説明

オフセット輪転印刷機

【課題】オフセット輪転印刷機において、印刷品質の低下を抑制すると共に騒音の発生を抑制する。
【解決手段】上下のブランケット胴35,45を互いに対接するように配置すると共に、このブランケット胴35,45における両軸心を結ぶ面F1がウェブWの搬送方向に直交する面F2に対して所定の傾斜角αを有するように配置し、ブランケット胴35,45のニップ部でウェブWに印刷を行うように構成し、ブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインをウェブWの搬送方向における下流側に配置される上ブランケット胴35から離間する方向へ変更するエア噴射装置51を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下一対の印刷胴が互いに対接するように配置されると共に、この一対の印刷胴がウェブの搬送方向における前後にずれて配置され、一対の印刷胴のニップ部でウェブに印刷を行うオフセット輪転印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にオフセット輪転印刷機は、給紙装置と、印刷装置と、乾燥装置と、冷却装置、折り装置を有している。そして、この印刷装置は複数の印刷ユニットからなり、多色印刷を行う場合にはこの印刷ユニットが印刷色数だけ設けられる。従って、給紙装置によりロール状のウェブ(紙)が繰り出され、印刷装置における各印刷ユニットにより印刷が行われ、印刷されたウェブは、乾燥装置でインキが乾燥され、冷却装置で冷却され、折り装置で折帳が作成される。そして、各装置に設けられてウェブが巻回される複数のローラの回転速度は、ウェブの各ローラ間におけるテンションが最適になるように適宜制御されている。
【0003】
また、印刷装置における各印刷ユニットは、ウェブの表面に印刷を行う上ユニットと、ウェブの裏面に印刷を行う下ユニット7を有しており、同時にウェブの両面に印刷を行うことができるようになっている。上下のユニットは、印刷画像が形成された版を装着する版胴と、この版胴にインキを供給するインキ装置と、版胴に湿し水を供給する湿し装置と、版胴に装着された版の画像をウェブに転写するブランケット胴9aを有している。従って、上下のブランケット胴は、所定の印圧で互いに対向して接しており、この上下のブランケット胴の間に形成されるニップ部をウェブが通過することで、このウェブの両面に印刷を行うことができる。
【0004】
ところで、上述した印刷ユニットにて、上下のブランケット胴は、その表面に板状をなす可撓性のブランケットが装着されており、このブランケットは、各端部がブランケット胴の表面に形成された溝部に嵌め込まれて固定されている。そのため、上下のブランケット胴には、ウェブと接触しないギャップが軸方向に沿って形成される。そして、上下のブランケット胴は、互いのギャップがニップ部で一致するように同期して回転している。そのため、互いのギャップがニップ部に位置するとき、上下のブランケット胴間の印圧が変化してウェブに作用するテンションが変動する。従って、ウェブが搬送方向における前後にずれてしまい、印刷の位置ずれが生じたり、各ブランケット胴が振動してしまい、ウェブがニップ部の出口でばたついて挙動が安定しない。
【0005】
このようなウェブのテンション変動を抑制するため、従来のオフセット輪転印刷機では、上ブランケット胴及び下ブランケット胴の互いの軸中心を結ぶ面が、ウェブ搬送方向と直交する面に対して所定角度だけ傾くように、上ブランケット胴と下ブランケット胴を前後にずらして配置し、ウェブを上ブランケット胴表面及び下ブランケット胴表面のニップ部以外の領域でも支持するようにしている。
【0006】
このようなオフセット輪転印刷機を構成すると、上下のブランケット胴の互いのギャップがニップ部で一致しても、ウェブがニップ部よりもその搬送方向における上流側及び下流側で、各ブランケット胴の表面に支持されることから、ウェブのテンション変動を抑制することができる。しかし、ウェブに転写されたインキが十分に乾燥していないことから、ウェブが上ブランケット胴から離れるとき、ウェブのインキの粘着性により、ウェブが上ブランケット胴の表面に所定期間だけ貼り付いて搬送され、その後、ウェブテンションの作用により上ブランケット胴の表面から剥がれる。このとき、ウェブの表面に網点太りやデラミネーションと呼ばれる略三角形の色ムラが発生することがあり、印刷品質が低下してしまう。また、ウェブが上ブランケット胴の表面に貼り付いて搬送された後、ウェブテンションの作用により上ブランケット胴の表面から剥がれるとき、ウェブが振動することで騒音が発生してしまう。
【0007】
そこで、例えば、下記特許文献1では、ウェブの搬送方向に直交する面に対する印刷胴の両軸心を結ぶ面の傾斜角(スタッガード角度)を最適値に設定することで、デラミネーションの発生をより確実に低減するようにしている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−305752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上述した特許文献1に記載されたオフセット輪転印刷機では、ウェブの搬送方向に直交する面に対する印刷胴の両軸心を結ぶ面のスタッガード角度を最適値に設定しても、ウェブが上ブランケット胴から離れるとき、インキの粘着性によりウェブが上ブランケット胴の表面に貼り付いたり、ウェブテンションの作用により上ブランケット胴の表面から剥がれたりする現象を適正に抑制することは困難であり、デラミネーションや騒音の発生を十分に防止することはできない。
【0010】
本発明は上述した課題を解決するものであり、印刷品質の低下を抑制すると共に騒音の発生を抑制するオフセット輪転印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための請求項1の発明のオフセット輪転印刷機は、上下一対の印刷胴が互いに対接するように配置されると共に、ウェブの搬送方向に直交する面に対して前記一対の印刷胴における両軸心を結ぶ面が所定の傾斜角を有するように配置され、前記一対の印刷胴のニップ部でウェブに印刷を行うオフセット輪転印刷機において、前記一対の印刷胴を通過した前記ウェブの搬送ラインを該ウェブの搬送方向における下流側に配置される前記印刷胴から離間する方向へ変更するウェブ搬送ライン変更手段を設けたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の発明のオフセット輪転印刷機では、前記ウェブ搬送ライン変更手段は、前記一対の印刷胴を通過した前記ウェブに対して、上方または下方からエアを噴射するエア噴射手段を有することを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明のオフセット輪転印刷機では、前記エア噴射手段は、前記ウェブの幅方向に沿って設けられて該ウェブに対向して開口部が形成された箱体と、該箱体内にエアを供給するエア供給手段とを有することを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明のオフセット輪転印刷機では、前記ウェブ搬送ライン変更手段により変更される前記ウェブの搬送ラインの変更角度は、前記一対の印刷胴の傾斜角より小さく設定されることを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明のオフセット輪転印刷機では、前記一対の印刷胴を有する印刷ユニットが前記ウェブの搬送方向に沿って複数配置され、前記ウェブ搬送ライン変更手段は、前記ウェブの搬送方向における前後に隣接された前記印刷ユニットの前記ニップ部の高さが相違することで構成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明のオフセット輪転印刷機によれば、上下一対の印刷胴を互いに対接するように配置すると共に、ウェブの搬送方向に直交する面に対して一対の印刷胴における両軸心を結ぶ面が所定の傾斜角を有するように配置し、一対の印刷胴のニップ部でウェブに印刷を行うように構成し、一対の印刷胴を通過したウェブの搬送ラインをウェブの搬送方向における下流側に配置される印刷胴から離間する方向へ変更するウェブ搬送ライン変更手段を設けたので、ウェブが一対の印刷胴のニップ部を通過することでこのウェブに印刷が施された後、この印刷胴を通過したウェブは、ウェブ搬送ライン変更手段によりその搬送ラインが変更されることで、ウェブの搬送方向における下流側に配置される印刷胴から離間することとなり、インキの粘着性によりウェブが印刷胴の表面に貼り付いて搬送されることが抑制され、網点太りやデラミネーションの発生が抑制されて印刷品質の低下を防止することができると共に、ウェブが印刷胴の表面から剥がれるときの振動が抑制され、騒音の発生を防止することができる。
【0017】
請求項2の発明のオフセット輪転印刷機によれば、ウェブ搬送ライン変更手段として、一対の印刷胴を通過したウェブに対して上方または下方からエアを噴射するエア噴射手段を設けたので、部材がウェブに接触することなく、印刷胴を通過したウェブの搬送ラインを変更することができ、印刷品質の低下を防止することができる。
【0018】
請求項3の発明のオフセット輪転印刷機によれば、エア噴射手段として、ウェブの幅方向に沿って設けられてウェブに対向して開口部が形成された箱体と、この箱体内にエアを供給するエア供給手段を設けたので、ウェブの表面に対して、箱体に供給されたエアの圧力が均一に作用することとなり、低流量、低圧力のエアで印刷胴を通過したウェブの搬送ラインを変更することができ、構造の簡素化、小型化、軽量化を可能とすることができる。
【0019】
請求項4の発明のオフセット輪転印刷機によれば、ウェブ搬送ライン変更手段により変更されるウェブの搬送ラインの変更角度を、一対の印刷胴の傾斜角より小さく設定したので、印刷胴を通過したウェブの搬送ラインを適正に変更することで、反対側の印刷胴へのウェブの付着を防止することができる。
【0020】
請求項5の発明のオフセット輪転印刷機によれば、一対の印刷胴を有する印刷ユニットをウェブの搬送方向に沿って複数配置し、ウェブ搬送ライン変更手段を、ウェブの搬送方向における前後に隣接された印刷ユニットのニップ部の高さを相違することで構成したので、別途、印刷胴を通過したウェブの搬送ラインを適正に変更する構成を追加することなく、容易にウェブを印刷胴から離間することができ、印刷品質の低下を抑制することができると共に騒音の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るオフセット輪転印刷機の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係るオフセット輪転印刷機の要部を表す概略図、図2は、実施例1のオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置を表す斜視図、図3は、実施例1のオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置の断面図、図4は、実施例1のオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置の作動を表す概略図、図5は、実施例1のオフセット輪転印刷機を表す概略図、図6は、実施例1のオフセット輪転印刷機における印刷ユニットを表す概略図である。
【0023】
実施例1のオフセット輪転印刷機は、図5に示すように、給紙装置11と、インフィード装置12と、印刷装置13と、乾燥装置14と、冷却装置15、ウェブパス装置16と、折り装置17とを有している。そして、この印刷装置13は、複数、本実施例では、4つのインキ色である藍(Cyan)、紅(Magenta)、黄(yellow)、墨(Black)ごとの4個の印刷ユニット21,22,23,24から構成されている。
【0024】
従って、給紙装置11に設けられたロール状のウェブ(紙)Wがインフィード装置12により繰り出され、印刷装置13における各印刷ユニット21,22,23,24により多色印刷が行われ、印刷されたウェブWは、乾燥装置14でインキが乾燥され、冷却装置15で冷却され、ウェブパス装置16を通って折り装置17に搬送され、ここで折帳が作成される。なお、そして、各装置に設けられてウェブWが巻回される複数のローラの回転速度は、このウェブWの各ローラ間におけるテンションが最適になるように適宜制御されている。
【0025】
そして、印刷装置13を構成する印刷ユニット21,22,23,24は、ほぼ同様の構成をなしている。例えば、印刷ユニット21は、図6に示すように、ウェブWの表面に印刷を行う上ユニット31と、ウェブWの裏面に印刷を行う下ユニット41とから構成されており、この上下のユニット31,41によりウェブWの両面に印刷することができる。
【0026】
この上ユニット31は、印刷画像が形成された版が装着される版胴32と、版胴32にインキを供給するインキ装置33と、版胴32に湿し水を供給する湿し装置34と、版胴32に装着された版の画像をウェブWの表面に転写する印刷胴としてのブランケット胴35とを有している。一方、下ユニット41は、印刷画像が形成された版が装着される版胴42と、版胴42にインキを供給するインキ装置43と、版胴42に湿し水を供給する湿し装置44と、版胴42に装着された版の画像をウェブWの表面に転写する印刷胴としてのブランケット胴45とを有している。なお、以下の説明では、上ユニット31のブランケット胴35と下ユニット41のブランケット胴45とをそれぞれ上ブランケット胴35と下ブランケット胴45と称する。
【0027】
従って、上ブランケット胴35と下ブランケット胴45は所定の印圧で互いに対向して接しており、印刷ユニット21に搬送されたウェブWは、この上ブランケット胴35と下ブランケット胴45との間のニップ部に供給され、このニップ部を通過することでウェブWの両面に印刷が行われる。
【0028】
そして、実施例1のオフセット輪転印刷機の印刷装置13における各印刷ユニット21,22,23,24では、ウェブWの搬送方向に直交する面に対して上下のブランケット胴における両軸心を結ぶ面が所定の傾斜角αを有するように配置されている。
【0029】
実施例1のオフセット輪転印刷機の印刷装置13における印刷ユニット21において、図1に示すように、上下のブランケット胴35,45の表面には、板状の可撓性を有するブランケット36,46が装着されている。即ち、上ブランケット胴35表面に軸方向に沿って溝部37が形成されており、ブランケット36の咥え側及び咥え尻側の各端部がこの溝部37に嵌め込まれ、締付装置38により締め付けられることで、上ブランケット胴35表面にブランケット36巻き付けられる。一方、下ブランケット胴45表面に軸方向に沿って溝部47が形成されており、ブランケット46の咥え側及び咥え尻側の各端部がこの溝部47に嵌め込まれ、締付装置48により締め付けられることで、上下ブランケット胴35,45の表面にブランケット36巻き付けられる。
【0030】
このような上下のブランケット胴35,45は、ウェブWと接触しないギャップGが生じており、互いのギャップGがニップ部で一致するように同期して回転している。そのため、互いのギャップGがニップ部に位置したとき、上下のブランケット胴35,45間の印圧が変化してウェブWに作用するテンションが変動し、このウェブWが搬送方向における前後にずれて印刷の位置ずれが発生するおそれがある。
【0031】
そこで、本実施例のオフセット輪転印刷機では、上ブランケット胴35と下ブランケット胴45の互いの軸中心を結ぶ面F1が、ウェブWの搬送方向と直交する面F2に対して所定の傾斜角度(スタッガード角度)αだけ傾くように上下のブランケット胴35,46を配置している。本実施例では、上ブランケット胴35を下ブランケット胴45の直上位置よりもウェブWの搬送方向の下流側へずらして配置している。
【0032】
従って、ウェブWは、上ブランケット胴35の表面及び下ブランケット胴45の表面のニップ部以外の領域でも支持することができ、上ブランケット胴35及び下ブランケット胴45の互いのギャップGがニップ部にきた場合でも、ニップ部よりもウェブWの搬送方向上流側で下ブランケット胴45の表面に支持されると共に、ニップ部よりもウェブWの搬送方向下流側で上ブランケット胴35の表面に支持されることとなり、ウェブWのテンション変動を防止することができる。
【0033】
また、実施例1のオフセット輪転印刷機の印刷装置13における各印刷ユニット21,22,23,24では、上下のブランケット胴35,45のニップ部を通過したウェブWの搬送ラインを、ウェブWの搬送方向における下流側に配置される上ブランケット胴35から離間する方向へ変更するウェブ搬送ライン変更手段を設けている。本実施例では、このウェブ搬送ライン変更手段として、ウェブWに対して上方からエアを噴射するエア噴射装置51を適用している。
【0034】
即ち、印刷ユニット21の上ブランケット胴35と下ブランケット胴45との間のニップ部で印刷が施されたウェブは、転写されたインキが十分に乾燥していないことから、ウェブWが上ブランケット胴35から離れるとき、ウェブのインキの粘着性により、このウェブWが上ブランケット胴35の表面に所定期間だけ貼り付いて搬送され、その後、ウェブテンションの作用により上ブランケット胴35の表面から剥がれる。このとき、ウェブWの表面に網点太りやデラミネーションが発生して印刷品質が低下すると共に、ウェブテンションの作用により上ブランケット胴の表面から剥がれるとき、ウェブが振動することで騒音が発生する。
【0035】
そこで、本実施例のオフセット輪転印刷機では、印刷後のウェブWを上ブランケット胴35から離間する方向へ張力を付与するエア噴射装置51を設けている。このエア噴射装置51において、図1乃至図3に示すように、印刷ユニット21におけるウェブWの搬送方向下流側には、長方形をなす箱体52がウェブWの幅方向に沿ってその幅に対応して配置されている。この箱体52は中空形状をなすと共に、ウェブWに対向する下方に開口部53が形成されている。そして、箱体52の内部にはパイプ54が収容され、このパイプ54は、端部が箱体52の内面に密着して固定されると共に、下部に複数の噴射口55が形成されている。この場合、パイプ54の各噴射口55は、箱体52の下端部より内部側、つまり、上方に位置している。
【0036】
また、箱体52の上部には、エア供給管56の一端部が貫通して連結されており、パイプ54の連結口57を介して連通している。そして、このエア供給管56は、他端部が箱体52内にエアを供給するエア供給手段としてのコンプレッサ58に連結されており、中途部に開閉弁59が装着されている。なお、このエア噴射装置51の箱体52は、図示しない昇降装置により上下に昇降可能となっており、印刷作業を行うときは、ウェブWの搬送ライン上に位置し、印刷作業を行わないときは、上昇させてウェブWの搬送ライン外に位置するようにしている。
【0037】
なお、上述の説明では、印刷ユニット21のウェブWの搬送方向における下流側にエア噴射装置51を配置したが、その他の各印刷ユニット22,23,24のウェブWの搬送方向における下流側にもエア噴射装置が配置されている。
【0038】
従って、図1及び図4に示すように、印刷ユニット21の上ブランケット胴35と下ブランケット胴45との間のニップ部で印刷が施されたウェブWは、上ブランケット胴35の表面に支持されながら搬送されるが、エア噴射装置51がウェブWの搬送ライン上に位置し、このウェブWに対して上方から下方へエアが噴射されることで、箱体52がウェブWに接触することなく押し下げることができ、ウェブWはインキの粘着性により上ブランケット胴35の表面に貼り付かずに次の印刷ユニット22に送られる。
【0039】
具体的に説明すると、エア噴射装置51がウェブWの搬送ライン上に位置することで、このエア噴射装置51の箱体52によりウェブWが下方に押し下げられる。このとき、コンプレッサ58からエア供給管56を通してエア噴射装置51に供給されたエアは、図3に示すように、連結口57からパイプ54内に入り、各噴射口55から箱体52内に噴射されている。そのため、箱体52の下方には、開口部53に対向してウェブWが位置していることから、箱体52内のエア圧はこのウェブWにより加圧されて上昇し、ウェブWを箱体52の下端部から下方へ若干押し下げて離間させることとなる。即ち、箱体52の内部で加圧されたエアが、箱体52の下端部とウェブWの表面との隙間を通って外部に排出されることで、箱体52の下端部がウェブWの表面に接触することなく、ウェブWを押し下げることができる。
【0040】
なお、図1及び図4に示すように、ウェブWは、エア噴射装置51により、一点鎖線で表す通常の搬送ラインから実線で示す搬送ラインに所定角度をもって変更されるが、このウェブWの搬送ラインの変更角度βは、上下のブランケット胴35,45の傾斜角αより小さくなるように設定することが望ましい。
【0041】
このように実施例1のオフセット輪転印刷機にあっては、上下のブランケット胴35,45を互いに対接するように配置すると共に、このブランケット胴35,45における両軸心を結ぶ面F1がウェブWの搬送方向に直交する面F2に対して所定の傾斜角αを有するように配置し、ブランケット胴35,45のニップ部でウェブWに印刷を行うように構成し、ブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインをウェブWの搬送方向における下流側に配置される上ブランケット胴35から離間する方向へ変更するエア噴射装置51を設けている。
【0042】
従って、ウェブWが上下のブランケット胴35,45のニップ部を通過することでこのウェブWに印刷が施された後、このブランケット胴35,45を通過したウェブWは、エア噴射装置51によりその搬送ラインが変更されることで、上ブランケット胴35から離間することとなり、インキの粘着性によりウェブWが上ブランケット胴35の表面に貼り付いて搬送されることが抑制され、網点太りやデラミネーションの発生が抑制されて印刷品質の低下を防止することができると共に、ウェブWが上ブランケット胴35の表面から剥がれるときの振動が抑制され、騒音の発生を防止することができる。
【0043】
また、本実施例のオフセット輪転印刷機では、上下のブランケット胴35,45を通過したウェブWに対して上方からエアを噴射するエア噴射手段51を設けている。従って、ウェブWに直接接触することなく、ブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインを変更することができ、印刷品質の低下を防止することができる。
【0044】
そして、このエア噴射装置51として、ウェブWの幅方向に沿って設けられてウェブWに対向して開口部53が形成された箱体52と、この箱体52内にエアを供給するエア供給管56及びコンプレッサ58を設けている。従って、ウェブWの表面に対して、箱体52に供給されたエアの圧力が均一に作用することとなり、低流量、低圧力のエアでブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインを変更することができ、構造の簡素化、小型化、軽量化を可能とすることができる。
【0045】
更に、エア噴射装置51により変更されるウェブWの搬送ラインの変更角度βを、ブランケット胴35,45の傾斜角αより小さく設定している。従って、ブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインを適正に変更することで、上ブランケット胴35へのウェブWの付着を防止することができる。
【実施例2】
【0046】
図7は、本発明の実施例2に係るオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置を表す断面図である。なお、本実施例のオフセット輪転印刷機における全体構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0047】
実施例2のオフセット輪転印刷機では、図1及び図7に示すように、印刷後のウェブWを上ブランケット胴35から離間する方向へ張力を付与してウェブ搬送ラインを変更するウェブ搬送ライン変更手段として、エア噴射装置61を設けている。このエア噴射装置61において、印刷ユニット21におけるウェブWの搬送方向下流側には、箱体62がウェブWの幅方向に沿ってその幅に対応して配置されており、この箱体62はウェブWに対向して開口部63が形成されている。そして、箱体62の内部にパイプ54が収容され、端部が箱体52の内面に密着して固定され、下部に複数の噴射口55が形成されている。本実施例では、箱体62の下面62aが湾曲形状をなしており、パイプ54の各噴射口55がこの下面62aより箱体62の内部側、つまり、上方に位置している。
【0048】
また、箱体52の上部には、エア供給管56の一端部が連結され、このエア供給管56の他端部はコンプレッサ58に連結されており、中途部に開閉弁59が装着されている。なお、このエア噴射装置61の箱体62は、印刷作業中は、ウェブWの搬送ライン上に位置している。
【0049】
従って、印刷ユニット21の上ブランケット胴35と下ブランケット胴45との間のニップ部で印刷が施されたウェブWは、上ブランケット胴35の表面に支持されながら搬送されるが、エア噴射装置61がウェブWの搬送ライン上に位置し、このウェブWに対して上方から下方へエアが噴射されることで、箱体62がウェブWに接触することなく押し下げることができ、ウェブWはインキの粘着性により上ブランケット胴35の表面に貼り付かずに次の印刷ユニット22に送られる。
【0050】
即ち、エア噴射装置61がウェブWの搬送ライン上に位置することで、箱体62によりウェブWが押し下げられる。このとき、エア供給管56によりエア噴射装置61に供給されたエアは、パイプ54内に入り、各噴射口55から箱体62内に噴射されるため、箱体62の開口部63に対向するウェブWにより箱体62内のエア圧が上昇し、箱体62の下面62aとウェブWの表面との隙間を通って外部に排出されることで、箱体62の下面62aがウェブWの表面に接触することなく、このウェブWを押し下げて離間させることができる。
【0051】
このように実施例2のオフセット輪転印刷機にあっては、ブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインをウェブWの搬送方向における下流側に配置される上ブランケット胴35から離間する方向へ変更するエア噴射装置61を設け、箱体62の下面を下方に突出するように湾曲させている。
【0052】
従って、ウェブWが上下のブランケット胴35,45のニップ部を通過することでこのウェブWに印刷が施された後、このブランケット胴35,45を通過したウェブWは、エア噴射装置61によりその搬送ラインが変更されることで、上ブランケット胴35から離間することとなり、インキの粘着性によりウェブWが上ブランケット胴35の表面に貼り付いて搬送されることが抑制され、網点太りやデラミネーションの発生が抑制されて印刷品質の低下を防止することができると共に、ウェブWが上ブランケット胴35の表面から剥がれるときの振動が抑制され、騒音の発生を防止することができる。
【0053】
そして、このエア噴射装置61として、ウェブWの幅方向に沿って設けられてウェブWに対向して開口部63が形成された箱体62と、この箱体62内にエアを供給するエア供給管56及びコンプレッサ58を設け、箱体62の下面を下方に突出するように湾曲させている。従って、ウェブWの表面に対して、箱体52に供給されたエアの圧力が均一に作用することとなり、低流量、低圧力のエアでブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインを変更することができ、また、箱体62の湾曲した下面62aによりウェブWを滑らかに支持することとなり、ウェブWの表面における傷などの損傷の発生を抑制することができる。
【実施例3】
【0054】
図8は、本発明の実施例3に係るオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置を表す断面図である。なお、本実施例のオフセット輪転印刷機における全体構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0055】
実施例3のオフセット輪転印刷機では、図1及び図8に示すように、印刷後のウェブWを上ブランケット胴35から離間する方向へ張力を付与してウェブ搬送ラインを変更するウェブ搬送ライン変更手段として、エア噴射装置71を設けている。このエア噴射装置71において、印刷ユニット21におけるウェブWの搬送方向下流側には、中空形状をなす箱体72がウェブWの幅方向に沿ってその幅に対応して配置されており、この箱体72の下部に複数の噴射口73が形成されている。また、箱体72の上部には、エア供給管56が連結されている。なお、このエア噴射装置71の箱体72は、印刷作業中は、ウェブWの搬送ライン上に位置している。
【0056】
従って、印刷ユニット21の上ブランケット胴35と下ブランケット胴45との間のニップ部で印刷が施されたウェブWは、上ブランケット胴35の表面に支持されながら搬送されるが、エア噴射装置71がウェブWの搬送ライン上に位置し、このウェブWに対して上方から下方へエアが噴射されることで、箱体72がウェブWに接触することなく押し下げることができ、ウェブWはインキの粘着性により上ブランケット胴35の表面に貼り付かずに次の印刷ユニット22に送られる。
【0057】
即ち、エア噴射装置71がウェブWの搬送ライン上に位置することで、箱体72によりウェブWが押し下げられる。このとき、エア供給管56によりエア噴射装置71に供給されたエアは、箱体72内に加圧され、各噴射口55からウェブWに対して噴射される。そのため、箱体62の下面がウェブWの表面に接触することなく、このウェブWを押し下げて離間させることができる。
【0058】
このように実施例3のオフセット輪転印刷機にあっては、ブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインをウェブWの搬送方向における下流側に配置される上ブランケット胴35から離間する方向へ変更するエア噴射装置71を設け、箱体62の下部に複数の噴射口73を形成している。
【0059】
従って、ウェブWが上下のブランケット胴35,45のニップ部を通過することでこのウェブWに印刷が施された後、このブランケット胴35,45を通過したウェブWは、エア噴射装置71によりその搬送ラインが変更されることで、上ブランケット胴35から離間することとなり、インキの粘着性によりウェブWが上ブランケット胴35の表面に貼り付いて搬送されることが抑制され、網点太りやデラミネーションの発生が抑制されて印刷品質の低下を防止することができると共に、ウェブWが上ブランケット胴35の表面から剥がれるときの振動が抑制され、騒音の発生を防止することができる。
【0060】
そして、このエア噴射装置71として、ウェブWの幅方向に沿って設けられてウェブWに対向して多数の噴射口73が形成された箱体72と、この箱体72内にエアを供給するエア供給管56を設けている。従って、ウェブWの表面に対して、箱体52に供給されたエアの圧力が均一に作用することとなり、低流量、低圧力のエアでブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインを変更することができる。
【実施例4】
【0061】
図9は、本発明の実施例4に係るオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置を表す断面図である。なお、本実施例のオフセット輪転印刷機における全体構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0062】
実施例4のオフセット輪転印刷機では、図1及び図9に示すように、印刷後のウェブWを上ブランケット胴35から離間する方向へ張力を付与してウェブ搬送ラインを変更するウェブ搬送ライン変更手段として、ガイド装置81を設けている。このガイド装置81において、印刷ユニット21におけるウェブWの搬送方向下流側には、駆動軸82により駆動回転可能なガイドローラ83がウェブWの幅方向に沿ってその幅に対応して配置されており、このガイドローラ83の外周面には、多数の突起部84が形成されている。なお、駆動軸82には、図示しない駆動装置が駆動回転可能に連結されている。
【0063】
従って、印刷ユニット21の上ブランケット胴35と下ブランケット胴45との間のニップ部で印刷が施されたウェブWは、上ブランケット胴35の表面に支持されながら搬送されるが、ガイド装置71がウェブWの搬送ライン上に位置し、ガイドローラ83が回転しながらこのウェブWの表面に接触してガイドすることで、このガイドローラ83がウェブWを押し下げることができ、ウェブWはインキの粘着性により上ブランケット胴35の表面に貼り付かずに次の印刷ユニット22に送られる。この場合、ガイドローラ83の回転速度をウェブWの搬送速度に同期させることで、ガイドローラ83とウェブWとの間に擦れが発生せず、表面の傷の発生を抑制できる。
【0064】
このように実施例4のオフセット輪転印刷機にあっては、ブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインをウェブWの搬送方向における下流側に配置される上ブランケット胴35から離間する方向へ変更するガイド装置81を設けている。
【0065】
従って、ウェブWが上下のブランケット胴35,45のニップ部を通過することでこのウェブWに印刷が施された後、このブランケット胴35,45を通過したウェブWは、ガイド装置81によりその搬送ラインが変更されることで、上ブランケット胴35から離間することとなり、インキの粘着性によりウェブWが上ブランケット胴35の表面に貼り付いて搬送されることが抑制され、網点太りやデラミネーションの発生が抑制されて印刷品質の低下を防止することができると共に、ウェブWが上ブランケット胴35の表面から剥がれるときの振動が抑制され、騒音の発生を防止することができる。
【0066】
そして、ガイド装置81として、駆動回転可能なガイドローラを設けたことで、簡単な構成でブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインを変更することができる。
【実施例5】
【0067】
図10は、本発明の実施例5に係るオフセット輪転印刷機における各印刷ユニットの概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0068】
実施例5のオフセット輪転印刷機において、図10に示すように、印刷ユニット21,22は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブWの搬送方向に沿って所定間隔をもって配置されている。そして各印刷ユニット21,22は、ウェブWの表面に印刷を行う上ユニットとウェブWの裏面に印刷を行う下ユニットとから構成されている。そして、印刷ユニット21の上ユニットは印刷胴としての上ブランケット胴35を有し、下ユニットは印刷胴としての下ブランケット胴45とを有しており、印刷ユニット22の上ユニットは印刷胴としての上ブランケット胴61を有し、下ユニットは印刷胴としての下ブランケット胴92とを有している。
【0069】
そして、各印刷ユニット21,22では、ウェブWの搬送方向に直交する面F2,F12に対して、上下のブランケット胴35,45,91,92における両軸心を結ぶ面F1,F11が所定の傾斜角α1,α2を有するように配置されている。
【0070】
また、本実施例のオフセット輪転印刷機では、印刷ユニット21における上下のブランケット胴35,45のニップ部を通過したウェブWの搬送ラインを、ウェブWの搬送方向における下流側に配置される上ブランケット胴35から離間する方向へ変更するウェブ搬送ライン変更手段を設けている。本実施例では、このウェブ搬送ライン変更手段を、ウェブWの搬送方向における前後に隣接された印刷ユニット21,22のニップ部の高さを相違することで構成している。
【0071】
即ち、印刷ユニット21のニップ部の位置に対して印刷ユニット22のニップ部の位置を所定高さHだけ低く設定している。そのため、ウェブWは、印刷ユニット21から印刷ユニット22に搬送されるとき、搬送ラインが所定角度βをもって変更されるようになっており、このウェブWの搬送ラインの変更角度βは、上下のブランケット胴35,45の傾斜角α1,α2より小さくなるように設定することが望ましい。
【0072】
従って、印刷ユニット21の上ブランケット胴35と下ブランケット胴45との間のニップ部で印刷が施されたウェブWは、上ブランケット胴35の表面に支持されながら搬送されるが、印刷ユニット21のニップ部の位置に対して印刷ユニット22のニップ部の位置を所定高さHだけ低く設定されているため、ウェブWが若干下方へ搬送されることとなり、ウェブWはインキの粘着性により上ブランケット胴35の表面に貼り付かずに次の印刷ユニット22に送られる。
【0073】
このように実施例5のオフセット輪転印刷機にあっては、印刷ユニット21のブランケット胴35,45を通過したウェブWの搬送ラインを、ウェブWの搬送方向における下流側に配置される上ブランケット胴35から離間する方向へ変更するために、印刷ユニット21のニップ部の位置に対して、印刷ユニット22のニップ部の位置を所定高さHだけ低くしている。
【0074】
従って、ウェブWが上下のブランケット胴35,45のニップ部を通過することでこのウェブWに印刷が施された後、このブランケット胴35,45を通過したウェブWは、ニップ部が低い印刷ユニット22へ搬送されることによりその搬送ラインが変更されることで、上ブランケット胴35から離間することとなり、インキの粘着性によりウェブWが上ブランケット胴35の表面に貼り付いて搬送されることが抑制され、網点太りやデラミネーションの発生が抑制されて印刷品質の低下を防止することができると共に、ウェブWが上ブランケット胴35の表面から剥がれるときの振動が抑制され、騒音の発生を防止することができる。
【0075】
なお、本実施例では、印刷ユニット21のニップ部の位置に対して、印刷ユニット22のニップ部の位置を低くしたが、複数ある全ての印刷ユニットに対して、ウェブWの反双方向における上流側の印刷ユニットのニップ部の位置に対して、下流側の印刷ユニットのニップ部の位置を低くすることが望ましい。
【0076】
また、上述した各実施例では、エア噴射手段によりウェブWの搬送ラインを変更するようにしたが、ウェブWの搬送ラインに対してエア噴射手段とは反対側にエア吸引手段を設け、このエア吸引手段によりウェブWを吸引することで、ウェブWの搬送ラインを変更するようにしてもよい。
【0077】
また、上述した各実施例では、各印刷ユニットの間にウェブ搬送ライン変更手段を設けたが、その位置は、ウェブWの搬送方向における上流側の印刷ユニットに近接して設けることが望ましく、印刷胴に設けてもよい。また、各印刷ユニットの間に一つのウェブ搬送ライン変更手段を設けたが、2つ以上設けてもよい。
【0078】
更に、上述した各実施例では、上下のブランケット胴35,45が互いに対接するように配置されると共に、上ブランケット胴35がウェブWの搬送方向の下流側にずれて配置されることで、ウェブWの搬送方向に直交する面F2に対して、ブランケット胴35,45における両軸心を結ぶ面F1が所定の傾斜角αを有するように配置したオフセット輪転印刷機において、ウェブ搬送ライン変更手段によりウェブWの搬送ラインを上ブランケット胴35から離間する下方向へ変更するものとして説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、下ブランケット胴45がウェブWの搬送方向の下流側にずれて配置されることで、ウェブWの搬送方向に直交する面F2に対して、ブランケット胴35,45における両軸心を結ぶ面F1が所定の傾斜角αを有するように配置したオフセット輪転印刷機において、ウェブ搬送ライン変更手段によりウェブWの搬送ラインを下ブランケット胴45から離間する上方向へ変更するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係るオフセット輪転印刷機は、ウェブを適正に搬送することで印刷品質の低下を抑制すると共に騒音の発生を抑制するものであり、いずれのオフセット輪転印刷機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1に係るオフセット輪転印刷機の要部を表す概略図である。
【図2】実施例1のオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置を表す斜視図である。
【図3】実施例1のオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置の断面図である。
【図4】実施例1のオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置の作動を表す概略図である。
【図5】実施例1のオフセット輪転印刷機を表す概略図である。
【図6】実施例1のオフセット輪転印刷機における印刷ユニットを表す概略図である。
【図7】本発明の実施例2に係るオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置を表す断面図である。
【図8】本発明の実施例3に係るオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置を表す断面図である。
【図9】本発明の実施例4に係るオフセット輪転印刷機におけるエア噴射装置を表す断面図である。
【図10】本発明の実施例5に係るオフセット輪転印刷機における各印刷ユニットの概略図である。
【符号の説明】
【0081】
13 印刷装置
21,22,23,24 印刷ユニット
31 上ユニット
35,91 上ブランケット胴(印刷胴)
41 下ユニット
45,92 下ブランケット胴(印刷胴)
51,61,71 エア噴射装置(ウェブ搬送ライン変更手段、エア噴射手段)
52,62,72 箱体
53,63 開口部
54 パイプ
55,73 噴射口
56 エア供給管(エア供給手段)
58 コンプレッサ(エア供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対の印刷胴が互いに対接するように配置されると共に、ウェブの搬送方向に直交する面に対して前記一対の印刷胴における両軸心を結ぶ面が所定の傾斜角を有するように配置され、前記一対の印刷胴のニップ部でウェブに印刷を行うオフセット輪転印刷機において、前記一対の印刷胴を通過した前記ウェブの搬送ラインを該ウェブの搬送方向における下流側に配置される前記印刷胴から離間する方向へ変更するウェブ搬送ライン変更手段を設けたことを特徴とするオフセット輪転印刷機。
【請求項2】
請求項1に記載のオフセット輪転印刷機において、前記ウェブ搬送ライン変更手段は、前記一対の印刷胴を通過した前記ウェブに対して、上方または下方からエアを噴射するエア噴射手段を有することを特徴とするオフセット輪転印刷機。
【請求項3】
請求項2に記載のオフセット輪転印刷機において、前記エア噴射手段は、前記ウェブの幅方向に沿って設けられて該ウェブに対向して開口部が形成された箱体と、該箱体内にエアを供給するエア供給手段とを有することを特徴とするオフセット輪転印刷機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のオフセット輪転印刷機において、前記ウェブ搬送ライン変更手段により変更される前記ウェブの搬送ラインの変更角度は、前記一対の印刷胴の傾斜角より小さく設定されることを特徴とするオフセット輪転印刷機。
【請求項5】
請求項1に記載のオフセット輪転印刷機において、前記一対の印刷胴を有する印刷ユニットが前記ウェブの搬送方向に沿って複数配置され、前記ウェブ搬送ライン変更手段は、前記ウェブの搬送方向における前後に隣接された前記印刷ユニットの前記ニップ部の高さが相違することで構成されることを特徴とするオフセット輪転印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−126431(P2008−126431A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310745(P2006−310745)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】