説明

オゾン検知素子

【課題】電力を使用せず、個人が容易に携帯可能な状態で、蓄積効果により測定対象のガス中のオゾンの積算量を簡便に検出し、かつ紫外線が照射される状態においてもより正確にオゾンの検知が可能なオゾン検知素子を提供する。
【解決手段】検知溶液101が収容された容器102を用意する。検知溶液101は、オゾンガスと反応して色が変化する色素を含む検知成分と、保湿剤と、親水基を有する紫外線吸収剤とが溶解した水溶液である。次いで、用意したシート状担体103を検知溶液101に浸漬し、例えば30秒間浸漬してシート状担体103に検知溶液101を含浸させた含浸シート104とし、この後、乾燥させることで含浸シート104に含浸されている水分などの溶媒(媒質)を蒸発させて乾燥させ、シート状のオゾン検知素子105が形成された状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気などの気体中に存在するオゾンを検出するオゾン検知素子に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、NOx、SPM(Suspended Particulate Matter)、光化学オキシダントによる大気汚染が生じ、環境に対する影響が問題とされている。例えば光化学オキシダントは、オゾンなどの強い酸化性を持った物質を主成分とし、工場や事業所や自動車から排出されるNOxや炭化水素などの汚染物質が太陽光線の照射を受けて光化学反応により生成されたものであり、光化学スモッグの原因となっている。
【0003】
日本では、これらの物質について、環境基準が設定されており、各地の一般環境大気測定局において測定されている。例えば、光化学オキシダントは、環境基準として、1時間あたりに測定される平均値が、0.06ppm以下となっている。
【0004】
光化学オキシダントは、ほとんどがオゾンより構成されており、各測定局では、紫外線吸収法などの自動測定法によりオゾンの濃度が測定されている。この自動測定法によるオゾンガス濃度測定では、数ppbの微量なガスの測定が可能であるが、高価であり、かつ精度維持のための整備が常に必要となっている。また、これらの装置による自動測定では、常に電力を必要とし、また保守管理も不可欠なため、膨大な経費を要する。加えて、これらの測定では、温度制御された設置環境及び較正用の標準ガスの確保が必要となる。
【0005】
また、環境におけるガス濃度の分布調査や地域環境への影響評価を精度よく行うためには、観測点を多くし、全国規模での測定調査を行う必要があるが、上述した自動測定の方法では、多くの観測点に対応させることが非常に困難である。このため、容易に使用可能な、小型かつ安価なオゾンガス分析装置や簡易測定法が要望されている。
【0006】
また近年、オゾンは、強い殺菌力(酸化力)と、分解した後に酸素になり有害物質が生成されない利点が注目され、水の処理,食品の殺菌,紙の漂白など、様々な産業分野での利用が拡大している。このため、労働環境基準として、オゾン濃度に対して100ppb,8時間の基準値が設定されている。オゾンを使用する工場においては、オゾン警報機の設置はもちろんであるが、各労働者が、労働基準の範囲内で労働している状態を管理する必要があり、このためには、労働者が携帯できる測定器が必要となる。
【0007】
このような中で、現在、半導体ガスセンサー、固体電解質ガスセンサー、電気化学式ガスセンサー、水晶発振式ガスセンサーなど、幅広くオゾンガス測定技術の開発が進んでいる。しかし、これらは、短時間での応答を評価するために開発されたものであり、測定データの蓄積が必要な監視用に開発されたものは少ない。従って、測定データの蓄積が必要な場合には、常時稼働させておく必要がある。また、例えば半導体センサーの場合、検出部を数100℃に保つ必要があり、常時稼働させるためには多くの電力が常に必要とされる。
【0008】
また、上述したセンサーは、検出感度がサブppm程度であるために、例えば10ppbのオゾンの測定など、実環境の濃度には対処できない。半導体センサーの中には、10ppbのオゾンに反応するものもあるが、検出出力は濃度に対して非線形であり、さらに、センサー個体毎に出力値が大きく異なり、異なるセンサーを用いた場合の比較が容易ではない。また、多くの場合、他ガスによる影響が無視できない。
【0009】
また、検知管式気体測定器を使う方法があるが、この方法についても、測定箇所における非常に短い時間の濃度を局所的に測定すること目的として開発されたものであり、測定データの蓄積的な使用は困難である。さらに、この検知管を用いる方法では測定者が現場にいかなければならないことや、測定間の色変化の読み取りに個人差が発生するなどの測定精度上の問題がある。
【0010】
一方、簡便で高感度なオゾンの分析技術として、デンプン及びヨウ化カリウムが担持されたオゾン検知紙が提案されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1による技術では、被検知ガスを強制的に吸引するためのポンプや測定のための光源及びこれらで構成された検出器を駆動するための電力が必要となる。また、特殊なシート状の担体が必要となり、1回の測定毎にシートを更新する必要があり、蓄積的な測定が容易ではない。加えて、上記検知紙を用いた測定では、オゾンではなく、光化学オキシダントすべてを検出してしまうという問題がある。
【0011】
また、簡便で高感度なオゾンガスの分析方法として、インジゴカルミンを担持したオゾン検知紙による技術が提案されている(非特許文献1参照)。また、青色のインジゴ色素を担持したオゾン検知シートの表面にメンブレンフィルタを設置し、メンブレンフィルタの厚さを調節することで感度を調節する技術も提案されている(非特許文献2参照)。
【0012】
【特許文献1】特許第3257622号公報
【非特許文献1】Anna C. Franklin, et al. ,"Ozone Measurement in South Carolina Using Passive Sampler", Journal of the Air & Waste Measurement Association, Vol.54, pp.1312-1320, 2004.
【非特許文献2】"Operating Instructions for Ozone Monitor", Part#380010-10,http://www.kandmenvironmental.com/PDFs/ozone.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1,非特許文献1,及び非特許文献2の技術では、以下に示すように、日照を受ける屋外での使用に問題があった。上述した従来の技術では、オゾン検知紙又は検知素子の変色により、オゾンガスの蓄積濃度の測定を可能としているが、屋外で使用して日射を受けると、オゾンガスが存在しなくても変色するという問題があった。この原因は、太陽光に含まれる紫外線によるものである。このため、特許文献1,非特許文献1,及び非特許文献2の技術ではオゾンガスの測定が屋内に限られ、光化学スモッグによるオゾンの検知といった屋外での測定が容易ではなかった。また、これら従来の技術では、紫外線を利用してオゾンを発生している場合においても、発生させたオゾンガスの測定が容易ではない。
【0014】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、電力を使用せず、個人が容易に携帯可能な状態で、蓄積効果により測定対象のガス中のオゾンの積算量を簡便に検出し、かつ紫外線が照射される状態においてもより正確にオゾンの検知が可能なオゾン検知素子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るオゾン検知素子は、繊維より構成された担体と、この担体に担持されてオゾンガスと反応して色が変化する色素を含んだ検知成分と、担体に担持された保湿剤と、担体に担持された親水基を有する紫外線吸収剤とを少なくとも備えるものである。色素を担持する担体に対して照射された紫外線が、同時に担持されている紫外線吸収剤に吸収されるようになる。
【0016】
上記オゾン検知素子において、紫外線吸収剤は、骨格にベンゼン環を備えるものであればよい。また、紫外線吸収剤は、25℃の水に0.05wt%以上溶解するものであればよい。例えば、紫外線吸収剤は、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム,及びフェルラ酸の中から選択されたものであればよい。
【0017】
上記オゾン検知素子において、検知成分は、色素としてインジゴ環を備えた色素と酸性物質とを含むものであればよく、例えば、色素は、インジゴカルミンであればよい。この場合、酸性物質は、クエン酸又は酢酸のいずれかであればよい。
【0018】
また、上記オゾン検知素子において、色素はアゾ色素であればよく、例えば、色素は、カルコン,アシッドアリザリンバイオレットN,オレンジI,及びメチルオレンジの中より選択されたものであればよい。
【0019】
また、上記オゾン検知素子において、検知成分は、色素としてヒドロキシ基を備えるアントラキノン系の色素と、アルカリ性物質とを含むものであればよく、例えば、色素は、アリザリン又はアリザリンレッドSのいずれかであればよい。
【0020】
また、上記オゾン検知素子において、色素は、ポリエン構造を備えるものであってもよく、例えば、色素は、アナトー色素であればよい。なお、保湿剤は、グリセリン,エチレングリコール,及びプロピレングリコールの中より選択されたものであればよい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明では、検知成分や保湿剤とともに、紫外線吸収剤を担体に担持させるようにしたので、色素を担持する担体に対して照射された紫外線が、同時に担持されている紫外線吸収剤に吸収されるようになる。この結果、本発明によれば、電力を使用せず、個人が容易に携帯可能な状態で、蓄積効果により測定対象のガス中のオゾンの積算量を簡便に検出し、かつ紫外線が照射される状態においてもより正確にオゾンの検知が可能なオゾン検知素子の提供できるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるオゾン検知素子の製造方法例について説明する工程図である。先ず、図1(a)に示すように、検知溶液101が収容された容器102を用意する。検知溶液101は、オゾンガスと反応して色(光吸収スペクトル)が変化する色素を含む検知成分と、保湿剤と、親水基を有する紫外線吸収剤とが溶解した水溶液である。
【0023】
色素としては、例えば、インジゴカルミン(C1682Na282)及びインジゴなどのインジゴ環を備えたものが適用可能である。この色素の場合は、クエン酸などの酸性物質により酸性状態として用いる。従って、色素としてインジゴカルミンなどを用いる場合、色素と酸性物質とで検知成分が構成されることになる。インジゴ環を有する色素は、オゾンと反応することで、この分子骨格に含まれるC=C結合が分解され、色素分子の構造と電子状態が変化することなどにより、可視領域の光吸収が変化して色(色相)が変化(退色)する。
【0024】
また、カルコン(HOC106N:NC105(OH)SO3Na),アシッドアリザリンバイオレットN(別名アシッドクロームバイオレットK:C16112NaO5S),オレンジI(C16112NaO4S),及びメチルオレンジ(C14143NaO3S)などのアゾ色素が適用可能である。アゾ色素は、オゾンと反応することで、この分子骨格に含まれるアゾ基(N=N2重結合)が分解(酸化)され、色素分子の構造と電子状態が変化することなどにより、可視領域の光吸収が変化して色が変化する。
【0025】
また、アリザリン(C14102(OH)2)及びアリザリンレッドS(9,10-Dihydro-3,4-dihydroxy-9,10-dioxo-2-anthracenesulfonic acid, sodium salt:C14102(OH)2SO3Na)などのヒドロキシ基を備えるアントラキノン系の色素も適用可能である。この色素の場合は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質によるアルカリ性として用いる。従って、色素としてアリザリンなどを用いる場合、色素とアルカリ性物質とで検知成分が構成されることになる。ヒドロキシ基(−OH)を備えるアントラキノン系の色素は、オゾンと反応することで、この分子骨格に含まれるC=Oの2重結合が分解され、色素分子の構造と電子状態が変化して可視領域の光吸収が変化して色が変化するものと考えられる。
【0026】
また、アナトー色素などのビキシン及びノルビキシンなどのポリエン構造を備える色素も適用可能である。ポリエン構造を備える色素は、オゾンと反応することで、この分子骨格に含まれるC=C結合が分解され、色素分子の構造と電子状態が変化することなどにより、可視領域の光吸収が変化して色が変化する。
【0027】
また、保湿剤としては、グリセリン(C383),エチレングリコール(C262),及びプロピレングリコール(C382)などが適用可能である。
【0028】
また、親水基を有する紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム,及びフェルラ酸(4−ヒドロキシ−3−メトキシけい皮酸)などが適用可能である。これら紫外線吸収剤は、骨格にベンゼン環を備えている点が共通している。
【0029】
例えば、検知溶液101は、インジゴカルミン0.045g,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸・三水和物0.8g,グリセリン12.5gに純水を加えて全体で50mlとされたものである。インジゴカルミンは、インジゴ環を有する色素であり、酸性とされた検知溶液101は青色を呈した状態となる。なお、インジゴカルミンは、酸性として用いるため、一般にはクエン酸や酢酸などを添加して用いるが、上述の構成の場合、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸を用いているために酸性とされているため、クエン酸などの他の酸性物質を添加していない。
【0030】
次に、図1(b)に示すように、所定の寸法の担体103を用意する。担体103は、セルロースなどの繊維よりシート状に形成されたものであり、例えば、アドバンテック(東洋濾紙株式会社)製のセルロース濾紙(No.2)である。担体103は、例えば白色であればよい。なお、担体103は、シート状に形成されているものに限らず、以下に示すように、検知溶液103が含浸し、また、色素及び紫外線吸収剤などが、検知対象の気体に接触可能に担持されるものであればよい。
【0031】
次いで、用意した担体103を検知溶液101に浸漬し、例えば30秒間浸漬して担体103に検知溶液101を含浸させ、図1(c)に示すように、検知溶液101が含浸した含浸担体104が形成された状態とする。
【0032】
この後、含浸担体104を検知溶液101より引き上げて風乾する。ある程度に風乾された後、含浸担体104を、乾燥窒素中で乾燥させることで含浸担体104に含浸されている水分などの溶媒(媒質)を蒸発させて乾燥させる。例えば、図1(d)に示すように、循環する窒素ガスが充填された所定の容器106の内部の窒素ガス気流中に配置し、この状態を24時間以上保持して乾燥することで、シート状のオゾン検知素子105が形成された状態とする。このように形成されたオゾン検知素子105には、色素,紫外線吸収剤,及び保湿剤が担持された状態となる。得られたオゾン検知素子105は、色素による色を呈した状態となり、この色は、目視による確認が容易に可能である。
【0033】
このようにして製造されたオゾン検知素子105は、オゾンが存在する環境に晒すことで、晒している時間とともに色素の色の濃度が徐々に薄くなり、最終的に白色の状態に変化する。例えば、オゾン濃度が0.04ppmの環境にオゾン検知素子105を晒して24時間経過すると、白色の状態(もとの濾紙の色)となる。このように、オゾン検知素子105によれば、色の変化によりオゾンの検知が可能であり、また、蓄積的な検出が可能である。この色の変化は、色素のオゾンによる分解に応じた退色によるもと考えられる。
【0034】
また、オゾン検知素子105は、重量%が20程度とされた保湿剤が含まれている検知溶液101を含浸させて形成され、保湿剤を担持しているので、前述した、オゾンの存在による色の変化(オゾンの検知能力)が、より効果的に発現されるものとなる。保湿剤が含まれていることにより、オゾン検知素子105における色素のオゾンによる退色の反応が促進されるものと考えられる。ただし、検知溶液における保湿剤の濃度が例えば50%を超えるなど高すぎる場合、乾燥に要する時間が膨大となり、再現性のある検知シートを作製することが困難となる。
【0035】
加えて、オゾン検知素子105は、紫外線吸収剤を含んでいるため、紫外線照射による影響が抑制されるようになる。例えば、紫外線吸収剤を用いない場合、太陽光の照射に曝すことで、オゾンが存在していなくても、オゾン検知素子の色が変化する。この現象は、オゾン検知素子が保湿剤を用いて作製されているときに特に顕著であり、この場合は、オゾンが存在していなくても、太陽光の照射に10分〜数10分程度曝すと、目視で色の変化が確認できる状態となる。このように、紫外線吸収剤を用いていないオゾン検知素子では、紫外線が照射される環境ではオゾンの検知が不可能な状態となる。これに対し、オゾン検知素子105の場合、太陽光の照射に数分〜10分程度曝しても、目視のレベルでは退色が確認されない程度に紫外線照射の影響が低減されるようになり、紫外線が照射される環境においてもオゾンの検知ができるようになる。
【0036】
上述した保湿剤を用いている場合の紫外線照射の影響について考察する。先ず、保湿剤を用いていることにより、担体においては、色素が水分とともに担持された状態になるものと考えられる。ここに、雰囲気に存在していたオゾンが作用(溶解)すると、色素とともに担持されている水分中に、反応性の高いヒドロキシラジカルやヒドロペルオキシラジカルなどが生成し、生成したラジカルにより色素の分解が起こるものと考えられる。一方、色素とともに水分が担持されている状態に紫外線が照射されると、オゾンの作用と同様に、水分中に反応性の高い酸素のラジカルが生成し、生成したラジカルにより色素の分解が起こるものと考えられ、これが前述した紫外線照射による問題の原因と考えられる。これに対し、色素とともに水分が担持されている所に、紫外線吸収剤を存在させることで、紫外線の照射による水分中のラジカルの生成が抑制されるようになり、紫外線が照射されても、オゾン検知素子の色の変化が抑制されるようになるものと考えられる。
【0037】
以下、紫外線吸収剤による効果について、より詳細に説明する。
まず、インジゴカルミン0.045g,クエン酸3.0g,グリセリン12.5gを水に溶解させて全量を50mlとした検知溶液Aを作製し、この検知溶液Aにより前述同様にオゾン検知素子Aを作製する。これは、紫外線吸収剤を含まない試料である。オゾン検知素子Aは、藍色を呈した状態に形成される。
【0038】
次に、インジゴカルミン0.045g,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸・三水和物0.8g,グリセリン12.5gを水に溶解させて全量を50mlとした検知溶液Bを作製し、この検知溶液Bにより前述同様にオゾン検知素子Bを作製する。オゾン検知素子Bは、藍色を呈した状態に形成される。
【0039】
次に、インジゴカルミン0.045g,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム1.0g,クエン酸3.5g,及びグリセリン12.5gを水に溶解させて全量を50mlとした検知溶液Cを作製し、この検知溶液Cにより前述同様にオゾン検知素子Cを作製する。オゾン検知素子Cは、藍色を呈した状態に形成される。なお、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウムは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸・三水和物と水酸化ナトリウムとを等モル量溶解した水溶液を作製し、この水溶液を乾燥させることで得られる。
【0040】
次に、インジゴカルミン0.045g,クエン酸3.0g,グリセリン12.5gを水に溶解させて全量を50mlとした検知溶液を作製し、この検知溶液により前述同様にオゾン検知素子を作製する。この検知溶液は、前述した検知溶液Aと同様であり、作製されたオゾン検知素子もオゾン検知素子Aと同様である。次いで、フェルラ酸3.5gをアセトン50mlに溶解した紫外線吸収剤溶液を作製し、この紫外線吸収剤溶液に上記オゾン検知素子を10秒間浸漬してオゾン検知素子に紫外線吸収剤溶液を含浸させ、紫外線吸収剤溶液が含浸したオゾン検知素子Dが形成された状態とする。
【0041】
この後、オゾン検知素子Dを紫外線吸収剤溶液より引き上げて風乾する。ある程度に風乾された後、オゾン検知素子Dを、乾燥窒素中で乾燥させることでオゾン検知素子Dに含浸されている水分などの溶媒(媒質)を蒸発させて乾燥させる。例えば、図1(d)に示すように、循環する窒素ガスが充填された所定の容器106の内部の窒素ガス気流中に配置し、この状態を24時間以上保持して乾燥すれば良い。
【0042】
次に、比較試料として、水に不用な紫外線吸収剤を用いた資料について説明する。
先ず、インジゴカルミン0.045g,クエン酸3.0g,グリセリン12.5gを水に溶解させて全量を50mlとした検知溶液を作製し、この検知溶液により前述同様にオゾン検知素子を作製する。この検知溶液は、前述した検知溶液Aと同様であり、作製されたオゾン検知素子もオゾン検知素子Aと同様である。
【0043】
次いで、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン0.5gをアセトン50mlに溶解した紫外線吸収剤溶液を作製し、この紫外線吸収剤溶液に上記オゾン検知素子を10秒間浸漬してオゾン検知素子に紫外線吸収剤溶液を含浸させ、紫外線吸収剤溶液が含浸したオゾン検知素子Eが形成された状態とする。この後、オゾン検知素子Eを紫外線吸収剤溶液より引き上げ、前述同様に乾燥させる。
【0044】
次に、インジゴカルミン0.045g,クエン酸3.0g,グリセリン12.5gを水に溶解させて全量を50mlとした検知溶液を作製し、この検知溶液により前述同様にオゾン検知素子を作製する。この検知溶液は、前述した検知溶液Aと同様であり、作製されたオゾン検知素子もオゾン検知素子Aと同様である。次いで、2−(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール0.5gをアセトン50mlに溶解した紫外線吸収剤溶液を作製し、この紫外線吸収剤溶液に上記オゾン検知素子を10秒間浸漬してオゾン検知素子に紫外線吸収剤溶液を含浸させ、この後、紫外線吸収剤溶液より引き上げて前述同様に乾燥させ、オゾン検知素子Fとする。
【0045】
次に、インジゴカルミン0.045g,クエン酸3.0g,グリセリン12.5gを水に溶解させて全量を50mlとした検知溶液を作製し、この検知溶液により前述同様にオゾン検知素子を作製する。この検知溶液は、前述した検知溶液Aと同様であり、作製されたオゾン検知素子もオゾン検知素子Aと同様である。次いで、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール0.5gをアセトン50mlに溶解した紫外線吸収剤溶液を作製し、この紫外線吸収剤溶液に上記オゾン検知素子を10秒間浸漬してオゾン検知素子に紫外線吸収剤溶液を含浸させ、この後、紫外線吸収剤溶液より引き上げて前述同様に乾燥させ、オゾン検知素子Gとする。
【0046】
次に、上述した各オゾン検知素子A〜Gに対し、紫外線を照射する紫外線暴露試験(実験)を行う。試験における紫外線影響の評価には、セリック株式会社製人工太陽照明灯XC−100AFをUVフィルタを外した状態で使用した。各オゾン検知素子A〜Gへの照明光の入射角は20°とし、また照明灯の下端から各オゾン検知素子A〜Gまでの距離は110cmとし、照明光の最も強い中心部に各オゾン検知素子A〜Gを配置した。
【0047】
上述した各オゾン検知素子A〜Gに紫外線を1分刻みで1〜5分照射し、各照射毎に分光光度計でオゾン検知素子の反射光を測定し、618nm付近の波長の吸光度の変化を指標として紫外線影響の状態を評価した。この結果を図2に示す。なお、実線のみでオゾン検知素子Aの結果を示し、白丸でオゾン検知素子Bの結果を示し、白三角でオゾン検知素子Cの結果を示し、白四角でオゾン検知素子Dの結果を示し、黒丸でオゾン検知素子Eの結果を示し、黒三角でオゾン検知素子Fの結果を示し、黒四角でオゾン検知素子Gの結果を示している。
【0048】
図2に示すように、紫外線吸収剤を添加していないオゾン検知素子Aと比較すると、紫外線吸収剤を添加したいずれのオゾン検知素子B〜Gも、紫外線による618nmの波長の吸光度の変化が少ないことがわかる。しかしながら、紫外線吸収剤を添加したオゾン検知素子の中でも、特に紫外線の影響が低減されているのが、オゾン検知素子B、オゾン検知素子C、オゾン検知素子Dである。
【0049】
紫外線の照射量は、最も強い季節の晴天日において、最大で300W・h/day程度が想定される。紫外線吸収剤を添加していないオゾン検知素子Aを日射に暴露した場合、紫外線暴露量に比例して618nm付近の波長の吸光度が変化し、200W・hの紫外線照射で吸光度が約0.6低下した。これは、人工太陽照明灯XC−100AF(フィルタ無)による暴露実験の1分刻みで5分照射した時とほぼ一致する。また、オゾン検知素子Aは、オゾンガス暴露量に比例して618nm付近の波長の吸光度が変化し、オゾンガス640ppb・h(湿度60%)の暴露により、吸光度が約0.7低下する。
【0050】
これらのことから、仮に、想定される最大暴露量300W・hを受けた場合でも日射による誤差を20%以内(吸光度変化0.14以下)に抑えようとした場合、「200W:0.6=300W×x:0.14、x=0.156」より、紫外線による影響を15.6%にまで軽減する必要がある。人工太陽照明灯XC−100AF(フィルタ無)による紫外線暴露実験の1分刻みで5分照射した時に、オゾン検知素子A(紫外線吸収剤無し)の吸光度変化が0.586、オゾン検知素子Bの吸光度変化が0.057、オゾン検知素子Cの吸光度変化が0.047、オゾン検知素子Dの吸光度変化が0.057と、いずれもオゾン検知素子Aの10%以下である。このように、オゾン検知素子B〜Dは、十分な紫外線吸収能を示している。
【0051】
これらに対し、比較用のオゾン検知素子E,オゾン検知素子F,及びオゾン検知素子Gは、紫外線影響を50%程度しか軽減できておらず、必要な紫外線吸収能が得られていない。これらのことから判るように、紫外線の影響を抑制してオゾン検知素子として用いるためには、オゾン検知素子B〜Dのように、親水基を有する水溶性の紫外線吸収剤を用いる必要がある。
【0052】
上述した、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸・三水和物、2ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、及びフェルラ酸は、溶媒に溶かして透過光のスペクトルを分析した場合、前述した水溶性のない他の紫外線吸収剤を利用したものと比較して紫外線吸収力はそれほど高くない。例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸・三水和物と4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノンでは、等量を添加した場合、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノンの方が300〜400nmの波長領域においては平均1.25倍ほど紫外線吸収能が高い。
【0053】
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸・三水和物が0.89、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノンが0.59と、添加量に差があることを考慮しても、オゾン検知素子に適用した場合に、紫外線の照射により吸光度変化に大きな差があることは説明できない。なお、紫外線吸収剤の紫外線吸収能は添加量に比例するため、溶媒にとけた状態では、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸・三水和物0.8gは、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン0.5gの吸収能の1.3倍程度である。
【0054】
図2に示すように、オゾン検知素子Bとオゾン検知素子Eの吸光度変化には5倍程度の差がある。また、紫外線吸収剤を添加していないオゾン検知素子Aの吸光度変化(Abs.)は0.3強程度までは紫外線暴露量と比例しており、紫外線暴露量と吸光度変化は比例関係にあることがわかる。
【0055】
また、水に不溶である4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−2Hーベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t一ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの3種類の紫外線吸収剤は、アセトン50mlに対し0.5g以上添加して検知素子作製に用いると、オゾン検知素子の表面に粉状に析出してしまう。これらに対し、2−ヒドロキシ−4一メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸・三水和物は水50mlに対して9.0g、2−ヒドロキシ−4一メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウムは水50mlに対して1.0g、フェルラ酸はアセトン50mlに対して3.5g添加し、検知素子作製に用いても、粉状に析出することはなかった。
【0056】
これらの現象の理由として、水溶性の大きな差が挙げられる。先ず、25℃において、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸・三水和物は、水に対して25wt%溶解し、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウムは、水に対して2.5wt%を超えて溶解し、フェルラ酸は、水に対して0.05wt%溶解する。これらに対し、他の紫外線吸収剤は、水にほぼ不溶である。
【0057】
水に不溶な紫外線吸収剤は、溶液を含浸させた後に担体を乾燥させると凝集し、溶媒が揮発した面に紫外線吸収剤が集まって粉状に析出してしまうため、紫外線吸収剤が均一に分布せず、紫外線吸収効果が十分に発揮されないものと考えられる。また、担体の表面に紫外線吸収剤が粉状に析出はしていない場合でも、濃度が不均一になってしまい、濃度が低い部位の紫外線吸収能が十分に得られていないものと考えられる。
【0058】
このような状態に対し、ある程度の水溶性がある紫外線吸収剤によれば、担体に保持されているグリセリンやグリセリンが保持している水分と、紫外線吸収剤分子の親水基が結合する。また、担体がセルロースの場合は、セルロースのヒドロキシル基と、紫外線吸収剤分子の親水基が結合する。このため、乾燥した時に紫外線吸収剤が凝集しにくく、担体に対して均一に紫外線吸収剤が保持(担持)されるため、十分な紫外線吸収能が発揮されるものと考えられる。
【0059】
フェルラ酸は0.05wt%程度まで水に溶解し、アセトンにも可溶である。オゾン検知素子Dの作製では、水に溶解する以上のフェルラ酸を添加するために、アセトンに溶解させてオゾン検知素子Dに分散させる方法を用いたが、均一な分散を実現し、十分な紫外線吸収能を得られた。このことより、水に可溶な量以上の紫外線吸収剤を、前述したオゾン検知素子Dの作製方法で添加したとしても、25℃で0.05wt%以上の水溶性があれば乾燥時に均一に紫外線吸収剤を保持させることが可能であることが判る。
【0060】
オゾン検知素子Dの作製では、水に溶解する以上の紫外線吸収剤を添加するために、紫外線吸収剤を含まないオゾン検知素子を紫外線吸収剤が溶解しているアセトンに含浸させたが、紫外線吸収剤を溶解させる溶媒は、紫外線吸収剤を含まないオゾン検知素子の構成要素(インジゴカルミンなどの色素及びクエン酸などの酸性物質、グリセリンなどの保湿剤)を短時間で溶出させず、紫外線吸収剤が可溶な溶媒であればよい。例えば、酢酸エチルなども好適に用いられる。
【0061】
一般に、紫外線吸収剤は、塗料や樹脂への添加、もしくは化粧品のように、油などの液体に溶解させて用いられているため、一旦溶媒に溶解もしくは均一に分散してしまえば、これ以後は、紫外線吸収剤分子中に含まれる親水基は重要ではない。これに対し、上述した本発明に係るオゾン検知素子においては、紫外線吸収剤を溶媒に溶解させ、乾燥させた後に均一に分散している必要があるため、前述したように、親水基が必須の構成要素となる。このような使用方法は一般的な紫外線吸収剤の使用方法とは大きく異なり、本発明は容易には類推できない。
【0062】
上記の紫外線吸収剤の他に水溶性を示す紫外線吸収剤として、p−アミノ安息香酸(水溶性0.4wt%)、サリチル酸フェニル(水溶性0.05wt%)などが挙げられ、これらを利用しても均一に紫外線吸収剤を保持させることが可能になるであろうことは容易に類推できる。これらの紫外線吸収剤も、骨格にベンゼン環を備えている。なお、水溶性の目安としては、フェルラ酸の0.05wt%以上であることが目安になる。
【0063】
また、オゾン検知素子オゾン検知シートC及びオゾン検知シートDでは、検知剤溶液にクエン酸3.5gを添加したが、これに変えて酢酸2.0gを添加しても、ほぼ同様の結果が得られることが実験により確認されている。また、保湿剤として、グリセリンの変わりに、エチレングリコール又はプロピレングリコールを用いるようにしても、同様の結果を得られることが実験により確認されている。また色素としてアゾ色素(カルコン、アシッドアリザリンバイオレッドN)、アントラキノン色素(アリザリン)アナトー色素を用いた場合も、紫外線に対する耐性を向上させられることが実験により確認された。
【0064】
なお、オゾン検知素子オゾン検知シートB、オゾン検知シートC、オゾン検知シートDに、所定量のオゾンガスを暴露したところ、以下の表1及び図3に示すように、吸光度の変化の程度にやや差があるものの、いずれも十分に吸光度が変化し、オゾン検知素子として使用可能であることが確認された。
【0065】
【表1】

【0066】
以上に示した本発明の実施の形態に係るオゾン検知素子によれば、親水基を備える紫外線吸収剤を用いたので、これが凝集することなく均一に担体に分布して紫外線を吸収するため、担体に担持された色素に対する紫外線照射による影響が抑制され、オゾンガスによる色素の変化(吸光度変化)が、紫外線による色素の変化を超えて大きいものとなる。この結果、本実施の形態に係るオゾン検知素子によれば、紫外線に曝される状況においても、オゾンガスの検知が可能となる。
【0067】
従来のオゾン検知素子は、紫外線による影響を強く受けるために屋外での使用ができず、工場や厨房,ホテルの室内の殺菌・脱臭といった室内での人為的に発生させるオゾンガスを検出する用途に限定されていた。これに対し、本発明によれば、紫外線の影響が著しく軽減されたため、屋外での使用が可能になる。特に、光化学スモッグは、夏の晴れた日に高濃度で発生することが多く、このような日は必然的に紫外線量も大きくなるため、従来のオゾン検知素子では対応できなかったが、本発明により、当該環境下においても精度よくオゾンガスを検知ことが可能になる。また、本願発明に係るオゾン検知素子は、紫外線を照射してオゾンを発生させる方式の機器より発生したオゾンの検知用としても好適に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態におけるオゾン検知素子の製造方法例について説明する工程図である。
【図2】各オゾン検知素子A〜Gに紫外線を1分刻みで1〜5分照射し、各照射毎に分光光度計でオゾン検知素子の反射光を測定し、618nm付近の波長の吸光度の変化を指標として紫外線影響の状態を評価した。この結果を示す特性図である。
【図3】オゾン検知素子オゾン検知シートB、オゾン検知シートC、オゾン検知シートDに、所定量のオゾンガスを暴露した場合の吸光度の変化を示す特性図である。
【符号の説明】
【0069】
101…検知溶液、102…容器、103…担体、104…含浸担体、105…オゾン検知素子、106…容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維より構成された担体と、
この担体に担持されてオゾンガスと反応して色が変化する色素を含んだ検知成分と、
前記担体に担持された保湿剤と、
前記担体に担持された親水基を有する紫外線吸収剤と
を少なくとも備えることを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項2】
請求項1記載のオゾン検知素子において、
前記紫外線吸収剤は、骨格にベンゼン環を備える
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項3】
請求項2記載のオゾン検知素子において、
前記紫外線吸収剤は、25℃の水に0.05wt%以上溶解する
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項4】
請求項3記載のオゾン検知素子において、
前記紫外線吸収剤は、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム,及びフェルラ酸の中から選択されたものである
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の記載のオゾン検知素子において、
前記検知成分は、前記色素としてインジゴ環を備えた色素と酸性物質とを含む
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項6】
請求項5記載のオゾン検知素子において、
前記色素は、インジゴカルミンである
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項7】
請求項5又は6記載のオゾン検知素子において、
前記酸性物質は、クエン酸又は酢酸のいずれかである
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のオゾン検知素子において、
前記色素はアゾ色素である
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項9】
請求項8記載のオゾン検知素子において、
前記色素は、カルコン,アシッドアリザリンバイオレットN,オレンジI,及びメチルオレンジの中より選択されたものである
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のオゾン検知素子において、
前記検知成分は、前記色素としてヒドロキシ基を備えるアントラキノン系の色素と、アルカリ性物質とを含む
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項11】
請求項10記載のオゾン検知素子において、
前記色素は、アリザリン又はアリザリンレッドSのいずれかである
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のオゾン検知素子において、
前記色素は、ポリエン構造を備えるものである
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項13】
請求項12記載のオゾン検知素子において、
前記色素は、アナトー色素である
ことを特徴とするオゾン検知素子。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のオゾン検知素子において、
前記保湿剤は、グリセリン,エチレングリコール,及びプロピレングリコールの中より選択されたものである
ことを特徴とするオゾン検知素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−116387(P2008−116387A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301353(P2006−301353)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】