説明

オイルレベルゲージ

【課題】ゲージガイド2への抜き差しの作業性を向上させたオイルレベルゲージ1を提供する。
【解決手段】管状のゲージガイド2に挿入されるゲージ本体11と、その上部に設けられてゲージガイド2の開口端部内周に密嵌されるシール部12と、このシール部12の外側の把手部13と、ゲージガイド2の開口端部に係止可能であって前記把手部13への引き抜き力により係止解除方向へ変位可能な被係止部14からなる。このため、ゲージガイド2の開口端部への被係止部14の係止状態が、把手部13への引っ張り力により解除され、ゲージガイド2からオイルレベルゲージ1を引き抜く作業を片手で容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内燃機関におけるオイルパン内のオイル量を確認するためのオイルレベルゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図5〜図7に示されるようなオイルレベルゲージ100が知られている。このオイルレベルゲージ100は、不図示の内燃機関のオイルパンに設けられた管状のゲージガイド200に挿入することによってオイルパン内のオイルを付着させて油面レベルを確認したり、オイルの汚れ具合を確認したりするための金属製のゲージ本体110と、その上端に設けられたゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)製の把手部120からなり、把手部120は、ゲージガイド200の開口端部内周に密嵌されるシール部121と、被係止段部122aを有する金属環122からなる。
【0003】
そしてこのオイルレベルゲージ100は、ゲージガイド200への挿入状態において、金属環122の被係止段部122aが、ゲージガイド200に設けられた板バネ状のクランプ201に係止されることによって抜け止めされるようになっている(例えば下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−13929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のオイルレベルゲージ100によれば、ゲージガイド200から引き抜いて油面レベルを確認したり、オイルの汚れ具合を確認したりするには、まず片方の手でクランプ201を図6の矢印Aで示す方向へ変位させることによって金属環122の被係止段部122aとの係止状態を解除してから、もう片方の手で把手部120をつまんで矢印Bで示す方向へ引き抜く。したがって、ゲージガイド200の周辺に、両手を挿入可能なスペースを確保する必要があり、しかもオイルレベルゲージ100の引き抜き作業に両手を使う必要があり、作業性が悪かった。
【0006】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、ゲージガイドへの抜き差しの作業性を向上させたオイルレベルゲージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係るオイルレベルゲージは、管状のゲージガイドに挿入されるゲージ本体と、その上部に設けられて前記ゲージガイドの開口端部内周に密嵌されるシール部と、このシール部の外側の把手部と、前記ゲージガイドの開口端部に係止可能であって前記把手部への引き抜き力により係止解除方向へ変位可能な被係止部からなることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明に係るオイルレベルゲージは、請求項1に記載された構成において、把手部が弾性変形可能な指掛けリング状であってその指掛け位置がゲージ本体の中心線からずれた位置にあり、被係止部が、引き抜き方向の荷重による前記把手部の変形に追随して係止解除方向へ変位されるものであることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明に係るオイルレベルゲージは、請求項1又は2に記載された構成において、ゲージ本体、把手部及び被係止部が、互いに連続した単一の部品をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明に係るオイルレベルゲージによれば、ゲージガイドへの挿入状態において、ゲージガイドの開口端部に対して係止されている被係止部が、把手部への引き抜き力によって係止解除方向へ変位して、係止状態が解除されるため、ゲージガイドからオイルレベルゲージを引き抜く作業を片手で容易に行うことができる。したがって、ゲージガイドの周辺に、両手を挿入可能なスペースを確保する必要もなくなるといった効果を実現することができる。
【0011】
請求項2の発明に係るオイルレベルゲージによれば、オイルレベルゲージを引き抜く際に、指掛けリング状の把手部に手指を掛けてこれを引っ張るだけで、被係止部が把手部の変形に追随変位して、ゲージガイドの開口端部との係止状態が解除されるので、請求項1による効果を確実に実現することができる。
【0012】
請求項3の発明に係るオイルレベルゲージによれば、請求項1又は2による効果に加え、安価な製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るオイルレベルゲージの好ましい実施の形態を示す、ゲージガイドへの挿入状態の要部断面図である。
【図2】本発明に係るオイルレベルゲージの好ましい実施の形態を示す、ゲージガイドからの引き抜き過程の要部断面図である。
【図3】本発明に係るオイルレベルゲージの好ましい実施の形態を示す、ゲージガイドからの引き抜き過程又はゲージガイドへの挿入過程の要部斜視図である。
【図4】本発明に係るオイルレベルゲージの好ましい実施の形態を示す、ゲージガイドへの挿入過程の要部断面図である。
【図5】従来技術に係るオイルレベルゲージの一例を示す、ゲージガイドへの挿入状態の要部斜視図である。
【図6】従来技術に係るオイルレベルゲージの一例を示す、ゲージガイドへの挿入状態の要部断面図である。
【図7】従来技術に係るオイルレベルゲージの一例を示す、ゲージガイドからの引き抜き過程又は挿入過程の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るオイルレベルゲージの好ましい実施の形態を、図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
この実施の形態によるオイルレベルゲージ1は、ゲージ本体11と、このゲージ本体11の上部に一体的に設けられたシール部12と、このシール部12の外側に設けられた把手部13と、ゲージガイド2の開口端部に形成された鍔部(以下、開口鍔部という)21に係止可能な被係止部14からなる。
【0016】
ゲージ本体11と、把手部13及び被係止部14は、互いに連続した単一の金属又は合成樹脂製の部品からなり、このうちゲージ本体11は、内燃機関のオイルパンに設けられた管状のゲージガイド2に挿入されることによってオイルパン内のオイルを付着させ、ゲージガイド2から引き抜くことによって油面レベルを確認し、あるいはオイルの汚れ具合を確認したりするものであって、細長く平たい棒状をなしている。
【0017】
シール部12は、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)からなるものであって、ゲージ本体11の上部が貫通した状態でこのゲージ本体11に一体的に加硫成形されており、ゲージガイド2の開口端部内周に密嵌可能なシール本体部12aと、下面がゲージガイド2の開口鍔部21の上面に当接可能な頭部12bを有する。
【0018】
把手部13は、シール部12を貫通してその外側へ突出したゲージ本体11の上端部11aから延在され、弾性変形可能な略半円形の指掛けリング状に形成されたものであって、その指掛け位置13aがゲージ本体11の中心軸線Lからずれた位置にある。言い換えれば把手部13は、ゲージ本体11の中心軸線Lからずれた位置を曲率中心Oとする指掛けリング状に形成されている。
【0019】
また、被係止部14は、把手部13におけるゲージ本体11と反対側の端部からゲージ本体11とほぼ平行に延在され、その下端からゲージガイド2側へ向けて斜め上方へ屈曲して係合端部14aがゲージガイド2の鍔部21の下面に弾性的に接触可能なフック状をなすものであって、前記係合端部14aから下方かつゲージガイド2の外周側へ向けて斜めに延在された傾斜部14bを有し、この傾斜部14bは、図1に示す挿入状態においてゲージガイド2の鍔部21より外径側に達するものである。
【0020】
なお、被係止部14の係合端部14aは、シール部12の頭部12bの下面より下側に位置している。これは、シール部12の頭部12bの下面はゲージガイド2の鍔部21の上面に対向するものであるのに対し、被係止部14の係合端部14aは前記鍔部21の下面に当接されるものであるからである。
【0021】
以上のように構成されたオイルレベルゲージ1は、通常、図1に示すように、管状のゲージガイド2を通じて不図示のオイルパン内にゲージ本体11が挿入されると共に、シール部12のシール本体部12aがゲージガイド2の開口端部の内周面に密接状態で嵌挿され、頭部12bがゲージガイド2の開口鍔部21の上面に当接されている。
【0022】
そしてこの状態から、オイルパン内の油面レベルを確認したり、オイルの汚れを確認したりするために、オイルレベルゲージ1をゲージガイド2から引き抜くには、略半円形の指掛けリング状に形成された把手部13の内面の指掛け位置13aに手指を掛けて、これを図2に矢印Pで示す方向、すなわちゲージ本体11と平行な方向へ引っ張れば良い。
【0023】
すなわち、把手部13の指掛け位置13aを手指によってP方向へ引っ張ると、ゲージガイド2の内面に対するシール部12のシール本体部12aの摩擦力によってゲージ本体11が引き抜き抵抗を受けるので、このゲージ本体11の中心軸線Lからずれた位置にある指掛け位置13aへのP方向の荷重によって、把手部13に変形力が作用し、図2に二点鎖線で示す状態から実線で示す形状へ弾性的に拡径変形する。すると、把手部13の拡径変形に追随して、被係止部14がゲージ本体11の上端部11aから図2における左側へ離れるように変位し、これに伴い、被係止部14の係合端部14aがゲージガイド2の鍔部21の下面から外れて、係止状態が解除される。このため、シール部12のシール本体部12aがゲージガイド2の開口端部内周から抜け出すので、図3に示すようにオイルレベルゲージ1を引き抜くことができる。
【0024】
したがって、図示の形態のオイルレベルゲージ1によれば、従来のオイルレベルゲージと異なり、引き抜き作業を片手だけで行うことができるので作業性が向上し、したがって、ゲージガイド2の周辺に、両手を挿入可能なスペースを確保する必要もなくなる。
【0025】
また、上述のようにオイルレベルゲージ1を引き抜いて油面レベルやオイルの汚れを確認した後、ゲージガイド2へ再度挿し込んでセットする場合は、ゲージ本体11をゲージガイド2へ挿入して行くと、図4に示すように、やがてシール部12のシール本体部12aがゲージガイド2の開口端部へ挿入されて行く過程で、被係止部14の傾斜部14bがゲージガイド2の開口鍔部21の外周縁と干渉する。
【0026】
このため、オイルレベルゲージ1の挿入動作に伴って、被係止部14の傾斜部14bがゲージガイド2の開口鍔部21の外周縁と摺動することにより、この被係止部14がゲージ本体11の上端部11aから図4における左側へ離れるように弾性的に変位し、さらに、被係止部14の係合端部14aがゲージガイド2の開口鍔部21を乗り越えた時点で、被係止部14及び把手部13の弾性によって被係止部14が図4における右側へ復帰動作し、前記開口鍔部21の下面と係合して図1に示す被係止状態となり、抜け止めされる。またこのとき、シール部12のシール本体部12aが、ゲージガイド2の開口端部の内周面に密嵌状態となる。
【0027】
なお、上述の形態では、図3に示すようにゲージ本体11及びこのゲージ本体11から一体に延びる把手部13、被係止部14が細長い帯状をなしているが、本発明は、丸棒状など、種々の断面形状のものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 オイルレベルゲージ
11 ゲージ本体
12 シール部
13 把手部
13a 指掛け位置
14 被係止部
14a 係合端部
14b 傾斜部
2 ゲージガイド
21 鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状のゲージガイドに挿入されるゲージ本体と、その上部に設けられて前記ゲージガイドの開口端部内周に密嵌されるシール部と、このシール部の外側の把手部と、前記ゲージガイドの開口端部に係止可能であって前記把手部への引き抜き力により係止解除方向へ変位可能な被係止部からなることを特徴とするオイルレベルゲージ。
【請求項2】
把手部が弾性変形可能な指掛けリング状であってその指掛け位置がゲージ本体の中心線からずれた位置にあり、被係止部が、引き抜き方向の荷重による前記把手部の変形に追随して係止解除方向へ変位されるものであることを特徴とする請求項1に記載のオイルレベルゲージ。
【請求項3】
ゲージ本体、把手部及び被係止部が、互いに連続した単一の部品をなすことを特徴とする請求項1又は2に記載のオイルレベルゲージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−150034(P2012−150034A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9603(P2011−9603)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)