説明

オクテン酸誘導体の製法

本発明は、薬剤活性成分の製造における重要な中間体を構成する一般式(I)のオクテン酸誘導体を、式(II)の化合物から製造するための方法、及び同様に前記のオクテン酸誘導体を製造するための方法で使用される中間体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤作用物質の製造における重要な中間段階物質であるキラルオクテン酸誘導体の製法に関する。本発明は、前記のオクテン酸誘導体の製法で使用される新規の中間生成物にも関する。
【0002】
WO02/02508、WO02/08172及びWO01/09083に、殊に、ノバルティス社(Firma Novartis)の"アリスキレン(Aliskiren)"(CAN:173334−57−1)という名称のリーニン抑制剤の、多段階製造における重要な中間段階物質として、一般式(I)のキラルオクテン酸誘導体が記載されている。それによると、キラルフェニル置換オクテン酸誘導体は、2個のキラルブロックから構成され、この際、その1単位は、キラル3−フェニル−2−イソプロピル−プロピルハロゲニド(WO02/02487及びWO02/02500から公知である)であり、かつ他の単位は、キラル5−ハロゲン−2−イソプロピル−ペンテ−4−エン酸(WO01/09079及びWO02/092828に記載されている)であり、これらは合一されて目的生成物となる。2個のキラルブロックは、別々に、例えば、前記の文書に記載されているように複雑な多段階合成を経て製造される。従って、一般式(I)のキラルフェニル置換オクテン酸誘導体の全製造工程は、極めて複雑で、更に、極めて高価な、簡単には入手不可能な均一のキラルRh−触媒を必要とする不斉水素添加段階を含み、このことは、方法を総合的に極めて経費的に厳しくさせている。
【0003】
従って、本発明の課題は、一般式(I)のオクテン酸誘導体の簡素化された製法を得ることにあった。
【0004】
設定された課題は、一般式(I):
【化1】

[式中、R及びRは、相互に無関係で、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ又はアルコキシアルコキシを表わし、
は、O又はNから選択される少なくとも1個のへテロ原子を含有し、C−1−位に少なくとも1個の炭素−ヘテロ原子−多重結合を有する炭素ヘテロ基、例えば、COOR(この際、Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル又はトリアルキルシリルを表わす)、
ニトリル、
C(O)R(この際、Rは、水素、ハロゲン、O、OM(この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量を表わす)、OCOR12(この際、R12は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖の低級アルキル、有利に、ピバロイルを表わす)、OCOCF、OSOCH又はOSOCF又は保護−又は活性化基、例えば、C(O)N−アルキル−O−アルキルを表わす)又は
C(O)NR(この際、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、トリアルキルシリル等を表わし、又はR及びRは、窒素と一緒に、任意に1〜3個の付加的なヘテロ原子を有し得る5〜6−員の複素環系を形成する)を表わす]の化合物又はその塩を製造するための方法で解明され、この際、
一般式(II):
【化2】

[式中、Rは、各々無関係で、式(I)で前記したものと同様に定義される]の化合物を、式(III):
【化3】

[式中、Yは、ハロゲン、金属、金属ハロゲニド、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを表わし、R及びRは、式(I)で前記したものと同様に定義され、又はYは、水素を表わし、かつRは、保護されたヒドロキシ官能基、例えば、トリフルオルメタンスルフォネート−又はトリフルオルアセテート基を表わし、Rは、式(I)で前記したものと同様に定義される]の化合物との付加反応で、式(IV):
【化4】

[式中、R、R及びRは、式(I)で前記したものと同様に定義され、点線は、単結合又は二重結合であり、Rは、点線が二重結合である場合には、O又はNRを表わし、この際、Rは、水素又はアルキルを表わし、Rは、点線が単結合である場合には、OH又はNRを表わし、この際、R及びRは、各々無関係で、水素、アルキル又はアリールを表わす]の化合物の取得下に変換させ、かつ式(IV)の化合物を少なくとも1回還元反応させて、式(I)の目的生成物を取得し、又は
一般式(II)の化合物を、少なくとも1回還元反応させて、式(V):
【化5】

[式中、Rは、式(I)で前記したものと同様に定義され、Zは、離脱基、例えば、ハロゲン、メシル、トシル又はトリフレートを表わす]の化合物を取得し、かつ式(V)の化合物を、式(III)の化合物との付加反応で、式(I)の目的生成物の取得下に変換させる。
【0005】
本発明による方法の有利な1実施態様で、式(II)の化合物は、立体異性体の混合物として使用される。
【0006】
本発明による方法は、有利に、付加−又は還元反応のいずれか1段階の前又はその後に、異性体−分割段階を包含する。異性体の分割は、自体公知の方法で、例えば、様々な結晶化技術、クロマトグラフィー等によって、1又は数段階で行なわれ得る。更なる有利な1実施態様で、本発明による方法は、前記の異性体−分割段階のほかに、付加的に、不所望の異性体の異性化又はラセミ化を包含する。
【0007】
式(I)中の基は、次の意味を有することが有利である:
:ヒドロキシ又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−及びi−プロポキシ、n−、i−及びt−ブトキシ又はペントキシ、アリールオキシ、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ又はその誘導体、又はベンジルオキシ又はアルコキシ基中に各々1〜5個、有利に1〜2個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖のアルコキシアルコキシ、例えば、1−メトキシメトキシ、1−メトキシ−2−エトキシ、1−メトキシ−3−プロポキシ、1−メトキシ−4−ブトキシ等、特に有利に1−メトキシメトキシ、1−メトキシ−2−エトキシ、1−メトキシ−3−プロポキシ、1−メトキシ−4−ブトキシ、殊に1−メトキシ−3−プロポキシ、
:ヒドロキシ又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−及びi−プロポキシ、n−、i−及びt−ブトキシ又はペントキシ、アリールオキシ、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ又はその誘導体、又はベンジルオキシ又はアルコキシ基中に各々1〜5個、有利に1〜2個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖のアルコキシアルコキシ、例えば、1−メトキシメトキシ、1−メトキシ−2−エトキシ、1−メトキシ−3−プロポキシ、1−メトキシ−4−ブトキシ等、特に有利にメトキシ、
及び
:COOR(この際、Rは、水素、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルキル、アリール、ベンジル又はトリアルキルシリルを表わす)、ニトリル、C(O)R(この際、Rは、ハロゲン、OMを表わし、この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量を表わす)又はC(O)NR(この際、R及びRは、独立して、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルキル又はベンジルを表わす)。
【0008】
本発明による方法は、特に有利に、式(VI):
【化6】

[式中、R、R及びRは、式(I)で前記されたものと同様に定義される]の化合物の製造に用いられる。
【0009】
本発明による方法は、殊に、式(VII):
【化7】

[式中、MOPOは、メトキシプロポキシを表わし、かつRは、式(I)で前記したものと同様に定義される]の化合物の製造に用いられる。
【0010】
本発明による方法のもう1つの有利な変法で、Rは、独立して、カルボキシ又はニトリルを表わす。
【0011】
式(III)[式中、Yは、様々な金属、例えば、アルカリ金属、又は金属ハロゲニド又は金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを表わし、この際、金属は、Mg、Al、B、Mn、Cu、Cd、Zn及びSnであってよい]の化合物の付加反応が有利に実施される。Yは、Li、Na、CuCl、CuBr、CuI、MgCl又はMgBrを表わすことが有利である。
【0012】
還元は、1又は2段階で、例えば、金属水素化物又はトリアルキルシランを用いて、酸が存在して、又はルイス−酸を用いて実施される。
【0013】
本発明による方法のもう1つの有利な実施態様で、式(VII)の化合物は、付加的なアミド化で、公知方法により、式(VIII):
【化8】

の化合物に変換される。
【0014】
付加が、式中Yが水素を表わし、かつRが保護されたヒドロキシ官能基を表わし、かつRが式(I)で前記されたものと同様に定義される式(III)の化合物で実施される場合には、本発明による方法は、Rをアルコキシ又はアルコキシアルコキシに変換させるためのもう1つのアルキル化段階を包含することが有利である。
【0015】
本発明は、更に、式(IIa):
【化9】

[式中、R10は、O又はNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有し、C−1−位に少なくとも1個の炭素−ヘテロ原子−多重結合を有する炭化水素ヘテロ基、例えば、COOR(この際、Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル又はトリアルキルシリルを表わす)、
ニトリル、
C(O)R(この際、Rは、水素、ハロゲン、O、OM(この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量である)、OCOR12(この際、R12は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖の低級アルキル、有利にピバロイルを表わす)又はOCOCF、OSOCH又はOSOCF又は保護−又は活性化基、例えば、C(O)N−アルキル−O−アルキルを表わす)
又はC(O)NR(この際、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、トリアルキルシリル等を表わす、又はR及びRは、窒素と一緒に、任意に1〜3個の付加的なヘテロ原子を有し得る5〜6員の複素環を形成し、この際、各R10において、R及びRの2基ともC(O)NRを表わす場合には、R及びRは、窒素と一緒に、4(S)−置換のオキサゾリジン−2−オン−3−イルを表わすことはできない)を表わす]の化合物又はその塩に関する。
【0016】
本発明による式(IIa)の化合物の有利な群は、式(IIb):
【化10】

の(S,S)−エナンチオマーである。
【0017】
本発明による式(IIa)又は(IIb)の化合物のもう1つの有利な群において、R10は、C(O)R(この際、Rは、水素、ハロゲン、O、OM(この際、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の当量を表わす)、OCOR12(この際、R12は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖の低級アルキル、有利にピバロイルを表わす)又はOCOCF、OSOCH又はOSOCFを表わす)、ニトリル又はCOOR(この際、Rは、式(I)で前記されたものと同様に定義され、有利に水素を表わす)を表わす。
【0018】
10は、各々無関係で、ニトリル又はCOCl又はCOBr又はCOOR(この際、Rは、式(I)で前記されたものと同様に定義され、有利に水素を表わす)を表わすことが特に有利である。
【0019】
更に、本発明は、式(IV):
【化11】

[式中、R、R及びRは、式(I)で前記されたものと同様に定義され、
点線は、単結合又は二重結合であり、
は、点線が二重結合である場合には、O又はNRを表わし、この際、Rは、水素又はアルキルを表わし、又は
は、点線が単結合である場合には、OH又はNHを表わす]の化合物又はその塩、有利に(S,S)−エナンチオマーに関する。本発明の意において、有利な(S,S)−エナンチオマーとは、オクテン側鎖のイソプロピル基が次の立体配置を有する化合物が解され得る:
【化12】

前記の(S,S)−エナンチオマーは、有利に、2つのキラル中心の取得下に、式(I)の化合物に変換され得る。
【0020】
本発明の範囲において、"ハロゲン"とは、塩素、臭素、沃素に関する。
【0021】
"アルキル"は、他の記載のない限り、有利に1〜20個の炭素原子、殊に1〜10個、特に有利に1〜5個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖又は環状の飽和炭化水素基又はその組合せに関する。そのようなアルキル基の例(その記号の長さは特殊例を包含することを前提にして)は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル及びオクチルである。
【0022】
"アルコキシ"は、有利に1〜20個の炭素原子、殊に1〜10個、特に有利に1〜5個、極めて特に有利に1〜2個の炭素原子を有する、酸素を介して結合した直鎖又は分枝鎖の飽和アルキルに関する。そのようなアルコキシ基の例(その記号の長さは特殊例を包含することを前提にして)は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ及びt−ブトキシである。
【0023】
アルキル−及びアルコキシ基は、1個以上の次の基、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C〜C−アルコキシ、ニトロ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、ジ−C〜C−アルキルアミノ、カルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、ハロゲンメチル、ジハロゲンメチル、トリハロゲンメチル、ハロゲンエチル、ジハロゲンエチル、トリハロゲンエチル、テトラハロゲンエチル、ペンタハロゲンエチルから選択される基によって置換されていてよい。
【0024】
"シクロアルキル"とは、他の記載のない限り、単環の(C〜C)−シクロアルキル化合物から、シクロアルキル化合物の環−炭素原子からの水素基の除去によって誘導される有機基を表わす。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペプチル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、1,3−シクロブタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,4−シクロヘプタジエニル、ビシクロ[3.2.1]オクタン及びビシクロ[2.2.1]ヘプタンである。シクロアルキルの概念は、1又は2個の二重結合を有するシクロアルケニル基も包含する。
【0025】
"複素環系"とは、単環、複素環の環系を意味する。単環の複素環は、N、O又はSから選択される1〜5個のヘテロ原子を有する約3〜7個の環原子及び有利に環中に3〜7個の原子を含む。二環の複素環は、約5〜17個の環原子、有利に5〜12個の環原子を含む。
【0026】
"アリール"とは、非置換であってよい又はアルキル−及びアルコキシ基について前記されている1個以上の置換基によって置換されている6〜12個の炭素原子を含む1環状又は多環状の環を意味する。アリール基の例は、フェニル、2,6−ジクロルフェニル、3−メトキシフェニル、ナフチル、4−チオナフチル、テトラリニル、アントラシニル、フェナントレニル、ベンゾナフテニル、フルオレニル、2−アセタミドフルオレン−9−イル及び4’−ブロムビフェニルである。
【0027】
"ヘテロアリール"とは、1〜9個の炭素原子及びN、O又はSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する芳香族環状又は多環状の環系を意味する。典型的なヘテロアリール基は、2−又は3−チエニル、2−又は3−フラニル、2−又は3−ピロリル、2−、4−又は5−イミダゾリル、3−、4−又は5−ピラゾリル、2−、4−又は5−チアゾリル、3−、4−又は5−イソチアゾリル、2−、4−又は5−オキサゾリル、3−、4−又は5−イソオキサゾリル、3−又は5−1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、2−、3−又は4−ピリジニル、3−、4−又は5−ピリダジニル、2−ピラジニル、2−、4−又は5−ピリミジニルである。ヘテロアリール基は、非置換又は1〜3個の置換基、例えば、アルキル−及びアルコキシ基について前記したような、例えば、シアノチエニル及びホルミルピロリルによって置換されていてよい。
【0028】
"炭素へテロ基"とは、C−1−位に少なくとも1個の炭素−ヘテロ原子−多重結合を有し、O又はNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する基を意味し、この際、この基はC−1−原子を介して結合している。この基は、実際には、付加を介して芳香族系に結合され得る又はC−1−原子への離脱基の付加下に還元され得る官能基である。典型的な炭素へテロ基は、カルボン酸基及びその誘導体、例えば、酸ハロゲニド、−アミド及びエステル及びニトリルである。
【0029】
"塩"とは、有利に、金属塩、殊に、アルカリ金属塩に関する。
【0030】
本発明による化合物の水和物及び溶媒和物も一緒に同様に包含される。
【0031】
本発明による式(IIa)及び(IV)の化合物及び式(I)の化合物は、キラル中心を有し、かつ各立体異性体形で存在し得る。本発明は、本発明による化合物又は目的化合物の各立体異性体形又はその混合物を包含し、この際、光学活性形が得られ得ることが公知である(例えば、再結晶法による、光学的活性出発物質からの合成による、キラル合成による又はキラル定常相を用いるクロマトグラフィー分割によるラセミ形分割によって)。
【0032】
本発明による式(IIa)、(IIb)及び(IV)の化合物は、有利に、オクテン酸誘導体の製造のために、特に有利に、本発明による方法の範囲で使用され得る。
【0033】
本発明による方法は、実際には、その中に含まれる対称要素を考慮して、先ず、2個のキラル中心を有する一般式(I)の化合物の側鎖を別々に製造することに基づいていて、それによって全合成は明らかに簡素化され、かつ反応段階の数は減少され得る。第二段階で、この対称キラル側鎖−前駆体を、好適な芳香族単位に結合させて、少ない反応段階内で、所望の式(I)のキラルオクテン酸を取得する。
【0034】
次に、本発明及び本発明の付加的な実施態様を詳説する。
【0035】
本発明により、一般式(I)の化合物は、一般式(II)の化合物から出発して、選択的な2つの方法、即ち、
A)式(III)の化合物の第一付加によって、式(IV)の化合物を取得し、かつ引き続き、式(IV)の化合物の還元によって、又は
B)式(II)の化合物の還元によって、化合物(V)を取得し、かつ引き続いて、式(III)の化合物の付加によって得ることができる。
【0036】
次に、図1において、合成法A)を、付加的な異性体分割を伴う有利な実施態様により詳説し、それによって式(I)の目的生成物が異性体純粋で得られる。式(II)の化合物から出発して、式(IIIa)の化合物の付加によって、8−オキソ−オクテン酸(IV)が得られ、これは、1−位、即ち、ベンジル位に単結合又は二重結合を介して結合した基Rを有する。Rが、例えば、ケト基を表わす場合には、これは次の反応で、1以上の段階で還元される。Rは、同様に還元可能なヒドロキシル−基を同様に表わし得る。前記のように、式(IV)の中間生成物は、選択的な2つの方法で得られ得る。即ち、式(II)の化合物の立体異性体の混合物から出発して、先ず、異性体分割、及び引き続いて、式(IIIa)の化合物の付加又は、先ず、付加、及びそれに続いて、エナンチオマー分割を行なうことができる。反応は、前記の式(II)及び(IV)の化合物又はその混合物の異性体とは別のものと実施され得ることが解され、これから、式(I)の化合物の相応する異性体及び/又は混合物が得られる。
【0037】
及びRは、各々無関係で、有利に、ヒドロキシ又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−及びi−プロポキシ、n−、i−及びt−ブトキシ又はペントキシ、アリールオキシ、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ又はその誘導体、又はベンジルオキシ又はアルコキシ基中に各々1〜5、有利に1〜2個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖のアルコキシアルコキシ、例えば、1−メトキシメトキシ、1−メトキシ−2−エトキシ、1−メトキシ−3−プロポキシ、1−メトキシ−4−ブトキシ等を表わす。
【0038】
基Xは、有利に、O、OH又は塩、例えば、OMを表わし、この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量を表わす。Xについての他の好適な意味は、OR11であり、この際、R11は、アルキル、有利に、1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルキル、アリール、例えば、フェニル、ナフチル又はそのアルコキシ誘導体、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル又はトリアルキルシリル又はNRを表わし、この際、R及びRは、各々無関係で、アルキル、有利に、1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルキル又はベンジル又はトリアルキルシリルを表わす。R及びRは、窒素と一緒に、通例5〜6−員の複素環系、例えば、ピロール、イミダゾール等を形成し得る。Xは、同様に、カルボン酸について慣用の保護−又は活性化−基、例えば、カルボン酸アミド(Weinreb-Amid)、有利に、N−アルキル−O−アルキルであってよく(この際、アルキルは、有利に、1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルキルを表わす)又は複素環系、例えば、ピロール、イミダゾール等の窒素部分である。
【0039】
ケト−官能基の還元段階は、1以上の段階で実施され得る。ベンジル位における酸素官能基の相応する炭化水素への還元的除去は、その際に脂肪族鎖中に存在する二重結合を同時には還元しない様々な公知方法によって行なうことができる(J. March, John Wiley & Sons, NY, 1992, Advanced Organic Chemistry, S. 1209-1211参照)。好適な方法により、反応は、溶剤を用いずに、極性又は非極性、プロトン性又は中性溶剤中で、有利に中性溶剤、例えば、塩素化炭化水素又は炭化水素中で、有利に−20℃と溶剤の還流温度との間の温度で実施され得る。
【0040】
トリアルキルシランは、有利に、酸、有利にトリフルオルメタンスルホン酸又はトリフルオル酢酸又はリュイス酸、有利に、BF−エーテレート、ZnCl、AlCl、TiClが存在して使用され得る。
【0041】
還元を数段階で実施することもでき、式(IV)の化合物の8−オキソ基を、先ず、例えば、金属水素化物で、相応する8−ヒドロキシ−化合物に還元する場合には、これを、その側で続いて直接、式(I)の目的化合物に還元させるか、又は、前もってヒドロキシ基を好適な離脱基、有利に、メシレート、トシレート等へ変換させ、かつ引き続き還元させた後に、式(I)の目的化合物に変換させる。
【0042】
図1a及び2は、本発明による方法の更なる有利な実施態様を示す。式中、基R、R及びXは、前記のものである式(IV)の中間生成物は、式(III):
【化13】

[式中、R及びRは、式(IV)の化合物について挙げた意味を有し、かつYは、様々な金属、例えば、アルカリ金属又は金属ハロゲニド、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを表わし、この際、金属は、Mg、Al、B、Mn、Cu、Cd、Zn及びSnを表わすことができる]の化合物を、
a)式(IIe):
【化14】

[式中、
Wは、各々無関係で、有利に、O、OH又は塩、例えば、OM(この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量を表わす)、ハロゲン、例えば、Cl、Br、I、有利にClを表わし、又はOCOR12(この際、R12は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖の低級アルキル、有利に、ピバロイルを表わす)、又はOCOCF、OSOCH又はOSOCF又はOR11(この際、R11は、有利に、1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルキル、アリール、ベンジル又はトリアルキルシリルを表わす)、又はNR(この際、R及びRは、各々無関係で、有利に、1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルキル又はベンジル又はトリアルキルシリルを表わし、又はR及びRは、窒素と一緒に、通例5〜6員の複素環系、例えば、ピロール、イミダゾール等を形成する)を表わし、
Wは、同様に、カルボン酸について慣用の保護−又は活性化基、例えば、カルボン酸アミド(Weinreb-Amid)、有利に、N−アルキル−O−アルキル(この際、アルキルは、有利に、1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルキルを表わす)であってよく、又は複素環系、例えば、ピロール、イミダゾール等の窒素−部分である]のキラル化合物に、
又は
b)式(IIf):
【化15】

[式中、
Wは、有利に、水素又はハロゲン、例えば、Cl、Br、I、有利にClを表わし、又はOCOR12(この際、R12は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖の低級アルキル、有利にピバロイルを表わす)、又はOCOCF、OSOCH又はOSOCF又はカルボン酸について慣用の保護−又は活性化基、例えば、カルボン酸アミド(Weinreb-Amid)、有利に、N−アルキル−O−アルキル(この際、アルキルは、有利に、1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルキルを表わす)を表わし、又は複素環系、例えば、ピロール、イミダゾール等の窒素−部分であり、かつ
13は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルキル又はベンジル又はトリアルキルシリルを表わす]のキラル化合物に付加させ、式(IV)の化合物の基Xの意味に依って、官能基の従属操作を伴わせることによって得られ得る。反応は、前記の式(IIe)、(IIf)及び(IV)の化合物の異性体又はその混合物とは別のものと実施され得ることが解され、このことから、式(I)の化合物の相応する異性体及び/又は混合物が得られる。
【0043】
式(III)の金属有機化合物の前駆体、有利に、4−ブロム−2−(3−メトキシ−プロピル−1−オキシ)−1−メトキシベンゾールは、例えば、EP678503、WO03/103653又はWO04/089915に記載されている方法により製造され得るか、又は選択的に、グアヤコールをアシル化、有利にベンゾイル化させ、かつ引き続き、臭素化させる方法(Synthesis (5), 559, 1997又はTHL 41(6), 811, 2000参照)を介して製造され得る。保護アシル−、有利に、ベンジル基の除去後に、遊離フェノールを3−ハロゲンプロパノール、有利に、3−クロルプロパノールで処理し、かつ引き続き、側鎖中の遊離ヒドロキシル基を、メル(Mel)又はジメチルスルフェートを用いて、塩基、有利に、アルカリ金属水素化物、−アミド又は−三級脂肪族アミン、例えば、トリエチルアミン等が存在してメチル化させる。
【0044】
式(III)の金属有機試剤は、前記の芳香族ハロゲニド、有利にブロミドから、金属、例えば、アルカリ金属又はMg、Al、B、Mn、Zn、Sn、Cd又はCuでの直接的金属化によって、又は最初に生成した、式中Yが有利にLiを表わすアルカリ金属化合物の、他の金属ハロゲニド、有利に、マグネシウムハロゲニドの添加による金属転移を介して製造され得る(EP678503参照)。
【0045】
式中YがMgCl又はMgBrを表わす式(III)のグリニャール−試薬を使用することが有利であり、これは、例えば、THF中で、相応する芳香族ブロミドから、BuLiでの金属化及び続いて臭化Mg(II)又は塩化Mg(II)での金属転移によって得られる。
【0046】
式中YがMgClLiClを表わす式(III)の化合物は、例えば、Knochel et al.により、EP1582523A1又はAngew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 3333-3336に記載されているように、例えば、芳香族ハロゲニド(III、Y=ハロゲン)、有利に、ブロミドとPrMgClLiCl−錯体との反応によって得られる。
【0047】
式(III)の金属有機化合物を、次いで、中性溶剤中で、式中WがOH又はOM(酸又はその塩)、OR(エステル)、OCOR12又はハロゲンを表わす式(IIe)の化合物と反応させる。式(III)の化合物との反応のための酸クロリド又は−ブロミドを、触媒量又は化学量論的量のCu(I)−又はCu(II)−塩、例えば、臭化Cu(I)又は塩化Cu(I)が不在で又は存在して使用することが有利である。
【0048】
反応温度は、−78℃と溶剤の還流温度との間であってよく、THFは0℃又はRTである。中性溶剤の選択は絶対的ではない。式(III)対(IIe)の化合物の比率は、0.1〜2.0、有利に、0.3〜化学量論的比率であってよい。
【0049】
式中Wが水素又はハロゲン、有利にCl又はBrを表わす式(IIf)の化合物を使用する場合には、アルデヒド又は酸クロリドが、選択的に、式(IV)の化合物の一付加生成物に結び付くので、比較的高い収率が達成され得る。
【0050】
同様に図2で示すように、式中R及びRが、相互に無関係で、ヒドロキシ、1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ又はベンジルオキシを表わし、かつRがCOOR13を表わし、かつR13が1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルキル又はベンジル又はトリアルキルシリルを表わす式(I)の化合物は、式(Va):
【化16】

[式中、Zは、ハロゲン、有利に、沃素、又は他の慣用の離脱基、例えば、メシレート、トシレート又はトリフレートを表わし、かつ
13は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルキル又はベンジル又はトリアルキルシリルを表わす]のキラル化合物と、式(III):
【化17】

[式中、R及びRは、式(I)の化合物について前記した意味を有し、かつYは、様々な金属、例えば、アルカリ金属又は金属ハロゲニド(ここで、金属は、Mg、Al、B、Mn、Cu及びZnを表わしてよい)を表わす]の化合物とのカップリング反応によって直接得られ得る。
【0051】
式(III)及び(Va)の化合物のカップリングは、有利に、遷移金属、例えば、様々なPd(0)−錯体又はPd(II)−塩、例えば、PdCl−アセトニトリル−錯体、酢酸Pd(II)、PD(PPH又はPd(dba)等によって、プロトン性又は中性の極性溶剤中で、RTから溶剤の還流温度までの反応温度で触媒され得る。式(Va)のキラル化合物は、式(IIf)のキラル化合物から、例えば、ジボラン等での遊離カルボン酸の選択的還元によって、容易に得られ得る。
【0052】
確かに、EP0678514及びUS5606078に、キラルイソバレリアンイミドのエバンス−補助剤での立体選択的アルキル化が、トランス−1,8−ビス[4(S)−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2(S)−7(S)−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオンの取得下に記載されている。しかし、本発明の目的は、イソバレリアン酸にカップリングして、恐らく、式(IIe)の化合物の製造のための立体選択的キラル前駆体となるであろう高価なキラル補助剤の使用を、正に回避することである。従って、式中Wが前記の意味を有する式(II)、殊に、式(IIe)及び(IIf)の化合物は、新規の中間生成物である。本発明により、式(II)の化合物を、簡単に得られる立体異性体混合物として使用することができ、これを、その後に、必要な場合には、エナンチオマー分割する。
【0053】
図1aに記載したように、式(IIe):
【化18】

[式中、Wは、前記の意味を有する]のキラル化合物は、次の段階によって得られ得る:
a)式(X):
【化19】

[式中、Zは、OH又はOM(この際、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の当量又は−Oを表わす)、又はOR11(この際、R11は、有利に、1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルキル、アリール、ベンジル又はトリアルキルシリルを表わす)、又はNR(この際、R及びRは、各々無関係で、1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルキル又はベンジル又はトリアルキルシリルを表わす)を表わす]の脱プロトン化イソバレリアン酸の、式(XI):
【化20】

[式中、Lは、慣用の離脱基、例えば、ハロゲン、有利に、Cl又はBr、又はメシレート、トシレート又はトリフレートを表わす]の化合物でのアルキル化、
b)アルキル化段階a)でイソバレリアン酸のエステル又はアミドを使用した場合には、場合により、エステル−又はアミド基の加水分解、
c)得られる式(IIe)のジアステレオマー酸の分割、及び引き続いて、不所望の異性体のエピマー化を含む、式(IIe)のラセミ酸のエナンチオマー分割(分割)、
d)公知標準法による、式(IIe)のキラル酸の、基Wに依り相応する酸クロリド、エステル、アミド等への変換。
【0054】
式(IIe)の化合物は、他のエナンチオマー、ラセミ化合物として又はメソ形で存在することもできる。
【0055】
イソバレリアン酸又はその誘導体、例えば、エステル又はアミドのアルキル化は、中性溶剤、有利に、THF、トルオール又はエーテル中で、強塩基、例えば、アルカリ金属水素化物又はアルカリ金属アミド、有利に、リチウムジアルキルアミド、例えば、LDA又はLHMDSを用いた、−78℃〜0℃又はむしろRTでの化合物(X)の初期の脱プロトン化後に実施され得る。次いで、脱プロトン化化合物(X)を、式(XI)の化合物の0.5−倍の当量で、−78℃〜RT、有利に、0℃で処理する。未処理混合物は、実際に、2つの可能なジアステレオマーの等モル混合物を含有し、これは、エステル又はアミドの使用の際には、遊離酸(IIe)に加水分解されている。
【0056】
選択的に、イソバレリアン酸誘導体の替わりに、相応するイソプロピルマロネート又はメルドラム酸のイソプロピル誘導体を使用することができる。この場合には、強塩基だけを使用する必要はなく、それによって、化合物(XI)のアルキル化には、慣用の相転移触媒又は有機アミドも使用可能である。塩基として、金属水素化物又は−アミド、殊に、NaHを、中性溶剤、例えば、THF、トルオール又はエーテル中で使用することが有利であり、これは、特に高い収率に結び付く。アルキル化後に、マロネートを加水分解し、その後に、脱カルボキシル化させて、式(IIe)[式中Wは、OH又はOMを表わし、この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量又は−Oを表わす]のジアステレオマー酸の混合物を取得する。
【0057】
場合により行われる、ジアステレオマージ酸(IIe)混合物からの所望の異性体の分割は、1又は2段階法で、様々な分離技術、例えば、クロマトグラフィー又は結晶化法の使用下に行われる。メソ−又はラセミ酸を、先ず、動力制御の結晶化により、有機溶剤又は溶剤混合物、有利にエステル、例えば、イソプロピルアセテート中の過飽和溶液から分割させることが有利である。第二段階で、所望のエナンチオマーは、様々なキラルアミン又は錯化剤、有利に、アミノ酸又はその誘導体、殊に、フェニルアラニノール、又はアリールアルキルアミン、例えば、1−ナフリルエチルアミン又はフェニルエチルアミン−誘導体、有利に、1−(4−メチルフェニル)エチルアミン又はエフェドリン又はアルカロイド、例えば、キンコニン又は他のキラルアミン、例えば、3−アミノペンタンニトリル又は1,2−ジアミノシクロヘキサン又は2−アミノ−1−ブタノール又は(1R,2R)−1−アミノ−2−インダノール又はベンジルアミノブタノールとのジアステレオマー塩を経て、ラセミのジ酸(IIe)のエナンチオマー分割によって分割させる。ジアステレオマー富化結晶又は母液を再結晶化によって精製させ、純粋なジアステレオマー塩を得ることができ、これからエナンチオマー純のジ酸(IIe)を得る。この塩分割は、標準法の使用下に、例えば、酸性水溶液から、有機溶剤、有利にエステル又はエーテル、例えば、t−ブチルメチルエーテルでの抽出、又はイオン交換体樹脂の使用下に実施され得る。不所望な異性体又はその混合物を異性化させ、分割工程に戻すことができる。異性化は、塩基性又は酸性条件下に、化合物(IIe)又はその誘導体、有利に、エステル、酸クロリド又は−無水物の加熱によって行われ得る。例えば、メソ−ジ酸(IIe)のエピマー化は、無水酢酸中での還流下に、酢酸カリウムが存在して実施することができ、これによって、メソ−及びラセミのジ酸(IIe)の1:1混合物が得られる。
【0058】
式(IIf):
【化21】

[式中、W及びR13は、前記のものである]のキラル化合物は、式中WがOHを表わすキラル化合物(IIe)から、次の段階によって容易に得られる:
a1)半エステルの取得下に、例えば、J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 1999, S.3023-27に記載されている、選択的一エステル化、又は
a2)半エステルの取得下に、塩基性条件下で、例えば、アルカリ金属−又はアルカリ土類金属水酸化物、有利に、NaOH、KOH又はBa(OH)を用いる、ジエステル化合物(化合物IIf、W=OR13)(これは、その側で、ジ酸(化合物IIe、W=OH)から酸性エステル化によって又は酸クロリド(IIe、W=Cl)とアルコールとの反応によって容易に得られる)の2つのエステル官能基の、1方の選択的加水分解(Organic Syntheses, Coll. Vol. 4, p.635 (1963); Vol. 38, p. 55 (1958); 及びJ. Med. Chem. 2004, 47, 2318-2325参照);、
及び、得られる半エステルの、次のような更なる変換:
b1)チオニル−又はオキサリルクロリド又は−ブロミドによる、遊離カルボキシル官能基の酸クロリド又は−ブロミドへの変換、又は
b2)相応する酸クロリド又は−無水物、無水トリフルオルメタンスルホン酸、無水トリフルオル酢酸又はメシルクロリドによる、遊離カルボキシル官能基の混合無水物への変換、又は
b3)ジボランでの還元による、又は酸クロリドの水素化による、遊離カルボキシル官能基のアルデヒドへの変換。
【0059】
式(IIf)の化合物は、他のエナンチオマー、ラセミ化合物として又は可能な限りメソ形で又は異性体混合物として存在することもできる。
【0060】
本発明による方法のもう1つの実施態様は、図3に記載されるように、式(IV)のニトリル化合物を経る、式(I)の化合物の製造に関する。
【0061】
式(IVa):
【化22】

[式中、基R、Rは、前記のものである]の化合物は、式(III):
【化23】

[式中、R及びRは、式(IVa)の化合物について挙げたものであり、かつYは、様々な金属、例えば、アルカリ金属又は金属ハロゲニド、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを表わし、この際、金属は、Mg、Al、B、Mn、Cu、Cd、Zn及びSnを表わすことができる]の化合物を、式(IIg):
【化24】

のキラル化合物に付加させることによって得ることができ、この際、式(IIg)及び(IVa)の化合物が、他のエナンチオマー、ラセミ化合物として、又は(IIg)については、メソ形でも又は異性体混合物としても存在し得る限り、本発明は、式(IIg)及び(IVa)の化合物の記載された立体化学的形に限定されるものではない。
【0062】
式(IIg)のキラル化合物は、次の段階によって得られ得る:
a)式(Xa):
【化25】

の脱プロトン化イソバレリアンニトリルの、式(XI):
【化26】

[式中、Lは、慣用の離脱基、例えば、ハロゲン、有利に、Cl又はBr、又はメシレート、トシレート又はトリフレート等を表わす]の化合物でのアルキル化、
b)得られるジアステレオマーニトリルの分割及び引き続いての、ラセミニトリルのエナンチオマー分割。
【0063】
式(IIg)の化合物は、他のエナンチオマー、ラセミ化合物として又はメソ形で又はその混合物として存在することもできる。
【0064】
イソバレリアンニトリルのアルキル化は、中性溶剤、有利に、THF、トルオール又はエーテル中で、強塩基、例えば、アルカリ金属水素化物又はアルカリ金属アミド、有利に、リチウムジアルキルアミド、例えば、LDA又はLHMDSを用いた、−78℃〜0℃で又はむしろRTでの化合物(Xa)の初期脱プロトン化後に実施され得る。次いで、脱プロトン化ニトリル(Xa)を、式(XI)の化合物0.5倍当量で、−78℃〜RT、有利に0℃で処理する。未処理混合物は、実際に、2つの可能なジアステレオマーの等モル混合物を含有し、これは引き続き分割される。
【0065】
式(I)[式中Rは1−メトキシ−3−プロポキシを表わし、Rはメトキシを表わし、かつRはCOORを表わし、この際、RはH又はM(この際、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属の当量を表わす)又は1〜5個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖の低級アルキル、ベンジル又はトリアルキルシリルを表わす]の化合物の本発明による製法のもう1つの有利な変法は、図4に記載されている。
【0066】
式(I)の化合物は、塩基が存在して、3−メトキシ−1−プロピルハロゲニド、有利に、クロリド又はブロミドを用いた、式(Ia):
【化27】

[式中、C(O)Xは、Rについて前記した意味を有する]の化合物のフェノール基のアルキル化によって得られる。
【0067】
式(Ia)の化合物は、図3により、式(IIe)又は(IIf)[式中、Wは、ハロゲン、有利に、Cl又はBr、又はOCOR12(この際、R12は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖の低級アルキル、有利に、ピバロイルを表わす)又はOCOCF、OSOCH又はOSOCFを表わし、かつR13は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルキル又はベンジルを表わす]の化合物の、式(IIIb):
【化28】

[式中、PRGは、保護基、例えば、トリフルオルアセテート又はトリフルオルメタンスルホネートを表わす]の化合物とのフリーデル−クラフト−反応によって、式(IVb):
【化29】

[式中、C(O)Xは、Rについて前記した意味を有する]の化合物の取得下に製造される。
【0068】
遊離ヒドロキシ官能基の取得下に、離脱基PRGの加水分解的除去は、選択的に、8−オキソ基の還元の前又はその後に行なわれ得る。
【0069】
反応は、フリーデル−クラフト−反応に慣用の中性溶剤、有利に、塩素化炭化水素、例えば、メチレンクロリド、ジクロルエタン又は炭化水素、有利に、ヘキサン又はヘプタン中で実施され得る。触媒として使用されるルイス−酸は、BF−エーテレート又は金属ハロゲニド、有利に、Al−、Zn−又はBi−ハロゲニド又は−トリフレートであってよい。反応温度は、室温と溶剤の還流温度の間であってよい。
【0070】
8−オキソ基の還元は、前記の方法により行なわれ得る。
【0071】

例1
トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸
無水THF(300ml)中のジイソプロピルアミン(58.7g;580ミリモル)の冷却(−78℃)溶液に、n−BuLi(362ml、ヘキサン中1.6モル)を徐々に添加した。−78℃で10分間攪拌後に、イソバレリアン酸(29.5g、290ミリモル)を徐々に滴加した。完全な添加後に、反応混合物を、1時間の経過で0℃に加熱し、トランス−1,4−ジクロル−2−ブテン(17.3g、138ミリモル)を0℃で徐々に添加した。完全な添加後に、反応混合物をRTで16時間攪拌した。次いで、反応混合物を水(400ml)上に加えた。水層をt−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、引き続いて、水相を濃HClで酸性化させた。酸性水層を、t−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、MgSO上で乾燥させ、減圧下に濃縮させて、トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エンジオン酸を白色粉末として取得した(36g;メソ/ラセミ:53:47;純度(HPLC):95%)。メチルシクロヘキサンからの再結晶で、トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エンジオン酸(28.3g;80%)が白色結晶として生じた。
【0072】

【0073】
例2
ジアステレオマー分割:(2R,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(IIe、式中W=OH)及び(2R,7R)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸及び(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸
メソ−及びラセミのトランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(17.7g;メソ/ラセミ=49:51)の混合物を、熱イソプロピルアセテート(16g)中に溶かし、1時間内でRTに冷却した。自発結晶した物質を濾別し、ヘキサン(10g)で3回洗浄して、ラセミ−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エンジオン酸(3.8g;メソ/ラセミ=4:96)を取得した。この物質のイソプロピルアセテートからの再結晶で、純粋なラセミのジ酸(IIe)を得た(純度>99%)。母液にアセトン(20g)を加え、混合物を30分間攪拌した。結晶を濾別し、アセトンで洗浄して、メソ−ジ酸(IIe)を得た(3.3g、メソ/ラセミ=87:13)。母液の蒸発後に、メソ−及びラセミのジ酸を含む混合物(10.3g、メソ/ラセミ=59:41)を得て、これを新規に分割に使用した。
【0074】
メソ:(2R,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸、融点:108℃。
【0075】

ラセミ−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸、融点:108.5℃。
【0076】

【0077】
例3
ラセミ混合物のエナンチオマー分割:(2R,7R)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸及び(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸
3a)(+)−エフェドリンでのエナンチオマー分割
アセトン(80ml)中のラセミのトランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(10g、39ミリモル)の溶液に、(+)−エフェドリン(10.2g、61.7ミリモル)を加えた。混合物をRTで1時間攪拌した後に、結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄して、ジアステレオマー比率82:18(HPLC)を有する(+)−エフェドリン(−)−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸を取得した。アセトンからの再結晶で、ジアステレオマー比率98:2(HPLC)を有する(+)−エフェドリン(−)−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸4.9gを得た。
【0078】
他のエナンチオマー、(+)−(2R,7R)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸を、母液から単離することができる。
【0079】
塩分割:(+)−エフェドリン(−)−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(4.9g)を、t−ブチルメチルエーテル及び水性1N−NaOHで処理した。水層を、t−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、引き続き、濃HClで酸性化させた。酸性水層をt−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、MgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮させ、(−)−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(2.2g、8.4ミリモル)を無色の固体として取得し、これは徐々に結晶化した。
【0080】
(−)−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸、[α]=−12.3(c=1;アセトン)
絶対配置の測定は、(−)−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸とS−1−(4−メチルフェニル)エチルアミンとの塩の結晶のレントゲン構造分析を介して測定した。
【0081】
3b)L−フェニルアラニノールでのエナンチオマー分割
アセトン(4ml)中のラセミのトランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(0.5g、2ミリモル)の溶液に、L−フェニルアラニノール(0.46g、3ミリモル)を加えた。混合物をRTで1.5時間攪拌した後に、結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄して、L−フェニルアラニノール(−)−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸0.41g(0.73ミリモル)を取得した。アセトンからの再結晶で、ジアステレオマー比率98:2(HPLC)を有するL−フェニルアラニノール(−)−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸0.24g(0.42ミリモル)を得た。
【0082】
他のエナンチオマー、(+)−(2R,7R)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸を、母液から単離することができる。
【0083】
塩分割:L−フェニルアラニノール(−)−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(0.24g)を、t−ブチルメチルエーテル及び水性1N−NaOHで処理した。水層を、t−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、引き続き、濃HClで酸性化させ、かつ新規にt−ブチルメチルエーテルで3回抽出した。酸性抽出物の有機層を、MgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮させ、(−)−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(0.10g、0.39ミリモル)を無色の固体として取得し、これは徐々に結晶化した。
【0084】
例4
メソ−(2R,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸及び/又は(2R,7R)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸の異性化
メソ−(2R,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(1g、3.9ミリモル)を無水酢酸(10ml)中に溶かし、酢酸カリウム(40mg、0.4ミリモル)を添加する。混合物を還流下に36時間加熱し、反応混合物を水上に注いだ。水層をt−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、有機層を減圧下に濃縮させる。残渣を水性1N−NaOH中に溶かし、2時間攪拌する。溶液をHClで酸性化させ、水層をt−ブチルメチルエーテルで3回抽出する。有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下に濃縮させ、トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(1g、3.9ミリモル、HPLC:メソ/ラセミ=1:1)を黄色固体として取得した。
【0085】
この方法により、(2R,7R)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸又は(2R,7S)及び(2R,7R)−ジオン酸の混合物を異性化した。
【0086】
例5
(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸クロリド(IIe、W=Cl)
ジクロルメタン(20ml)中の(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エンジオン酸(2,0g;7.8ミリモル)の溶液に、オキサリルクロリド(2,7mL;31.5ミリモル)を添加し、溶液をRTで16時間攪拌した。溶液を減圧下に濃縮させ、メチルシクロヘキサンと共に2回蒸発させ、減圧下に乾燥させて、(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸クロリドを無色油状物として(2.3g;7.8ミリモル)を取得し、これを精製せずに次の段階で使用した。
【0087】
例6
(2S,7S)−トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンゾイル]−8−メチル−ノン−4−エン酸(IV、R=3−メトキシプロポキシ及びR=メトキシ及びX=OH)
無水THF(7ml)中の4−ブロム−1−メトキシ−2−(3−メトキシープロピルオキシ)−ベンゾール(III、R=1−メトキシ−3−プロポキシ及びR=メトキシ及びY=Br)(2.4g;8.5ミリモル)の冷却溶液(−78℃)に、n−BuLi(5.9mL;ヘキサン中1.6モル)を滴加させ、反応混合物を−78℃で30分間攪拌した。その後に、MgCl−溶液(20.1ml;THF中0.505モル)を添加し、反応混合物を−78℃で20分間攪拌し、RTに加熱し、更に30分間攪拌した。この反応混合物を、無水THF(9ml)中の(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エンジオン酸クロリド(2.3g;7.8ミリモル)及びCuI(148mg、0.78ミリモル)の冷却懸濁液に徐々に添加した。反応混合物を、−78℃で20分間攪拌し、RTに加熱し、更に45分間攪拌した。水(40ml)の添加後に、反応混合物を1時間攪拌し、引き続き、HClで酸性化させた。水層をt−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下に濃縮させた。粗製残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶離剤:ヘキサン、t−ブチルメチルエーテル3:1+酢酸0.5%)、表題化合物(IV)(1.5g;3.45ミリモル;収率44%)を淡黄色油状物として取得した。(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エンジオン酸(0.4g;1.6ミリモル;20%)を同様に単離させ、再度、繰返し段階で使用した。
【0088】
(2S,7S)−トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンゾイル]−8−メチル−ノン−4−エン酸(IV、R=3−メトキシプロポキシ及びR=メトキシ及びX=OH)
DC:(ヘキサン:t−BME1:1+0.5%酢酸):Rf=0.3;
【0089】

【0090】
例7
(2S,7R)−トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−8−メチル−ノン−4−エン酸(I、R=3−メトキシプロポキシ及びR=メトキシ及びX=OH)
1,2−ジクロルエタン中の(2S,7S)−トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンゾイル]−8−メチル−ノン−4−エン酸(1.4g;3.2ミリモル)の溶液に、トリエチルシラン(3.7g;32ミリモル)及び硼素トリフルオリドジエチルエーテレート(2.7g;19.2ミリモル)を添加し、溶液を33℃で3日間攪拌した。反応混合物を水上に注ぎ、水層をt−ブチルメチルエーテルで3回抽出した。有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧で濃縮させた。残った残渣をフラッシュ−クロマトグラフィーによって精製し(シリカゲル;ヘキサン/アセトン4:1)、(2S,7R)−トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−8−メチル−ノン−4−エン酸(0.97g、2.3ミリモル、収率72%)を取得した。NMR−データは、US2003/0149303A1に記載されたデータと同一である。
【0091】
例8
(2S,7S)−トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンゾイル]−8−メチル−ノン−4−エン酸(IV、R=3−メトキシプロポキシ及びR=メトキシ及びX=OH)
無水THF(6ml)中の4−ブロム−1−メトキシ−2−(3−メトキシ−プロピルオキシ)−ベンゾール(III、R=1−メトキシ−3−プロポキシ及びR=メトキシ及びY=Br)の冷却溶液(−78℃)に、n−BuLi(2.8ml;ヘキサン中1.6モル)を滴加させ、反応混合物を−78℃で45分間攪拌する。この反応混合物を、無水THF(4ml)中の(2S,7S)−トランス−ジイソプロピル−オクト−4−エンジオン酸クロリド(1.0g;3.4ミリモル)及びCuI(65mg、0.34ミリモル)の冷却(−78℃)懸濁液に徐々に加えた。反応混合物を−78℃で45分間攪拌し、RTに加熱し、更に2時間攪拌した。水(20ml)の添加後に、反応混合物を1時間攪拌し、引き続き、HClで酸性化させた。水層をt−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下に濃縮させた。粗製残渣をフラッシュ−クロマトグラフィーによって精製し(ヘキサン、t−ブチルメチルエーテル3:1+酢酸0.5%)、表題化合物(IV)(0.296g;0.68ミリモル;収率20%)を淡黄色油状物として取得した。(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エンジオン酸(0.21g;0.82ミリモル;収率24%)を同様に単離し、更に使用した。
【0092】
例9
(2S,7R)−トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−8−メチル−ノン−4−エン酸(I、R=3−メトキシプロポキシ及びR=メトキシ及びX=OH)
トリフルオル酢酸(1ml)中の(2S,7S)−トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロピルオキシ)−ベンゾイル]−8−メチル−ノン−4−エン酸(90mg;0.21ミリモル)の溶液に、トリエチルシラン(250μl;1.5ミリモル)を加えた。RTで1日間、溶液の攪拌後に、更にもう1回トリエチルシラン(250μl;1.5ミリモル)を加え、溶液をRTで更に2日間攪拌し、引き続き、水上に注いだ。水層をt−ブチルメチルエーテルで3回抽出し、有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下に濃縮させた。粗製残渣をフラッシュ−クロマトグラフィーによって精製し(シリカゲル;ヘキサン/アセトン4:1)、(2S,7R)−トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−8−メチル−ノン−4−エン酸(53mg;0.126ミリモル;収率61%)を取得した。
【0093】
例10
ラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸−ジメチルエステル(IIe、W=OMe):
ジクロルメタン(55ml)中のラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(5.13g;20ミリモル)の混合物に、オキサリルクロリド(7.62g;60ミリモル)を加え、混合物を室温で20時間攪拌した。その後に、メタノール(3.2g;100ミリモル)を徐々に添加し、RTで3時間攪拌した。反応混合物を真空中で濃縮させた。残渣に水(30ml)を加え、混合物をt−ブチルメチルエーテル(TBME)(330ml)で抽出した。有機層を5%のNaOH水溶液(5ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮させた。ラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸−ジメチルエステルを無色油状物として取得した(5.58g、理論値の98%)。
【0094】

【0095】
例11
ラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸−モノメチルエステル(IIf、R13=Me;W=OH)
メタノール(10ml)中のラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸−ジメチルエステル(1.85g;6.5ミリモル)の溶液に、水(1.5ml)中の水酸化ナトリウム(0.286mg;7.15ミリモル)を加え、混合物を60℃で4時間攪拌した。引き続き、混合物を室温に冷却し、更に16時間攪拌した。次いで、反応混合物を水(40ml)で希釈し、引き続き、TBME(3x15ml)で抽出した。有機層をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮させ、未反応の出発物質ラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸−ジメチルエステル(0.72mg;2.5ミリモル)を分離し、更に使用することができた。水相を4N塩酸で酸性化させ、TBME(3x15ml)で抽出した。この酸性抽出物の有機相をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮させた。無色の油状物(1.10g)を得た。カラムクロマトグラフィー(珪酸ゲル、ペンタン/イソプロピルアセテート4:1)を介する精製後に、ラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸−モノメチルエステル(0.74g;2.74ミリモル;理論値の42%;変換率に対して70%)を得た。更に、同時に、ラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸(0.16g;0.62ミリモル;10%)を得て、これを、更に、例えば、例10による合成で使用することができる。
【0096】

【0097】
例12
ラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸−モノメチルエステルの酸クロリド(IIf、R13=Me;W=Cl)
ジクロルメタン(10ml)中のラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸−モノメチルエステル(0.74g;2.74ミリモル)の溶液に、オキサリルクロリド(522mg;4.11ミリモル)を添加し、混合物をRTで16時間攪拌した。混合物を真空中で濃縮させ、メチルシクロヘキサンで2回共沸させた。ラセミ−(2S,7S)−トランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸−モノメチルエステルの酸クロリド(0.79g;定量)を無色油状物として得て、これを精製せずに更に使用することができる。
【0098】
例13
トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンゾイル]−8−メチル−ノン−4−エン酸−メチルエステル(図2によるIV、R13=Me)
無水テトラヒドロフラン(THF)(25ml)中の4−ブロム−1−メトキシ−2−(3−メトキシ−プロピルオキシ)−ベンゾール(8.25g;30ミリモル)の冷却(−78℃)溶液に、n−BuLi(20ml;ヘキサン中1.6モル)を滴加させ、反応混合物を−78℃で30分間攪拌した。次いで、新規に調整したMgCl溶液(90ml;THF中0.505モル)を徐々に滴加させ、混合物を−78℃で30分間攪拌した。混合物を攪拌下に30分間以内で室温に加熱し、更に30分間攪拌した。次いで、この反応混合物を、無水テトラヒドロフラン(40ml)中のトランス−2,7−ジイソプロピル−オクト−4−エン−1,8−ジオン酸−モノメチルエステルの酸クロリド(8.33g;28.8ミリモル)及びCuI(560mg、2.9ミリモル)の冷却(−78℃)懸濁液に徐々に加えた。反応混合物を−78℃で40分間攪拌し、RTに加熱し、更に16時間攪拌した。水(200ml)の添加後に、反応混合物を1時間攪拌し、引き続き、HClで酸性化させた。水相をt−ブチルメチルエーテル(5x100ml)で抽出し、有機相を5%の水酸化ナトリウム水溶液(50ml)及び引き続き飽和食塩溶液(50ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、減圧下に濃縮させた。粗製残渣(12g)をフラッシュ−クロマトグラフィーによって精製し(ペンタン/アセトン8:1)、トランス−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンゾイル]−8−メチル−ノン−4−エン酸(1.55g;3.5ミリモル、12%)を淡黄色油状物として取得した。
【0099】

【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】付加的な異性体分割を伴う合成法A)を示した説明図である。
【図1a】本発明による方法の更なる有利な実施態様を示す説明図である。
【図2】本発明による方法の更なる有利な実施態様を示す説明図である。
【図3】本発明による方法の、ニトリル化合物を経る、もう1つの実施態様を示す説明図である。
【図4】本発明による製法のもう1つの有利な変法を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、R及びRは、相互に無関係で、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ又はアルコキシアルコキシを表わし、
は、O又はNから選択される少なくとも1個のへテロ原子を含有し、C−1−位に少なくとも1個の炭素−ヘテロ原子−多重結合を有する炭素ヘテロ基、例えば、COOR(この際、Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル又はトリアルキルシリルを表わす)、
ニトリル、
C(O)R(この際、Rは、水素、ハロゲン、O、OM(この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量を表わす)、OCOR12(この際、R12は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖の低級アルキル、有利に、ピバロイルを表わす)、OCOCF、OSOCH又はOSOCF又は保護−又は活性化基、例えば、C(O)N−アルキル−O−アルキルを表わす)又は
C(O)NR(この際、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、トリアルキルシリル等を表わし、又はR及びRは、窒素と一緒に、任意に1〜3個の付加的なヘテロ原子を有し得る5〜6−員の複素環系を形成する)を表わす]の化合物又はその塩を製造する方法において、
一般式(II):
【化2】

[式中、Rは、各々無関係で、式(I)で前記したものと同様に定義される]の化合物を、式(III):
【化3】

[式中、Yは、ハロゲン、金属、金属ハロゲニド、金属アルコキシド又は金属カルボキシレートを表わし、R及びRは、式(I)で前記したものと同様に定義され、又はYは、水素を表わし、かつRは、保護されたヒドロキシ官能基、例えば、トリフルオルメタンスルフォネート−又はトリフルオルアセテート基を表わし、Rは、式(I)で前記したものと同様に定義される]の化合物との付加反応で変換させて、式(IV):
【化4】

[式中、R、R及びRは、式(I)で前記したものと同様に定義され、点線は、単結合又は二重結合であり、Rは、点線が二重結合である場合には、O又はNRを表わし、この際、Rは、水素又はアルキルを表わし、Rは、点線が単結合である場合には、OH又はNRを表わし、この際、R及びRは、各々無関係で、水素、アルキル又はアリール又はアルキルアリールを表わす]の化合物を取得し、そして式(IV)の化合物を少なくとも1回還元反応させて、式(I)の目的生成物を取得し、又は
一般式(II)の化合物を、少なくとも1回還元反応させて、式(V):
【化5】

[式中、Rは、式(I)で前記したものと同様に定義され、Zは、離脱基、例えば、ハロゲン、メシル、トシル又はトリフレートを表わす]の化合物を取得し、かつ式(V)の化合物を、式(III)の化合物との付加反応で変換させて、式(I)の目的生成物を取得する方法。
【請求項2】
式(II)の化合物は、異性体の混合物として使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
付加−又は還元段階のいずれか1段階の前又はその後の付加的な異性体分割段階及び、場合により付加的に、不所望な異性体の異性化又はラセミ化を包含する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式(I)中の基は次の意味を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法:
:ヒドロキシ又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−及びi−プロポキシ、n−、i−及びt−ブトキシ又はペントキシ、アリールオキシ、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ又はその誘導体、又はベンジルオキシ又はアルコキシ基中に各々1〜5個、有利に1〜2個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖のアルコキシアルコキシ、例えば、1−メトキシメトキシ、1−メトキシ−2−エトキシ、1−メトキシ−3−プロポキシ、1−メトキシ−4−ブトキシ等、特に有利に、1−メトキシメトキシ、1−メトキシ−2−エトキシ、1−メトキシ−3−プロポキシ、1−メトキシ−4−ブトキシ、殊に、1−メトキシ−3−プロポキシ、
:ヒドロキシ又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−及びi−プロポキシ、n−、i−及びt−ブトキシ又はペントキシ、アリールオキシ、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ又はその誘導体、又はベンジルオキシ又はアルコキシ基中に各々1〜5個、有利に1〜2個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖のアルコキシアルコキシ、例えば、1−メトキシメトキシ、1−メトキシ−2−エトキシ、1−メトキシ−3−プロポキシ、1−メトキシ−4−ブトキシ等、特に有利に、メトキシ、及び
:COOR(この際、Rは、水素、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルキル、アリール、ベンジル又はトリアルキルシリルを表わす)、ニトリル、C(O)R(この際、Rは、水素、ハロゲン、O、OM(この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量を表わす)、又はC(O)NR(この際、R及びRは、独立して、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の低級アルキル、又はベンジルを表わす)。
【請求項5】
式(I)の化合物は、式(VI):
【化6】

[式中、R、R及びRは、式(I)で前記したものと同様に定義される]に相応する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物は、式(VII):
【化7】

[式中、MOPOは、メトキシプロポキシを表わし、かつRは、式(I)で前記したものと同様に定義される]に相応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式中Rは、独立して、COOR(この際、Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル又はトリアルキルシリルを表わす)、ニトリル、C(O)R(この際、Rは、ハロゲン、O、OM(この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量を表わす)を表わす)を表わす、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
付加反応は、式(III)[式中、Yは、Li、Na、CuCl、CuBr、CuI、MgCl又はMgBrを表わす]の化合物を用いて実施される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
還元は、1又は2段階で、金属水素化物又はトリアルキルシランを用いて、酸が存在して、又はルイス−酸を用いて実施される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
式(VII)の化合物を、付加的なアミド化で変換させて、式(VIII):
【化8】

の化合物を取得する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
式(III)[式中、Yは、水素を表わし、Rは、保護されたヒドロキシ官能基を表わし、かつRは、式(I)で前記したものと同様に定義される]の化合物の付加は、Rのアルコキシ又はアルコキシアルコキシへの変換のための更なるアルキル化段階を包含して実施される、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
式(IIa):
【化9】

[式中、R10は、各々無関係で、O又はNから選択される少なくとも1個のへテロ原子を含有し、C−1−位に少なくとも1個の炭素−ヘテロ原子−多重結合を有する炭素ヘテロ基、例えば、COOR(この際、Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル又はトリアルキルシリルを表わす)、
ニトリル、
C(O)R(この際、Rは、水素、ハロゲン、O、OM(この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量を表わす)、OCOR12(この際、R12は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖の低級アルキル、有利に、ピバロイルを表わす)、OCOCF、OSOCH又はOSOCF又は保護−又は活性化基、例えば、C(O)N−アルキル−O−アルキルを表わす)又は
C(O)NR(この際、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、トリアルキルシリル等を表わし、又はR及びRは、窒素と一緒に、任意に1〜3個の付加的なヘテロ原子を有し得る5〜6−員の複素環系を形成する)を表わし、この際、各R10において、R及びRの2基ともC(O)NRを表わす場合には、R及びRは、窒素と一緒に、4(S)−置換のオキサゾリジン−2−オン−3−イルを表わすことはできない]の化合物又はその塩。
【請求項13】
式(IIb):
【化10】

の(S,S)−エナンチオマーとしての、請求項12に記載の式(IIa)の化合物。
【請求項14】
式中、R10は、各々無関係で、ニトリル又はCOCl又はCOBr又はCOOR(この際、Rは、式(I)で前記したものと同様に定義され、有利に、水素を表わす)を表わす、請求項12又は13に記載の式(IIa)又は(IIb)の化合物。
【請求項15】
式(IV):
【化11】

[式中、R、R及びRは、式(I)で前記されたものと同様に定義され、
点線は、単結合又は二重結合であり、
は、点線が二重結合である場合には、O又はNRを表わし、この際、Rは、水素又はアルキルを表わし、又は
は、点線が単結合である場合には、OH又はNHを表わす]の化合物又はその塩。
【請求項16】
(S,S)エナンチオマーとしての、式(IV)の化合物。
【請求項17】
一般式(I):
【化12】

[式中、R及びRは、相互に無関係で、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ又はアルコキシアルコキシを表わし、
は、COOR(この際、Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル又はトリアルキルシリルを表わす)、
ニトリル、
C(O)R(この際、Rは、ハロゲン、O、OM(この際、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量を表わす)、OCOR12(この際、R12は、1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖の低級アルキル、有利に、ピバロイルを表わす)、OSOCH又はOSOCFを表わす)を表わす]の化合物又はその塩を製造するための請求項1に記載の方法において、
一般式(II):
【化13】

[式中、Rは、各々無関係で、式(I)で前記したものと同様に定義される]の化合物を、式(III):
【化14】

[式中、Yは、ハロゲン、金属、金属ハロゲニド、金属アルコキシド又は金属カルボキシレート、有利にLi、Na、Mg、Zn、Cu及びBを表わし、R及びRは、式(I)で前記したものと同様に定義される]の化合物との付加反応で変換させて、式(IV):
【化15】

[式中、R、R及びRは、式(I)で前記したものと同様に定義され、点線は二重結合であり、Rは、Oを表わす]の化合物を取得し、そして式(IV)の化合物を少なくとも1回還元反応させて、式(I)の目的生成物を取得する方法。

【図1】
image rotate

【図1a】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−513591(P2009−513591A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537007(P2008−537007)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010361
【国際公開番号】WO2007/048620
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(508129780)ロイター ヒェミッシャー アパラーテバウ コマンディートゲゼルシャフト (2)
【氏名又は名称原語表記】Reuter Chemischer Apparatebau KG
【住所又は居所原語表記】Engesserstrasse 4b, D−79108 Freiburg, Germany
【Fターム(参考)】