説明

オイル抽出

【課題】含油植物からオイルを収集するための安価な溶媒と環境に優しい抽出プロセスを提供する。
【解決手段】本発明は、トリグリセリド溶液を製造する方法に特徴がある。この方法は、液体の脂肪酸アルキルエステルとトリグリセリド含有物質を接触させ、トリグリセリドを脂肪酸アルキルエステルに溶解させ、トリグリセリド溶液を形成することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルの抽出方法、より詳しくは、植物からトリグリセリドを抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルは、数千年来、含油植物から日常的に収集されてきた。様々な植物が、食用又は工業用製品に加工され得る十分な量のオイルを生成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
含油植物からのオイルは、典型的に、溶媒によって抽出される。溶媒抽出は、物質移動プロセスであり、1つ以上の物質が、混合物から溶媒相に輸送され、混合物からの分離をもたらす。工業的抽出のために種々の有機溶媒が使用されている。しかしながら、含油植物からオイルを収集するための安価な溶媒と環境に優しい抽出プロセスの開発に対するニーズが依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、脂肪酸アルキルエステルを溶媒として用いることにより、オイルを含有する種子からトリグリセリドを容易に抽出することができるといった発見に基づく。
【0005】
1つの局面において、本発明は、トリグリセリド溶液を製造する方法を特徴とする。この方法は、液体の脂肪酸アルキルエステルと、トリグリセリド含有物質を接触させ(例えば、15〜180℃又は25〜150℃において)、トリグリセリドを脂肪酸アルキルエステルに溶解させ、トリグリセリド溶液を形成することを含む。好ましくは、その脂肪酸アルキルエステルは、アルコールと(例えば、C1〜C8の第1級又は第2級アルコール)、その同じトリグリセリド含有物質から抽出したトリグリセリドとを反応させることにより、その接触工程の前に得られる。例示のアルコールには、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、ネオペンタノール、及びn−ヘキサノールが挙げられる。脂肪酸アルキルエステルとトリグリセルド含有物質は、1:2〜10:1(例えば、1:1〜6:1)の範囲の重量比で混合させることができる。
【0006】
トリセリド含有物質は、含油種子であることができる。用語「含油種子」は、オイル抽出に適する任意の植物種子を指称する。含油種子の例には、限定されるものではないが、大豆、ピーナッツ、ヒマワリ種子、菜種、コーン(例えば、コーンジャーム、ジスチラースドライドコーングレイン)、ジャトロファ種子、カランジャ種子、ニーム種子、モーラ種子、トウゴマ、ゴム種子、綿実、パーム核、オリーブ、アーモンドカーネル、ババス実、ベン実、カルドン実、カメリナ種子、リンシード、へーゼルナッツカーネル、麻種、カラシナ種子(例えば、エチオピアマスタード種子、インドマスタード種子)、ホホバ種子、ホピーシード、ベニバナ種子、ゴマ種子、小麦粒、サラノキ種子、ハマナ種子、クフェア種子、ナホル種子、及びタバコ種子が挙げられる。あるいは、トリグリセリド含有物質は、特定の含油植物の種子以外の部分から得ることもできる。用語「含油植物」は、任意の部分(例えば、種子又は果実)にオイルを含み、オイル抽出に適する任意の植物を指称する。上記に掲げたもの以外の例には、限定されるものではないが、米ぬか、シュロ(例えば、パーム果実のパルプ)、イエローウッド、及び藻が挙げられる。
【0007】
上記の脂肪酸アルキルエステルは、C1〜C8の第1級もしくは第2級アルコキシ部分構造又はC6〜C24の脂肪酸部分構造を含むことができる。用語「アルコキシ」は、−OCH又は−OCH=Cのような酸素基を含む線状もしくは分枝の飽和もしくは不飽和の非芳香族炭化水素の部分構造を指称する。本願における用語「脂肪酸」は、線状もしくは分枝の飽和もしくは不飽和の一塩基性有機酸を指称する。例示としての脂肪酸には、限定されるものではないが、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノリン酸、シス−11−エイコセン酸、及びエルカ酸が挙げられる。例示としての脂肪酸アルキルエステルには、限定されるものではないが、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸n−プロピルエステル、脂肪酸イソプロピルエステル、脂肪酸n−ブチルエステル、脂肪酸イソブチルエステル、脂肪酸n−ペンチルエステル、脂肪酸イソペンチルエステル、脂肪酸ネオペンチルエステル、及び脂肪酸n−ヘキシルエステルが挙げられる。典型的に、脂肪酸アルキルエステルは、150〜500℃の沸点を有することができる。
【0008】
本発明の1つ以上の実施態様の詳細を以下の説明において述べる。本発明のその他の特徴、目的、及び長所は、以下の説明と特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、脂肪酸アルキルエステルを溶媒として特定の温度で用い(例えば、15〜180℃)、含油植物からトリグリセリドを抽出し、抽出溶液を得ることに関する。含油植物が高いオイル含有率を有する場合、その植物は、場合により圧縮又は圧搾し、抽出前にオイルの一部を除くことができる。所望により、含油植物は、抽出を容易にするために粉砕することもできる。
【0010】
抽出プロセスは、当該分野でよく知られた方法によって行うことができる。例として、粉砕された含油植物と脂肪酸アルキルエステルを、所定の時間にわたって連続撹拌槽のリアクター内で混合することによって行うことができる。もう1つの例として、粉砕された含油植物と脂肪酸アルキルエステルを、混合せずに、栓流リアクター又は固定床リアクター内で、向流、並流、又は双方の流れの組み合わせによって合一させることにより連続的に行うことができる。この抽出プロセスは、バッチ法又はフロー法によって行うことができる。典型的に、フロー法は、妥当な製造コストの維持に役立つように使用可能である。
【0011】
抽出は、いろいろな温度で行うことができる。一般に、より高温での抽出は(例えば、35℃を上回る)、より多くのオイルを回収する。しかしながら、高温での抽出は、より多くの不純物(例えば、リンや水分)もまた生じることがある。抽出プロセスに用いられる溶媒と含油植物の重量比は、例えば、含油植物の種類や含油植物中のオイル含有率などの種々の因子によって決まる。例えば、植物中のオイルの一部が除去された圧縮済の含油植物を抽出するために、低い重量比を用いることができる。典型的に、重量比は1:2〜10:1の範囲である。その他の抽出条件(例えば、抽出時間)は、実験的に定めることができる。
【0012】
抽出プロセスに使用される脂肪酸アルキルエステルは、公知の方法によって製造することができる。例えば、ある脂肪酸アルキルエステルは、アルコール(例えば、エタノール)と脂肪酸(例えば、ステアリン酸)とのエステル化反応によって製造することができる。別な例として、ある脂肪酸アルキルエステルは、米国特許出願第10/945339号に記載のエステル交換反応のような、アルコールとトリグリセリドとのエステル交換反応によって製造することができる。好ましくは、脂肪酸アルキルエステルは、C1〜C4アルコールから製造される。このような脂肪酸アルキルエステルを用いた抽出は、一般に、不純物(例えば、リンや水分)の少ないトリグリセリド溶液を生成する。脂肪酸アルキルエステルを製造するために使用されるトリグリセリドは、抽出されるべき植物と異なる植物から得ることができる。好ましくは、トリグリセリドは、抽出されるべき植物と同じ植物から得られる。その場合、その植物から抽出されるトリグリセリドは、抽出溶媒(即ち、脂肪酸アルキルエステル)を製造するために使用されるトリグリセリドと同じである。結果として、抽出されたトリグリセリドが、その後にエステル交換反応によって脂肪酸アルキルエステルを製造するために使用された場合、抽出溶液の中の脂肪酸アルキルエステルは、その反応の溶媒として使用可能であり、このため、抽出されたトリグリセリドから分離する必要がない。
【0013】
抽出プロセスの後、脂肪酸アルキルエステルは、場合により、抽出溶液から部分的に又は完全に除去することによって、抽出されたトリグリセリドから分離することができる。この除去工程は、真空カラム、短経路真空蒸留ユニット、又は当該分野で公知の任意のその他の適切な装置を用い、蒸留によって行うことができる。抽出溶液から脂肪酸アルキルエステルを部分的又は完全に除去するか、又は全く除去しないかは、脂肪酸アルキルエステルと抽出されたトリグリセリドとの比、抽出されたトリグリセリドの最終用途などの、種々の因子によって決まる。
【0014】
抽出されたトリグリセリドは、食品業や製薬業において使用されるためにさらに加工することができる。また、脂肪酸アルキルエステル又は脂肪アルコールを製造するための原料として使用されることもできる。脂肪酸アルキルエステルは、ディーゼル燃料、潤滑油、又は化学中間体として有用である。脂肪アルコールは、洗剤工業における界面活性剤として有用である。
【0015】
下記の具体的な例は、単なる説明のためと解釈すべきであり、如何なる仕方においても本願のそれ以外の開示事項を限定するものではない。当業者であれば、さらに労することなく、本願の記載に基づいて、本発明を最大限利用できるものと考えられる。本願で引用した特許などの刊行物は、全体的に参照として本願に取り入れられる。
【実施例】
【0016】
<実施例1>
先ず、大豆を挽いて粉末にし、40メッシュ(約425〜520μm)のサイズを有するフィルタを通して篩いにかけた。さやむき粉末と同様な40メッシュ未満の平均粒子サイズを有する大豆粉末を収集し、オイル抽出に使用した。
【0017】
上記の得られた大豆粉末を、6重量%未満の水含有率を有するまで乾燥した。次いで、ビーカー内で撹拌しながら、溶媒として大豆に由来する脂肪酸メチルエステル(FAMEs)を用いてその粉末を抽出した。その大豆に由来する脂肪酸メチルエステルは、メタノールと大豆から得られたトリグリセリドとのエステル交換反応によって先に製造しておいた。
【0018】
抽出プロセスは、溶媒として脂肪酸メチルエステルを用い、溶媒:粉末の重量比を6:1として、35℃において行った。ビーカーを1分間あたり300回転(rpm)で撹拌した。30分間の抽出の後、混合相(即ち、抽出されたオイルを含む溶液)の内容物を測定した。混合相(miscella)の中のオイル分は、HPLCによって測定した(JASCO1580型、カラムはLuna Su C18(2μm、250×4.6mm、Phenomenex、Torrance、CA)を使用。移動相はメタノールとヘキサン/イソプロピルアルコール(4:5)を使用。UV検出器はUV−2075(JASCO社、東京、日本)を使用。)。混合相中の水含有率は、カールフィシャー法により、MKC−500KF水分滴定装置(京都電子工業、Ver.04,#595−0006)を用いて操作マニュアルにしたがって測定した。混合相中のリン含有率は、アメリカ油化学会の公認方法Ca12−55にしたがって測定した。結果は、混合相が、818ppmの水分有率、14.4ppmのリン含有率、及び3.60重量%のオイル含有率を有することを示した。抽出されたオイルの重量は、大豆粉末の重量の20%であった。
【0019】
また、その大豆粉末を引き続いて、ビーカー中で脂肪酸メチルエステルを用い、溶媒:粉末の比を低下させて抽出した。具体的には、1:1の溶媒:粉末の比として、15分間にわたり1000rpmでビーカーを撹拌することによって、粉末を2回にわたって抽出した。第1回目の抽出の後、混合相は、989ppmの水含有率、23.4ppmのリン含有率、及び14.08重量%のオイル含有率を有した。第2回目の抽出の後、混合相は、1428.3ppmの水含有率、14.23ppmのリン含有率、及び6.13重量%のオイル含有率を有した。2回の抽出の後、抽出されたオイルの全重量は、大豆粉末の重量の21.59%であった。
【0020】
最後に、上記の得られた大豆粉末を、通常の方法によっても抽出した。具体的には、溶媒としてヘキサンを用い、65℃で8:1の溶媒:粉末の比として、ゲルハルトSoxtherm自動化ソックスレー装置により粉末を抽出した。この方法は「Official and Tentative Methods,the American Oil Chemist Society,Vol.1,AOCS Champaign II(1980) Method Am 2−93」に記載されている。この結果は、オイルが265ppmのリン含有率を有することを示した。抽出されたオイルの重量は、大豆粉末の重量の18.8%であった。
【0021】
<実施例2>
対応するオイル源から得られたトリグリセリドから調製した脂肪酸メチルエステルにより、2種類の含油種子を抽出した。具体的には、ヒマワリ種子に由来する脂肪酸メチルエステルによってヒマワリ種子を抽出し、ピーナッツに由来する脂肪酸メチルエステルによってピーナッツ(挽いたナッツ)を抽出した。
【0022】
ヒマワリ種子のさやをむいて挽き、40メッシュ未満の平均粒子サイズを有する粉末にした。この粉末を6重量%未満の水含有率を有するまで乾かした。次いで、これを、1:1の溶媒:粉末の比にして、ヒマワリ種子に由来する脂肪酸メチルエステルを用い、ビーカー中で2回にわたって抽出した。各々の抽出は、35℃で15分間にわたりビーカーを1000rpmで撹拌することによって行った。第1回目と第2回目の抽出の後、混合相は、それぞれ794ppmと831ppmの水含有率、それぞれ49.6ppmと47.8ppmのリン含有率、及びそれぞれ35.65重量%と12.30重量%のオイル含有率を有した。2回の抽出の後、抽出したオイルの全重量は、ヒマワリ種子の重量の54.83%であった。
【0023】
ピーナッツを挽いて、25メッシュ(即ち、約425〜710μm)未満の平均粒子サイズを有する粉末にした後、6重量%未満の水分を含むまで乾燥させた。次いで、1:1の溶媒:粉末の比にして、ピーナッツに由来する脂肪酸メチルエステルを用い、この粉末をビーカー中で4回にわたって抽出した。各々の抽出は、35℃で15分間にわたりビーカーを1000rpmで撹拌することによって行った。第1回目、第2回目、第3回目、及び第4回目の抽出の後、混合相は、それぞれ701、690、661、及び661ppmの水含有率、それぞれ23.5、16.4、0、及び0ppmのリン含有率、及びそれぞれ31.4、10.9、2.63、及び0.78重量%のオイル含有率を有した。3回の抽出の後、抽出したオイルの全重量は、ピーナッツの重量の45.83%であった。4回の抽出の後、抽出したオイルの全重量は、ピーナッツの重量の47.48%であった。
【0024】
<実施例3>
大豆に由来する脂肪酸エチルエステル(FAEEs)によって大豆を抽出した。大豆に由来する脂肪酸エチルエステルは、エタノールと大豆から得られたトリグリセリドとのエステル交換反応によって製造した。
【0025】
大豆を、先ず、40メッシュ未満の平均粒子サイズを有する粉末に挽いた後、6重量%未満の水含有率を有するまで乾燥させた。次いで、1:1の溶媒:粉末の比にして、大豆に由来する脂肪酸エチルエステルを用い、ビーカー中で3回にわたってこの粉末を抽出した。各々の抽出は、35℃で15分間にわたりビーカーを1000rpmで撹拌することによって行った。第1回目、第2回目、及び第3回目の抽出の後、混合相は、それぞれ650、652、及び694ppmの水含有率、それぞれ39.4、23.3、及び16.0ppmのリン含有率、及びそれぞれ14.09、5.93、及び1.05重量%のオイル含有率を有した。3回の抽出の後、抽出したオイルの全重量は、大豆粉末の重量の20.1%であった。
【0026】
<実施例4>
実施例3に記載したのと同様な方法によって大豆を抽出し、但し、大豆に由来する脂肪酸ブチルエステル(FABEs)を溶媒として使用した。大豆に由来する脂肪酸ブチルエステルは、n−ブタノールと大豆から得られたトリグリセリドとのエステル交換反応によって調製した。
【0027】
第1回目、第2回目、及び第3回目の抽出の後、混合相は、それぞれ576、519、及び479ppmの水含有率、それぞれ27.32、13.49、及び0.96ppmのリン含有率、及びそれぞれ15.93、5.10、及び1.60重量%のオイル含有率を有した。3回の抽出の後、抽出したオイルの全重量は、大豆粉末の重量の21.6%であった。
【0028】
<実施例5>
実施例4に記載したのと同様な方法によって大豆を抽出し、但し、撹拌速度を下げて、即ち、500rpmで抽出を行った。さらにまた、4つの異なる温度、即ち、35℃、60℃、100℃、及び150℃で抽出を行った。
【0029】
結果は、抽出されたオイルの全重量は、温度が高いほど増加したことを示す。具体的には、35℃、60℃、100℃、及び150℃において、抽出されたオイルの全重量は、大豆粉末の重量のそれぞれ21.42%、23.25%、28.4%、及び32.8%であった。また、結果は、35℃、60℃、100℃、及び150℃において、各々の抽出後に得られた混合相のコンビネーションを含む混合物中のリン含有率が、それぞれ16.2、18.64、48.32、及び91.12ppmであったことを示す。
【0030】
<実施例6>
対応するオイル源から得られたトリグリセリドと、別なオイル源から得られたトリグリセリドから調製した脂肪酸メチルエステルによって、2つの含油種子を抽出した。具体的には、ヒマワリ種子を、ヒマワリ種子に由来する脂肪酸メチルエステルと大豆に由来する脂肪酸メチルエステルによって抽出し、ピーナッツ(挽いたナッツ)を、ピーナッツに由来する脂肪酸メチルエステルと大豆に由来する脂肪酸メチルエステルによって抽出した。
【0031】
ヒマワリ種子は、実施例2に記載したのと同様な方法を用い、ヒマワリ種子に由来する脂肪酸メチルエステルと大豆に由来する脂肪酸メチルエステルによって抽出し、但し、6:1の溶媒:粉末の比を用い、1回のみの抽出を行った。ヒマワリ種子に由来する脂肪酸メチルエステルと大豆に由来する脂肪酸メチルエステルによる抽出の後、混合相は、それぞれ466ppmと856ppmの水含有率、それぞれ10.6ppmと12.78ppmのリン含有率、及びそれぞれ6.33重量%と4.06重量%のオイル含有率を有した。抽出したオイルの全重量は、ヒマワリ種子に由来する脂肪酸メチルエステルを溶媒として使用したときは、ヒマワリ種子の重量の39.0%であり、大豆に由来する脂肪酸メチルエステルを溶媒として使用したときは、ヒマワリ種子の重量の24.71%であった。
【0032】
ピーナッツは、実施例2に記載したのと同様な方法を用い、ピーナッツに由来する脂肪酸メチルエステルと大豆に由来する脂肪酸メチルエステルによって抽出し、但し、溶媒:粉末の比が6:1であり、1回のみの抽出を行った。ピーナッツ実に由来する脂肪酸メチルエステルと大豆に由来する脂肪酸メチルエステルによる抽出の後、混合相は、それぞれ470ppmと718ppmの水含有率、それぞれ19.36ppmと10.0ppmのリン含有率、及びそれぞれ6.23重量%と6.83重量%のオイル含有率を有した。抽出したオイルの全重量は、ピーナッツに由来する脂肪酸メチルエステルを溶媒として使用したときは、ピーナッツの重量の39.1%であり、大豆に由来する脂肪酸メチルエステルを溶媒として使用したときは、ピーナッツの重量の39.8%であった。
【0033】
上記の結果は、同じ植物種子のオイルから調製した脂肪酸メチルエステルと別な植物種子のオイルから調製した脂肪酸メチルエステルを用い、オイルを植物種子から抽出可能なことを示している。
【0034】
本明細書で開示された特徴は、いずれも任意の組み合わせで統合することができる。本明細書で開示された各々の特徴は、同じ、同等、又は類似の目的を果たす代替の特徴によって置き換えることができる。このため、特段の明記がない限り、開示された各々の特徴は、同等又は類似の包括的まとまりの例に過ぎない。
【0035】
上述の説明から、当業者は、本発明の本質的特徴を容易に突き止めることができ、本発明の技術的思想と範囲から逸脱することなく、種々の用途や条件に適合させるように、本発明に変更や修正を行うことができる。したがって、その他の実施態様もまた特許請求の範囲の中に包含されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の脂肪酸アルキルエステルとトリグリセリド含有物質を接触させる接触工程と、トリグリセリドを脂肪酸アルキルエステルに溶解させ、トリグリセリド溶液を形成する形成工程とを含む、トリグリセリド溶液の製造方法。
【請求項2】
前記トリグリセリド含有物質が含油植物からのものである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記含油植物が、米ぬか、パーム果実のパルプ、イエローウッド、又は藻である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記トリグリセリド含有物質が含油種子である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記含油種子が、大豆、ピーナッツ、ヒマワリ種子、菜種、コーン、ジャトロファ種子、カランジャ種子、ニーム種子、モーラ種子、トウゴマ、ゴム種子、綿実、パーム核、オリーブ、アーモンドカーネル、ババス実、ベン実、カルドン実、カメリナ種子、リンシード、へーゼルナッツカーネル、麻種、カラシナ種子、ホホバ種子、ホピーシード、ベニバナ種子、ゴマ種子、小麦粒、サラノキ種子、ハマナ種子、クフェア種子、ナホル種子、又はタバコ種子である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記脂肪酸アルキルエステルが、C6〜C24の脂肪酸部分構造を有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記脂肪酸アルキルエステルが、C1〜C8の第1級又は第2級アルコキシ部分構造を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記脂肪酸アルキルエステルが、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸n−プロピルエステル、脂肪酸イソプロピルエステル、脂肪酸n−ブチルエステル、脂肪酸イソブチルエステル、脂肪酸n−ペンチルエステル、脂肪酸イソペンチルエステル、脂肪酸ネオペンチルエステル、又は脂肪酸n−ヘキシルエステルである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記脂肪酸アルキルエステルが、150〜500℃の沸点を有する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記接触工程が15〜180℃で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記接触工程が25〜150℃で行われる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記脂肪酸アルキルエステルと前記トリグリセリド含有物質を、1:2〜10:1の範囲の重量比で接触させる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記脂肪酸アルキルエステルが、前記接触工程の前に、アルコールと、同じ前記トリグリセリド含有物質から抽出したトリグリセリドとを反応させることによって得られる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記トリグリセリド含有物質が含油植物からのものである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記含油植物が、米ぬか、パーム果実のパルプ、イエローウッド、又は藻である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記トリグリセリド含有物質が含油種子である請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記含油種子が、大豆、ピーナッツ、ヒマワリ種子、菜種、コーン、ジャトロファ種子、カランジャ種子、ニーム種子、モーラ種子、トウゴマ、ゴム種子、綿実、パーム核、オリーブ、アーモンドカーネル、ババス実、ベン実、カルドン実、カメリナ種子、リンシード、へーゼルナッツカーネル、麻種、カラシナ種子、ホホバ種子、ホピーシード、ベニバナ種子、ゴマ種子、小麦粒、サラノキ種子、ハマナ種子、クフェア種子、ナホル種子、又はタバコ種子である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記脂肪酸アルキルエステルが、C6〜C24の脂肪酸部分構造を有する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アルコールがC1〜C8の第1級又は第2級アルコールである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記脂肪酸アルキルエステルが、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸n−プロピルエステル、脂肪酸イソプロピルエステル、脂肪酸n−ブチルエステル、脂肪酸イソブチルエステル、脂肪酸n−ペンチルエステル、脂肪酸イソペンチルエステル、脂肪酸ネオペンチルエステル、又は脂肪酸n−ヘキシルエステルである請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記脂肪酸アルキルエステルと前記トリグリセリド含有物質を、1:2〜10:1の範囲の重量比で接触させる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記接触工程が15〜180℃で行われる請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記接触工程が25〜150℃で行われる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記脂肪酸アルキルエステルが、C6〜C24の脂肪酸部分構造を有する請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記アルコールがC1〜C8の第1級又は第2級アルコールである請求項13に記載の方法。
【請求項26】
前記脂肪酸アルキルエステルが、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸n−プロピルエステル、脂肪酸イソプロピルエステル、脂肪酸n−ブチルエステル、脂肪酸イソブチルエステル、脂肪酸n−ペンチルエステル、脂肪酸イソペンチルエステル、脂肪酸ネオペンチルエステル、又は脂肪酸n−ヘキシルエステルである請求項13に記載の方法。
【請求項27】
前記脂肪酸アルキルエステルが、150〜500℃の沸点を有する請求項13に記載の方法。
【請求項28】
前記接触工程が15〜180℃で行われる請求項13に記載の方法。
【請求項29】
前記接触工程が25〜150℃で行われる請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記脂肪酸アルキルエステルと前記トリグリセリド含有物質を、1:2〜10:1の範囲の重量比で接触させる請求項13に記載の方法。