オクルーダー
循環系における開口部を閉鎖するためのオクルーダーであって、長手軸(7)に沿って延びるコンパクトな外形から、拡張された外形へと移ることができる。本オクルーダーは、第1の拡張ユニットと第2の拡張ユニットとを有し、これらは、拡張された外形において開口部の一方の側それぞれに載る。さらに、本オクルーダーは、第1の連結部分(1)と第2の連結部分(2)とを有し、これらは互いに係合可能であり、オクルーダーをその拡張された外形で固定することができる。第1の連結部分(1)は、拡張された外形において、第1の拡張ユニットと前記第2の拡張ユニットの間に延びる領域(12)を有する。本発明によると、この領域(12)は、長手軸(7)に沿って伸長可能に構成される。好ましくは、復元力に逆らって伸長可能に、つまり、弾性的又は弾力性があるように構成される。従って、本オクルーダーにより、閉鎖されるべき開口部の場所における構造条件により、2つの拡張及び/又は閉鎖ユニットの間の間隔を自動的に調整することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のオクルーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
オクルーダーは、血管又はシャント結合等の循環系の通路又は開口部の閉鎖のために使用され、通常、静脈に導入されるシースを介して配置され拡張されるインプラントである。オクルーダーは、特に、心臓、又は、人又は動物の体内の他の導管(Koerperkanal)の開口部を閉鎖するのに役立つ。オクルーダーは、例えば、動脈管開存症(PDA)、心房中隔欠損(ASD)又は心室中隔欠損(VSD)を閉鎖するために使用される。人及び動物の体内での他の使用も可能である。
【0003】
先行技術は、オクルーダーの非常に多様なタイプの実施形態を開示する。例えば、これらは、渦巻バネとして形成することもできるし、又は傘のように開くこともできる。さらに、通路を、片側からのみ閉じることもできるし、又は両側から閉じることもできる。これらのオクルーダーは、閉鎖すべき通路までカテーテルを用いて運ぶことができるように、通常、細長い形状にすることができる。オクルーダーは、そこで解き放たれ、自動的に又は誘導されるかして、拡張された使用形状となる。
【0004】
特許文献1は、通路の一方の側それぞれに載っている2つの拡張ユニットと2つの閉鎖体を備えたオクルーダーを開示する。このオクルーダーを図1及び2に示す。拡張ユニットはワイヤ3によって形成され、これらは、第1の連結部分1に第1の端部で保持され、第2の連結部分2に第2の端部で保持される。ワイヤ3は、2つの連結部分1,2が互いに接近することによってたわみ、2つのロゼット状の平坦な構造を形成する。閉鎖体は、円形の膜4,5であり、これらをワイヤ3が突き抜ける。これらの膜4,5は、連結部分1,2が引き合わされると、ワイヤ3によって開かれる。前記膜は、体路を両側から閉鎖する。図2の拡張された外形(Erscheinungsform)では、連結部分1,2を互いへと差し込むことができるため、オクルーダーはこの状態で固定される。
【0005】
特許文献2は、体内導管の両側に載っている拡張ユニットを有するオクルーダーを開示し、この場合、拡張ユニット同士の間の距離を通路の深さに適合させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2005/074813
【特許文献2】WO 2007/115117
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、閉鎖されるべき開口部の深さ、もしくは前記開口部を取り囲む体壁の幅に適応可能な、改良されたオクルーダーを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有するオクルーダーによって達成される。
【0009】
循環系における開口部を閉鎖するための、本発明によるオクルーダーは、長手軸に沿って延びるコンパクトな外形から、長手軸を横切って延びる拡張された外形へと変形させることができる。本オクルーダーは、第1の拡張ユニット及び第2の拡張ユニットを有し、これらは、拡張された外形において、開口部の一方の側それぞれに載る(anliegen)。本オクルーダーはさらに、第1の連結部分及び第2の連結部分を有し、これらは互いと係合することができ、オクルーダーを拡張された外形で固定する。第1の連結部分は、拡張された外形において、少なくとも部分的に、第1の拡張ユニットと第2の拡張ユニットの間で延びる領域を有する。本発明によると、この領域は、長手軸に沿って、つまり長手軸の方向に伸長可能に(dehnbar)形成される。好ましくは、これは、復元力に逆らって伸長可能な、すなわち、弾力的又は弾力性があるように形成される。
【0010】
オクルーダーのこの伸長可能な中央領域によって、2つの拡張ユニットの間の距離、及び、存在するのであれば、2つの閉鎖体の間の距離を、自動的に(selbsttaetig)調整できる。オクルーダーを閉鎖すべき体の開口部に設置して拡張された外形にする場合、及び、2つの連結部分を相互接続させる場合、開口部の深さ、又は開口部を取り囲む体壁の厚みが、2つの拡張ユニットの間の距離を決定する。それに応じてこの伸長可能な領域がのばされ、その結果、拡張ユニット、及び、存在するのであれば閉鎖体は壁に適合し、可能な限り平坦に壁に載ることができる。その結果、開口部は最適に閉鎖され、固定手段として働く拡張ユニットは最適に壁に載る。
【0011】
伸長可能な領域は、遠位及び/又は近位連結部分に設けられてよい。ここで、近位とは医師、故に体への侵入部位の方を向くことを意味し、遠位とは医師から離れる方向、つまり患者側を意味する。
【0012】
拡張ユニットは、開口部を閉じるための閉鎖ユニットそのものを形成してもよいし、又は、別個の閉鎖体を開けることもできる。
【0013】
好ましい例示の実施形態では、前記領域が円筒形である。これは、らせんバネであってもよいし、又は格子構造によって形成されてもよい。
【0014】
好ましくは、この領域を有する第1の連結部分は、円筒形の中空シャフトを有し、このシャフトは、第2の連結部分に、差し込み式に接続することができ、この場合、中空シャフトが伸長可能な領域を含む。しかしながら、第1及び第2の連結部分の間は、他の種類の接続も可能である。例えば、ねじ式接続であってもよい。
【0015】
好ましくは、連結部分は、金属、又はプラスチック、又はこれらを組み合わせて製造される。好ましくは、伸長可能な領域は、金属から製造される。
【0016】
好ましくは、本オクルーダーは、冒頭で述べた特許文献1に記載の構造を有し、1つの連結部分又は1つのホルダの中空シャフトが伸長可能な構造を有する。しかしながら、オクルーダーの他の実施形態に、本発明に従い、同様に、伸長可能な連結部分を設けてもよい。
【0017】
好ましい実施形態では、第1の拡張ユニットは第1の連結部分に取り付けられ、第2の拡張ユニットは第2の連結部分に取り付けられる。好ましくは、拡張ユニットはワイヤを有し、ワイヤの第1の端部は連結部分に保持され、その際、各拡張ユニットのワイヤは、拡張された外形において、実質的に平坦な構造を形成し、この平坦な構造が、開口部の一方の側それぞれに載る。
【0018】
好ましくは、2つの拡張ユニットのうち少なくとも1つは、閉鎖体を有するか、又は、それ自身が閉鎖体を形成する。好ましくは、閉鎖体は膜であり、この膜をワイヤが突き抜ける。膜は円形であってもよいし、又は別の形状を有してもよい。好ましくは、膜は、ワイヤを用いて、例えば、外力の作用によりワイヤが折り畳まれてロゼット状の拡張ユニットになることによって、拡張された外形に開くことができる。
【0019】
好ましくは、2つの拡張ユニット、及び、存在するのであれば膜同士は、互いに鏡面対称に形成される。
【0020】
1つの実施形態では、第2の連結部分は円筒形ポート(Stutz)を有し、このポートは、第1の連結部分の中空シャフトに差し込むことができ、ポートはその自由端に環状保持ビードを有し、第1の連結部分は、この保持ビードに接続するために、中空シャフトの内部に延びる切り込み溝を有する。特に、この実施形態は、冒頭に記載した特許文献1によるオクルーダー、又は他のオクルーダーで使用することができ、連結部分は必ずしも伸長可能な領域を有する必要はない。このことを、本明細書において独立した発明として主張する。
【0021】
さらなる例示の実施形態を、従属請求項に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、先行技術によるオクルーダーであり、コンパクトな外形と拡張された外形との間の移行時の外形である。
【図2】図2は、拡張された外形での、図1のオクルーダーである。
【図3】図3は、第1の実施形態での、遠位連結部分の長手方向の断面である。
【図4】図4は、図3の遠位連結部分の側面図である。
【図5】図5は、長手軸に沿って縮めた表示での、図3の遠位連結部分の側面図である。
【図6a】図6aは、長手軸に沿って縮めた表示での、第2の実施形態による遠位連結部分の側面図である。
【図6b】図6bは、図6aの遠位連結部分のさらなる側面図である。
【図7a】図7aは、長手軸に沿って縮めた表示での、第3の実施形態による遠位連結部分の側面図である。
【図7b】図7bは、図7aの遠位連結部分のさらなる側面図である。
【図8】図8は、第4の実施形態による近位連結部分の斜視図である。
【図9】図9は、図8の近位連結部分に関連する遠位連結部分の斜視図である。
【図10】図10は、互いと係合状態にある図8及び9の連結部分の長手方向の断面である。
【図11】図11は、第1の使用での、開口部内に配置したオクルーダーの概略図である。
【図12】図12は、第2の使用での、開口部内に配置したオクルーダーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい実施形態を、図に基づいて以下に説明するが、これらは、説明のためだけのものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0024】
図1及び2は、先行技術によるオクルーダーを表す。このオクルーダーには、以下のように、本発明による連結部分を設けることができる。このオクルーダーは、好ましい実施形態であるが、本発明による教示は、他のオクルーダーにも適用することができる。
【0025】
本オクルーダーは、遠位連結部分1及び近位連結部分2を有する。連結部分1,2は、好ましくは、プラスチック又は金属又はこれらの組み合わせから作られる。以下に述べる中央領域は、好ましくは金属製である。例えば、フィノックス(Phynox)又はニチノールから成る。
【0026】
これら2つの連結部分1,2の間には、ワイヤ3が延び、このワイヤは、ワイヤの第1の端部で遠位連結部分1に保持され、ワイヤの第2の端部で近位連結部分2に保持される。ワイヤ3と、以下に述べるスリーブ33は、好ましくは、プラチナ−イリジウム、又はニチノール、又は吸収性材料から成る。
【0027】
オクルーダーは、さらに、2つの膜4,5を有し、これらはそれぞれ、中央通路開口部41,51と、膜の周囲に渡って均等に分布した周囲通路開口部40,50とを有する。この膜4,5は、好ましくは、PET又はダクロンで作られる。
【0028】
この周囲通路開口部40,50を、ワイヤ3が突き抜ける。その結果、個々のワイヤ3は、遠位ワイヤ部分30と、2つの膜4,5の間に位置する中間ワイヤ部分31と、近位ワイヤ部分32とに細分される。ワイヤ3には、移動不可能な状態でワイヤ上に保持されるスリーブが設けられており、このスリーブが、これらの部分30,31,32に対する膜4,5の相対的な位置を決める。スリーブを省略することもできるし、又は、スリーブを同様の役割を果たす手段によって置き換えることもできる。
【0029】
中央通路開口部41,51は、遠位及び/又は近位連結部分1,2による突き抜けが可能なように十分な大きさの直径を有する。この場合、2つの連結部分1,2は、それぞれ、フランジ11,21を有し、このフランジの外径は、好ましくは、通路開口部41,51の直径より大きい。
【0030】
図1により、オクルーダーを体の開口部にどのように挿入できるのかがわかる。オクルーダーは圧縮された外形を有する。圧縮された外形は、図1には再現されていない。圧縮された外形では、オクルーダーは引き伸ばされており、ワイヤ3はほとんど完全に伸ばされている。その結果、膜4,5はつぶれてクシャクシャになっているか、又は共に折り畳まれている。
【0031】
閉鎖されるべき開口部の場所までオクルーダーを運ぶために、カテーテル6を使用することができる。図1では、このカテーテル6の遠位端だけが再現されている。カテーテルは、中空のカテーテル本体60を有し、このカテーテル本体は好ましくは可撓性チューブによって形成される。このカテーテル本体60の端部には、雌ネジを備えた堅いヘッドが配置されている。この雌ネジは、カテーテル6を、オクルーダーの近位連結部分2の雄ネジ20(図8参照)に接続するために使用される。
【0032】
近位連結部分2を通り抜けてカテーテル先端部に統合するカテーテルチューブ61は、カテーテル本体60内を延びる。カテーテルチューブは、好ましくは、可撓性の構造を有し、チューブの長さに渡り硬さの程度が異なっていてもよく、特に、堅い領域を有することもできる。このカテーテル先端部は、遠位連結部分1に接続される。カテーテルチューブ61を通り抜けるガイドワイヤ62により、圧縮されたオクルーダーの挿入が容易になる。
【0033】
オクルーダーは、圧縮されており、カテーテルシステムを介して伝達される軸方向の引張力をワイヤ3に加えることにより、拡張された外形となる。オクルーダーは、チューブ61の遠位端をカテーテル本体60の方へ引き戻すことによって、開かれ拡張される。その際、ワイヤ3は近位及び遠位拡張ユニットを形成し、膜4,5は遠位及び近位閉鎖体を形成する。代替的又は追加的に、オクルーダーを、カテーテル本体60を用いて近位連結部分2を遠位連結部分1の方へと押すことにより、拡張した外形にすることもでき、こうしてオクルーダーは圧縮される。これらのユニット及びこれらの閉鎖体は、それぞれ、閉鎖されるべき通路の一方の側それぞれに位置するようになる。この場合、ワイヤ3はほぼ平坦な構造を形成する。ワイヤは、まとまっている時には、折り畳まれて2つのロゼッタ状又は花状の形になる。従って、ワイヤはねじれてこれらの形になる。
【0034】
このような拡張状態を図2に示す。ワイヤ3の遠位ワイヤ部分31は第1の拡張ユニットを形成し、ワイヤ3の近位ワイヤ部分32は第2の拡張ユニットを形成する。これら2つの拡張ユニットは膜4,5を開け、体壁を通って、通路の両側にオクルーダーを固定する。
【0035】
オクルーダーが通路内に配置されると、チューブ61はさらに引き抜かれ、又はカテーテル本体60はさらに押しすすめられて、2つの連結部分1,2が互いに係合し、オクルーダーを開いた位置で固定する。カテーテルとオクルーダーとの間の接続は解除され、カテーテルは取り除かれる。
【0036】
本発明によると、2つの連結部分のうち少なくとも1つは、伸長可能な領域が備わっており、この領域の少なくとも一部が、オクルーダーの拡張された外形において、2つの拡張ユニット30,32の間に位置するようになる。この実施例では、遠位連結部分1にこのような領域12が設けられている。
【0037】
図3,4及び5は、このような遠位連結部分1の第1の例示の実施形態を示し、この遠位連結部分は中空シャフトを有する。連結部分1の基本形状は円筒形であり、入口開口部と出口開口部とを備える完全に(durchgehend)中空な構造を有する。好ましくは、近位の入口開口部の領域に、カテーテルチューブ61との接続のための雌ネジがある。
【0038】
連結部分1は、端部フランジ11を備える遠位末端10を有する。端部フランジ11は、遠位膜4の中央通路開口部41より大きな外径を有する。
【0039】
1つの実施形態では、末端10又は端部フランジ11に、受入開口部(ここでは図示せず)があり、これはワイヤ3の端部を保持し固定するためのものである。伸長可能な領域12は末端10に隣接する。前記伸長可能な領域は、好ましくは、変わらない外径を有する。この外径は、遠位膜4、好ましくは同じく近位膜5の中央通路開口部41の直径と同じか又は小さい。
【0040】
図5からわかるように、伸長可能な領域12には格子構造が設けられる。ウェブ121はスリット120によって分離される。この格子構造は、オクルーダーの長手軸に沿って、又は遠位連結部分1の長手軸に沿って伸びることができ、遠位連結部分1は外力の作用で、つまり閉鎖されるべき開口部の壁によって引き伸ばされる。オクルーダー及び遠位連結部分の長手軸は、互いに合同に(deckungsgleich)延び、図では参照記号7で示される。
【0041】
伸長可能な領域12には、挿入部分13が隣接しており、この挿入部分には環状の保持突起130が設けられる。この挿入部分13は、関連する近位連結部分2の対応する受入部分に挿入することができ、保持突起130を用いて近位連結部分2の対応する内側の溝に固定することができる。
【0042】
図6a及び6bは、第2の例示の実施形態を示す。遠位連結部分は、上述の実施例と実質的に同じ構造を有する。しかしながら、伸長可能な領域12の格子構造は異なる形状を有する。ウェブ及びスリットが、第1の実施例より狭い構造を有する。
【0043】
図7a及び7bによる第3の実施形態においては、伸長可能な領域12はらせんバネとして形成され、又は、伸長可能な領域12にらせん状の巻きスリットが設けられる。
【0044】
図8〜10による実施形態においては、近位連結部分2は、遠位連結部分1に差し込まれている。図8による近位連結部分2は、カテーテル本体60に接続するための雄ネジを備えたネジ付き部分20を有する。この部分20には、フランジ21が隣接しており、このフランジは、近位膜5の中央通路開口部51より大きな外径を有する。その後、受入開口部220を備えた受入本体22が続き、この開口部にワイヤ3の端部が保持される。環状保持ビード230を備える挿入部分23が、この連結部分2の遠位端を形成する。
【0045】
図9には、この相方を示す。ここでは、遠位連結部分1は遠位末端10’を有し、この遠位末端は、受入開口部100を有し、既にフランジとして形成されている。この連結部分1の近位端は、受入ポート13’によって形成され、このポートに、挿入ポート23を差し込むことができる。受入ポート13’には、保持ビード230が係合する切り込み溝130’があり、これは図10で確認することができる。あるいは、連結は、図3,4及び6bに示した実施形態での連結と同じようになされてもよい。
【0046】
図8〜10による実施形態も伸長可能な領域12を有し、これは上述の実施例と同じ構造を有することができる。
【0047】
さらに、図10からわかるように、遠位連結部分1は二部品から成る構造を有する。伸長可能な領域12を含むベース本体は、好ましくは、金属又はプラスチック製である。このベース本体の一端は、スリーブ10’で囲まれ、このスリーブは遠位連結部分1の末端を形成する。ワイヤ3を受け入れるための受入開口部100は、この末端10’にある。スリーブ10’は、好ましくは、伸長可能な領域12の遠位端に押しかぶされ、特に、インターロッキング様式でそこに保持される。この遠位端に、伸長可能な領域12は、半径方向外側に突出するフランジを有することができ、このフランジは、スリーブ10’の対応する内部環状切り込み溝又は出っ張りにパチッとはまる。これはここには示さない。好ましくは、遠位末端10’及び近位連結部分2は、好ましくは、プラスチック製である。この二部品から成る構造及び先に挙げた材料選択はまた、本明細書に記載の他の例示の実施形態にも適用することができる。
【0048】
図11及び12では、オクルーダーが、閉鎖されるべき体の開口部内に置かれている。ロゼッタ状の湾曲したワイヤ3及び膜4,5は、体壁Wの両側に載っている。連結部分1,2は互いと係合状態にあり、好ましくは、互いに差し込まれている。拡張ユニット3の間及び膜4,5の間に位置する伸長可能な領域12が、どのように外部状況に適合して伸び、拡張ユニット3と膜4,5が壁Wの両側に可能な限り平坦な状態で載ることができるのかがわかる。
【0049】
従って、本発明のオクルーダーにより、閉鎖されるべき開口部の場所で、構造条件の規定により、2つの拡張及び/又は閉鎖ユニットの間の距離の自動調整が可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 遠位連結部分
10 遠位末端
10’ 遠位末端
100 受入開口部
11 端部フランジ
12 伸長可能な領域
120 スリット
121 ウェブ
13 挿入ポート
13’ 受入ポート
130 保持突起
130’ 切り込み溝
2 近位連結部分
20 ネジ付きポート
21 フランジ
22 受入本体
220 受入開口部
23 挿入ポート
24 保持ビード
3 ワイヤ
30 遠位ワイヤ部分
31 中間ワイヤ部分
32 近位ワイヤ部分
33 スリーブ
4 遠位膜
40 周囲通路開口部
41 中央通路開口部
5 近位膜
50 周囲通路開口部
51 中央通路開口部
6 カテーテル
60 カテーテル本体
61 カテーテルチューブ
62 ガイドワイヤ
7 長手軸
W 壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のオクルーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
オクルーダーは、血管又はシャント結合等の循環系の通路又は開口部の閉鎖のために使用され、通常、静脈に導入されるシースを介して配置され拡張されるインプラントである。オクルーダーは、特に、心臓、又は、人又は動物の体内の他の導管(Koerperkanal)の開口部を閉鎖するのに役立つ。オクルーダーは、例えば、動脈管開存症(PDA)、心房中隔欠損(ASD)又は心室中隔欠損(VSD)を閉鎖するために使用される。人及び動物の体内での他の使用も可能である。
【0003】
先行技術は、オクルーダーの非常に多様なタイプの実施形態を開示する。例えば、これらは、渦巻バネとして形成することもできるし、又は傘のように開くこともできる。さらに、通路を、片側からのみ閉じることもできるし、又は両側から閉じることもできる。これらのオクルーダーは、閉鎖すべき通路までカテーテルを用いて運ぶことができるように、通常、細長い形状にすることができる。オクルーダーは、そこで解き放たれ、自動的に又は誘導されるかして、拡張された使用形状となる。
【0004】
特許文献1は、通路の一方の側それぞれに載っている2つの拡張ユニットと2つの閉鎖体を備えたオクルーダーを開示する。このオクルーダーを図1及び2に示す。拡張ユニットはワイヤ3によって形成され、これらは、第1の連結部分1に第1の端部で保持され、第2の連結部分2に第2の端部で保持される。ワイヤ3は、2つの連結部分1,2が互いに接近することによってたわみ、2つのロゼット状の平坦な構造を形成する。閉鎖体は、円形の膜4,5であり、これらをワイヤ3が突き抜ける。これらの膜4,5は、連結部分1,2が引き合わされると、ワイヤ3によって開かれる。前記膜は、体路を両側から閉鎖する。図2の拡張された外形(Erscheinungsform)では、連結部分1,2を互いへと差し込むことができるため、オクルーダーはこの状態で固定される。
【0005】
特許文献2は、体内導管の両側に載っている拡張ユニットを有するオクルーダーを開示し、この場合、拡張ユニット同士の間の距離を通路の深さに適合させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2005/074813
【特許文献2】WO 2007/115117
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、閉鎖されるべき開口部の深さ、もしくは前記開口部を取り囲む体壁の幅に適応可能な、改良されたオクルーダーを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有するオクルーダーによって達成される。
【0009】
循環系における開口部を閉鎖するための、本発明によるオクルーダーは、長手軸に沿って延びるコンパクトな外形から、長手軸を横切って延びる拡張された外形へと変形させることができる。本オクルーダーは、第1の拡張ユニット及び第2の拡張ユニットを有し、これらは、拡張された外形において、開口部の一方の側それぞれに載る(anliegen)。本オクルーダーはさらに、第1の連結部分及び第2の連結部分を有し、これらは互いと係合することができ、オクルーダーを拡張された外形で固定する。第1の連結部分は、拡張された外形において、少なくとも部分的に、第1の拡張ユニットと第2の拡張ユニットの間で延びる領域を有する。本発明によると、この領域は、長手軸に沿って、つまり長手軸の方向に伸長可能に(dehnbar)形成される。好ましくは、これは、復元力に逆らって伸長可能な、すなわち、弾力的又は弾力性があるように形成される。
【0010】
オクルーダーのこの伸長可能な中央領域によって、2つの拡張ユニットの間の距離、及び、存在するのであれば、2つの閉鎖体の間の距離を、自動的に(selbsttaetig)調整できる。オクルーダーを閉鎖すべき体の開口部に設置して拡張された外形にする場合、及び、2つの連結部分を相互接続させる場合、開口部の深さ、又は開口部を取り囲む体壁の厚みが、2つの拡張ユニットの間の距離を決定する。それに応じてこの伸長可能な領域がのばされ、その結果、拡張ユニット、及び、存在するのであれば閉鎖体は壁に適合し、可能な限り平坦に壁に載ることができる。その結果、開口部は最適に閉鎖され、固定手段として働く拡張ユニットは最適に壁に載る。
【0011】
伸長可能な領域は、遠位及び/又は近位連結部分に設けられてよい。ここで、近位とは医師、故に体への侵入部位の方を向くことを意味し、遠位とは医師から離れる方向、つまり患者側を意味する。
【0012】
拡張ユニットは、開口部を閉じるための閉鎖ユニットそのものを形成してもよいし、又は、別個の閉鎖体を開けることもできる。
【0013】
好ましい例示の実施形態では、前記領域が円筒形である。これは、らせんバネであってもよいし、又は格子構造によって形成されてもよい。
【0014】
好ましくは、この領域を有する第1の連結部分は、円筒形の中空シャフトを有し、このシャフトは、第2の連結部分に、差し込み式に接続することができ、この場合、中空シャフトが伸長可能な領域を含む。しかしながら、第1及び第2の連結部分の間は、他の種類の接続も可能である。例えば、ねじ式接続であってもよい。
【0015】
好ましくは、連結部分は、金属、又はプラスチック、又はこれらを組み合わせて製造される。好ましくは、伸長可能な領域は、金属から製造される。
【0016】
好ましくは、本オクルーダーは、冒頭で述べた特許文献1に記載の構造を有し、1つの連結部分又は1つのホルダの中空シャフトが伸長可能な構造を有する。しかしながら、オクルーダーの他の実施形態に、本発明に従い、同様に、伸長可能な連結部分を設けてもよい。
【0017】
好ましい実施形態では、第1の拡張ユニットは第1の連結部分に取り付けられ、第2の拡張ユニットは第2の連結部分に取り付けられる。好ましくは、拡張ユニットはワイヤを有し、ワイヤの第1の端部は連結部分に保持され、その際、各拡張ユニットのワイヤは、拡張された外形において、実質的に平坦な構造を形成し、この平坦な構造が、開口部の一方の側それぞれに載る。
【0018】
好ましくは、2つの拡張ユニットのうち少なくとも1つは、閉鎖体を有するか、又は、それ自身が閉鎖体を形成する。好ましくは、閉鎖体は膜であり、この膜をワイヤが突き抜ける。膜は円形であってもよいし、又は別の形状を有してもよい。好ましくは、膜は、ワイヤを用いて、例えば、外力の作用によりワイヤが折り畳まれてロゼット状の拡張ユニットになることによって、拡張された外形に開くことができる。
【0019】
好ましくは、2つの拡張ユニット、及び、存在するのであれば膜同士は、互いに鏡面対称に形成される。
【0020】
1つの実施形態では、第2の連結部分は円筒形ポート(Stutz)を有し、このポートは、第1の連結部分の中空シャフトに差し込むことができ、ポートはその自由端に環状保持ビードを有し、第1の連結部分は、この保持ビードに接続するために、中空シャフトの内部に延びる切り込み溝を有する。特に、この実施形態は、冒頭に記載した特許文献1によるオクルーダー、又は他のオクルーダーで使用することができ、連結部分は必ずしも伸長可能な領域を有する必要はない。このことを、本明細書において独立した発明として主張する。
【0021】
さらなる例示の実施形態を、従属請求項に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、先行技術によるオクルーダーであり、コンパクトな外形と拡張された外形との間の移行時の外形である。
【図2】図2は、拡張された外形での、図1のオクルーダーである。
【図3】図3は、第1の実施形態での、遠位連結部分の長手方向の断面である。
【図4】図4は、図3の遠位連結部分の側面図である。
【図5】図5は、長手軸に沿って縮めた表示での、図3の遠位連結部分の側面図である。
【図6a】図6aは、長手軸に沿って縮めた表示での、第2の実施形態による遠位連結部分の側面図である。
【図6b】図6bは、図6aの遠位連結部分のさらなる側面図である。
【図7a】図7aは、長手軸に沿って縮めた表示での、第3の実施形態による遠位連結部分の側面図である。
【図7b】図7bは、図7aの遠位連結部分のさらなる側面図である。
【図8】図8は、第4の実施形態による近位連結部分の斜視図である。
【図9】図9は、図8の近位連結部分に関連する遠位連結部分の斜視図である。
【図10】図10は、互いと係合状態にある図8及び9の連結部分の長手方向の断面である。
【図11】図11は、第1の使用での、開口部内に配置したオクルーダーの概略図である。
【図12】図12は、第2の使用での、開口部内に配置したオクルーダーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい実施形態を、図に基づいて以下に説明するが、これらは、説明のためだけのものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0024】
図1及び2は、先行技術によるオクルーダーを表す。このオクルーダーには、以下のように、本発明による連結部分を設けることができる。このオクルーダーは、好ましい実施形態であるが、本発明による教示は、他のオクルーダーにも適用することができる。
【0025】
本オクルーダーは、遠位連結部分1及び近位連結部分2を有する。連結部分1,2は、好ましくは、プラスチック又は金属又はこれらの組み合わせから作られる。以下に述べる中央領域は、好ましくは金属製である。例えば、フィノックス(Phynox)又はニチノールから成る。
【0026】
これら2つの連結部分1,2の間には、ワイヤ3が延び、このワイヤは、ワイヤの第1の端部で遠位連結部分1に保持され、ワイヤの第2の端部で近位連結部分2に保持される。ワイヤ3と、以下に述べるスリーブ33は、好ましくは、プラチナ−イリジウム、又はニチノール、又は吸収性材料から成る。
【0027】
オクルーダーは、さらに、2つの膜4,5を有し、これらはそれぞれ、中央通路開口部41,51と、膜の周囲に渡って均等に分布した周囲通路開口部40,50とを有する。この膜4,5は、好ましくは、PET又はダクロンで作られる。
【0028】
この周囲通路開口部40,50を、ワイヤ3が突き抜ける。その結果、個々のワイヤ3は、遠位ワイヤ部分30と、2つの膜4,5の間に位置する中間ワイヤ部分31と、近位ワイヤ部分32とに細分される。ワイヤ3には、移動不可能な状態でワイヤ上に保持されるスリーブが設けられており、このスリーブが、これらの部分30,31,32に対する膜4,5の相対的な位置を決める。スリーブを省略することもできるし、又は、スリーブを同様の役割を果たす手段によって置き換えることもできる。
【0029】
中央通路開口部41,51は、遠位及び/又は近位連結部分1,2による突き抜けが可能なように十分な大きさの直径を有する。この場合、2つの連結部分1,2は、それぞれ、フランジ11,21を有し、このフランジの外径は、好ましくは、通路開口部41,51の直径より大きい。
【0030】
図1により、オクルーダーを体の開口部にどのように挿入できるのかがわかる。オクルーダーは圧縮された外形を有する。圧縮された外形は、図1には再現されていない。圧縮された外形では、オクルーダーは引き伸ばされており、ワイヤ3はほとんど完全に伸ばされている。その結果、膜4,5はつぶれてクシャクシャになっているか、又は共に折り畳まれている。
【0031】
閉鎖されるべき開口部の場所までオクルーダーを運ぶために、カテーテル6を使用することができる。図1では、このカテーテル6の遠位端だけが再現されている。カテーテルは、中空のカテーテル本体60を有し、このカテーテル本体は好ましくは可撓性チューブによって形成される。このカテーテル本体60の端部には、雌ネジを備えた堅いヘッドが配置されている。この雌ネジは、カテーテル6を、オクルーダーの近位連結部分2の雄ネジ20(図8参照)に接続するために使用される。
【0032】
近位連結部分2を通り抜けてカテーテル先端部に統合するカテーテルチューブ61は、カテーテル本体60内を延びる。カテーテルチューブは、好ましくは、可撓性の構造を有し、チューブの長さに渡り硬さの程度が異なっていてもよく、特に、堅い領域を有することもできる。このカテーテル先端部は、遠位連結部分1に接続される。カテーテルチューブ61を通り抜けるガイドワイヤ62により、圧縮されたオクルーダーの挿入が容易になる。
【0033】
オクルーダーは、圧縮されており、カテーテルシステムを介して伝達される軸方向の引張力をワイヤ3に加えることにより、拡張された外形となる。オクルーダーは、チューブ61の遠位端をカテーテル本体60の方へ引き戻すことによって、開かれ拡張される。その際、ワイヤ3は近位及び遠位拡張ユニットを形成し、膜4,5は遠位及び近位閉鎖体を形成する。代替的又は追加的に、オクルーダーを、カテーテル本体60を用いて近位連結部分2を遠位連結部分1の方へと押すことにより、拡張した外形にすることもでき、こうしてオクルーダーは圧縮される。これらのユニット及びこれらの閉鎖体は、それぞれ、閉鎖されるべき通路の一方の側それぞれに位置するようになる。この場合、ワイヤ3はほぼ平坦な構造を形成する。ワイヤは、まとまっている時には、折り畳まれて2つのロゼッタ状又は花状の形になる。従って、ワイヤはねじれてこれらの形になる。
【0034】
このような拡張状態を図2に示す。ワイヤ3の遠位ワイヤ部分31は第1の拡張ユニットを形成し、ワイヤ3の近位ワイヤ部分32は第2の拡張ユニットを形成する。これら2つの拡張ユニットは膜4,5を開け、体壁を通って、通路の両側にオクルーダーを固定する。
【0035】
オクルーダーが通路内に配置されると、チューブ61はさらに引き抜かれ、又はカテーテル本体60はさらに押しすすめられて、2つの連結部分1,2が互いに係合し、オクルーダーを開いた位置で固定する。カテーテルとオクルーダーとの間の接続は解除され、カテーテルは取り除かれる。
【0036】
本発明によると、2つの連結部分のうち少なくとも1つは、伸長可能な領域が備わっており、この領域の少なくとも一部が、オクルーダーの拡張された外形において、2つの拡張ユニット30,32の間に位置するようになる。この実施例では、遠位連結部分1にこのような領域12が設けられている。
【0037】
図3,4及び5は、このような遠位連結部分1の第1の例示の実施形態を示し、この遠位連結部分は中空シャフトを有する。連結部分1の基本形状は円筒形であり、入口開口部と出口開口部とを備える完全に(durchgehend)中空な構造を有する。好ましくは、近位の入口開口部の領域に、カテーテルチューブ61との接続のための雌ネジがある。
【0038】
連結部分1は、端部フランジ11を備える遠位末端10を有する。端部フランジ11は、遠位膜4の中央通路開口部41より大きな外径を有する。
【0039】
1つの実施形態では、末端10又は端部フランジ11に、受入開口部(ここでは図示せず)があり、これはワイヤ3の端部を保持し固定するためのものである。伸長可能な領域12は末端10に隣接する。前記伸長可能な領域は、好ましくは、変わらない外径を有する。この外径は、遠位膜4、好ましくは同じく近位膜5の中央通路開口部41の直径と同じか又は小さい。
【0040】
図5からわかるように、伸長可能な領域12には格子構造が設けられる。ウェブ121はスリット120によって分離される。この格子構造は、オクルーダーの長手軸に沿って、又は遠位連結部分1の長手軸に沿って伸びることができ、遠位連結部分1は外力の作用で、つまり閉鎖されるべき開口部の壁によって引き伸ばされる。オクルーダー及び遠位連結部分の長手軸は、互いに合同に(deckungsgleich)延び、図では参照記号7で示される。
【0041】
伸長可能な領域12には、挿入部分13が隣接しており、この挿入部分には環状の保持突起130が設けられる。この挿入部分13は、関連する近位連結部分2の対応する受入部分に挿入することができ、保持突起130を用いて近位連結部分2の対応する内側の溝に固定することができる。
【0042】
図6a及び6bは、第2の例示の実施形態を示す。遠位連結部分は、上述の実施例と実質的に同じ構造を有する。しかしながら、伸長可能な領域12の格子構造は異なる形状を有する。ウェブ及びスリットが、第1の実施例より狭い構造を有する。
【0043】
図7a及び7bによる第3の実施形態においては、伸長可能な領域12はらせんバネとして形成され、又は、伸長可能な領域12にらせん状の巻きスリットが設けられる。
【0044】
図8〜10による実施形態においては、近位連結部分2は、遠位連結部分1に差し込まれている。図8による近位連結部分2は、カテーテル本体60に接続するための雄ネジを備えたネジ付き部分20を有する。この部分20には、フランジ21が隣接しており、このフランジは、近位膜5の中央通路開口部51より大きな外径を有する。その後、受入開口部220を備えた受入本体22が続き、この開口部にワイヤ3の端部が保持される。環状保持ビード230を備える挿入部分23が、この連結部分2の遠位端を形成する。
【0045】
図9には、この相方を示す。ここでは、遠位連結部分1は遠位末端10’を有し、この遠位末端は、受入開口部100を有し、既にフランジとして形成されている。この連結部分1の近位端は、受入ポート13’によって形成され、このポートに、挿入ポート23を差し込むことができる。受入ポート13’には、保持ビード230が係合する切り込み溝130’があり、これは図10で確認することができる。あるいは、連結は、図3,4及び6bに示した実施形態での連結と同じようになされてもよい。
【0046】
図8〜10による実施形態も伸長可能な領域12を有し、これは上述の実施例と同じ構造を有することができる。
【0047】
さらに、図10からわかるように、遠位連結部分1は二部品から成る構造を有する。伸長可能な領域12を含むベース本体は、好ましくは、金属又はプラスチック製である。このベース本体の一端は、スリーブ10’で囲まれ、このスリーブは遠位連結部分1の末端を形成する。ワイヤ3を受け入れるための受入開口部100は、この末端10’にある。スリーブ10’は、好ましくは、伸長可能な領域12の遠位端に押しかぶされ、特に、インターロッキング様式でそこに保持される。この遠位端に、伸長可能な領域12は、半径方向外側に突出するフランジを有することができ、このフランジは、スリーブ10’の対応する内部環状切り込み溝又は出っ張りにパチッとはまる。これはここには示さない。好ましくは、遠位末端10’及び近位連結部分2は、好ましくは、プラスチック製である。この二部品から成る構造及び先に挙げた材料選択はまた、本明細書に記載の他の例示の実施形態にも適用することができる。
【0048】
図11及び12では、オクルーダーが、閉鎖されるべき体の開口部内に置かれている。ロゼッタ状の湾曲したワイヤ3及び膜4,5は、体壁Wの両側に載っている。連結部分1,2は互いと係合状態にあり、好ましくは、互いに差し込まれている。拡張ユニット3の間及び膜4,5の間に位置する伸長可能な領域12が、どのように外部状況に適合して伸び、拡張ユニット3と膜4,5が壁Wの両側に可能な限り平坦な状態で載ることができるのかがわかる。
【0049】
従って、本発明のオクルーダーにより、閉鎖されるべき開口部の場所で、構造条件の規定により、2つの拡張及び/又は閉鎖ユニットの間の距離の自動調整が可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 遠位連結部分
10 遠位末端
10’ 遠位末端
100 受入開口部
11 端部フランジ
12 伸長可能な領域
120 スリット
121 ウェブ
13 挿入ポート
13’ 受入ポート
130 保持突起
130’ 切り込み溝
2 近位連結部分
20 ネジ付きポート
21 フランジ
22 受入本体
220 受入開口部
23 挿入ポート
24 保持ビード
3 ワイヤ
30 遠位ワイヤ部分
31 中間ワイヤ部分
32 近位ワイヤ部分
33 スリーブ
4 遠位膜
40 周囲通路開口部
41 中央通路開口部
5 近位膜
50 周囲通路開口部
51 中央通路開口部
6 カテーテル
60 カテーテル本体
61 カテーテルチューブ
62 ガイドワイヤ
7 長手軸
W 壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環系における開口部を閉鎖するためのオクルーダーであって、
前記オクルーダーは、長手軸(7)に沿って延びるコンパクトな外形(Ersheinungsform)から、拡張された外形へと変形させることができ、前記オクルーダーは、第1の拡張ユニット及び第2の拡張ユニットを有し、これらは、前記拡張された外形状態において、前記開口部の一方の側それぞれに載り(anliegen)、前記オクルーダーはさらに、第1の連結部分(1)及び第2の連結部分(2)を有し、これらは互いに係合可能であり、その結果、前記オクルーダーを前記拡張された外形で固定し、前記第1の連結部分(1)が、前記拡張された外形において、少なくとも部分的に、前記第1の拡張ユニットと前記第2の拡張ユニットの間で延びる領域(12)を有するオクルーダーにおいて、
この領域(12)が、前記長手軸(7)に沿って伸長可能に(dehnbar)形成されることを特徴とするオクルーダー。
【請求項2】
この領域(12)が弾力性のある構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のオクルーダー。
【請求項3】
この領域(12)が円筒形の構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のオクルーダー。
【請求項4】
この領域(12)が、らせんバネによって形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項5】
この領域(12)が、格子構造によって形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項6】
この領域(12)を有する前記第1の連結部分(1)が、円筒形の中空シャフトを有し、このシャフトが、前記第2の連結部分(2)に差し込み式に接続でき、前記中空シャフトが前記伸長可能な領域(12)を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項7】
前記伸長可能な領域(12)が金属製であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項8】
前記第1の拡張ユニットが、前記第1の連結部分(1)に取り付けられ、前記第2の拡張ユニットが、前記第2の連結部分(2)に取り付けられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項9】
前記拡張ユニットがワイヤ(3)を有し、このワイヤの第1の端部が前記連結部分(1,2)に保持され、各拡張ユニットの前記ワイヤ(3)は、前記拡張された外形において実質的に平坦な構造を形成し、この平坦な構造は、前記開口部の一方の側それぞれに載ることを特徴とする、請求項8に記載のオクルーダー。
【請求項10】
前記2つの拡張ユニットのうち少なくとも1つが、閉鎖体(4,5)を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項11】
前記閉鎖体は、前記ワイヤ(3)によって突き抜かれる膜(4,5)であることを特徴とする、請求項10に記載のオクルーダー。
【請求項12】
前記2つの拡張ユニットが、互いに鏡面対称な構造を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項13】
前記閉鎖体(4,5)は、前記付属の拡張ユニットのワイヤ(3)を用いて、前記拡張された外形へと開けることができることを特徴とする、請求項9及び10に記載のオクルーダー。
【請求項14】
前記ワイヤ(3)は、その第1の端部で前記第1の連結部分(1)に保持され、その第2の端部で前記第2の連結部分(2)に保持されることを特徴する、請求項9又は13に記載のオクルーダー。
【請求項15】
前記第2の連結部分(2)が、前記第1の連結部分(1)の中空シャフト(13’)に差し込み可能な円筒形ポート(23)を有し、前記ポート(23)が、その自由端に環状の保持ビード(230)を有し、及び、前記第1の連結部分(1)が前記保持ビード(230)に接続するために、前記中空シャフト(13’)の内部に延びる切り込み溝(130’)を有することを特徴する、請求項6に記載のオクルーダー。
【請求項1】
循環系における開口部を閉鎖するためのオクルーダーであって、
前記オクルーダーは、長手軸(7)に沿って延びるコンパクトな外形(Ersheinungsform)から、拡張された外形へと変形させることができ、前記オクルーダーは、第1の拡張ユニット及び第2の拡張ユニットを有し、これらは、前記拡張された外形状態において、前記開口部の一方の側それぞれに載り(anliegen)、前記オクルーダーはさらに、第1の連結部分(1)及び第2の連結部分(2)を有し、これらは互いに係合可能であり、その結果、前記オクルーダーを前記拡張された外形で固定し、前記第1の連結部分(1)が、前記拡張された外形において、少なくとも部分的に、前記第1の拡張ユニットと前記第2の拡張ユニットの間で延びる領域(12)を有するオクルーダーにおいて、
この領域(12)が、前記長手軸(7)に沿って伸長可能に(dehnbar)形成されることを特徴とするオクルーダー。
【請求項2】
この領域(12)が弾力性のある構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のオクルーダー。
【請求項3】
この領域(12)が円筒形の構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のオクルーダー。
【請求項4】
この領域(12)が、らせんバネによって形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項5】
この領域(12)が、格子構造によって形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項6】
この領域(12)を有する前記第1の連結部分(1)が、円筒形の中空シャフトを有し、このシャフトが、前記第2の連結部分(2)に差し込み式に接続でき、前記中空シャフトが前記伸長可能な領域(12)を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項7】
前記伸長可能な領域(12)が金属製であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項8】
前記第1の拡張ユニットが、前記第1の連結部分(1)に取り付けられ、前記第2の拡張ユニットが、前記第2の連結部分(2)に取り付けられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項9】
前記拡張ユニットがワイヤ(3)を有し、このワイヤの第1の端部が前記連結部分(1,2)に保持され、各拡張ユニットの前記ワイヤ(3)は、前記拡張された外形において実質的に平坦な構造を形成し、この平坦な構造は、前記開口部の一方の側それぞれに載ることを特徴とする、請求項8に記載のオクルーダー。
【請求項10】
前記2つの拡張ユニットのうち少なくとも1つが、閉鎖体(4,5)を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項11】
前記閉鎖体は、前記ワイヤ(3)によって突き抜かれる膜(4,5)であることを特徴とする、請求項10に記載のオクルーダー。
【請求項12】
前記2つの拡張ユニットが、互いに鏡面対称な構造を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のオクルーダー。
【請求項13】
前記閉鎖体(4,5)は、前記付属の拡張ユニットのワイヤ(3)を用いて、前記拡張された外形へと開けることができることを特徴とする、請求項9及び10に記載のオクルーダー。
【請求項14】
前記ワイヤ(3)は、その第1の端部で前記第1の連結部分(1)に保持され、その第2の端部で前記第2の連結部分(2)に保持されることを特徴する、請求項9又は13に記載のオクルーダー。
【請求項15】
前記第2の連結部分(2)が、前記第1の連結部分(1)の中空シャフト(13’)に差し込み可能な円筒形ポート(23)を有し、前記ポート(23)が、その自由端に環状の保持ビード(230)を有し、及び、前記第1の連結部分(1)が前記保持ビード(230)に接続するために、前記中空シャフト(13’)の内部に延びる切り込み溝(130’)を有することを特徴する、請求項6に記載のオクルーダー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−531980(P2012−531980A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518717(P2012−518717)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000155
【国際公開番号】WO2011/003213
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(504296275)カラク アーゲー (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000155
【国際公開番号】WO2011/003213
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(504296275)カラク アーゲー (9)
【Fターム(参考)】
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