説明

オキシムエーテル誘導体またはその塩、並びに農園芸用殺菌剤

【課題】効果が確実で安全に使用できる農園芸用殺菌剤の有効成分となりうる、新規オキシムエーテル誘導体及びその塩、並びに該オキシムエーテル誘導体及びその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤を提供する。
【解決手段】式(I)で表されるオキシムエーテル誘導体またはその塩。


式(I)または中、Xはハロゲン原子やアルキル基など;Yは酸素原子など;Zは酸素原子など;R1はアルキル基など;R2は水素原子など;R3はアルキル基など;R4またはR5は水素原子など;mは0〜2のいずれかの整数;AまたはBは酸素原子やCH2など;およびQはアリレン基またはヘテロアリレン基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシムエーテル誘導体またはその塩、並びに農園芸用殺菌剤に関する。より詳細に、本発明は、新規なオキシムエーテル誘導体またはその塩、並びに該オキシムエーテル誘導体またはその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
農園芸作物の栽培に当り、作物の病害に対して多数の防除薬剤が使用されている。しかしながら、その防除効力が不十分であったり、薬剤耐性の病原菌の出現によりその使用が制限されたり、植物体に薬害や汚染を生じたり、若しくは人畜魚類に対する毒性や環境への影響が大きかったりなどの不具合で、満足できる防除薬とは必ずしも言い難いものが少なくない。そのため、かかる欠点の少ない安全に使用できる防除薬剤の出現が強く要望されている。
【0003】
本発明に関連して、特許文献1には、本発明化合物と類似の化学構造を有する式(III)で表されるオキシアミン誘導体、及びそれを有効成分として含有する農園芸用殺菌剤が開示されている。
【0004】
【化1】

【0005】
式(III)中、R1aは水素原子、C1〜6アルキル基、C1〜6アルキルカルボニル基、または、C1〜6アルキルスルホニル基を表わす。R2aはC1〜6アルキル基、または、C1〜6アルコキシ基を表わす。R3aはハロゲン原子、C1〜6アルキル基、または、C1〜6アルコキシ基を表わす。Aaは分岐してもよいC1〜6アルキレン基、または、結合を表わす。Qaは、Gで置換されてもよいフェニル基、式(IV)で表わされる基、または、式(V)で表わされる基を表わす。m’は、0または1〜4の整数を表わす。
【0006】
【化2】

【0007】
【化3】

【0008】
式(IV)中、R4aは水素原子、C1〜6アルキル基、C2〜6アルケニル基、または、SiR5a6a7aを表わす。R5a、R6aおよびR7aはそれぞれ独立して、C1〜6アルキル基を表わす。R8aは水素原子、C1〜6アルキル基、C1〜6ハロアルキル基、または、Gで置換されてもよいフェニル基を表わす。Yaは水素原子、C1〜6アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル基、C2〜6アルケニル基、C2〜6アルキニル基、または、Gで置換されてもよいフェニルC1〜6アルキル基を表わす。
Gはハロゲン原子、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6ハロアルキル基、C1〜6ハロアルコキシ基を表わし、これらGは同一または相異なって2個から5個置換してもよい。
【0009】
特許文献1には、式(III)で表されるオキシアミン誘導体の中、数十種の化合物の態様が記載されている。そのうち、Qaが式(V)の場合については、特許文献1の表3に、Yaがメチル基、イソプロピル基、2−クロロ−ベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、またはベンジル基である化合物が具体的に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−168683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載されているオキシアミン誘導体は工業的に有利に合成でき効果が確実で安全に農園芸用殺菌剤として使用できるものであった。ところが、植物に対する薬害の低減や人畜魚類に対する低毒化または無毒化などの安全性に対する要求レベルは年々高くなってきており、また新たな耐性菌の出現などで、特許文献1に記載のオキシアミン誘導体は、農園芸用殺菌剤としての要望に応えることが十分にできなくなっている。
このような実情に鑑み、本発明は、効果が確実で安全に使用できる農園芸用殺菌剤の有効成分となりうる、新規オキシムエーテル誘導体及びその塩、並びに該オキシムエーテル誘導体及びその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、式(V)のQaが脂環またはヘテロ脂環と芳香環との縮合構造を含む基であるオキシムエーテル誘導体又はその塩を得るに至った。そして、このオキシムエーテル誘導体又はその塩は、効果が確実で安全に使用できる農園芸用殺菌剤の有効成分として有用であることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討し完成するに至ったものである。
【0013】
すなわち、本発明は以下の態様を包含するものである。
〈1〉 式(I)または式(II)で表されるオキシムエーテル誘導体またはその塩。
【0014】
【化4】

【0015】
【化5】

【0016】
式(I)および式(II)中、
1は、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、またはC3〜8シクロアルキル基を表す。
2は、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、C1〜8アシル基、C1〜8アルキルスルホニル基、またはC6〜10アリールスルホニル基を表す。
3は、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、またはC3〜8シクロアルキル基を表す。
4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、C3〜8シクロアルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。R4とR5は一緒になって環を形成していてもよい。mは、括弧内の単位の繰返し数を表し、0〜2のいずれかの整数である。mが2のとき、R4および/またはR5は、互い同一であってもよいし、異なっていてもよい。
6は、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。
Xは、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。nは、Xの個数を表し、0〜4のいずれかの整数である。nが2以上のとき、Xは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、nが2以上のとき、Xは一緒になって環を形成してもよい。
Yは、酸素原子、または硫黄原子を表す。
Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子、またはNR7で表される基を表す。R7は、水素原子若しくはC1〜8アルキル基を表す。
Aは、酸素原子、硫黄原子、またはCR89で表される基を表す。R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。pは、Aの繰返し数を表し、1〜3のいずれかの整数である。pが2以上のとき、Aは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Bは、酸素原子、硫黄原子、またはCR1011で表される基を表す。R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。qは、Bの繰返し数を表し、0〜1のいずれかの整数である。但し、pとqとの和は、2または3である。
Qは、C6〜10アリレン基、または少なくとも2価のヘテロアリール基を表す。
また、前記のC1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、C3〜8シクロアルキル基、C1〜8アルコキシ基、C1〜8アシル基、C1〜8アルキルスルホニル基、C6〜10アリールスルホニル基、C6〜10アリレン基、および少なくとも2価のヘテロアリール基は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい。
【0017】
〈2〉 前記〈1〉に記載のオキシムエーテル誘導体またはその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤。
【発明の効果】
【0018】
本発明のオキシムエーテル誘導体及びその塩は、工業的に有利に製造でき、効果が確実で安全に使用できる農園芸用殺菌剤の活性成分として有用な新規化合物である。
本発明の農園芸用殺菌剤は優れた防除効果を有し、植物体に薬害や汚染を生じることがなく、人畜魚類に対する毒性や環境への影響が少ない薬剤である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
1)オキシムエーテル誘導体
本発明に係るオキシムエーテル誘導体は、式(I)または式(II)で表される化合物である。
【0020】
式(I)および式(II)中、R1〜R11、X、Y、Z、Q、AおよびB並びにm、n、p、およびqは以下のとおりである。
なお、R1〜R11、X、またはQの中の、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、C3〜8シクロアルキル基、C1〜8アルコキシ基、C1〜8アシル基、C1〜8アルキルスルホニル基、C6〜10アリールスルホニル基、C6〜10アリレン基、および/または少なくとも2価のヘテロアリール基は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい。
【0021】
「置換基」は、母核となる基に置換された母核と異なる構造の基である。置換基は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。2つ以上の置換基は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。例えば、置換基を有するC1〜6アルキル基は、母核となる基がC1〜6アルキル基で、これのいずれかの水素原子が異なる構造の基(「置換基」)で置き換わっているものである。なお、「C1〜6」の用語は、母核となる基の炭素数が1〜6個であることを表している。この炭素数には、置換基の中に在る炭素の数を含まない。例えば、置換基としてエトキシ基を有するブチル基は、C4アルキル基に分類する。
【0022】
「置換基」としては化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて特に制限されない。
「置換基」となり得る基としては、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基、好ましくはC1〜6アルキル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、好ましくは、C3〜8シクロアルキル基;
ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シンナミル基等のアルケニル基、好ましくはC2〜6アルケニル基;
2−シクロプロペニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基、4−シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基、好ましくは、C3〜8シクロアルケニル基;
エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等のアルキニル基、好ましくはC2〜6アルキニル基;
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、好ましくはC1〜6アルコキシ基;
ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、好ましくはC2〜6アルケニルオキシ基;
エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基等のアルキニルオキシ基、好ましくはC2〜6アルキニルオキシ基;
フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基、好ましくはC6〜10アリール基;
フェノキシ基、1−ナフトキシ基等のアリールオキシ基、好ましくはC6〜10アリールオキシ基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;好ましくはC7〜11アラルキル基;
ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基、好ましくはC7〜12アラルキルオキシ基;
ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、シクロヘキシルカルボニル等のアシル基、好ましくはC1〜7アシル基;
ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等のアシルオキシ基、好ましくはC1〜7アシルオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、好ましくはC1〜6アルコキシカルボニル基;
カルボキシル基;
水酸基;
【0023】
クロロメチル基、クロロエチル基、1,2−ジクロロ−n−プロピル基、1−フルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基等のハロアルキル基、好ましくはC1〜6ハロアルキル基;
2−クロロ−1−プロペニル基、2−フルオロ−1−ブテニル基等のハロアルケニル基、好ましくはC2〜6ハロアルケニル基;
4,4−ジクロロ−1−ブチニル基、4−フルオロ−1−ペンチニル基、5−ブロモ−2−ペンチニル基等のハロアルキニル基、好ましくはC2〜6ハロアルキニル基;
2−クロロ−n−プロポキシ基、2,3−ジクロロブトキシ基等のハロアルコキシ基、好ましくはC1〜6ハロアルコキシ基;
2−クロロプロペニルオキシ基、3−ブロモブテニルオキシ基等のハロアルケニルオキシ基、好ましくはC2〜6ハロアルケニルオキシ基;
4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基等のハロアリール基、好ましくはC6〜10ハロアリール基;
4−フルオロフェニルオキシ基、4−クロロ−1−ナフトキシ基等のハロアリールオキシ基、好ましくはC6〜10ハロアリールオキシ基;
クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、4−クロロベンゾイル基等のハロゲン置換アシル基;
【0024】
シアノ基;イソシアノ基;ニトロ基;イソシアナト基;シアナト基;アミノ基;
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基;
アニリノ基、ナフチルアミノ基、アントラセニルアミノ基等のアリールアミノ基;
ベンジルアミノ基、フェニルエチルアミノ基等のアラルキルアミノ基;
メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルホニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基、t−ブチルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基;
フェニルスルホニルアミノ基等のアリールスルホニルアミノ基;
ピペラジニルスルホニルアミノ基等のヘテロアリールスルホニルアミノ基;
ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基;
メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n−プロポキシカルボニルアミノ基、イソプロポキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基;
フルオロメチルスルホニルアミノ基、クロロメチルスルホニルアミノ基、ブロモメチルスルホニルアミノ基、ジフルオロメチルスルホニルアミノ基、ジクロロメチルスルホニルアミノ基、1,1−ジフルオロエチルスルホニルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ基、1,1,1−トリフルオロエチルスルホニルアミノ基、ペンタフルオロエチルスルホニルアミノ基等のハロアルキルスルホニルアミノ基;
ビス(メチルスルホニル)アミノ基、ビス(エチルスルホニル)アミノ基、(エチルスルホニル)(メチルスルホニル)アミノ基、ビス(n−プロピルスルホニル)アミノ基、ビス(イソプロピルスルホニル)アミノ基、ビス(n−ブチルスルホニル)アミノ基、ビス(t−ブチルスルホニル)アミノ基等のビス(アルキルスルホニル)アミノ基;
ビス(フルオロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(クロロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(ブロモメチルスルホニル)アミノ基、ビス(ジフルオロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(ジクロロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(1,1−ジフルオロエチルスルホニル)アミノ基、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(1,1,1−トリフルオロエチルスルホニル)アミノ基、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミノ基等のビス(ハロアルキルスルホニル)アミノ基;
ヒドラジノ基、N'−フェニルヒドラジノ基、N'−メトキシカルボニルヒドラジノ基、N'−アセチルヒドラジノ基、N'−メチルヒドラジノ基等の無置換若しくは置換ヒドラジノ基;
アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、N−フェニル−N−メチルアミノカルボニル基等の無置換若しくは置換基を有するアミノカルボニル基;
ヒドラジノカルボニル基、N'−メチルヒドラジノカルボニル基、N'−フェニルヒドラジノカルボニル基等の無置換若しくは置換基を有するヒドラジノカルボニル基;
N−メチルイミノメチル基、1−N−フェニルイミノエチル基、N−ヒドロキシイミノメチル基、N−メトキシイミノメチル基等のN無置換又はN置換イミノアルキル基;
【0025】
チオール基;イソチオシアナト基;チオシアナト基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等のアルキルチオ基;
ビニルチオ基、アリルチオ基等のアルケニルチオ基;
エチニルチオ基、プロパルギルチオ基等のアルキニルチオ基;
フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基;
2−ピペリジルチオ基、3−ピリダジルチオ基等のヘテロアリールチオ基;
ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基;
メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、n−プロピルチオカルボニル基、イソプロピルチオカルボニル基、n−ブチルチオカルボニル基、イソブチルチオカルボニル基、s−ブチルチオカルボニル基、t−ブチルチオカルボニル基等のアルキルチオカルボニル基;
メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t−ブチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;
アリルスルフィニル基等のアルケニルスルフィニル基;
プロパルギルスルフィニル基等のアルキニルスルフィニル基;
フェニルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基;
2−ピリジルスルフィニル基、3−ピリジルスルフィニル基等のヘテロアリールスルフィニル基;
ベンジルスルフィニル基、フェネチルスルフィニル基等のアラルキルスルフィニル基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;
アリルスルホニル基等のアルケニルスルホニル基;
プロパルギルスルホニル基等のアルキニルスルホニル基;
フェニルスルホニル基等のアリールスルホニル基;
2−ピリジルスルホニル基、3−ピリジルスルホニル基等のヘテロアリールスルホニル基;
ベンジルスルホニル基、フェネチルスルホニル基等のアラルキルスルホニル基;
【0026】
フラン−2−イル基、フラン−3−イル基、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イソオキサゾール−3−イル基、イソオキサゾール−4−イル基、イソオキサゾール−5−イル基、イソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソチアゾール−5−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダゾール−4−イル基、イミダゾール−5−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、ピラゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、1,2,3−トリアゾール−4−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−5−イル基等の不飽和複素5員環基;
ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、5−クロル−3−ピリジル基、3−トリフルオロメチル−2−ピリジル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、ピラジン−2−イル基、ピリミジン−2−イル基、ピリミジン−4−イル基、ピリミジン−5−イル基、1,3,5−トリアジン−2−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基等の不飽和複素6員環基;
テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドラピラン−4−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピロリジン−2−イル基、モルホリノ基、ピペリジノ基、N−メチルピペラジニル基等の飽和複素環基;
2−ピリジルオキシ基、3−オキサゾリルオキシ基等の複素環オキシ基;
等を挙げることができる。また、これらの「置換基」はさらに別の「置換基」をその中に有するものであってもよい。
【0027】
[ X ]
Xは、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。nは、Xの個数を表し、0〜4のいずれかの整数である。nが2以上のとき、Xは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、nが2以上のとき、Xは一緒になって環を形成してもよい。
【0028】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
C1〜8アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。これらのうち、C1〜6アルキル基が好ましい。
C1〜8アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、i−ヘプチルオキシ基、t−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、i−オクチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、C1〜6アルコキシ基が好ましい。
【0029】
C1〜8アルキル基および/またはC1〜8アルコキシ基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。2以上の置換基を有するとき、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
XにおけるC1〜8アルキル基および/またはC1〜8アルコキシ基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子である。すなわち、C1〜8ハロアルキル基および/またはC1〜8ハロアルコキシ基である。
【0030】
C1〜8ハロアルキル基としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、2,2,2−トルフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0031】
C1〜8ハロアルコキシ基としては、クロロメトキシ基、ジクロロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、1−フルオロエトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基等が挙げられる。
【0032】
[ Y、Z、R7
Yは、酸素原子、または硫黄原子を表す。
Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子、またはNR7で表される基を表す。R7は、水素原子若しくはC1〜8アルキル基を表す。
【0033】
7におけるC1〜8アルキル基としては、前記に列挙したものと同じものが挙げられる。
C1〜8アルキル基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。2以上の置換基を有するとき、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
7におけるC1〜8アルキル基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子である。すなわち、C1〜8ハロアルキル基である。
【0034】
[ R1
1は、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、またはC3〜8シクロアルキル基を表す。
1におけるC1〜8アルキル基としては、前記に列挙したものと同じものが挙げられる。
【0035】
C2〜8アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。これらのうち、C2〜6アルケニル基か好ましい。
【0036】
C2〜8アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基、ヘプチニル基、オクチニル基等が挙げられる。これらのうち、C2〜6アルキニル基が好ましい。
【0037】
C3〜8シクロアルキル基は単環または多環のアルキル基であり、たとえば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基等が挙げられる。
【0038】
1における、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、および/またはC3〜8シクロアルキル基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。2以上の置換基を有するとき、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
1における、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、またはC2〜8アルキニル基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子である。すなわち、C1〜8ハロアルキル基、C1〜8ハロアルケニル基、またはC2〜8ハロアルキニル基である。
1における、C3〜8シクロアルキル基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基である。
【0039】
1における、C1〜8ハロアルキル基としては、前記に列挙したものと同じものが挙げられる。
C2〜8ハロアルケニル基としては、3−クロロ−2−プロペニル基、4−クロロ−2−ブテニル基、4,4−ジクロロ−3−ブテニル基、4,4−ジフルオロ3−ブテニル基、3,3−ジクロロ−2−プロペニル基等が挙げられる。
【0040】
C2〜8ハロアルキニル基としては、3−クロロ−1−プロピニル基、3−クロロ−1−ブチニル基、3−ブロモ−1−ブチニル基、3−ブロモ−2−プロピニル基、3−ヨード−2−プロピニル基等が挙げられる。
【0041】
[ R2
2は、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、C1〜8アシル基、C1〜8アルキルスルホニル基、またはC6〜10アリールスルホニル基を表す。
2における、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、およびC2〜8アルキニル基としては、前記に列挙したものと同じものが挙げられる。
【0042】
アシル基は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はへテロアリール基などがカルボニル基と結合した基を意味する。
C1〜8アシル基としては、例えば、ホルミル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、へプタノイル基、オクタノイル基などのアルキルカルボニル基;アクリロイル基、メタクリロイル基、アリルカルボニル基、シンナモイル基等のアルケニルカルボニル基; エチニルカルボニル基、プロピニルカルボニル基;ベンゾイル基等のアリールカルボニル基;2−ピリジルカルボニル基、チエニルカルボニル基等のヘテロアリールカルボニル基等が挙げられる。これらのうち、C1〜7アシル基が好ましい。
【0043】
C1〜8アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、i−プロピルスルホニル基等が挙げられる。これらのうち、C1〜6アルキルスルホニル基が好ましい。
C6〜10アリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基などが挙げられる。
【0044】
2における、C1〜8アルキル基、C1〜8アシル基、C1〜8アルキルスルホニル基、またはC6〜10アリールスルホニル基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。2以上の置換基を有するとき、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
2における、C1〜8アルキル基に置換され得る好ましい基は、アルコキシ基である。すなわち、アルコキシC1〜8アルキル基である。
【0045】
アルコキシC1〜8アルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、i−プロポキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基、1−メトキシ−n−プロピル基、2−メトキシ−n−プロピル基、3−メトキシ−n−プロピル基等が挙げられる。
【0046】
2における、C1〜8アシル基、C1〜8アルキルスルホニル基、またはC6〜10アリールスルホニル基に置換され得る好ましい基は、アルキル基、若しくはハロゲン原子である。
置換基を有するC1〜8アシル基としては、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、4−メチルベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基等が挙げられる。
置換基を有するC6〜10アリールスルホニル基としては、4−メチルフェニルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0047】
[ R3
3は、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、またはC3〜8シクロアルキル基を表す。
3における、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、およびC3〜8シクロアルキル基としては、前記に列挙したものと同じものが挙げられる。
3における、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、および/またはC3〜8シクロアルキル基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。2以上の置換基を有するとき、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
3における、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、またはC2〜8アルキニル基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子である。すなわち、C1〜8ハロアルキル基、C1〜8ハロアルケニル基、またはC2〜8ハロアルキニル基である。
【0048】
3における、C3〜8シクロアルキル基に置換され得る好ましい置換基は、ハロゲン原子、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基である。
【0049】
[ R4およびR5
4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、C3〜8シクロアルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。R4とR5は一緒になって環を形成していてもよい。mは、括弧内の単位の繰返し数を表し、0〜2のいずれかの整数である。mが2のとき、R4および/またはR5は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
4またはR5における、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、C3〜8シクロアルキル基、およびC1〜8アルコキシ基としては、前記に列挙したものと同じものが挙げられる。
【0050】
4またはR5における、C1〜8アルキル基、C1〜8アルコキシ基、および/またはC3〜8シクロアルキル基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。2以上の置換基を有するとき、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
4またはR5における、C1〜8アルキル基またはC1〜8アルコキシ基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子である。すなわち、C1〜8ハロアルキル基、C1〜8ハロアルコキシ基である。
4またはR5における、C3〜8シクロアルキル基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基である。
【0051】
また、R4とR5が一緒になって環を形成する場合、かかる環としては、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等のC3〜10シクロアルカン環が挙げられる。
【0052】
[ R6
6は、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。
6における、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、およびC1〜8アルコキシ基としては、前記に列挙したものと同じものが挙げられる。
6における、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。2以上の置換基を有するとき、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
6における、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子である。すなわち、C1〜8ハロアルキル基、C1〜8ハロアルコキシ基である。
【0053】
[ A、R8、R9
Aは、酸素原子、硫黄原子、またはCR89で表される基を表す。R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。pは、Aの繰返し数を表し、1〜3のいずれかの整数である。pが2以上のとき、Aは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
8およびR9における、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、およびC1〜8アルコキシ基としては、前記に列挙したものと同じものが挙げられる。
8およびR9における、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。2以上の置換基を有するとき、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
8およびR9における、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子である。すなわち、C1〜8ハロアルキル基、C1〜8ハロアルコキシ基である。
【0054】
[ B、R10、R11
Bは、酸素原子、硫黄原子、またはCR1011で表される基を表す。R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。qは、Bの繰返し数を表し、0〜1のいずれかの整数である。但し、pとqとの和は、2または3である。
10およびR11における、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、およびC1〜8アルコキシ基としては、前記に列挙したものと同じものが挙げられる。
10およびR11における、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。2以上の置換基を有するとき、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
10およびR11における、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子である。すなわち、C1〜8ハロアルキル基、C1〜8ハロアルコキシ基である。
【0055】
[ Q ]
Qは、C6〜10アリレン基、または少なくとも2価のヘテロアリール基を表す。
C6〜10アリレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基などが挙げられる。
少なくとも2価のヘテロアリール基としては、ピリジニレン基、ピラジニレン基、ピリミジニレン基、ピリダジニレン基、ピロリニレン基、イミダゾリニレン基、ピラゾリニレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、インドリニレン基、イソインドリニレン基、2,2’−ビピリジニレン基、オキサゾリジニレン基、オキサゾリニレン基、オキサゼピニレン基、などのヘテロアリレン基が挙げられる。
【0056】
【化6】

【0057】
式(I)または式(II)中の、B、Q、AおよびR6で形成される環部分(式(VI))の具体例としては、式(VI-1)〜式(VI-20)に示すような基が挙げられる。
【0058】
【化7】

【0059】
【化8】

【0060】
C6〜10アリレン基、または少なくとも2価のヘテロアリール基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。2以上の置換基を有するとき、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
C6〜10アリレン基、または少なくとも2価のヘテロアリール基に置換され得る好ましい基は、ハロゲン原子、C1〜6アルキル基、C1〜6ハロアルキル基、またはアルキニル基である。
【0061】
2)製造方法
本発明に係る式(I)で表されるオキシムエーテル誘導体は、例えば、式(3)で表されるオキシアミン化合物(以下、化合物(3)と表記することがある。)と式(4)で表される化合物(以下、化合物(4)と表記することがある。)とを反応させることによって製造することができる。
【0062】
【化9】

【0063】
【化10】

【0064】
化合物(4)の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常0.5〜2モル、好ましくは0.7〜1.5モルである。
【0065】
この反応は触媒の非存在下で行うこともできるが、酸触媒又は塩基触媒の存在下に行うことが好ましく、酸触媒の存在下に行うことがより好ましい。
用いる酸触媒としては、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸1水和物、メタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホネート、塩酸、硫酸等が挙げられる。塩基触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、水酸化カリウム等が挙げられる。
触媒の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常0.0001〜1モルである。
また、反応系に、無水硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ等の脱水剤を添加してもよい。
【0066】
この反応は適当な溶媒中で行うことができる。用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。例えば、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒;及びこれらの二種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、化合物(3)1gに対して、通常、1〜100mlである。
【0067】
反応温度は、室温から用いる溶媒の沸点までの範囲の温度である。反応時間は、通常数分間から数十時間である。
【0068】
化合物(3)は、従来公知のオキシアミン化合物の製造方法により製造することができる。例えば、下記に示すように、式(1)で表される化合物に、四臭化炭素及びトリフェニルホスフィンを反応させて式(2)で表される化合物を得、これに、塩基存在下、N−t−ブトキシカルボニルヒドロキシルアミンを反応させることにより、式(9)で表されるオキシアミン化合物(以下、化合物(9)と表記することがある。)を得、このものに酸を作用させることにより、式(3)で表されるオキシアミン化合物を得ることできる。
【0069】
【化11】

【0070】
【化12】

【0071】
【化13】

【0072】
また、化合物(3)と化合物(4)を反応させる場合においては、化合物(4)と化合物(9)とを混合した後、トリフルオロ酢酸などの酸を添加して、反応系内で、化合物(3)を生成させて反応を行うようにしてもよい。
【0073】
化合物(4)は、例えば、式(5)で表されるフルオリド化合物(以下、化合物(5)と表記することがある。)に、塩基の存在下、式(6)で表される化合物(以下、化合物(6)と表記することがある。)を反応させることにより、式(7)で表される化合物(以下、化合物(7)と表記することがある。)を得、次いで、化合物(7)に、塩基の存在下、式(8)で表されるアミド化合物(以下、化合物(8)と表記することがある。)を反応させることにより、目的とする化合物(4)を得ることができる。
【0074】
【化14】

【0075】
【化15】

【0076】
化合物(7)を得る反応において、化合物(6)の使用量は、化合物(5)1モルに対して、通常0.8〜5モル、好ましくは1〜3モルである。
【0077】
化合物(7)を得る反応に用いる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の有機塩基;が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(5)1モルに対して、通常1〜20モルである。
【0078】
この反応は、適当な有機溶媒中で行うことができる。用いる有機溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒;ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;及びこれらの二種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、化合物(5)1gに対して、通常、1〜100mlである。
化合物(7)を得る反応は、0℃から用いる溶媒の沸点までの範囲の温度で円滑に進行する。
【0079】
化合物(4)を得る反応に用いる化合物(8)の具体例としては、N,N−ジメチルアセタミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド等が挙げられる。
化合物(8)の使用量は、化合物(7)1モルに対して、通常0.8〜5モル、好ましくは1〜3モルである。
【0080】
化合物(4)を得る反応に用いる塩基としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機リチウム化合物;金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;等が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(7)1モルに対して、通常1〜20モルである。
【0081】
この反応は、適当な有機溶媒中で行うことができる。用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。例えば、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
化合物(4)を得る反応は、−100℃から用いる溶媒の沸点までの範囲の温度で円滑に進行する。
【0082】
化合物(4)のうち、R1がt−ブチル基、R2が水素原子で、YおよびZが酸素原子である化合物(4−a)は、塩基の存在下、ハロゲノギ酸エステル化合物(5)と反応させることにより中間化合物(4−b)に変換され、次いで酸を作用させることにより、R1(t−ブチル基)が他の置換基R1'に変換された化合物(4−c)を得ることができる。
【0083】
【化16】

【0084】
化合物(4−a)とハロゲノギ酸エステル化合物(5)との反応に用いる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の有機塩基;等が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(4−a)1モルに対して、通常1〜20モルである。
【0085】
化合物(4−a)とハロゲノギ酸エステル化合物(5)との反応は、適当な有機溶媒中で行われる。用いる有機溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒;ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;及びこれらの二種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、化合物(4−a)1gに対して、通常、1〜100mlである。
【0086】
化合物(4−a)とハロゲノギ酸エステル化合物(5)との反応は、−20℃から用いる溶媒の沸点までの範囲の温度で円滑に進行する。反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分間から数十時間である。
【0087】
中間化合物(4−b)から化合物(4−c)を得る反応に用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
酸の使用量は、化合物(4−b)1モルに対して、通常1〜20モルである。
【0088】
中間化合物(4−b)から化合物(4−c)を得る反応は、適当な有機溶媒中で行われる。用いる有機溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されず、前記ハロゲノギ酸エステル化合物との反応に用いることができる溶媒として列記したものと同様のものが挙げられる。
【0089】
中間化合物(4−b)から化合物(4−c)を得る反応は、−20℃から用いる溶媒の沸点までの範囲の温度で円滑に進行する。反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分間から数十時間である。
【0090】
また、化合物(4)のうち、Y、Zが酸素原子である化合物(4−d)は、公知のエステル交換方法により、置換基R1が他の置換基R1''に変換された化合物(4−e)に誘導することができる。
【0091】
【化17】

【0092】
また、本発明に係る式(I)で表されるオキシムエーテル誘導体は、実施例1に示すような方法でも製造することができる。具体的には、式(1)で表される化合物に、N−ヒドロキシフタルイミド等を反応させて、イソインドールジオン誘導体を得、これをメチルヒドラジン等の存在下で反応させ、次いで該反応生成物と化合物(4)とを反応させることによっても製造することができる。
【0093】
本発明に係る式(II)で表されるオキシムエーテル誘導体は、例えば、式(10)で表されるオキシアミン化合物(以下、化合物〔10〕と表記することがある。)と式(11)で表される化合物(以下、化合物(11)と表記することがある。)とを反応させることによって製造することができる。
【0094】
【化18】

【0095】
【化19】

【0096】
化合物(10)の使用量は、化合物(11)1モルに対して、通常0.5〜2モル、好ましくは0.7〜1.5モルである。
この反応は前述の化合物(3)と化合物(4)との反応と、同じ手法によって行うことができる。
【0097】
化合物(11)は、例えば、化合物(7)にN−t−ブトキシカルボニルヒドロキシルアミンを塩基の存在下で反応させ、さらにこれに酸を作用させることによって得ることができる。これらの反応は化合物(2)から化合物(9)を経て化合物(3)を得る反応と同じ手法で行うことができる。
【0098】
いずれの反応においても、反応終了後は、通常の後処理操作、及び所望により蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の公知慣用の精製手段により精製して、目的物を単離することができる。
目的物の構造は、IRスペクトル、NMRスペクトル、マススペクトル、元素分析等の公知の分析手段により、同定、確認することができる。
【0099】
3)オキシムエーテル誘導体の塩
本発明に係るオキシムエーテル誘導体の塩は、式(I)または式(II)で表される化合物の塩である。
塩としては、農園芸学的に許容される塩であれば、特に制限されない。例えば、塩酸、硫酸等の無機酸の塩;酢酸、乳酸等の有機酸の塩等を挙げることができる。 これらの塩は、前記式(I)または式(II)で表されるオキシムエーテル誘導体と対応する酸を使用して、従来公知の方法により製造することができる。
【0100】
本発明に係るオキシムエーテル誘導体またはその塩は、炭素−窒素二重結合及び不斉炭素原子に基づく各立体異性体及びそれらの混合物を包含する。また、溶媒和物や結晶多形が存在する場合には、それらも包含する。
【0101】
4)農園芸用殺菌剤
本発明の農園芸用殺菌剤(以下、「本発明殺菌剤」ということがある。)は、本発明の式(I)または式(II)で表されるオキシムエーテル誘導体又はその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有するものである。
【0102】
本発明殺菌剤は、広範囲の種類の糸状菌、例えば、藻菌類(Oomycetes)、子のう(嚢)菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)に属する菌に対し優れた殺菌力を有する。
【0103】
本発明殺菌剤は、花卉、芝、牧草を含む農園芸作物の栽培に際し発生する種々の病害の防除に、種子処理、茎葉散布、土壌施用又は水面施用等により使用することができる。
【0104】
例えば、
テンサイ: 褐斑病(Cercospora beticola)、黒根病(Aphanomyces cochlloides);
ラッカセイ: 褐斑病(Mycosphaerella arachidis)、黒渋病(Mycosphaerella berkeleyi);
キュウリ: うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、黒星病(Cladosporium cucumerinum)、褐斑病(Corynespora cassicola)、苗立枯病(Pythium debaryanam、Rhizoctonia solani Kuhn)、斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv.Lecrymans);
トマト: 灰色かび病(Botrytis cinerea)、葉かび病(Cladosporium fulvum);
ナス: 灰色かび病(Botrytis cinerea)、黒枯病(Corynespora melongenae)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、すすかび病(Mycovellosiella nattrassii);
イチゴ: 灰色かび病(Botrytis cinerea)、うどんこ病(Sohaerotheca humuli)、炭そ病(Colletotrichum acutatum,Colletotrichum fragariae);
タマネギ: 灰色腐敗病(Botrytis allii)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、白斑葉枯病(Botrytis squamosa);
キャベツ:根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、軟腐病(Erwinia carotovora);
インゲン: 菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、灰色かび病(Botrytis cinerea);
りんご: うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、黒星病(Venturia inaequalis)、モニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa mali)、斑点落葉病(Alternaria mali)、赤星病(Gymnosporangium yamadae)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、炭そ病(Colletotrichum gloeosprioides)、褐斑病(Diplocarpon mali);
カキ: うどんこ病(Phyllactinia kakicola)、炭そ病(Gloeosporium kaki)、角斑落葉病(Cercospora kaki);
【0105】
モモ・オウトウ: 灰星病(Monilinia fructicola);
ブドウ: 灰色かび病(Botrytis cinerea)、うどんこ病(Uncinula necator)、晩腐病(Glomerella cingulata);
ナシ: 黒星病(Venturia nashicola)、赤星病(Gymnosporangium asiaticum)、黒斑病(Alternaria kikuchiana);
チャ: 輪斑病(Pestalotia theae)、炭そ病(Colletotrichum theae-sinensis);
カンキツ: そうか病(Elsinoe fawcetti)、青かび病(Penicillium italicum)、緑かび病(Penicillium digitatum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、黒点病(Diaporthe citri)、かいよう病(Xanthomonas campestris pv.Citri);
コムギ: うどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.tritici)、赤かび病(Gibberella zeae)、赤さび病(Puccinia recondita)、褐色雪腐病(Pythium iwayamai)、紅色雪腐病(Monographella nivalis)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、雪腐小粒菌核病(Typhula incarnata)、雪腐大粒菌核病(Myriosclerotinia borealis)、立枯病(Gaeumanomyces graminis);
【0106】
オオムギ: 斑葉病(Pyrenophora graminea)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici,U.nuda);
イネ: いもち病(Pyricularia oryzae)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)、ごま葉枯病(Cochliobolus niyabeanus)、苗立枯病(Pythium graminicolum);
タバコ: 菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum);
チューリップ: 灰色かび病(Botrytis cinerea);
ベントグラス: 雪腐大粒菌核病(Sclerotinia borealis)、赤焼病(Pythium aphanidermatum);
オーチャードグラス: うどんこ病(Erysiphe graminis);
ダイズ: 紫斑病(Cercospora kikuchii)、べと病(Peronospora Manshurica)、茎疫病(Phytophthora sojae);
ジャガイモ・トマト: 疫病(Phytophthora infestans);
キュウリ: べと病(Pseudoperonospora cubensis);
ブドウ: べと病(Plasmopara viticola)
等の防除に使用することができる。
【0107】
また、本発明の殺菌剤は、ベンズイミダゾール系殺菌剤やジカルボキシイミド系殺菌剤等の従来の殺菌剤に対して耐性を有するようになった菌に対しても優れた殺菌効果を有する。
【0108】
係る耐性菌としては、チオファネートメチル、ベノミル、カルベンダジム等のベンズイミダゾール系殺菌剤に耐性を示す灰色かび病菌(Botrytis cinerea)やテンサイ褐斑病菌(Cercospora beticola)、リンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis)、ナシ黒星病菌(Venturia nashicola);ジカルボキシイミド系殺菌剤(例えば、ビンクロゾリン、プロシミドン、イプロジオン)に耐性を示す灰色かび病菌(Botrytis cinerea)などが挙げられる。
【0109】
本発明殺菌剤の適用がより好ましい病害としては、テンサイの褐斑病、コムギのうどんこ病、イネのいもち病、リンゴ黒星病、キュウリの灰色かび病、ラッカセイの褐斑病等が挙げられる。
【0110】
また本発明殺菌剤は薬害が少なく、魚類や温血動物への毒性が低く、安全性の高い薬剤である。
本発明殺菌剤は、一般の農薬のとり得る形態、即ち、水和剤、粒剤、粉剤、乳剤、水溶剤、懸濁剤、顆粒水和剤等の農薬製剤の形態で使用するものであってもよい。
【0111】
固形の製剤とする場合に使用する添加剤及び担体としては、大豆粉、小麦粉等の植物性粉末、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレー等の鉱物性微粉末、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機及び無機化合物が挙げられる。
【0112】
液体の製剤とする場合に使用する溶剤としては、ケロシン、キシレン及び石油系の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、トリクロロエチレン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水等が挙げられる。
【0113】
これらの製剤には、均一かつ安定な形態をとるために、必要に応じ界面活性剤を添加することができる。
添加することができる界面活性剤としては特に限定はないが、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0114】
このようにして得られた水和剤、乳剤、フロアブル剤、水溶剤、顆粒水和剤は水で所定の濃度に希釈して、溶解液、懸濁液あるいは乳濁液として植物に散布する方法で使用される。また、粉剤・粒剤はそのまま植物に散布する方法で使用される。
【0115】
本発明殺菌剤中における有効成分量は、通常、製剤全体に対して、好ましくは0.01〜90重量%、より好ましくは0.05〜85重量%である。
【0116】
本発明殺菌剤の施用量は、気象条件、製剤形態、施用磁気、施用方法、施用場所、防除対象病害、対象作物等により異なるが、通常1ヘクタール当たり有効成分化合物量にして1〜1,000g、好ましくは10〜100gである。
【0117】
水和剤、乳剤、懸濁剤、水溶剤、顆粒水和剤等を水で希釈して施用する場合、その施用濃度は1〜1000ppm、好ましくは10〜250ppmである。
【0118】
本発明殺菌剤には、本発明化合物のほかに、他の殺菌剤、殺虫・殺ダニ剤、共力剤などを混合することもできる。
【0119】
混合して使用できる他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、植物生長調節剤の代表例を以下に示す。
殺菌剤:
キャプタン、フォルペット、チウラム、ジラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、プロピネブ、ポリカーバメート、クロロタロニル、キントーゼン、キャプタホル、イプロジオン、プロサイミドン、ビンクロゾリン、フルオロイミド、サイモキサニル、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、オキシカルボキシン、ホセチルアルミニウム、プロパモカーブ、トリアジメホン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジクロブトラゾール、ビテルタノール、ヘキサコナゾール、マイクロブタニル、フルシラゾール、メトコナゾール、エタコナゾール、フルオトリマゾール、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルトリアフェン、ベンコナゾール、ジニコナゾール、サイプロコナゾーズ、フェナリモール、トリフルミゾール、プロクロラズ、イマザリル、ペフラゾエート、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、トリホリン、ブチオベート、ピリフェノックス、アニラジン、ポリオキシン、メタラキシル、オキサジキシル、フララキシル、イソプロチオラン、プロベナゾール、ピロールニトリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ベノミル、カルベンダジム、チオファネートメチル、ヒメキサゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、フェンチンアセテート、水酸化トリフェニル錫、ジエトフェンカルブ、メタスルホカルブ、キノメチオナート、ビナパクリル、レシチン、重曹、ジチアノン、ジノカップ、フェナミノスルフ、ジクロメジン、グアザチン、ドジン、IBP、エディフェンホス、メパニピリム、フェルムゾン、トリクラミド、メタスルホカルブ、フルアジナム、エトキノラック、ジメトモルフ、ピロキロン、テクロフタラム、フサライド、フェナジンオキシド、チアベンダゾール、トリシクラゾール、ビンクロゾリン、シモキサニル、シクロブタニル、グアザチン、プロパモカルブ塩酸塩、オキソリニック酸、ヒドロキシイソオキサゾール、イミノクタジン酢酸塩等。
【0120】
殺虫・殺ダニ剤:
有機燐及びカーバメート系殺虫剤:
フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキシジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIPC、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、フェノキシカルブ、EDDP等。
ピレスロイド系殺虫剤:
ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメスリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレトリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フルシトリネート、エトフェンプロクス、シクロプロトリン、トロラメトリン、シラフルオフェン、ブロフェンプロクス、アクリナスリン等。
ベンゾイルウレア系その他の殺虫剤:
ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、テトラベンズロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエピン、ジアフェンチウロン、アセタミプリド、イミダクロプリド、ニテンピラム、フィプロニル、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、機械油、BTや昆虫病原ウイルス等の微生物農薬等。
【0121】
殺線虫剤:
フェナミホス、ホスチアゼート等。
殺ダニ剤:
クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル等。
植物生長調節剤:
ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベレリンA4、ジベレリンA7)、IAA、NAA等。
【実施例】
【0122】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されることはない。
【0123】
実施例1
〔5−(1−プロピニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オールの製造〕
5−ブロモ−1−テトラロン2.00gをN,N−ジメチルホルムアミド18mlに溶解し、次いでジイソプロピルアミン15ml、ヨウ化銅0.10g、およびジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム0.19gを加え、プロピン雰囲気下で80℃にて8時間撹拌した。これに、酢酸エチルと塩化アンモニウム水を加え、セライトろ過し、有機層を分離した。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、ろ過し、次いで溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=9:1)にて粗精製した。得られた粗精製物をテトラヒドロフラン30mlおよびメタノール5mlの混合溶媒に溶解させた。これに水素化ホウ素ナトリウム0.17gを加えて3時間撹拌した。その後、これに塩化アンモニウム水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、ろ過し、次いで溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製した。目的とする5−(1−プロピニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オール1.46g(収率88%)が得られた。
【0124】
【化20】

【0125】
得られた化合物について1H−NMRを測定した。結果は以下のとおりである。
1H-NMR(CDCl3 / TMS , δ(ppm)) 7.36( d , 1H ) , 7.31( d , 1H ) , 7.13( t , 1H ) , 4.75( bs , 1H ) , 2.99〜2.90( m , 1H ) , 2.80〜2.69( m , 1H ) , 2.09( s , 3H ) , 2.07〜1.75( m , 4H ) , 1.70( d , 1H )
【0126】
〔2−[5−(1−プロピニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルオキシ]イソインドール−1,3−ジオンの製造〕
5−(1−プロピニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オール1.46g、N−ヒドロキシフタルイミド1.53g、およびトリフェニルホスフィン2.47gをテトラヒドロフラン40mlに溶解させた。これに、氷冷下にてジイソプロピル アゾジカルボキシレート1.90gを滴下した。その後、室温で3時間撹拌した。これに酢酸エチルを加え、塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥させ、ろ過し、次いで溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜3:1)にて精製した。目的とする2−[5−(1−プロピニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルオキシ]イソインドール−1,3−ジオン2.23g(収率86%)が得られた。
【0127】
【化21】

【0128】
得られた化合物について1H−NMRを測定した。結果は以下のとおりである。
1H-NMR(CDCl3 / TMS , δ(ppm)) 7.87〜7.73( m , 4H ) , 7.65( d , 1H ) , 7.38( dd , 1H ) , 7.16( t , 1H ) , 5.28( t , 1H ) , 3.19〜3.11( m , 1H ) , 2.75〜2.63( m , 1H ) , 2.38〜2.28( m , 2H ) , 2.10( s , 3H ) , 1.91〜1.76( m , 2H )
【0129】
〔N−(2−メチル−5−{1−[5−(1−プロピニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルオキシイミノ]エチル}フェノキシ)カルバミン酸メチルの製造〕
2−[5−(1−プロピニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルオキシ]イソインドール−1,3−ジオン0.50gを塩化メチレン8mlに溶解させた。これにメチルヒドラジン69mgを加え、室温にて2時間撹拌した。これにジエチルエーテルを加え、ろ過し、次いで溶媒を減圧留去した。
得られた残渣にメタノール15ml、N−(5−アセチル−2−メチルフェノキシ)カルバミン酸メチル0.25g、酢酸ナトリウム0.25g、および酢酸0.18gを加えて、6時間還流した。これに酢酸エチルを加え、塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥させ、ろ過し、次いで溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ベンゼン:酢酸エチル=100:1〜50:1)にて精製した。目的とするN−(2−メチル−5−{1−[5−(1−プロピニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルオキシイミノ]エチル}フェノキシ)カルバミン酸メチル0.39g(収率85%)が得られた。
【0130】
【化22】

【0131】
得られた化合物について1H−NMRを測定した。結果は以下のとおりである。
1H-NMR(CDCl3 / TMS , δ(ppm)) 7.77( s , 1H ) , 7.52( d , 1H ) , 7.41( d , 1H ) , 7.33( d , 1H ) , 7.23( dd , 1H ) , 7.13( t , 2H ) , 5.29( t , 1H ) , 3.83( s , 3H ) , 3.05〜2.97( m , 1H ) , 2.79〜2.69( m , 1H ) , 2.27( s , 3H ) , 2.23〜2.21( m , 1H ) , 2.17( s , 3H ) , 2.09( s , 3H ) , 1.97〜1.80( m , 3H )
【0132】
上記の実施例と同様にして、種々の化合物を製造した。式(I)で表されるオキシムエーテル誘導体の製造例を表1に、式(II)で表されるオキシムエーテル誘導体の製造例を表2に、それぞれ示す。
なお、表1および表2中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Phはフェニル基を、Npはナフチル基を、cPrはシクロプロピル基を、tBuはt−ブチル基を、Acはアセチル基を、それぞれ表す。
【0133】
【表1】

なお、化合物番号1−9と1−10のオキシムエーテル誘導体は相互に異性体である。
【0134】
【表2】

【0135】
【表3】

【0136】
【表4】

【0137】
【表5】

【0138】
【表6】

【0139】
上記製造例で得られた化合物について、物性(融点、屈折率など)、1H−NMRを測定した。その結果の一部を下記に示す。
【0140】
化合物番号1−1のオキシムエーテル誘導体: m.p. 82〜85℃
化合物番号1−2のオキシムエーテル誘導体: nD22.7 1.5509
化合物番号1−3のオキシムエーテル誘導体: m.p. 132〜134℃
化合物番号1−4のオキシムエーテル誘導体: m.p. 129〜131℃
化合物番号1−5のオキシムエーテル誘導体: m.p. 110〜112℃
化合物番号1−6のオキシムエーテル誘導体: m.p. 123〜128℃
化合物番号1−7のオキシムエーテル誘導体: m.p. 127〜129℃
化合物番号1−8のオキシムエーテル誘導体: m.p. 109〜111℃
化合物番号1−9のオキシムエーテル誘導体: m.p. 102〜104℃
化合物番号1−10のオキシムエーテル誘導体: m.p. 105〜107℃
なお、化合物番号1−9と1−10のオキシムエーテル誘導体は相互に異性体である。
化合物番号1−11のオキシムエーテル誘導体: m.p. 128〜129℃
化合物番号1−12のオキシムエーテル誘導体: m.p. 90〜91℃
化合物番号1−13のオキシムエーテル誘導体: m.p. 108〜110℃
化合物番号1−14のオキシムエーテル誘導体: m.p. 108〜111℃
化合物番号1−15のオキシムエーテル誘導体: nD22.2 1.5386
【0141】
化合物番号1−16のオキシムエーテル誘導体: amorphous
1H-NMR(CDCl3 / TMS , δ(ppm)) 7.77( s , 1H ) , 7.52( d , 1H ) , 7.41( d , 1H ) , 7.33( d , 1H ) , 7.23( dd , 1H ) , 7.13( t , 2H ) , 5.29( t , 1H ) , 3.83( s , 3H ) , 3.05〜2.97( m , 1H ) , 2.79〜2.69( m , 1H ) , 2.27( s , 3H ) , 2.23〜2.21( m , 1H ) , 2.17( s , 3H ) , 2.09( s , 3H ) , 1.97〜1.80( m , 3H )
【0142】
化合物番号1−17のオキシムエーテル誘導体: viscous oil
1H-NMR(CDCl3 / TMS , δ(ppm)) 7.71( s , 1H ) , 7.53( d , 1H ) , 7.50〜7.47( m , 1H ) , 7.23〜7.11( m , 5H ) , 5.33( t , 1H ) , 3.83( s , 3H ) , 2.90〜2.73( m , 2H ) , 2.28( s , 3H ) , 2.26〜2.21( m , 1H ) , 2.18( s , 3H ) , 2.02〜1.97( m , 2H ) , 1.83〜1.76( m , 1H )
【0143】
化合物番号1−18のオキシムエーテル誘導体: viscous oil
1H-NMR(CDCl3 / TMS , δ(ppm)) 7.51( d , 1H ) , 7.47〜7.12( m , 6H ) , 5.71( s , 2H ) , 5.33( t , 1H ) , 3.87( s , 3H ) , 2.86〜2.76( m , 2H ) , 2.56〜2.21( m , 1H ) , 2.17( s , 3H ) , 2.12( s , 3H ) , 2.02〜1.95( m , 2H ) , 1.82〜1.79( m , 1H )
【0144】
化合物番号1−19のオキシムエーテル誘導体: viscous oil
1H-NMR(CDCl3 / TMS , δ(ppm)) 7.49〜7.45( m , 1H ) , 7.38( d , 1H ) , 7.26〜7.09( m , 5H ) , 5.69( s , 2H ) , 5.32( t , 1H ) , 3.85( s , 3H ) , 2.85〜2.75( m , 2H ) , 2.26( s , 3H ) , 2.24〜2.17( m , 1H ) , 2.16( s , 3H ) , 2.10( s , 3H ) , 2.01〜1.94( m , 2H ) , 1.83〜1.76( m , 1H )
【0145】
次に、本発明殺菌剤の実施例を若干示すが、添加物及び添加割合は、これら実施例に限定されるべきものではなく、広範囲に変化させることが可能である。また、製剤実施例中の部は重量部を示す。
【0146】
製剤実施例1 水和剤
本発明化合物 40部
クレー 48部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 4部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
以上を均一に混合して微細に粉砕し、有効成分40%の水和剤を得る。
【0147】
製剤実施例2 乳剤
本発明化合物 10部
ソルベッソ200 53部
シクロヘキサノン 26部
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩 1部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 10部
以上を混合溶解し、有効成分10%の乳剤を得る。
【0148】
製剤実施例3 粉剤
本発明化合物 10部
クレー 90部
以上を均一に混合して微細に粉砕し、有効成分10%の粉剤を得る。
【0149】
製剤実施例4 粒剤
本発明化合物 5部
クレー 73部
ベントナイト 20部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 1部
リン酸カリウム 1部
以上をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
【0150】
製剤実施例5 懸濁剤
本発明化合物 10部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 4部
ポリカルボン酸ナトリウム塩 2部
グリセリン 10部
キサンタンガム 0.2部
水 73.8部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕し、有効成分10%の懸濁剤を得る。
【0151】
製剤実施例6 顆粒水和剤
本発明化合物 40部
クレー 36部
塩化カリウム 10部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 1部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩のホルムアルデヒド縮合物
5部
以上を均一に混合して微細に粉砕後,適量の水を加えてから練り込んで粘土状にする。粘土状物を造粒した後乾燥し、有効成分40%の水和剤を得る。
【0152】
以上のようにして得られた本発明殺菌剤の試験例を以下に示す。
(試験例1)リンゴ黒星病防除試験
素焼きポットで栽培したリンゴ幼苗(品種「国光」、3〜4葉期)に、前記製造実施例2の乳剤を有効成分100ppmの濃度で散布した。室温で自然乾燥した後、リンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis)の分生胞子を接種し、明暗を12時間毎に繰り返す20℃、高湿度の室内に2週間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果を求めた。
【0153】
化合物番号(化合物番号は、上記表中の化合物番号に対応する。以下にて同じ。)1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6、1−7、1−8、1−9、1−10、1−11、1−12、1−13、1−14、1−15、1−16、1−17、1−18および1−19のオキシムエーテル誘導体についてリンゴ黒星病防除試を行った。いずれの化合物も75%以上の防除価を示した。
【0154】
(試験例2)コムギうどんこ病防除試験
素焼きポットで栽培したコムギ幼苗(品種「チホク」、1.0〜1.2葉期)に、前記製剤実施例1の水和剤を100ppmの濃度で散布した。葉を風乾させた後、コムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis f.sp.tritici)の分生胞子を振り払い接種し、22〜25℃の温室で7日間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果を求めた。
【0155】
化合物番号1−1、1−2、1−3、1−7、1−8、1−9、1−10、1−12、1−13、1−14、1−15、1−16、1−17、1−18および1−19のオキシムエーテル誘導体についてコムギうどんこ病防除試験を行った。いずれの化合物も75%以上の防除価を示した。
【0156】
(試験例3)コムギ赤さび病防除試験
素焼きポットで栽培したコムギ幼苗(品種「農林61号」、1.0〜1.2葉期)に、前記製剤実施例1の水和剤を100ppmの濃度で散布した。葉を風乾させた後、コムギ赤さび病菌(Puccinia recondita)の夏胞子を振り払い接種し、22〜25℃の温室で10日間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果を求めた。
【0157】
化合物番号1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6、1−8、1−9、1−10、1−11、1−12、1−13、1−14、1−15、1−16、1−17、1−18および1−19のオキシムエーテル誘導体についてコムギ赤さび病防除試験を行った。いずれの化合物も75%以上の防除価を示した。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明に係るオキシムエーテル誘導体及びその塩は、工業的に有利に製造でき、効果が確実で安全に使用できる農園芸用殺菌剤の活性成分として有用な新規化合物である。
本発明の農園芸用殺菌剤は優れた防除効果を有し、植物体に薬害や汚染を生じることがなく、人畜魚類に対する毒性や環境への影響が少ない薬剤である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または式(II)で表されるオキシムエーテル誘導体またはその塩。





式(I)および式(II)中、
1は、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、またはC3〜8シクロアルキル基を表す。

2は、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、C1〜8アシル基、C1〜8アルキルスルホニル基、またはC6〜10アリールスルホニル基を表す。

3は、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、またはC3〜8シクロアルキル基を表す。

4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、C3〜8シクロアルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。R4とR5は一緒になって環を形成していてもよい。mは、括弧内の単位の繰返し数を表し、0〜2のいずれかの整数である。mが2のとき、R4および/またはR5は、互い同一であってもよいし、異なっていてもよい。

6は、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。

Xは、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。nは、Xの個数を表し、0〜4のいずれかの整数である。nが2以上のとき、Xは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、nが2以上のとき、Xは一緒になって環を形成してもよい。

Yは、酸素原子、または硫黄原子を表す。

Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子、またはNR7で表される基を表す。R7は、水素原子若しくはC1〜8アルキル基を表す。

Aは、酸素原子、硫黄原子、またはCR89で表される基を表す。R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。pは、Aの繰返し数を表し、1〜3のいずれかの整数である。pが2以上のとき、Aは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。

Bは、酸素原子、硫黄原子、またはCR1011で表される基を表す。R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、またはC1〜8アルコキシ基を表す。qは、Bの繰返し数を表し、0〜1のいずれかの整数である。但し、pとqとの和は、2または3である。

Qは、C6〜10アリレン基、または少なくとも2価のヘテロアリール基を表す。

また、前記のC1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、C3〜8シクロアルキル基、C1〜8アルコキシ基、C1〜8アシル基、C1〜8アルキルスルホニル基、C6〜10アリールスルホニル基、C6〜10アリレン基、および少なくとも2価のヘテロアリール基は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい。
【請求項2】
請求項1に記載のオキシムエーテル誘導体またはその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤。

【公開番号】特開2013−6771(P2013−6771A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236427(P2009−236427)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】