オクルーダー
本発明は、循環系における通路を閉じるためのオクルーダーに関し、本オクルーダーは、通路上にオクルーダーを固定するための拡張可能な固定ユニットを含み、通路において、コンパクトな外観から拡張した外観へと移ることができる。本オクルーダーは、固定ユニットが枢動可能に保持される遠位軸部分(2)及び近位軸部分(3)を有する。本発明によると、固定ユニットは、遠位固定アーム(40)と近位固定アーム(40)とを含み、遠位固定アームは遠位軸部分に枢動可能に保持され、近位固定アームは近位軸部分に枢動可能に保持される。遠位固定アーム及び近位固定アームは自由端を有し、この自由端は、固定アームに対し動くことのできる連結部材(43)を用いて相互接続されており、いずれの場合にも、遠位固定アームはこれに対角線上に反対に位置する近位固定アームに連結される。このオクルーダーは、特に、心室中隔欠損(VSD)を閉鎖するのに適する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1及び15のプリアンブルに記載のオクルーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
オクルーダーは、循環系の通路、例えば血管の閉鎖又はシャント結合のために使用されるインプラントであり、通常、静脈に導入されるシースを介して配置され拡張されるインプラントである。オクルーダーは、例えば、動脈管開存症(PDA)、心房中隔欠損(ASD)又は心室中隔欠損(VSD)を閉鎖するために使用される。人体又は動物の体における他の使用も可能である。オクルーダーの形状は、対応する用途ごとに適合される。
【0003】
先行技術において、幅広い種類の構造のオクルーダーが公知である。例えば、渦巻バネとして設計することもできるし、傘のように開くこともできる。さらに、通路を、片側からのみ閉じることもできるし、両側から閉じることもできる。これらのオクルーダーは、通常、細長い形状で持ち込まれ、閉鎖すべき通路までカテーテルを用いて運ばれる。オクルーダーは、そこで解き放たれ、自動的に又は誘導されて拡張した使用形状となる。
【0004】
特許文献1には、誘導されて開かれ、通路に最適に配置することができるオクルーダーが開示されている。
【0005】
特許文献2は、2つの渦巻バネを備えたオクルーダーを開示しており、渦巻バネが通路の各側に1つずつ位置するようになり、この位置にてオクルーダーを固定する。渦巻バネは、ヨークを介して各端部で互いに連結される。
【0006】
特許文献3は、中空シリンダの形をしたオクルーダーを記載する。この中空シリンダは、長手方向にスリットがあり、この連続的なスリットが、シリンダの2つの端部からある距離をおいて終わり、中央の領域をつながれていない状態にしておく。こうして、平らな支柱が形成される。支柱の端部及びその中央領域には、円周のノッチがあり、フィルムヒンジとして働く。中空シリンダの2つの端部が互いの方に近づけられると、支柱が曲がって開かれ、オクルーダーを、2つの互いに向かい合う固定面を有する拡張した外観形状(Erscheinungsform)に変える。特許文献4及び5に、同様の配置が開示されている。
【0007】
特許文献6もまたオクルーダーを開示しており、固定支柱にヒンジが設けられている。
【0008】
特許文献7では、オクルーダーは、フレームを備えた、2つの互いに向かい合う布地の円形面を有する。この2つの円形面は糸によって互いに連結される。
【0009】
特許文献8も同様に、2つの膜を備えるオクルーダーを開示し、この2つの膜は中央のシリンダ上に互いからある距離をおいて配置される。第1の膜のフレームから第2の膜のフレームまでワイヤが延び、これらのワイヤが中央シリンダを通り抜ける。
【0010】
心室中隔の欠損は、心房の欠損とは大きく異なる。心室中隔においては、オクルーダーはより高い圧力にさらされる。さらに、中隔の厚さが心房よりばらつく。特に、部分的には、心房より大幅に厚みが大きい。成人の場合、通常、最大で15mmまで可能である。さらに、心房とは利用可能な空間が異なり、とても大きく制限される。先行技術で公知のオクルーダーは、多くの場合、このような実状に最適には適合させられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 2005/074813
【特許文献2】US 2005/0251154
【特許文献3】US 6 117 159
【特許文献4】WO 2009/045705
【特許文献5】WO 2005/112779
【特許文献6】EP 1 836 969
【特許文献7】EP 0 474 887
【特許文献8】WO 2005/034723
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、特に心室中隔欠損(VSD)を閉鎖するのに好適なオクルーダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1の特徴を有するオクルーダーによって達成される。
【0014】
循環系における通路を閉鎖するための、本発明のオクルーダーは、この通路にオクルーダーを固定するための拡張可能な固定ユニットを有し、本オクルーダーは、この通路において、コンパクトな外観形状から拡張した外観形状へと変わることができる。本オクルーダーは、遠位軸部分及び近位軸部分を有し、これらの部分にて、固定ユニットが旋回可能に保持される。本発明によると、この固定ユニットは、遠位固定アームと近位固定アームを有し、遠位固定アームは遠位軸部分に旋回可能に保持され、近位固定アームは近位軸部分に旋回可能に保持される。遠位及び近位固定アームは、自由端を有し、これら自由端は、固定アームに対し移動可能な連結部材を介し互いに連結され、いずれの場合にも、遠位固定アームが近位固定アームに連結される。好ましくは、それぞれ、直径方向に互いに向き合っている固定アームが相互に連結される。
【0015】
ここで、近位とは医師の方向を意味し、遠位とは医師から離れる方向、つまり患者側を意味する。
【0016】
このオクルーダーは、コンパクトで細長い状態でも、拡張した状態でも、比較的小さい寸法を有し、それにもかかわらず心室中隔領域内の高い圧力に耐えることができるという利点を有する。さらなる利点としては、拡張した使用ポジションでのオクルーダーは、心室中隔の両側面に比較的平らに密着し(anliegen)、心室内には突出しない、又はわずかしか突出せず、心臓弁の機能を阻害しないことである。さらに、本オクルーダーは、誘導して開けて拡張することができ、それ故に通路に最適に配置することができる。
【0017】
コンパクトな状態では、本発明のオクルーダーは、公知のオクルーダーに比べて比較的短い。標準的な長さは20mmから50mm、好ましくは30mmである。これにより、心室中隔内に挿入する際、オクルーダーをよりうまく急なカーブを回って誘導できる。
【0018】
拡張した状態では、直径はおおよそ10mmから30mmとなり、好ましくは20mmである。従って、この直径もまた、同じ目的のために使用される公知のオクルーダーの通常の直径より小さい。
【0019】
好ましい実施形態では、個々の遠位固定アーム及び近位固定アームの間で、複数の連結部材が互いとは独立に延びる。これら部材は、好ましくは、1つの領域で交差する。この領域は、好ましくは、オクルーダーの長手方向において、近位軸部分と遠位軸部分の間のおおよそ中央に位置する。第1の実施形態では、この交差領域には他の要素がない。別の実施形態では、連結部材は、この領域において連結部材を一緒に取り囲むスリーブ内で、個々に移動可能に延びる。
【0020】
好ましい実施形態では、固定アームのそれぞれは、弓形又はU字形に形成され、2つの腕木と、これらの腕木をつなぐブリッジとを備える。2つの腕木は自由端を有し、これら自由端は近位又は遠位軸部分に旋回可能に保持される。前記ブリッジは、固定アームの前記自由端を形成する。このU字形構造は、固定アームに安定性を与え、固定アームを簡単に組み立て、連結部材に容易に連結できる。
【0021】
前記ブリッジは、好ましくはスリーブによって囲まれ、この場合、ブリッジはスリーブ内に旋回可能に保持される。連結部材は、各スリーブ上に固定され、好ましくは、各スリーブに一体的に連結されるか溶接される。これによって、固定アームと連結部材の間での相対運動を可能とする接合部又はヒンジが、容易に得られる。好ましくは、ブリッジはほぼ直線的であるため、スリーブはさらなる補助手段なしに、固定アーム上のその位置で保持される。ブリッジが丸い場合、スリーブは、例えば2つの締め付けスリーブによってその位置に固定することができる。これら2つの締め付けスリーブは、それぞれ、ヒンジスリーブの端面上に配置される。
【0022】
好ましい実施形態において、固定アームは、好ましくはニチノール又は吸収性材料製のワイヤからなる。連結部材は同様に、ワイヤ又はひもからなってもよい。
【0023】
連結部材がワイヤからなる場合には、連結部材は拡張中固定アームの動きを支援し、固定アームを強制的に開いた位置にする。
【0024】
連結ワイヤが、例えばポリプロピレン(PP)又はポリ乳酸のひもからなる場合には、連結ワイヤは、遠位固定アームと近位固定アームの間の最大距離を制限し、固定アームの拡張角度をも制限する。この実施形態では、固定アームはさらなる支援なく開く。固定アームは、このために、遠位軸部分及び近位軸部分において、ある角度で取り付けられる。この角度は、外力の影響により得られるコンパクトな状態では小さくなるが、この外力がないと、ワイヤのバネ作用又は弾力性によって再びもとの角度となる。
【0025】
近位軸部分及び遠位軸部分は、好ましくは、一方を他方の内部に差し込んで固定できる相互連結可能な結合部分として形成される。これにより、これらは、オクルーダーを拡張した外観形状で固定し、遠位固定アームと近位固定アームの間の距離を医師が選択できる。
【0026】
遠位及び近位固定アームは、好ましくは同じ大きさであり、オクルーダーは固定ユニットに関して鏡面対称である。しかしながら、オクルーダーはまた非対称であってもよく、又は遠位及び/又は近位側の固定アームが、互いとは異なる大きさ及び/又は形状を有することもできる。
【0027】
さらに、固定アームのワイヤの代わりに、平らな弓形部又はアームを使用することもできる。ワイヤは、U字形以外の形状であってもよい。
【0028】
本オクルーダーは、好ましくは、通路を閉鎖するための少なくとも1つの閉鎖体を有する。この閉鎖体は好ましくは、膜、止血栓又はバルーンである。膜である場合、好ましくは、固定アームによって拡張した外観形状になることができる。止血栓は好ましくは圧縮でき弾力的であるため、自動的にその拡張した形状を取ることができる。閉鎖体がバルーンである場合、バルーンは、好ましくは近位軸部分から遠位軸部分へと延び、これら2つの部分に固定される。閉鎖体は、固定アームと連結部材を取り囲み、好ましくは固定アームによって、拡張した状態になる。
【0029】
閉鎖体、特に止血栓は、好ましくは、1つの側を遠位固定アームで画定され、向かい側を近位固定アームで画定される領域に配置される。これによって、閉鎖体は通路の外側ではなく、通路自体に配置される。閉鎖体のこの配置は、ここに記載のオクルーダー以外のオクルーダーでも使用することができ、本明細書において独立した発明として主張する。このようにして配置された少なくとも1つの閉鎖体を備えるオクルーダーは、高い圧力下でさえ、迅速で最適な閉鎖を可能とする。このようなオクルーダーは、心室内に突出しない、又はわずかしか突出しないという利点がある。
【0030】
連結部材は、近位固定アームと遠位固定アームの間の最大距離を画定し、オクルーダーの拡張を支援する。しかしながら、1つの実施形態においては、連結部材が存在しない。この実施形態を、同様に、独立した発明として主張し、その際、連結部材なしの、上述の変形及び組み合わせのすべてを有することができる。
【0031】
本発明によるこれらのオクルーダーは、特に、心室中隔欠損(VSD)を閉鎖するのに適する。しかしながら、これらは、他の領域、特に上述の領域でも使用することができる。これらは、欠損の解剖学的及び生理学的に最適化された閉鎖を可能にする。
【0032】
さらなる実施形態を、従属請求項に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、心室中隔欠損(VSD)を有する人間の心臓の概略図を示す。
【図2】図2は、部分的に拡張した状態での、閉鎖体のない本発明のオクルーダーの第1の実施形態の斜視図である。
【図3】図3は、ほぼ引き伸ばした状態での、閉鎖体のある図2のオクルーダーの側面図である。
【図4】図4は、部分的に拡張した状態での、閉鎖体のある図2のオクルーダーの側面図である。
【図5】図5は、側面図での、図2のオクルーダーの遠位端を通る拡大断面図を示す。
【図6】図6は、部分的に表したカテーテルシステムを有する、図2のオクルーダーの側面図である。
【図7】図7は、バルーンシースを備えた、ほぼ引き伸ばした状態での本発明のオクルーダーの第2の実施形態の側面図である。
【図8】図8は、部分的に拡張した状態での、図7のオクルーダーを示す。
【図9】図9は、膜を備えた、ほぼ引き伸ばした状態での本発明のオクルーダーの第3の実施形態の側面図である。
【図10】図10は、部分的に拡張した状態での、図9のオクルーダーを示す。
【図11】図11は、連結ひもを備えた、部分的に拡張した状態での、本発明のオクルーダーの第4の実施形態の側面図である。
【図12】図12は、通路に挿入した、図3のオクルーダーを示す。
【図13】図13は、拡張し固定した状態での、図12のオクルーダーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の好ましい実施形態を、図を参照し以下に説明するが、これらは、説明のためだけのものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0035】
図1は、心室中隔欠損(VSD)を有する人間の心臓1の図を示す。右心房を参照番号10、下大静脈を11、右心室を12、心室中隔欠損を13、左心室を14、左心房を16、及び上大静脈を17で表す。破線矢印15は、ガイドワイヤが挿入される経路を示す。これを通って、オクルーダーは、カテーテルシステムを用いて欠損の場所へと運ばれ、欠損を閉鎖することができる。
【0036】
図2〜6は、本発明のオクルーダーの第1の実施形態を示す。図2では、オクルーダーはコンパクトな状態と拡張した状態の間のポジションで示される。オクルーダーはまた、ここには示されていない仮想の長手方向軸を有する。この長手方向軸に沿って、遠位軸部分2及び近位軸部分3が配置される。ここで記載する実施例では、2つの軸部分は、一方を他方の内部に差し込め、オクルーダーを拡張したポジションで固定することのできる結合部分として使われる。
【0037】
遠位結合部分2及び近位結合部分3は、好ましくはプラスチックからなる。
【0038】
遠位結合部分2は、前面が開いている遠位末端部20を有する。この末端部20に一体的に差し込みシャフト21が形成され、差し込みシャフトは末端部20より小さい外径を有する。差し込みシャフト21の自由端には、好ましくは、保持リブ又は保持突起が設けられる。差し込みシャフト21は中空である。
【0039】
近位結合部分3は、連続的に中空であり、入口開口部と出口開口部とを有する。結合部分3の近位末端部30は雄ねじを有する。これには受入スリーブ31が隣接し、受入スリーブは差し込みシャフト21より大きな外径を有する。差し込みシャフト21はこの受入スリーブ31内に差し込むことができ、保持リブによって適切な位置で固定できる。好ましくは、複数のロックポジション、この場合は3つのロックポジションが可能であるため、遠位末端部と近位末端部の間の距離を選ぶことができる。
【0040】
遠位結合部分2及び近位結合部分3は、末端部20とシャフト21との間の領域及び末端部30とスリーブ31の間の領域に、固定アーム40を受け入れるための受入開口部24(図5参照)を有する。
【0041】
これらの固定アーム40は、展開可能な(aufklappen)又は拡張可能な固定ユニット4の一部である。固定アーム40は弓形部として形成され、2つの腕木と、これら2つの腕木をつなぐブリッジとを有する。2つの腕木は、好ましくは、互いにほぼ平行に延びる。ブリッジは、好ましくは直線的である。腕木の自由端は、遠位結合部分2と近位結合部分3の受入開口部24内に旋回可能に取り付けられる。腕木は、固定アームの自由端を形成する。
【0042】
このような軸受けの実施例は、図5に見ることができる。他の軸受けも可能である。遠位結合部分2が示されている。近位結合部分3は、アーム40の軸受けに関して同じ構造を有する。結合部分2には、その周囲に分配して、階段状の穴の形をした受入開口部24がある。開口部24の長手方向軸は、オクルーダーの長手方向軸に対しある角度をなして延び、好ましくは、拡張したポジションでのアーム40の角度位置に相当する。アーム40の腕木は、この図では湾曲している。しかしながら、これらは、好ましくは湾曲のない1つの部品として形成される。
【0043】
端部は、くぎ状ヘッド401の形をした拡大部によって形成される。このくぎ状ヘッド401は開口部24の段部に掛けられる(einhaengt)ため、アーム40はこの開口部に移動可能に固定される。
【0044】
図2に見られるように、アーム40の腕木は、アームの端部領域で交差する、すなわち、第1のアームの腕木が第2のアームの腕木と、それらが固定される領域で交差する。この実施例では、1つのアーム40の2つの弓形部の間に、2つの隣接するアーム40の腕木が1つずつ固定される。
【0045】
好ましくは、オクルーダーの遠位側及び近位側にそれぞれ、このような固定アーム40が4つ存在する。しかしながら、3又は5個のアーム40、又は他の数のアーム40が存在することも可能である。また、両側に、異なる数のアーム40が存在してもよい。
【0046】
好ましくは、全てのアーム40は、同じ長さと同じ幅を有している。しかしながら、近位側のアーム40は遠位側のアームと、例えば大きさ及び/又は形状が異なっていてもよい。さらに、同じ側のアームが互いに異なっていても良い。
【0047】
ブリッジはスリーブ42で取り囲まれ、スリーブはブリッジに対しその長手方向軸の周りに回転可能である。このスリーブ41上に連結部材43が配置される。例えば、連結部材はスリーブに溶接される、又はスリーブに接着接合される。好ましくは、連結部材は、穴に差し込まれ、くぎ状ヘッドを用いて適切な位置に保持される。
【0048】
好ましくは、各ブリッジにはスリーブ42が設けられ、各スリーブ42には連結部材43、好ましくはちょうど1つの連結部材43が設けられる。
【0049】
各連結部材43は、遠位固定アーム40を近位固定アーム40に連結する。この連結は、好ましくは、2つの直径方向向かい側の固定アーム40の間でなされるため、連結部材同士43が交差する。しかしながら、これらはまた、交差領域で互いとは独立して延びる。これらは、スリーブを介して、この領域で互いに緩く連結することもできるが、このスリーブは、スリーブ内部での互いに対する長手方向の移動可能性及び前記スリーブに対する長手方向の移動可能性を妨げない。固定アームの遠位側と近位側が対称的か否かに応じて、交差の領域は、オクルーダーの遠位末端部20と近位末端部30の間の中間に位置するか、又はこれらの末端部20,30のうちの一方又は他方により近く位置する。
【0050】
固定アーム40は、好ましくはワイヤからなる。ニチノール又は吸収性材料が好ましい。アーム40の好ましい直径は、例えば、0.1mmから0.3mmであり、好ましくは0.2mmである。弓形部40からブリッジまでのアーム40の長さは、例えば、10mmから30mmであり、好ましくは20mmである。
【0051】
この実施例では、スリーブ42及び連結部材43も、好ましくはニチノール又は吸収性材料のワイヤからなる。連結ワイヤ43は好ましくは、固定アーム40と同じ厚みに形成される。これらは、例えば、0.1mmから0.3mm、好ましくは0.2mmの直径を有することができる。これらの長さは、例えば5mmから15mm、好ましくは10mmである。
【0052】
図3には、このオクルーダーがほぼ引き伸ばした状態で示される。この状態、又は、さらにより引き伸ばして長手方向軸に横向きに延びる方向においてよりコンパクトである状態で、オクルーダーは人体又は動物の体に運び入れられる。このために、先行技術で公知のカテーテルシステムを用いる。どのように導入されるかの実施例を図6に示す。
【0053】
図6には、カテーテルシステム9の遠位端だけが示されている。カテーテルシステムは、好ましくは可撓性チューブによって形成される中空のカテーテル本体90を有する。このカテーテル本体90の端部に、雌ねじを備えるかたいヘッド91が取り付けられる。この雌ねじを用いて、カテーテル9は、オクルーダーの近位結合部分3の雄ねじに連結される。
【0054】
カテーテル本体90の内部には、可撓性のカテーテルチューブ92が延び、カテーテルチューブは、近位結合部分3の受入スリーブ31を通り抜け、カテーテル先端部93へと移行する(uebergehen)。このカテーテル先端部93は、遠位結合部分2の差し込みシャフト21の中にまで達する。カテーテル先端部には雄ねじが設けられ、この雄ねじが、遠位結合部分2の雌ねじ22に係合する(図5参照)。
【0055】
カテーテルシステムを介して伝わる軸方向の引張力が、連結ワイヤ43に加えられることにより、オクルーダーは圧縮される。チューブ92の遠位端をカテーテル本体90の方に引き戻すことにより、オクルーダーは開かれ拡張される。構造に応じて、自動的に又は力を加えることによって拡張することができる。
【0056】
このような拡張した状態は、図6に見ることができる。こうしてオクルーダーを通路に最適に位置付けることができる。最後に、チューブ92をさらに引き戻すことによって、2つの結合部分2,3は一方が他方の内部に係合し、オクルーダーを開いたポジションで固定する。カテーテルとオクルーダーの間のねじ式連結は解除され、カテーテルが取り除かれる。
【0057】
図12及び13は、欠損13にあるオクルーダーを示す。
【0058】
図3及び4は、上述の固定ユニットと一緒に用いるような、閉鎖体5の第1の実施例を示す。この閉鎖体は圧縮可能な可撓性の止血栓である。この実施例では、2つの止血栓5が存在し、このうち第1の止血栓5は近位結合部分3の受入スリーブ3上に取り付けられ、第2の止血栓5は遠位結合部分2の差し込みシャフト21上に取り付けられる。止血栓は、好ましくは、これらの部分2,3に溶接、縫合又は接着接合される。しかしながら、止血栓はまた、何か別の方法で固定することもできる。好適な止血栓5としては、特に、スポンジ状材料又は織り材料であり、例えばGore-Tex(登録商標)である。好ましくは、初め血を透過させる材料が使用され、その際、血小板がこの材料中に捕らえられ、その結果閉鎖体が血を透過できなくなり、欠損内で大きくなり始める。
【0059】
図4に見られるように、止血栓5は固定ユニット4の拡張時自動的に広がり、欠損の形状に適合する。
【0060】
止血栓は、オクルーダーの片側にのみ配置することもできる。
【0061】
図7及び8には別の閉鎖体を示す。この場合はバルーン6であり、このバルーンが遠位末端部20と近位末端部30に固定され、固定ユニット4を取り囲む。バルーン6は、好ましくは、2つのチャンバと狭窄した連結領域を備えるダブルバルーンとして形成される。好ましくは、図8に見られるように、固定アーム40を起こすと広げられる。バルーンは好ましくは、PET、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、PP又はシリコーンからなる。バルーンシースを、固定アーム40の内側、従って固定ユニット4の内側に配置することもできる。
【0062】
図9及び10には、閉鎖体の別の変形を示す。この閉鎖体は、例えばPET又はダクロンからなる円形の膜7である。これは、遠位又は近位側の固定アーム40に連結される。この実施例では、遠位及び近位固定アーム40の両方が、それぞれ膜7を有する。しかしながら、膜7を片側だけに存在させることもできる。膜7は、好ましくは、それぞれ、固定アーム40の、対応する末端部20,30の方に向く側に配置される。膜7は固定アーム40に縫合、又は接着接合、あるいは何か別の方法で連結することができる。図10に見られるように、これらの膜7は、固定アーム40を用いて張設される(aufgespannen)。これらの膜を、固定ユニット4の内側、つまり固定アーム40のもう一方の側に配置することもできる。
【0063】
上記の各種閉鎖体を、同じオクルーダー内で互いに組み合わせることもできる。
【0064】
図11は、本発明のオクルーダーの別の例示の実施形態を示す。これは基本的には上述のオクルーダーと同じ構造を有し、特に上述の閉鎖体を有することができる。しかしながら、このオクルーダーは連結ワイヤ43を持たず、その代わりに、連結ひも44を有する。これらは、同じく、スリーブ42に固定する、特に結びつけることができる。しかしながら、好ましくは、スリーブ42がなく、糸又はひも44が、固定アーム40のブリッジに直接固定され、特にブリッジに結びつける又は接着接合されることが好ましい。この実施例では、確実に固定アーム40を拡張したポジションに置くために、結合部分2,3内に、上述のように、ある角度をなして固定アームを保持するのが好ましい。
【符号の説明】
【0065】
1 心臓
10 右心房
11 下大静脈
12 右心室
13 心室中隔欠損(VSD)
14 左心室
15 ガイドワイヤの経路
16 左心房
17 上大静脈
2 遠位結合部分
20 遠位末端部
21 差し込みシャフト
22 雌ねじ
23 止まり穴
24 受入開口部
3 近位結合部分
30 近位末端部
31 受入スリーブ
4 拡張可能な固定ユニット
40 固定アーム
401 くぎ状ヘッド
41 ブリッジ
42 スリーブ
43 連結ワイヤ
44 連結ひも
5 止血栓
6 バルーンシース
7 膜
9 カテーテルシステム
90 カテーテル本体
91 ヘッド
92 カテーテルチューブ
93 カテーテル先端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1及び15のプリアンブルに記載のオクルーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
オクルーダーは、循環系の通路、例えば血管の閉鎖又はシャント結合のために使用されるインプラントであり、通常、静脈に導入されるシースを介して配置され拡張されるインプラントである。オクルーダーは、例えば、動脈管開存症(PDA)、心房中隔欠損(ASD)又は心室中隔欠損(VSD)を閉鎖するために使用される。人体又は動物の体における他の使用も可能である。オクルーダーの形状は、対応する用途ごとに適合される。
【0003】
先行技術において、幅広い種類の構造のオクルーダーが公知である。例えば、渦巻バネとして設計することもできるし、傘のように開くこともできる。さらに、通路を、片側からのみ閉じることもできるし、両側から閉じることもできる。これらのオクルーダーは、通常、細長い形状で持ち込まれ、閉鎖すべき通路までカテーテルを用いて運ばれる。オクルーダーは、そこで解き放たれ、自動的に又は誘導されて拡張した使用形状となる。
【0004】
特許文献1には、誘導されて開かれ、通路に最適に配置することができるオクルーダーが開示されている。
【0005】
特許文献2は、2つの渦巻バネを備えたオクルーダーを開示しており、渦巻バネが通路の各側に1つずつ位置するようになり、この位置にてオクルーダーを固定する。渦巻バネは、ヨークを介して各端部で互いに連結される。
【0006】
特許文献3は、中空シリンダの形をしたオクルーダーを記載する。この中空シリンダは、長手方向にスリットがあり、この連続的なスリットが、シリンダの2つの端部からある距離をおいて終わり、中央の領域をつながれていない状態にしておく。こうして、平らな支柱が形成される。支柱の端部及びその中央領域には、円周のノッチがあり、フィルムヒンジとして働く。中空シリンダの2つの端部が互いの方に近づけられると、支柱が曲がって開かれ、オクルーダーを、2つの互いに向かい合う固定面を有する拡張した外観形状(Erscheinungsform)に変える。特許文献4及び5に、同様の配置が開示されている。
【0007】
特許文献6もまたオクルーダーを開示しており、固定支柱にヒンジが設けられている。
【0008】
特許文献7では、オクルーダーは、フレームを備えた、2つの互いに向かい合う布地の円形面を有する。この2つの円形面は糸によって互いに連結される。
【0009】
特許文献8も同様に、2つの膜を備えるオクルーダーを開示し、この2つの膜は中央のシリンダ上に互いからある距離をおいて配置される。第1の膜のフレームから第2の膜のフレームまでワイヤが延び、これらのワイヤが中央シリンダを通り抜ける。
【0010】
心室中隔の欠損は、心房の欠損とは大きく異なる。心室中隔においては、オクルーダーはより高い圧力にさらされる。さらに、中隔の厚さが心房よりばらつく。特に、部分的には、心房より大幅に厚みが大きい。成人の場合、通常、最大で15mmまで可能である。さらに、心房とは利用可能な空間が異なり、とても大きく制限される。先行技術で公知のオクルーダーは、多くの場合、このような実状に最適には適合させられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 2005/074813
【特許文献2】US 2005/0251154
【特許文献3】US 6 117 159
【特許文献4】WO 2009/045705
【特許文献5】WO 2005/112779
【特許文献6】EP 1 836 969
【特許文献7】EP 0 474 887
【特許文献8】WO 2005/034723
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、特に心室中隔欠損(VSD)を閉鎖するのに好適なオクルーダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1の特徴を有するオクルーダーによって達成される。
【0014】
循環系における通路を閉鎖するための、本発明のオクルーダーは、この通路にオクルーダーを固定するための拡張可能な固定ユニットを有し、本オクルーダーは、この通路において、コンパクトな外観形状から拡張した外観形状へと変わることができる。本オクルーダーは、遠位軸部分及び近位軸部分を有し、これらの部分にて、固定ユニットが旋回可能に保持される。本発明によると、この固定ユニットは、遠位固定アームと近位固定アームを有し、遠位固定アームは遠位軸部分に旋回可能に保持され、近位固定アームは近位軸部分に旋回可能に保持される。遠位及び近位固定アームは、自由端を有し、これら自由端は、固定アームに対し移動可能な連結部材を介し互いに連結され、いずれの場合にも、遠位固定アームが近位固定アームに連結される。好ましくは、それぞれ、直径方向に互いに向き合っている固定アームが相互に連結される。
【0015】
ここで、近位とは医師の方向を意味し、遠位とは医師から離れる方向、つまり患者側を意味する。
【0016】
このオクルーダーは、コンパクトで細長い状態でも、拡張した状態でも、比較的小さい寸法を有し、それにもかかわらず心室中隔領域内の高い圧力に耐えることができるという利点を有する。さらなる利点としては、拡張した使用ポジションでのオクルーダーは、心室中隔の両側面に比較的平らに密着し(anliegen)、心室内には突出しない、又はわずかしか突出せず、心臓弁の機能を阻害しないことである。さらに、本オクルーダーは、誘導して開けて拡張することができ、それ故に通路に最適に配置することができる。
【0017】
コンパクトな状態では、本発明のオクルーダーは、公知のオクルーダーに比べて比較的短い。標準的な長さは20mmから50mm、好ましくは30mmである。これにより、心室中隔内に挿入する際、オクルーダーをよりうまく急なカーブを回って誘導できる。
【0018】
拡張した状態では、直径はおおよそ10mmから30mmとなり、好ましくは20mmである。従って、この直径もまた、同じ目的のために使用される公知のオクルーダーの通常の直径より小さい。
【0019】
好ましい実施形態では、個々の遠位固定アーム及び近位固定アームの間で、複数の連結部材が互いとは独立に延びる。これら部材は、好ましくは、1つの領域で交差する。この領域は、好ましくは、オクルーダーの長手方向において、近位軸部分と遠位軸部分の間のおおよそ中央に位置する。第1の実施形態では、この交差領域には他の要素がない。別の実施形態では、連結部材は、この領域において連結部材を一緒に取り囲むスリーブ内で、個々に移動可能に延びる。
【0020】
好ましい実施形態では、固定アームのそれぞれは、弓形又はU字形に形成され、2つの腕木と、これらの腕木をつなぐブリッジとを備える。2つの腕木は自由端を有し、これら自由端は近位又は遠位軸部分に旋回可能に保持される。前記ブリッジは、固定アームの前記自由端を形成する。このU字形構造は、固定アームに安定性を与え、固定アームを簡単に組み立て、連結部材に容易に連結できる。
【0021】
前記ブリッジは、好ましくはスリーブによって囲まれ、この場合、ブリッジはスリーブ内に旋回可能に保持される。連結部材は、各スリーブ上に固定され、好ましくは、各スリーブに一体的に連結されるか溶接される。これによって、固定アームと連結部材の間での相対運動を可能とする接合部又はヒンジが、容易に得られる。好ましくは、ブリッジはほぼ直線的であるため、スリーブはさらなる補助手段なしに、固定アーム上のその位置で保持される。ブリッジが丸い場合、スリーブは、例えば2つの締め付けスリーブによってその位置に固定することができる。これら2つの締め付けスリーブは、それぞれ、ヒンジスリーブの端面上に配置される。
【0022】
好ましい実施形態において、固定アームは、好ましくはニチノール又は吸収性材料製のワイヤからなる。連結部材は同様に、ワイヤ又はひもからなってもよい。
【0023】
連結部材がワイヤからなる場合には、連結部材は拡張中固定アームの動きを支援し、固定アームを強制的に開いた位置にする。
【0024】
連結ワイヤが、例えばポリプロピレン(PP)又はポリ乳酸のひもからなる場合には、連結ワイヤは、遠位固定アームと近位固定アームの間の最大距離を制限し、固定アームの拡張角度をも制限する。この実施形態では、固定アームはさらなる支援なく開く。固定アームは、このために、遠位軸部分及び近位軸部分において、ある角度で取り付けられる。この角度は、外力の影響により得られるコンパクトな状態では小さくなるが、この外力がないと、ワイヤのバネ作用又は弾力性によって再びもとの角度となる。
【0025】
近位軸部分及び遠位軸部分は、好ましくは、一方を他方の内部に差し込んで固定できる相互連結可能な結合部分として形成される。これにより、これらは、オクルーダーを拡張した外観形状で固定し、遠位固定アームと近位固定アームの間の距離を医師が選択できる。
【0026】
遠位及び近位固定アームは、好ましくは同じ大きさであり、オクルーダーは固定ユニットに関して鏡面対称である。しかしながら、オクルーダーはまた非対称であってもよく、又は遠位及び/又は近位側の固定アームが、互いとは異なる大きさ及び/又は形状を有することもできる。
【0027】
さらに、固定アームのワイヤの代わりに、平らな弓形部又はアームを使用することもできる。ワイヤは、U字形以外の形状であってもよい。
【0028】
本オクルーダーは、好ましくは、通路を閉鎖するための少なくとも1つの閉鎖体を有する。この閉鎖体は好ましくは、膜、止血栓又はバルーンである。膜である場合、好ましくは、固定アームによって拡張した外観形状になることができる。止血栓は好ましくは圧縮でき弾力的であるため、自動的にその拡張した形状を取ることができる。閉鎖体がバルーンである場合、バルーンは、好ましくは近位軸部分から遠位軸部分へと延び、これら2つの部分に固定される。閉鎖体は、固定アームと連結部材を取り囲み、好ましくは固定アームによって、拡張した状態になる。
【0029】
閉鎖体、特に止血栓は、好ましくは、1つの側を遠位固定アームで画定され、向かい側を近位固定アームで画定される領域に配置される。これによって、閉鎖体は通路の外側ではなく、通路自体に配置される。閉鎖体のこの配置は、ここに記載のオクルーダー以外のオクルーダーでも使用することができ、本明細書において独立した発明として主張する。このようにして配置された少なくとも1つの閉鎖体を備えるオクルーダーは、高い圧力下でさえ、迅速で最適な閉鎖を可能とする。このようなオクルーダーは、心室内に突出しない、又はわずかしか突出しないという利点がある。
【0030】
連結部材は、近位固定アームと遠位固定アームの間の最大距離を画定し、オクルーダーの拡張を支援する。しかしながら、1つの実施形態においては、連結部材が存在しない。この実施形態を、同様に、独立した発明として主張し、その際、連結部材なしの、上述の変形及び組み合わせのすべてを有することができる。
【0031】
本発明によるこれらのオクルーダーは、特に、心室中隔欠損(VSD)を閉鎖するのに適する。しかしながら、これらは、他の領域、特に上述の領域でも使用することができる。これらは、欠損の解剖学的及び生理学的に最適化された閉鎖を可能にする。
【0032】
さらなる実施形態を、従属請求項に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、心室中隔欠損(VSD)を有する人間の心臓の概略図を示す。
【図2】図2は、部分的に拡張した状態での、閉鎖体のない本発明のオクルーダーの第1の実施形態の斜視図である。
【図3】図3は、ほぼ引き伸ばした状態での、閉鎖体のある図2のオクルーダーの側面図である。
【図4】図4は、部分的に拡張した状態での、閉鎖体のある図2のオクルーダーの側面図である。
【図5】図5は、側面図での、図2のオクルーダーの遠位端を通る拡大断面図を示す。
【図6】図6は、部分的に表したカテーテルシステムを有する、図2のオクルーダーの側面図である。
【図7】図7は、バルーンシースを備えた、ほぼ引き伸ばした状態での本発明のオクルーダーの第2の実施形態の側面図である。
【図8】図8は、部分的に拡張した状態での、図7のオクルーダーを示す。
【図9】図9は、膜を備えた、ほぼ引き伸ばした状態での本発明のオクルーダーの第3の実施形態の側面図である。
【図10】図10は、部分的に拡張した状態での、図9のオクルーダーを示す。
【図11】図11は、連結ひもを備えた、部分的に拡張した状態での、本発明のオクルーダーの第4の実施形態の側面図である。
【図12】図12は、通路に挿入した、図3のオクルーダーを示す。
【図13】図13は、拡張し固定した状態での、図12のオクルーダーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の好ましい実施形態を、図を参照し以下に説明するが、これらは、説明のためだけのものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0035】
図1は、心室中隔欠損(VSD)を有する人間の心臓1の図を示す。右心房を参照番号10、下大静脈を11、右心室を12、心室中隔欠損を13、左心室を14、左心房を16、及び上大静脈を17で表す。破線矢印15は、ガイドワイヤが挿入される経路を示す。これを通って、オクルーダーは、カテーテルシステムを用いて欠損の場所へと運ばれ、欠損を閉鎖することができる。
【0036】
図2〜6は、本発明のオクルーダーの第1の実施形態を示す。図2では、オクルーダーはコンパクトな状態と拡張した状態の間のポジションで示される。オクルーダーはまた、ここには示されていない仮想の長手方向軸を有する。この長手方向軸に沿って、遠位軸部分2及び近位軸部分3が配置される。ここで記載する実施例では、2つの軸部分は、一方を他方の内部に差し込め、オクルーダーを拡張したポジションで固定することのできる結合部分として使われる。
【0037】
遠位結合部分2及び近位結合部分3は、好ましくはプラスチックからなる。
【0038】
遠位結合部分2は、前面が開いている遠位末端部20を有する。この末端部20に一体的に差し込みシャフト21が形成され、差し込みシャフトは末端部20より小さい外径を有する。差し込みシャフト21の自由端には、好ましくは、保持リブ又は保持突起が設けられる。差し込みシャフト21は中空である。
【0039】
近位結合部分3は、連続的に中空であり、入口開口部と出口開口部とを有する。結合部分3の近位末端部30は雄ねじを有する。これには受入スリーブ31が隣接し、受入スリーブは差し込みシャフト21より大きな外径を有する。差し込みシャフト21はこの受入スリーブ31内に差し込むことができ、保持リブによって適切な位置で固定できる。好ましくは、複数のロックポジション、この場合は3つのロックポジションが可能であるため、遠位末端部と近位末端部の間の距離を選ぶことができる。
【0040】
遠位結合部分2及び近位結合部分3は、末端部20とシャフト21との間の領域及び末端部30とスリーブ31の間の領域に、固定アーム40を受け入れるための受入開口部24(図5参照)を有する。
【0041】
これらの固定アーム40は、展開可能な(aufklappen)又は拡張可能な固定ユニット4の一部である。固定アーム40は弓形部として形成され、2つの腕木と、これら2つの腕木をつなぐブリッジとを有する。2つの腕木は、好ましくは、互いにほぼ平行に延びる。ブリッジは、好ましくは直線的である。腕木の自由端は、遠位結合部分2と近位結合部分3の受入開口部24内に旋回可能に取り付けられる。腕木は、固定アームの自由端を形成する。
【0042】
このような軸受けの実施例は、図5に見ることができる。他の軸受けも可能である。遠位結合部分2が示されている。近位結合部分3は、アーム40の軸受けに関して同じ構造を有する。結合部分2には、その周囲に分配して、階段状の穴の形をした受入開口部24がある。開口部24の長手方向軸は、オクルーダーの長手方向軸に対しある角度をなして延び、好ましくは、拡張したポジションでのアーム40の角度位置に相当する。アーム40の腕木は、この図では湾曲している。しかしながら、これらは、好ましくは湾曲のない1つの部品として形成される。
【0043】
端部は、くぎ状ヘッド401の形をした拡大部によって形成される。このくぎ状ヘッド401は開口部24の段部に掛けられる(einhaengt)ため、アーム40はこの開口部に移動可能に固定される。
【0044】
図2に見られるように、アーム40の腕木は、アームの端部領域で交差する、すなわち、第1のアームの腕木が第2のアームの腕木と、それらが固定される領域で交差する。この実施例では、1つのアーム40の2つの弓形部の間に、2つの隣接するアーム40の腕木が1つずつ固定される。
【0045】
好ましくは、オクルーダーの遠位側及び近位側にそれぞれ、このような固定アーム40が4つ存在する。しかしながら、3又は5個のアーム40、又は他の数のアーム40が存在することも可能である。また、両側に、異なる数のアーム40が存在してもよい。
【0046】
好ましくは、全てのアーム40は、同じ長さと同じ幅を有している。しかしながら、近位側のアーム40は遠位側のアームと、例えば大きさ及び/又は形状が異なっていてもよい。さらに、同じ側のアームが互いに異なっていても良い。
【0047】
ブリッジはスリーブ42で取り囲まれ、スリーブはブリッジに対しその長手方向軸の周りに回転可能である。このスリーブ41上に連結部材43が配置される。例えば、連結部材はスリーブに溶接される、又はスリーブに接着接合される。好ましくは、連結部材は、穴に差し込まれ、くぎ状ヘッドを用いて適切な位置に保持される。
【0048】
好ましくは、各ブリッジにはスリーブ42が設けられ、各スリーブ42には連結部材43、好ましくはちょうど1つの連結部材43が設けられる。
【0049】
各連結部材43は、遠位固定アーム40を近位固定アーム40に連結する。この連結は、好ましくは、2つの直径方向向かい側の固定アーム40の間でなされるため、連結部材同士43が交差する。しかしながら、これらはまた、交差領域で互いとは独立して延びる。これらは、スリーブを介して、この領域で互いに緩く連結することもできるが、このスリーブは、スリーブ内部での互いに対する長手方向の移動可能性及び前記スリーブに対する長手方向の移動可能性を妨げない。固定アームの遠位側と近位側が対称的か否かに応じて、交差の領域は、オクルーダーの遠位末端部20と近位末端部30の間の中間に位置するか、又はこれらの末端部20,30のうちの一方又は他方により近く位置する。
【0050】
固定アーム40は、好ましくはワイヤからなる。ニチノール又は吸収性材料が好ましい。アーム40の好ましい直径は、例えば、0.1mmから0.3mmであり、好ましくは0.2mmである。弓形部40からブリッジまでのアーム40の長さは、例えば、10mmから30mmであり、好ましくは20mmである。
【0051】
この実施例では、スリーブ42及び連結部材43も、好ましくはニチノール又は吸収性材料のワイヤからなる。連結ワイヤ43は好ましくは、固定アーム40と同じ厚みに形成される。これらは、例えば、0.1mmから0.3mm、好ましくは0.2mmの直径を有することができる。これらの長さは、例えば5mmから15mm、好ましくは10mmである。
【0052】
図3には、このオクルーダーがほぼ引き伸ばした状態で示される。この状態、又は、さらにより引き伸ばして長手方向軸に横向きに延びる方向においてよりコンパクトである状態で、オクルーダーは人体又は動物の体に運び入れられる。このために、先行技術で公知のカテーテルシステムを用いる。どのように導入されるかの実施例を図6に示す。
【0053】
図6には、カテーテルシステム9の遠位端だけが示されている。カテーテルシステムは、好ましくは可撓性チューブによって形成される中空のカテーテル本体90を有する。このカテーテル本体90の端部に、雌ねじを備えるかたいヘッド91が取り付けられる。この雌ねじを用いて、カテーテル9は、オクルーダーの近位結合部分3の雄ねじに連結される。
【0054】
カテーテル本体90の内部には、可撓性のカテーテルチューブ92が延び、カテーテルチューブは、近位結合部分3の受入スリーブ31を通り抜け、カテーテル先端部93へと移行する(uebergehen)。このカテーテル先端部93は、遠位結合部分2の差し込みシャフト21の中にまで達する。カテーテル先端部には雄ねじが設けられ、この雄ねじが、遠位結合部分2の雌ねじ22に係合する(図5参照)。
【0055】
カテーテルシステムを介して伝わる軸方向の引張力が、連結ワイヤ43に加えられることにより、オクルーダーは圧縮される。チューブ92の遠位端をカテーテル本体90の方に引き戻すことにより、オクルーダーは開かれ拡張される。構造に応じて、自動的に又は力を加えることによって拡張することができる。
【0056】
このような拡張した状態は、図6に見ることができる。こうしてオクルーダーを通路に最適に位置付けることができる。最後に、チューブ92をさらに引き戻すことによって、2つの結合部分2,3は一方が他方の内部に係合し、オクルーダーを開いたポジションで固定する。カテーテルとオクルーダーの間のねじ式連結は解除され、カテーテルが取り除かれる。
【0057】
図12及び13は、欠損13にあるオクルーダーを示す。
【0058】
図3及び4は、上述の固定ユニットと一緒に用いるような、閉鎖体5の第1の実施例を示す。この閉鎖体は圧縮可能な可撓性の止血栓である。この実施例では、2つの止血栓5が存在し、このうち第1の止血栓5は近位結合部分3の受入スリーブ3上に取り付けられ、第2の止血栓5は遠位結合部分2の差し込みシャフト21上に取り付けられる。止血栓は、好ましくは、これらの部分2,3に溶接、縫合又は接着接合される。しかしながら、止血栓はまた、何か別の方法で固定することもできる。好適な止血栓5としては、特に、スポンジ状材料又は織り材料であり、例えばGore-Tex(登録商標)である。好ましくは、初め血を透過させる材料が使用され、その際、血小板がこの材料中に捕らえられ、その結果閉鎖体が血を透過できなくなり、欠損内で大きくなり始める。
【0059】
図4に見られるように、止血栓5は固定ユニット4の拡張時自動的に広がり、欠損の形状に適合する。
【0060】
止血栓は、オクルーダーの片側にのみ配置することもできる。
【0061】
図7及び8には別の閉鎖体を示す。この場合はバルーン6であり、このバルーンが遠位末端部20と近位末端部30に固定され、固定ユニット4を取り囲む。バルーン6は、好ましくは、2つのチャンバと狭窄した連結領域を備えるダブルバルーンとして形成される。好ましくは、図8に見られるように、固定アーム40を起こすと広げられる。バルーンは好ましくは、PET、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、PP又はシリコーンからなる。バルーンシースを、固定アーム40の内側、従って固定ユニット4の内側に配置することもできる。
【0062】
図9及び10には、閉鎖体の別の変形を示す。この閉鎖体は、例えばPET又はダクロンからなる円形の膜7である。これは、遠位又は近位側の固定アーム40に連結される。この実施例では、遠位及び近位固定アーム40の両方が、それぞれ膜7を有する。しかしながら、膜7を片側だけに存在させることもできる。膜7は、好ましくは、それぞれ、固定アーム40の、対応する末端部20,30の方に向く側に配置される。膜7は固定アーム40に縫合、又は接着接合、あるいは何か別の方法で連結することができる。図10に見られるように、これらの膜7は、固定アーム40を用いて張設される(aufgespannen)。これらの膜を、固定ユニット4の内側、つまり固定アーム40のもう一方の側に配置することもできる。
【0063】
上記の各種閉鎖体を、同じオクルーダー内で互いに組み合わせることもできる。
【0064】
図11は、本発明のオクルーダーの別の例示の実施形態を示す。これは基本的には上述のオクルーダーと同じ構造を有し、特に上述の閉鎖体を有することができる。しかしながら、このオクルーダーは連結ワイヤ43を持たず、その代わりに、連結ひも44を有する。これらは、同じく、スリーブ42に固定する、特に結びつけることができる。しかしながら、好ましくは、スリーブ42がなく、糸又はひも44が、固定アーム40のブリッジに直接固定され、特にブリッジに結びつける又は接着接合されることが好ましい。この実施例では、確実に固定アーム40を拡張したポジションに置くために、結合部分2,3内に、上述のように、ある角度をなして固定アームを保持するのが好ましい。
【符号の説明】
【0065】
1 心臓
10 右心房
11 下大静脈
12 右心室
13 心室中隔欠損(VSD)
14 左心室
15 ガイドワイヤの経路
16 左心房
17 上大静脈
2 遠位結合部分
20 遠位末端部
21 差し込みシャフト
22 雌ねじ
23 止まり穴
24 受入開口部
3 近位結合部分
30 近位末端部
31 受入スリーブ
4 拡張可能な固定ユニット
40 固定アーム
401 くぎ状ヘッド
41 ブリッジ
42 スリーブ
43 連結ワイヤ
44 連結ひも
5 止血栓
6 バルーンシース
7 膜
9 カテーテルシステム
90 カテーテル本体
91 ヘッド
92 カテーテルチューブ
93 カテーテル先端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環系における通路を閉鎖するためのオクルーダーであって、
前記オクルーダーが、前記通路にオクルーダーを固定するための拡張可能な固定ユニットを有し、前記オクルーダーが、前記通路においてコンパクトな外観形状(Erscheinungsform)から拡張した外観形状へと変わることができ、及び、前記オクルーダーが、前記固定ユニットが旋回可能に保持される遠位軸部分及び近位軸部分を有するオクルーダーにおいて、
前記固定ユニットが、遠位固定アーム及び近位固定アームを有し、前記遠位固定アームは前記遠位軸部分に旋回可能に保持され、前記近位固定アームは前記近位軸部分に旋回可能に保持され、及び
前記遠位固定アーム及び前記近位固定アームが自由端を有し、この自由端が、前記固定アームに対し移動可能な連結部材を介して互いに連結され、いずれの場合にも、遠位固定アームが近位固定アームに連結されることを特徴するオクルーダー。
【請求項2】
前記連結部材が、前記個々の遠位固定アーム及び近位固定アームの間で、互いとは独立に延びることを特徴とする、請求項1に記載のオクルーダー。
【請求項3】
前記連結部材が1つの領域で交差し、この領域において、連結部材が、これらを一緒に取り囲むスリーブ内で、個々に移動可能に延びることを特徴とする、請求項1又は2に記載のオクルーダー。
【請求項4】
これらの固定アームのそれぞれがU字形に形成され、2つの腕木とこれら腕木をつなぐブリッジとを備えており、前記2つの腕木が自由端を有し、これら自由端が近位又は遠位軸部分で旋回可能に保持され、前記ブリッジが前記固定アームの自由端を形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項5】
前記ブリッジがほぼ直線的であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項6】
前記ブリッジがスリーブによって囲まれ、前記ブリッジが前記スリーブ内に旋回可能に保持されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項7】
前記固定アームがワイヤであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項8】
前記連結部材がワイヤ又はひもであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項9】
前記通路を閉鎖するための少なくとも1つの閉鎖体を有し、前記閉鎖体が好ましくは膜、止血栓又はバルーンであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項10】
閉鎖体として膜が存在し、この膜が前記固定アームを用いて前記拡張した外観形状になることができることを特徴とする、請求項9に記載のオクルーダー。
【請求項11】
閉鎖体として圧縮可能な弾力性のある止血栓が存在することを特徴とする、請求項9に記載のオクルーダー。
【請求項12】
閉鎖体としてバルーンが存在し、このバルーンが、前記近位軸部分から前記遠位軸部分へと延び、これら2つの部分に固定され、前記固定アーム及び連結部材を取り囲むことを特徴とする、請求項9に記載のオクルーダー。
【請求項13】
前記閉鎖体、好ましくは止血栓が、1つの側を前記遠位固定アームによって画定され、向かい側を前記近位固定アームによって画定される領域に配置されることを特徴とする、請求項9に記載のオクルーダー。
【請求項14】
循環系における通路を閉鎖するためのオクルーダーであって、
前記オクルーダーが、前記通路に前記オクルーダーを固定するための拡張可能な固定ユニットと前記通路を閉鎖するための少なくとも1つの閉鎖体とを有し、前記オクルーダーが、前記通路においてコンパクトな外観形状から拡張した外観形状へと変わることができ、及び
前記固定ユニットが、前記拡張した外観形状において、前記通路の第1の側に配置される遠位領域を有し、及び、前記固定ユニットが、前記拡張した外観形状において、前記通路の第2の、向かい合う側に配置される近位領域を有するオクルーダーにおいて、
前記閉鎖体が、前記近位領域と前記遠位領域との間に位置する領域に配置されることを特徴するオクルーダー。
【請求項15】
循環系における通路を閉鎖するためのオクルーダーであって、
前記オクルーダーが、前記通路に前記オクルーダーを固定するための拡張可能な固定ユニットを有し、前記オクルーダーが、前記通路においてコンパクトな外観形状から拡張した外観形状へと変わることができ、及び、前記オクルーダーが、前記固定ユニットが旋回可能に保持される遠位軸部分及び近位軸部分を有するオクルーダーにおいて、
前記固定ユニットが、遠位固定アーム及び近位固定アームを有し、前記遠位固定アームは前記遠位軸部分に旋回可能に保持され、前記近位固定アームは前記近位軸部分に旋回可能に保持され、及び
前記固定アームが、2つの腕木及びブリッジを備えたU字形に湾曲したワイヤからなり、これらが前記遠位又は近位軸部分に前記腕木の自由端を用いて保持され、前記ブリッジが前記固定アームの自由端を形成し、又は
前記固定アームが平らであることを特徴するオクルーダー。
【請求項1】
循環系における通路を閉鎖するためのオクルーダーであって、
前記オクルーダーが、前記通路にオクルーダーを固定するための拡張可能な固定ユニットを有し、前記オクルーダーが、前記通路においてコンパクトな外観形状(Erscheinungsform)から拡張した外観形状へと変わることができ、及び、前記オクルーダーが、前記固定ユニットが旋回可能に保持される遠位軸部分及び近位軸部分を有するオクルーダーにおいて、
前記固定ユニットが、遠位固定アーム及び近位固定アームを有し、前記遠位固定アームは前記遠位軸部分に旋回可能に保持され、前記近位固定アームは前記近位軸部分に旋回可能に保持され、及び
前記遠位固定アーム及び前記近位固定アームが自由端を有し、この自由端が、前記固定アームに対し移動可能な連結部材を介して互いに連結され、いずれの場合にも、遠位固定アームが近位固定アームに連結されることを特徴するオクルーダー。
【請求項2】
前記連結部材が、前記個々の遠位固定アーム及び近位固定アームの間で、互いとは独立に延びることを特徴とする、請求項1に記載のオクルーダー。
【請求項3】
前記連結部材が1つの領域で交差し、この領域において、連結部材が、これらを一緒に取り囲むスリーブ内で、個々に移動可能に延びることを特徴とする、請求項1又は2に記載のオクルーダー。
【請求項4】
これらの固定アームのそれぞれがU字形に形成され、2つの腕木とこれら腕木をつなぐブリッジとを備えており、前記2つの腕木が自由端を有し、これら自由端が近位又は遠位軸部分で旋回可能に保持され、前記ブリッジが前記固定アームの自由端を形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項5】
前記ブリッジがほぼ直線的であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項6】
前記ブリッジがスリーブによって囲まれ、前記ブリッジが前記スリーブ内に旋回可能に保持されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項7】
前記固定アームがワイヤであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項8】
前記連結部材がワイヤ又はひもであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項9】
前記通路を閉鎖するための少なくとも1つの閉鎖体を有し、前記閉鎖体が好ましくは膜、止血栓又はバルーンであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項10】
閉鎖体として膜が存在し、この膜が前記固定アームを用いて前記拡張した外観形状になることができることを特徴とする、請求項9に記載のオクルーダー。
【請求項11】
閉鎖体として圧縮可能な弾力性のある止血栓が存在することを特徴とする、請求項9に記載のオクルーダー。
【請求項12】
閉鎖体としてバルーンが存在し、このバルーンが、前記近位軸部分から前記遠位軸部分へと延び、これら2つの部分に固定され、前記固定アーム及び連結部材を取り囲むことを特徴とする、請求項9に記載のオクルーダー。
【請求項13】
前記閉鎖体、好ましくは止血栓が、1つの側を前記遠位固定アームによって画定され、向かい側を前記近位固定アームによって画定される領域に配置されることを特徴とする、請求項9に記載のオクルーダー。
【請求項14】
循環系における通路を閉鎖するためのオクルーダーであって、
前記オクルーダーが、前記通路に前記オクルーダーを固定するための拡張可能な固定ユニットと前記通路を閉鎖するための少なくとも1つの閉鎖体とを有し、前記オクルーダーが、前記通路においてコンパクトな外観形状から拡張した外観形状へと変わることができ、及び
前記固定ユニットが、前記拡張した外観形状において、前記通路の第1の側に配置される遠位領域を有し、及び、前記固定ユニットが、前記拡張した外観形状において、前記通路の第2の、向かい合う側に配置される近位領域を有するオクルーダーにおいて、
前記閉鎖体が、前記近位領域と前記遠位領域との間に位置する領域に配置されることを特徴するオクルーダー。
【請求項15】
循環系における通路を閉鎖するためのオクルーダーであって、
前記オクルーダーが、前記通路に前記オクルーダーを固定するための拡張可能な固定ユニットを有し、前記オクルーダーが、前記通路においてコンパクトな外観形状から拡張した外観形状へと変わることができ、及び、前記オクルーダーが、前記固定ユニットが旋回可能に保持される遠位軸部分及び近位軸部分を有するオクルーダーにおいて、
前記固定ユニットが、遠位固定アーム及び近位固定アームを有し、前記遠位固定アームは前記遠位軸部分に旋回可能に保持され、前記近位固定アームは前記近位軸部分に旋回可能に保持され、及び
前記固定アームが、2つの腕木及びブリッジを備えたU字形に湾曲したワイヤからなり、これらが前記遠位又は近位軸部分に前記腕木の自由端を用いて保持され、前記ブリッジが前記固定アームの自由端を形成し、又は
前記固定アームが平らであることを特徴するオクルーダー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−529310(P2012−529310A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514311(P2012−514311)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000147
【国際公開番号】WO2010/142051
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(504296275)カラク アーゲー (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000147
【国際公開番号】WO2010/142051
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(504296275)カラク アーゲー (9)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]