説明

オシロスコープの水平軸電子目盛りを校正する方法及び装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オシロスコープの水平軸校正、特に水平軸用の電子目盛りを校正する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、オシロスコープでは、水平軸偏向回路を校正することにより、選択する任意のある時間軸レンジ(又は掃引時間)において、CRTの管面目盛りの水平軸目盛り(位置div0〜10(図4を参照))上の各位置が、その選択した時間軸レンジでの対応する時間を表すようにする必要がある。
【0003】従来、このような水平軸校正を行う方法として、特開昭59−148877号公報(掃引波形発生器用自動校正装置)に示されたものがある。この方法では、水平軸の校正を、掃引波形の傾きを調節することにより行っている。詳しくは、掃引波形発生器の出力に生ずる掃引電圧波形(鋸歯状波)の正傾斜部分が、その波形電圧範囲内のある選択した2点の電圧(管面水平軸目盛り上の対応する2点)を経過する時間を測定する。そして次に、この経過時間が、選択した時間軸レンジでの目標の時間差に一致するよう、掃引波形の正傾斜部分の傾きを調節している。また、上記の方法と類似の校正方法として、特開昭63−106568号公報(掃引波形発生器用自動校正装置)、特開昭63−286775号公報(傾斜波形発生器用自動校正装置)に開示されたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術は、いずれも、管面目盛り(カーソルのような電子目盛りと区別するため、“物理目盛り”と呼ぶ)に対する掃引波形の校正に関するものである。物理目盛りは、精度の高い測定をするのには、不便である。また、特開昭59−148876号公報(オシロスコープの垂直校正方法及び装置)には、垂直軸用の電子目盛り即ちカーソル(基準カーソルとデルタ(Δ)カーソルとから成る1対のカーソル)を校正する技術が開示されているが、これは、オシロスコープの水平軸用の電子目盛りの校正に関するものではない。
【0005】また、上述の掃引波形校正では、掃引波形発生器の出力に生ずる掃引波形に基づいて、その傾きの調節を行っている。言い換えれば、その掃引波形を入力として受ける水平偏向回路の出力を、校正に使用してはいない。従って、その従来技術により校正した掃引波形の掃引速度が、水平掃引回路の特性の変動(例えば、温度変動、電源電圧変動、電子部品の経年変化等に起因する特性変動)により、使用時間軸レンジでの物理目盛りと一致しなくなる可能性がある。
【0006】従って、本発明の目的は、物理目盛りよりも精度の高い測定が可能なオシロスコープの水平軸用の電子目盛りを直接校正する方法及び装置を提供することである。また、本発明の別の目的は、水平軸電子目盛りを簡単にしかも精度良く校正することである。更に、本発明の別の目的は、物理目盛りと被測定信号の表示波形とに基づく測定精度よりも高い精度の測定を可能にすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を実現するため、本発明では、CRTの水平軸電子目盛りを直接校正するようにする。
【0008】詳しくは、オシロスコープの水平軸用の電子目盛りを校正する本発明の校正方法は、イ)水平軸用の少なくとも2つの第1及び第2の電子目盛りについて、該電子目盛りの前記オシロスコープの管面上の表示位置に相当する値の第1及び第2の電子目盛り信号を定める段階と、ロ)前記第1及び第2の電子目盛り信号を順次、水平偏向回路に印加して、該回路の出力から第1偏向出力と第2偏向出力とをそれぞれ得る段階と、ハ)調節可能な傾きの掃引用波形部分を有する掃引波形を発生する段階と、ニ)該掃引波形を前記水平偏向回路に印加して、該水平偏向回路からの前記掃引波形に応答した第3偏向回路出力を得る段階と、ホ)前記第3偏向回路出力の前記掃引用波形部分に対応する部分が、前記第1偏向出力の値を取る時点と前記第2偏向出力の値を取る時点との間の時間間隔値を得る段階と、ヘ)該測定時間間隔と、前記第1及び第2の電子目盛りの前記表示位置間の目標の時間間隔とに応答して、前記掃引波形の前記傾きを調節する段階と、で構成する。
【0009】また、本発明の校正装置は、A)水平偏向回路と、B)前記表示管面に表示する水平軸用の少なくとも2つの第1及び第2の電子目盛りについて、該第1及び第2の電子目盛りの前記オシロスコープの管面上の表示位置に相当する値の第1及び第2の電子目盛り信号を発生する電子目盛り信号発生手段と、及びC)調節可能な傾きの掃引用波形部分を有する掃引波形を発生する掃引波形発生手段と、を備えたオシロスコープにおいて、イ)前記水平偏向回路の出力を検出する検出手段と、ロ)該検出手段からの出力を受けるように接続した時間間隔測定手段であって、前記第1及び第2の電子目盛り信号を順次、前記水平偏向回路に印加した時に得られる前記検出手段の出力からの第1検出出力と第2検出出力とをそれぞれ受け、そして前記掃引波形を前記水平偏向回路に印加した時に得られる前記検出手段からの前記掃引波形に応答した第3検出出力を受け、前記第3検出出力の前記掃引用波形部分に対応する部分が、前記第1検出出力の値を取る時点と前記第2検出出力の値を取る時点との間の時間間隔を表す測定時間間隔信号を発生する時間間隔測定手段と、及びハ)制御手段であって、前記測定時間間隔の値と、前記第1及び第2の電子目盛りの前記表示位置間の目標時間間隔値とに応答して、前記掃引波形の前記傾きを調節するため前記掃引波形発生手段に印加すべき制御信号を発生する制御手段と、で構成する。
【0010】本発明では、前記オシロスコープの1つまたはそれ以上の時間軸レンジにおいて、前記第1及び第2の電子目盛りの校正を行うようにすることができる。また、1つあるいはそれ以上の掃引波形発生器の掃引波形の各々に関して、前記第1及び第2の電子目盛りの校正を行うようにすることもできる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0012】図1は、本発明の校正回路を組み込んだオシロスコープの水平軸回路を示したものである。この水平軸回路には、掃引波形(通常は、鋸歯状波)発生器10と、水平偏向回路11と、CRTの1対の水平偏向板12と、がある。また、1対の電子目盛り、即ち基準カーソルCRとデルタカーソルCDのためのカーソル増幅器13がある。カーソルを校正するため、システム制御器14と、D/A変換器15と、検出器16と、時間間隔測定器17(詳細は図2に示す)とを設けている。
【0013】詳細には、掃引波形発生器10は、掃引を開始するためのトリガ入力と、生成した掃引波形VSWをスイッチSW1の端子aに送る出力と、掃引波形の傾きを指定するスイッチSW2の端子aからの信号GVを受ける入力と、を有している。この発生器10は、周知の構成のものであり、種々の掃引速度(例:10ns/div〜0.5s/divまでの24の異なった掃引時間)の掃引波形を生成するため、図示しないが、1例として、3個のコンデンサ(即ち、100pF,1000pF,1μF)と、12個の抵抗器(即ち、500Ω,1KΩ,2.5KΩ,5KΩ,10KΩ,25KΩ,5KΩ,100KΩ,250KΩ,500KΩ,1MΩ,2.5MΩ)を備えている。本実施例では、上記の24の時間軸レンジを3つのグループに分け、そして各グループを1つの時間軸レンジを選んで校正を行う。即ち、3つの掃引時間レンジ(本例では、後述のように2MHzのクロックを時間間隔測定に使用するため、10ns/div〜0.5μs/divに対しては50μs/div;1μs/div〜0.5ms/divに対しては0.5ms/div;1ms/div〜0.5s/divに対しては1ms/div)で校正を行う。また、掃引波形発生器10は、傾き指定入力GVの大きさに比例した大きさの充電電流を上記のコンデンサに供給する電流源(図示せず)も備えている。
【0014】カーソル増幅器13は、スイッチSW2の端子bからのカーソル設定電圧VC(基準カーソルにはVCR、デルタカーソルにはVCD)を受ける入力と、受けた入力電圧をゲインGCで増幅したものをスイッチSW1の端子bに印加する出力とを備えている。水平偏向回路11は、スイッチSW1の出力に接続した入力と、この入力をゲインGHで増幅した平衡形の1対の偏向電圧を発生する出力を有している。この出力は、CRTの1対の水平偏向板12にそれぞれ接続している。次に、検出器16は、差動増幅器で構成し、これは、それら平衡形の偏向電圧出力を受ける1対の入力を備え、またその1対の偏向電圧間の差電圧(例:−50〜+50ボルト)に比例した電圧を不平衡形式で発生する出力とを有している。この検出器16の出力に接続した入力を有する時間間隔測定器17は、システム制御器14からの制御信号を受ける入力を有し、そして、測定した時間間隔を表す信号をラインL1に送る出力をもっている。
【0015】図2には、上記の測定器17の詳細な回路を示している。図から分かるように、スイッチSW3と、2つのコンデンサC1,C2と、2つのコンパレータ170,172と、フリップフロップ174とから成る構成である。SW3は、検出器16からの出力を受ける入力端子と、3つの出力端子a,b,cと、そして制御器14にラインL2を介して接続した切換制御入力と、を有している。端子aと接地との間には、基準カーソルCRに関する電圧を蓄積するためのコンデンサC1が接続し、そして端子cと接地との間には、デルタカーソルCDに関する電圧を蓄積するためのコンデンサC2がある。コンパレータ170は、コンデンサC1の上側の端子に接続した反転入力端子と、検出器16の出力に接続した非反転入力端子とを有し、そして出力には、非反転入力端子の入力の方が反転入力端子の入力よりも大きいとき、正の電圧を発生する。一方、コンパレータ172は、コンデンサC2の上側の端子に接続した反転入力端子と検出器16出力に接続した反転入力端子とを有し、そして出力には、非反転入力端子の入力の方が反転入力端子の入力よりも大きいときに正の電圧を発生する。次のフリップフロップ174は、コンパレータ170の出力に接続したセット端子Sと、コンパレータ172の出力に接続したリセット端子Rと、そしてセットされてからリセットされるまでの間正の電圧(これは測定時間間隔を表すゲート信号SGを構成)を発生する出力とを有している。この出力は、制御器14に接続したラインL1に接続している。
【0016】図1に戻って、システム制御器14について説明すると、これは、マイクロコンピュータ(CPU)と、これに接続したプログラマブル・インターバル・タイマTM(例:東芝82C54)とで構成したものであり、この制御器は、以下に説明する校正フローを実行するプログラムを内蔵しており、そしてデータ及び制御信号の入出力のための端子を備えている。詳しくは、上記の測定器17の出力にラインL1を介して接続した入力端子と、その測定器のSW3の制御入力端子にラインL2を介して接続した出力端子と、D/A変換器15の入力にラインL3を介して接続した出力端子と、SW1の切換制御入力にラインL4を介して接続した出力端子と、SW2の切換制御入力にラインL5を介して接続した出力端子とである。上記のインターバル・タイマTMは、マイクロコンピュータに内蔵のクロック(図示せず)からのクロック信号CKを受ける入力と、そしてラインL1の信号をゲート信号として受ける入力とを有している。
【0017】次に、本発明によるカーソル校正の動作について説明する。尚、以下の説明では、1つの時間軸レンジでの校正について説明する。本発明による校正動作は、大きく分けて、3つの期間に分かれている。第1の期間は、カーソル生成期間であり、この期間中、2つのカーソル電圧の各々を生成しそして検出器16の出力に現れるその対応の出力電圧を記憶する。第2の期間は、掃引波形生成期間である。第3の期間は、測定/計算期間であり、2つのカーソル間におけるその生成掃引波形での経過時間の測定、並びにその測定結果に応じて掃引波形の傾きについて再計算する期間である。
【0018】図3の校正フローを示すフローチャートと図4を参照して詳しく説明すると、校正フローは、ステップ140で始まる。このステップでは、カーソル校正を行う際の時間軸レンジと、基準カーソルCR及びデルタカーソルCD(図4に示す)の各々の表示位置と、その際のタイマがカウントすべき予定(目標)のカウント数(後のステップ147で使用)と、を定める。説明の都合上、1例として、校正時の時間軸レンジは、1ms/div、カーソルCRとCDとの表示位置(水平偏向入力電圧座標上の位置)は、図4に示してあるように、水平軸目盛り上のdiv(目盛り)1とdiv9の位置とする。カウントするクロック(2MHz)の周期は0.5μsであり、またタイマTMの目標ゲート時間幅が8msになるため、目標カウント数CTTは、10進の16000である。尚、図4では、カーソルCRとCDとは、理解し易くするため管面目盛りのdiv1とdiv9の位置に一致させて示してあるが、これら管面表示位置からずれて表示されていても良い。そのようなずれ(水平偏向入力電圧座標上の位置と管面表示座標上の位置とのずれ)には、カーソル増幅器13のゲインGCを調節することにより対処できる。必要なことは、それらカーソルが、水平偏向回路11に対する入力電圧の座標におけるdiv1とdiv9の位置に生じることである。
【0019】次に、ステップ141で、オシロスコープをX−Y表示モードにセットする。このモードにセットされると、CPUは、図示しない制御信号により、掃引を停止させる。次に、ステップ142で、基準カーソルCRの生成/印加/充電のため、ラインL4に2進“1”、ラインL5に2進“1”、ラインL2に2進“00”出力することにより、SW1をb側に、SW2をb側に、SW3をa側に切り換える。これと同時に、目盛りdiv1に対応するデジタル電圧値(16進の199Hであり、0.5ボルトを表す)をラインL3に発生する。これにより、D/A変換器15により変換されたアナログ電圧即ち0.5ボルトがSW2、増幅器13、SW1を介して偏向回路11に加わり、そして、この回路の検出器16による検出出力の電圧を、SW3を介してコンデンサC1に充電により蓄積させる。この充電が完了する所定の時間が経過してから、ラインL2に2進“01”を生成して、SW3をb側に切り換える。ここで、コンデンサC1に充電された電圧は、VD-CR(例:−1.8ボルト)とする。
【0020】次のステップ143では、デルタカーソルCDの上記と同様な処理のため、ラインL2に2進“10”を出力して、SW3をc側に切り換える。また、これと同時に、目盛りdiv9に対応するデジタル電圧値(16進のE66Hであり、4.5ボルトを表す)をラインL3に発生する。これにより、上記と同様に、D/A変換器15により変換されたアナログ電圧即ち4.5ボルトがSW2、増幅器13、SW1を介して偏向回路11に加わり、そして、この回路の検出器16による検出出力の電圧を、SW3を介してコンデンサC2に充電により蓄積させる。この充電が完了する所定の時間が経過してから、ライン2に2進“01”を生成して、SW3をb側に切り換える。コンデンサC2に充電された電圧は、VD-CD(例:+1.8ボルト)で表す。尚、図4では、各カーソルを縦方向の点線として示しているが、このように表示させるには、垂直偏向回路(図示せず)に階段状のランプ波形を入力することも必要である。
【0021】次に、ステップ144で、掃引の準備のため、ラインL4に2進“0”、ラインL5に2進“0”を発生して、SW1とSW2とを両方ともa側にする。次に、目標のゲート幅(又は目標のカウント)が得られると予想される掃引波形のデジタルの傾き値GVを、ラインL3に生成する。このデジタル値は、変換器15がアナログ値に変換した後、発生器10に印加する。この後、ステップ145で、掃引を開始させるため、図示しないCPUの制御信号により、掃引モードをAUTOにセットし、また水平軸モードをA掃引にセットする(本発明を組み込んだオシロスコープでは、A掃引発生器とB掃引発生器の2つを備えている)。これにより、掃引波形電圧VSWが発生してSW1を介して偏向回路11に加わり、そしてこの回路の出力電圧を表す検出器16の検出出力電圧VD-SW(例:−2.7〜+2.7ボルト)が測定器17のコンパレータ170,172の非反転入力に加わる。電圧VD-CR,VD-CD,VD-SW が図4に示す関係にあるとき、フリップフロップ174は、水平偏向電圧座標上のdiv1に相当する位置でハイとなり、そしてその座標上のdiv9に相当する位置でローとなるゲート信号SGを発生する。このゲート信号は、ラインL1を介して制御器14のタイマTMに加わる。
【0022】次に、ステップ146で、制御器14内のタイマTMにゲート信号SGのハイの期間Tの間、クロックCKをカウントさせて、2進の測定カウント値CTMを得る。このカウント値CTMと上記の2進の目標カウント値CTTとの差が、規格値以内かどうか判定する。本例では、その許容差は、2進の±1である。もし、この許容差内にないとき、次のステップで、カウント値の差が許容差内に入る方向に、新たなデジタルGV値を算出する。この後、ステップ141に戻り、そしてその新デジタルGV値を使って以上に述べた処理を繰り返す。
【0023】ステップ147でYESとなった時、その時のデジタルGV値が、最終的な掃引波形の傾き値となり、そして本校正は終了する。以上、1つの時間軸レンジでのカーソル校正である。上述の3つの時間軸レンジの残りの2つ、即ち0.5ms/div,50μs/divの各々にて校正するには、図4の校正フローを繰り返せば良い。
【0024】上述の校正処理を行えば、基準カーソルとデルタカーソル即ち1対の電子目盛りの各水平軸電圧間の差が、上記校正が有効な時間軸レンジの各々での時間差を精度高く表すことになる。この結果、実際の測定において、カーソルを使った数値読取においては、基準カーソルとデルタカーソルの管面表示位置を、測定したい部分の両端に配置したとき、その1対のカーソル用のCPU内のデジタル電圧値の差から、それらカーソル間の時間を精度良く算出することができる。しかも、この読取値は、管面目盛りと表示波形とに基づいた読取より精度が高い。
【0025】以上に本発明の1実施例について述べたが、次のような変更も可能である。
【0026】まず第1に、校正に使用する時間軸レンジは、増減させることができる。必要であれば、オシロスコープの時間軸レンジの全てについて、本発明の校正を実施しても良い。第2に、掃引発生器を2つ以上備えたオシロスコープでは、掃引発生器の各々について、本発明の校正を行うようにすることができる。例えば、前に触れたように、B掃引発生器(遅延掃引用)についても校正を繰り返すことができる。第3に、カーソルCRとCDの校正用の位置として、掃引波形の線形性の高い部分で校正を行うためdiv1とdiv9とを使用したが、その他の位置に変えることも可能である。第4に、時間間隔Tの測定方法は、Tを表す情報をもった信号等が得られれば、例示した方法以外の方法でも可能である。第5に、カーソルの数は、2以上にすることもでき、その場合のそれらの任意の2つを校正すれば良い。
【0027】
【発明の効果】以上に説明した本発明によれば、水平軸用の電子目盛りを精度高く校正することができる。また、電子目盛りを直接校正するため、電子目盛りを使った数値読取等の測定の精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による水平軸電子目盛り校正装置を備えた、オシロスコープの水平軸回路部分を示すブロック図。
【図2】図1の時間間隔測定器の詳細を示す回路図。
【図3】本発明による校正フローを示すフローチャート。
【図4】本発明による校正動作中の幾つかの波形と、管面目盛りの水平軸部分と、管面での1対のカーソルの表示と、を示した図。
【符号の説明】
10:掃引波形発生器
11:水平偏向回路
12:水平偏向板
13:カーソル増幅器
14:システム制御器
15:D/A変換器
16:検出器
17:時間間隔測定器
170,172:コンパレータ
174:フリップフロップ
SW1,SW2,SW3:スイッチ
R:基準カーソル
D:デルタカーソル
V:掃引波形の傾き指定値
C:カーソル電圧
CR:基準カーソル電圧
CD:デルタカーソル電圧
SW:掃引波形電圧
G:ゲート信号
D-CR:基準カーソルに関するコンデンサC1の充電電圧
D-CD:デルタカーソルに関するコンデンサC2の充電電圧
D-SW:掃引波形VSWに対応する検出器16の出力電圧
CK:クロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】 オシロスコープの水平軸用の電子目盛りを校正する校正方法であって、イ) 水平軸用の少なくとも2つの第1及び第2の電子目盛り(CR,CD)について、該電子目盛りの前記オシロスコープの管面上の表示位置(div1,div9)に相当する値の第1及び第2の電子目盛り信号(VCR,VCD)を定める段階(140)と、ロ) 前記第1及び第2の電子目盛り信号を順次、水平偏向回路(11)に印加して、該回路の出力から第1偏向出力(VD-CR)と第2偏向出力(VD-CD)とをそれぞれ得る段階(141,142,143)と、ハ) 調節可能な傾きの掃引用波形部分を有する掃引波形(VSW)を発生する段階(144)と、ニ) 該掃引波形を前記水平偏向回路に印加して、該水平偏向回路からの前記掃引波形に応答した第3偏向回路出力(VD-SW)を得る段階(145)と、ホ) 前記第3偏向回路出力の前記掃引用波形部分に対応する部分が、前記第1偏向出力の値を取る時点と前記第2偏向出力の値を取る時点との間の時間間隔値(CTM)を得る段階(146)と、ヘ) 該測定時間間隔値と、前記第1及び第2の電子目盛りの前記表示位置間の目標の時間間隔値(CTT)とに応答して、前記掃引波形の前記傾きを調節する段階(147,148)と、から成る水平軸電子目盛り校正方法。
【請求項2】 請求項1に記載の校正方法において、前記水平軸は、前記オシロスコープの掃引モードにおける時間軸であること、を特徴とする校正方法。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の校正方法において、前記第1及び第2の電子目盛りは、基準カーソル(CR)とデルタカーソル(CD)であること、を特徴とする校正方法。
【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の校正方法であって、前記オシロスコープの少なくとも1つの時間軸レンジにおいて、前記第1及び第2の電子目盛りの校正を行うこと、を特徴とする校正方法。
【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の校正方法であって、少なくとも1つの掃引波形発生器(10)が発生する掃引波形の各々に関して、前記第1及び第2の電子目盛りの校正を行うこと、を特徴とする校正方法。
【請求項6】 表示管面を有するオシロスコープであって、A) 水平偏向回路(11)と、B) 前記表示管面に表示する水平軸用の少なくとも2つの第1及び第2の電子目盛り(CR,CD)について、該電子目盛りの前記オシロスコープの管面上の表示位置(div1,div9)に相当する値の第1及び第2の電子目盛り信号(VCR,VCD)を発生する電子目盛り信号発生手段と、及びC) 調節可能な傾きの掃引用波形部分を有する掃引波形(VSW)を発生する掃引波形発生手段(10)と、を備えたオシロスコープにおいて、水平軸用の電子目盛りを校正する校正装置が、イ) 前記水平偏向回路の出力を検出する検出手段(16)と、ロ) 該検出手段からの出力を受けるように接続した時間間隔測定手段(17)であって、前記第1及び第2の電子目盛り信号を順次、前記水平偏向回路に印加した時に得られる前記検出手段の出力からの第1検出出力(VD-CR)と第2検出出力(VD-CD)とをそれぞれ受け、そして前記掃引波形を前記水平偏向回路に印加した時に得られる前記検出手段からの前記掃引波形に応答した第3検出出力(VD-SW)を受け、前記第3検出出力の前記掃引用波形部分に対応する部分が、前記第1検出出力の値を取る時点と前記第2検出出力の値を取る時点との間の時間間隔(T)を表す測定時間間隔信号(SG)を発生する時間間隔測定手段(17)と、及びハ) 制御手段(14)であって、前記測定時間間隔の値(CTM)と、前記第1及び第2の電子目盛りの前記表示位置間の目標時間間隔値(CTT)とに応答して、前記掃引波形の前記傾きを調節するため前記掃引波形発生手段に印加すべき制御信号(GV)を発生する制御手段と、を備えたこと、を特徴とする水平軸電子目盛り校正装置。
【請求項7】 請求項6に記載の校正装置において、前記時間間隔測定手段(17)は、前記第1検出出力と前記第2検出出力とを記憶するための第1と第2の記憶手段(C1,C2)と、前記第3検出出力と前記第1記憶手段に記憶した前記第1検出出力とを比較して、前記第3検出出力の大きさが前記第1検出出力よりも大きくなったときに第1の信号を発生する第1の比較手段(170)と、前記第3検出出力と前記第2記憶手段に記憶した前記第2検出出力とを比較して、前記第3検出出力の大きさが前記第2検出出力よりも大きくなったときに第2の信号を発生する第2の比較手段(172)と、前記第1及び第2の比較手段に接続しており、前記第1信号の発生時点から前記第2信号の発生時点までの長さのパルス(SG)を発生するフリップフロップ(174)と、を備え、前記制御手段(14)は、所定の周波数のクロック(CK)を発生するクロック発生器と、該クロックと前記フリップフロップからの前記パルスとを受け、前記パルスの期間中に生ずる前記クロックの数をカウントするカウンタ手段(TM)と、を備えていること、を特徴とする校正装置。
【請求項8】 請求項6又は7に記載の校正装置であって、前記オシロスコープの少なくとも1つの時間軸レンジにおいて、前記第1及び第2の電子目盛りの校正を行うこと、を特徴とする校正装置。
【請求項9】 請求項6から8のいずれかに記載の校正装置であって、少なくとも1つの掃引波形発生器(10)の掃引波形の各々に関して、前記第1及び第2の電子目盛りの校正を行うこと、を特徴とする校正装置。
【請求項10】 表示管面を有するオシロスコープであって、イ) 水平偏向回路(11)と、ロ) 前記表示管面に表示する水平軸用の少なくとも2つの第1及び第2の電子目盛り(CR,CD)について、該電子目盛りの前記オシロスコープの管面上の表示位置(div1,div9)に相当する値の第1及び第2の電子目盛り信号(VCR,VCD)を発生する電子目盛り信号発生手段(14,15,13)と、ハ) 調節可能な傾きの掃引用波形部分を有する掃引波形(VSW)を発生する掃引波形発生手段(10)と、ニ) 前記水平偏向回路の出力を検出する検出手段(16)と、ホ) 該検出手段からの出力を受けるように接続した時間間隔測定手段(17)であって、前記第1及び第2の電子目盛り信号を順次、前記水平偏向回路に印加した時に得られる前記検出手段の出力からの第1検出出力(VD-CR)と第2検出出力(VD-CD)とをそれぞれ受け、そして前記掃引波形を前記水平偏向回路に印加した時に得られる前記検出手段からの前記掃引波形に応答した第3検出出力(VD-SW)を受け、前記第3検出出力の前記掃引用波形部分に対応する部分が、前記第1検出出力の値を取る時点と前記第2検出出力の値を取る時点との間の時間間隔(T)を表す測定時間間隔信号(SG)を発生する時間間隔測定手段(17)と、及びヘ) 制御手段(14)であって、前記測定時間間隔の値(CTM)と、前記第1及び第2の電子目盛りの前記表示位置間の目標時間間隔値(CTT)とに応答して、前記掃引波形の前記傾きを調節するため前記掃引波形発生手段に印加すべき制御信号(GV)を発生する制御手段と、を備えたオシロスコープ。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【特許番号】特許第3015597号(P3015597)
【登録日】平成11年12月17日(1999.12.17)
【発行日】平成12年3月6日(2000.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−204783
【出願日】平成4年7月31日(1992.7.31)
【公開番号】特開平6−50993
【公開日】平成6年2月25日(1994.2.25)
【審査請求日】平成9年9月29日(1997.9.29)
【出願人】(000115603)リーダー電子株式会社 (19)
【参考文献】
【文献】特開 昭63−286775(JP,A)