4E2+血漿1/100th+VP4-P2(1mg/ml)
8:CVB4E2+血漿1/100th+VP4-P2(0.1mg/ml)
9:CVB4E2+血漿1/100th+VP4-P2(0.01mg/ml)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原−抗体認識タイプの免疫学的反応を明らかにすることに基づくエンテロウイルスのインビトロ診断アッセイであって、抗ウイルス中和抗体を誘発せず、該ウイルス感染を増強させる“促進”抗体を誘発する、抗原またはそのエピトープを使用することを特徴とする、診断アッセイ。
【請求項2】
本発明のアッセイが支持体上に固定された対応の抗原による前記“促進”抗体の検出からなる場合には、標識された抗−種抗体によって、あるいは、本発明のアッセイが支持体上に固定された対応の“促進”抗体による抗原の検出からなる場合には、標識された抗−ウイルス抗体によって、または抗−ウイルス抗体、次いで標識された二次抗−種抗体によって、前記抗原−抗体認識タイプの免疫学的反応が明らかにされることを特徴とする、請求項1に記載の診断アッセイ。
【請求項3】
前記標識された抗体が、酵素、放射性同位体、化学発光化合物、生物発光化合物または金属キレートタイプの標識を有することを特徴とする、請求項2に記載の診断アッセイ。
【請求項4】
前記抗ウイルス“促進”抗体を誘発する抗原が、ウイルス内部蛋白質であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項5】
前記ウイルス内部蛋白質が、全長蛋白質またはそのフラグメントであることを特徴とする、請求項4に記載の診断アッセイ。
【請求項6】
前記ウイルス内部蛋白質またはそのフラグメントが、該ウイルスからの精製によって得られるか、または同一の免疫原性を示す組換え蛋白質であるか、あるいは化学的に合成されそして同一の免疫原性を示すことを特徴とする、請求項4または5に記載の診断アッセイ。
【請求項7】
前記ウイルス内部蛋白質が、構造蛋白質VP4またはそのフラグメントであることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項8】
前記構造蛋白質VP4のフラグメントが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5の配列のペプチドから取られることを特徴とする、請求項7に記載の診断アッセイ。
【請求項9】
前記構造蛋白質VP4のフラグメントが、配列番号2の配列のペプチドであることを特徴とする、請求項7に記載の診断アッセイ。
【請求項10】
前記診断されるエンテロウイルスが、AまたはBタイプのコクサッキーウイルスであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項11】
アッセイの実施が、以下の工程の連続:
a−前記“促進”抗体または前記“促進”抗体を誘発するウイルス蛋白質、あるいはそのフラグメントの、支持体上への固定化
b−コントロール抗体、コントロール蛋白質、またはそのフラグメントの、支持体上への固定化
c−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄
d−無関係の蛋白質の緩衝溶液での該被覆されていない支持体表面の飽和
e−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄
f−該飽和緩衝液中の異なる希釈での研究される試料の添加
g−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄
h−標識された抗体の適用による該応答の増幅
i−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄
j−標識強度の読み取り、
を包含することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項12】
前記抗原または対応の“促進”抗体が、マイクロタイトレーションのためのマルチ−ウエルプレートタイプ支持体上に固定されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項13】
前記抗原または対応の“促進”抗体が、チップタイプの支持体上に固定されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項14】
以下:
− 抗原または“促進”抗体、
− 抗原−抗体反応を行うために好ましい培地の構成に必要とされる試薬、
− 形成される複合体の検出を可能にする試薬、
を備える、請求項1〜13のいずれか1項に記載のエンテロウイルスのインビトロでの診断アッセイを行うためのボックスまたはキット。
【請求項15】
エンテロウイルス感染に関連するヒトまたは動物慢性病理の開始の予測のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項16】
前糖尿病患者における1型糖尿病の開始の予測のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項17】
エンテロウイルス感染に関連する慢性ヒトまたは動物病理の段階の定義のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項18】
CVB感染に関連する慢性ヒトまたは動物病理の段階の定義のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項19】
急性ヒトまたは動物感染の原因であるエンテロウイルス血清型の測定のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項20】
所定のヒトまたは動物母集団における血清型によるエンテロウイルス感染の分布の測定のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項21】
抗ウイルス剤のウイルス標的のインビトロでの測定のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項1】
抗原−抗体認識タイプの免疫学的反応を明らかにすることに基づくエンテロウイルスのインビトロ診断アッセイであって、抗ウイルス中和抗体を誘発せず、該ウイルス感染を増強させる“促進”抗体を誘発する、抗原またはそのエピトープを使用することを特徴とする、診断アッセイ。
【請求項2】
本発明のアッセイが支持体上に固定された対応の抗原による前記“促進”抗体の検出からなる場合には、標識された抗−種抗体によって、あるいは、本発明のアッセイが支持体上に固定された対応の“促進”抗体による抗原の検出からなる場合には、標識された抗−ウイルス抗体によって、または抗−ウイルス抗体、次いで標識された二次抗−種抗体によって、前記抗原−抗体認識タイプの免疫学的反応が明らかにされることを特徴とする、請求項1に記載の診断アッセイ。
【請求項3】
前記標識された抗体が、酵素、放射性同位体、化学発光化合物、生物発光化合物または金属キレートタイプの標識を有することを特徴とする、請求項2に記載の診断アッセイ。
【請求項4】
前記抗ウイルス“促進”抗体を誘発する抗原が、ウイルス内部蛋白質であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項5】
前記ウイルス内部蛋白質が、全長蛋白質またはそのフラグメントであることを特徴とする、請求項4に記載の診断アッセイ。
【請求項6】
前記ウイルス内部蛋白質またはそのフラグメントが、該ウイルスからの精製によって得られるか、または同一の免疫原性を示す組換え蛋白質であるか、あるいは化学的に合成されそして同一の免疫原性を示すことを特徴とする、請求項4または5に記載の診断アッセイ。
【請求項7】
前記ウイルス内部蛋白質が、構造蛋白質VP4またはそのフラグメントであることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項8】
前記構造蛋白質VP4のフラグメントが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5の配列のペプチドから取られることを特徴とする、請求項7に記載の診断アッセイ。
【請求項9】
前記構造蛋白質VP4のフラグメントが、配列番号2の配列のペプチドであることを特徴とする、請求項7に記載の診断アッセイ。
【請求項10】
前記診断されるエンテロウイルスが、AまたはBタイプのコクサッキーウイルスであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項11】
アッセイの実施が、以下の工程の連続:
a−前記“促進”抗体または前記“促進”抗体を誘発するウイルス蛋白質、あるいはそのフラグメントの、支持体上への固定化
b−コントロール抗体、コントロール蛋白質、またはそのフラグメントの、支持体上への固定化
c−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄
d−無関係の蛋白質の緩衝溶液での該被覆されていない支持体表面の飽和
e−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄
f−該飽和緩衝液中の異なる希釈での研究される試料の添加
g−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄
h−標識された抗体の適用による該応答の増幅
i−低濃度で洗浄剤が補充されたまたはされていない生理食塩水緩衝溶液での洗浄
j−標識強度の読み取り、
を包含することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項12】
前記抗原または対応の“促進”抗体が、マイクロタイトレーションのためのマルチ−ウエルプレートタイプ支持体上に固定されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項13】
前記抗原または対応の“促進”抗体が、チップタイプの支持体上に固定されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の診断アッセイ。
【請求項14】
以下:
− 抗原または“促進”抗体、
− 抗原−抗体反応を行うために好ましい培地の構成に必要とされる試薬、
− 形成される複合体の検出を可能にする試薬、
を備える、請求項1〜13のいずれか1項に記載のエンテロウイルスのインビトロでの診断アッセイを行うためのボックスまたはキット。
【請求項15】
エンテロウイルス感染に関連するヒトまたは動物慢性病理の開始の予測のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項16】
前糖尿病患者における1型糖尿病の開始の予測のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項17】
エンテロウイルス感染に関連する慢性ヒトまたは動物病理の段階の定義のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項18】
CVB感染に関連する慢性ヒトまたは動物病理の段階の定義のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項19】
急性ヒトまたは動物感染の原因であるエンテロウイルス血清型の測定のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項20】
所定のヒトまたは動物母集団における血清型によるエンテロウイルス感染の分布の測定のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【請求項21】
抗ウイルス剤のウイルス標的のインビトロでの測定のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の診断アッセイの使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−518844(P2006−518844A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502137(P2006−502137)
【出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000287
【国際公開番号】WO2004/072644
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505294779)ユニヴェルシテ デ リール 2 ドロイ エ サンテ (1)
【出願人】(505294768)サントル ホスピタリエル リージョナル ユニヴェルシタイル デ リール (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000287
【国際公開番号】WO2004/072644
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505294779)ユニヴェルシテ デ リール 2 ドロイ エ サンテ (1)
【出願人】(505294768)サントル ホスピタリエル リージョナル ユニヴェルシタイル デ リール (1)
【Fターム(参考)】
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