説明

エンボスカード

【課題】エンボスカードの偽造を見破ることが可能なエンボスカードを提供する。
【解決手段】エンボスカード51は、その裏面53に凹部54a及び表面13にはエンボスとしての凸部54bが形成され、裏面53には凹部54aを覆うフィルム55が貼り付けられている。このように構成することにより、エンボスカードに偽造エンボスを形成しようとしても、フィルムがなくなることで偽造を見破ることのできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボスカードに関し、特に偽造を見破ることを目的とするエンボスカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術としては、例えば、以下に示すようなものがあった。
図7はかかる従来のカードのエンボスの作製工程断面図である。まず、図7(a)に示すように、カード素材1を凹型金型(下型金型)2bと凸型金型(上型金型)2aとの間にセットする。
次に、図7(b)に示すように、カード素材1を凹型金型(下型金型)2bと凸型金型(上型金型)2aで挟み込む。
【0003】
そこで、図7(c)に示すように、エンボスカード3にエンボス4を形成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のエンボスカードでは、以下のような問題があった。
図8はかかる従来のエンボスの問題点を説明する工程図である。
まず、図8(a)に示すように、平型金型5c、5d間のエンボスカード3を加熱し、図8(b)に示すように、平型金型5c、5dで挟み込み、図6(c)に示すように、平坦なカード基材6に戻した後、図8(d)に示すように、偽造凸型金型5eと偽造凹型金型5f間に、その平坦なカード基材6をセットし、図8(e)に示すように、平坦なカード基材6を偽造凸型金型5eと偽造凹型金型5fで挟み込むことにより、図8(f)に示すように、エンボスカード8に偽造エンボス9を形成することができるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を除去し、エンボスカードに偽造エンボスを形成しようとしてもそれを見破ることのできるエンボスカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明が講じた手段は、表面に形成されたエンボスに対応した凹部が裏面に形成されたカード基材と、この凹部を覆うように裏面に貼り付けられたフィルムと、を有することを特徴とするものである。
【0007】
このように構成することにより、エンボスカードに偽造エンボスを形成しようとしても、フィルムがなくなることで偽造を見破ることのできるので、上記課題を解決することができる。
【0008】
また、本発明においては、フィルムを有色フィルムにしたり、フィルムを、カード基材の裏面のうち凹部が形成されている領域を含む一部の領域を覆うように貼り付けたり、カード基材を金型を用い、加熱を用いることで平坦化され得るものとする工夫をさらに施すことで上記課題をより確実に解決することができる。
【発明の効果】
【0009】
上述のように、本発明のようなエンボスカードとすることで、エンボスカードの偽造を見破ることができ、偽造防止をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施例を示す偽造防止エンボスカードの要部断面図、図2はそのエンボスカードの表面図、図3はそのエンボスカードの裏面図である。
【0011】
これらの図に示すように、偽造防止エンボスカード11は、裏面12には凹部14aが、表面13には凸部14bが形成され、エンボス14が作製されている。その凹部14aには、樹脂16が充填される。この樹脂16としては、各種の樹脂を用いることができるが、特に、熱硬化性樹脂を用いると、偽造を確実に防止することができる。
【0012】
図2に示すように、このようにして得られた偽造防止エンボスカード11は表面13にはエンボス14が形成され、図3に示すように、その裏面12には樹脂16が充填された凹部14aが示されている。
このような偽造防止エンボスカードは、例えば、以下のような方法により製造される。
【0013】
(1) まず、第1の作製方法について図4を参照しながら説明する。
まず、図4(a)に示すように、カード基材10を凸型金型15aと凹型金型15b間にセットし、次に、図4(b)に示すように、カード基材10を凸型金型15aと凹型金型15bで挟み込み、図4(c)に示すように、凹部14aと凸部14bとを形成したエンボス14を作製し、次に、図4(d)に示すように、その形成された凹部14a内に樹脂16を充填し、偽造防止エンボスカード11を作製する。
【0014】
(2) 次に、第2の作製方法について図5を参照しながら説明する。
まず、図5(a)に示すように、カード基材10を樹脂22を充填可能にした凸型金型21と凹型金型15b間にセットし、次に、図5(b)に示すように、カード基材10を凸型金型21と凹型金型15bで挟み込み、図5(c)に示すように、凹部14aと凸部14bとを形成したエンボス14を作製し、凸部金型21をはずす際に、凸型金型21の先端から樹脂22を充填し、偽造防止エンボスカード11を作製する。
【0015】
(3) 次に、第3の作製方法について図6を参照しながら説明する。
まず、図6(a)に示すように、カード基材10を、先端を樹脂32で形成した凸型金型31と凹型金型15b間にセットし、次に、図6(b)に示すように、カード基材10を凸型金型31と凹型金型15bで挟み込み、図6(c)に示すように、凹部14aと凸部14bとを形成し、凸部金型31をはずす際に、その樹脂32を凹部14a内に残し、偽造防止エンボスカード11を得る。
【0016】
上記のように構成したので、第1実施例によれば、偽造防止エンボスカードのエンボスの凹部内に樹脂が充填されていることにより、その偽造防止エンボスカードを加熱し、平型金型で挟み込んでも平坦なカード基材に戻すことができなくなる。
【0017】
次に、本発明の第2実施例について説明する。
図9は本発明の第2実施例を示す偽造防止エンボスカードの要部断面図、図10はそのエンボスカードの作製工程断面図である。
【0018】
この実施例では、図9に示すように、偽造防止エンボスカード41には、凹部44a内に樹脂46が、カードの裏面41aが平坦(面一)になるように充填されている。
【0019】
次に、本発明の第2実施例を示す偽造防止エンボスカードの作製方法について説明する。
(1)まず、図10(a)に示すように、カード基材40を凸型金型42aと凹型金型42b間にセットし、次に、図10(b)に示すように、カード基材40を凸型金型42aと凹型金型42bで挟み込み、図10(c)に示すように、凹部44aと凸部44bとを形成したエンボスカード41を作製し、次に、図10(d)に示すように、その作製されたエンボスカード41を上金型48と下金型49で挟み、キャビティとなる凹部44aに樹脂46を充填し、図10(e)に示すように、裏面が平坦になるように樹脂46が充填された偽造防止エンボスカード41を作製することができる。なお、44はエンボスである。
【0020】
なお、樹脂を平坦にする方法としては、樹脂のはずれる面がカード裏面の面と合うようにする方法とか、充填した樹脂をスキージする方法などが考えられる。
【0021】
上記のように、第2実施例によれば、前記樹脂はカード裏面と同一平面上で平坦になるように形成したので、裏面に印刷などを確実に行うことができ、また、サインパネル等を貼り付けることができる。
【0022】
次に、本発明の第3実施例について説明する。
図11は本発明の第3実施例を示す偽造防止エンボスカードの要部断面図、図12はその偽造防止エンボスカードの表面図、図13はその偽造防止エンボスカードの裏面図である。
図11において、偽造防止エンボスカード51には、その裏面53に凹部54a、表面52には凸部54bが形成されたエンボス54を形成する。その裏面53の凹部54a上部には薄いフィルム55が貼り付けられている。この薄いフィルム55は無色透明ではなく、有色フィルムが望ましい。
【0023】
すなわち、図12に示すように、偽造防止エンボスカード51の表面52には凸部54bが形成されている。また、図13に示すように、偽造防止エンボスカード51の裏面53には凹部54aが形成されており、その凹部54a上の表面には薄いフィルム55が貼り付けられている。
【0024】
上記のように、第3実施例によれば、偽造防止エンボスカードのエンボスの凹部上の表面に薄いフィルムが貼り付けられていることにより、この偽造防止エンボスカードを加熱し、平型金型で挟み込み平坦にすると、フィルムはカード基材と一体化してしまうため、エンボスを偽造してもフィルムがなくなっているため偽造を見破ることができる。
【0025】
更に、第1実施例又は第2実施例と第3実施例とを組み合わせることもできることは言うまでもない。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0026】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)偽造防止エンボスカードのエンボスの凹部内に樹脂が充填されていることにより、その偽造防止エンボスカードを加熱し、平型金型で挟み込んでも平坦なカード基材に戻すことができなくなる。
したがって、エンボスカードの偽造を確実に防止することができる。
【0027】
(2)前記樹脂はカード裏面と同一平面上で平坦になるように形成したので、裏面に印刷などを確実に行うことができ、また、サインパネル等を貼り付けることができる。
【0028】
(3)請求項3記載の発明によれば、前記樹脂として熱硬化性樹脂を用いるようにしたので、その偽造防止エンボスカードを加熱し、平型金型で挟み込んでも樹脂は硬くなり、平型金型で挟み込んでも平坦なカード基材に戻すことを確実に阻止することができる。
【0029】
(4)エンボス凹部に樹脂を充填するだけの簡単な工程により、偽造防止エンボスカードを作製することができる。
【0030】
(5)偽造防止エンボスカードのエンボスの凹部上の表面に薄いフィルムが貼り付けられていることにより、この偽造防止エンボスカードを加熱し、平型金型で挟み込み平坦にすると、フィルムはカード基材と一体化してしまうため、エンボスを偽造してもフィルムがなくなっているため偽造を見破ることができる。
したがって、エンボスカードの偽造を確実に防止することができる。
【0031】
(6)エンボス凹部の表面に薄いフィルムを貼付けるだけの簡単な工程により、偽造防止エンボスカードを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施例を示す偽造防止エンボスカードの要部断面図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す偽造防止エンボスカードの表面図である。
【図3】本発明の第1実施例を示す偽造防止エンボスカードの裏面図である。
【図4】本発明の第1実施例を示す偽造防止エンボスカードの第1の作製工程断面図である。
【図5】本発明の第1実施例を示す偽造防止エンボスカードの第2の作製工程断面図である。
【図6】本発明の第1実施例を示す偽造防止エンボスカードの第3の作製工程断面図である。
【図7】従来のカードのエンボスの作製工程断面図である。
【図8】従来のエンボスの問題点を説明する工程図である。
【図9】本発明の第2実施例を示す偽造防止エンボスカードの要部断面図である。
【図10】本発明の第2実施例を示す偽造防止エンボスカードの作製工程断面図である。
【図11】本発明の第3実施例を示す偽造防止エンボスカードの要部断面図である。
【図12】本発明の第3実施例を示す偽造防止エンボスカードの表面図である。
【図13】本発明の第3実施例を示す偽造防止エンボスカードの裏面図である。
【符号の説明】
【0033】
10,40 カード基材
11,41,51 偽造防止エンボスカード
12,41a,53 裏面
13,52 表面
14,44,54 エンボス
14a,44a,54a 凹部
14b,44b,54b 凸部
15a,21,31,42a 凸型金型
15b,42b 凹型金型
16,22,32,46 樹脂
48 上金型
49 下金型
55 薄いフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に形成されたエンボスに対応した凹部が裏面に形成されたカード基材と、
前記凹部を覆うように裏面に貼り付けられたフィルムと、
を有することを特徴とするエンボスカード。
【請求項2】
前記フィルムは有色フィルムであることを特徴とする請求項1記載のエンボスカード。
【請求項3】
前記フィルムは、前記裏面のうち凹部が形成されている領域を含む一部の領域を覆うように貼り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のエンボスカード。
【請求項4】
前記カード基材は金型を用い、加熱を用いることで平坦化され得るものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンボスカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−264340(P2006−264340A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155452(P2006−155452)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【分割の表示】特願平8−1843の分割
【原出願日】平成8年1月10日(1996.1.10)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】