説明

オキサゾリドンからアルカノールアミンへの変換を改善する方法

【課題】アルカノールアミンの改善回収方法の提供。
【解決手段】ヒドロキシプロピルオキサゾリドン(HPOZD)を含むアミン流を、苛性溶液を含む流れに加える。この混合流をタンクへ送る。このタンクでHPOZDが苛性剤と反応してDIPAとCO2に変化する。HPOZDをDIPAとCO2に変換するには、溶液中HPOZD1モル当たり水酸化物を2モル以上要する。変換反応は60℃以上の温度で反応容器内で実施する。反応混合物を供給タンクで常時混合しながら約2時間保持する。反応完了後に混合物を放置し、苛性相とアミン相(DIPA及び水を含有する)をほぼ完全に分離する。適切な静置時間後、苛性相の一部を廃液/中和流として反応混合物から取り出す一方、苛性相の他の部分と、アミン相の非常に少量の部分を、後続の反応ステップに用いるためリサイクルタンクへ送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカノールアミンを回収する方法に関する。より詳細には、本発明は、ヒ
ドロキシプロピルオキサゾリドン(HPOZD;[3−(2−ヒドロキシプロピル)−5
−メチル−2−オキサゾリドン])などのオキサゾリドンをジ−イソプロパノールアミン
(DIPA)に変換するための改良された方法である。
【背景技術】
【0002】
気体流や液体流の処理において、酸性ガス不純物(一般に、硫化水素及び二酸化炭素)
は、DIPAなどのアルカノールアミンを含有するアルカノールアミン溶液と接触させる
ことにより、除去する。アルカノールアミン溶液は、酸性ガスの吸収能力が比較的高く、
またアミン含有溶液から酸性ガスを取り除くことが比較的容易にできるという理由で、ア
ルカノールアミン溶液が使用されている。
【0003】
この方法では、例えば、DIPAと二酸化炭素(CO2)との反応により不純物として
HPOZDが生成する。HPOZD分子を形成する反応は、DIPA分子から水分子(H
2O)が1つ脱水することにより起きる。この方法では、他のアルカノールアミンを用い
た場合、同様にしてオキサゾリドンが生成する。
【0004】
この不純物(HPOZD)の現行の変換方法は、数段の長期にわたる段階的加熱及び低
濃度の苛性剤(相当するカチオンを有する)での処理サイクルを要する。この方法は、オ
キサゾリドンを変換してDIPAに戻し、CO2をアミン溶液中に放出して、炭酸塩及び
/又は重炭酸塩を形成し、引き続き、イオン交換樹脂を使用し、反応溶液全体から大半の
カチオンを除去するように調整される。カチオンを反応溶液から除去する能力に関わるの
で、苛性反応物の濃度は低く保持され、その結果、この方法において、HPOZDのDI
PAへの変換率が、一般的に、反応工程ステップ当たり約20%〜25%となる。添加し
た苛性剤からの全てのカチオンを含む全反応混合物は、イオン交換樹脂により処理される
。カチオン交換樹脂の洗浄及び再生を含む全工程は、相当量の水をアミン含有溶液に添加
し、この水は、蒸留手段により除去せねばならない。
【0005】
この現行の方法では、酸性ガス除去に使用される酸性ガスストリッパーカラムから得ら
れる量のアミン含有溶液を処理する。アミン含有溶液は、DIPAなどのアルカノールア
ミン、テトラメチレンスルホンなどの物理的溶媒(physical solvent)、水、CO2、及
びHPOZDと特定された分解生成物からなっていてよい。この溶液を、高温、大気圧で
、苛性剤希釈溶液、限定はされないが、例えば水酸化カリウム(KOH)で処理し、HP
OZD分子を加水分解(H2O分子1つの添加)すると同時に、HPOZD分子からCO2
分子を開裂させ、その結果、遊離DIPA並びに炭酸塩及び/又は重炭酸塩が生じる。こ
の方法により生じたDIPAは、酸性ガス除去のために使用されるアミン含有溶液の主要
な活性成分である点で、使用者にとり有益である。酸性ガス除去に使用されるアミン含有
溶液のHPOZD含分はこの方法により低減する。HPOZDは、ガス及び/又は液体工
程流から酸性ガスをこすり落とすように作用するアミン含有溶液の性能を減じるので、こ
のことは、有益である。
【0006】
アミン溶液は、カチオン交換樹脂で処理した後、「クリーンなアミン」として、アミン
循環系に戻され、そこで、過剰の水と(炭酸塩及び/又は重炭酸塩からの)CO2が溶液
から除去される。
【発明の概要】
【0007】
そのため、本発明の一般的目的は、HPOZD不純物を含有するアミン含有溶液を処理
し、この溶液を、再利用のために系に戻すことのできる「クリーンなアミン」に変換する
より効果的な方法を提供することである。
【0008】
HPOZDをDIPAとCO2に変換する反応方法が提供される。リッチアミン(酸性
ガス含有)流を、アミン再生装置/ストリッパーカラムに導入する。再生装置リボイラー
でアミン溶液を沸騰させてスチームを製造する。再沸騰アミンから生じたスチームをアミ
ンストリッパーの底部付近に導入し、アミン溶液中を上向きに通過させる。ストリッピン
グ蒸気は、アミン溶液から酸性ガスを除去し、ストリッパー頭部から追い払う。酸性ガス
は、こうしてアミン溶液からストリップされ、「リーンアミン」溶液が得られる。高温リ
ーンアミン流は、アミンストリッパーの底部から出て、吸収器に戻され、そこで、新たな
酸性ガスを吸収し、再び「リッチ」となり、再循環して再生装置/ストリッパーカラムに
戻され、そこで、もう1度「リーン」にされる。CO2とDIPAとの副反応のため、時
間と共にHPOZDがアミン溶液に蓄積される。
【0009】
HPOZDを変換してDIPAに戻すために、HPOZD不純物を含有するリーンアミ
ンの一部が反応コンテナ(供給タンク)に移され、そこで、苛性剤供給容器及び/又は「
リサイクル苛性剤」タンクからの苛性溶液(代表的にはKOHであるが、これに限定はさ
れない)を含む溶液と混合される。その際、合わせた流れを、供給タンク中で、所定の温
度(下記参照)で激しく混合し、このタンクで、苛性剤は、HPOZDと反応して、これ
をDIPAとCO2に変換する。
【0010】
HPOZDのDIPAとCO2への変換では、HPOZDの合理的に完全な変換を確実
にするために、溶液中に存在するHPOZD1モル当たり2モルの水酸化物(OH-)を
、化学量論的に要する。しかしながら、この正確な割合を使用しても、反応を完了させる
のに十分な推進力は得られないことが判明した。HPOZDを完全に変換してDIPAに
戻すには、溶液中のHPOZD1モルに対し水酸化物少なくとも2.0モル、しかし有利
には2.2モルより多い割合を要し、かつ溶液中に存在する「結合アミン(プロトン化ア
ミン=H+と結合したアミン)」1モル当たり水酸化物1モルを必要とする。更に具体的
には、反応混合物の苛性相中に残る回収可能な苛性値を有するために、溶液中に存在する
HPOZD1モルに対し水酸化物2.5モル及び溶液中に存在する「結合アミン」1モル
に対し水酸化物少なくとも1モルの割合が望ましい。(注:水酸化物分子が結合アミン分
子と反応し、アミン分子を遊離させ、H2O分子1つを生じる。)
【0011】
変換反応は、反応容器中で、60℃以上、好ましくは、60℃から120℃まで、最も
好ましくは80℃から100℃までの温度で実施される。苛性相とリーンアミン溶液との
接触を最大にするように、常に混合しながら、反応混合物を反応温度でほぼ2時間、供給
タンク中に保持する。(高濃度の苛性剤溶液は、常に撹拌しなければ、アミン溶液からほ
ぼ完全に相分離することが観察されており、そのため反応効率を確実に得るために、この
強力な混合工程が必要である。)反応完了後に、混合物を放置するままにし、その結果、
苛性相からアミン相(DIPA、水及びアミン含有溶液の他の成分を含有するが、HPO
ZDは実質的に含まない)がほぼ完全に分離する。適切な静置期間後に、約1/2の苛性
相を反応混合物の底から取り出し、「廃液/中和タンク」中に装入した。苛性相の残分と
、アミン相の非常に少量の部分を、後続の反応サイクルに使用するため「リサイクルタン
ク」へと取り出すか又は廃液タンクに送る。アミン相の大部分は、熱交換器を通過させ、
次いで、イオン交換樹脂床で処理する。樹脂床は、カチオン交換樹脂を使用して、過剰の
カチオンをアミンから除去する。クリーンにされたアミンは、アミン系に戻される。
【0012】
本発明と従来技術との主たる違いは、アミン溶液をイオン交換樹脂に通す前に、苛性相
が、アミン相から分離される点である。従来技術で使用されるよりはるかに高い濃度の苛
性剤を使用するので、この分離は可能である。この一層高い濃度の苛性剤により、変換反
応が推進され、一般に、HPOZDの95%〜100%がDIPAへ変換される高い変換
率が得られるので、アミン含有溶液を再処理してHPOZDを除去する必要性は少ない。
この変化の追加的な利点は、アミン相が、反応混合物に導入されたカチオンの少量のみを
含有することであり(従って、苛性相は、反応混合物に導入されたカチオンの大部分を含
有する)、そのため、処理されたアミン容積当たりのイオン交換キャパシティの消費はか
なり少ない。この結果、アミン系に戻される洗浄水はより少なく、樹脂床による再生酸の
消費が少なく、処理されたアミン容積当たりの廃液も少ない。本発明のもう1つの副次的
利益は、炭酸塩及び/又は重炭酸塩が、苛性相中に濃縮されることであり、このことは、
これらの種の大部分がアミン系に戻らないことを意味する。苛性相の中和が実行されると
、これらの炭酸塩及び/又は重炭酸塩は、中和酸と反応し、CO2が、この中和過程から
生じ、これは、大気へ無害で放出される。
【0013】
本発明の他の客観的特徴及び利点は、添付図面と併せて記述された以下の詳細から明白
となろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、添付図面を参照して、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、この図面
は、本発明の全ての実施形態を示すというものではない。本発明は、多数の異なる形態で
実施でき、本明細書に記載した実施形態に限定されると解釈すべきではない。これらの実
施形態は、本開示が、適用される法的要件を充たすために提供されたものである。全体を
通じて、同じ符号は同じ構成を示す。
【0015】
図1は、ヒドロキシプロピルオキサゾリドン(HPOZD)分子をジ−イソプロパノー
ルアミン(DIPA)とCO2に変換する再生方法を示す概略図である。吸収装置(図示
省略)から、リッチアミン流(多量の酸性ガスを同伴して含有するアミン)が、ライン1
を通って、アミン再生ストリッパーカラムAに導入される。このアミン溶液を、ストリッ
パーボイラー(熱交換器G)中で好適な熱媒体2で再沸騰させることにより、内部ストリ
ッピングスチームが生成する。ストリッパーからは、約105℃〜約138℃の温度で、
アミンの濃度及びストリッパー中の圧力に応じて、HPOZDを含有するリーンアミン(
最少の酸性ガスを同伴するアミン)流3が排出される。ストリッパーボイラーGから発生
したスチームは、ライン4を通って、アミンストリッパーカラムAの底部近辺に導入され
、ストリッピング蒸気として、アミン溶液中を上方へと通過して、酸性ガスをアミン溶液
から除去するとともに、ストリッパーAの頭頂部から排出する。このスチーム、硫化水素
及び二酸化炭素の混合物は、ライン5を通って、ストリッパー頭部から排出される。
【0016】
高温のリーンアミン流がアミンストリッパーAの底部から排出され、その大部分は、ラ
イン3を通って、アミン吸収装置(図示省略)に戻る。HPOZD不純物を含有する残り
のリーンアミンは、ライン6を通って、そこで、濃縮苛性供給源(添加物トレーラー、ラ
イン19)からの及び/又は「リサイクル苛性タンク」(リサイクルタンクC、ライン1
6)からの苛性溶液とブレンドされ、次いで、本発明に係る後続の処理のために、ライン
8を通って、反応タンク(供給タンクB)に供給され、そこで、苛性物は、HPOZDと
反応して、これをDIPAとCO2に変換する。
【0017】
HPOZDのDIPAとCO2への変換では、HPOZDの合理的に完全な変換を確実
にするために、溶液中に存在するHPOZD1モル当たり水酸化物(OH-)2モルが、
化学量論的に必要である。しかしながら、この正確な割合を使用しても、反応を完了させ
るのに十分な推進力を提供しないことが判明した。HPOZDを完全に変換してDIPA
に戻すには、溶液中のHPOZD1モルに対し、水酸化物を少なくとも2.0モル、有利
には2.2モルより多い割合で、且つ溶液中に存在する「結合アミン」(プロトン化アミ
ン=アミンと結合したH+)1モルに対し、水酸化物を1モルの割合で必要とする。更に
具体的には、反応混合物の苛性相中に残留する回収可能な苛性値を有するために、溶液中
に存在するHPOZD1モル当たり水酸化物2.5モルと、「結合アミン」1モル当たり
水酸化物少なくとも1モルの割合が望ましい。(注:水酸化物分子が結合アミン分子と反
応し、アミン分子を遊離させ、H2O分子1つを生じる。)
【0018】
この反応は、供給タンクB中で、60℃以上、好ましくは60℃〜120℃、最も好ま
しくは80℃〜100℃の温度で実施される。反応混合物は、苛性相とリーンアミン溶液
との接触を最大にするように、常時混合しながら、上記反応温度で、好ましくは約2時間
にわたり、供給タンクB中に保持される。
【0019】
反応完了後に、混合物を放置し、その結果、苛性相からアミン溶液(DIPAと、水と
、アミン含有溶液のその他の成分とを含有するが、HPOZDは実質的に含有しない)が
ほぼ完全に分離する。適切な静置時間後に、苛性相の一部(好ましくは約1/2)を反応
混合物の底部から取り出し、ポンプ10によりライン9、11、14、13を介して、廃
液タンクFへと導入する。そして、カチオン交換樹脂で処理された酸の中和に後で使用す
るか、又は酸トレーラー(図示しないラインとポンプにより)からの酸により中和させて
、ビオ−リメディアル(bio−remedial)で、無毒な廃液流を生じ、これは、
硫酸カリウム及び/又は炭酸カリウム及び/又は重炭酸カリウム塩溶液として、ポンプ1
7により廃液処理プラントに送ることができる。苛性相の残分と、アミン相の非常に少量
の部分は、ポンプ10によりライン9、11、14及び15を介して、リサイクルタンク
Cへと送られる。そして、後続の反応ステップに使用することもできるし、又はポンプに
よりライン16、14及び13を介して廃液タンクFに送ることもできる。アミン相の大
部分は、ポンプ10によりライン9及び12を通って熱交換器Hに送られ、混合物を冷却
した後、カチオン交換樹脂容器D及びEを通過する。カチオン交換樹脂容器D及びEでは
、カチオン交換樹脂(同じか又は異なるものでもよい)を使用して、「クリーンアミン」
溶液から大部分のカチオンを除去する。このクリーンアミン溶液は、更に使用するために
、その後、ライン18を通って、アミン系に戻される。
【0020】
好適なカチオン交換樹脂は、例えば、H+形の強酸カチオン樹脂を含み、例えば、Pu
rolite C100、C145、SGC100、Sybron Ionac(登録商
標)C−251、CFP−110、Miles Wofatit KPS、Miles
Lewatit S−100、Dowex(登録商標)HCR−S/W2、Rohm&H
aas Duolite C20/225、Resin Tech CG8、CG10等
である。
【0021】
樹脂を再生する前に、樹脂床のアミン含有溶液は、ライン24からの水で洗い流され、
アミン系に送られる。樹脂交換サイトを塞ぐ何れのアミンも、米国特許第5368818
号明細書に記載の苛性ストリッピングプロセスにより、苛性物を添加物トレーラー又は他
の源から取り出すことによって、除去することができる。
【0022】
酸トレーラーからライン23を介して酸を取り出し、必要な場合はライン24からの水
とブレンドし、ポンプ(図1には示していない)を使用して、この酸溶液を、ライン12
を介して樹脂床に送ることで、樹脂上のK+カチオンをH+カチオンと交換し、カチオン交
換樹脂を再生する。交換されたK+カチオンは、塩溶液中に存在することとなり、この塩
溶液は、ライン22及び13を通って、廃液タンクFへと送られる。本再生方法が完了し
た後で、樹脂床は、ライン24からの水で濯がれる。この水は、樹脂床D及びEを通過し
た後、ライン22及び13を通って廃液タンクFに送られる。
【0023】
この処理サイクル全体は、複数回繰り返すことができる。後続の処理サイクルのために
、リサイクルタンクC中の材料は、ポンプ(図1には示していない)を使用して、供給タ
ンクBに戻される。ここで、アミンストリッパーからのHPOZDを含有する新たなリー
ンアミン溶液と、添加物トレーラーからライン19を介して供給される追加のフレッシュ
な苛性物とが、混合される。供給タンクに導入されたアミン溶液のHPOZD含有量と結
合アミン含有量とを知ることにより、HPOZDの完全な変換を達成するのに必要な水酸
化物量を決定することができる。
【0024】
アミン再生装置(アミンストリッパーカラムA)は、もちろん、1〜20以上の数の吸
収装置からのアミンを再生するような規模にすることができる。リーンアミン流3は、ど
の吸収装置にも使用することができるであろう。アミン含有溶液は、図1に示すストリッ
パーの出口から得ることができるし、又はリボイラーサーキットから、リーンアミン循環
系中のいずれの地点から、又は汚染されたアミン含有溶液を処理するために収集された貯
蔵容器から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態を模式的に示すフロー図である。
【実施例】
【0026】
[例1〜3]
これら3つの例は、本発明に係るアミンの再生方法を実施することを意図して、3つの
異なる場所からのサンプルについて、実際の研究室で実験した結果である。試験を行う前
に、各アミン溶液について、オキサゾリドン濃度(%)をガスクロマトグラフィにより分
析し、密度、結合アミン濃度(%)及びDIPA濃度(%)を酸塩基滴定により分析した

【0027】
各サンプルについて、それぞれ独立した実験を、以下の各パラメーターの条件下で行っ
た。
サンプルの分量を決定し、この分量中に存在する各化学種の量を計算した。この分量を
500mLの3つ口沸騰フラスコに入れた。水酸化物イオン対反応種の割合を2.5対1
にするためには、(50重量%水酸化カリウム溶液の形態の)水酸化物の量がどれぐらい
必要かをコンピューターで計算した。このようにして計算された水酸化カリウムの量を沸
騰フラスコ中のアミンの分量に添加した。磁気撹拌棒をフラスコに取り付け、このフラス
コをホットプレート撹拌モーター上の高温水浴中に置いた。冷水コンデンサーをフラスコ
の中央の口に設置し、温度計をフラスコの両側の口の1つに設置した。フラスコの第三の
口は、栓で蓋をした。フラスコの内容物をしっかりと撹拌して、アミン相と苛性相とを完
全に混合した。
【0028】
フラスコ及び水浴をほぼ80℃(±3℃)まで加熱し、この温度でほぼ2時間保持した
。その間、アミン相と苛性相とが接触して完全に混合するのを確実にするため、溶液を連
続的に撹拌した。
【0029】
2時間の混合時間を終えた後、フラスコから加熱及び冷却装置を外し、フラスコ内の溶
液を500mL分液漏斗に注いだ。漏斗中で複数の相を完全に分離させて、底の(苛性)
相のみを漏斗から抜き出して、後述する分析に提供した。
【0030】
反応生成物であるアミン相については、残留オキサゾリドンをガスクロマトグラフィに
より分析し、DIPAを酸塩基滴定により分析し、残留強カチオン(カリウムとして)及
び過剰の水酸化物を酸塩基滴定により分析した。
【0031】
反応生成物である苛性相については、残留遊離水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩を酸塩基
滴定により分析した。なお、これらの結果については本明細書に掲載していない。遊離水
酸化物の計算は、この苛性相を、後続のバッチ処理の水酸化物源の原料の一部として使用
するために重要である。各アミン相の分析結果の一覧を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
これらの結果は、オキサゾリドンの著しい減少と、DIPA濃度のこれに応じた増加を
示している。
【0034】
従来技術と本発明の比較:
種々の場所からの汚染アミンサンプルを得て、従来技術と本発明を使用して、これらの
プロセス流の中のオキサゾリドン濃度の低下を比較した。後述する2つの例(表2の例4
と表3の例5)は、従来技術と、本発明を使用した場合の予測結果との差異を例証するも
のである。例6(表4)は、従来技術についての予想と、本発明の商業規模での試験の間
における実際の観察とを対比するものである。
【0035】
[例4]
系のサイズ:49100ガロン。
初期のオキサゾリドンレベル:20.4%。
目標最終値のオキサゾリドンレベル:8.0%。
オキサゾリドン流入率:1ポンドモル/日。
【0036】
【表2】

【0037】
上記の結果は、本発明の方法を実施した場合に、水使用量、苛性剤使用量、酸使用量、
排出塩水(brine)発生量、反応サイクル数及び処理時間において、劇的な減少が予測さ
れることを示している。
【0038】
[例5]
系のサイズ:73600ガロン。
既存オキサゾリドンレベル:23wt%。
目標最終値のオキサゾリドンレベル:8wt%。
オキサゾリドン流入率:3ポンドモル/日。
【0039】
【表3】

【0040】
上記の結果は、本発明の方法を実施した場合に、水使用量、苛性剤使用量、酸使用量、
排出塩水発生量、反応サイクル数及び処理時間において、劇的な減少が予測されることを
示している。
【0041】
[例6]
系のサイズ:13200ガロン。
初期のオキサゾリドンレベル:37wt%。
目標最終値のオキサゾリドンレベル:4.4wt%。
オキサゾリドン流入率:0.8ポンドモル/日。
【0042】
【表4】

【0043】
上記の結果は、本発明の方法を実施した場合に、水使用量、苛性剤使用量、酸使用量、
排出塩水発生量、反応サイクル数及び処理時間において、実際に劇的に減少することを示
している。
【0044】
本明細書に記載した本発明の多くの改変及びその他の実施形態は、本明細書及び添付図
面において示された教示の助けを借りて、当業者が思いつくものであろう。したがって、
当然、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、また改変及びそ
の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図するものである。特定
の用語を本明細書で用いているが、これらは、一般的かつ記述的な意味で使用しただけで
あり、限定を目的とするものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカノールアミンを回収する方法であって、アルカノールアミンと、水と、二酸化炭素と、ヒドロキシプロピルオキサゾリドンとを含有する溶液に、水酸化物イオンを供与する苛性溶液を、ヒドロキシプロピルオキサゾリドン1モル当たり少なくとも2.2モルの割合で、60℃から100℃までの温度で反応させるステップと、ヒドロキシプロピルオキサゾリドンをジイソプロパノールアミンと炭酸塩及び/又は重炭酸塩とに加水分解/変換し、この炭酸塩及び/又は重炭酸塩を含有する苛性相と、ジイソプロパノールアミンを含有するアミン相とを生成するステップを含む方法。
【請求項2】
前記反応ステップの前記苛性相の少なくとも一部を、後続の別の反応ステップで必要な水酸化物源の一部として使用してリサイクルする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記温度が80℃から100℃の間である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記苛性溶液が水酸化カリウムである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルカノールアミンが、第一又は第二アルカノールアミンである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アルカノールアミン含有溶液がテトラメチレンスルホンも含有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アミン相を少なくとも1つのカチオン交換樹脂床に通過させて過剰のカチオンを除去することによって、前記アミン相を更に処理する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アミン再循環系からアルカノールアミン溶液を再生する方法であって、
アルカノールアミンと、水と、二酸化炭素と、ヒドロキシプロピルオキサゾリドンと、場合により物理的溶媒とを含有する溶液に、水酸化物イオンを供与する苛性溶液を、ヒドロキシプロピルオキサゾリドン1モルに対し水酸化物イオン少なくとも2.2モルの割合で、80℃から100℃までの温度で反応させて、ヒドロキシプロピルオキサゾリドンをジイソプロパノールアミンと炭酸塩及び/又は重炭酸塩とに加水分解/変換し、ジイソプロパノールアミンを含有するアミン相と、炭酸塩及び/又は重炭酸塩を含有する苛性相とを生成するステップと、
後続の反応ステップのために前記苛性相の少なくとも一部をリサイクルするステップと、
前記アミン相を、少なくとも1つのカチオン交換樹脂床に通して、過剰のカチオンを除去するステップと、
前記アミンを回収するステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記苛性溶液が水酸化カリウムである請求項8に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−102325(P2011−102325A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16513(P2011−16513)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【分割の表示】特願2007−206276(P2007−206276)の分割
【原出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(507268824)エムピーアール・サーヴィシズ,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】