説明

エンボスキャリアテープ

【課題】 エンボスキャリアテープにおいて、収容凹部を閉止するカバーテープを不要とし、また収容凹部の開閉がスムーズに行えるようにする。
【解決手段】 長さ方向に一定間隔をあけてワークを収容する収容凹部14がエンボス加工によって多数形成されたテープ本体1と、テープ本体1の両側縁部に延長状に且つ折り畳み自在に設けられた帯状折返し部22とを有し、両折返し部22は収容凹部14における開口部の全部または一部を閉止して収容凹部14内にワーク12を保持し得る幅となされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品、精密機構部品、機械部品などの各種のワ−クを収容して製品アッセンブリ位置等の作業位置へ供給するために使用されるエンボスキャリアテープに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスなどの電子部品の供給システムでは、長尺帯状をなし、その長手方向に等間隔で多数の収容凹部が形設されるとともに、一側辺縁部に、長手方向に等間隔で多数の係合孔が穿設されたエンボスキャリアテープが広く使用されている。そして、このエンボスキャリアテープの各収容凹部にそれぞれ電子部品を1個ずつ挿入して、多数の収容凹部の開口面を閉塞するようにカバーテープをエンボスキャリアテープの上面に接合し、このエンボスキャリアテープをリールに巻き取る。そして、自動組立てラインへの投入位置に設けられたリール装着部にリールを装着し、そのリールからエンボスキャリアテープを繰り出し、該テープをテープ送りローラによって作業位置(電子部品の実装位置等)へ搬送し、作業位置に設けられた吸着ヘッド等によりエンボスキャリアテープの各収容凹部から電子部品を順次取り出すようにしている。(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
また、構成部品等のワークを容器内に収容して作業ライン、例えば製品の自動組立てラインに投入し、前記ワークを収容した容器を投入位置から自動組立てラインに乗せて製品のアッセンブリ位置等の作業位置まで搬送して、作業位置で容器からワークを取り出した後、空になった容器を回収し、その容器に再びワークを収納して自動組立てラインに投入する、といったワーク供給システムにおいて、ワークを収容して搬送するのに、一般にトレイが使用されている(例えば、特許文献2参照。)
【0004】
更に、長さ方向に一定間隔をあけてワークを収容する収容凹部が形成されたテープ本体の一側縁にテープ本体と同一幅の蓋部分が設けられたプラスチックエンボステープも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2003−72835号公報(第3−4頁、図1、図4−図7)
【特許文献2】特開平7−101549号公報(第3−4頁、図1)
【特許文献3】特開平3−200554
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エンボスキャリアテープでは、収容凹部に挿入された電子部品等が収容凹部内から抜け落ちないようにするために、その上面にカバーテープを接合して多数の収容凹部の開口面を閉塞する必要がある。このため、カバーテープをヒートシールするための装置が必要となる。また、エンボスキャリアテープを使用したワーク供給システムでは、リールから繰り出されたエンボスキャリアテープを搬送して電子部品等のワークを作業位置(電子部品の実装位置等)へ送り込む手前で、エンボスキャリアテープの上面からカバーテープを剥離し収容凹部の開口面を開放して収容凹部内からのワークの取出しを可能にする工程が必要である。さらに、上面からカバーテープが剥離されたエンボスキャリアテープは使い捨てであり、繰り返し使用することができないので経済的にも不利である、といった問題点がある。
【0007】
一方、従来のトレイを使用したワーク供給システムは、比較的大きいワークの供給には適しているが、電子部品、精密機構部品などの小型のワークの供給には不向きである。また、トレイは、通常、1つのトレイに複数個のワークを二次元的に収容する大きさに形成されるので、その保管スペースが大きくなり、また、供給システムも大掛かりとなる、といった問題点がある。
【0008】
この他、テープ本体の一側縁にテープ本体と同一幅の蓋部分が設けられたプラスチックエンボステープの場合、収容凹部にワークを装填したり、或いは装填したワークを取り出すにあたって、前記蓋部分を起立させる必要があるが、その起立が行い難いという欠点があった。
【0009】
この発明の目的は、収容凹部を閉止するカバーテープを不要として再利用を可能とし、しかもワークの装填および取り出しが容易に行えるエンボスキャリアテープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、長さ方向に一定間隔をあけてワークを収容する収容凹部がエンボス加工によって多数形成されたテープ本体と、テープ本体の両側縁部に延長状に且つ折り畳み自在に設けられた帯状折返し部とを有し、両折返し部は収容凹部における開口部の全部または一部を閉止して収容凹部内にワークを保持し得る幅となされているエンボスキャリアテープである。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記請求項1記載のエンボスキャリアテープについて、各折返し部の幅がテープ本体の幅の半分以下となされていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明のエンボスキャリアテープは、テープ本体の両側に延長状かつ折り畳み自在に帯状折返し部が形成されたものであるため、各収容凹部にワークを装填した後、両帯状折返し部を収容凹部の開口部へ倒伏させるだけで該収容凹部内にワークが保持される。そのため、従来、収容凹部からワークが脱落するのを防止するためにエンボスキャリアテープのテープ本体の上面に貼着していたカバーテープが不要となる。
【0013】
また更に、本発明のエンボスキャリアテープは、その各収容凹部にワークを装填して所定場所で各収容凹部内のワークを順次取り出した後、そのテープを回収して各収容凹部に再びワークを装填して使用することができるため、繰り返し使用が可能となり、コストの削減および資源の有効利用を図ることができる。
【0014】
また、このエンボスキャリアテープを使用したワーク供給システムでは、予め各収容凹部にワークが装填されたエンボスキャリアテープを送り側リールから繰り出し、ワーク取出し位置の手前で両折返し部を起立させて、その後ワークを順次取り出し、次に、空になったエンボスキャリアテープの両折返し部を再び収容凹部の開口側へ倒伏させた後、巻取り側リールに巻回させるのであるが、これら一連のワーク供給システムにおいて、エンボスキャリアテープの折返し部は、従来のように、テープ本体の片側縁部ではなく、テープ本体の両側縁部に形成されていることから、折返し部の幅を従来の半分以下にすることができる。
【0015】
すなわち、テープ本体の片側に折返し部が形成された従来のエンボスキャリアテープででは、収容凹部内のワークの脱落を確実に防止するためには、収容凹部の開口部全面を片側の折り返し部によって閉止する必要があり、そのため折返し部の幅をテープ本体とほぼ同一の広い幅とする必要があるのに対し、テープ本体の両側縁部に折返し部が形成されたこの発明に係るエンボスキャリアテープによれば、各折返し部の幅を少なくともテープ本体の幅の二分の一にすることができ、更に、両折返し部の幅を収容凹部の開口部全面を閉止する幅としなくても、収容凹部内のワークの左右両端部だけを押える幅とするだけで、収容凹部からのワークの脱落が阻止できるため、両折返し部の幅をテープ本体の幅の二分の一未満にすることが可能となる。
【0016】
更に、収容凹部内からワークを取り出すにあたって、折返し部を起立させる場合にも、上述したように、この発明によれば、折返し部の幅を従来の二分の一未満とすることができるため、従来に比べて、折返し部の起立が容易に行える。また、折返し部を倒伏させる場合も同様である。また、エンボスキャリアテープにおける上述した折返し部の起立はこの種エンボスキャリアテープを使ったワーク供給装置におけるワーク取出し位置手前の所定区間で行われるが、従来のエンボスキャリアテープのように、折返し部の幅が広い場合には、その起立のための区間距離が長くなり、この発明のように、折返し部の幅が短い場合には、その起立ための区間距離を短くすることができる。そのため、このエンボスキャリアテープを使ったワーク供給装置の全体サイズをコンパクト化することもできる。
【0017】
また、エンボスキャリアテープにおける折返し部の倒伏は、折返し部が起立したエンボスキャリアテープを案内ローラや巻取りリールに巻回させることで行われるが、この場合にも、折返し部の幅が狭い場合には、より径の小さい案内ローラやリールを使用することができ、そのためこれらも小型化できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施形態の一例を示すエンボスキャリアテープの斜視図である。
【図2】図1に示したエンボスキャリアテープの平面図である。
【図3】図1に示したエンボスキャリアテープの側面図である。
【図4】図2のIV―IV矢視縦断面図である。
【図5】図1に示したエンボスキャリアテープのテープ本体両側縁における折り目の一例を示す一部拡大縦断面図である。
【図6】図1に示したエンボスキャリアテープのテープ本体両側縁における折り目の別の例を示す一部拡大縦断面図である。
【図7】図1に示したテープ本体の上面側に折り返し部を起立させる状態を示す縦断面図である。
【図8】図1に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置の構成の一例を示す概略側面図である。
【図9】図8に示したワーク供給装置の構成要素の1つである案内治具の1構成例を示す斜視図である。
【図10】図9に示した案内治具により、エンボスキャリアテープの帯状折返し部を起立させる様子を示す斜視図である。
【図11】図10中の矢印Aで示す方向に見た正面図である。
【図12−A】図9に示した案内治具によって、エンボスキャリアテープの帯状折返し部が起立させられる直前の状態を示す平面図である。
【図12−B】エンボスキャリアテープの帯状折返し部が起立させられる初期の状態を示す平面図である。
【図12−C】エンボスキャリアテープの帯状折返し部が起立させられ始めた状態を示す平面図である。
【図12−D】エンボスキャリアテープの帯状折返し部が起立させられている状態を示す平面図である。
【図13】エンボスキャリアテープが平坦状態から折曲状態へ変形しながら搬送されることにより、エンボスキャリアテープの起立していた帯状折返し部が内向きに倒れて収容凹部の形成面に接合した形態に変化する様子を示す側面図である。
【図14】同じく、エンボスキャリアテープの起立していた帯状折返し部が内向きに倒れて収容凹部の形成面に接合した形態に変化する様子を示す斜視図である。
【図15】この発明に係るエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置の別の構成例を示す概略側面図である。
【図16】図1に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置のさらに別の構成例を示す概略側面図である。
【図17】図1に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置のさらに別の構成例を示す概略側面図である。
【図18】図1に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置のさらに別の構成例を示す概略側面図である。
【図19】図1に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置のさらに別の構成例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、この発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、この発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1〜図4は、この発明の実施形態の一例を示す。このエンボスキャリアテープ10は、可撓性を有するプラスチック材料により長尺帯状に形成されている。エンボスキャリアテープ10のテープ本体1の上面部には、エンボス加工により、ワーク12を一個ずつ収容する収容凹部14が長手方向に等間隔で多数形設されている。そして、エンボスキャリアテープ10のテープ本体1の両側縁部には折り畳み自在な帯状折返し部22が形成されており、該折返し部22とテープ本体1の境界部分には後述する折り目が設けられている。
【0021】
すなわち、折り目は、例えば図5の一部拡大縦断面図に示すように、エンボス加工時に上面側に形設された凹溝状の折り目18a、あるいは図6に一部拡大縦断面図を示すように、加工刃20を用いて裏面側に刻設されたV溝状の折り目18bが長手方向に沿って形成されている。折り返し部22は、図7に縦断面図を示すように折り目18a、18bで上面側に折り返される。そして、一対の帯状折返し部22、22により、各収容凹部14の開口面がそれぞれ部分的に塞がれている。
【0022】
なお、一対の帯状折返し部22、22によって各収容凹部14の開口面全体をそれぞれ塞ぐようにしてもよい。このように、一対の帯状折返し部22、22によって各収容凹部14の開口面がそれぞれ塞がれることにより、収容凹部14内からワーク12が抜け出ることがない。より詳細には、図2に示すように、テープ本体1の幅W1に対して、その両側縁部の帯状折返し部22・22の幅W2はそれぞれ二分の一未満となされている。そして、このように幅の狭い帯状折返し部22であっても、両側からワーク12の両側端部を押さえることで該ワーク12の脱落を確実に防止する構成となされている。
【0023】
また、エンボスキャリアテープ10の両側縁部には、長手方向に等間隔で、ピンローラの各ピンと係合する小円形状の係合孔24が一列に多数、それぞれ穿設されている。
【0024】
図8は、上記した構成のエンボスキャリアテープ10を使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置の構成の一例を示す概略側面図である。このワーク供給装置は、多数のワークを保持した長尺帯状のエンボスキャリアテープ10をリール26に巻回して回転自在に支持したテープ繰出し部28を備えており、このテープ繰出し部28から、収容凹部14の開口面を上向きにしてエンボスキャリアテープ10が順次繰り出される。テープ繰出し部28から繰り出されたエンボスキャリアテープ10は、平坦状態にされテープ送り装置30により収容凹部14の開口面を上向きにして水平方向へ搬送される。テープ送り装置30は、エンボスキャリアテープ10の係合孔24と係合する複数のピンが円周方向に等配して植設されたピンローラ32を有し、エンボスキャリアテープ10を作業位置(ワーク取出し位置)へ移送する。なお、図示していないが、従来のエンボスキャリアテープの搬送機構と同様に、断面形状がコの字形をなす左右一対の案内レールがエンボスキャリアテープ10の搬送路に沿って配設されており、エンボスキャリアテープ10は、その両側縁部を一対の案内レールによって支持された状態で搬送される。
【0025】
作業位置には、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14内からその上部開口面を通してワークを取り出すワーク取出し装置34が設置されている。そして、作業位置の手前側には、エンボスキャリアテープ10の上面に近接するように案内治具36が装置固定部(図示せず)に固定されて配設されている。この案内治具36によってエンボスキャリアテープ10の一対の帯状折返し部22,22は、図11に示したように収容凹部14の形成面に接合した状態からそれぞれ起立させられる。これにより、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14の開口面が開放され収容凹部14内からのワークの取出しが可能になる。
【0026】
図9〜図11に示すように、案内治具36は、エンボスキャリアテープ10(図10において二点鎖線で示す)のテープ本体1と一対の帯状折返し部22、22との間に介挿される平板状案内部38と、この平板状案内部38の上面側に立設された一対の側部案内部40、40とを一体に形成した構成を有する。一対の側部案内部40、40は、平板状案内部38の両側縁部からそれぞれ前方へ突出するように左右対称に立設されている。この例では、側部案内部40は、平板状案内部38の上面に対してなす角度が直角より小さい角度(鋭角)となるように設けられている。そして、案内治具36の平板状案内部38は、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14の開口面を覆蓋して収容凹部14内からワーク12が抜け出ることがないようにしつつ、エンボスキャリアテープ10をその長手方向に沿って前方の作業位置へ案内する。また、一対の側部案内部40,40は、エンボスキャリアテープ10の各帯状折返し部22をそれぞれ起立させるように案内する。案内治具36によってエンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22が起立させられていく過程を、図12−A〜図12−Dに示す平面図に基づいてより詳しく説明する。
【0027】
図12−Aに示すように、エンボスキャリアテープ10が矢印方向に搬送されて、作業位置の手前側に固定された案内治具36にエンボスキャリアテープ10が接近する。このとき、エンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22はテープ本体1の上面に倒伏しており、収容凹部14の開口部は一対の帯状折返し部22、22によって部分的に閉塞された状態であり、収容凹部14内からワーク12を取り出すことができない。続いて、図12−Bに示すように、エンボスキャリアテープ10が案内治具36の位置に到達すると、案内治具36に対しエンボスキャリアテープ10は、その収容凹部14の形成面と一対の帯状折返し部22、22との間に平板状案内部38が挿入された状態で係合する。エンボスキャリアテープ10がさらに前方へ進むと、図12−Cに示すように、帯状折返し部22の内側面と案内治具36の側部案内部40の外側面とが摺接しながら、帯状折返し部22が側部案内部40に案内されて次第に起立していく。そして、図12−Dに示すように、エンボスキャリアテープ10の一対の帯状折返し部22、22が完全に起立した部分では、収容凹部14の開口面が全面的に開放された状態となり、収容凹部14内からワーク12が取り出される。
【0028】
すなわち、上述したように、エンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22、22は、案内治具36によって起立させられるが、図8に示した通り、この案内治具36による帯状折返し部22、22の起立は、所定の区間L1において行われる。そして、本実施形態では、上述した通り、両帯状折返し部22、22の幅W2は、テープ本体1の幅W1の二分の一未満という狭い幅となされているため、該折返し部22・22の起立が容易であり、そのため、上記起立のための所定区間L1を短く設定することができ、そのため、これに起因して当該ワーク供給装置全体のサイズをコンパクト化することが可能となる。また、この点は、口述する他の実施形態に係るワーク供給装置についても同様である。
【0029】
なお、作業を開始するときには、作業者が手で、テープ繰出し部28からエンボスキャリアテープ10を引き出し、図12−Aないし図12−Cに示した操作を行ってエンボスキャリアテープ10の先端部分を案内治具36にセットした後に、テープ送り装置30を駆動させてエンボスキャリアテープ10を自動送りにする。
【0030】
図8に示すように、作業位置においてエンボスキャリアテープ10の収容凹部14からワーク12が取り出された後の空の部分は、フリーローラからなる案内ローラ42により、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形させられつつ反転させられる。このとき、エンボスキャリアテープ10が平坦状態から折曲状態へ変形しながら搬送されることにより、図13に側面図を、図14に斜視図をそれぞれ示すように、可撓性を有するプラスチック材料で形成されたエンボスキャリアテープ10の起立していた一対の帯状折返し部22,22は、内向きに倒れて収容凹部14の形成面に倒伏した形態に自然変化する。この場合、エンボスキャリアテープ10のテープ本体1両側の帯状折返し部22は、上述した通り、テープ本体1の幅の二分の一未満の狭い幅となされているため、上記案内ローラ42の径をある程度小さくしても両折返し部22を倒伏させることができる。またこの点は、後述する実施形態に係るワーク供給装置においても同様である。
【0031】
なお、案内ローラ42をフリーローラとせずに、回転モータによって駆動される駆動ローラとしてもよい。
【0032】
この実施形態では、案内治具36の側部案内部40が平板状案内部38の上面に対して鋭角であり、したがって、エンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22の起立角度がテープ本体1に対し鋭角であるが、案内治具36の側部案内部40が平板状案内部38の上面に対して直角より大きい角度(鈍角)となるように形成されているときは、エンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22の起立角度がテープ本体に対し鈍角となるので、帯状折返し部22は、外向きに倒れてテープ本体1と同一面をなす形態となる。また、エンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22の起立角度がテープ本体に対し鈍角となる場合において、作業位置の前方側(作業位置を挟んで案内治具36の反対側)に、エンボスキャリアテープ10の、外向きに開いた状態の帯状折返し部22を強制的に内側へ閉じさせて、帯状折返し部22の起立角度が収容凹部14の形成面に対し鈍角から鋭角となるように案内する別の案内治具を設けるようにしてもよい。
【0033】
案内ローラ42によって斜め下方向に反転させられたエンボスキャリアテープ10の空になった部分は、テープ巻取り部44においてリール46に巻き取られていく。そして、空のエンボスキャリアテープ10がその末端部分までリール46に巻き取られると、エンボスキャリアテープ10はリールごとテープ巻き取り部44から取り出され、再び多数の収容凹部14に多数のワーク12が充填されて再使用される。
【0034】
図8に示す構成を備えた装置において、テープ繰出し部28に、空のエンボスキャリアテープ10が巻回されたリール26をセットし、作業位置に設置されたワーク取出し装置34に、ワーク取出し動作とは逆の動作、すなわち、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14内へその上部開口面を通してワークを順次挿入する動作を行わせるようにし、テープ巻取り部44において、各収容凹部14にワークがそれぞれ収容されたエンボスキャリアテープ10をリール46に巻き取っていくようにすることにより、図8に示した装置をワーク収納装置として使用することができる。
【0035】
上記した実施形態では、エンボスキャリアテープ10の両側縁部にそれぞれ、ピンローラの各ピンと係合する多数の係合孔24を一列に穿設するようにしたが、小形のワークを取り扱うとき、したがってエンボスキャリアテープの幅寸法が比較的小さいときは、エンボスキャリアテープの片側の縁部のみに係合孔を一列に穿設するようにしてもよい。
【0036】
また、エンボスキャリアテープに係合孔を穿設せずに、図15に概略側面図を示すワーク供給装置のように、上下一対の平滑ローラ48a、48bによってエンボスキャリアテープ50の縁部を挟持しつつ平滑ローラ48a、48bを回転駆動させることにより、エンボスキャリアテープ50を搬送するような構成としてもよい。この場合には、エンボスキャリアテープ50に小孔、窪み等の位置検出用マークを加工形成しておき、作業位置(ワーク取出し位置)の手前側に設置した位置センサ52により、エンボスキャリアテープ50の位置検索用マークを検知してエンボスキャリアテープ50の位置を読み取り、エンコーダ(図示せず)により送り量を計測しながら平滑ローラ48a、48bの回転動作を制御することにより、ワーク取出し装置34によってエンボスキャリアテープ50の収容凹部内からワークが常にミス無く取り出されるように監視するようにするとよい。なお、図15中において図8で使用した符号と同一符号を付した各構成部材は、図8に関して説明した上記各構成部材と同一のものである。
【0037】
エンボスキャリアテープの送り装置は、上記以外の構成であってもよく、例えば、上下一対のチャックによってエンボスキャリアテープの縁部を挟持しエンボスキャリアテープを一定ピッチで間欠的に搬送するチャック式フィーダ、エンボスキャリアテープに穿設された係合孔にピンを挿入しエンボスキャリアテープを一定ピッチで間欠的に搬送するピン式フィーダなど、各種の送り装置を用いることができる。
【0038】
また、上記実施形態では、テープ繰出し部28からエンボスキャリアテープ10を、その収容凹部14の開口面が上向きになるようにして繰り出し、テープ送り装置30によってエンボスキャリアテープ10を、その収容凹部14の開口面が上向きになるようにして水平方向へ搬送するようにしているが、図16に概略側面図を示すワーク供給装置のように、テープ繰出し部54からエンボスキャリアテープ10を、その収容凹部14の開口面が下向きになるようにして繰り出し、テープ送り装置30によってエンボスキャリアテープ10を、その収容凹部14の開口面が下向きになるようにして水平方向へ搬送し、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14内からワーク12が取り出された後の空の部分を案内ローラ56によって上側に反転させ、案内ローラ56によって反転させられたエンボスキャリアテープ10の空になった部分をテープ巻取り部58においてリールに巻き取っていくような構成としてもよい。この場合には、作業位置においてエンボスキャリアテープ10の収容凹部14内からワーク12を自然落下させて取り出すことができる。
【0039】
さらに、図15に示すように、上記実施形態では、案内ローラ42により、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14からワーク12が取り出された後の空の部分を平坦状態から裏側に折曲した状態へ変形させつつ反転させて、エンボスキャリアテープ10の起立していた帯状折返し部22,22が自然に内向きに倒れて収容凹部14の形成面に接合するようにしていたが、案内ローラ42に代えて、図17に概略側面図を示すように、エンボスキャリアテープ10の搬送方向において湾曲した筒面を有するテープ案内筒60を設けるようにしてもよい。そして、エンボスキャリアテープ10の空の部分を、テープ案内筒60内へ導入しテープ案内筒60内を通って斜め下向きに案内することにより、エンボスキャリアテープ10の起立していた帯状折返し部22、22が自然に内向きに倒れて収容凹部14の形成面に倒伏するようにする。また、エンボスキャリアテープ10を平坦状態から裏側に折曲した状態へ変形させつつ反転させるテープ案内手段は、案内ローラや案内筒だけに限定されない。
【0040】
また、上記した各実施形態では、テープ繰出し部28、54からエンボスキャリアテープ10、50を繰り出し、案内ローラ42、56あるいはテープ案内筒60によりエンボスキャリアテープ10、50の空の部分を案内して反転させ、テープ巻取り部44、58においてエンボスキャリアテープ10、50の空の部分を巻き取るようにしているが、案内ローラやテープ案内筒などのテープ案内手段を設けずに、エンボスキャリアテープ10、50の収容凹部14からワーク12が取り出された後の空の部分をそのままテープ巻取り部で巻き取るような構成とすることもできる。
【0041】
すなわち、図18および図19に概略側面図をそれぞれ示すように、多数のワークを保持しリール62、70に巻回されたエンボスキャリアテープ10をテープ繰出し部64、72から順次繰り出し(図18に示した装置では、収容凹部14の開口面を上向きにしてエンボスキャリアテープ10が繰り出され、図19に示した装置では、収容凹部14の開口面を下向きにしてエンボスキャリアテープ10が繰り出される)、作業位置においてエンボスキャリアテープ10の収容凹部14からワーク12が取り出された(図18に示した装置では、ワーク取出し装置34によってワークが取り出され、図19に示した装置では、ワーク12が自然落下して取り出される)後の空の部分を、そのままテープ巻取り部68、76においてリール66、74に巻き取っていく。このとき、エンボスキャリアテープ10は、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形しながら巻き取られていくことにより、起立していた帯状折返し部22が自然に内向きに倒れて収容凹部形成面に接合した形態となる。図18および図19中において図8で使用した符号と同一符号を付した各構成部材は、図8に関して説明した上記各構成部材と同一のものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明に係るエンボスキャリアテープならびにそれを用いるワーク供給装置は、家電、電子機器、電装品、機械、食品等の各種製品を製造する事業所などにおいて巾広く使用され得る。
【符号の説明】
【0043】
10,50 エンボスキャリアテープ
12 ワーク
14 エンボスキャリアテープの収容凹部
18a、18b 折り目
22 エンボスキャリアテープの帯状折返し部
24 係合孔
26,46,62,66,70,74 リール
28,54,64,72 テープ繰出し部
30 テープ送り装置
32 ピンローラ
34 ワーク取出し装置
36 案内治具
38 案内治具の平板状案内部
40 案内治具の側部案内部
42、56 案内ローラ
44、58、68、76 テープ巻取り部
48a、48b 平滑ローラ
52 位置センサ
60 テープ案内筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に一定間隔をあけてワークを収容する収容凹部がエンボス加工によって多数形成されたテープ本体と、テープ本体の両側縁部に延長状に且つ折り畳み自在に設けられた帯状折返し部とを有し、両折返し部は収容凹部における開口部の全部または一部を閉止して収容凹部内にワークを保持し得る幅となされている、エンボスキャリアテープ。
【請求項2】
各折返し部の幅がテープ本体の幅の半分以下となされていることを特徴とする、請求項1記載のエンボスキャリアテープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−A】
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【図12−B】
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【図12−C】
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【図12−D】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−163209(P2010−163209A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281594(P2009−281594)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【分割の表示】特願2009−16093(P2009−16093)の分割
【原出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(592219684)株式会社イー・ピー・アイ (21)
【Fターム(参考)】