説明

オキシブプロカイン含有鎮痛・鎮痒用外用剤

【課題】局所麻酔剤を配合し、副作用が少なく、皮膚の痛み及び痒みに対する治療効果に優れた鎮痛・鎮痒用外用剤を提供すること。
【解決手段】オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を活性成分として配合することを特徴とする鎮痛・鎮痒用外用剤であり、オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が0.1〜60重量%、より好ましくは1〜40重量%であり、最も好ましくは5〜30重量%である外用剤としての製剤形態が、軟膏剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤、パップ剤、テープ剤、エアゾール剤又は外用散剤の製剤形態である鎮痛・鎮痒用外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の痒み及び痛みに対して高い治療効果を有する、有効成分としてオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を配合した外用剤、及びその外用剤を用いた皮膚の痛み及び痒みの治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リドカインを初めとする様々な局所麻酔剤を配合した外用剤の開発が検討されており、優れた鎮痛作用、或いは局所麻酔作用を備えた外用剤が報告されている(例えば、特許文献1〜3)。
これらの外用剤は、帯状疱疹或いは帯状疱疹後神経痛などの持続性疼痛を緩和するために適用される外用剤(特許文献1、3)、または穿刺時疼痛を緩和する外用剤(特許文献2)であり、皮膚の痛み並びに痒みに対する外用剤ではない。
【0003】
皮膚の痛みや痒みに対しては、局所麻酔剤の鎮痒作用を利用して、局所麻酔剤を含有する製剤が提案されているが、高い薬効と、安全性を兼ね備える外用剤に関する報告はほとんどなされていないのが現状である。
例えば特許文献4は、局所麻酔剤の副作用を軽減するために、局所麻酔剤とビタミンE、並びにスクワランを含有した鎮痛・鎮痒用外用剤を提案するものであるが、局所麻酔剤の副作用を軽減させるため、比較的多量のビタミンEを配合しており、皮膚に対する安全性は十分なものといえない。
したがって、皮膚の痛みや痒みに対して安全であり、より有効な鎮痛・鎮痒用の外用剤の開発が求められているのが現状である。
【0004】
【特許文献1】特開平4−305523号公報
【特許文献2】特開平6−145051号公報
【特許文献3】特開平10−147521号公報
【特許文献4】特開平10−316564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点を解決するものであり、その目的とするところは、局所麻酔剤を配合し、副作用が少なく、皮膚の痛み及び痒みに対する治療効果に優れた鎮痛・鎮痒用外用剤を提供することにある。
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行い、種々の局所麻酔剤についてその鎮痛、鎮痒効果を比較検討した結果、局所麻酔剤のなかでもオキシブプロカインに極めて高い鎮痛、鎮痒作用があることを見出し、オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を有効成分として配合した外用剤とし、皮膚に適用することにより、皮膚の痛み及び痒みに対して高い治療効果が得られることを確認した。
【0007】
すなわち、局所麻酔剤であるオキシブプロカインを含有する鎮痛・鎮痒用外用剤を調製し、この製剤を、痛み或いは痒みを伴う皮膚患部に適用したところ、極めて高い鎮痛・鎮痒効果が認められることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而して本発明は、その基本的態様は、オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を活性成分として配合することを特徴とする鎮痛・鎮痒用外用剤である。
【0009】
好ましくは、オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が、製剤全重量に対して0.1〜60重量%である上記の鎮痛・鎮痒用外用剤であり、より好ましくは、オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が製剤全重量に対して1〜40重量%であり、最も好ましくは、オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が製剤全重量に対して5〜30重量%である上記の鎮痛・鎮痒用外用剤である。
【0010】
また本発明は、具体的には、外用剤としての製剤形態が、軟膏剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤、パップ剤、テープ剤、エアゾール剤又は外用散剤の製剤形態である上記の鎮痛・鎮痒用外用剤である。
【0011】
本発明の最も好ましい態様の一つとしては、粘着膏体中にオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を5〜30重量%含有するテープ剤の形態にある鎮痛・鎮痒用外用剤である。
【0012】
また本発明は、別の態様として、皮膚の痛み及び痒みの治療のために使用される上記したオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を含有する鎮痛・鎮痒用外用剤であり、さらに、皮膚の痛み及び痒みの治療のため、上記したオキシブプロカインを含有する鎮痛・鎮痒用外用剤を使用する方法でもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の鎮痛・鎮痒用外用剤は、オキシブプロカインを活性成分として配合することにより、皮膚の痛み及び痒みに対して優れた治療効果を示す。具体的にはアトピー性皮膚炎、湿疹、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、蕁麻疹、小児ストロフルス、虫刺傷、皮膚掻痒症、尿毒症、慢性腎不全等の代謝性疾患、糖尿病等の内分泌疾患等に伴う掻痒並びに切創、術後創、熱傷創等の皮膚創傷に伴う掻痒等の痒みを伴う疾患、慢性関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症等の慢性疼痛、肩関節周囲炎や腱蛸炎等の炎症性疾患、手術や外傷等による疼痛等の痛みを伴う疾患、又は神経因性疼痛に対して、きわめて効果的である。
すなわち、本発明により、皮膚の様々な痛み及び痒みに対して十分な治療効果を有し、副作用の非常に少ない、痛み及び痒みの治療に有用な、各種の剤型を有する外用剤が提供され、その医療上の価値は多大なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明が提供する外用剤において、活性成分として配合されるオキシブプロカインは、局所麻酔剤として開発され、表面、浸潤、伝達麻酔作用を有し、主として眼科領域における表面麻酔等に使用されている薬物である。
【0015】
本発明は、上記したように、その基本は、かかるオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を活性成分として配合したことを特徴とする鎮痛・鎮痒用外用剤である。
その配合量は、外用剤としての剤型によって異なり、一概に限定できないが、目的とする鎮痛・鎮痒効果が発揮できるのに十分な量であればよい。具体的には、製剤全重量に対して0.1〜60重量%であり、好ましくは、1〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%配合するのがよい。
なお、上記の製剤全重量とは、本発明の外用剤がパップ剤の場合には膏体全重量であり、テープ剤の場合には粘着剤全重量を意味する。
【0016】
配合量が60重量%より多くなると、外用剤としての物性の保持が困難なものとなり、それ以上配合しても効果の増大は望めない。また配合量が0.1重量%未満であると、オキシブプロカインの有する鎮痛・鎮痒作用を十分に発揮することができず、目的とする鎮痛・鎮痒効果を得ることができない。
【0017】
本発明が提供する外用剤としては、皮膚の局所表面に有効成分を直接投与できる剤形であれば特に限定されず、例えば軟膏剤、液剤(懸濁剤、乳剤、ローション剤等)、パップ剤、テープ剤、エアゾール剤および外用散剤等の製剤に調製して用いることができる。
これらの製剤を調製するに際して、活性成分としてのオキシブプロカイン以外に、通常の外用剤を調製するのに使用される各種配合成分を適宜選択して使用することが可能である。
【0018】
そのような成分としては、軟膏剤・クリーム剤・ゲル剤・ローション剤の場合にあっては、白色ワセリン、黄色ワセリン、ラノリン、サラシミツロウ、セタノール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、硬化油、ゲル化炭化水素、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、スクワラン等の基剤;オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソオクタン酸グリセリン、クロタミトン、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、植物油等の溶剤および溶解補助剤;トコフェロール誘導体、L−アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤;グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;ポリオキシエチレン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の界面活性剤;カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤等を挙げることができる。
更に、所望により安定剤、保存剤、吸収促進剤、pH調整剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0019】
また、パップ剤の場合にあっては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体等の粘着付与剤;硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、塩化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアセテート等の架橋剤;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤;グリセリン、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類;ポリオキシエチレン誘導体等の界面活性剤;l−メントール等の香料;パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤;精製水等を挙げることができる。
更に、所望により安定剤、保存剤、吸収促進剤、pH調整剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0020】
テープ剤の場合にあっては、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)やアクリル樹脂等の粘着剤;脂環族飽和炭化水素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の粘着付与樹脂;液状ゴム、流動パラフィン等の軟化剤;ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;プロピレングリコール等の多価アルコール;オレイン酸等の吸収促進剤;ポリオキシエチレン誘導体等の界面活性剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
また、ポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルアルコールのような含水可能な高分子と少量の精製水を加えて含水テープ剤とすることもできる。
この場合にあっても、更に、所望により安定剤、保存剤、吸収促進剤、pH調整剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0021】
エアゾール剤の場合にあっては、軟膏剤・クリーム剤・ゲル剤・懸濁剤・乳剤・液剤およびローション剤等の調製に用いられる白色ワセリン、黄色ワセリン、ラノリン、サラシミツロウ、セタノール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、硬化油、ゲル化炭化水素、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、スクワラン等の基剤;オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸イソプロピル、トリイソオクタン酸グリセリン、クロタミトン、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ヘキシル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、植物油等の溶剤および溶解補助剤;トコフェロール誘導体、L−アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤;グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;ポリオキシエチレン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の界面活性剤;カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤;さらに、各種安定剤、緩衝剤、矯味剤、懸濁化剤、乳化剤、芳香剤、保存剤、溶解補助剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0022】
外用散剤の場合にあっては、バレンショデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、タルク、酸化亜鉛等の賦形剤又はその他の適当な添加剤を配合することができる。
この場合にあっても、更に、所望により各種安定剤、保存剤、吸収促進剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0023】
本発明が提供する外用剤を調製する手段は特に限定されず、所望の剤形に応じて、各成分および必要に応じた基剤成分をよく混練する等の通常の外用剤を製造する方法を用いて製造される。
またパップ剤並びにテープ剤の調製にあっては、混練した混合物を剥離紙上に展延、乾燥し、さらに柔軟な支持体と貼り合わせ、所望の大きさに裁断することにより調製することができる。
【0024】
本発明が提供する外用剤は、例えば、軟膏剤、液剤(懸濁剤、乳剤、ローション剤等)、エアゾール剤および外用散剤の場合には、皮膚患部に塗布等により直接適用したり、或いは、布等の支持体に塗布又は含浸させて適用したりする等の通常の使用方法により用いられる。
また、パップ剤或いはテープ剤の場合には、これらの製剤を皮膚患部に直接貼付する方法により使用される。
【0025】
本発明が提供する外用剤は、剤形によりその適用時間は異なるが、例えばテープ剤、パップ剤等の貼付剤の場合には、皮膚に貼付後15分〜1時間程度で鎮痛・鎮痒効果が発現し、また、貼付剤を剥離後においてもその効果が持続するものであった。
また、軟膏剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤等の液剤の場合にあっても、皮膚表面に塗布等により適用し、適用後15分〜1時間程度で鎮痛・鎮痒効果が発現されるものであった。
【実施例】
【0026】
以下に、実施例および試験例により本発明が提供するオキシブプロカイン含有外用剤につき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0027】
実施例1〜3
下記表1に示す処方に従って、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、脂環族飽和炭化水素系樹脂、水素添加ロジングリセリンエステル、流動パラフィン、ポリブテン、酸化防止剤等を加え、トルエンにて混合融解させ、この混合物にオキシブプロカインを投入混合し、よく混練し得られた混合物を剥離紙上に展延後、トルエンを乾燥し、柔軟な支持体と貼り合わせ、所望の大きさに裁断してテープ剤を得た。
【0028】
比較例1〜2
表1に示す処方に従って、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、脂環族飽和炭化水素系樹脂、水素添加ロジングリセリンエステル、流動パラフィン、ポリブテン、酸化防止剤等を加え、トルエンにて混合融解させ、この混合物を剥離紙上に展延後、トルエンを乾燥し、柔軟な支持体と貼り合わせ、所望の大きさに裁断してテープ剤を得た。
【0029】
【表1】

単位:重量部
【0030】
実施例4〜5
表2に示す処方に従って、オキシブプロカインをプロピレングリコールに溶解し、その溶解物を表2に示す他の成分と均一になるまで練合し、薬物含有基剤を得た。この薬物含有基剤を、不織布上に展延し、ポリプロピレン製のライナーを添着し、所望の大きさに裁断してパップ剤を得た。
【0031】
【表2】

単位:重量部
【0032】
試験例1:マウスを用いた鎮痒作用の薬理試験
雄性ddy系マウスの頚部背側に、生理食塩水に溶解したオキシブプロカイン溶液を、10mg/kgとなる用量にて経皮投与した後、Compound 48/80を100μg/bodyとなるよう皮下投与し、掻痒を惹起させた。惹起後30分間、マウスの引っ掻き行動を観察し、引っ掻き回数を測定した。
対照群として、生理食塩水のみを投与した群(対照群)、並びに抗ヒスタミン薬であるシプロヘプタジンを1mg/kgとなるよう腹腔内投与した群(活性対照群)をおいた。
その結果を下記表3に示した。
【0033】
【表3】

*:p<0.05(対照群に対して)
【0034】
表中に示した結果からも判明するように、本発明のオキシブプロカイン含有水溶液の皮下投与は、対照群(生理食塩水投与群)と比較して引っ掻き行動を強く抑制しており、また抗ヒスタミン薬であるシプロヘプタジン投与群(活性対照群)よりも引っ掻き行動を抑制させるものであり、優れた鎮痒効果を示した。
【0035】
試験例2:ラットを用いた鎮痛作用の薬理試験
ウィスター系雄性ラット(4週齢)の右足蹠でAnalgesy Meterを用いて疼痛閾値を測定した後、試験物質を右足蹠に貼付した。試験物質として、実施例2及び比較例2のテープ剤を用いた。
貼付4時間後に試験物質を除去し、ビール酵母懸濁液0.1mLを右足皮下に注射した。ビール酵母懸濁液注射1時間後、2時間後及び3時間後に右足蹠の疼痛閾値を測定し、試験物質貼付前の疼痛閾値より疼痛閾値率(疼痛閾値比)を算出した。なお疼痛閾値率(疼痛閾値比)は、下記式に従った。
疼痛閾値比=(ビール酵母処置後の疼痛閾値/ビール酵母処置前の疼痛閾値)×100
対照群として、試験物質を貼付しない無処置群を置いた。
その結果を下記表4に示した。
【0036】
【表4】

( )は、対照群に対する上昇率を表す。
【0037】
表中に示した結果からも判明するように、オキシブプロカインを配合したテープ剤である実施例2は、オキシブプロカインを配合しないテープ基剤である比較例2と比較して、高い鎮痛効果を示していた。
【0038】
試験例3:
本発明の鎮痛・鎮痒用外用剤の薬理効果について、被験者(男性ボランティア10名)を用いて貼付試験を行った。
[試験方法]
被験者10名(男性)の上腕部内側に、本発明のテープ剤である実施例1及び実施例3の各テープ剤、並びに比較例1及び比較例2の各テープ剤を貼付した。貼付6時間後にテープ剤を剥離し、剥離部位を注射針(21ゲージ)により刺激(穿刺)を与え、その時の鎮痛効果について、官能試験により評価した。
【0039】
なお、刺激の評価基準は、以下の通りである。
− : 痛みを感じない
+ : 弱い痛みを感じる
++ : 強い痛みを感じる
【0040】
[結果]
その結果を下記表5に示した。
【0041】
【表5】

【0042】
表5に示した結果から判明するように、オキシブプロカインを配合した本発明のテープ剤である実施例1及び実施例3の貼付においては、高い鎮痛効果を示しており、オキシブプロカインを配合しない比較例1及び比較例2の貼付では鎮痛効果は示されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上記載のように、本発明により皮膚の様々な痛み及び痒みに対して十分な治療効果を有し、副作用の非常に少ない、痛み及び痒みの治療に有用な、各種の剤型を有する外用剤が提供される。
したがって、これまで安全であり、効果の優れた鎮痛・鎮痒作用を有する外用剤が無かった状況下において、本発明の医療上の価値は多大なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を活性成分として配合することを特徴とする鎮痛・鎮痒用外用剤。
【請求項2】
オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が、製剤全重量に対して0.1〜60重量%である請求項1に記載の鎮痛・鎮痒用外用剤。
【請求項3】
オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が、製剤全重量に対して1〜40重量%である請求項1に記載の鎮痛・鎮痒用外用剤。
【請求項4】
オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が、製剤全重量に対して5〜30重量%である請求項1に記載の鎮痛・鎮痒用外用剤。
【請求項5】
軟膏剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤、パップ剤、テープ剤、エアゾール剤又は外用散剤の製剤形態である請求項1ないし4のいずれかに記載の鎮痛・鎮痒用外用剤。
【請求項6】
粘着剤中にオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を5〜30重量%含有するテープ剤の形態にある請求項1に記載の鎮痛・鎮痒用外用剤。
【請求項7】
皮膚の痛み及び痒みの治療のために使用される請求項1〜6のいずれかに記載のオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を含有する鎮痛・鎮痒用外用剤。
【請求項8】
皮膚の痛み及び痒みの治療のために請求項1〜6のいずれかに記載のオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を含有する鎮痛・鎮痒用外用剤を使用する方法。

【公開番号】特開2010−24223(P2010−24223A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114164(P2009−114164)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000215958)帝國製薬株式会社 (44)
【Fターム(参考)】