オイル駆除船
本発明による3つのハルを持つオイル駆除船500は、中央のハルSH1とサイドハルSH2,SH3の間を船首から船尾まで移動する氷ブロックJ1を、水面WL1下に押す分離構造100を有する。分離構造100は、例えば、船500の長手方向のグレートであってよい。収集されるべきオイルB4若しくは製油生成物の密度は、水よりも小さく、従って、押し下げられた氷ブロックJ1から分離されたオイルB3は、分離構造100を通って水面に上昇する傾向を示す。分離構造100は、このようにして、氷ブロックJ1からオイルB3を分離し、これにより、例えば容器へのオイルの収集は非常に容易となる。分離されたオイルB4は、例えばブラシスキマーを有してよいオイル収集デバイス200を用いて、比較的氷の無い水面WL1から収集されることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立項のプリアンブルに規定されるようなオイルダメージを抑制するためのオイル駆除船及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船若しくは製油所から漏れたオイルは、環境汚染を引き起こす。オイルダメージは、海、湖若しくは川が氷カバーないし氷ブロックにより覆われた環境において生じうる。かかる環境における氷から漏れたオイルを収集することは困難である。
【0003】
特許文献1は、中央のハルとサイドハルの間にオイル収集装置が存在する3つのハルを持つ船を開示する。
【0004】
特許文献2は、氷を割るのに適した3つのハルを持つ船を開示する。
【0005】
特許文献3は、水面下に氷ブロックを押すために、船に取り付け可能な振動スクリーンを有するオイル分離装置を開示する。オイルは、氷ブロックに対してスクリーンを振動させることによって、押し下げられた氷ブロックから分離される。スクリーンは、例えば非対称性のマス若しくはコネクティングロッドにより振動されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP1439119A1
【特許文献2】WO2007054607
【特許文献3】US6592765
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3による装置は、重量が大きくなる寸法にならざるを得ず、従って、特に1つのハルの船の脇で動作するときに、壊れることなく、氷により生ずる応力に耐える。特許文献3によるスクリーンは、数平方メートル程度の基部面積を有する。強力な振動機械が、大きくて重いスクリーンを移動させるために必要とされる。振動スクリーンのサイズは、制限されるので、振動機械は、氷ブロックからオイルの分離を有意に増大させるような振幅及び周期で重いスクリーンを移動させることができなければならない。スクリーンの振動は、小さい氷ブロック及び氷スラッジを形成し、これらは、スクリーンを介して水面に上昇したときに、オイルの収集をより困難にする。
【0008】
本発明の目的は、氷若しくは氷ブロックにより覆われる水領域からオイルを収集する船及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明による船及び方法は、独立項の特徴部分に示されるものにより特徴付けられる。
【0010】
本発明によるオイル駆除船は、複数のハルを有する船であり、少なくとも1つの中央のハルと、その両側のサイドハルとを含む。本発明によるオイル駆除船は、船が移動しているときに水面の下方へ、中央のハルとサイドハルの間を船首から船尾まで移動する氷ブロック又は定着氷を押す分離構造を有する。当該構造は、例えば、船の長手方向のグレート(grate)であってよい。分離構造の目的は、氷を下方に押すことであるが、同時に、水及びオイルが実質的に氷の無い水まで分離構造を通過すること可能とする。分離構造は、従って、氷ブロックからオイルを分離し、これにより、例えば容器への、オイルの収集が顕著に容易となる。分離されたオイルは、従って、例えばブラシスキマーであってよいオイル収集デバイスにより、比較的氷の無い水面から収集されることができる。
【0011】
収集されるべきオイル若しくは製油生成物の密度は、水よりも小さく、従って、押し下げられた氷ブロックから分離されたオイルは、分離構造を通って水面に上昇する傾向を示す。一実施例では、この現象は、オイル収集デバイスにより処理されるオイル/水混合物の水分を低減するために使用される。混合物の水分を低減することは、水からのオイルの分離を容易化する。オイル/水混合物は、船の容器に略そのまま移されることもでき、これにより、混合物の水分の低減は、必要な容器の容積を低減する。
【0012】
一実施例によれば、オイル収集デバイスは、分離構造よりも上方にある。
【0013】
一実施例では、ハル間に実装される分離構造は、サイドハルの全長に対して長くすることができる。長い分離構造を使用することによって、オイル収集効率及び/又はオイル収集性能を増大することができる。
【0014】
多くの状況では、受け入れ可能な収集効率は、特に、長い分離構造が使用される場合、その前縁で傾斜する船のハル間に取り付けられる分離構造により水面下に氷ブロックを押すことによって、簡易的に得ることができる。分離構造は、船に対して不動であることができ、即ち、位置を補正する考えられる措置を除いて、オイル収集中に船のハルに対してアクティブに移動されない。分離構造の助けによる氷ブロックからのオイルの分離は、分離構造の下面が氷ブロックに対してアクティブに振動されることを必ずしも必要としない。
【0015】
尚、注記すべきこととして、分離構造がアクティブに振動される場合であっても、氷に当たることによって生ずる振動及び船の推進デバイスによって生ずる振動は、典型的には、分離構造に依然として部分的に伝わる。受動的に振動する分離構造は、実質的に船の推進デバイスの振動及び/又は氷ブロックにより生じる力の影響のみによって振動する。定着氷を割り、氷ブロックに当たり、及び/又は、氷ブロックの浮力は、時間で変化する力を生み、これは、ここでは、氷ブロックにより生ずる力と称される。推進デバイスの振動は、例えばエンジン、プロペラ及び/又は軸によって生じることができる。
【0016】
不動の若しくは受動的に振動する分離構造は、典型的には、より高い弾性を有するように構築されることができ、及び/又は、それらの表面積は、振動機械に接続される構造よりも大きくなることができる。分離構造は、大きくて重い氷のスレートを押すために及び/又は一時的な氷割のために使用されることができるように、大きい重量を持つように寸法付けられることができる。不動の若しくは受動的に振動する分離構造は、ハル間にシェルター化(退避)されているが、長尺に寸法付けられることができ、これにより、分離されたオイルは、水面に向けて上昇するために可能な限り長い時間を有する。
【0017】
一実施例によれば、船は、特に氷を割るように設計された3つのハルを持つ船であり、これにより、分離構造は、船の中央のハルとサイドハルの間に位置する。船は、定着氷からの氷ブロックであって、分離構造のグレートを実質的に通過しない極めて大きい氷ブロックのみを主に割るように構成されることができる。多くの状況では、適切な収集効率は、不動の若しくは受動的に振動する分離構造により、当該大きい氷ブロックを水面下に押すことによって得ることができる。不動の若しくは受動的に振動する分離構造は、大きな氷ブロックからできるだけ少量の小さいブロック及び/又は氷スラッジを分離する。小さいブロック及び/又は氷スラッジは、分離構造を通って水面に上昇するときに、オイルの収集をより困難にしうる。
【0018】
一実施例によれば、船は、氷が既にブロックである環境下でオイルを収集するために使用される。また、これにより、船が多くのハルを有するという事実によって効果が得られ、加えて、船は必ずしも氷を割るために最適化される必要はない。この際、分離構造は、船のハル間の退避位置に実装されることができ、海のうねりにより生ずるオイル収集デバイスでの高さの変動は、最小化することができる。
【0019】
船が移動しているとき、水に渦流が生じうり、その結果、氷ブロック及び氷スラッジは、特に分離構造の後端から分離構造上へと移動する傾向があり、これにより、分離構造を通って水面まで上昇するオイルを収集することがより困難になる。本発明の一実施例によれば、分離構造の後部は、船が移動しているときに分離構造上への氷ブロック及び氷スラッジの通過が本質的に妨げられるように、形成される。分離構造は、後部で傾斜して船尾に向けて上昇する、例えばプレート状の構造に形成されることができる。典型的には、分離構造の後部は、水に対して透過性があり、従って、水は、分離構造を通って流れることができ、従って、分離構造は、船の移動を妨げる力を生成しない。分離構造の後部は、可動に構成されることができ、従って、分離構造上に集まりうる氷ブロック及び氷スラッジは容易に除去することができる。例えば、プレート状の後部の傾斜角は、調整可能に構成されることができる。
【0020】
一実施例によれば、分離構造を通って水面に上昇したオイルは、中央のハルのオイル収集デバイスまでオイルフェンス(oil boom)で案内される。案内フェンスは、船の移動方向に対して斜めに配置されてもよく、これにより、船の移動は、船の中央のハルに向けて、表面に上昇しフェンスに接して集まったオイルを移動させる。
【0021】
本発明による一実施例によれば、船は、氷若しくは氷ブロックにより被覆される水領域からオイルを収集するために、水底に対して所定位置に実質的に取り付けられる。船まわりの水は、流れが水中のオイルを、船の船首に向けて且つ中央のハルとサイドハルの間に取り付けられた分離構造に向けて前方へガイドする。分離構造は、氷ブロックからオイルを分離する。分離され表面に上昇したオイルは、例えばポンプを用いて、容器内に収集される。
【0022】
ロッキングポール若しくはアンカーのような、少なくとも1つの取り付け手段は、水底に対して船を取り付けるために使用される。船の1つ以上の推進デバイスは、好ましくは、流れを達成するために使用される。所望の流れを生成する分離構造は、船の1つ以上の推進デバイスに代えて若しくはそれに関連して使用されてもよい。
【0023】
本発明及びその中心的な特徴は、本発明により達成できる効果と同様に、請求項において、及び、幾つかの選択された例が更に詳説される次の説明において、当業者に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1a】前方から見た3つのハルを持つ船を示す図。
【図1b】側方から見た図1aの3つのハルを持つ船を示す図。
【図1c】底部から見た図1aの3つのハルを持つ船を示す図。
【図2】氷を割るときの底部から見た図1aの3つのハルを持つ船を示す図。
【図3a】水面下に氷ブロックを押して保持するグレートと、オイル収集ユニットとを有する3つのハルを持つ船を上方から見て示す図。
【図3b】側方から見た図3aによるグレートとオイル収集ユニットを示す図。
【図3c】図3bによるグレートの幾つかの寸法を示す図。
【図3d】オイル及び水に透過性のある、氷ブロックを下方に押す部分、分離構造を示す図。
【図4a】グレートと、中央のハル内のオイル収集ユニットに氷ブロックから分離したオイルをガイドするオイルガイド手段とを有する3つのハルを持つ船を上方から見て示す図。
【図4b】側方から見た図4aによるグレートとオイルガイド手段を示す図。
【図4c】オイルガイドフェンスを3次元の態様で示す図。
【図4d】分離構造を通過した小さい氷ブロックを除去するように構成されたふるいデバイスを3次元の態様で示す図。
【図5a】グレートの横方向の支持体を3次元の態様で示す図。
【図5b】グレートの上面も実質的に滑らかになるようなグレートの横方向の支持体を3次元の態様で示す図。
【図6】本発明の一実施例によるオイル駆除船がオイル汚染場でオイルを収集する状況を模式的な態様で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の概略図面を参照して、本発明の説明を行う。
【0026】
本発明による分離構造は、特に3つのハルを持つ船、即ちトリマラン用に適している。好ましくは、船は、更に、定着氷を割ることができる。
【0027】
図1aないし図1cを参照するに、3つのハルを持つ船500は、中央のハルSH1と、右側のサイドハルSH3と、左側のサイドハルSH2とを含む。ハルSH1,SH2,SH3は、甲板DC1により互いに接続されることができる。キールと水面の間の角度は、αである。キールがない場合は、角度αは、水面WL1の高さでの中央のハルSH1の底部と水面との間の角度を意味する。
【0028】
図2を参照するに、船500は、定着氷を割るのに適するように寸法付けされることができる。サイドハルSH2、SH3の船首は、中央ハルSH1の船首よりも実質的に更に後方に位置されることができ、これにより、氷の上部をすべるサイドハルは、比較的小さい力を用いて中央ハルSH1の両側で氷からのブロックJ1を割ることができる。サイドハルSH2、SH3は、定着氷が中央ハルSH1の側方では割られるべきブロックを支持していないので、定着氷からブロックを容易に割って分離する。
【0029】
サイドハルSH2、SH3は、また、氷を完全に通っていく必要は無いが、典型的には、サイドハルが定着氷から氷ブロックJ1を曲げて離すだけで十分である。サイドハルSH2、SH3の喫水は、従って、中央ハルSH1の喫水よりも顕著に小さくすることができる。
【0030】
中央ハルSH1は、従来の砕氷船から知られた原理を使用して氷を割ることができる。中央ハルSH1は、氷割をより効率的にする突出したキールK1を有することができる。キールと水面の間の角度αは、低い勾配になるように選択されることができ、従って、中央ハルSH1は、実質的に氷を下方に押すことによって氷を割る。角度αは、例えば範囲10−25°内であることができる。その低い勾配の入射角によって、中央ハルSH1の前部は、冷たい状況で氷上の部分的に乗り、氷を下に押すことによって氷を割る。割るのに必要なエネルギは、従って、氷が水面WL1の方向に略突き当たって破片にされる場合に比べて、非常に小さくなる。また、水面WL1に対するサイドハルSH2、SH3の角度は、例えば10−25°の範囲内で選択されることができ、従って、サイドハルSH2、SH3は、氷を下方に容易に押す。
【0031】
氷ブロックJ1は、また、最後には船500のハルSH1、SH2,SH3の下方に来ることができるが、これらのブロックは、図面を簡易化する目的のために図2に示されていない。
【0032】
SXは、船の主要な走行方向及び中央ハルSH1の方向を意味する。
【0033】
船500は、少なくとも1つの推進デバイスP1と、考えられうるラダーR1を有する。2つ以上の推進デバイスP1を有することができ、これにより、時々、サイドハルSH2、SH3に向けて氷が方向付ける非対称な力は、効率的に補償されることができる。中央ハルの船尾では、2つ以上のプロペラが互いに実質的に並んで存在することができる。推進デバイスのプロペラ軸の方向は、180度若しくは360度もの回転が可能とされてもよい。推進デバイスは、例えばAzipod(ABB社の商標)やAquamaster(ロールスロイス社の商標)であることができる。
【0034】
1つ以上の推進デバイスP1は、好ましくは、サイドハルSH2、SH3は必ずしも氷を通って到達する必要が無いので、中央ハルSH1に位置される。
【0035】
図1aないし図2による3つのハルを持つ砕氷船は、例えば特許文献WO2007054607に開示される。図1aないし図2又は特許文献WO2007054607に特に示される3つのハルを持つ砕氷船は、後述のオイル分離デバイス及びオイル収集デバイスを備えることができる。
【0036】
図3aを参照するに、中央ハルSH1とサイドハルSH2の間に分離構造100が存在してよく、分離構造100は、船500が移動しているとき、中央ハルSH1とサイドハルSH2の間を移動する氷ブロックを、海面の下方に押すと共に、当該氷ブロックを水面下に長い十分な時間保持し、これにより、オイルB1は、氷ブロックJ1から分離する時間を有し、表面へと上昇する。分離構造100は、好ましくはグレート(grate)である。中央ハルSH1と第2のサイドハルSH3の間には、好ましくは、第2の同様の分離構造100bが存在し、これにより、オイルは、より広い領域から収集されることができ、また、船500に氷が付加する力が可能な限り対称になるだろう。
【0037】
分離され表面に向かって上昇したオイルは、船500に対して移動し、これにより、オイルは、例えばオイル収集ユニット200に接して集まり、当該オイル収集ユニット200で扱うことができるオイル斑点になることができる。オイル収集ユニットは、オイルB4と共に収集されたと考えられる水を分離することができ、オイルB4は、容器300内にポンプにより吸引されることができる。ある場合には、オイルと水の混合物は、また、かくして容器300に収集されてもよい。これは、例えば小さいオイル汚染で実行されることができる。
【0038】
船500の中央ハルSH1の両側又は底部には、少なくとも1つのエアダクト190が存在してもよく、少なくとも1つのエアダクト190からのエアにより、分離構造100を通る底部でのオイルの移動をより効率的にすることができる。
【0039】
図3bは、図3aによる分離構造100の側面視を示す。分離構造100は、船500が移動しているとき、船首から船尾へと中央ハルSH1とサイドハルSH2の間を移動する氷ブロックJ1を海面の下方に押す第1の構造部10を有する。分離構造100は、船500が移動しているとき、中央ハルSH1とサイドハルSH2の間を移動する氷ブロックJ1を海面の下方に保持するように適合された第2の構造部20を有する。当該第2の構造部20は、好ましくは、少なくとも部分的に水及びオイルに対して透過性を有する。動きに対する抵抗を低減し収集効率を改善するために、好ましくは、第1の構造部10も、少なくとも部分的に水及びオイルに対して透過性を有する。第1及び第2の構造部10,20は、例えば、同一のグレートの部分であることができる。
【0040】
氷J1を下方に押す第1の構造部10は、また、水面下に氷ブロックを保持する構造としても機能するが、下方に氷を保持する第2の構造部20は、必ずしも氷の高さ位置を変更することができる必要は無い。
【0041】
構造部10の下面は、水面WLに対して角度βであることができる。構造部20の下面は、略水平であることができる。図3bに示される構造部10,20の間の小さい方の角度は鋭角であるが、分離構造100は、側方から見たとき、そりのランナの形状であってもよい。構造部10,20の接続ポイントの曲率半径は、氷のすべりを促進するために、例えば、0.2m以上であることができる。曲率は、下方をすべるより大きい氷ブロックJ1からの小さい氷ブロックの分離を最小化することができる。小さい氷ブロック及び氷スラッジは、水面WL1からの分離したオイルの収集を阻害しうる。
【0042】
第1の構造部10が水及びオイルに対して透過性を有する場合、氷J1内のオイルは、船500が前方に移動しているとき、水面WL1の方向で、例えばグレートである構造部10を略真っ直ぐ通過し始めることができる。水中のオイルは、従って、必ずしもより深く押される必要はなく、より深く押される場合は、オイルが表面に戻ってくるように上昇し又は表面に向かって上昇するのを待つ必要があるだろう。
【0043】
構造部10及び/又は20は、分離構造100を貫通する開口又はギャップを有してもよく、従って、構造部10,20の下面の表面領域の開口若しくはギャップの部位は、例えば少なくとも30%であり、好ましくは少なくとも60%である。
【0044】
オイルは、氷ブロック間の斑点B1内にありうり、若しくは、氷ブロックの表面上の斑点B2として存在しうる。収集されるべきオイル若しくはオイルラフィネートの密度は、水よりも小さく、従って、オイルは、分離構造100内の開口を通って上方を上昇する傾向となる。氷から分離されたオイルB3は、水面に完全に上昇することができる。氷から分離されたオイルは、また、オイルが表面に上昇するまでに既に収集されることもできる。分離されたオイルB3は、斑点B4へとオイル収集ユニットの前で集まりうり、斑点B4は、オイル収集ユニット200により収集されることができる。
【0045】
この明細書において、効率的に収集することとは、単位時間当たりでどれくらいの質量のオイルを収集できるかを意味する。
【0046】
この明細書において、収集能力とは、船500により割られた氷の領域内に存在するオイルの全体の質量に対する船500により収集されるオイルの質量を意味する。割れた氷の領域は、割られた通路の全幅と通路の全長を掛けたほどの大きさである。
【0047】
分離されたオイルB3は、比較的ゆっくりと水中を上昇しうる。収集能力は、船500に対する遅い走行速度を選択することによってある程度増加することができる。しかし、問題は収集効率が低減しうることである。
【0048】
オイルダメージを抑制するとき、収集効率を最大化する最適な走行速度で船500を駆動しようとする。この最適な走行速度は、例えば試験駆動、ミニチュアモデル及び/又はシミュレーションによって定義されることができる。
【0049】
図3cを参照するに、氷ブロックJ1は、所定の時間だけ水面下に維持され、所定の時間は、例えば10秒以上であることができ、若しくは、60秒以上もの長さであることができる。これを構成するために、水面下にある分離構造の部分の長さL1は、例えば水線に沿って中央ハルSH1の長さの全長の15%以上であることができる。水面下にある分離構造100の部分の長さL1は、好ましくは、水線に沿って中央ハルSH1の長さの30%以上であることができ、若しくは、水線に沿ってサイドハルSH2の長さの60%以上であることができる。オイル収集ユニット200のオイル入口ポイント202が正確に船尾にない場合は、水面WL1と分離構造100の交差ポイントとオイル入口ポイント202との間の距離である距離L2が保持時間に関して重要である。また、距離L2は、水線に沿って中央ハルSH1の長さの全長の15%以上であることができる。距離L2は、好ましくは、水線に沿って中央ハルSH1の長さの30%以上であることができ、若しくは、水線に沿ってサイドハルSH2の長さの60%以上であることができる。距離L2は、例えば、10m以上であってよい。
【0050】
分離構造100の長さは、好ましくは、水線に沿ってサイドハルSH2の長さよりも小さい。分離構造100の後部は、中央ハルSH1とサイドハルSH2の間に完全にある場合は、分離構造100が船500の船尾から突出している場合よりも良好に、氷により生ずる応力から退避される。サイドハルSH2、SH3の後端は、船の長手方向で、中央ハルSH1の後端と実質的に同じレベルまで突出することができる。分離構造100の前部は、好ましくは、サイドハルSH1が定着氷からブロックJ1を割って離した後でのみ、氷ブロックJ1を下方に押し始める。
【0051】
収集効率を最大化するために、好ましくは、分離構造100の下面と水面WL1の間の高さの差h1は、好ましくは、できるだけ小さく、例えば50cmよりも小さい。
【0052】
ある状況では、分離構造100も氷を割るために使用されなければならない場合もありうる。従って、好ましくは、分離構造100は、適切に重くなるように寸法付けされる。これは、高さの差h1の最小値を制限する。
【0053】
氷ブロックを下方に押す構造10の下面と水面WL1との間の水面WL1の高さでの角度βは、例えば5〜35°の範囲であることができ、好ましくは、10〜30°の範囲、より好ましくは10〜15°の範囲である。
【0054】
水面WL1と、氷ブロックを下方に維持する構造20の上面との間の高さの差h2は、少なくともオイル収集ユニット若しくはオイルガイドフェンス30(図4a)により、好ましくは10cmより大きくすることができる。これは、オイル収集ユニット200の底部が完全に水中になることを可能とし、これにより、オイル収集ユニット200は、構造的に簡易になることができる。オイル収集ユニット200は、例えばブラシスキマー、即ちブラシピラー(brush peeler)を有してもよい。
【0055】
代わりに、水面が、氷ブロックを下方に維持する構造20の上面よりも低い場合(差h2が負である場合)は、使用されうるブラシスキマーのブラシは、グレートのレール間の水面を掃くように到達しなければならない。
【0056】
分離構造100は、例えば、幾つかの隣接したレール若しくはビームからなるグレートであってよい。レールは、好ましくは、実質的に中央ハルSH1の方向にある。レールの鉛直方向の寸法は、前部よりも後部で小さくてよい。これは、氷により生じる推定応力も前部よりも後部で小さいためである。
【0057】
図3dを参照するに、氷ブロックJ1を下方に押す分離構造100の構造部10は、オイルB3及び水に対して透過性を有してよい。定着氷若しくは氷ブロックJ1を下方に押すとき、ブロックJ1間の若しくはその表面上のオイルB1,B2の少なくとも一部は、氷から分離され、これにより、分離されたオイルB3は、オイル収集ユニット200若しくはオイルガイドフェンス30(図4a)へと前方に構造部10を通って船の方向に水と共に通過することができる。分離されるべきオイルは、従って、必ずしも氷ブロックJ1と共により深く押されその後再び上昇する必要は無いが、その代わり、オイルは、氷中にあるとき、それが存在する深さと略同じ深さでグレートを通過することができる。
【0058】
構造部10がオイル及び水に対して透過性を有する場合、氷を下方に保持する構造部20は、短くてよく及び/又はオイル水に対して透過性が無くてもよい。オイル収集ユニットが第1の構造部10の直後若しくはその上に配置される場合、第2の構造部20は、必ずしも必要ですらない。しかし、構造部10で生ずる氷からの分離と、オイル収集ユニット200への到着との間の時間が短い場合、分離されたオイルB3は、必ずしも水面WL1に向けて十分に上昇する時間を有さない。これにより、オイル収集ユニット200に到着するオイル/水の混合物は、無刺激でありうり、オイル収集ユニット200から大きな容量を必要としうる。しかしながら、オイル収集ユニット200の容量が十分大きい場合は、船500の走行速度は、少なくともオイルが表面に上昇するのに十分な時間を保証するために、必ずしも制限される必要はない。
【0059】
第2の構造部20がオイル及び水に対して透過性を有さない場合でも、できるだけ長い時間は、できるだけ長い第2の構造部20を選択することによって、表面にオイルが上昇するようにするために確保されることができる。
【0060】
氷ブロックJ1を下方に保持する構造部20がオイル及び水に対して透過性を有する場合、氷ブロックJ1を下方に押す構造部10は、原理上、オイル及び水に対して透過性を有さないスチールプレートであって、例えば角度βで設定されるスチールプレートであることもできる。しかし、最適な収集効率及び性能は、これにより達成されない。加えて、動きに対する抵抗もこれにより大きい。
【0061】
分離構造100とオイル分離ユニット200の組み合わせにより、双方の上述のオイル分離原理、即ち氷が下方に押された際に氷中のオイルが水中に留まる傾向、及び、時間をかけて表面に向けて上昇するオイルの傾向が、好ましい態様で利用される。構造部10,20の双方は、従って、好ましくは、オイル及び水に対して透過性を有する。構造部10は、好ましくは、船の走行方向SXに対して逆に通過する少なくともオイルを通過させるべきであり、構造部20は、構造部20を通って斜め上方若しくは真上に上昇する少なくともオイルを通過させるべきである。
【0062】
図4aを参照するに、オイル収集ユニット200は、中央ハルSH1にも配置することができる。船500は、上昇したオイルB4を収集しそれをオイル収集ユニットへ中央ハルSH1の側部の開口40を介して送るため、走行方向に対して斜めのオイルガイド構造30を有してよい。オイルは、オイル収集ユニット200で水から分離されることができ、分離されたオイルは、容器300内へ汲み入れられることができる。分離された水は、海に帰されることができる。
【0063】
ガイド手段30と走行方向の間の角度γは、例えば10−70°の範囲内であることができる。
【0064】
船500は、オイル収集ユニット200へハルSH1、SH2,SH3の側部からオイルB4又はオイル含有の水を吸引する少なくとも1つのポンプ42を有することができる。船500は、オイル収集ユニット200を通過した水を除去して海に戻すための少なくとも1つのポンプを有することができる。
【0065】
図4bには、図4aの状況が側面視で示される。オイル案内構造30は、船500が前方に走行している間、上昇したオイルB4を捕捉し、それを中央ハルSH1内のオイル収集ユニットへと案内する。
【0066】
図4cには、図4aの状況が3次元視で示される。分離構造100は、このように、幾つかの隣接するスライドレール12から形成されるグレートを含んでよい。オイルB3は、水に対して略真っ直ぐ上方のレールあって、移動する分離構造100に対して斜め後方のレール間のギャップから上昇することができる。水面上のオイルは、実質的に水面WL1の方向のレール12間を真っ直ぐ通過することができる。
【0067】
図5aを参照するに、分離構造100のレール12は、横ビーム50,60により互いに結合されてもよい。氷ブロックJ1は、レール12の下面に沿ってすべり、分離されたオイルB3は、レール12間から上昇することができる。
【0068】
横方向の支持体50、60の断面の形状は、流れの抵抗が小さくなり及び/又は横方向の支持体が前部で氷スラッジを収集しないように、選択されることができる。
【0069】
図5bを参照するに、氷ブロックを下方に維持する構造部20の横方向の支持体62は、レール12間に配置されることができ、従って、レールの上面も船500の走行方向で滑らかである。従って、横方向の支持体62が前部で、レールを通過しうる氷ブロックを収集する可能性は、低減されることができる。
【0070】
レール間のギャップd2は、好ましくは、5〜10cmの範囲である。ギャップd2が、氷ブロックの厚さ若しくは割るべき定着氷の厚さに比べて大きすぎる場合、氷ブロックJ1は、グレートのレール12間を通過しうる。通過した氷ブロックは、オイルガイド手段30及び/又はオイル収集器200の動作を阻害しうる。
【0071】
図1aないし図2による氷割を行う3つのハルを持つ船500の効果は、ハルSH1、SH2の間の移動する割られた氷ブロックJ1が主に比較的大きいサイズであることである。従って、氷ブロックJ1がレール12間のギャップを相当な量で通過する可能性が低減される。
【0072】
船500はそのように寸法付けられることができ、割るべき定着氷の厚さに対する船500の速度及び走行深さは、第1の構造部10により下方に押される氷ブロックJ1の平均の直径が、例えば、船の中央ハルSH1とサイドハルSH2の間の距離の1/3倍以上となるように、選択されることができる。平均の直径は、下方に押されるべき氷ブロックJ1の質量に応じた直径の重み付け平均として計算される。氷ブロックJ1の平均の直径は、例えば、0.3m以上であってよい。
【0073】
分離構造100は、厚い氷ブロック若しくは積氷にしばしば当たりうり、従って、好ましくは、重くなるように寸法付けされる。レールの厚さd3は、例えば、割られるべき定着氷の厚さの1〜5%の範囲内若しくは2〜5cmの範囲内であってよい。
【0074】
レール12を通過した氷ブロックJ1及び/又は氷スラッジは、最後にはオイル斑点B4(図3a,図4a,図4c参照)内に来て、オイル収集ユニット200におけるオイルの収集を阻害しうる。
【0075】
しばしば、オイル収集ユニット200若しくはオイル案内フェンス30の前部から氷ブロックJ1及び/又は氷スラッジを除去することが必要となりうる。船500は、例えば、オイル案内フェンス30若しくはオイル収集ユニット200を水の外に一時的に持ち上げる手段を有してもよい。このとき、氷ブロックJ1及び/又は氷スラッジは、中央ハルSH1とサイドハルSH2の間のスペースを離れることができるだろう。しかし、欠点は、このとき、オイル斑点B4の少なくとも一部が海に戻りうることである。
【0076】
図4dを参照するに、オイル斑点B4内に辿り着く氷スラッジは、例えば、オイル斑点B4から外に小さい氷ブロックJ1及び/又は氷スラッジをすくい上げるように構成された機械的なふるい(漉し器)38を用いて、海へと取り除かれることができる。作動機械は、ふるい38に接続されてもよく、例えば経路M1,M2、M3,M4によりふるい38を移動させる。経路M1は、氷ブロックJS1の下方にふるい38を持ってくる。経路M2は、水面WL1ふるい38を持ち上げ、ふるい38をフェンス30の背後に持ってくる。経路M3は、氷ブロックJS1をフェンス30の背後の海へと降ろす。経路M4は、フェンス30の前にふるい38を戻す。
【0077】
オイル斑点B4内に辿り着く氷スラッジは、また、例えばショベルにより手作業で除去することができる。分離構造100上には、例えばこの目的のために、歩足面とてすりを有する1つ以上の整備橋が存在してもよい。
【0078】
図3a及び図4aに戻るに、オイルの収集は、部分的に、例えば加圧エアのようなガスを、ガスダクト190を介して中央ハルSH1及び/又はサイドハルSH2、SH3の下方に噴射することによって増強されることができる。ハルSH1、SH2、SH3の底部に沿って上昇するエアは、底部の下及び側部上のオイルを連れて集め、分離構造100を通った上昇を促進する。当該ガスの泡は、また、ハルと氷の間の摩擦を低減することができる。
【0079】
容器300が収集されたオイルで充填されるにつれて船の喫水が増加しうり、氷割とオイル収集に関する船500の最適な走行深さは、例えばバラストタンクにより制御されることができる。
【0080】
収集されたオイル及び/又はオイル/水の混合物は、船500の外の艀へと吸い上げられることができる。
【0081】
船500は、中央ハルSH1及び/又は水面WL1に対する分離構造100の高さを調整するデバイスを有してもよい。
【0082】
船500は、船500がオイルを収集するために使用されていないときに水から分離構造100を持ち上げるデバイスを有してもよい。
【0083】
分離構造100は、分離構造に氷が付加する力が瞬間的に非常に大きくなり構造へのダメージの危険性がある場合は、分離構造の上方及び/又は後方の動きを可能とする部材が取り付けられてよい。
【0084】
分離構造100は、直径5〜10cmの開口を有する、例えばスチール鋼であってもよい。
【0085】
図1aないし図3a及び図4aを参照するに、トリマランは、3つの実質的に隣接したハルを有するシップ、ボート若しくは他の船を意味する。
【0086】
小型のトリマランの中央ハルSH1の水線に沿った長さは、例えば10〜20mの範囲内であってよい。中型のトリマランの中央ハルの水線に沿った長さは、例えば20〜50mの範囲内であってよい。大型のトリマランの中央ハルの水線に沿った長さは、例えば50〜100mの範囲内であってよい。非常に大型のトリマランの中央ハルの水線に沿った長さは、例えば100〜300mの範囲内であってよい。
【0087】
中央ハルSH1の幅は、中央ハルSH1の水線に沿った長さの例えば13〜24%の範囲であることができ、サイドハルSH2,SH3の幅は、中央ハルSH1の水線に沿った長さの例えば2〜8%の範囲であることができ、中央ハルSH1からのサイドハルSH2,SH3の距離は、中央ハルSH1の水線に沿った長さの例えば6〜12%の範囲であることができる。
【0088】
中央ハルSH1の排水量は、全体の船500の排水量の例えば70〜95%であることができ、好ましくは、全体の船500の排水量の例えば80〜90%であることができる。船500の排水量のサイドハルSH2,SH3の部分は、従って、好ましくは、5〜10%である。
【0089】
船500は、中央ハルSH1及びサイドハルSH2,SH3に加えて、1つ以上の追加のハルを有してもよい。追加のハルは、サイドハルSH2,SH3の側部に位置されることができ、及び/又は、ハルSH1、SH2、SH3の背後に配置されることができる。
【0090】
2つのトリマラン500は、互いに並んで走行するように結合されることができる。
【0091】
図1cに戻るに、中央ハルSH1は、サイドハルSH2,SH3が氷を実質的に割り始めるポイントから開始する、船尾に向けてテーパーが付けられてもよい。これにより、狭いスペースでの後方へのハルSH1、SH2間の氷ブロックの移動が防止される。
【0092】
収集効率のために、可能な限り船500の船尾に近接してオイル収集ユニット200若しくは案内手段30を配置することが最も好ましく、これにより、氷ブロックJ1が分離構造100の下方にいる保持時間であって、船500の長さ及び速度を考慮するときにできるだけ長い保持時間が得られる。
【0093】
オイル収集ユニットは、水からオイルを分離する手段を有してもよい。オイル収集ユニット200は、例えばブラシピラー、即ち回転若しくは移動するブラシを有するブラシスキマー(図示せず)を有してよい。ブラシは、そのブラシ毛がオイル斑点B4の表面の下方を通過するように配置され、これにより、オイルの一部がブラシに付着する。付着したオイルは、ブラシ毛をワイピング又は圧搾することによって分離することができる。ブラシ毛から分離されたオイルは、容器300内に吸引されることができる。
【0094】
オイル収集ユニット200は、オイル斑点B4の表面の高さで正確に保持される吸引ノズルを有してもよい。ノズルを用いて吸引するとき、主に水に代わりオイルを収集することができる。電気式、油圧式若しくは水圧式アクチュエータ及び/又はフロートは、ノズルの高さ調整のために使用されることができる。オイル収集ユニットは、かくして吸引スキマーを有してもよい。
【0095】
オイル収集ユニット200は、オイル斑点B4内のオイルを掃くベルト、リボン若しくは他の移動する表面を有してよい。オイルの部分は、ベルトに付着し、そこから、後に、収集容器300内へとふき取られ若しくは圧搾されることができる。オイル収集ユニットは、かくしてベルトスキマーを有してもよい。
【0096】
オイル収集ユニット200は、水からオイルを分離するサイクロンを有してよい。オイル収集ユニットは、かくしてサイクロンスキマーを有してもよい。
【0097】
図6には、オイルタンカー600が氷の状況でアクシデントにあった状況が示され、その結果、オイルB5がタンカー600から水内へ漏れている。オイルタンカー600は、例えば、氷内に生成された通路のエッジに強制的に当たり若しくは乗揚げ、これにより、オイルが水内に流れることができる開口が、タンカー600の側部若しくは底部に裂け目としてできている。
【0098】
オイル駆除船500は、オイルタンカー600から漏れたオイルB5を収集し、オイルダメージを抑制するために事故現場に到着する。オイル駆除船500が事故現場に直ぐに到着した場合、タンカー600から漏れたオイルB5は、広い領域に拡散する時間はないが、オイルB5は、主にオイルタンカー600の近傍にある。これにより、これにより、氷を割りつつ船500をオイルタンカー600のまわりに移動させることによってオイルを収集することは必ずしも価値があるものでない。これは、この措置は、おそらくは、広い領域にオイルB5を拡散し、氷スラッジ及び氷ブロックJ1内にオイルB5を混合させてしまうだろうためである。これは、オイルB5の収集を大幅により困難にするだろう。
【0099】
図6に示すように、船500は、水底に対して実質的に所定位置にアンカーA1により取り付けられる。船500を取り付けた後、船500の推進デバイスP1は、船500のまわりの水を移動させるために使用される。示すように、流れ(図で矢印で指示)が推進デバイスP1により達成され、当該流れは、オイルB5、氷スラッジ及び氷ブロックJ1をオイル駆除船500の船首に向けて案内し、特に船の中央ハルSH1とサイドハルSH2、SH3の間に配置された分離構造100,100bに向けて案内する。分離構造100,100bは、水及びオイルが実質的に氷の無い水へと分離構造100,100bを通過することを可能とする。分離構造100,100bは、氷ブロックからオイルを分離し、これにより、オイルの収集は大幅に容易化される。分離され表面に上昇したオイルは、収集デバイスにより容器300内に収集される。船500は、ここでは、水底に対して実質的に所定位置に配設されているが、分離構造100,100bは、推進デバイスP1により達成される水の流れ及び底部に対する船500の鉛直方向の動きに起因して、依然として氷を下方に押す。船500の船尾に接した積氷が生ずる場合、船500は、必要なとき、分離構造100,100bから積氷を除去するために移動されることができる。
【0100】
推進デバイスP1を用いて達成される流れ場は、船500のまわりの広い領域に広がる。図6に示すように、定着氷の下方へと通路の外側に達する流れが、推進デバイスP1を用いて達成される。水の流れは、船500に関連して配設されるラダーR1を用いてガイドされることができる。ラダーR1の位置を変化させることによって、船500まわりの水の流れは変化されることができ、従って、オイルB5は、船500の船首に向けて可能な限り効率的に移動し、収集のために分離構造100,100bを通って前進する。
【0101】
本発明は、説明及び図面における上述の実施例のみに限定されない。趣旨は、本発明を添付の請求項に提示される範囲のみに限定する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立項のプリアンブルに規定されるようなオイルダメージを抑制するためのオイル駆除船及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船若しくは製油所から漏れたオイルは、環境汚染を引き起こす。オイルダメージは、海、湖若しくは川が氷カバーないし氷ブロックにより覆われた環境において生じうる。かかる環境における氷から漏れたオイルを収集することは困難である。
【0003】
特許文献1は、中央のハルとサイドハルの間にオイル収集装置が存在する3つのハルを持つ船を開示する。
【0004】
特許文献2は、氷を割るのに適した3つのハルを持つ船を開示する。
【0005】
特許文献3は、水面下に氷ブロックを押すために、船に取り付け可能な振動スクリーンを有するオイル分離装置を開示する。オイルは、氷ブロックに対してスクリーンを振動させることによって、押し下げられた氷ブロックから分離される。スクリーンは、例えば非対称性のマス若しくはコネクティングロッドにより振動されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP1439119A1
【特許文献2】WO2007054607
【特許文献3】US6592765
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3による装置は、重量が大きくなる寸法にならざるを得ず、従って、特に1つのハルの船の脇で動作するときに、壊れることなく、氷により生ずる応力に耐える。特許文献3によるスクリーンは、数平方メートル程度の基部面積を有する。強力な振動機械が、大きくて重いスクリーンを移動させるために必要とされる。振動スクリーンのサイズは、制限されるので、振動機械は、氷ブロックからオイルの分離を有意に増大させるような振幅及び周期で重いスクリーンを移動させることができなければならない。スクリーンの振動は、小さい氷ブロック及び氷スラッジを形成し、これらは、スクリーンを介して水面に上昇したときに、オイルの収集をより困難にする。
【0008】
本発明の目的は、氷若しくは氷ブロックにより覆われる水領域からオイルを収集する船及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明による船及び方法は、独立項の特徴部分に示されるものにより特徴付けられる。
【0010】
本発明によるオイル駆除船は、複数のハルを有する船であり、少なくとも1つの中央のハルと、その両側のサイドハルとを含む。本発明によるオイル駆除船は、船が移動しているときに水面の下方へ、中央のハルとサイドハルの間を船首から船尾まで移動する氷ブロック又は定着氷を押す分離構造を有する。当該構造は、例えば、船の長手方向のグレート(grate)であってよい。分離構造の目的は、氷を下方に押すことであるが、同時に、水及びオイルが実質的に氷の無い水まで分離構造を通過すること可能とする。分離構造は、従って、氷ブロックからオイルを分離し、これにより、例えば容器への、オイルの収集が顕著に容易となる。分離されたオイルは、従って、例えばブラシスキマーであってよいオイル収集デバイスにより、比較的氷の無い水面から収集されることができる。
【0011】
収集されるべきオイル若しくは製油生成物の密度は、水よりも小さく、従って、押し下げられた氷ブロックから分離されたオイルは、分離構造を通って水面に上昇する傾向を示す。一実施例では、この現象は、オイル収集デバイスにより処理されるオイル/水混合物の水分を低減するために使用される。混合物の水分を低減することは、水からのオイルの分離を容易化する。オイル/水混合物は、船の容器に略そのまま移されることもでき、これにより、混合物の水分の低減は、必要な容器の容積を低減する。
【0012】
一実施例によれば、オイル収集デバイスは、分離構造よりも上方にある。
【0013】
一実施例では、ハル間に実装される分離構造は、サイドハルの全長に対して長くすることができる。長い分離構造を使用することによって、オイル収集効率及び/又はオイル収集性能を増大することができる。
【0014】
多くの状況では、受け入れ可能な収集効率は、特に、長い分離構造が使用される場合、その前縁で傾斜する船のハル間に取り付けられる分離構造により水面下に氷ブロックを押すことによって、簡易的に得ることができる。分離構造は、船に対して不動であることができ、即ち、位置を補正する考えられる措置を除いて、オイル収集中に船のハルに対してアクティブに移動されない。分離構造の助けによる氷ブロックからのオイルの分離は、分離構造の下面が氷ブロックに対してアクティブに振動されることを必ずしも必要としない。
【0015】
尚、注記すべきこととして、分離構造がアクティブに振動される場合であっても、氷に当たることによって生ずる振動及び船の推進デバイスによって生ずる振動は、典型的には、分離構造に依然として部分的に伝わる。受動的に振動する分離構造は、実質的に船の推進デバイスの振動及び/又は氷ブロックにより生じる力の影響のみによって振動する。定着氷を割り、氷ブロックに当たり、及び/又は、氷ブロックの浮力は、時間で変化する力を生み、これは、ここでは、氷ブロックにより生ずる力と称される。推進デバイスの振動は、例えばエンジン、プロペラ及び/又は軸によって生じることができる。
【0016】
不動の若しくは受動的に振動する分離構造は、典型的には、より高い弾性を有するように構築されることができ、及び/又は、それらの表面積は、振動機械に接続される構造よりも大きくなることができる。分離構造は、大きくて重い氷のスレートを押すために及び/又は一時的な氷割のために使用されることができるように、大きい重量を持つように寸法付けられることができる。不動の若しくは受動的に振動する分離構造は、ハル間にシェルター化(退避)されているが、長尺に寸法付けられることができ、これにより、分離されたオイルは、水面に向けて上昇するために可能な限り長い時間を有する。
【0017】
一実施例によれば、船は、特に氷を割るように設計された3つのハルを持つ船であり、これにより、分離構造は、船の中央のハルとサイドハルの間に位置する。船は、定着氷からの氷ブロックであって、分離構造のグレートを実質的に通過しない極めて大きい氷ブロックのみを主に割るように構成されることができる。多くの状況では、適切な収集効率は、不動の若しくは受動的に振動する分離構造により、当該大きい氷ブロックを水面下に押すことによって得ることができる。不動の若しくは受動的に振動する分離構造は、大きな氷ブロックからできるだけ少量の小さいブロック及び/又は氷スラッジを分離する。小さいブロック及び/又は氷スラッジは、分離構造を通って水面に上昇するときに、オイルの収集をより困難にしうる。
【0018】
一実施例によれば、船は、氷が既にブロックである環境下でオイルを収集するために使用される。また、これにより、船が多くのハルを有するという事実によって効果が得られ、加えて、船は必ずしも氷を割るために最適化される必要はない。この際、分離構造は、船のハル間の退避位置に実装されることができ、海のうねりにより生ずるオイル収集デバイスでの高さの変動は、最小化することができる。
【0019】
船が移動しているとき、水に渦流が生じうり、その結果、氷ブロック及び氷スラッジは、特に分離構造の後端から分離構造上へと移動する傾向があり、これにより、分離構造を通って水面まで上昇するオイルを収集することがより困難になる。本発明の一実施例によれば、分離構造の後部は、船が移動しているときに分離構造上への氷ブロック及び氷スラッジの通過が本質的に妨げられるように、形成される。分離構造は、後部で傾斜して船尾に向けて上昇する、例えばプレート状の構造に形成されることができる。典型的には、分離構造の後部は、水に対して透過性があり、従って、水は、分離構造を通って流れることができ、従って、分離構造は、船の移動を妨げる力を生成しない。分離構造の後部は、可動に構成されることができ、従って、分離構造上に集まりうる氷ブロック及び氷スラッジは容易に除去することができる。例えば、プレート状の後部の傾斜角は、調整可能に構成されることができる。
【0020】
一実施例によれば、分離構造を通って水面に上昇したオイルは、中央のハルのオイル収集デバイスまでオイルフェンス(oil boom)で案内される。案内フェンスは、船の移動方向に対して斜めに配置されてもよく、これにより、船の移動は、船の中央のハルに向けて、表面に上昇しフェンスに接して集まったオイルを移動させる。
【0021】
本発明による一実施例によれば、船は、氷若しくは氷ブロックにより被覆される水領域からオイルを収集するために、水底に対して所定位置に実質的に取り付けられる。船まわりの水は、流れが水中のオイルを、船の船首に向けて且つ中央のハルとサイドハルの間に取り付けられた分離構造に向けて前方へガイドする。分離構造は、氷ブロックからオイルを分離する。分離され表面に上昇したオイルは、例えばポンプを用いて、容器内に収集される。
【0022】
ロッキングポール若しくはアンカーのような、少なくとも1つの取り付け手段は、水底に対して船を取り付けるために使用される。船の1つ以上の推進デバイスは、好ましくは、流れを達成するために使用される。所望の流れを生成する分離構造は、船の1つ以上の推進デバイスに代えて若しくはそれに関連して使用されてもよい。
【0023】
本発明及びその中心的な特徴は、本発明により達成できる効果と同様に、請求項において、及び、幾つかの選択された例が更に詳説される次の説明において、当業者に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1a】前方から見た3つのハルを持つ船を示す図。
【図1b】側方から見た図1aの3つのハルを持つ船を示す図。
【図1c】底部から見た図1aの3つのハルを持つ船を示す図。
【図2】氷を割るときの底部から見た図1aの3つのハルを持つ船を示す図。
【図3a】水面下に氷ブロックを押して保持するグレートと、オイル収集ユニットとを有する3つのハルを持つ船を上方から見て示す図。
【図3b】側方から見た図3aによるグレートとオイル収集ユニットを示す図。
【図3c】図3bによるグレートの幾つかの寸法を示す図。
【図3d】オイル及び水に透過性のある、氷ブロックを下方に押す部分、分離構造を示す図。
【図4a】グレートと、中央のハル内のオイル収集ユニットに氷ブロックから分離したオイルをガイドするオイルガイド手段とを有する3つのハルを持つ船を上方から見て示す図。
【図4b】側方から見た図4aによるグレートとオイルガイド手段を示す図。
【図4c】オイルガイドフェンスを3次元の態様で示す図。
【図4d】分離構造を通過した小さい氷ブロックを除去するように構成されたふるいデバイスを3次元の態様で示す図。
【図5a】グレートの横方向の支持体を3次元の態様で示す図。
【図5b】グレートの上面も実質的に滑らかになるようなグレートの横方向の支持体を3次元の態様で示す図。
【図6】本発明の一実施例によるオイル駆除船がオイル汚染場でオイルを収集する状況を模式的な態様で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の概略図面を参照して、本発明の説明を行う。
【0026】
本発明による分離構造は、特に3つのハルを持つ船、即ちトリマラン用に適している。好ましくは、船は、更に、定着氷を割ることができる。
【0027】
図1aないし図1cを参照するに、3つのハルを持つ船500は、中央のハルSH1と、右側のサイドハルSH3と、左側のサイドハルSH2とを含む。ハルSH1,SH2,SH3は、甲板DC1により互いに接続されることができる。キールと水面の間の角度は、αである。キールがない場合は、角度αは、水面WL1の高さでの中央のハルSH1の底部と水面との間の角度を意味する。
【0028】
図2を参照するに、船500は、定着氷を割るのに適するように寸法付けされることができる。サイドハルSH2、SH3の船首は、中央ハルSH1の船首よりも実質的に更に後方に位置されることができ、これにより、氷の上部をすべるサイドハルは、比較的小さい力を用いて中央ハルSH1の両側で氷からのブロックJ1を割ることができる。サイドハルSH2、SH3は、定着氷が中央ハルSH1の側方では割られるべきブロックを支持していないので、定着氷からブロックを容易に割って分離する。
【0029】
サイドハルSH2、SH3は、また、氷を完全に通っていく必要は無いが、典型的には、サイドハルが定着氷から氷ブロックJ1を曲げて離すだけで十分である。サイドハルSH2、SH3の喫水は、従って、中央ハルSH1の喫水よりも顕著に小さくすることができる。
【0030】
中央ハルSH1は、従来の砕氷船から知られた原理を使用して氷を割ることができる。中央ハルSH1は、氷割をより効率的にする突出したキールK1を有することができる。キールと水面の間の角度αは、低い勾配になるように選択されることができ、従って、中央ハルSH1は、実質的に氷を下方に押すことによって氷を割る。角度αは、例えば範囲10−25°内であることができる。その低い勾配の入射角によって、中央ハルSH1の前部は、冷たい状況で氷上の部分的に乗り、氷を下に押すことによって氷を割る。割るのに必要なエネルギは、従って、氷が水面WL1の方向に略突き当たって破片にされる場合に比べて、非常に小さくなる。また、水面WL1に対するサイドハルSH2、SH3の角度は、例えば10−25°の範囲内で選択されることができ、従って、サイドハルSH2、SH3は、氷を下方に容易に押す。
【0031】
氷ブロックJ1は、また、最後には船500のハルSH1、SH2,SH3の下方に来ることができるが、これらのブロックは、図面を簡易化する目的のために図2に示されていない。
【0032】
SXは、船の主要な走行方向及び中央ハルSH1の方向を意味する。
【0033】
船500は、少なくとも1つの推進デバイスP1と、考えられうるラダーR1を有する。2つ以上の推進デバイスP1を有することができ、これにより、時々、サイドハルSH2、SH3に向けて氷が方向付ける非対称な力は、効率的に補償されることができる。中央ハルの船尾では、2つ以上のプロペラが互いに実質的に並んで存在することができる。推進デバイスのプロペラ軸の方向は、180度若しくは360度もの回転が可能とされてもよい。推進デバイスは、例えばAzipod(ABB社の商標)やAquamaster(ロールスロイス社の商標)であることができる。
【0034】
1つ以上の推進デバイスP1は、好ましくは、サイドハルSH2、SH3は必ずしも氷を通って到達する必要が無いので、中央ハルSH1に位置される。
【0035】
図1aないし図2による3つのハルを持つ砕氷船は、例えば特許文献WO2007054607に開示される。図1aないし図2又は特許文献WO2007054607に特に示される3つのハルを持つ砕氷船は、後述のオイル分離デバイス及びオイル収集デバイスを備えることができる。
【0036】
図3aを参照するに、中央ハルSH1とサイドハルSH2の間に分離構造100が存在してよく、分離構造100は、船500が移動しているとき、中央ハルSH1とサイドハルSH2の間を移動する氷ブロックを、海面の下方に押すと共に、当該氷ブロックを水面下に長い十分な時間保持し、これにより、オイルB1は、氷ブロックJ1から分離する時間を有し、表面へと上昇する。分離構造100は、好ましくはグレート(grate)である。中央ハルSH1と第2のサイドハルSH3の間には、好ましくは、第2の同様の分離構造100bが存在し、これにより、オイルは、より広い領域から収集されることができ、また、船500に氷が付加する力が可能な限り対称になるだろう。
【0037】
分離され表面に向かって上昇したオイルは、船500に対して移動し、これにより、オイルは、例えばオイル収集ユニット200に接して集まり、当該オイル収集ユニット200で扱うことができるオイル斑点になることができる。オイル収集ユニットは、オイルB4と共に収集されたと考えられる水を分離することができ、オイルB4は、容器300内にポンプにより吸引されることができる。ある場合には、オイルと水の混合物は、また、かくして容器300に収集されてもよい。これは、例えば小さいオイル汚染で実行されることができる。
【0038】
船500の中央ハルSH1の両側又は底部には、少なくとも1つのエアダクト190が存在してもよく、少なくとも1つのエアダクト190からのエアにより、分離構造100を通る底部でのオイルの移動をより効率的にすることができる。
【0039】
図3bは、図3aによる分離構造100の側面視を示す。分離構造100は、船500が移動しているとき、船首から船尾へと中央ハルSH1とサイドハルSH2の間を移動する氷ブロックJ1を海面の下方に押す第1の構造部10を有する。分離構造100は、船500が移動しているとき、中央ハルSH1とサイドハルSH2の間を移動する氷ブロックJ1を海面の下方に保持するように適合された第2の構造部20を有する。当該第2の構造部20は、好ましくは、少なくとも部分的に水及びオイルに対して透過性を有する。動きに対する抵抗を低減し収集効率を改善するために、好ましくは、第1の構造部10も、少なくとも部分的に水及びオイルに対して透過性を有する。第1及び第2の構造部10,20は、例えば、同一のグレートの部分であることができる。
【0040】
氷J1を下方に押す第1の構造部10は、また、水面下に氷ブロックを保持する構造としても機能するが、下方に氷を保持する第2の構造部20は、必ずしも氷の高さ位置を変更することができる必要は無い。
【0041】
構造部10の下面は、水面WLに対して角度βであることができる。構造部20の下面は、略水平であることができる。図3bに示される構造部10,20の間の小さい方の角度は鋭角であるが、分離構造100は、側方から見たとき、そりのランナの形状であってもよい。構造部10,20の接続ポイントの曲率半径は、氷のすべりを促進するために、例えば、0.2m以上であることができる。曲率は、下方をすべるより大きい氷ブロックJ1からの小さい氷ブロックの分離を最小化することができる。小さい氷ブロック及び氷スラッジは、水面WL1からの分離したオイルの収集を阻害しうる。
【0042】
第1の構造部10が水及びオイルに対して透過性を有する場合、氷J1内のオイルは、船500が前方に移動しているとき、水面WL1の方向で、例えばグレートである構造部10を略真っ直ぐ通過し始めることができる。水中のオイルは、従って、必ずしもより深く押される必要はなく、より深く押される場合は、オイルが表面に戻ってくるように上昇し又は表面に向かって上昇するのを待つ必要があるだろう。
【0043】
構造部10及び/又は20は、分離構造100を貫通する開口又はギャップを有してもよく、従って、構造部10,20の下面の表面領域の開口若しくはギャップの部位は、例えば少なくとも30%であり、好ましくは少なくとも60%である。
【0044】
オイルは、氷ブロック間の斑点B1内にありうり、若しくは、氷ブロックの表面上の斑点B2として存在しうる。収集されるべきオイル若しくはオイルラフィネートの密度は、水よりも小さく、従って、オイルは、分離構造100内の開口を通って上方を上昇する傾向となる。氷から分離されたオイルB3は、水面に完全に上昇することができる。氷から分離されたオイルは、また、オイルが表面に上昇するまでに既に収集されることもできる。分離されたオイルB3は、斑点B4へとオイル収集ユニットの前で集まりうり、斑点B4は、オイル収集ユニット200により収集されることができる。
【0045】
この明細書において、効率的に収集することとは、単位時間当たりでどれくらいの質量のオイルを収集できるかを意味する。
【0046】
この明細書において、収集能力とは、船500により割られた氷の領域内に存在するオイルの全体の質量に対する船500により収集されるオイルの質量を意味する。割れた氷の領域は、割られた通路の全幅と通路の全長を掛けたほどの大きさである。
【0047】
分離されたオイルB3は、比較的ゆっくりと水中を上昇しうる。収集能力は、船500に対する遅い走行速度を選択することによってある程度増加することができる。しかし、問題は収集効率が低減しうることである。
【0048】
オイルダメージを抑制するとき、収集効率を最大化する最適な走行速度で船500を駆動しようとする。この最適な走行速度は、例えば試験駆動、ミニチュアモデル及び/又はシミュレーションによって定義されることができる。
【0049】
図3cを参照するに、氷ブロックJ1は、所定の時間だけ水面下に維持され、所定の時間は、例えば10秒以上であることができ、若しくは、60秒以上もの長さであることができる。これを構成するために、水面下にある分離構造の部分の長さL1は、例えば水線に沿って中央ハルSH1の長さの全長の15%以上であることができる。水面下にある分離構造100の部分の長さL1は、好ましくは、水線に沿って中央ハルSH1の長さの30%以上であることができ、若しくは、水線に沿ってサイドハルSH2の長さの60%以上であることができる。オイル収集ユニット200のオイル入口ポイント202が正確に船尾にない場合は、水面WL1と分離構造100の交差ポイントとオイル入口ポイント202との間の距離である距離L2が保持時間に関して重要である。また、距離L2は、水線に沿って中央ハルSH1の長さの全長の15%以上であることができる。距離L2は、好ましくは、水線に沿って中央ハルSH1の長さの30%以上であることができ、若しくは、水線に沿ってサイドハルSH2の長さの60%以上であることができる。距離L2は、例えば、10m以上であってよい。
【0050】
分離構造100の長さは、好ましくは、水線に沿ってサイドハルSH2の長さよりも小さい。分離構造100の後部は、中央ハルSH1とサイドハルSH2の間に完全にある場合は、分離構造100が船500の船尾から突出している場合よりも良好に、氷により生ずる応力から退避される。サイドハルSH2、SH3の後端は、船の長手方向で、中央ハルSH1の後端と実質的に同じレベルまで突出することができる。分離構造100の前部は、好ましくは、サイドハルSH1が定着氷からブロックJ1を割って離した後でのみ、氷ブロックJ1を下方に押し始める。
【0051】
収集効率を最大化するために、好ましくは、分離構造100の下面と水面WL1の間の高さの差h1は、好ましくは、できるだけ小さく、例えば50cmよりも小さい。
【0052】
ある状況では、分離構造100も氷を割るために使用されなければならない場合もありうる。従って、好ましくは、分離構造100は、適切に重くなるように寸法付けされる。これは、高さの差h1の最小値を制限する。
【0053】
氷ブロックを下方に押す構造10の下面と水面WL1との間の水面WL1の高さでの角度βは、例えば5〜35°の範囲であることができ、好ましくは、10〜30°の範囲、より好ましくは10〜15°の範囲である。
【0054】
水面WL1と、氷ブロックを下方に維持する構造20の上面との間の高さの差h2は、少なくともオイル収集ユニット若しくはオイルガイドフェンス30(図4a)により、好ましくは10cmより大きくすることができる。これは、オイル収集ユニット200の底部が完全に水中になることを可能とし、これにより、オイル収集ユニット200は、構造的に簡易になることができる。オイル収集ユニット200は、例えばブラシスキマー、即ちブラシピラー(brush peeler)を有してもよい。
【0055】
代わりに、水面が、氷ブロックを下方に維持する構造20の上面よりも低い場合(差h2が負である場合)は、使用されうるブラシスキマーのブラシは、グレートのレール間の水面を掃くように到達しなければならない。
【0056】
分離構造100は、例えば、幾つかの隣接したレール若しくはビームからなるグレートであってよい。レールは、好ましくは、実質的に中央ハルSH1の方向にある。レールの鉛直方向の寸法は、前部よりも後部で小さくてよい。これは、氷により生じる推定応力も前部よりも後部で小さいためである。
【0057】
図3dを参照するに、氷ブロックJ1を下方に押す分離構造100の構造部10は、オイルB3及び水に対して透過性を有してよい。定着氷若しくは氷ブロックJ1を下方に押すとき、ブロックJ1間の若しくはその表面上のオイルB1,B2の少なくとも一部は、氷から分離され、これにより、分離されたオイルB3は、オイル収集ユニット200若しくはオイルガイドフェンス30(図4a)へと前方に構造部10を通って船の方向に水と共に通過することができる。分離されるべきオイルは、従って、必ずしも氷ブロックJ1と共により深く押されその後再び上昇する必要は無いが、その代わり、オイルは、氷中にあるとき、それが存在する深さと略同じ深さでグレートを通過することができる。
【0058】
構造部10がオイル及び水に対して透過性を有する場合、氷を下方に保持する構造部20は、短くてよく及び/又はオイル水に対して透過性が無くてもよい。オイル収集ユニットが第1の構造部10の直後若しくはその上に配置される場合、第2の構造部20は、必ずしも必要ですらない。しかし、構造部10で生ずる氷からの分離と、オイル収集ユニット200への到着との間の時間が短い場合、分離されたオイルB3は、必ずしも水面WL1に向けて十分に上昇する時間を有さない。これにより、オイル収集ユニット200に到着するオイル/水の混合物は、無刺激でありうり、オイル収集ユニット200から大きな容量を必要としうる。しかしながら、オイル収集ユニット200の容量が十分大きい場合は、船500の走行速度は、少なくともオイルが表面に上昇するのに十分な時間を保証するために、必ずしも制限される必要はない。
【0059】
第2の構造部20がオイル及び水に対して透過性を有さない場合でも、できるだけ長い時間は、できるだけ長い第2の構造部20を選択することによって、表面にオイルが上昇するようにするために確保されることができる。
【0060】
氷ブロックJ1を下方に保持する構造部20がオイル及び水に対して透過性を有する場合、氷ブロックJ1を下方に押す構造部10は、原理上、オイル及び水に対して透過性を有さないスチールプレートであって、例えば角度βで設定されるスチールプレートであることもできる。しかし、最適な収集効率及び性能は、これにより達成されない。加えて、動きに対する抵抗もこれにより大きい。
【0061】
分離構造100とオイル分離ユニット200の組み合わせにより、双方の上述のオイル分離原理、即ち氷が下方に押された際に氷中のオイルが水中に留まる傾向、及び、時間をかけて表面に向けて上昇するオイルの傾向が、好ましい態様で利用される。構造部10,20の双方は、従って、好ましくは、オイル及び水に対して透過性を有する。構造部10は、好ましくは、船の走行方向SXに対して逆に通過する少なくともオイルを通過させるべきであり、構造部20は、構造部20を通って斜め上方若しくは真上に上昇する少なくともオイルを通過させるべきである。
【0062】
図4aを参照するに、オイル収集ユニット200は、中央ハルSH1にも配置することができる。船500は、上昇したオイルB4を収集しそれをオイル収集ユニットへ中央ハルSH1の側部の開口40を介して送るため、走行方向に対して斜めのオイルガイド構造30を有してよい。オイルは、オイル収集ユニット200で水から分離されることができ、分離されたオイルは、容器300内へ汲み入れられることができる。分離された水は、海に帰されることができる。
【0063】
ガイド手段30と走行方向の間の角度γは、例えば10−70°の範囲内であることができる。
【0064】
船500は、オイル収集ユニット200へハルSH1、SH2,SH3の側部からオイルB4又はオイル含有の水を吸引する少なくとも1つのポンプ42を有することができる。船500は、オイル収集ユニット200を通過した水を除去して海に戻すための少なくとも1つのポンプを有することができる。
【0065】
図4bには、図4aの状況が側面視で示される。オイル案内構造30は、船500が前方に走行している間、上昇したオイルB4を捕捉し、それを中央ハルSH1内のオイル収集ユニットへと案内する。
【0066】
図4cには、図4aの状況が3次元視で示される。分離構造100は、このように、幾つかの隣接するスライドレール12から形成されるグレートを含んでよい。オイルB3は、水に対して略真っ直ぐ上方のレールあって、移動する分離構造100に対して斜め後方のレール間のギャップから上昇することができる。水面上のオイルは、実質的に水面WL1の方向のレール12間を真っ直ぐ通過することができる。
【0067】
図5aを参照するに、分離構造100のレール12は、横ビーム50,60により互いに結合されてもよい。氷ブロックJ1は、レール12の下面に沿ってすべり、分離されたオイルB3は、レール12間から上昇することができる。
【0068】
横方向の支持体50、60の断面の形状は、流れの抵抗が小さくなり及び/又は横方向の支持体が前部で氷スラッジを収集しないように、選択されることができる。
【0069】
図5bを参照するに、氷ブロックを下方に維持する構造部20の横方向の支持体62は、レール12間に配置されることができ、従って、レールの上面も船500の走行方向で滑らかである。従って、横方向の支持体62が前部で、レールを通過しうる氷ブロックを収集する可能性は、低減されることができる。
【0070】
レール間のギャップd2は、好ましくは、5〜10cmの範囲である。ギャップd2が、氷ブロックの厚さ若しくは割るべき定着氷の厚さに比べて大きすぎる場合、氷ブロックJ1は、グレートのレール12間を通過しうる。通過した氷ブロックは、オイルガイド手段30及び/又はオイル収集器200の動作を阻害しうる。
【0071】
図1aないし図2による氷割を行う3つのハルを持つ船500の効果は、ハルSH1、SH2の間の移動する割られた氷ブロックJ1が主に比較的大きいサイズであることである。従って、氷ブロックJ1がレール12間のギャップを相当な量で通過する可能性が低減される。
【0072】
船500はそのように寸法付けられることができ、割るべき定着氷の厚さに対する船500の速度及び走行深さは、第1の構造部10により下方に押される氷ブロックJ1の平均の直径が、例えば、船の中央ハルSH1とサイドハルSH2の間の距離の1/3倍以上となるように、選択されることができる。平均の直径は、下方に押されるべき氷ブロックJ1の質量に応じた直径の重み付け平均として計算される。氷ブロックJ1の平均の直径は、例えば、0.3m以上であってよい。
【0073】
分離構造100は、厚い氷ブロック若しくは積氷にしばしば当たりうり、従って、好ましくは、重くなるように寸法付けされる。レールの厚さd3は、例えば、割られるべき定着氷の厚さの1〜5%の範囲内若しくは2〜5cmの範囲内であってよい。
【0074】
レール12を通過した氷ブロックJ1及び/又は氷スラッジは、最後にはオイル斑点B4(図3a,図4a,図4c参照)内に来て、オイル収集ユニット200におけるオイルの収集を阻害しうる。
【0075】
しばしば、オイル収集ユニット200若しくはオイル案内フェンス30の前部から氷ブロックJ1及び/又は氷スラッジを除去することが必要となりうる。船500は、例えば、オイル案内フェンス30若しくはオイル収集ユニット200を水の外に一時的に持ち上げる手段を有してもよい。このとき、氷ブロックJ1及び/又は氷スラッジは、中央ハルSH1とサイドハルSH2の間のスペースを離れることができるだろう。しかし、欠点は、このとき、オイル斑点B4の少なくとも一部が海に戻りうることである。
【0076】
図4dを参照するに、オイル斑点B4内に辿り着く氷スラッジは、例えば、オイル斑点B4から外に小さい氷ブロックJ1及び/又は氷スラッジをすくい上げるように構成された機械的なふるい(漉し器)38を用いて、海へと取り除かれることができる。作動機械は、ふるい38に接続されてもよく、例えば経路M1,M2、M3,M4によりふるい38を移動させる。経路M1は、氷ブロックJS1の下方にふるい38を持ってくる。経路M2は、水面WL1ふるい38を持ち上げ、ふるい38をフェンス30の背後に持ってくる。経路M3は、氷ブロックJS1をフェンス30の背後の海へと降ろす。経路M4は、フェンス30の前にふるい38を戻す。
【0077】
オイル斑点B4内に辿り着く氷スラッジは、また、例えばショベルにより手作業で除去することができる。分離構造100上には、例えばこの目的のために、歩足面とてすりを有する1つ以上の整備橋が存在してもよい。
【0078】
図3a及び図4aに戻るに、オイルの収集は、部分的に、例えば加圧エアのようなガスを、ガスダクト190を介して中央ハルSH1及び/又はサイドハルSH2、SH3の下方に噴射することによって増強されることができる。ハルSH1、SH2、SH3の底部に沿って上昇するエアは、底部の下及び側部上のオイルを連れて集め、分離構造100を通った上昇を促進する。当該ガスの泡は、また、ハルと氷の間の摩擦を低減することができる。
【0079】
容器300が収集されたオイルで充填されるにつれて船の喫水が増加しうり、氷割とオイル収集に関する船500の最適な走行深さは、例えばバラストタンクにより制御されることができる。
【0080】
収集されたオイル及び/又はオイル/水の混合物は、船500の外の艀へと吸い上げられることができる。
【0081】
船500は、中央ハルSH1及び/又は水面WL1に対する分離構造100の高さを調整するデバイスを有してもよい。
【0082】
船500は、船500がオイルを収集するために使用されていないときに水から分離構造100を持ち上げるデバイスを有してもよい。
【0083】
分離構造100は、分離構造に氷が付加する力が瞬間的に非常に大きくなり構造へのダメージの危険性がある場合は、分離構造の上方及び/又は後方の動きを可能とする部材が取り付けられてよい。
【0084】
分離構造100は、直径5〜10cmの開口を有する、例えばスチール鋼であってもよい。
【0085】
図1aないし図3a及び図4aを参照するに、トリマランは、3つの実質的に隣接したハルを有するシップ、ボート若しくは他の船を意味する。
【0086】
小型のトリマランの中央ハルSH1の水線に沿った長さは、例えば10〜20mの範囲内であってよい。中型のトリマランの中央ハルの水線に沿った長さは、例えば20〜50mの範囲内であってよい。大型のトリマランの中央ハルの水線に沿った長さは、例えば50〜100mの範囲内であってよい。非常に大型のトリマランの中央ハルの水線に沿った長さは、例えば100〜300mの範囲内であってよい。
【0087】
中央ハルSH1の幅は、中央ハルSH1の水線に沿った長さの例えば13〜24%の範囲であることができ、サイドハルSH2,SH3の幅は、中央ハルSH1の水線に沿った長さの例えば2〜8%の範囲であることができ、中央ハルSH1からのサイドハルSH2,SH3の距離は、中央ハルSH1の水線に沿った長さの例えば6〜12%の範囲であることができる。
【0088】
中央ハルSH1の排水量は、全体の船500の排水量の例えば70〜95%であることができ、好ましくは、全体の船500の排水量の例えば80〜90%であることができる。船500の排水量のサイドハルSH2,SH3の部分は、従って、好ましくは、5〜10%である。
【0089】
船500は、中央ハルSH1及びサイドハルSH2,SH3に加えて、1つ以上の追加のハルを有してもよい。追加のハルは、サイドハルSH2,SH3の側部に位置されることができ、及び/又は、ハルSH1、SH2、SH3の背後に配置されることができる。
【0090】
2つのトリマラン500は、互いに並んで走行するように結合されることができる。
【0091】
図1cに戻るに、中央ハルSH1は、サイドハルSH2,SH3が氷を実質的に割り始めるポイントから開始する、船尾に向けてテーパーが付けられてもよい。これにより、狭いスペースでの後方へのハルSH1、SH2間の氷ブロックの移動が防止される。
【0092】
収集効率のために、可能な限り船500の船尾に近接してオイル収集ユニット200若しくは案内手段30を配置することが最も好ましく、これにより、氷ブロックJ1が分離構造100の下方にいる保持時間であって、船500の長さ及び速度を考慮するときにできるだけ長い保持時間が得られる。
【0093】
オイル収集ユニットは、水からオイルを分離する手段を有してもよい。オイル収集ユニット200は、例えばブラシピラー、即ち回転若しくは移動するブラシを有するブラシスキマー(図示せず)を有してよい。ブラシは、そのブラシ毛がオイル斑点B4の表面の下方を通過するように配置され、これにより、オイルの一部がブラシに付着する。付着したオイルは、ブラシ毛をワイピング又は圧搾することによって分離することができる。ブラシ毛から分離されたオイルは、容器300内に吸引されることができる。
【0094】
オイル収集ユニット200は、オイル斑点B4の表面の高さで正確に保持される吸引ノズルを有してもよい。ノズルを用いて吸引するとき、主に水に代わりオイルを収集することができる。電気式、油圧式若しくは水圧式アクチュエータ及び/又はフロートは、ノズルの高さ調整のために使用されることができる。オイル収集ユニットは、かくして吸引スキマーを有してもよい。
【0095】
オイル収集ユニット200は、オイル斑点B4内のオイルを掃くベルト、リボン若しくは他の移動する表面を有してよい。オイルの部分は、ベルトに付着し、そこから、後に、収集容器300内へとふき取られ若しくは圧搾されることができる。オイル収集ユニットは、かくしてベルトスキマーを有してもよい。
【0096】
オイル収集ユニット200は、水からオイルを分離するサイクロンを有してよい。オイル収集ユニットは、かくしてサイクロンスキマーを有してもよい。
【0097】
図6には、オイルタンカー600が氷の状況でアクシデントにあった状況が示され、その結果、オイルB5がタンカー600から水内へ漏れている。オイルタンカー600は、例えば、氷内に生成された通路のエッジに強制的に当たり若しくは乗揚げ、これにより、オイルが水内に流れることができる開口が、タンカー600の側部若しくは底部に裂け目としてできている。
【0098】
オイル駆除船500は、オイルタンカー600から漏れたオイルB5を収集し、オイルダメージを抑制するために事故現場に到着する。オイル駆除船500が事故現場に直ぐに到着した場合、タンカー600から漏れたオイルB5は、広い領域に拡散する時間はないが、オイルB5は、主にオイルタンカー600の近傍にある。これにより、これにより、氷を割りつつ船500をオイルタンカー600のまわりに移動させることによってオイルを収集することは必ずしも価値があるものでない。これは、この措置は、おそらくは、広い領域にオイルB5を拡散し、氷スラッジ及び氷ブロックJ1内にオイルB5を混合させてしまうだろうためである。これは、オイルB5の収集を大幅により困難にするだろう。
【0099】
図6に示すように、船500は、水底に対して実質的に所定位置にアンカーA1により取り付けられる。船500を取り付けた後、船500の推進デバイスP1は、船500のまわりの水を移動させるために使用される。示すように、流れ(図で矢印で指示)が推進デバイスP1により達成され、当該流れは、オイルB5、氷スラッジ及び氷ブロックJ1をオイル駆除船500の船首に向けて案内し、特に船の中央ハルSH1とサイドハルSH2、SH3の間に配置された分離構造100,100bに向けて案内する。分離構造100,100bは、水及びオイルが実質的に氷の無い水へと分離構造100,100bを通過することを可能とする。分離構造100,100bは、氷ブロックからオイルを分離し、これにより、オイルの収集は大幅に容易化される。分離され表面に上昇したオイルは、収集デバイスにより容器300内に収集される。船500は、ここでは、水底に対して実質的に所定位置に配設されているが、分離構造100,100bは、推進デバイスP1により達成される水の流れ及び底部に対する船500の鉛直方向の動きに起因して、依然として氷を下方に押す。船500の船尾に接した積氷が生ずる場合、船500は、必要なとき、分離構造100,100bから積氷を除去するために移動されることができる。
【0100】
推進デバイスP1を用いて達成される流れ場は、船500のまわりの広い領域に広がる。図6に示すように、定着氷の下方へと通路の外側に達する流れが、推進デバイスP1を用いて達成される。水の流れは、船500に関連して配設されるラダーR1を用いてガイドされることができる。ラダーR1の位置を変化させることによって、船500まわりの水の流れは変化されることができ、従って、オイルB5は、船500の船首に向けて可能な限り効率的に移動し、収集のために分離構造100,100bを通って前進する。
【0101】
本発明は、説明及び図面における上述の実施例のみに限定されない。趣旨は、本発明を添付の請求項に提示される範囲のみに限定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの中央のハルと、第1のサイドハルと、第2のサイドハルを有する船であって、
前記中央のハルと前記第1のサイドハルの間に設けられ、氷ブロック内のオイルを分離する分離構造であって、当該船が移動しているときに水面下に前記中央のハルと前記第1のサイドハルの間で移動する氷ブロックを押すための第1の部位を有すると共に、水及びオイルに対して透過性がある少なくとも1つの部位を有する分離構造と、
下に押され前記分離構造を通過した前記氷ブロックから分離されたオイルを収集する手段とを含むことを特徴とする、船。
【請求項2】
前記分離構造は、前記中央のハルに対して不動に構成され、若しくは、実質的に当該船の1つ以上の推進デバイスの振動及び氷ブロックにより生じる力の影響のみによって振動するように構成される、請求項1に記載の船。
【請求項3】
前記分離構造は、更に、押し下げられた氷ブロックを水面下に維持するための第2の部位を有する、請求項1又は2に記載の船。
【請求項4】
前記第1の部位は、水及びオイルに対して透過性がある、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項5】
前記第2の部位は、水及びオイルに対して透過性がある、請求項3又は4に記載の船。
【請求項6】
前記分離構造は、氷ブロックのすべりを促進するために当該船の長手方向で略平滑な下面を有するグレートである、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項7】
前記第1の部位の下面と水面の角度は、水面の高さで10度から30度の間である、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項8】
前記分離構造は、水面に沿った前記中央のハルの長さの30%以上の距離で水面の下方に氷ブロックを維持するように構成される、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項9】
当該船は、前記中央のハルに対して斜めのオイル案内構造を含み、前記オイル案内構造は、当該船が移動している間、前記分離構造を通過したオイルを、前記中央のハル又はサイドハルに位置するオイル収集ユニット内へ収集するように構成される、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項10】
当該船は、少なくとも1つのポンプを有し、前記少なくとも1つのポンプは、前記オイル収集ユニットにオイルを送るように構成される、請求項9に記載の船。
【請求項11】
当該船は、オイルが水面から収集される前に、水面上のオイルから、前記分離構造を通過した氷スラッジ及び/又は小さい氷ブロックを除去する手段を備える、請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項12】
当該船は、前記中央のハルの水線下にガスを導く少なくとも1つのガスダクトを含み、これにより、前記中央のハルの下方及び/又は側方のオイルの前記分離構造を介した移動が増大される、請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項13】
氷又は氷ブロックにより覆われた水の領域からオイルを収集する方法であって、
少なくとも3つのハルを備えた移動する船の中央のハルとサイドハルの間に取り付けられた分離構造を用いて、水面下に氷ブロックを押し、
押し下げられ前記分離構造を通過した前記氷ブロックから分離されたオイルの少なくとも一部を収集することを含む、方法。
【請求項14】
前記分離構造は、前記中央のハルに対して不動であり、若しくは、前記分離構造は、実質的に前記船の1つ以上の推進デバイスの振動及び氷ブロックにより生じる力の影響のみによって振動する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記分離構造は、氷ブロックのすべりを促進するために前記船の長手方向で略平滑な下面を有するグレートである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記分離構造の下面と水面の角度は、水面の高さで10度から30度の間である、請求項13〜15のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記氷ブロックは、水面に沿った前記中央のハルの長さの30%以上の距離で水面の下方に維持される、請求項13〜16のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記分離構造を通過したオイルは、前記船の前記中央のハルに対して斜めのオイル案内構造を用いて、前記中央のハル又はサイドハルに位置するオイル収集ユニット内へ収集される、請求項13〜17のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記船のハルの脇から前記オイル収集ユニット内にオイルを汲み上げる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記中央のハルの下方若しくは側方のオイルを前記分離構造を通って移動させるように前記中央のハルの下方若しくは側方にガスを導くことを含む、請求項13〜19のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
オイルが水面から収集される前に、水面上のオイルから、前記分離構造を通過した氷スラッジ及び/又は小さい氷ブロックを少なくとも部分的に除去する、請求項13〜20のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記船により定着氷を割ることを含む、請求項13〜21のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記船により前記定着氷から割られて離脱し前記分離構造で押し下げられる前記氷ブロックの平均の直径は、0.3メートル以上である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記船の寸法、喫水及び走行速度は、前記船により前記定着氷から割られて離脱し前記分離構造で押し下げられる前記氷ブロックの平均の直径が、前記船の中央のハルとサイドハルの間の距離の1/3倍以上となるように、選択され、前記平均の直径は、押し下げられた前記氷ブロックの質量に従って重み付けて計算される、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
氷又は氷ブロックにより覆われた水の領域からオイルを収集する方法であって、
船が、水底に対して実質的に所定位置に固定され、
前記船の周りの水が除去され、これにより、流れが、水内のオイルを、前記船の中央のハルとサイドハルの間に取り付けられた分離構造に向けて案内し、
前記分離構造を通過したオイルが、少なくとも部分的に収集されることを含む、方法。
【請求項26】
前記分離構造は、前記中央のハルに対して不動であり、若しくは、前記分離構造は、実質的に前記船の1つ以上の推進デバイスの振動及び氷ブロックにより生じる力の影響のみによって振動する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記分離構造は、氷ブロックのすべりを促進するために前記船の長手方向で略平滑な下面を有するグレートである、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記分離構造の下面と水面の角度は、水面の高さで10度から30度の間である、請求項25〜27のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記分離構造を通過したオイルは、前記船の前記中央のハルに対して斜めのオイル案内構造を用いて、前記中央のハル又はサイドハルに位置するオイル収集ユニット内へ収集される、請求項25〜28のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記船のハルの脇から前記オイル収集ユニット内にオイルを汲み上げる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記中央のハルの下方若しくは側方のオイルを前記分離構造を通って移動させるように前記中央のハルの下方若しくは側方にガスを導くことを含む、請求項25〜30のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
オイルが水面から収集される前に、水面上のオイルから、前記分離構造を通過した氷スラッジ及び/又は小さい氷ブロックを少なくとも部分的に除去する、請求項25〜31のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも1つの中央のハルと、第1のサイドハルと、第2のサイドハルを有する船であって、
前記中央のハルと前記第1のサイドハルの間に設けられ、氷ブロック内のオイルを分離する分離構造であって、当該船が移動しているときに水面下に前記中央のハルと前記第1のサイドハルの間で移動する氷ブロックを押すための第1の部位を有すると共に、水及びオイルに対して透過性がある少なくとも1つの部位を有する分離構造と、
下に押され前記分離構造を通過した前記氷ブロックから分離されたオイルを収集する手段とを含むことを特徴とする、船。
【請求項2】
前記分離構造は、前記中央のハルに対して不動に構成され、若しくは、実質的に当該船の1つ以上の推進デバイスの振動及び氷ブロックにより生じる力の影響のみによって振動するように構成される、請求項1に記載の船。
【請求項3】
前記分離構造は、更に、押し下げられた氷ブロックを水面下に維持するための第2の部位を有する、請求項1又は2に記載の船。
【請求項4】
前記第1の部位は、水及びオイルに対して透過性がある、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項5】
前記第2の部位は、水及びオイルに対して透過性がある、請求項3又は4に記載の船。
【請求項6】
前記分離構造は、氷ブロックのすべりを促進するために当該船の長手方向で略平滑な下面を有するグレートである、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項7】
前記第1の部位の下面と水面の角度は、水面の高さで10度から30度の間である、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項8】
前記分離構造は、水面に沿った前記中央のハルの長さの30%以上の距離で水面の下方に氷ブロックを維持するように構成される、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項9】
当該船は、前記中央のハルに対して斜めのオイル案内構造を含み、前記オイル案内構造は、当該船が移動している間、前記分離構造を通過したオイルを、前記中央のハル又はサイドハルに位置するオイル収集ユニット内へ収集するように構成される、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項10】
当該船は、少なくとも1つのポンプを有し、前記少なくとも1つのポンプは、前記オイル収集ユニットにオイルを送るように構成される、請求項9に記載の船。
【請求項11】
当該船は、オイルが水面から収集される前に、水面上のオイルから、前記分離構造を通過した氷スラッジ及び/又は小さい氷ブロックを除去する手段を備える、請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項12】
当該船は、前記中央のハルの水線下にガスを導く少なくとも1つのガスダクトを含み、これにより、前記中央のハルの下方及び/又は側方のオイルの前記分離構造を介した移動が増大される、請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の船。
【請求項13】
氷又は氷ブロックにより覆われた水の領域からオイルを収集する方法であって、
少なくとも3つのハルを備えた移動する船の中央のハルとサイドハルの間に取り付けられた分離構造を用いて、水面下に氷ブロックを押し、
押し下げられ前記分離構造を通過した前記氷ブロックから分離されたオイルの少なくとも一部を収集することを含む、方法。
【請求項14】
前記分離構造は、前記中央のハルに対して不動であり、若しくは、前記分離構造は、実質的に前記船の1つ以上の推進デバイスの振動及び氷ブロックにより生じる力の影響のみによって振動する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記分離構造は、氷ブロックのすべりを促進するために前記船の長手方向で略平滑な下面を有するグレートである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記分離構造の下面と水面の角度は、水面の高さで10度から30度の間である、請求項13〜15のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記氷ブロックは、水面に沿った前記中央のハルの長さの30%以上の距離で水面の下方に維持される、請求項13〜16のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記分離構造を通過したオイルは、前記船の前記中央のハルに対して斜めのオイル案内構造を用いて、前記中央のハル又はサイドハルに位置するオイル収集ユニット内へ収集される、請求項13〜17のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記船のハルの脇から前記オイル収集ユニット内にオイルを汲み上げる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記中央のハルの下方若しくは側方のオイルを前記分離構造を通って移動させるように前記中央のハルの下方若しくは側方にガスを導くことを含む、請求項13〜19のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
オイルが水面から収集される前に、水面上のオイルから、前記分離構造を通過した氷スラッジ及び/又は小さい氷ブロックを少なくとも部分的に除去する、請求項13〜20のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記船により定着氷を割ることを含む、請求項13〜21のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記船により前記定着氷から割られて離脱し前記分離構造で押し下げられる前記氷ブロックの平均の直径は、0.3メートル以上である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記船の寸法、喫水及び走行速度は、前記船により前記定着氷から割られて離脱し前記分離構造で押し下げられる前記氷ブロックの平均の直径が、前記船の中央のハルとサイドハルの間の距離の1/3倍以上となるように、選択され、前記平均の直径は、押し下げられた前記氷ブロックの質量に従って重み付けて計算される、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
氷又は氷ブロックにより覆われた水の領域からオイルを収集する方法であって、
船が、水底に対して実質的に所定位置に固定され、
前記船の周りの水が除去され、これにより、流れが、水内のオイルを、前記船の中央のハルとサイドハルの間に取り付けられた分離構造に向けて案内し、
前記分離構造を通過したオイルが、少なくとも部分的に収集されることを含む、方法。
【請求項26】
前記分離構造は、前記中央のハルに対して不動であり、若しくは、前記分離構造は、実質的に前記船の1つ以上の推進デバイスの振動及び氷ブロックにより生じる力の影響のみによって振動する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記分離構造は、氷ブロックのすべりを促進するために前記船の長手方向で略平滑な下面を有するグレートである、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記分離構造の下面と水面の角度は、水面の高さで10度から30度の間である、請求項25〜27のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記分離構造を通過したオイルは、前記船の前記中央のハルに対して斜めのオイル案内構造を用いて、前記中央のハル又はサイドハルに位置するオイル収集ユニット内へ収集される、請求項25〜28のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記船のハルの脇から前記オイル収集ユニット内にオイルを汲み上げる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記中央のハルの下方若しくは側方のオイルを前記分離構造を通って移動させるように前記中央のハルの下方若しくは側方にガスを導くことを含む、請求項25〜30のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
オイルが水面から収集される前に、水面上のオイルから、前記分離構造を通過した氷スラッジ及び/又は小さい氷ブロックを少なくとも部分的に除去する、請求項25〜31のうちのいずれか1項に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【公表番号】特表2011−500439(P2011−500439A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530502(P2010−530502)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050619
【国際公開番号】WO2009/056687
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(508133444)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050619
【国際公開番号】WO2009/056687
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(508133444)
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