説明

オイルレベルゲージ

【課題】オイル量の点検を正確に行うとともに、レベルゲージ部の剛性を向上させる。
【解決手段】オイルの膜張り用開孔21開孔をレベルゲージ部3の厚さ方向両側にレベルゲージ部3の長手方向に間隔をあけて複数個形成する。各開孔21の開孔端の開孔面積を、各開孔21の奥部の開孔面積よりも大きく設定する(D1>D2)。オイルレベルゲージ本体7の一端側をレベルゲージ部3の内部に少なくとも全開孔21に跨るように延設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車のエンジンオイル等のオイルレベルを測定してオイル量を点検するオイルレベルゲージの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、平板状レベルゲージ本体の先端側に矩形状開孔をレベルゲージ本体の長手方向に間隔をあけて複数個貫通して形成して当該箇所をレベルゲージ部とし、液膜が張っている開孔を確認することでタンク内の液面レベルを測定して液量を点検するようにしたウォッシャタンク用の樹脂製レベルゲージが開示されている。
【0003】
特許文献2には、弾性材からなる芯金をインサートした樹脂製オイルレベルゲージが開示されている。このオイルレベルゲージでは、特許文献1の如き開孔はなく、表面の濡れ状態を見てオイル量を点検するようにしている。
【0004】
特許文献3には、レベルゲージ部及び把持部を樹脂製にし、その間のオイルレベルゲージ本体を金属製にしたオイルレベルゲージが開示されている。このオイルレベルゲージも、特許文献1の如き開孔はなく、オイルレベルゲージ本体表面の濡れ状態を見てオイル量を点検するようにしていることは特許文献2と同様である。
【特許文献1】特開2002−310774号公報(段落0018欄、図1)
【特許文献2】実開昭59−106022号公報(第5頁、図3)
【特許文献3】特許第4079860号公報(段落0023欄、段落0027欄、図2、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1では、単に各開孔を小さく真っ直ぐに形成しているだけであって、各開孔の奥部の開孔面積と、各開孔の開孔端の開孔面積とが等しく設定されているため(特許文献1の図1(d)参照)、液レベルの測定に先駆けてレベルゲージをウォッシャ液から引き上げてレベルゲージ部に付着しているウォッシャ液を布等で拭き取ろうとしても、各開孔に張っている液膜が拭き取られずに残ってしまい、その後のオイル量点検に支障を来すおそれがある。また、液膜を完全に拭き取るには、数回の拭取り作業を行わなければならず、面倒である。さらに、複数個の開孔がレベルゲージ部に貫通して形成されているため、レベルゲージ部の剛性が低下して折れ易くなる。
【0006】
一方、上記の特許文献2,3では、オイルパンのガイドパイプからオイルレベルゲージを引き抜く際、オイルレベルゲージがガイドパイプ内周面に摺接して付着オイルが移動するため、オイル量を正確に点検できなくなるおそれがある。
【0007】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オイル量の点検を正確に行うとともに、レベルゲージ部の剛性を向上させたことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、この発明は、オイルの膜張り用開孔の形状を工夫するとともに、レベルゲージ部をインサート材で補強したことを特徴とする。
【0009】
具体的には、この発明は、オイル中に浸漬されてオイル量を点検するレベルゲージ部と、オイル量点検時に人が把持する把持部と、一端が上記レベルゲージ部に連続するとともに他端が上記把持部に連続する可撓性棒状オイルレベルゲージ本体とを備え、少なくとも上記レベルゲージ部が樹脂材からなるオイルレベルゲージを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記レベルゲージ部の厚さ方向両側には、オイルの膜張り用開孔がレベルゲージ部の長手方向に間隔をあけて複数個形成され、上記各開孔の開孔端の開孔面積は、各開孔の奥部の開孔面積よりも大きく設定され、上記レベルゲージ部の内部には、上記オイルレベルゲージ本体の一端側が少なくとも全開孔に跨るように延設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記レベルゲージ部の開孔形成領域における少なくとも厚さ方向一側には、上記各開孔の開孔端の開孔面積がレベルゲージ部の幅方向よりも長手方向に大きく設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、上記各開孔の奥部には、上記オイルレベルゲージ本体の周面が露出していて、当該周面の露出部分により上記各開孔の底面が構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、上記オイルレベルゲージ本体の一端側全周面は、上記レベルゲージ部を構成する樹脂材によって覆われていて、上記各開孔の底面は該各開孔に対応するオイルレベルゲージ本体周面を覆う樹脂材により構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、上記オイルレベルゲージ本体は金属材からなり、レベルゲージ部への延設部分は平坦面を有する平板部に形成されているとともに、他の部分は断面略円形に形成され、上記平坦面は上記各開孔の開口方向と略直交するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、上記平板部には、長孔が全開孔を囲むように板厚方向に貫通して形成され、上記レベルゲージ部の厚さ方向両側で対向する開孔は、互いに連通していることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、上記レベルゲージ部には、両面に平坦な板面を有する測定部が形成され、該測定部に上記各開孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、レベルゲージ部の厚さ方向両側における各開孔の開孔端の開孔面積が各開孔の奥部の開孔面積よりも大きくて、各開孔がレベルゲージ部の厚さ方向両側で大きく開口しているため、オイルレベルの測定に先駆けてオイルレベルゲージをオイル中から引き上げてレベルゲージ部の付着オイルを布等で拭き取る際、各開孔に張っているオイル膜と布等との接触面(オイル吸収量)が多くなって、数回の拭取り作業を行うことなく効率良くオイル膜を各開孔から完全に拭き取ることができる。したがって、拭取り作業が面倒でないのみならず、オイル量点検を正確に行うことができる。また、開孔が形成されているレベルゲージ部がその内部に延設されたオイルレベルゲージ本体により補強され、レベルゲージ部の剛性が高まって折れ難くなる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、各開孔がレベルゲージ部の開孔形成領域における少なくとも厚さ方向一側に、レベルゲージ部の幅方向よりも長手方向に大きく開口しているため、つまり、オイルレベルの測定に先駆けてレベルゲージ部の付着オイルを拭き取る際の布等の摺接方向に大きく開孔しているため、布等をレベルゲージ部の長手方向に摺接させることで各開孔に張っているオイル膜を布等に確実に吸収させ、拭取り作業をさらに効率良く行うことができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、開孔の底面がオイルレベルゲージ本体の周面を覆う樹脂材で構成されている場合よりも開孔の深さが樹脂材の厚み分だけ深くなるため、オイル膜を容易に確認することができる。また、オイルレベルゲージ本体が金属材からなる場合、該オイルレベルゲージ本体の周面が各開孔の奥部に露出することで、樹脂製のレベルゲージ部との材質の違いによりオイル膜を容易に確認することができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、オイルレベルゲージ本体がレベルゲージ部を構成する樹脂材によって覆われて各開孔内に露出しないため、レベルゲージ部の剛性が高くなり、その品質を保証することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、金属材からなるオイルレベルゲージ本体によりレベルゲージ部の剛性がさらに高まる。また、オイルレベルゲージ本体のレベルゲージ部への延設部分が平坦面を有する平板部に形成されているため、レベルゲージ部に対して回り止め機能が発揮されるとともに、開孔の深さが深くなってオイル膜を容易に確認することができる。さらに、上記延設部分を除く他の部分は断面略円形に形成されているため、オイルパンのガイドパイプに対する挿脱時にガイドパイプの湾曲形状に倣ってスムーズに追従し、挿脱作業が容易である。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、請求項5に記載した作用効果に加え、以下の作用効果を有する。つまり、オイルレベルの測定時にオイル膜が張っている開孔を確認しようとしてオイルレベルゲージを動かすと、オイル膜がオイルの重量によりレベルゲージ部の厚さ方向一側から落下しようとするが、該一側の各開孔は他側の各開孔と連通し、レベルゲージ部の厚さ方向他側では各開孔の開孔端の開孔面積が各開孔の奥部の開孔面積より大きく設定されているため、開孔奥部からレベルゲージ部の厚さ方向他側の開孔端までのオイル膜によって落下防止効果、すなわちアンカー効果が得られ、開孔に張ったオイル(オイル膜)の落下を防止することができる。そして、開孔を明るい方に向けて透かして見ることで成膜位置を確認することができ、オイルレベルを正確に測定してオイル量を正確に点検することができる。また、成形型の開孔成形用突起をオイルレベルゲージ本体の延設部分である平板部の長孔に配置するだけでよいため、オイルレベルゲージ本体の成形型へのセットが容易でオイルレベルゲージを簡単に製造することができる。換言すれば、平板部の長孔が全開孔を包むように形成されているため、成形型を高精度に製作することなく、成形型の開孔成形用突起が上記長孔に容易に挿入でき、これにより成形型の型製作費用を安価にすることができ、ひいてはオイルレベルゲージの製作費を低減できる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、各開孔がレベルゲージ部の平坦な板面を有する測定部に形成されているため、ガイドパイプからオイルレベルゲージを引き抜く際に、測定部の板面はガイドパイプ内周面に接触し難く、各開孔に張っているオイル膜が除去されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0025】
(実施形態1)
図1は、例えば自動車のエンジンにおけるオイルパン内のオイル等のオイルレベルを測定してオイル量を点検する実施形態1に係るオイルレベルゲージ1を示す。該オイルレベルゲージ1は、先端側のレベルゲージ部3と、基端側の把持部5と、一端が上記レベルゲージ部3に連続するとともに他端が上記把持部5に連続する断面略円形の可撓性棒状オイルレベルゲージ本体7とを備えている。上記レベルゲージ部3は、オイル中に浸漬されてオイル量を点検するための部位であって樹脂材からなる。上記把持部5は、オイル量点検時に人が把持する部位であって上記レベルゲージ部3と同様に樹脂材からなる。上記オイルレベルゲージ本体7は、オイルパン(図示せず)内に連通するように設けられたガイドパイプ(図示せず)に対する挿脱時に、ガイドパイプの湾曲形状に倣ってスムーズに湾曲して追従する部位であって断面略円形の金属材からなる。
【0026】
上記把持部5は、円形の把持環部9と、該把持環部9に一体に突設された装着軸部11とからなり、上記装着軸部11の先端は上記オイルレベルゲージ本体7の基端に連結されている。上記装着軸部11にはOリング13が嵌着され、オイルパンにオイルレベルゲージ1を挿入した際に、上記オイルパンのガイドパイプに上記装着軸部11が装着され、この状態で上記Oリング13で装着軸部11とガイドパイプとの間をシールしてオイルが外部に漏れないようにしている。
【0027】
上記レベルゲージ部3は、基端側に断面円形の棒状部15が形成されているとともに、先端に球状部17が形成され、上記棒状部15と球状部17との間におけるレベルゲージ部3の厚さ方向両側には、両面に平坦な板面19aを有する測定部19が形成されている。上記球状部17は、オイルレベルゲージ1をオイルパンのガイドパイプに挿入し易くするためのガイドの役割をなすためのものである。上記測定部19の先端側には、オイルの下限位置が符号「L」で示されており、基端側には、オイルの上限位置が符号「H」で示されている。
【0028】
上記測定部19の板面19aにおける「L」と「H」との間には、図2にも拡大して示すように、オイルの膜張り用開孔21がレベルゲージ部3の長手方向に間隔をあけて複数個形成され、これら開孔21は、上記レベルゲージ部3の厚さ方向両側で対向している。
【0029】
上記各開孔21は、図3に拡大して示すように、外広がりの開孔周面21aを有する真円形孔に形成され、上記各開孔21の開孔端の開孔面積は、各開孔21の奥部の開孔面積よりも大きく設定されている。つまり、板面19a両側の開孔端は大径D1に、各開孔23の奥部は小径D2にそれぞれ設定されている。
【0030】
上記レベルゲージ部3の内部には、上記オイルレベルゲージ本体7の一端側(先端側)が少なくとも全開孔21に跨るように延設されている。具体的には、オイルレベルゲージ本体7の一端側は、レベルゲージ部3の棒状部15基端から球状部17にかけて延設され、上記各開孔21の奥部には、上記オイルレベルゲージ本体7の周面7aが露出していて、当該周面7aの露出部分により上記各開孔21の底面21bが構成されている。以下、オイルレベルゲージ本体7の延設部分(埋設部分)に符号7bを、他の部分(露出部分)に符号7cを付す。
【0031】
上記オイルレベルゲージ1を製造するには、金属材からなるオイルレベルゲージ本体7の一端側を成形型のキャビティ内に配置して、成形型を閉じてその開孔成形用突起で上記オイルレベルゲージ本体7の一端側を径方向両側から挟持して位置決めし、溶融樹脂を上記キャビティ内に射出することでレベルゲージ部3を成形する。上記開孔成形用突起は、開孔21形状に対応した略円錐台形状である。この際、把持部5を同時に成形してもよく、別途に成形してオイルレベルゲージ本体7の他端に連結してもよく、あるいはレベルゲージ部3を成形した後、オイルレベルゲージ本体7の他端に把持部5を成形してもよい。
【0032】
このように構成された実施形態1に係るオイルレベルゲージ1では、以下の6項目に挙げる効果を奏することができる。
【0033】
(1) オイルの膜張り用の各開孔21の両板面19aにおける開孔端の開孔面積を各開孔21の奥部の開孔面積よりも大きくして(D1>D2)、各開孔21を両板面19aに開口させているので、オイルレベルの測定に先駆けてオイルレベルゲージ1をオイルタンクのオイル中から引き上げてレベルゲージ部3に付着しているオイルを布等で拭き取る際、各開孔21に張っているオイル(オイル膜)と布等との接触面(オイル吸収量)が多くなって、数回の拭取り作業を行うことなく効率良くオイル膜を各開孔21から完全に拭き取ることができる。したがって、拭取り作業が面倒でないのみならず、オイル量点検を正確に行うことができる。
【0034】
(2) 開孔21が形成されているレベルゲージ部3をその内部に延設されたオイルレベルゲージ本体7により補強し、レベルゲージ部3の剛性を高めて折れ難くすることができる。
【0035】
(3) オイルレベルゲージ本体7が金属材からなり、かつ該オイルレベルゲージ本体7の周面を各開孔21の奥部に露出させているので、樹脂製のレベルゲージ部3との材質の違いによりオイル膜を容易に確認することができるとともに、金属材からなるオイルレベルゲージ本体7によりレベルゲージ部3の剛性をさらに高めることができる。さらに、開孔21の底面21bがオイルレベルゲージ本体3の周面7aを覆う樹脂材で構成されている場合よりも開孔21の深さが樹脂材の厚み分だけ深くなるため、オイル膜を容易に確認することができる。
【0036】
(4) 各開孔21をレベルゲージ部3の平坦な板面19aを有する測定部19に形成しているので、ガイドパイプからオイルレベルゲージ1を引き抜く際に、測定部19の板面19aがガイドパイプ内周面に接触し難くなり、各開孔21に張っているオイル膜が除去されるのを防止することができる。
【0037】
(5) オイルレベルゲージ1成形時に、成形型の突起でオイルレベルゲージ本体7の先端側を径方向の両側から保持してレベルゲージ部3の中心に位置決めすることができる。
【0038】
(6) オイルレベルゲージ本体7は全体が断面略円形に形成されているので、オイルパンのガイドパイプに対する挿脱時にガイドパイプの形状に倣ってスムーズに湾曲して追従し、容易に取り扱うことができる。
【0039】
−変形例1−
図4(a)は各開孔21の形状が異なる変形例1を示す。この変形例1では、開孔21の開孔周面21aをテーパ面23aと偏平な底面23bとを有する断面が逆台形状の小径孔部23と、その外側の断面が板状の大径孔部25とで、各開孔21を段差状の真円孔に形成したものである。また、レベルゲージ部3内のオイルレベルゲージ本体7は、上記小径孔部23の底面23bに線接触状態となっている。
【0040】
そのほかは実施形態1と同様に構成されているので、実施形態1と同様に上記の(1)、(2)、(4)〜(6)の効果を奏することができる。特に、各開孔21が段差状であるため、大径孔部25を大径にすることで、オイル(オイル膜)と布等との接触面(オイル吸収量)が実施形態1に比べて多くなり、拭き取り効果が優れている。
【0041】
−変形例2−
図4(b)も各開孔21の形状が異なる変形例2を示す。この変形例2では、各開孔21が外広がりの開孔周面21aを有する真円形孔に形成されている点は、実施形態1と同様である。また、各開孔21の底面21bが偏平でオイルレベルゲージ本体7の周面7aと線接触状態である点も、変形例1と同様である。さらに、実施形態1及び変形例1とは異なり、突条のリブ27を測定部19における両板面19aの幅方向両端に測定部19の長手方向に沿うように1条ずつ形成している。
【0042】
そのほかは実施形態1と同様に構成されているので、実施形態1と同様に上記の(1)、(2)、(4)〜(6)の効果を奏することができる。特に、この変形例2では、上記突条のリブ27を形成したため、ガイドパイプからオイルレベルゲージ1を引き抜く際に、測定部19の幅方向両端のリブ27はガイドパイプ内周面に接触するが、測定部19の板面19aはガイドパイプ内周面に接触せず、各開孔21に張っているオイル膜が除去されるのを確実に防止することができる。
【0043】
−変形例3−
図4(c)も各開孔21の形状が異なる変形例3を示す。この変形例3では、オイルレベルゲージ本体7の延設部分7b全周面は、レベルゲージ部3を構成する樹脂材によって覆われていて、上記各開孔21の底面21bは該各開孔21に対応するオイルレベルゲージ本体7の周面7aを覆う樹脂材により湾曲状に構成されているほかは、実施形態1と同様である。
【0044】
したがって、上記の(1)、(2)、(4)〜(6)の効果を奏することができる。特に、オイルレベルゲージ本体7がレベルゲージ部3を構成する樹脂材によって覆われて各開孔21内に露出しないので、レベルゲージ部3の剛性が高くなり、その品質を保証することができる。
【0045】
なお、開孔21の底面21bは、オイルレベルゲージ本体7の周面7aに沿うように湾曲状に形成することなく、上記周面7aを覆う樹脂材を偏平な形状にしてもよい。
【0046】
−変形例4−
図4(d)も各開孔21の形状が異なる変形例4を示す。この変形例4では、レベルゲージ部3は板面19aが形成されていなく真円形状をしているほかは実施形態1と同様であり、実施形態1と同様に上記の(1)〜(6)の効果を奏することができる。この場合、レベルゲージ部3の厚さ方向とは、オイルレベルゲージ本体7の延設部分7bの中心を通るレベルゲージ部3の直径方向をいう。
【0047】
(実施形態2)
図5は実施形態2に係るオイルレベルゲージ1を示す。この実施形態2では、オイルレベルゲージ本体7のレベルゲージ部3への延設部分7bは平坦面29を有する平板部(以下、延設部分と同じ符号7bを付す)に形成されているとともに、他の部分7cは断面略円形に形成され、上記平坦面29は上記各開孔21の開口方向と略直交するように形成されている。また、変形例3と同様に、オイルレベルゲージ本体7の延設部分(平板部)7b全周面は、レベルゲージ部3を構成する樹脂材によって覆われていて、上記各開孔21の底面21bは該各開孔21に対応するオイルレベルゲージ本体7の周面7aを覆う樹脂材により偏平状に構成されている。そのほかは、実施形態1と同様である。
【0048】
したがって、上記の(1)、(2)、(4)〜(6)の効果を奏することができる。特に、オイルレベルゲージ本体7のレベルゲージ部3への延設部分7bが平坦面29を有する平板部7bに形成されているので、レベルゲージ部3に対して回り止め機能が発揮されるとともに、開孔21の深さが深くなってオイル膜を容易に確認することができる。
【0049】
(実施形態3)
図6は実施形態3に係るオイルレベルゲージ1を示す。この実施形態3では、実施形態2と同様に、オイルレベルゲージ本体7のレベルゲージ部3への延設部分7bは平坦面29を有する平板部7bに形成されているとともに、他の部分7cは断面略円形に形成され、上記平坦面29は上記各開孔21の開口方向と略直交するように形成されている。さらに、この実施形態3では、上記平板部7bには、長孔29aが全開孔21を囲むように板厚方向に貫通して形成され、上記レベルゲージ部3の厚さ方向両側で対向する開孔21が連通孔31により互いに連通している。そのほかは実施形態1と同様にである。
【0050】
したがって、上記の(1)、(2)、(4)〜(6)の効果を奏することができる。また、オイルレベルゲージ本体7のレベルゲージ部3への延設部分7bが平坦面29を有する平板部7bに形成されているので、レベルゲージ部3に対して回り止め機能が発揮される点は実施形態2と同様である。
【0051】
加えて、オイルレベルの測定時にオイル膜が張っている開孔21を確認しようとしてオイルレベルゲージ1を動かすと、オイル膜がオイルの重量によりレベルゲージ部3の厚さ方向一側から落下しようとするが、該一側の各開孔21は他側の各開孔21と連通し、レベルゲージ部3の厚さ方向他側では各開孔21の開孔端の開孔面積が各開孔21の奥部の開孔面積より大きく設定されているため、開孔奥部からレベルゲージ部3の厚さ方向他側の開孔端までのオイル膜によって落下防止効果、すなわちアンカー効果が得られ、開孔21に張ったオイル(オイル膜)の落下を防止することができる。そして、開孔21を明るい方に向けて透かして見ることで成膜位置を確認することができ、オイルレベルを正確に測定してオイル量を正確に点検することができる。
【0052】
また、成形型の開孔成形用突起をオイルレベルゲージ本体7の延設部分(平板部)7bの長孔29bに配置するだけでよいので、オイルレベルゲージ本体7の成形型へのセットが容易でオイルレベルゲージ1を簡単に製造することができる。換言すれば、平板部7bの長孔29bが全開孔21を包むように形成されているので、成形型を高精度に製作することなく、成形型の開孔成形用突起を上記長孔29bに容易に挿入できて成形型を安価に製作することができ、ひいてはオイルレベルゲージ1を安価に製作することができる。
【0053】
(実施形態4)
図7及び図8は各開孔21の形状が異なる実施形態4を示す。この実施形態4では、レベルゲージ部3の開孔21形成領域において厚さ方向両側に、開孔21の開孔周面21aの傾斜をレベルゲージ部3の長手方向がその幅方向よりも緩やかになるように形成され、上記各開孔21の開孔端の開孔面積がレベルゲージ部3の幅方向よりも長手方向に大きく設定されている。そのほかは実施形態1と同様である。なお、幅方向両側では、開孔21の開孔周面21aを傾斜させることなく板面19aに対して直交するように形成してもよい。
【0054】
したがって、上記の(1)〜(6)の効果を奏することができる。特に、各開孔21がレベルゲージ部3の開孔21形成領域において厚さ方向両側にレベルゲージ部3の幅方向よりも長手方向に大きく開口しているため、つまり、オイルレベルの測定に先駆けてレベルゲージ部3の付着オイルを拭き取る際の布等の摺接方向に大きく開孔しているため、布等をレベルゲージ部3の長手方向に摺接させることで各開孔21に張っているオイル膜を布等に確実に吸収させ、拭取り作業をさらに効率良く行うことができる。
【0055】
なお、上記の各実施形態及び各変形例では、各開孔21を円形としているが、楕円形、三角形、四角形等その形状は問わない。また、各開孔21の奥部の開孔面積が、レベルゲージ部3の厚さ方向両側の各開孔21の開孔端の開孔面積よりも小さく設定されていれば、各開孔21の断面形状、すなわち開孔21の開孔周面21aの形状も上記の各実施形態及び各変形例に限らない。また、各開孔21の開孔端の開孔面積が測定部19の幅方向よりも長手方向に大きく設定されていれば、各開孔21の断面形状も上記の実施形態4に限らない。
【0056】
また、上記の実施形態4では、測定部19の両板面19aにおいて、各開孔21の開孔端の開孔面積が測定部19の幅方向よりも長手方向に大きく設定したが、一方の板面19a側では、各開孔21の開孔端の開孔面積が測定部19の幅方向よりも長手方向に大きく設定する一方、他方の板面19a側では、各開孔21の奥部と開口端との開口を同心円状に形成してもよい。
【0057】
さらに、上記の各実施形態及び各変形例では、オイルレベルゲージ本体7が金属材で、レベルゲージ部3が樹脂材である場合を示したが、オイルレベルゲージ本体7を強化繊維入り樹脂材で構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
この発明は、例えば自動車のエンジンオイル等のオイルレベルを測定してオイル量を点検するオイルレベルゲージについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は実施形態1に係るオイルレベルゲージの平面図である。
【図2】図2は図1のA部拡大図である。
【図3】図3は図2のIII −III 線における断面図である。
【図4】図4(a)は実施形態1における変形例1の図3相当図、図4(b)は実施形態1における変形例2の図3相当図、図4(c)は実施形態1における変形例3の図3相当図、図4(d)は実施形態1における変形例4の図3相当図である。
【図5】図5(a)は実施形態2の図3相当図、図5(b)は実施形態2におけるオイルレベルゲージ本体の先端側部分の平面図である。
【図6】図6(a)は実施形態3の図3相当図、図6(b)は実施形態3におけるオイルレベルゲージ本体の先端側部分の平面図である。
【図7】図7(a)は実施形態4における開孔の拡大斜視図、図7(b)は実施形態4における開孔の拡大平面図である。
【図8】図8(a)は図7(b)のVIII-a−VIII-a線における断面図、図8(b)は図7(b)のVIII-b−VIII-b線における断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 オイルレベルゲージ
3 レベルゲージ部
5 把持部
7 オイルレベルゲージ本体
7a オイルレベルゲージ本体の周面
7b オイルレベルゲージ本体の延設部分(埋設部分、平板部)
7c オイルレベルゲージ本体の他の部分(露出部分)
19 測定部
19a 板面
21 開孔
21b 開孔の底面
29 平坦面
29a 長孔
D1 大径
D2 小径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイル中に浸漬されてオイル量を点検するレベルゲージ部と、オイル量点検時に人が把持する把持部と、一端が上記レベルゲージ部に連続するとともに他端が上記把持部に連続する可撓性棒状オイルレベルゲージ本体とを備え、少なくとも上記レベルゲージ部が樹脂材からなるオイルレベルゲージであって、
上記レベルゲージ部の厚さ方向両側には、オイルの膜張り用開孔がレベルゲージ部の長手方向に間隔をあけて複数個形成され、
上記各開孔の開孔端の開孔面積は、各開孔の奥部の開孔面積よりも大きく設定され、
上記レベルゲージ部の内部には、上記オイルレベルゲージ本体の一端側が少なくとも全開孔に跨るように延設されていることを特徴とするオイルレベルゲージ。
【請求項2】
請求項1に記載のオイルレベルゲージにおいて、
上記レベルゲージ部の開孔形成領域における少なくとも厚さ方向一側には、上記各開孔の開孔端の開孔面積がレベルゲージ部の幅方向よりも長手方向に大きく設定されていることを特徴とするオイルレベルゲージ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のオイルレベルゲージにおいて、
上記各開孔の奥部には、上記オイルレベルゲージ本体の周面が露出していて、当該周面の露出部分により上記各開孔の底面が構成されていることを特徴とするオイルレベルゲージ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のオイルレベルゲージにおいて、
上記オイルレベルゲージ本体の一端側全周面は、上記レベルゲージ部を構成する樹脂材によって覆われていて、上記各開孔の底面は該各開孔に対応するオイルレベルゲージ本体周面を覆う樹脂材により構成されていることを特徴とするオイルレベルゲージ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のオイルレベルゲージにおいて、
上記オイルレベルゲージ本体は金属材からなり、レベルゲージ部への延設部分は平坦面を有する平板部に形成されているとともに、他の部分は断面略円形に形成され、上記平坦面は上記各開孔の開口方向と略直交するように形成されていることを特徴とするオイルレベルゲージ。
【請求項6】
請求項5に記載のオイルレベルゲージにおいて、
上記平板部には、長孔が全開孔を囲むように板厚方向に貫通して形成され、
上記レベルゲージ部の厚さ方向両側で対向する開孔は、互いに連通していることを特徴とするオイルレベルゲージ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のオイルレベルゲージにおいて、
上記レベルゲージ部には、両面に平坦な板面を有する測定部が形成され、該測定部に上記各開孔が形成されていることを特徴とするオイルレベルゲージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−133890(P2010−133890A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312065(P2008−312065)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)