説明

オットマン

【課題】着席してくつろいだ状態のままでも、使用者の好みの姿勢に応じた姿勢や位置に、スムーズ、且つ、容易に変更して脚を載せることができるオットマンの提供を目的とする。
【解決手段】脚載せ部11と、設置面Fに接地して該脚載せ部11を支持する支持部12とを備えたオットマン10であって、上記支持部12における接地部分15に、設置面F側へ突出する形状に湾曲した弧形状部13を形成し、上記弧形状部13を、上記脚載せ部11に付与される載荷重に基いて上記接地部分15の弧形状方向L1に沿って設置面Fに接地する接地箇所15Aが移動する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、椅子やソファーの前方に置き、脚を載せるオットマン(脚載せ台)に関し、詳しくは、脚を載せる部分の高さや姿勢を変更して用いることができるオットマンに関する。
【背景技術】
【0002】
椅子に座り続けて脚を同じ姿勢を維持すると、脚に血が溜まり、血行が低下したり、疲れるため、椅子の前方に置き、脚を載せることができるオットマンが従来より用いられている。オットマンに脚を載せることで、脚を高い位置に保つことができ、脚を伸ばすこともできる。
【0003】
しかし、一般に普及しているオットマンは、脚を載せる位置が一定の高さ、姿勢に限られるものが多く、脚の姿勢を動かそうとしても、脚の姿勢に応じた形に変更することができないため、脚を常に快適な姿勢で支えることができなかった。
【0004】
このような背景に対して、下記特許文献1には、脚載せ部分の位置や姿勢を容易に変更して用いることができる「変形可能な足乗せ台」が開示されている。
【0005】
上記「変形可能な足乗せ台」は、2個の端部フレームを、例えば、ラチェットなどの回転可能な接続部材を介して主フレームに結合し、このフレーム体をクッション材で被覆して構成している。
【0006】
この「変形可能な足乗せ台」は、接続部材を回転させ、主フレームと端部フレームの相対位置を変化させることで、足を乗せる部分の高さや姿勢を変更して用いるものである。その他にも、「変形可能な足乗せ台」は、全体を反転させたり、横に倒したりして足を乗せる部分の高さや姿勢を変更して用いることができるものである。
【0007】
しかし、上記「変形可能な足乗せ台」は、上述したような全体を反転させたり、接続部材を回転するといった全体、又は、一部の姿勢変更は、いずれも手で行なうことを前提としている。
【0008】
このように手で姿勢変更を必要があるため、使用者は、足乗せ部分の高さや位置を変更しようとする度に、椅子に座ってくつろいでいる状態から、上半身を起こし、上記「変形可能な足乗せ台」を所望の高さや姿勢に変更する手間を要し、面倒であった。
【0009】
なお、上記「変形可能な足乗せ台」は、元々、手で姿勢変更を行なうことを前提として構成されたものであるため、仮に椅子に着席した状態で脚で、接続部材の全体、又は、一部の姿勢変更を行なおうとしても、普段使わない脚の筋肉を使うなどして、手で変更するより、かえって労力がかかるおそれもあった。
【特許文献1】特開2001−112581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明は、着席してくつろいだ状態でも、使用者の好みの姿勢に応じた姿勢や位置に、スムーズ、且つ、容易に変更して脚を載せることができるオットマンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、脚載せ部と、設置面に接地して該脚載せ部を支持する支持部とを備えたオットマンであって、上記支持部における接地部分に、設置面側へ突出する形状に湾曲した弧形状部を形成し、上記弧形状部を、上記脚載せ部に付与される載荷重に基いて上記接地部分の弧形状方向に沿って設置面に接地する接地箇所が移動する構成としたことを特徴とする。
【0012】
ここで、上記脚載せ部に付与される載荷重とは、例えば、上記脚載せ部に脚などの身体部位を載せたときに該脚載せ部に付与される荷重の大きさや方向を示す。
なお、脚載せ部に付与される荷重とは、身体部位を上記脚載せ部に載せたときに該身体部位の重量により加わる荷重や、使用者が力を加えて付与される荷重のいずれの荷重も含むものとする。
【0013】
上記構成により、上記支持部には、上記弧形状部を備えているため、脚載せ部に載せた脚の膝を例えば、屈曲、又は、伸長させた姿勢に変更することにより、これら姿勢に応じて上記弧形状部が設置面上を転がり、上記脚載せ部に付与される載荷重に基いて上記接地部分の弧形状方向に沿って設置面に接地する接地箇所が移動するため、設置面に対する脚載せ部の傾斜姿勢を容易に変更することができる。
【0014】
これにより、本発明のオットマンは、姿勢変更する際に、脚を脚載せ部に対して力を加えるだけで、上記弧形状部を設置面に転がすことができ、使用者は、適宜、椅子に着席して、くつろいだ姿勢のままでも、脚の姿勢を変更する動作に従って、オットマンを、脚を支持し易い姿勢に変更して用いることができる。
【0015】
したがって、力のない子供や老人、女性であっても、椅子に着席した状態でスムーズ、且つ、容易に姿勢変更することができる。
【0016】
さらにまた、使用者は、例えば、座席に座っている状態から上半身を起こし、オットマン自体を反転したり、横転させたりすることや、手で脚載せ部の姿勢を変更するといった、姿勢変更する際の煩わしさがないため、姿勢変更したい所望の姿勢に変更することが可能となり、常に快適な状態で用いることができる。
【0017】
また、本発明のオットマンは、駆動源や該駆動源を用いて脚載せ部の姿勢変更を行なうための複雑な機構を備えて構成していないため、故障し難く、メンテナンスを行う手間が不要であり、コストも低減することができるため、広く普及を図ることができる。
【0018】
この発明の態様として、上記弧形状部を、上記支持部の長さ方向の端部側が立ち上がる弧形状で形成し、上記脚載せ部を、上記支持部の長さ方向の端部側に有する立上がり部に備えることができる。
【0019】
このように弧形状部を、上記支持部の長さ方向の端部側が立ち上がる弧形状で形成することで、脚載せ部をスムーズに傾けることができるため、使い勝手がよく好ましい。
【0020】
さらに、上記脚載せ部を、支持部における立ち上がり部分に備えることで、該脚載せ部脚の取付け用の支柱といった部材を別途、支持部に設けずとも、脚を載せ易い高さに容易に備えることが可能となり、全体をシンプルな構成で構成することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、上記弧形状部を、上記立上がり部が長さ方向の中央側へ反り返る反り返り姿勢となる弧形状で構成し、上記脚載せ部を、該脚載せ部の載置面が上方向に対して上記支持部の長さ方向の中央側に傾斜した傾斜姿勢で構成することができる。
【0022】
このように、上記弧形状部を、上記立上がり部分が長さ方向の中央側へ反り返る反り返り姿勢となる弧形状で構成することにより、該弧形状部がより湾曲した形状(小さな曲率半径)で形成することが可能となるため、設置面に対して少し転がすだけでも支持部は、傾き易くなる。よって、オットマンは、少ない力でも、脚載せ部の姿勢を効率的に変更させることができる。さらに、上記脚載せ部を、該脚載せ部の載置面が上方向に対して上記支持部の長さ方向の中央側に傾斜した傾斜姿勢で構成することにより、脚載せ部の載置面を、椅子に座った使用者の側へ傾けることができるため、使用者は、脚載せ部へ楽な姿勢で脚を載せることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、上記立上がり部を、上記支持部の長さ方向の両側にそれぞれ構成し、上記脚載せ部を、第一脚載せ部と第二脚載せ部とで構成し、上記第一脚載せ部を、上記支持部の長さ方向の一方の側の上記立上がり部に備え、上記第二脚載せ部を、上記支持部の長さ方向の他方の側の上記立上がり部に備えることができる。
【0024】
上記構成により、使用者は、脚を上記第一脚載せ部と上記第二脚載せ部との双方に載置することができるため、脚をより広い面で支持することができ、安定して脚を載置することができるとともに、脚にかかる負荷を分散させることができる。
【0025】
さらに、椅子の前方側へオットマンを接地したとき、オットマンにおける、上記第一脚載せ部、上記第二脚載せ部のいずれの側を、椅子に対向するよう接地させても、オットマンを使用することができる。
【0026】
よって、オットマンの使用時に椅子に対する接地する方向を考慮することなく、使い勝手よく使用することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、上記第一脚載せ部を、ふくらはぎ部分を載置可能に構成し、上記第二脚載せ部を、上記第一脚載せ部にふくらはぎ部分を載置した脚の足裏部分を載置可能に構成することができる。
【0028】
上記構成により、上記第一脚載せ部にふくらはぎ部分を載置するとともに、上記第二脚載せ部に足裏部分を載置して用いることができる。
【0029】
これにより、上記第一脚載せ部と上記第二脚載せ部との双方で脚を保持することができるため、安定して脚を支持することができる。
【0030】
よって、使用者は、支持部の姿勢を保つために意識的に脚に力を加えてバランスをとるといった余分な労力を必要とせずに、快適に使用することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、上記弧形状部を、長さ方向の中央側に備えた中央弧形状部と、該中央弧形状部に対して長さ方向の外側に備えた外側弧形状部とで構成し、上記外側弧形状部を、上記中央弧形状部の曲率半径より小さな曲率半径の弧形状で形成することができる。換言すると、上記外側弧形状部を、上記中央弧形状部の曲率より大きな曲率となる弧形状で形成することができる。
【0032】
このように上記支持部を、上記中央弧状部と、該中央弧状部の曲率半径より小さな曲率半径の上記外側弧状部とで構成することにより、スムーズな姿勢変更と安定性との両方を兼ね備えることができる。
【0033】
詳しくは、中央弧状部は、外側弧状部より曲率半径が大きいため、設置面に転がしたとき、緩やかに傾き、安定した姿勢変更が可能となる。一方、外側弧状部は、中央弧状部より曲率半径が小さいため、設置面に対して転がしたとき、一気に傾いてスムーズな姿勢変更を行なうことができる。
【0034】
このため、本発明のオットマンは、傾けていない姿勢においては、支持部の中央側に有する中央弧状部が設置面に接地され、安定性を確保することができ、姿勢変更の際には、大きな曲率半径の中央弧状部から小さな曲率半径の外側央弧状部へと、設置面に接地する部分のスムーズな移動を実現することができるとともに、外側央弧状部が設置面に接地されときは、一気に傾いてスムーズな姿勢変更を実現することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、着席してくつろいだ状態のままでも、使用者の好みの姿勢に応じた姿勢や位置に、スムーズ、且つ、容易に変更して脚を載せることができるオットマンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態のオットマン10は、図1、図2、図3に示すように形成している。
図1(a)は、オットマン10の正面図であり、図1(b)は、オットマン10の右側面図である。図2(c)は、オットマン10の平面図であり、図2(d)は、オットマン10の底面図である。
【0037】
図3は、オットマン10の使用状態を示す説明図であり、詳しくは、椅子Cの前方へ置き、椅子Cに着席した使用者の脚をオットマン10に載せた状態を示し、オットマン10の有する部分を一部拡大して示している。
【0038】
ここで、以下では、図1(a)中のW方向をオットマン10の幅方向Wとし、図1(b)中のL方向をオットマン10の長手方向Lとして説明する。
上記オットマン10は、椅子Cに着席した使用者が脚を載せる脚載せ部11と、床面Fに接地され、上記脚載せ部11を支持する支持部12とを備えている。
【0039】
上記支持部12は、金属製のパイプで構成した一対の支持フレーム12F,12Fで構成し、該一対の支持フレーム12Fのそれぞれは、幅方向Wの両側の各側に備えている。
【0040】
上記一対の支持フレーム12F,12Fは、それぞれ同一形状で形成し、各支持フレーム12Fは、側面視すると、倒位の略Cの字形状で構成し、該倒位の略Cの字形状の両端部側部分の曲率半径と比較して中央側部分の曲率半径が大きくなるよう構成している。
【0041】
詳しくは、オットマン10は、上記支持部12における接地部分15に、床面F側へ突出する形状に湾曲した弧形状部13を形成し、上記弧形状部13を、上記脚載せ部11に付与される載荷重に基いて上記接地部分15の弧形状方向L1に沿って床面Fに接地する接地箇所15Aが移動する構成としている。
【0042】
なお、床面Fと接触する上記接地箇所15Aは、例えば、図3に示すように、側面視すると、上記接地部分15のうち床面Fに対して点接触状態で接触した部分を示している。また、上記弧形状方向L1とは、弧形状部13に沿った方向を示し、図1(b)中に示すL1方向を示すものとする。
【0043】
上記弧形状部13は、上記接地部分15の弧形状方向L1全体に亘って形成され、側面視すると長手方向Lの中央に備えた中央弧形状部13Aと、該中央弧形状部13Aの長手方向Lの両外側に備えた外側弧形状部13Bとで構成している。
【0044】
上記中央弧形状部13Aは、長手方向Lにおける略中央部分から両側に進むに連れ、緩やかに立ち上がる弓型形状に湾曲した弧形状で形成している。
【0045】
上記外側弧形状部13Bは、図1(b)に示すように上記中央弧形状部13Aの曲率半径Rより小さな曲率半径r、換言すると大きな曲率(1/r)の弧形状で形成し、支持部12の長さ方向L1の端部が、長手方向Lの外側から中央側へ斜め上方を向くよう反り返る形状に湾曲する弧形状で形成している。
なお、中央弧形状部13Aは、例えば、曲率半径Rが400mm(曲率(1/R)は、1/400)の円弧形状で形成し、外側弧形状部13Bは、例えば、曲率半径rが60mm(曲率(1/r)は、1/60)の円弧形状で形成している。また、支持部12の長さ方向L1とは、長尺状の支持部12の形成方向に沿った方向であり、図1(b)中のL1方向が示すように、上記接地部分15において弧形状方向L1と一致する方向を示す。
【0046】
支持部12は、上述した中央弧形状部13A、及び、外側弧形状部13Bを備えることで、支持部12の長さ方向L1の両端側部分には、立ち上がった立上がり部14を備えている。上記立上がり部14は、床面Fに対して長手方向Lの外側から中央側へ例えば、130度〜140度(θ)程度反り返った立上がり形状で形成している。
【0047】
さらに、支持部12の長手方向Lの両側に備えた立上がり部14は、それぞれ直線形状で形成し、一方の立上がり部14(例えば、図1(b)中の右側の立上がり部14)を、長尺状立上がり部14Lで形成するとともに、他方の立上がり部14(例えば、図1(b)中の左側の立上がり部14)を、上記長尺状立上がり部14Lよりも短い短尺状立上がり部14Sで形成している。
なお、目安として、上記長尺状立上がり部14Lは、上記短尺状立上がり部14Sの長さに対して、約1.6倍程度の長さで形成している。
【0048】
また、一対の支持フレーム12F,12Fのそれぞれは、オットマン10を正面視したとき、図1(a)に示すように、該一対の支持フレーム12F,12F同士の上部側の間隔が下部側の間隔と比較して幅小になるよう例えば、11度程度(θ)、傾けて構成している。
【0049】
このように、一対の支持フレーム12F,12Fを、互いの間隔が下部側と比較して上部側が幅小になるよう傾けて構成することにより、横方向へ作用する負荷に対して支持フレーム12Fにより突っ張った状態で床面Fに接地することができ、例えば、一対の支持フレーム12F,12Fを、下部同士の間隔で真直ぐに起立させた形態で形成した場合よりも、より一層、オットマン10が横転し難い構成で構成することができる。
これは、仮にオットマン10が横転する際には、幅方向Wのいずれか一方の支持フレームFが、その下端部が回転支点となり回動する際に、該オットマン10の重心が持ち上がらない限り横転することがない構造となるからである。
【0050】
続いて、上記脚載せ部11について説明する。上記脚載せ部11は、板状に構成し、基板16とクッション部17とを一体に構成している。基板16は、脚載せ部11の底部に備え、例えば、合板などの硬質な板状部材で形成している。クッション部17は、例えば、綿や発泡ウレタンなどの柔軟なクッション材を内部に備え、該クッション材をクッションカバーで被覆して形成し、基板16の上側に備えている。クッション部17の上面は、平坦状であり、脚を載置可能な載置面11Aを構成している。
【0051】
さらに、上記脚載せ部11は、長尺状脚載せ部11Lと、該長尺状脚載せ部11Lよりも短い短尺状脚載せ部11Sとで構成している。
長尺状脚載せ部11Lと短尺状脚載せ部11Sとは、いずれも同じ幅(幅方向Wの長さ)で形成しているが、長さについては、長尺状脚載せ部11Lは、脚のふくらはぎ部分101を載置可能に例えば、400mmの長さで形成し、短尺状脚載せ部11Sは、脚の踵部分や足裏部分を載置可能に例えば、300mmの長さで形成している。
【0052】
上記長尺状脚載せ部11Lは、上記長尺状立上がり部14Lの上端部により下側中央から支持され、上記短尺状脚載せ部11Sは、上記短尺状立上がり部14Sの上端部により下側中央から支持されている。
詳しくは、上記長尺状脚載せ部11L、及び、上記短尺状立上がり部14Sは、いずれも取付板22を介して支持部12に一体に取り付けている。
支持部12の立上がり部14の上端部と取付板22とは、溶着により一体に取り付けている。一方、上記脚載せ部11の基材と取付板22とは、複数のネジ23により強固に取り付けている。
【0053】
長尺状脚載せ部11Lと短尺状脚載せ部11Sとは、それぞれ長尺状脚載せ部11Lにふくらはぎ部分101を載置したとき、短尺状脚載せ部11Sに、足裏部分を載置可能な側面視略Vの字形状になるよう、支持部12に取り付けられている。
【0054】
すなわち、長尺状脚載せ部11Lと短尺状脚載せ部11Sとは、長手方向Lの中央側において、互いの端部同士が接触し、該長尺状脚載せ部11Lと該短尺状脚載せ部11Sとのなす角が例えば、90度になる傾斜姿勢でそれぞれ支持部12に取り付けられている(図1(b)参照)。
【0055】
以下では、上述した構成のオットマン10の一実施例について図3から図7を用いて説明する。
図3は、上述したとおり、椅子Cに着席した使用者が脚をオットマン10に載せた状態のオットマン10の使用状態の一例を示す図であり、図4は、椅子Cの背凭れ部Bを略水平になるまで倒して使用者が仰臥した状態におけるオットマン10の使用状態を示す説明図であり、オットマン10の有する部分を一部拡大して示している。図5は、図3に示した状態から図4に示した状態へ変更する際のオットマン10の作用説明図である。図6は、使用者が着席した状態において図3とは異なる位置、姿勢でオットマン10に脚を載せた状態のオットマン10の使用状態の一例を示す説明図であり、オットマン10の有する部分を一部拡大して示している。図7は、図3に示した状態から図6に示した状態へ変更する際のオットマン10の作用説明図である。
【0056】
使用者は、図3に示すように、椅子Cの前方にオットマン10に接地する。本実施例においては、オットマン10は、長手方向LLにおける長尺状脚載せ部11Lの側が椅子Cと対向する向きに接地する。
【0057】
なお、オットマン10は、長尺状脚載せ部11Lや短尺状脚載せ部11Sに何も負荷をかけず、単に床面Fに置いた状態においては、図1(a),(b)に示すような姿勢で床面Fに接地することができる。
【0058】
そして、使用者は、図3に示すように例えば、読書などに適した椅子Cの背凭れ部Bを少し倒した姿勢で着席した場合に、オットマン10に脚を載せ、該オットマン10を上述したように単に床面Fに置いたときの姿勢と略近い姿勢のまま用いることができる。
【0059】
詳しくは、使用者は、脚のふくらはぎ部分101をオットマン10の長尺状脚載せ部11Lに載置し、足裏部分102を短尺状脚載せ部11Sに載置する。
これにより、使用者の足裏部分102の接地位置を床面Fよりを少し高い位置に保つことができるとともに、膝部分を少し伸ばした楽な姿勢に保つことができる。
【0060】
さらに、脚を長尺状脚載せ部11Lと短尺状脚載せ部11Sとの双方で支持することにより、負荷を分散させることができる。
【0061】
よって、使用者の脚の血の循環が低下せず、疲労や、むくみが発生し難いリラックスした状態で着席することができる。
【0062】
さらにまた、図1(a),(b)に示すような姿勢でおくことで、オットマン10は、上述した状態において、緩やかに湾曲した中央弧形状部13Aが床面Fに接地されるため、使用者は、足首などの軽い屈伸動作を繰り返すことで、オットマン10を緩やかに揺動させながら脚を載置することができる。これにより、使用者は、常に同じ着座姿勢で脚を載せ続けた場合のように疲労感を感じることがなく快適に着席することができる。
【0063】
また他の実施例として、図4に示すように、使用者は、椅子Cの背凭れ部Bを水平に倒して、仰臥した状態において、図4の一部拡大図に示すように、使用者の脚は、伸ばした姿勢となるが、このとき、ふくらはぎ部分101から、かかと部分103にかけて全体を長尺状脚載せ部11Lにより下側からしっかりと支持することができる。
【0064】
よって、使用者は、脚の一部分に局所的に負荷がかかることがなく、快適に、且つ、安定して脚の体重を長尺状脚載せ部11Lにあずけることができる。
【0065】
さらに、オットマン10は、傾いた姿勢であっても、ふくらはぎ部分101全体を長尺状脚載せ部11Lにより水平な状態で下側から支えることができるため、安定した状態を保つことができる。
【0066】
続いて、脚の姿勢変更として、図3に示すように脚の膝部を曲げた姿勢から図4に示すように脚の膝部を伸ばした姿勢へ変更する際に奏するオットマン10の作用、効果について図5を用いて説明する。
【0067】
なお、図5中の仮想線で示したオットマン10、及び、仮想線で示した脚は、図3に示したオットマン10、及び、脚と同じ姿勢のものである。図5中の実線で示したオットマン10、及び、実線で示した脚は、図4に示した状態におけるオットマン10、及び、脚と同じ姿勢のものである。
【0068】
図3に示した状態から例えば、足裏部分102で短尺状脚載せ部11Sを前方(椅子Cと離間する方向)へ押すことで、長尺状脚載せ部11L、及び、短尺状脚載せ部11Sに使用者からの載荷重が付与され、オットマン10を前方へスライドさせることができる。
ここで、中央弧形状部13Aは、緩やかに湾曲しているため、オットマン10は、中央弧形状部13Aの所定部位が床面Fに対して点接触した状態で接地されている(図5中の仮想線で示した中央弧形状部13A参照)。このため、面接触状態で接地している場合と比較して床面Fからの摩擦を低減することができ、前方へ軽く押すだけで、スムーズにスライドさせることができる。
【0069】
オットマン10は、スライドしながら中央弧形状部13Aが床面Fを転がり、該中央弧形状部13Aの円弧形状に従って、緩やかに時計回りに傾いていく。やがて外側弧形状部13Bが床面Fに接地され、床面Fに沿って転がると、該外側弧形状部13Bは、小さな曲率半径r(大きな曲率(1/r))で形成しているため、オットマン10は、一気に時計回りに傾き、脚の膝部を完全に伸ばしたとき、図5に示すように、長尺状脚載せ部11Lが略水平な姿勢になるよう変更することができる。
【0070】
このように、長尺状脚載せ部11L、及び、短尺状脚載せ部11Sに付与される載荷重に基いて上記接地部分15(長尺状脚載せ部11L、及び、短尺状脚載せ部11S)の弧形状方向L1に沿って床面Fに接地する接地箇所15Aが移動することになる。
【0071】
以上により、オットマン10は、図4に示した姿勢となり、長尺状脚載せ部11Lで使用者のふくらはぎ部分101から、かかと部分103まで全体を下側から支持することができる。
【0072】
また、使用者は、図6に示したような姿勢で着座することもできる。すなわち、使用者は、オットマン10を、図3よりも、椅子Cの近くへ引き寄せた位置で図1に示した姿勢に対して反時計回りに傾けた姿勢で床面Fに接地し、このようなオットマン10に脚を載せることができる。
【0073】
詳しくは、使用者は、略水平となった短尺状脚載せ部11Sに足裏部分102を載置し、長尺状脚載せ部11Lにふくらはぎ部分101を当接させた状態となる。脚の膝部が略90度程度になるまで屈曲し、図3に示した姿勢よりも足裏部分102を短尺状脚載せ部11Sに体重をかけた状態で載せることができるため、椅子Cに長時間着席しても、椅子Cから身体がズレ落ちることなくリラックスして着席することができる。
【0074】
さらに、オットマン10は、図6に示すように、支持部12が傾いて重心が高くなった姿勢となっているが、長尺状脚載せ部11Lと短尺状脚載せ部11Sとの双方で脚を保持することができるため、不測にガタついたり、スライドしてしまうことなく、その傾いた姿勢のまま、安定した状態に保つことができる。
【0075】
続いて、脚の姿勢変更として、図3に示すように脚の膝部を曲げた姿勢から図6に示すように脚の膝部を立てた姿勢へ変更する際に奏するオットマン10の作用、効果について図7を用いて説明する。
【0076】
なお、図7中の仮想線で示したオットマン10、及び、仮想線で示した脚は、図3に示したオットマン10、及び、脚と同じ姿勢のものである。図7中の実線で示したオットマン10、及び、実線で示した脚は、図6に示したオットマン10、及び、脚と同じ姿勢のものである。
【0077】
図3に示した状態から、脚の例えば、かかと部分103とふくらはぎ部分101で長尺状脚載せ部11Lを手前側に引き寄せることにより、長尺状脚載せ部11L、及び、短尺状脚載せ部11Sに使用者からの載荷重が付与され、中央弧形状部13Aは転がりながら手前側へスライドさせることができる。
【0078】
このとき、オットマン10は、中央弧形状部13Aの円弧形状に従って、緩やかに反時計回りに傾いていく。
【0079】
そして上述したように、中央弧形状部13Aが床面Fに沿って転がると、やがて外側弧形状部13Bが床面Fに接地され、床面Fに沿って転がることになる。該外側弧形状部13Bは、小さな曲率半径r(大きな曲率(1/r))で形成しているため、オットマン10は、反時計回りに一気に傾き、図6に示すような姿勢へと変更され、使用者は、オットマン10の膝部が略90度まで屈曲した姿勢で脚を載せることができる。
【0080】
このように、長尺状脚載せ部11L、及び、短尺状脚載せ部11Sに付与される載荷重に基いて上記接地部分15(長尺状脚載せ部11L、及び、短尺状脚載せ部11S)の弧形状方向L1に沿って床面Fに接地する接地箇所15Aが移動することになる。
【0081】
なお、上述した実施例では、図3に示した姿勢から図6に示した姿勢へ変更する実施例について図7を用いて説明したが、一気に図4に示した姿勢から図6に示した姿勢へ変更することも可能である。
【0082】
以上詳述したように、オットマン10は、使用者が、椅子Cの背凭れ部B分に凭れた状態で着席したまま、例えば、膝部や足首の関節を動かすなどして脚の姿勢を変更するだけで、その動作に従って、所望の高さや姿勢に変更され、脚を支えることができる。
【0083】
このため、使用者は、例えば、座席に座っている状態から上半身を起こし、オットマン10自体を反転したり、横転させたりすることや、手で脚載せ部11の姿勢を変更するといった、姿勢変更する際の煩わしさがなく、手軽に姿勢変更することが可能となり、常に快適な状態で用いることができる。
【0084】
さらに、オットマン10は、駆動源や該駆動源を用いて脚載せ部の姿勢変更を行なうための複雑な機構を備えて構成していないため、故障し難く、メンテナンスを行う手間が不要であり、コストも低減することができるため、広く普及を図ることができる。
【0085】
また、弧形状部13を、大きな曲率半径Rの中央弧形状部13Aと、小さな曲率半径rの外側弧形状部13Bとで構成し、支持部12の長さ方向L1において中央弧形状部13Aの両外側に外側弧形状部13Bを連続的に構成することで、支持部12が床面を転がったとき中央弧形状部13Aと外側弧形状部13Bとの間での床面に対する接地箇所15Aのスムーズな移動が可能となる。
【0086】
よって、力のない子供や老人、女性であっても、椅子に着席したままでもスムーズ、且つ、容易にオットマン10の姿勢変更を行うことができる。
【0087】
さらにまた、長尺状脚載せ部11Lと短尺状脚載せ部11Sは、互いの相対角度が略90°になるよう構成しているため、椅子Cに着席したとき、ふくらはぎ部分101と足裏部分102の双方を、脚載せ部11にフィットさせることができ、快適な使用状態を確保することができるとともに、脚を用いたオットマン10のよりスムーズな姿勢変更を実現することができる。
【0088】
また、オットマン10は、上述した一実施例に限らず、多くの実施例で用いることができる。
【0089】
例えば、上述した実施例では、使用者が椅子Cに着席する際の姿勢を変更するに従って、脚を載せ易い姿勢にオットマン10の姿勢に変更して使用する実施例について説明したが、この実施例に限らず、椅子Cは、背凭れの角度や座部の高さを一定に保った状態で、オットマン10の位置、姿勢のみを変更して用いていもよい。
【0090】
また、使用者は、オットマン10を椅子Cに着席した状態でのみ用いる限らず、ソファーに着席した状態やベッドに仰臥した状態で用いてもよい。
【0091】
さらにまた、オットマン10は、該オットマン10の長手方向Lの長尺状脚載せ部11L側が椅子Cに対向するよう椅子Cの前方に接地するに限らず、短尺状脚載せ部11S側が椅子Cに対向するよう椅子Cの前方に接地して用いることができる。この場合、使用者が子供や女性、老人など、性別、年齢、体格などに応じて例えば、短尺状脚載せ部11Sにふくらはぎ部分101を載置し、長尺状脚載せ部11Lに足裏部分102を載置して用いることができる。
【0092】
また、オットマン10は、該オットマン10の幅方向Wにおいて椅子Cと対向するよう、平面視90度回転した姿勢で使用してもよい。
また、この発明は、上述した実施形態の形態に限定せず、その他にも多くの形態で構成することができる。
例えば、本発明のオットマン10は、脚載せ部11を、長尺状脚載せ部11Lと短尺状脚載せ部11Sとで構成するに限らず、2つの脚載せ部11の双方ともに、長尺状脚載せ部11L、或いは、短尺状脚載せ部11Sで構成してもよい。
【0093】
また、発明のオットマン10は、図8(a)に示すように、1つの脚載せ部31を備え、該脚載せ部31を、支持部32の長さ方向L1の各側に有する2つの立上がり部14,14で下側から支持した構成で構成することができる。さらに、図8(a)に示す構成の場合、2つの立上がり部14は、同じ長さで形成し、脚載せ部31の上面は、平坦な載置面31Aで構成している。
【0094】
上記構成によれば、1つの脚載せ部31を、2つの立上がり部14,14で支持する構造であるため、強度が高く、且つ、広い載置面31Aを確保することができる。
【0095】
また、発明のオットマン10は、図8(b)に示すように、支持部42の中央弧形状部13Aの中央部分から支柱43を立設し、該支柱43の上端部に長尺状脚載せ部41L、及び、短尺状脚載せ部41Sを備えた構成であってもよい。
【0096】
上記構成により、長尺状脚載せ部41Lと短尺状脚載せ部41Sとを一体に構成した部材の重心に対して下側から支柱43により支持できるため、長尺状脚載せ部41L、及び、短尺状脚載せ部41Sをしっかりと支持することができる。
【0097】
さらにまた、発明のオットマン10は、図8(c)に示すように、支持部12は、側面視閉環形状に構成してもよい。詳しくは、支持部12は、床面Fに有する側へ突出する湾曲形状で形成したフレームの長手方向の両端部分に、水平フレームを一体に連結した構成で構成している。
【0098】
このように支持部12を閉環状に構成することで、強度を向上させることができる。
【0099】
その他にも、上記脚載せ部11は、板状に構成するに限らず、一対の支持フレーム12F,12Fの幅方向Wにおける間を横架するフレーム構造であってもよい。
【0100】
さらにまた、弧形状部13は、中央弧形状部13A、及び、外側弧形状部13Bとで構成するに限らず、外側弧形状部13Bのみで構成してもよい。すなわち、支持部12は、中央弧形状部13Aに相当する部分を直線状に形成し、外側弧形状部13Bのみを備えた構成であってもよい。
【0101】
上述した実施形態と、この発明の構成との対応において、
長尺状脚載せ部11Lは、第一脚載せ部に対応し、
短尺状脚載せ部11Sは、第二脚載せ部に対応し、
長尺状立上がり部14Aは、上記支持部の長さ方向の一方の側の上記立上がり部に対応し、
短尺状立上がり部14Bは、上記支持部の長さ方向の他方の側の上記立上がり部に対応し、
床面Fは、設置面に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】オットマンの正面図、及び、右側面図。
【図2】オットマンの平面図、及び、底面図。
【図3】使用者が脚を曲げた状態でのオットマンの使用状態図。
【図4】使用者が脚を伸ばした状態でのオットマンの使用状態図。
【図5】オットマンの作用説明図。
【図6】図1とは異なる姿勢で使用者が脚を曲げた状態でのオットマンの使用状態図。
【図7】オットマンの作用説明図。
【図8】他の実施形態におけるオットマンを示す説明図。
【符号の説明】
【0103】
10,30,40,50…オットマン
11,31,41,51…脚載せ部
11L,41L,51L…長尺状脚載せ部
11S,41S,51S…短尺状脚載せ部
12,32,42,52…支持部
13…弧形状部
13A…中央弧形状部
13B…外側弧形状部
14…立上がり部
15…接地部分
15A…接地箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚載せ部と、設置面に接地して該脚載せ部を支持する支持部とを備えたオットマンであって、
上記支持部における接地部分に、設置面側へ突出する形状に湾曲した弧形状部を形成し、
上記弧形状部を、上記脚載せ部に付与される載荷重に基いて上記接地部分の弧形状方向に沿って設置面に接地する接地箇所が移動する構成とした
オットマン。
【請求項2】
上記弧形状部を、上記支持部の長さ方向の端部側が立ち上がる弧形状で形成し、
上記脚載せ部を、上記支持部の長さ方向の端部側に有する立上がり部に備えた
請求項1に記載のオットマン。
【請求項3】
上記弧形状部を、上記立上がり部が長さ方向の中央側へ反り返る反り返り姿勢となる弧形状で構成し、
上記脚載せ部を、該脚載せ部の載置面が上方向に対して上記支持部の長さ方向の中央側に傾斜した傾斜姿勢で構成した
請求項2に記載のオットマン。
【請求項4】
上記立上がり部を、上記支持部の長さ方向の両側にそれぞれ構成し、
上記脚載せ部を、第一脚載せ部と第二脚載せ部とで構成し、
上記第一脚載せ部を、上記支持部の長さ方向の一方の側の上記立上がり部に備え、
上記第二脚載せ部を、上記支持部の長さ方向の他方の側の上記立上がり部に備えた
請求項2、又は、3に記載のオットマン。
【請求項5】
上記第一脚載せ部を、ふくらはぎ部分を載置可能に構成し、
上記第二脚載せ部を、上記第一脚載せ部にふくらはぎ部分を載置した脚の足裏部分を載置可能に構成した
請求項4に記載のオットマン。
【請求項6】
上記弧形状部を、長さ方向の中央側に備えた中央弧形状部と、該中央弧形状部に対して長さ方向の外側に備えた外側弧形状部とで構成し、
上記外側弧形状部を、上記中央弧形状部の曲率半径より小さな曲率半径の弧形状で形成した
請求項1から5のいずれかに記載のオットマン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−57853(P2010−57853A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229344(P2008−229344)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(502020168)ユーバ産業株式会社 (11)