説明

オフセット印刷インキ用ゲルワニスの製造方法

【課題】ミスチングが十分に抑制され、最大乳化率が製造ロット毎に常に一定なオフセット印刷インキを提供すること。
【解決手段】少なくとも、樹脂、ゲル化剤及び有機溶剤を含有する混合物を150℃以下で加熱して該樹脂を高分子量化するオフセット印刷インキ用ゲルワニスの製造方法で製造したオフセット印刷インキ用ゲルワニス、又は、少なくとも、重量平均分子量18万以上のゲル化樹脂及び有機溶剤を含有するオフセット印刷インキ用ゲルワニスを用いたオフセット印刷インキで上記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット印刷インキ用ゲルワニスの製造方法、及びその製造方法を使用して製造されたオフセット印刷インキ用ゲルワニスに関する。
【背景技術】
【0002】
オフセット印刷インキに含有させて用いられるゲルワニスは、一般に、樹脂と要すれば乾性油又は半乾性油とを溶剤に加熱溶解させたものに、増粘させて印刷特性を向上させるためにゲル化剤を更に添加し加熱して高分子量化させることによって製造されている。
【0003】
例えば、特許文献1〜5等には、ロジン変性フェノール樹脂等の樹脂にゲル化剤を加え、140〜240℃に加熱してゲルワニスを製造する方法が多数記載されている。
【0004】
一方、近年、オフセット印刷において、印刷機の印刷速度の高速化が進んでいるが、印刷機の印刷速度が速くなるほどミスチングが増加するので、それらを防止することが強く望まれている。しかしながら、特許文献に挙げたような従来のオフセット印刷インキ用ゲルワニスを用いたオフセット印刷インキでは、かかるミスチングを十分に抑制したものはできなかった。
【0005】
また、従来のオフセット印刷インキ用ゲルワニスを用いたオフセット印刷インキでは、乳化率が常に一定なものを製造することが難しく、安定生産という点でも更なる改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−095254号公報
【特許文献2】特開平4−132778号公報
【特許文献3】特開平8−283643号公報
【特許文献4】特開平10−088052号公報
【特許文献5】特開2007−238795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、ミスチングが十分に抑制され、乳化率が製造ロット毎に常に一定なオフセット印刷インキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、オフセット印刷インキに含有されるゲルワニスの製造方法において、少なくとも樹脂とゲル化剤とを共存させた状態での加熱温度を、従来の加熱温度より低温側に設定することによって、ミスチングが十分に抑制され、乳化率が一定なオフセット印刷インキが容易にできることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくとも、樹脂、ゲル化剤及び有機溶剤を含有する混合物を150℃以下で加熱して該樹脂を高分子量化することを特徴とするオフセット印刷インキ用ゲルワニスの製造方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記の製造方法を使用して製造されたものであることを特徴とするオフセット印刷インキ用ゲルワニスを提供するものである。
【0011】
また、本発明は、少なくとも、重量平均分子量18万以上のゲル化樹脂及び溶剤を含有することを特徴とするオフセット印刷インキ用ゲルワニスを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、上記のオフセット印刷インキ用ゲルワニス及び着色剤を含有することを特徴とするオフセット印刷インキを提供するものである。
【0013】
また、本発明は、基材に上記のオフセット印刷インキを印刷してなることを特徴とする印刷物を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法で製造されたオフセット印刷インキ用ゲルワニスを用いれば、オフセット印刷インキに通常要求される種々の性能を満足させつつ、前記問題点や課題を解決し、特に印刷時のミスチングが抑制されたオフセット印刷インキを提供することができる。また、オフセット印刷インキ用ゲルワニスの製造条件の微妙な変動によっても最大乳化率が安定したオフセット印刷インキを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】オフセット印刷インキ用ゲルワニスを製造する際の加熱温度と得られたゲルワニスの粘度との関係を示すグラフである。
【図2】オフセット印刷インキ用ゲルワニスを製造する際の加熱温度と得られたゲルワニス中のゲル化樹脂の重量平均分子量との関係を示すグラフである。
【図3】オフセット印刷インキ用ゲルワニスを製造する際の加熱温度と加熱時間を変化させた時の、得られたゲルワニス中のゲル化樹脂における分子量60万〜1500万の成分の質量割合を示した3次元グラフである。
【図4】オフセット印刷インキ用ゲルワニスを製造する際の加熱温度と加熱時間を変化させた時の、得られたゲルワニス中のゲル化樹脂における分子量2万〜5万の成分の質量割合を示した3次元グラフである。
【図5】ゲル化剤を配合せずに加熱した際の加熱温度と重量平均分子量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0017】
本発明は、オフセット印刷インキに含有されるオフセット印刷インキ用ゲルワニス(以下、単に「ゲルワニス」と略記することがある。)の製造方法であって、「少なくとも、樹脂、ゲル化剤及び有機溶剤を含有する混合物」(以下、括弧内を単に「混合物」と略記することがある。)を150℃以下で加熱することによって該樹脂を高分子量化することを特徴とする。以下、該混合物からゲル化剤を除いたものを「ワニス」と略記することがある。
【0018】
1.樹脂
上記樹脂としては、ゲル化剤の存在下で加熱することによって高分子量化するものであれば特に限定はなく、オフセット印刷インキ用のゲルワニスに用いられるあらゆる公知のものが挙げられ、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン系ポリエステル樹脂、マレイン化ロジン、アルキッド樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、ギルソナイト樹脂、石油樹脂、炭化水素樹脂、酸変性炭化水素樹脂等が挙げられる。それらのうちでも、有機溶剤中でゲル化剤と共に150℃以下で加熱したときに特に好適に高分子量化できる点、高分子量化したゲル化樹脂を含有するゲルワニスを用いて製造したオフセット印刷インキの印刷特性が良好な点等からロジン含有樹脂が好ましい。
【0019】
1.1.ロジン含有樹脂
「ロジン含有樹脂」とは、樹脂中にロジン由来の化学構造を有するものであり、ロジン類が化学反応をして樹脂中に取り込まれているものをいい、ロジン変性フェノール樹脂等のように、一旦樹脂を合成しその樹脂をロジン類で変成したものも、ロジン系ポリエステル樹脂等のように、最初からロジン類を原料として合成した樹脂も含まれる。
【0020】
上記「ロジン類」としては特に限定はないが、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の天然ロジン;該天然ロジンから得られる重合ロジン;該天然ロジンや該重合ロジンを不均化して得られる不均化ロジン、該天然ロジンや該重合ロジンを水素添加して得られる水素添加ロジン等の安定化ロジン;該天然ロジンや該重合ロジンにマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類を付加して得られる不飽和酸変性ロジン;これらの酸変性ロジン等が挙げられる。
【0021】
「ロジン含有樹脂」としては上記定義に含まれるものであれば特に限定はないが、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン系ポリエステル樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、マレイン化ロジン等が挙げられる。中でも、有機溶剤中でゲル化剤と共に150℃以下で加熱したときに特に好適に高分子量化でき本発明の効果が顕著に得られる点、150℃以下で加熱して得られるゲルワニスを用いて製造したオフセット印刷インキの印刷特性が良好な点等から、ロジン変性フェノール樹脂又はロジン系ポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0022】
ロジン含有樹脂に化学結合されたロジン類由来のカルボキシル基、ロジン含有樹脂に化学結合されたポリオール類由来の水酸基等に、後述するゲル化剤が作用するので、ロジン含有樹脂は、ゲル化剤によって特に高分子量化され易い。従って、その意味でも、本発明における樹脂は、上記ロジン変性フェノール樹脂、上記ロジン系エステル樹脂等のロジン含有樹脂であることが好ましい。
【0023】
1.1.1.ロジン変性フェノール樹脂
「ロジン変性フェノール樹脂」とは、少なくとも、ロジン類、「フェノール類とアルデヒド類との縮合物」及びポリオール類を必須成分として反応させて得られるものをいう。
【0024】
「ロジン変性フェノール樹脂」における「ロジン類」としては上記したものが挙げられる。
【0025】
上記「フェノール類」としては特に限定はないが、例えば、フェノール(石炭酸);炭素数が1〜20の直鎖、分岐又は環状アルキル基で置換されたアルキル基置換フェノール;フェニルフェノール、クミルフェノール等の芳香族基置換フェノール;カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等の多価フェノール等が挙げられる。このうち、「炭素数が1〜20の直鎖、分岐又は環状アルキル基で置換されたアルキル基置換フェノール」が好ましく、具体的には例えば、p−クレゾール、m−クレゾール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−アミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール(POP)、p−ノニルフェノール(PNP)、p−デシルフェノール(PDDP)、p−ドデシルフェノール等が好ましいものとして挙げられる。その中でも、PNP及び/又はPDDPを用いたもの、PNP及び/又はPDDP並びにPOPを用いたもの等が特に好ましい。
【0026】
上記「アルデヒド類」としては特に限定はないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフラール等が挙げられる。
【0027】
前記「フェノール類とアルデヒド類との縮合物」は、レゾール型フェノール樹脂であることが、ロジン変性フェノール樹脂の分子量を上げるために好ましい。レゾール型フェノール樹脂の製造方法としては、上記フェノール類と上記アルデヒド類とを、水中若しくは有機溶媒中でアルカリ触媒の存在下で加熱反応する方法、又は、上記フェノール類と上記アルデヒド類とを、水中若しくは有機溶媒中で酸触媒の存在下で加熱反応してまずノボラック型フェノール樹脂を製造した後、上記アルデヒド類及びアルカリ触媒の存在下で加熱反応をせしめレゾール化する方法等が挙げられる。
【0028】
レゾール型フェノール樹脂の具体的製造方法は特に限定はないが、フェノール類1モルに対して、ホルムアルデヒド1.5〜3モルの割合で混合し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ触媒存在下で縮合重合して得られる。必要に応じて、反応後にアルカリ触媒を中和及び/又は水洗することも好ましい。
【0029】
上記「ポリオール類」としては特に限定はないが、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、エトキシ化トリメチロールプロパン、プロポキシ化トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ブタンジオール、2−メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族型の多価アルコール類が挙げられる。
【0030】
「ロジン変性フェノール樹脂」は、少なくとも、上記ロジン類、フェノール類とアルデヒド類との上記縮合物(以下、「縮合物」と略記する)、及び上記ポリオール類を必須成分として反応させて得られる。「ロジン変性フェノール樹脂」の具体的な製造方法は特に限定はなく、公知の製造方法を採用することができる。例えば、ロジン類と縮合物をまず反応させ、次いでその反応物とポリオール類を反応させて製造する方法(以下、「方法A」と略記する)、又は、ロジン類とポリオール類をまず反応させ、次いでその反応物と縮合物を反応させて製造する方法(以下、「方法B」と略記する)等の何れの方法をも採用できる。また、ポリオール類を反応させる際には、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、蟻酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム等のマグネシウム塩類等の金属化合物を存在させてもよい。
【0031】
上記反応には、必要に応じて、酸触媒を使用することができ、そのような酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等が挙げられる。また着色を防止するために、還元剤である次亜燐酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート等を併用することもできる。また、反応の促進を図るため、減圧にすることも可能である。
【0032】
方法Aの具体的製造方法としては特に限定はないが、例えば、ロジン類を150〜250℃に加熱溶融し、そこに縮合物を滴下反応させた後、ポリオール類を反応器に仕込み、温度200〜280℃で反応させる方法が挙げられる。方法Bの具体的製造方法としては特に限定はないが、例えば、ロジン類、ポリオール類を反応器に仕込み、温度200〜280℃で反応させ、次いでこの反応物に縮合物を150〜250℃で滴下反応させる方法が挙げられる。
【0033】
それぞれの使用量は、ロジン類100質量部に対し、レゾール型フェノール樹脂等の縮合物は20〜130質量部が好ましく、40〜100質量部が特に好ましい。また、ロジン類100質量部に対し、ポリオール類は5〜15質量部が好ましい。また、ロジン類のカルボン酸の1当量に対し、ポリオール類の水酸基が0.5〜1.2当量になるようにポリオール類を使用することも好ましい。この範囲内であれば、樹脂自体の軟化点及び分子量を好適の範囲に納めることが容易であり、ゲル化剤との反応点を好適に残存させることが容易であり、ゲル化剤存在のもと150℃以下で加熱して該樹脂を高分子量化させて本発明の前記効果をより顕著に発揮させることができるオフセット印刷インキ用ゲルワニスを製造することができる。
【0034】
所望に応じて、例えば、不飽和二塩基酸、植物油、重合植物油、植物油脂肪酸、植物油脂肪酸のエステル、アルキッド樹脂、石油樹脂等を加えて反応させ、軟化点、分子量、溶解性、粘度等を調整することも可能である。
【0035】
ロジン変性フェノール樹脂の重量平均分子量は、20000〜300000が好ましく、40000〜250000がより好ましく、60000〜200000が特に好ましい。重量平均分子量が小さ過ぎると、本発明の製造方法を用いて製造したゲルワニスを用いても、オフセット印刷においてインクの粘度が上がらず、ミスチングが改善されない場合等がある。一方、重量平均分子量が大き過ぎると、製造時のトラブルが生じ易くなる場合、得られるインキの流動性が低下し、インキの転移性や光沢性が低下する場合等がある。本発明における重量平均分子量は、樹脂自体、及び後述する「該樹脂をゲル化剤と共に150℃以下で加熱して高分子量化して得られるゲル化樹脂」の何れについても、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する)で測定したもので、単分散の標準ポリスチレンの分子量に換算した値である。具体的には、実施例記載の方法で測定した値として定義される。
【0036】
ロジン変性フェノール樹脂の軟化点は、70〜150℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましく、100〜120℃であることが特に好ましい。軟化点が低過ぎる場合は、印刷適性が低下したり、上記した重量平均分子量が小さ過ぎる場合の問題点が発生したりする場合がある。一方、軟化点が高過ぎる場合は、印刷適性が低下したり、上記した重量平均分子量が大き過ぎる場合の問題点が発生したりする場合がある。
【0037】
1.1.2.ロジン系ポリエステル樹脂
「ロジン系ポリエステル樹脂」とは、下記(1)、(2)及び(3)を必須成分として、好ましくは、かかる必須成分に加えて、(4)及び/又は(5)を反応させてなるものである。
(1)ロジン類
(2)脂肪酸類、脂肪族多塩基酸類、脂肪族アルコール類、脂肪族ジアルコール類、脂肪族モノアミン類、脂肪族モノエポキシ類、及び「『カルボキシル基を含有する重合性不飽和化合物と疎水性の重合性不飽和化合物が重合してなるビニルポリマー』のカルボキシル基に対し反応性を有する疎水性化合物を部分的に反応させてなる樹脂」(以下、「ポリマーA」と略記する)からなる群より選択されるポリエステルを形成できる少なくとも1種
(3)ポリオール類
(4)芳香族多塩基酸又は「芳香族多塩基酸のエステル類」
(5)極性基含有石油樹脂
【0038】
(1)「ロジン類」は、前記のロジン変性フェノール樹脂の場合と同様のものを使用することができる。
【0039】
(2)のうち、脂肪酸類、脂肪族多塩基酸類としては、全炭素数10〜40程度のものが好ましく、直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪酸、アルキルコハク酸及びその無水物、アルケニルコハク酸及びその無水物、α,ω−ジカルボン酸類、不飽和カルボン酸付加高級脂肪酸類、ダイマー酸等が挙げられる。具体的には、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸等の直鎖状脂肪酸;イソ酸、ツベルクロステアリン酸等の分岐状脂肪酸;環状脂肪酸;直鎖状、分岐鎖状、環状であってよいα−オレフィンオリゴマー又はエチレン、プロピレン等をオリゴマー化してなる内部オレフィンオリゴマーとマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和ジカルボン酸類とをエン付加反応等の付加反応をさせることで得られる化合物、及び当該化合物の水素化物;オクテニルコハク酸、デセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸;セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、;「アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸類」と「半乾性油又は乾性油から得られる高級脂肪酸」とを付加反応させることにより得られる化合物;牛脂系オレイン酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸等の不飽和脂肪酸を二量化したダイマー酸等が挙げられる。
【0040】
脂肪族モノアルコール類、脂肪族ジアルコール類、脂肪族モノアミン類及び脂肪族モノエポキシ類としては、炭素数10〜40程度のものが好ましく使用され、具体的には、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、オレイルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソステアリルアルコール、ゲラニオール、ロジンアルコール、ビサボロール、ラノリンアルコール;デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、オクタデカンジオール、デセンジオール、ドデセンジオール、テトラデセンジオール、ヘキサデセンジオール、オクタデセンジオール、ラノリンアルコール、ダイマー酸を水添したジオール;デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデセニルアミン、牛脂アルキルアミン、大豆アルキルアミン、ジオクタデシルアミン、ジオクタデセニルアミン;1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、エチルヘキシルグリシジルエーテル等を例示できる。
【0041】
以下、上記ポリマーAについて説明する。ポリマーAの構成成分である「カルボキシル基を含有する重合性不飽和化合物」としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、ポリマーAの構成成分である「疎水性の重合性不飽和化合物」としては、炭素数2〜50の脂肪族不飽和炭化水素モノマー、炭素数5〜50の脂環族不飽和炭化水素モノマー、炭素数8〜50の芳香族炭化水素モノマー、ロジン類、高級不飽和脂肪酸、不飽和油等が挙げられる。
【0042】
「『カルボキシル基を含有する重合性不飽和化合物と疎水性の重合性不飽和化合物が重合してなるビニルポリマー』(以下、「ビニルポリマー」と略記する)のカルボキシル基に対し反応性を有する疎水性化合物」としては、炭素数6〜50の脂肪族モノアルコール、炭素数6〜50の脂肪族ジアルコール、炭素数6〜50の脂肪族モノアミン、炭素数6〜50の脂肪族モノエポキシ等が挙げられる。
【0043】
ポリマーAは上記ビニルポリマー中のカルボキシル基の20〜80モル%程度を疎水性化合物と反応させて得られる変性物であり、該ビニルポリマーの疎水性が高い場合は変性率を低くすることが好ましく、疎水性が低い場合は変性率を高くすることが好ましい。
【0044】
(3)ポリオール類は、前記のロジン変性フェノール樹脂の場合と同様のものを使用することができる。
【0045】
(4)芳香族多塩基酸又は「芳香族多塩基酸のエステル類」としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多塩基酸;これらのモノメチルエステル、モノエチルエステル、ジメチルエステル、ジエチルエステル等の芳香族多塩基酸のエステルが挙げられる。これらを用いると、ロジン系エステル樹脂の高分子量化が容易になるという点で好ましい。
【0046】
(5)極性基含有石油樹脂としては、分子内に二重結合を有する石油樹脂にカルボキシル基や水酸基等の極性基を付与したものが挙げられる。当該分子内に二重結合を有する石油樹脂としては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等のDCPD系原料から得られるDCPD系石油樹脂、ペンテン、シクロペンテン、ペンタジエン、イソプレン等のC5系原料から得られるC5系石油樹脂、メチルブテン、インデン、メチルインデン、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン等のC9系原料から得られるC9系石油樹脂、DCPD系原料とC5系原料からなる共重合石油樹脂、DCPD系原料とC9系原料からなる共重合石油樹脂、C5系原料とC9系原料からなる共重合石油樹脂、DCPD系原料とC5系原料とC9系原料からなる共重合石油樹脂等が挙げられる。これらの中でも特に極性基を容易に付与でき、所望の軟化点に調整し易いことから、DCPD系原料を成分とする石油樹脂が好ましい。具体的にはDCPD系石油樹脂、DCPD系原料とC5系原料からなる共重合石油樹脂、DCPD系原料とC9系原料からなる共重合石油樹脂、DCPD系原料とC5系原料とC9系原料からなる共重合石油樹脂が挙げられる。
【0047】
分子内に二重結合を有する石油樹脂に極性基を導入する方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、極性基としてカルボキシル基を導入する場合には、前記した各種石油樹脂と、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類や、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸類等の不飽和カルボン酸類とを、公知のラジカル反応開始剤の存在下でラジカル共重合反応させる方法や、石油樹脂と不飽和カルボン酸類とをエン反応させる方法等が挙げられる。
【0048】
また、極性基として例えば水酸基を導入する場合にもその方法は特に制限されるものではなく、たとえば前記した分子内に二重結合を有する石油樹脂とアリルアルコール等の分子内に二重結合と水酸基を有する化合物を熱重合させる方法等、各種公知の方法を採用することができる。
【0049】
ロジン系エステル樹脂の製造方法は、公知のロジン系エステル樹脂の製造方法を採用することができ、反応に際し、触媒や反応温度等の反応条件は特に制限されることはない。例えば、成分(1)、成分(2)、成分(3)、必要に応じて成分(4)及び/又は成分(5)を所定量ずつ反応装置に仕込み、公知の触媒の存在下、100〜300℃の温度範囲にて1〜20時間反応させればよい。
【0050】
また、ロジン変性フェノール樹脂と、ロジン系エステル樹脂の各成分(1)〜(5)を所定量反応装置に仕込めば、ロジン変性フェノール樹脂とロジン系エステル樹脂の併用タイプを得ることができる。
【0051】
1.2.ロジン含有樹脂以外の樹脂
本発明における樹脂には、上記したロジン含有樹脂以外に、アルキルフェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂、エステルガム、アクリル変性石油樹脂、ウレタン変性石油樹脂等、従来から印刷インキ用に用いられている樹脂を併用することも可能である。
【0052】
2.ゲル化剤
「ゲル化剤」とは、ロジン含有樹脂等の前記樹脂を加熱によって高分子量化させる化合物をいう。「ゲル化剤」は前記樹脂を高分子量化させればよく、有機溶媒に不溶の状態にまでさせるものに限定されない。ゲル化剤によって、樹脂が高分子量化されてなるものを、以下、「ゲル化樹脂」と略記することがあるが、ゲル化樹脂には有機溶媒に可溶なものも含まれ、通常のGPCで分子量が測定できるものも含まれる。
【0053】
上記ゲル化剤は樹脂を高分子量化させるものであるが、ロジン含有樹脂に結合しているロジン類の有するカルボキシル基、ロジン含有樹脂に結合しているポリオール類の水酸基等に作用して、特に好ましく高分子量化させる。従って、その意味でも、本発明における樹脂は、上記ロジン変性フェノール樹脂、上記ロジン系エステル樹脂等のロジン含有樹脂であることが好ましい。
【0054】
2.1.アルミニウム錯体化合物
ゲル化剤としては特に限定はないが、アルミニウム錯体化合物が好ましい。アルミニウム錯体化合物としては、例えば、
環状アルミニウムオキサイドオクテート(川研ファインケミカル社製アルゴマー800)、環状アルミニウムオキサイドステアレート(川研ファインケミカル社製アルゴマー1000S)等の環状アルミニウム化合物類;
アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート(川研ファインケミカル社製AIPD)、アルミニウム−sec−ブチレート(川研ファインケミカル社製ASPD)、アルミニウムイソプロピレート−モノ−sec−ブチレート(川研ファインケミカル社製AMD)等のアルミニウムアルコラート類;
アルミニウム−ジ−n−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬製Chelope−Al−EB2)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−メチルアセトアセテート(ホープ製薬製Chelope−Al−MB12)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬製Chelope−Al−EB102)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬製Chelope−Al−EB2)、アルミニウム−ジ−iso−プロポキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬社製Chelope−Al−EP12、川研ファインケミカル社製ALch、川研ファインケミカル社製ALch−50F)、アルミニウム−トリス(アセチルアセトナート)(川研ファインケミカル社製ALCH−TR)、アルミニウム−トリス(アセチルアセトアセテート)(川研ファインケミカル社製アルミキレート−A)、アルミニウム−ビス(エチルアセチルアセトナート)−モノアセチルアセトナート(川研ファインケミカル社製アルミキレートD)等のアルミニウムアルキルアセテート類;
アルミキレートM(川研ファインケミカル社製)、アルミキレートNB−15(ホープ製薬社製)、ケロープS(ホープ製薬社製)ケロープACS−2(ホープ製薬社製、液状オリープAOO(ホープ製薬社製)、液状オリープAOS(ホープ製薬社製)等が挙げられる。
アルミニウムステアレート(日本油脂(株)製)、アルミニウムオレート、アルミニウムナフトネート、アルミニウムウレート、アルミニウムアセチルアセトネート等のアルミニウム石鹸;
等が挙げられる。
【0055】
2.2.チタン又はジルコニウム含有化合物
更に、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、テトレオクチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル等の有機チタネート;ジルコニウム−テトラブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトン、ジルコニウムアセチルアセトン、ジルコニウムアセチルアセトン、アセチルアセトンジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド等の有機ジルコニム等が挙げられる。
【0056】
2.3.その他のゲル化剤
その他のゲル化剤としては、環状ジペプチド類;エチレンビス(12−ヒドロキシオクタデカン酸)アマイド等のビスアミド類;Al−Mg−ヒドロキシカプリレ−ト、Al−Mg−ヒドロキシミリステート、Al−Mg−ヒドロキシパルミテート、Al−Mg−ヒドロキシベヘネート等のアルミニウム−マグネシウム化合物等が挙げられる。
【0057】
3.有機溶剤
本発明は、「少なくとも、樹脂、ゲル化剤及び有機溶剤を含有する混合物」を150℃以下で加熱することが特徴であるが、該混合物には有機溶剤が必須成分として含まれる。有機溶剤としては石油系溶剤が好ましい。かかる石油系溶剤としては、ナフテン系炭化水素溶剤又はパラフィン系炭化水素溶剤が好ましい。ナフテン系炭化水素溶剤、パラフィン系炭化水素溶剤とは、いわゆるアロマレス(フリー)溶剤といわれる溶剤であり、商業的には、日本石油(株)製のAFソルベント4〜7、0号ソルベントH等;出光興産(株)製のスーパーゾルLA35、LA38等;エクソン化学(株)製のエクソールD80、D110、D120、D130、D160、D100K、D120K、D130K等;梨樹化学社製D−SOL280、D−SOL300;マギーブラザーズ社製のMagieSol−40、44、47、52、60等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらを任意の質量比で混合して用いることも可能である。
【0058】
有機溶剤のアニリン点は特に限定はないが65℃〜110℃が好ましい。アニリン点が110℃より高い有機溶剤を使用すると、インキ組成中の使用樹脂との溶解性が乏しくなるため、インキの流動性が不十分となり、レベリング不良から光沢のない印刷物しか得られない場合がある。また、65℃より低いアニリン点の有機溶剤を使用したインキでは、乾燥時のインキ皮膜からの有機溶剤の離脱性が悪く乾燥劣化を起こしてしまう場合がある。
【0059】
4.植物油
本発明は、「少なくとも、樹脂、ゲル化剤及び有機溶剤を含有する混合物」を150℃以下で加熱することが特徴であるが、該混合物には、更に「植物油又は植物油脂肪酸エステル」が含有されることが、環境保護のために好ましい。
【0060】
植物油は、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセライドであって、その少なくとも1つの脂肪酸が炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセライドである。かかる植物油としては、アサ実油(149以上)、エノ油(192以上)、オイチシカ油(140以上)、カポック油(85〜102)、カヤ油(130以上)、オリーブ油、カカオ油、カラシ油(101以上)、キョウニン油(97〜109)、キリ油(145以上)、ククイ油(136以上)、クルミ油(143以上)、ケシ油(131以上)、ゴマ油(104以上)、サフラワー油(130以上)、ダイコン種油(98〜112)、大豆油(117以上)、大風子油(101)、ツバキ油、ヒマシ油、トール油、カノーラ油、トウモロコシ油(109以上)、ナタネ油(97〜107)、ニガー油(126以上)、ヌカ油(92〜115)、ヒマワリ油(125以上)、ブドウ種子油(124以上)、ヘントウ油(93〜105)、松種子油(146以上)、綿実油(99〜113)、落花生油(84〜102)、ヒマシ油、脱水ヒマシ油(147以上)、オイチシカ油(140以上)、中国桐油(190以上)、亜麻仁油(180以上)、重合亜麻仁油、コーン油、カノール油等が好適に用いられる。これらの植物油は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いることもできる。中でも、特に、大豆油、ヤシ油、アマニ油、菜種油等が好ましい。
【0061】
本発明で使用される植物油のヨウ素価は特に限定はないが、100以上であることが酸化重合による乾燥性をより高めることができる点で好ましい。なお、上記括弧内はヨウ素価を示す。
【0062】
4.脂肪酸エステル
本発明は、「少なくとも、樹脂、ゲル化剤及び有機溶剤を含有する混合物」を150℃以下で加熱することが特徴であるが、該混合物には、更に脂肪酸エステルが含有されていてもよい。脂肪酸エステルとしては、植物油の加水分解で得られる飽和又は不飽和脂肪酸と、飽和又は不飽和アルコールとをエステル反応させてなる脂肪酸モノエステルを挙げることができるが、20℃で液状で、かつ常圧で沸点が200℃以上の脂肪酸モノエステルが好ましい。具体的には、アマニ油脂肪酸メチルエステル、アマニ油脂肪酸エチルエステル、アマニ油脂肪酸プロピルエステル、アマニ油脂肪酸ブチルエステル、大豆油脂肪酸メチルエステル、大豆油脂肪酸エチルエステル、大豆油脂肪酸プロピルエステル、大豆油脂肪酸ブチルエステル、パーム油脂肪酸メチルエステル、パーム油脂肪酸エチルエステル、パーム油脂肪酸プロピルエステル、パーム油脂肪酸ブチルエステル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマシ油脂肪酸エチルエステル、ヒマシ油脂肪酸プロピルエステル、ヒマシ油脂肪酸ブチルエステル、トール油脂肪酸ブチルエステル等が挙げられる。かかる植物油脂肪酸エステルの中で、大豆油脂肪酸メチルエステル、大豆油脂肪酸ブチルエステル、トール油脂肪酸ブチルエステル等が好ましく用いられる。
【0063】
5.配合比
ゲル化剤は、「前記した樹脂、有機溶剤、好ましくは植物油又は脂肪酸エステルを含有する混合物」(ワニス)100質量部に対し、0.1質量部から10質量部の範囲で使用されることが好ましく、0.3質量部から6質量部の範囲で使用されることがより好ましく、1質量部から4質量部の範囲で使用されることが特に好ましい。ゲル化剤が少な過ぎると高分子量化ができず、前記した本発明の効果が得られない場合があり、一方、多過ぎると、ゲル化してしまう場合がある。
【0064】
有機溶剤は、前記したロジン含有樹脂等の樹脂100質量部に対して、50質量部から300質量部の範囲で使用されることが好ましく、80質量部から200質量部の範囲で使用されることが特に好ましい。有機溶剤が少な過ぎると、樹脂が溶解し難くなる場合があり、一方、多過ぎると、光沢性や乾燥性といった印刷適性が悪くなる場合がある。
【0065】
植物油は、前記したロジン含有樹脂等の樹脂100質量部に対して、100質量部以下で使用されることが好ましく、20質量部から100質量部の範囲で使用されることがより好ましく、25質量部から80質量部の範囲で使用されることが特に好ましい。植物油が少な過ぎると、高粘度となり製造時のトラブルが生じ易くなる場合があり、一方、多過ぎると、乾燥性が悪くなる場合がある。
【0066】
6.加熱条件
本発明のオフセット印刷インキ用ゲルワニスの製造方法は、少なくとも、樹脂、ゲル化剤及び有機溶剤を含有する混合物を150℃以下で加熱して該樹脂を高分子量化することを特徴とする。加熱温度は、150℃以下が必須であるが、120℃以下が好ましく、120℃未満がより好ましく、100℃以下が特に好ましく、100℃未満が更に好ましく、80℃〜100℃が最も好ましい。該混合物には、上記した植物油や脂肪酸エステルを含有させておくことも好ましい。
【0067】
加熱温度が高過ぎると、加熱時間と共にゲル化樹脂の重量平均分子量が逆に低くなっていく場合があり、また、例えば5万以下の低分子量成分が生成してくる(増加してくる)場合がある。その結果、かかるゲルワニスを用いたオフセット印刷インキでは、印刷時のミスチングが多くなったり、ゲルワニスの製造条件の微妙な変動によって、乳化率が安定したオフセット印刷インキが得られなくなったりする場合がある。ここで、「ゲルワニスの製造条件の変動」とは、ゲルワニス製造時の(150℃より高い)加熱温度の変動、加熱時間の変動、加熱後冷えるまでの時間の変動、ゲルワニスの製造環境の気温の変動、等が挙げられる。
【0068】
従来は、150℃より高い温度から240℃以下の温度範囲に加熱してゲルワニスを製造することが一般的であった。高分子化には高温での加熱が好ましいと考えられていたからである。しかしながら、本発明者は、加熱温度が高過ぎると、特に150℃より高いと、逆に加熱時間と共にゲル化樹脂の重量平均分子量が低くなっていくことを初めて見出した。
【0069】
従来、ゲルワニスの製造条件で、加熱温度範囲の下限として150℃以下の温度の記載が仮にあったとしても、実際には150℃以下での加熱は行われていなかったし、そのような低温で加熱するとの技術思想はなかった。また、150℃以下で加熱することによって、重量平均分子量が18万以上であるゲル化樹脂を含有するゲルワニスを初めて製造することができた。従来、ゲルワニス中の重量平均分子量として「18万以上」なる記載があったとしても、それは願望であり、実際には実現されていなかった。
【0070】
本発明の態様の一つは、少なくとも、重量平均分子量18万以上のゲル化樹脂及び有機溶剤を含有することを特徴とするオフセット印刷インキ用ゲルワニスである。ゲル化樹脂の重量平均分子量は18万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、22万以上が特に好ましい。
【0071】
また、150℃以下で加熱することによって、前記樹脂が加熱されてなるゲル化樹脂全体に対し、分子量60万〜1500万の範囲の分子量成分が8質量%以上を占めるゲルワニスを初めて製造することができた。ゲルワニス中の分子量60万〜1500万の範囲の分子量成分は、ゲル化樹脂全体に対し8質量%以上を占めることが好ましいが、より好ましくは10質量%以上であり、特に好ましくは11質量%以上である。
【0072】
一方、加熱温度が低過ぎると、ゲル化樹脂の重量平均分子量が上がらず、かかるゲルワニスを用いたオフセット印刷インキの印刷時のミスチングが多くなる場合がある。
【0073】
上記混合物を加熱してゲルワニスを製造する際の加熱時間は特に限定はないが、30分〜12時間が好ましく、1時間〜10時間がより好ましく、2時間〜8時間が特に好ましく、4時間〜6時間が更に好ましい。加熱時間が長過ぎると、生産性が落ちる場合がある。一方、加熱時間が短過ぎると、本発明における加熱温度は低いこともあり、ゲル化樹脂の重量平均分子量が上がらず、かかるゲルワニスを用いたオフセット印刷インキの印刷時のミスチングが多くなったりする場合がある。
【0074】
7.オフセット印刷インキ
本発明の上記オフセット印刷インキ用ゲルワニスに、少なくとも着色剤を含有させてオフセット印刷インキを調製する。また、該ゲルワニスに対して、更に、上記した有機溶剤を追加したり、上記した植物油や脂肪酸エステルを配合したり、下記するその他の添加剤を配合してオフセット印刷インキを調製することもできる。
【0075】
7.1.オフセット印刷インキに含有される着色剤
着色剤としては顔料が挙げられ、体質顔料を含む無機顔料又は有機顔料を挙げることができる。無機顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミウムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉、ベンガラ等が挙げられる。また、有機顔料としては、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料;β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料;銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(塩素または臭素化)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系等)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系等の多環式顔料及び複素環式顔料等が挙げられる。
【0076】
7.2.その他の添加剤
更に、該オフセット印刷インキには、必要に応じて、その他の添加剤を使用することが可能である。例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナバワックス、木ろう、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の天然ワックス;フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、シリコーン化合物等の合成ワックス等を例示することができる。
【0077】
また、その他の添加剤として、ドライヤー、充填剤、粘度調整剤等が挙げられる。ドライヤーとしては、コバルト、マンガン、鉛、亜鉛、鉄、カルシウム、セリウム、レアアース等の金属と、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、桐油酸、亜麻仁油酸、樹脂酸等のカルボン酸との塩である金属石鹸や、上記金属とのホウ酸塩等が好ましく用いられる。
【0078】
本発明のゲルワニスを用いたオフセット印刷インキの製造方法は特に限定はないが、好ましくは常温から100℃の間で、本発明の製造方法で得られたゲルワニス、着色剤、要すれば、植物油又は脂肪酸エステル、有機溶剤、その他添加剤等を配合し、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサー等を用いて製造される。
【0079】
本発明の製造方法で得られたゲルワニスを用いたオフセット印刷インキは、湿し水を使用するオフセット印刷に適用されるが、湿し水を使用しない水無し平版印刷にも適用される。
【0080】
本発明のゲルワニスの製造方法を使用して得られたゲルワニスを含有するオフセット印刷インキが、優れたミスチング抑制効果を示す作用・効果は明らかではないが、以下のことが考えられる。ただし本発明は、以下の作用効果の範囲に限定されるわけではない。すなわち、従来のように150℃より高い温度で、樹脂、ゲル化剤及び有機溶剤を含有する混合物を加熱すると、ゲル化剤により高分子量化は進むが、それとは独立に並行して、該樹脂が熱によって切断されていたと考えられる。それが、150℃以下で加熱することによって、該樹脂の切断が抑制され、結果として高分子量のゲル化樹脂が得られ、また、低分子量成分の生成も抑制されたと考えられる。その結果、極めてミスチングが抑制されたオフセット印刷インキが得られたと考えられる。
【実施例】
【0081】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。以下、「部」は「質量部」を示す。
【0082】
実施例1
<ワニスの製造>
樹脂としてロジン変性フェノール樹脂KG−2212(荒川化学工業(株)製)160部、植物油として大豆油40部、及び有機溶剤としてAFソルベント7号(新日本石油(株)製)80部を、攪拌器の付いた反応釜に投入し配合した後、220℃へ昇温し、60分間保温し、樹脂を溶解させた。その後、更にAFソルベント7号を120部配合し、ワニスを得た。
【0083】
<ゲルワニスの製造>
上記ワニス100部を攪拌器の付いた反応釜に投入し、所定の温度に昇温した後、ゲル化剤としてALCH−50F(川研ファインケミカル(株)製)を2部配合し、所定の時間保温した。保持温度(加熱温度)は、80℃、100℃、120℃、150℃、170℃、200℃、220℃とし、保持時間(加熱時間)は、60分(1時間)〜420分(7時間)とした。
【0084】
上記で得られたゲルワニスの粘度(Pa・s)を以下のように測定し、ゲルワニスを製造する際の加熱温度と得られたゲルワニスの粘度との関係を図1に示した。120分までの粘度の上昇は加熱温度に依らずほぼ一定か又は加熱温度が高い方が大きかったが、180分ころから傾向として加熱温度が低い方が粘度上昇率及び粘度が大きくなり始めた。そして、360分経過後は、粘度の大きい順に、100℃、120℃、80℃、150℃、170℃、200℃、220℃となり、加熱温度が低い方が粘度上昇に有利な傾向が見られた。すなわち、加熱温度80℃〜120℃では、経時と共に常に粘度は上昇傾向にあるのに対し、加熱温度150℃〜220℃では、粘度はある加熱時間で極大値が存在し、その後は粘度低下が見られた。
【0085】
(粘度の測定方法)
通常のL型粘度計を用いて測定した。
【0086】
(重量平均分子量等の測定結果)
上記で得られたゲルワニスの重量平均分子量を下記のように測定し、ゲルワニスを製造する際の加熱温度と得られたゲルワニスの重量平均分子量との関係を図2に示した。120分までの重量平均分子量の上昇は加熱温度に依らずほぼ一定か又は加熱温度が高い方が大きかったが、それ以上経過すると傾向として加熱温度が低い方が、重量平均分子量が大きくなり始めた。そして、360分経過後は、重量平均分子量の大きい順に、100℃、120℃、80℃、150℃、170℃、200℃、220℃となり、加熱温度が低い方が、重量平均分子量が大きくなっていった。すなわち、加熱温度80℃〜150℃では、経時と共に常に重量平均分子量は上昇傾向にあるのに対し、加熱温度170℃〜220℃では、重量平均分子量はある加熱時間で極大値が存在し、その後は低下が見られた。
【0087】
図3は、上記でゲルワニスを製造する際、加熱温度と加熱時間を変化させた時の、得られたゲルワニス中のゲル化樹脂における分子量60万〜1500万の成分の質量割合を示した3次元グラフである。通常のゲルワニス製造時の加熱温度である170℃以上では、分子量60万〜1500万の成分の割合は、ある加熱時間を極大に以後は減少の傾向が見られた。一方、150℃以下ではかかる極大点は明確ではなく、220時間経過後は、ゲルワニス中のゲル化樹脂における分子量60万〜1500万の成分の質量割合は、8質量%以上となった。
【0088】
図4は、上記でゲルワニスを製造する際、加熱温度と加熱時間を変化させた時の、得られたゲルワニス中のゲル化樹脂における分子量2万〜5万の成分の質量割合を示した3次元グラフである。170℃以上では、分子量2万〜5万の成分の割合は、ある加熱時間を極小に以後は増加の傾向が見られた。一方、150℃以下では、少なくとも300分まではかかる極小点はなく、ゲルワニス中のゲル化樹脂における分子量2万〜5万の成分の質量割合は、経時と共に常に減少していった。
【0089】
低分子量成分はミスチングの増加をもたらすと考えられ、この結果より、170℃加熱より150℃加熱の方がミスチングの抑制には良いことが分かった。150℃加熱より120℃加熱の方がミスチングの抑制には良いことが分かった。更に、120℃加熱より100℃加熱の方がミスチングの抑制には良いことが分かった。
【0090】
(重量平均分子量等の測定方法)
RI検出器を装備した東ソー社製、HLC−8220を用い、展開溶媒をTHFとし、分子量標準ポリマーを標準ポリスチレンとして、GPCを測定し分子量分布及び重量平均分子量を求めた。
【0091】
参考例1
実施例1と同様にワニスを製造し、ゲル化剤を加えない以外は実施例1の(ゲルワニスの製造)記載と同様の攪拌器の付いた反応釜中で、保持温度(加熱温度)と保持時間(加熱時間)を変化させて加熱を行った。ゲル化剤を加えていないので、樹脂(この場合はロジン変性フェノール樹脂)の高分子量化は起こらないため、現象を単純化して見ることができる。
【0092】
上記方法で重量平均分子量を測定し、加熱温度と重量平均分子量との関係を図5に示した。重量平均分子量の経時変化は、100℃、110℃及び120℃ではほぼ横ばいであったが、130℃〜140℃では若干減少傾向が見られ、150℃では減少傾向が見られ、150℃より高い温度では重量平均分子量の減少が著しかった。このことは、加熱温度を高くすると、ロジン変性フェノール樹脂の分子中の結合が開裂することを示している。実施例1及び参考例1の結果より、従来の加熱温度では、樹脂の高分子量化と共に、独立して平行に樹脂の結合の開裂による低分子量化も起こっていたことが分かった。これにより、ある値より大きい重量平均分子量をもったゲル化樹脂を作ろうとすれば、一定温度以下で加熱することが必須であるか又は極めて有利であることが分かった。
【0093】
評価例1
<オフセット印刷インキの調製>
上記で得られた各々のゲルワニス83部、シアニンブルー4971(大日精化工業(株)製)17部、及びAFソルベント7号15部を配合し、ビューラーロール(Buhler社製)にて練肉し、グラインドゲージにより練肉度を評価した。
【0094】
<オフセット印刷インキの評価>
上記で得られた各々のオフセット印刷インキについて、ミスチング性と乳化率に関して下記の測定方法により評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0095】
(ミスチング性の評価方法)
上記オフセット印刷インキ2.62mLを、インコメーター(東洋精機(株)製)に付着させ、該インコメーターのロール温度32℃で、ロール回転速度を1200rpmにて1分間回転させ、その後、2000rpmで1分間回転させ、ミスチング採取用紙に飛散した状態を目視で観察した。最も飛散しているものをミスチング「評価10」とし、ミスチング「評価0」〜「評価10」の間で相対評価をした。ミスチング「評価6」以下を合格とした。
【0096】
(乳化率の評価方法)
リソトロニック(NOVOMATICS社製)を用い、試験温度35℃、オフセット印刷インキ量25gで、水を2g/分の速度で滴下して、最大の乳化率(質量%)を測定した。
【0097】
ミスチング性の評価結果(表1中の数字は、ミスチング「評価」)
【表1】

【0098】
乳化率の評価結果(表2中の数字は、最大の乳化率(%))
【表2】

【0099】
<評価結果>
表1は、上記で加熱温度と加熱時間(2時間と4時間)を変化させて得られた各々のゲルワニスを含有するオフセット印刷インキのミスチングの程度を示すものである。100℃で製造したゲルワニスを用いたオフセット印刷インキのミスチングの程度は、何れの加熱時間においても「評価2」以下であり、耐ミスチング性に極めて優れていた。また、120℃で製造したゲルワニスを用いたオフセット印刷インキのミスチングの程度は何れの加熱時間においても「評価2.5」であり、耐ミスチング性に優れていた。また、150℃で製造したゲルワニスを用いたオフセット印刷インキのミスチングの程度は何れの加熱時間においても「評価6」であり、耐ミスチング性において合格レベルであった。
【0100】
一方、200℃で製造したゲルワニスを用いたオフセット印刷インキのミスチングの程度は、何れの加熱時間においても「評価7」以上であり、耐ミスチング性に劣っていて、不合格レベルであった。
【0101】
更に、100〜150℃で製造したゲルワニスを用いたオフセット印刷インキのミスチングの程度は、ゲルワニス製造時の加熱時間が長くなっても大きくならなかったが、200℃でゲルワニスを製造したときのミスチングの程度は、ゲルワニス製造時の加熱時間と共に大きくなっていく傾向が見られた。
【0102】
表2は、上記で加熱温度と加熱時間を変化させて得られた各々のゲルワニスを含有するオフセット印刷インキの最大乳化率を示すものである。150℃以下で製造したゲルワニスを用いたオフセット印刷インキの乳化率は、ゲルワニス製造時の加熱時間が長くなっても変化がなく安定していたが、200℃でゲルワニスを製造したときの乳化率は、ゲルワニス製造時の加熱時間と共に大きくなっていく傾向が見られ、製造の安定性に乏しいことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の製造方法で製造したゲルワニスを用いたオフセット印刷インキは、ミスチング性、乳化率の製造安定性に極めて優れているため、オフセット印刷が用いられる全ての印刷分野に広く一般に利用されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、樹脂、ゲル化剤及び有機溶剤を含有する混合物を150℃以下で加熱して該樹脂を高分子量化することを特徴とするオフセット印刷インキ用ゲルワニスの製造方法。
【請求項2】
上記樹脂がロジン含有樹脂である請求項1に記載のオフセット印刷インキ用ゲルワニスの製造方法。
【請求項3】
上記混合物が、更に植物油を含有する請求項1又は請求項2に記載のオフセット印刷インキ用ゲルワニスの製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載のオフセット印刷用ゲルワニスの製造方法を使用して製造されたものであることを特徴とするオフセット印刷インキ用ゲルワニス。
【請求項5】
上記樹脂が加熱されてなるゲル化樹脂の重量平均分子量が18万以上である請求項4に記載のオフセット印刷インキ用ゲルワニス。
【請求項6】
上記樹脂が加熱されてなるゲル化樹脂全体に対し、分子量60万〜1500万の範囲の分子量成分が8質量%以上を占める請求項4又は請求項5に記載のオフセット印刷インキ用ゲルワニス。
【請求項7】
少なくとも、重量平均分子量18万以上のゲル化樹脂及び有機溶剤を含有することを特徴とするオフセット印刷インキ用ゲルワニス。
【請求項8】
該ゲル化樹脂全体に対し、分子量60万〜1500万の範囲の分子量成分が8質量%以上を占める請求項7記載のオフセット印刷インキ用ゲルワニス。
【請求項9】
請求項4ないし請求項8の何れかの請求項に記載のオフセット印刷インキ用ゲルワニス及び着色剤を含有することを特徴とするオフセット印刷インキ。
【請求項10】
基材に請求項9記載のオフセット印刷インキを印刷してなることを特徴とする印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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