説明

エントランスパネルの取付構造

【課題】
取付時にエントランスパネルの左右方向の位置調整が可能なエントランスパネルの取付構造を提供する。
【解決手段】
エントランスパネル1は、玄関備品が取り付けられる面部10と、ドア枠の上下枠間の寸法に対応する高さの部分を備えた側面11と、を有し、側面11の部分がドア枠の上枠2と下枠3との間に差し込まれることで上下位置が決定され、上下位置が決定された状態で左右方向に移動可能である。エントランスパネル1は、左右方向の位置決め後に、上端部位、下端部位において面ファスナー8によって壁面Wに仮固定され、かつ、上下端部位間の所定の高さ位置において螺子S3、S4によって壁面Wに固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エントランスパネルの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンション等の玄関ドアの戸先側の袖面にエントランスパネルを設ける場合がある。エントランスパネルには、照明、室名札、インターフォン、新聞受け等の玄関備品が備わっている。
【0003】
このようなエントランスパネルの取付構造が特許文献1に記載されている。具体的には、エントランスパネルの一側縁に、ドア枠の戸先側縦枠の突出部に係合可能な係合片を設け、袖壁の表面には前記係合片が突出部に係合する状態でエントランスパネルに設けられた複数の螺子挿入孔と対応する位置にアンカを埋め込み、前記各螺子挿入孔から各アンカにねじ込まれる螺子の締付けによってエントランスパネルを固定してなる。
【0004】
しかしながら、このものでは、エントランスパネルの係合片を戸先側縦枠の突出部に係合させることで位置決めを行っているため、エントランスパネルの左右方向(幅方向)の位置調整を行なうことができない。
【0005】
しかしながら、ドア枠および扉体の取付精度によっては、扉体の戸先側の隙間(いわゆるドアの「チリ」)が大きくなったり、戸尻側の隙間とのバランスが悪くなったりすることで扉装置の意匠性を損ねるおそれがある。したがって、エントランスパネルの取付時に、エントランスパネルの左右方向の取付位置を調整できることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3819007号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、取付時にエントランスパネルの左右方向の位置調整が可能なエントランスパネルの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が採用した技術手段は、
ドア枠の戸先側の壁面に設けられるエントランスパネルの取付構造において、
エントランスパネルは、玄関備品が取り付けられる面部と、ドア枠の上下枠間の寸法に対応する高さの部分を備えた戸先側の側面と、を有し、
エントランスパネルは、前記側面の部分がドア枠の上枠と下枠との間に差し込まれることで上下位置が決定され、上下位置が決定された状態で左右方向に移動可能であり、
エントランスパネルは、左右方向の位置決めがされた状態で、着脱可能な面着手段によって壁面に仮固定され、かつ、止着手段によって壁面に固定されている、
エントランスパネルの取付構造、である。
1つの態様では、前記エントランスパネルの側面の上下端部、あるいは上端部が少なくとも部分的に切り欠かれており、上下端部が切り欠かれた残部(例えば、後述する実施形態における水平片111、113間の部分)あるいは上端部が切り欠かれた残部が上枠と下枠との間に差し込まれる。
【0009】
1つの態様では、前記ドア枠の戸先側縦枠の室外側部位は、ドア開口部寄りの第1見付面と、第1見付面の先端から室外側に延出する第1見込面と、第1見込面の先端から前記第1見付面とは反対側に延出する第2見付面と、を有し、
前記エントランスパネルの面部の戸先側部位は前記第2見付面を越えて延出することで、前記エントランスパネルの側面の内側面と前記第1見込面とは隙間を存して対向しており、上下位置が決定された状態で前記隙間の寸法が可変である。
【0010】
1つの態様では、前記エントランスパネルの面部の裏面には係止片が設けられ、前記壁面には前記係止片が掛止する被係止片が設けられている。後述する実施形態では、前記係止片は新聞受けに対応する位置に設けてある。1つの態様では、前記係止片は、新聞受けを固定する螺子を兼用してエントランスパネルの面部に取り付けられる。
【0011】
1つの態様では、前記面着手段は面ファスナーであり、前記エントランスパネルは、上端部位、下端部位において当該面ファスナーによって壁面に仮固定されており、前記止着手段は螺子であり、前記エントランスパネルは、面部に取り付けられる玄関備品に対応する高さ位置において当該螺子によって壁面に固定されており、当該螺子は前記玄関備品によって隠蔽されている。玄関備品は、後述する実施形態では、室名札、インターフォンである。また、前記着脱可能な面着手段は磁石を用いた手段でもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る取付構造では、上下位置を決定した状態で、エントランスパネルの左右方向の調整が可能であるので、扉体の戸先側の隙間(いわゆるドアの「チリ」)が大きくなったり、戸尻側の隙間とのバランスが悪くなったりした場合であっても、エントランスパネルを左右方向に移動させることで意匠性を向上させることができる。
本発明に係る取付構造は、着脱可能な面着手段(典型的には面ファスナー)による仮固定手段を備えているので、仮固定後であっても、面着手段による仮固定を解除して、エントランスパネルの左右方向の調整が可能である。
【0013】
前記エントランスパネルの面部の裏面には係止片が設けられ、前記壁面には前記係止片が掛止する被係止片が設けられているものでは、取付時におけるエントランスパネルの倒れを防止して取付作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】エントランスパネル及び扉装置の姿図である。
【図2】エントランスパネル及び扉装置の横断面図である。
【図3】エントランスパネル及び扉装置の縦断面図である。
【図4】エントランスパネルの上面図、正面図、側面図、裏面図である。
【図5】エントランスパネルの上下端部の壁面への仮固定手段を説明する図である。
【図6】エントランスパネルの壁面への固定を示す図である。
【図7】エントランスパネルの壁面への固定を示す図である。
【図8】壁面に対する取付ベースおよび被係止片の取り付けを説明する図である。
【図9】ドア枠の戸先側の壁面に対するエントランスパネルの取り付けを説明する図である。
【図10】壁面に設けた被係止片に対するエントランスパネルの係止片の引っ掛けを説明する図である。
【図11】エントランスパネルの取付時の位置決めおよび壁面への仮固定を説明する図である。
【図12】エントランスパネルの壁面への固定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るエントランスパネル1を備えた扉装置の正面図であり、図2は横断面図、図3は縦断面図である。扉装置は、上枠2、下枠3、戸先側縦枠4、戸尻側縦枠5、からなるドア枠と、ドア枠を開閉する扉体6と、かならる。エントランスパネル1は、扉装置の戸先側の壁面Wに固定されている。エントランスパネル1の面部10には、上から順に、照明1a、室名札1b、インターフォン1c、新聞受け1dが設けてある。以下において、「室外側」、「室内側」は、ある要素の位置関係を相対的に特定するものであって、必ずしも実際に室外側、室内側に位置することを意味しない。
【0016】
図3に示すように、上枠2は、室外側見付面20と、室内側見付面21と、室外側下面部22と、室内側下面部23と、を備え、室内側下面部23は室外側下面部22よりも下方に位置しており、室外側下面部22の後側部位と室内側下面部23の前側部位との連結部には凹部24が形成されており、凹部24には気密部材25が嵌入されている。全閉状態にある扉体6の上面64は室外側下面部22に対向しており、室内側下面部23は扉体6の室内側に位置している。
【0017】
下枠3は、室外側見付面30と、室内側見付面31と、室外側上面部32と、室内側上面部33と、を備え、室内側上面部33は室外側上面部32よりも上方に位置しており、室外側上面部32の後側部位と室内側上面部33の前側部位との連結部には凹部34が形成されており、凹部34には気密部材35が嵌入されている。全閉状態にある扉体6の下面65は室外側上面部32に対向しており、室内側上面部33は扉体6の室内側に位置している。
【0018】
図2に示すように、戸先側縦枠4は、室外側見付面40、室内側見付面41、室外側見込面42、室内側見込面43、を備え、室内側見込面43は室外側見込面42よりもドア開口部内側に位置しており、室外側見込面42の後側部位と室内側見込面43の前側部位との連結部には凹部44が形成されており、凹部44には気密部材45が嵌入されている。全閉状態にある扉体6の戸先側見込面62は室外側見込面42に対向しており、室内側見込面43は扉体6の室内側に位置している。
【0019】
戸尻側縦枠5は、室外側見付面50、室内側見付面51、室外側見込面52、室内側見込面53、を備え、室内側見込面53は室外側見込面52よりもドア開口部内側に位置しており、室外側見込面52の後側部位と室内側見込面53の前側部位との連結部には凹部54が形成されており、凹部54には気密部材55が嵌入されている。全閉状態にある扉体6の戸尻側見込面63は室外側見込面52に対向しており、室内側見込面53は扉体6の室内側に位置している。
【0020】
戸先側縦枠4の室外側部位は、室外側見込面42の先端(室外側端部)からドア開口部から離間するように見付方向に延出する第1室外側見付片40Aと、第1室外側見込片40Aの先端から室外側へ見込方向に延出する第1見込片40Bと、第1見込片40Bの先端からドア開口部から離間するように(第1見付片40Aとは反対側に)見付方向に延出する第2室外側見付片40Cと、第2室外側見付片40Cの先端から室内側へ見込方向に延出する第2見込片40Dと、からなる。戸先側縦枠4の室外側見込面40は、第1室外側見付片40Aと第2室外側見付片40Cとから段部状に形成されている。戸先側縦枠4の第2室外側見付片40Cは上枠2の室外側見付面20と面一である。
【0021】
扉体6は、室外側見付面60、室内側見付面61、戸先側見込面62、戸尻側見込面63、上面64、下面65と、を備えている。扉体6は、戸尻側がヒンジ5aを介して上下枠2、3の戸尻側(吊元側)に回動可能に取り付けられている。室外側見付面60の戸先側には開口部から離間するように見付方向に突出する突片600が形成されている。
【0022】
エントランスパネル1は、室外側見付面となる面部10と、面部10の幅方向端部から室内側へ見込方向に延出する左右の側面11、12と、上面13と、下面14、とを備えている。図3に示すように、エントランスパネル1の上面13は、ドア枠の上枠2の上端と一致している。エントランスパネル1の下面14の高さ位置については2つの態様がある。図示の態様では、エントランスパネル1の下面14はドア枠の下枠3の下端と一致しているが、エントランスパネル1の下面14を、下枠3の上面と略一致させてもよい。
【0023】
図4に示すように、左右の側面11、12のうち扉体6の戸先側に近接する側(以下、「戸先側」と言う)の側面11の高さ方向の上下端部、上面13の戸先側端部、下面14の戸先側端部は部分的に切り欠かれている。これらの切り欠きは、ドア枠の戸先側の上下のコーナー部、すなわち、上枠2の戸先側端部と戸先側縦枠4の上端部、下枠3の戸先側端部と戸先側縦枠4の下端部、に対応している。
【0024】
図3に示すように、戸先側の側面11の上端部位の切り欠きは、垂直片110と水平片111により画定されており、垂直片110が上枠2の室外側見付面20に近接ないし当接しており、水平片111が上枠2の室外側下面部22に下方から近接ないし当接している。側面11の下端部位の切り欠きは、垂直片112と水平片113により画定されており、垂直片112が下枠3の室外側見付面30に近接ないし当接しており、水平片113が下枠3の室外側上面部32に上方から近接ないし当接している。すなわち、側面11の上側の水平片111と下側の水平片113の間の高さは、上枠2(室外側下面部22)と下枠3(室外側上面部32)との間の寸法と略同じ(前者が僅かに小さい)である。したがって、エントランスパネル1の側面11(上側の水平片111、下側の水平片113)を上枠2(室外側下面部22)と下枠3(室外側上面部32)との間に差し込むことによって、エントランスパネル1の上下の位置決めが行なわれる。
【0025】
上面13の戸先側端部の切り欠きは、見付片130と見込片131により画定されており、見付片130が上枠2の室外側見付面20に近接ないし当接しており、見込片131が上枠2の戸先側見込面26に近接ないし当接している。上面13の戸先側端部を切り欠くことで、エントランスパネル1の上面13と上枠2の上面を面一にすることができる(図11参照)。下面14の戸先側端部の切り欠きも、類似の構成を取り得ることが当業者に理解される。
【0026】
エントランスパネル1の下面14が下枠3の上面と一致している態様では、左右の側面11、12のうち扉体6の戸先側に近接する側の側面11の上端部、上面13の戸先側端部、下面14の戸先側端部は切り欠かれているが、側面11の下端部には切り欠きは形成されていない。側面11の下端は下枠3の室外側上面部32上に載ることになる。したがって、図4に示す態様と同様に、エントランスパネル1の側面11(上側の水平片111、側片11の下端)を上枠2(室外側下面部22)と下枠3(室外側上面部32)との間に差し込むことによって、エントランスパネル1の上下の位置決めが行なわれる。
【0027】
図1と図4を対比することで明らかなように、エントランスパネル1の面部10には、照明1aが装着される部位に配線用の開口孔10aが、室名札1bが装着される部位には室名札取付用開口10bが、インターフォン1cが装着される部位にはインターフォン取付用開口10cがそれぞれ形成されている。また、図9に示すように、壁面Wには、開口孔10aに対応して開口10a´、インターフォン取付用開口10cに対応して開口10c´が形成されている。
【0028】
エントランスパネル1の面部10の室名札取付用開口10bには、裏面から室名札取付用プレート15が固定されている。図6に示すように、取付用プレート15は、面部10の裏面に固定(溶接、接着等)される左右の固定片150、151と、壁面Wに当接する底片152と、から平面視ハット状に形成されている。底片152には左右に離間させて2つの螺子孔153が形成されている。螺子孔153は、左右方向(水平方向)に横長の長孔である。底片152には、左右の螺子孔153間に位置させて室名札1b(マグネットとなっている)を磁着するための室名札取付部154が突設されている。底片152には、左右に離間させて2つのジャッキアップボルト155が設けてあり、底片152を壁面Wに当接させる際に、壁面Wの左右方向の不均一を調整できるようになっている。螺子S3を螺子孔153からねじ込むことでエントランスパネル1が、エントランスパネル1に固定されている取付用プレート15を介して壁面Wに固定される。
【0029】
エントランスパネル1の面部10のインターフォン取付用開口10cには、開口10cの下端に対応する高さに位置させて、裏面からインターフォン取付用プレート16が固定されている。図7に示すように、取付用プレート16は、面部10の裏面に固定(溶接、接着等)される左右の固定片160、161と、壁面Wに当接する底片162と、から平面視ハット状に形成されている。底片162には左右に離間させて2つの螺子孔163が形成されている。螺子孔163は、左右方向(水平方向)に横長の長孔である。底片162には、左右の螺子孔153間に位置させてインターフォン取付部164が突設されており、インターフォン取付部164には磁石Mが装着されている。底片162には、左右に離間させて2つのジャッキアップボルト165が設けてあり、底片162を壁面Wに当接させる際に、壁面Wの左右方向の不均一を調整できるようになっている。螺子S4を螺子孔163からねじ込むことでエントランスパネル1が、エントランスパネル1に固定されている取付用プレート16を介して壁面Wに固定される。
【0030】
エントランスパネル1の面部10のインターフォン取付用開口10cには、開口10cの上端に対応する高さに位置させて、裏面からインターフォン取付用プレート17が固定されている。取付用プレート17は、面部10の裏面に固定(溶接、接着等)される左右の固定片170、171を備え、左右方向の中央に磁石Mが装着されている。
【0031】
エントランスパネル1が取付けられる壁面Wには、エントランスパネル1の上下端部に対応する高さに位置させて、仮固定用の取付ベース7が固定されている。図5に示すように、取付ベース7は、面部70と、面部70の幅方向左右両端から対向状に立ち上がる側片71、72と、面部70に形成された凸部73と、を備え、凸部73には面ファスナー8が設けてある。取付ベース7は面部70を壁面Wに当接させて螺子S1で固定されている。面部70には、左右に離間させて2つのジャッキアップボルト74が設けてあり、面部70を壁面Wに当接する際に、壁面Wの左右方向の不均一を調整できるようになっている。図4に示すように、エントランスパネル1の面部10の裏面の上下端部には、壁面Wに設けた上下の面ファスナー8に着脱可能に面着するための面ファスナー8が設けてある。
【0032】
エントランスパネル1の面部10の裏面には、新聞受け10cの高さに位置して係止片18が取付けられている。図10に示すように、係止片18は、エントランスパネル1の面部10の裏面に当接する取付片180と、取付片180の下端から面部10の裏面から離間するように下方に傾斜状に延出する傾斜片181と、傾斜片181の下端から下方に垂下する垂直片182と、からなる。係止片18は、新聞受け1cを構成する支軸10cを取り付ける螺子S5を用いて取付けられている。
【0033】
エントランスパネル1が取付けられる壁面Wには、エントランスパネル1の新聞受け1cに対応する高さに位置させて、係止片18が係止する被係止片9が固定されている。被係止片9は、壁面Wに当接する取付片90と、取付片90の上端から水平状に延出する水平片91と、水平片91の先端から上方に立ち上がる垂直片92と、からなる。
【0034】
開口部全閉状態では、図2に示すように、扉体6の戸先側見込面62は戸先側縦枠4の室外側見込面42に対向しており、扉体6の戸先側の突片600は、エントランスパネル1の側面11に対向している。突片600の先端と側面11との隙間がいわゆるドアの戸先側の「チリ」となっている。エントランスパネル1の面部10の戸先側部位は、戸先側縦枠4の室外側部位の第2室外側見付片40Cを覆うようにこれを越えて延出しており、側面11の先端は、戸先側縦枠4の室外側部位の第1室外側見付片40Aに近接しており、側面11の内側面と戸先側縦枠4の室外側部位の第1見込片40Bとの間には隙間が形成されている。エントランスパネル1の面部10の戸先側部位とは反対側の部位において、側面12の内側面と取付ベース7の側片72との間には隙間が形成されている。
【0035】
図2に示すように、エントランスパネル1の側面11の先端は扉体6の突片600、戸先側縦枠4の第2室外側見付片40Cを越えて、室内側へ延出している。結果として、側面11の先端はドア枠の上下枠2、3の間に位置することになる。側面11の先端(水平片111、113間の部分)が上下枠2、3の間に位置していることは図3から明らかである。エントランスパネル1の取付時において、エントランスパネル1の側面11の部分を上枠2と下枠3との間に差し込んでエントランスパネル1の上下の位置決めをした状態で、エントランスパネル1は左右方向(幅方向)に移動可能となっており、ドアの戸先側のチリ寸法を微調整することができる。
【0036】
エントランスパネル1の幅寸法、具体的には、左右の側片11、12間の寸法は、取付ベース7の幅寸法(側片71、72間の寸法)+第2室外側見付片40Cの幅寸法+αであり、エントランスパネル1は、上下の位置決めをした状態で、寸法αの範囲内で左右方向に移動可能となっている。また、エントランスパネル1の面部10の裏面側に固定した取付プレート15、16の底片152、162の幅寸法は、エントランスパネル1の左右方向の移動を妨げないような寸法に設計されている。
【0037】
上記のように構成されたエントランスパネル1の取り付けについて説明する。先ず、壁面Wの所定位置に上下の仮固定用の取付ベース7、被係止片9を固定する。図8に示すように、取付ベース7の上端をドア枠の上枠2の上面に一致させ、側片71を戸先側縦枠4の第2見込片40D(図5参照)に当接させて、螺子S1で固定する。エントランスパネル1の新聞受け1dの裏面に設けた係止片18に対応する高さに被係止片9を螺子S2で固定する。
【0038】
次いで、エントランスパネル1の面部の裏面の係止片18を壁面Wの被係止片9に引っ掛けるように上から差し込む(図9、図10)。係止片18と被係止片9との掛止は、仮固定時のエントランスパネル1の倒れを防止し、また、エントランスパネル1の取付後にエントランスパネルの新聞受け1dに下方に向かう力が作用した場合に、この力を受けるためのものである。係止片18が被係止片9に掛止した状態で、エントランスパネル1は左右方向に移動可能である。
【0039】
そして、エントランスパネル1の側面11の部分を、上枠2、下枠3間に差し込むことで上下の位置決めを行なう。上下の位置決めを行なった状態で、エントランスパネル1を左右に動かして、左右方向の位置決めを行なう(図11(1))。左右方向の位置が決まったら、エントランスパネル1の上下端部を面ファスナー8によって壁面Wに仮固定する(図11(2))。エントランスパネル1の上下端部をそれぞれ面ファスナー8を用いて壁面Wに設けた取付ベース7に面着するようにしたので、取付ベース7の取付作業(位置出し)が容易であると共に、エントランスパネル1の位置が左右方向に異なっても良好に仮固定を行なうことができる。また、必要であれば、仮固定後に面着状態を解除して、再度左右方向の位置調整を行なうことができる。
【0040】
面ファスナー8を用いてエントランスパネル1を壁面Wに仮固定した後に、取付用プレート15の底片152に形成された螺子孔153、取付用プレート16の底片162に形成された螺子孔163から、それぞれ螺子S3、S4を壁面Wにねじこむことで、エントランスパネル1を壁面Wに固定する。最後に、螺子S3、S4を隠蔽するように室名札10b(磁石を構成する)を、室名札取付部154に磁着し、螺子S4を隠蔽するようにインターフォン1cの前面パネルの裏面の上下端部を、それぞれ取付用プレート17、インターフォン取付部164に装着した磁石に吸着させる。
【0041】
エントランスパネル1を壁面Wに固定する螺子S3、S4を受け入れる螺子孔153、163は、左右方向(水平方向)に横長の長孔となっているため、エントランスパネル1の取付後においても、一定の外力によって長孔を介してエントランスパネル1の移動が許容される。したがって、戸先側の隙間(突片600の先端と側面11との隙間)を小さく設定して意匠性を向上させるものでありながら、エントランスパネル1をドア開口から離間する方向に移動させて上記隙間を拡大する(耐震ドアの条件を満たすように)ことができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、エントランスパネルの取り付けに用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 エントランスパネル
10 面部
11 側面
2 上枠
3 下枠
4 戸先側縦枠
8 面ファスナー
S3、S4 螺子
W 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア枠の戸先側の壁面に設けられるエントランスパネルの取付構造において、
エントランスパネルは、玄関備品が取り付けられる面部と、ドア枠の上下枠間の寸法に対応する高さの部分を備えた戸先側の側面と、を有し、
エントランスパネルは、前記側面の部分がドア枠の上枠と下枠との間に差し込まれることで上下位置が決定され、上下位置が決定された状態で左右方向に移動可能であり、
エントランスパネルは、左右方向の位置決めがされた状態で、着脱可能な面着手段によって壁面に仮固定され、かつ、止着手段によって壁面に固定されている、
エントランスパネルの取付構造。
【請求項2】
前記ドア枠の戸先側縦枠の室外側部位は、ドア開口部寄りの第1見付面と、第1見付面の先端から室外側に延出する第1見込面と、第1見込面の先端から前記第1見付面とは反対側に延出する第2見付面と、を有し、
前記エントランスパネルの面部の戸先側部位は前記第2見付面を越えて延出することで、前記エントランスパネルの側面の内側面と前記第1見込面とは隙間を存して対向しており、上下位置が決定された状態で前記隙間の寸法が可変である、
請求項1に記載のエントランスパネルの取付構造。
【請求項3】
前記エントランスパネルの面部の裏面には係止片が設けられ、前記壁面には前記係止片が掛止する被係止片が設けられている、請求項1、2いずれかに記載のエントランスパネルの取付構造。
【請求項4】
前記面着手段は面ファスナーであり、前記エントランスパネルは、上端部位、下端部位において当該面ファスナーによって壁面に仮固定されており、
前記止着手段は螺子であり、前記エントランスパネルは、面部に取り付けられる玄関備品に対応する高さ位置において当該螺子によって壁面に固定されており、当該螺子は前記玄関備品によって隠蔽されている、請求項1乃至3いずれかに記載のエントランスパネルの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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