説明

オリゴ―グルロネート及びガラクツロネート組成物

本発明は、高分子薬物と、例えば、5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.80のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.20以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有するオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートとを含む医薬組成物を提供する。上記組成物は、ヒト又は非ヒト脊椎動物対象における粘膜表面へ当該組成物を投与することを含む治療方法で使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴ―グルロネート及びガラクツロネート組成物、ならびに、特に嚢胞性繊維症(CF)及び副鼻腔炎の治療における、例えば、上昇した粘膜粘性に対処するため、例えば、とりわけ気道、特に鼻腔及び肺からの粘液クリアランスを増進させるための、オリゴグルロネート類又はオリゴガラクツロネート類によるヒト又はヒト以外の動物、特に哺乳類の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
嚢胞性繊維症は、ヨーロッパ人における最も一般的な致死性の遺伝病である。この病気は、身体における分泌細胞及び他の細胞に存在するクロライドチャネルである嚢胞性線維性膜貫通調節因子(CFTR)をコードする遺伝子における変異により引き起こされる。この病気は、粘性で処置困難な粘液分泌の身体における存在を特徴とし、肺疾患、消化器異常、及び不妊症を引き起こし得る。肺における粘膜毛様体クリアランスの正常パターンでは過度に粘性のある粘液は除去されず、これは微生物によってコロニーを形成され、次に粘液の粘性を増加させ、慢性の肺の炎症及び閉塞を引き起こし得る。肺疾患は、したがって大多数のCF患者にとって最大の健康問題であり、主な死亡原因である。
【0003】
粘液は、肺を含む気道全体の正常な分泌物である。その主な役割は、肺を清潔にしかつ感染症に対して防御をする粘膜毛様体クリアランス機構の一部である。粘膜毛様体クリアランス機構は、3つの主な構成要素(粘液、繊毛、及び気道表面の液体)を有する。上皮表面はしたがって、粘液を分泌する杯細胞及び繊毛上皮細胞を含み、その上に重なる層となる気道表面の液体及びその上には粘液の層があり、これには繊毛の先端が突出している。粘液は、主に水(約95重量%)と粘液の物理的性質の原因であるゲル形成分子であるムチンとからなる粘着性のゲル物質である。繊毛は、上皮細胞の表面からの小さな毛様の突出物であり、先端を粘液層に沈めし、水っぽく非粘性の気道表面の液体中で律動的に拍動する。粘液層は、細菌、ウィルス、吸入粒子、環境汚染物質、及び細胞残屑を捕らえる、粘性の覆いを肺表面で形成する。繊毛の拍動は、この粘液の覆い及びその中に捕らえられたものすべてを口の方に及び肺から外に推進させる役目を果たす。正常状態では、粘膜毛様体クリアランス機構は効果的に機能し、肺は清潔にそして感染することなく保たれる。この機構が許容範囲を超えた場合は、第2の防御線、すなわち咳、がある。従って、刺激又は炎症に応じて、例えば、吸入粒子又は感染により、分泌される粘液の量が増加すると、粘液は咳反射により肺から放出される。
【0004】
CF患者では、肺における粘液は正常よりも濃くかつ粘性であり、このより濃い粘液は、それほど容易には繊毛によって運搬されない。結果として、粘膜毛様体クリアランス機構が損なわれ、肺は感染に対してより脆弱になる。さらに、CF患者の肺は、低レベルの炎症が続き、通常は炎症を引き起こす物質に対して増大した応答を伴う過剰な炎症状態にあるようである。これは、炎症に対する応答の一部が粘液の増産であるので問題である。増加した粘液は、濃厚すぎて粘膜毛様体クリアランス機構又は咳によって除去することができない場合は蓄積され、肺活量が減少し、粘膜にわたっての酸素交換が減少する。これはバクテリアのコロニー形成に理想的な環境を提供し、これはまた炎症を引き起こし、かつ免疫反応を活性化させるのでCF患者には重大な問題である。これは、粘液分泌の増加だけでなく、マクロファージ及びリゾチームなどの免疫反応細胞及び免疫反応物質の存在の増加も引き起こす。細菌及びマクロファージが死ぬと、それらの細胞含有物は粘液中へ放出される。細胞含有物はDNAなどの粘性の分子を含む。細菌のいくつか(例えば、バークホルデリア(Burkholdia)属の種、及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa))はまた、非常に粘性の多糖類を分泌する(後者の場合ではアルギン酸)。これらの分子は、アルギン酸の場合には見たところ粘液のムチンマトリックスとの相互作用によるが、DNAの場合には見たところムチンマトリックス内のゾル相の粘性を増加させることにより、粘液の粘性をさらに増加させる。
【発明の概要】
【0005】
繊毛により運搬され得る形態で粘液を維持することは、したがって、CFの治療の重要な目的である。単にゲル様構造を分解する薬剤は、CF患者の過粘稠の粘液と同様に運搬され得ない液体を生じることになるであろう。したがって、治療剤はいずれも、糖タンパク質ムチンにより形成されるゲルマトリックスを分解しないことが重要である。
【0006】
我々は、5〜30、好ましくは5〜18の範囲の数平均重合度(DPn)を有するオリゴグルロネート類(oligoguluronates)又はオリゴガラクツロネート類(oligogalacturonates)(好ましくは、オリゴグルロネート類)を用いてこれを達成することができることを見出した。
【0007】
身体のどこか、例えば、耳、頸部、及びとりわけ気道において、特に鼻腔、とりわけ副鼻腔において、過度に粘性の粘液は問題を呈し得る。上記オリゴグルロネート類及びオリゴガラクツロネート類はまた、これらの問題の解決のために用いられ得る。
【0008】
子宮頸部の腺により産生される頸管粘液は、月経周期にわたって異なる割合で異なる種類の分泌物を含む不均質の物質である。この分泌は、排卵が起こり受胎が可能な「妊娠可能な時期(fertile window)」中以外は、精子が頸部を通って移動するのに常に障壁となるような性質を有する。これは、病原への不必要な接触から子宮、卵管、及び卵巣を保護するように働く。
【0009】
妊娠可能な時期中に精子の移動を支援するために、頸管粘液は、適切な生化学的及び生物物理学的特性を有さなければならない。pH及びオスモル濃度などの生化学的性質は、精子の生存にとって適切な条件の提供に重要である(マリオット(Marriott)ら、「粘液生理学及び病状(Mucus physiology and pathology)」、バイオアドヒシブドラッグデリバリーシステムズ(Bioadhesive Drug Delivery Systems)、CRC出版、1990年を参照のこと)一方で、流動性及び高分子ネットワーク形態などの生物物理学的性質は、粘液内の精子の運動性に作用する(ルトルラント(Rutllant)ら、リプロダクション・イン・ドメスティックアニマルズ(Reprod. Dom. Anim.)40:79〜86(2005年)を参照のこと)。
【0010】
臨床的には、妊娠可能な時期は、排卵前の黄体形成ホルモンの急増及び排卵後の基礎体温の上昇を検出することにより、ならびに頸管粘液の生物物理学的性質、特に、その牽糸性(曳糸性)(これは本質的には粘液にどれほどの伸縮性があるかの尺度であり、それ自体、粘液の流動性と関連する)を検査することにより同定され得る。頸管粘液のシダ状化(すなわち、排卵期の粘液が風乾されると生ずる結晶化パターン)はまた、粘液内での高分子ネットワークの形態と関連することが示されている(メナルゲス(Menarguez)ら、ヒューマンリプロダクション(Human Reproduction)18:1782〜1789(2003年)を参照のこと)。
【0011】
粘液のシダ状化パターン(ひいては、高分子ネットワークの形態)は、人工授精での妊娠が達成する可能性における重要な要因であることが示され、一部の女性にとっては「問題のある粘液(problem mucus)」は妊娠を達成するための大きな障壁のようである(ボアイエ(Boyers)ら、ヒューマンリプロダクション(Human Reproduction)6:1108〜1114(1991年)を参照のこと)。
【0012】
したがって、「問題のある粘液」を有する女性のためだけでなく、妊娠の可能性を最大限にしたいすべての女性のため、及び動物の妊娠の可能性を最大限にしたい動物のブリーダーのためにも、至適な精子運動性のための頸管粘液の生物物理的性質の修飾方法が必要とされている。
【0013】
我々は、5〜30、好ましくは5〜18の範囲の数平均重合度(DPn)を有するオリゴグルロネート類又はオリゴガラクツロネート類(好ましくは、オリゴグルロネート類)を用いてこれを達成することができることを見出した。
【0014】
オリゴグルロネート類及びオリゴガラクツロネート類のこれらの使用は、例えば、国際公開第2007/039754号及び国際公開第2007/039760号に記載されており、これら文献の内容は参照により本書に援用される。
【0015】
オリゴグルロネート類及びオリゴガラクツロネート類(以下、「Gブロック類」)は、下記に記載されるように天然の多糖類から調製されてもよく、異なる重合度(DP)の化合物の混合物を含んでもよい。我々は今回、Gブロック混合物の高分子量の「尾」を除去することにより、粘液の構造を改変する能力の点で向上した特性を有する物質が得られることが見出した。
【0016】
本明細書の請求項には、したがって、数平均重合度(DPn)、グルロネート/ガラクツロネート画分(FG)、マンヌロネート(mannuronate)画分(FM)、及び分子量分布について特に好ましい値が記載されている。
【0017】
我々は驚くべきことに、高分子薬物(すなわち、2000Daを超える(好ましくは4000Daを超える、例えば、5〜2000kDa)分子量を有する薬剤)の粘膜表面からの取り込みを促進させるために、Gブロック類(とりわけ、オリゴグルロネート類)が、それらが共投与された場合に、有利に使用され得ることを見出した。この効果は、メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞モデルを使用して明確に証明された。
【発明を実施するための形態】
【0018】
したがって、一態様から見ると、本発明は、オリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートと高分子薬物とを含む医薬組成物を提供する。
【0019】
さらなる態様から見ると、本発明は、ヒト又は非ヒト脊椎動物(例えば、哺乳類、鳥類、又は爬虫類、とりわけ哺乳類)対象の治療方法を提供し、この方法は当該対象に有効量の高分子薬物を含む医薬組成物を投与することを含み、当該対象の粘膜表面に当該薬剤を、有効量のオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートと共に、共投与することを含むことを特徴とする。
【0020】
別の態様から見ると、本発明は、治療方法で用いる高分子薬物をさらに含む薬剤の製造のためのオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの使用を提供し、上記治療方法は、ヒト又は非ヒト脊椎動物対象における粘膜表面へ当該薬剤を投与することを含む。
【0021】
粘膜表面によって、例えば、鼻、膣、肺、口腔粘膜(例えば、舌下)、又は肛門の内側が意味される。口への投与は、一般的に、スプレーの吸入、又は舌下への配置、又は口中での保持により行われることになる。胃又は腸における薬物の取り込みのための胃腸管への経口投与はさらなる選択肢であるが、そのように投与された場合には高分子薬物はしばしば破壊されやすいので、好ましさが劣る。
【0022】
適切な高分子薬物の例としては、核酸(例えば、DNA又はRNA)、タンパク質、ペプチド、ホルモン、抗体など、より具体的には、インスリン、抗TNF(例えば、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ(adalinumab)など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン・アルファ又はベータ)、第VII因子、第VIIa因子、第VIII因子、第IX因子、卵胞刺激ホルモン、エリスロポエチン、トラスツズマブ、リツキシマブ、顆粒球コロニー刺激因子(及びペグ(PEG)化された均等物)、ソマトトロピン及びアポトランスフェリン(無トランスフェリン血症の治療で使用される)などの成長ホルモン、及びベータ・グルコセレブロシダーゼが挙げられる。これらのうちのほとんどは、粘膜表面からの生物学的吸収が非常に低いので、従来は注射により投与され、これは粘膜表面での投与に比べ患者にとっては心地よい投与経路ではない。本発明の方法では、かかる薬剤は、勿論それらの通常の適応症に使用することができる。適切な用量は、取り込まれた量が従来の注射量と同等であるということに基づいて、使用している動物モデルから容易に決定され得る。所望であれば、本発明の組成物は、皮下又は筋肉内投与されてもよいが、これは好ましさが劣り、静注は一般的に望ましくない。
【0023】
本発明の組成物への組み込みに好適な適切な高分子薬物の例としては、商品名エンブレル及びレミケードとして販売される抗TNF薬、商品名リツキサンとして販売される抗CD20、商品名プロクリット、エプレックス、アラネスプ、エポジェン(Epogen)、ネオレコルモン(NeoRecormon)、及びエポジンとして販売されるエリスロポエチン、商品名ニューラスタ(Neulasta)として販売されるG−CSF、商品名ハーセプチンとして販売される抗EGFR、商品名アボネックス、レビフ(Rebif)、ベタセロン、ニューポジェン(Neupogen)、及びペガシスとして販売されるインターフェロン、商品名コージネイトとして販売される第VIII因子、商品名ノボセブンとして販売される第VII因子、商品名ベネフィックスとして販売される第IX因子、商品名ジェノトロピン及びニュートロピン(Nutropin)として販売される成長ホルモン、商品名アクティベース(Activase)として販売されるtPA、商品名フォリスチムとして販売されるFSH、ならびに商品名セレザイムとして販売されるグルコセレブロシダーゼが挙げられる。製造者のウェブサイトから適応症及び用量の詳細が得られる。
【0024】
高分子薬物は勿論、遺伝子療法に用いる核酸であってもよい。
【0025】
高分子薬物は、好ましくは、単に感染、炎症、粘膜の粘性、又は他の肺疾患を減少させるいずれかの効果以上の所望の生理的効果を有するものである。特に、高分子薬物は、好ましくは、核酸切断酵素、ゲルゾリン、デキストラン、ポリASP、又はポリGLU以外のものである。
【0026】
高分子薬物は、時に水溶液中で凝集体を形成する傾向があり、理論により拘束されることを望まないが、Gブロック類の共投与により達成される向上した取り込みの一部は、凝集体形成を減少させるGブロック類の効果の結果であると考えられる。本発明は、したがって、この凝集する傾向のあるインスリンなどの高分子との使用にとりわけ適している。Gブロック類の共投与により達成される向上した取り込みのさらなる部分は、細胞表面上のグリコカリックス構造の通過を促進させるGブロック類の能力にあると考えられる。これは、高分子薬物による適切な細胞表面受容体へのアクセスを促進させるGブロック類によって起こる可能性がある。
【0027】
使用されるGブロックは、好ましくは、5〜18(とりわけ、7〜15)の範囲の数平均重合度、少なくとも0.80(好ましくは、少なくとも0.85、とりわけ少なくとも0.92)のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.20以下(好ましくは、0.15以下、とりわけ0.08以下)のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満(好ましくは、17未満)の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートである。Gブロックは、好ましくは、使用する準備ができている場合に、水溶液中で0.1〜50mg/mL、とりわけ0.5〜25mg/mL、特に1〜10mg/mLで組成物中に存在する。別な書き方をすれば、Gブロック及び高分子薬物は、好ましくは、約0.5:1〜10:1、特に約1:1の相対的な重量比で存在する。
【0028】
別の態様から見ると、本発明は、ヒト又は非ヒト脊椎動物(例えば、哺乳類、鳥類、又は爬虫類、とりわけ哺乳類)対象における粘膜表面の粘膜の粘性を減少させるための、及び特に粘膜の過粘稠に対処するための(例えば、漿液性中耳炎、副鼻腔炎、又は嚢胞性繊維症を治療するための、授精又は性交に続く受胎の可能性を増進させるための、粘膜表面にわたるドラッグデリバリーを増進させるための)治療方法を提供し、この方法は、5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.92のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.08以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートを有効量当該粘膜表面に投与することを含む。
【0029】
オリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートが、気道(すなわち、鼻、鼻腔、及び肺)又は耳の中の粘膜表面に投与される場合、好ましくは、40〜140mg/mLの濃度(ナトリウム塩形態のオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの重量に基づいて計算される。以下「ナトリウム塩基準」と呼ぶ。)で水溶液中で処方されることになる。肺に投与される場合、ヒトのための1日量は、成人で100〜2000mg/日(ナトリウム塩基準)、好ましくは120〜1000mg/日、とりわけ150〜500mg/日となる。小児には、用量は、上記の用量範囲に関して成人の体重を70kgとして子どもの体重に比例してもよい。この1日量は、好ましくは、時間間隔を置いて2、3又は4回に分けて投与されることとなる。
【0030】
オリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートが膣中の粘膜表面に投与されるか、又は経直腸的に投与される場合、水溶液以外の形態で提供されてもよい。したがって、例えば、錠剤、被覆錠剤(とりわけ、遅延放出性又は徐放性被覆錠剤)、カプセル剤、坐剤、ペッサリー剤、ゲル剤、乳剤、シロップ剤、分散剤、懸濁剤、乳剤、散剤、クリーム剤、ペースト剤などの形態であってもよい。この目的のために、従来の製剤担体及び賦形剤と共に処方されてもよく、剤形は従来の方法で調製されてもよい。
【0031】
膣投与に関して、オリゴウロネート(すなわち、オリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネート)は、好ましくは、無菌水性組成物の形態、例えば、液剤、ゲル剤、乳剤、クリーム剤又はペースト剤、あるいは、錠剤、カプセル剤又は膣坐剤として投与される。しかしながら、ゲル剤形態(とりわけ、水性の潤滑性ゲル剤)が好ましい。殺精子剤を含まないかかる組成物は、所望であれば、精子機能を増進させるための(例えば、pH調節剤及び酸化防止剤)、又は授精を支援するための(例えば、筋弛緩薬、潤滑剤など)さらなる薬剤を含んでもよい。明確には、組成物はまた、膣投与用組成物で通常見られるような生理学的に許容されるさらなる薬物成分又は化粧用成分を含んでもよい(例えば、結合剤、希釈剤、溶解性カプセル殻、芳香剤、抗生物質、ビタミン剤、油剤、乳化剤、坐剤基剤など)。
【0032】
オリゴウロネートは、好ましくは、成人のヒト女性には、投与単位当たり約0.1〜2.5g、より好ましくは投与単位当たり0.5〜2gで存在することになる。他の種についての用量は、平均の身体の大きさを参照して同様に計算され得る(例えば、[(0.1〜2.5)/60]g/投与単位/kg体重など)。
【0033】
組成物は、好ましくは、授精に先立って投与される(例えば、1〜60時間前、好ましくは、2〜48時間前、とりわけ、4〜36、例えば、20〜52時間前)。これは、例えば、膣洗浄により、水分解性の錠剤又はカプセル剤の膣挿入により、又はゲル剤又はペースト剤の注入により達成されてもよい。投与の時期は、排卵又は排卵の接近を示す監視パラメータ(例えば、体温)により選択されてもよい。
【0034】
所望であれば、組成物は、2回以上投与されてもよい(例えば、授精のかなり前と授精の直前(例えば、1時間以内))。
【0035】
組成物にpH調節剤が含まれている場合、これは、好ましくは、膣のpHがわずかに塩基性(例えば、pH7.1〜7.6、とりわけ、pH約7.4)になるようにするものである。通常の生理学的に許容される緩衝液がこれに関して使用されてもよい。
【0036】
本発明の方法に従って治療される女性は、好ましくは、ヒトの女性であり、特に、問題のある粘液による不妊問題を抱えていると診断された女性である。しかしながら、上記方法は、妊娠の可能性を増加させるために、妊娠が可能な年齢の他のヒト女性により使用されてもよい。また、雌牛、馬、犬、猫、羊、山羊、豚などの動物のために獣医及び動物のブリーダー(例えば、農業従事者)により使用されてもよい。
【0037】
膣投与用の本発明の組成物は、好ましくは、本発明の方法で用いるための指示書と共に、特に好ましくは、投与単位形態で、かつとりわけ好ましくは、アプリケータ(例えば、注入器)と共に包装される。前もって充填された注入器の使用がとりわけ好ましい。あるいは、アプリケータは、凹側に組成物を備えたペッサリー(cervical diaphragm)の形態をとってもよく、ペッサリーの膜が精子透過性又は水溶性の物質でなければ授精前に取り除かれる。かかる注入器及びペッサリーは、本発明のさらなる態様を形成する。
【0038】
経直腸的な胃腸管への投与に関しては、1日量は、典型的には、0.1〜100mg/kg体重、より好ましくは、1〜50mg/kg、とりわけ、1.5〜25mg/kg(ナトリウム塩基準)となる。投与は、好ましくは1日に1〜4回である。
【0039】
耳への投与に関しては、1日量は、典型的には、0.05〜4mg/kg体重(ナトリウム塩基準)、より好ましくは、0.1〜2mg/kgとなる。投与は、好ましくは1日に1〜4回行われる。
【0040】
至適用量は、任意で動物モデル(例えば、犬モデル)の予備研究にしたがって、慣例的な用量測定実験により容易に決定され得る。
【0041】
本発明の組成物は、従来の製剤担体及び賦形剤を使用して製造されてもよい(例えば、無菌溶媒(例えば、水、とりわけ注射用水)、オスモル濃度調節剤、香味剤、pH調節剤など)。それらは、さらなる活性成分、例えば、粘液のムチンマトリックスに関与しないバイオポリマーを分解する役割を果たす薬剤(例えば、DNアーゼ、特にrhDNアーゼ)、抗菌剤、麻酔薬、及び抗炎症剤を含んでもよい。かかるさらなる薬剤とオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートとを用いる併用療法(別々の又は一緒の投与でも)は、本発明の方法の特に好ましい実施形態である。かかるさらなる薬剤は、通常の用量、又はより低用量(例えば、通常の用量の50%)でも使用されてもよい。
【0042】
本発明に従って使用されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートは、好ましくは、7〜15、より好ましくは、8〜12、とりわけ約10の数平均重合度(DPn)を有する。分子量分布は、好ましくは、重合度(DP)が17を超えるものは5モル%以下、より好ましくは、重合度(DP)が14を超えるものは5モル%以下、さらにより好ましくは、重合度(DP)が12を超えるものは5モル%以下のようなものである(例えば、上記の各場合では、DPは、関連するDPnの上限よりも2高い)。同様に、関連するDPnの下限よりも2を超えて小さいDPを有するものは5モル%以下であることが好ましい。
【0043】
オリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの対イオンは、任意の生理学的に許容されるカチオンであってもよい(例えば、電荷を有する薬物成分(例えば、ナトリウム、カリウム、メグルミンなど)に一般的に使用される生理学的に許容されるイオンのいずれか)。しかしながら、アルギン酸のゲル化を促進するイオン(例えば、第二族金属)は使用されないことが好ましくは。ナトリウムが一般的に好ましい。
【0044】
したがって、さらなる態様から見ると、本発明は、5〜18(好ましくは7〜15、より好ましくは8〜12、とりわけ約10)の範囲の数平均重合度、少なくとも0.80(好ましくは少なくとも0.85、より好ましくは少なくとも0.90、とりわけ少なくとも0.92、最も具体的には少なくとも0.95)のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.20以下(好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下、とりわけ0.08以下、最も具体的には0.05以下)のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満(好ましくは17未満、より好ましくは14未満)の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの水溶液を含む噴霧可能な無菌水性液状組成物を提供し、当該溶液は、40〜140mg/mL、好ましくは50〜100mg/mL、とりわけ55〜75mg/mL(ナトリウム塩基準)の濃度で当該オリゴグルロネートを含む。
【0045】
さらなる態様から見ると、本発明は、貯留槽及び飛沫発生器を含む噴霧式アプリケータを提供し、当該貯留槽は、本発明よる無菌水溶液又は組成物を含む。かかる噴霧式アプリケータ、ならびに実際にはオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートは、感冒もしくは他の理由から生じる嚢胞性繊維症、鼻腔もしくは鼻の閉塞、又は鬱血の治療に使用され得る。
【0046】
肺への吸入が意図される組成物は、望ましくは、さらなる生理学的に許容される粘膜の粘性降下剤、例えば、核酸切断酵素(例えば、DNアーゼIなどのDNアーゼ)、ゲルゾ
リン、チオール還元剤、アセチルシステイン、塩化ナトリウム、非荷電性低分子量多糖類(例えば、デキストラン)、アルギニン(もしくは他の酸化窒素前駆体もしくは合成促進剤)、又はアニオン性ポリアミノ酸(例えば、ポリASPもしくはポリGLU)を含む。DNアーゼの使用がとりわけ好ましい。
【0047】
肺への投与には、オリゴウロネート類は、例えば、約ナノメートルからマイクロメートル(例えば、10〜50000nm)のモード粒径の粉末の形態をしていてもよい。
【0048】
またさらなる態様から見ると、本発明は、医薬に用いるための、7〜15(好ましくは8〜12)の範囲の数平均重合度、少なくとも0.92(好ましくは少なくとも0.95)のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.08以下(好ましくは0.05以下)のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満(好ましくは14未満)の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート類又はオリゴガラクツロネート類を提供する。
【0049】
またさらなる態様から見ると、本発明は、例えば、嚢胞性繊維症、漿液性中耳炎、副鼻腔炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD、とりわけその湿式(wet)形態)、気管支炎、気腫、生殖障害の治療において粘膜表面への投与により当該表面での粘膜の粘性を減少させるための、又は粘膜表面にわたってのドラッグデリバリーを増進させるための内科的治療方法で用いる薬剤の製造のための、7〜15(好ましくは8〜12)の範囲の数平均重合度、少なくとも0.92(好ましくは少なくとも0.95)のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.08以下(好ましくは0.05以下)のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満(好ましくは14未満)の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの使用を提供する。
【0050】
またさらなる態様から見ると、本発明は、例えば、嚢胞性繊維症、漿液性中耳炎、副鼻腔炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD、とりわけその湿式(wet)形態)、気管支炎、気腫、生殖障害の治療において粘膜表面への投与により当該表面での粘膜の粘性を減少させるための、又は粘膜表面にわたってのドラッグデリバリーを増進させるための内科的治療方法で用いる、7〜15(好ましくは8〜12)の範囲の数平均重合度、少なくとも0.85(好ましくは少なくとも0.92)のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.15以下(好ましくは0.08以下)のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満(好ましくは14未満)の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートを40〜140mg/mL(ナトリウム塩基準)の濃度で無菌水溶液中に含む薬剤の製造のための当該オリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの使用を提供する。
【0051】
いっそうさらなる態様から見ると、本発明は、ヒト又は非ヒト脊椎動物(例えば、哺乳類、鳥類、又は爬虫類、好ましくは哺乳類)対象における粘膜表面の粘膜の粘性を減少させるための当該対象の治療方法を提供し、この方法は、7〜15(好ましくは8〜12)の範囲の数平均重合度、少なくとも0.92(好ましくは少なくとも0.95)のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.08以下(好ましくは0.05以下)のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満(好ましくは14未満)の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートを有効量当該表面に投与することを含む。
【0052】
いっそうさらなる態様から見ると、本発明は、ヒト又は非ヒト脊椎動物(例えば、哺乳類、鳥類、又は爬虫類、好ましくは哺乳類)対象における粘膜表面の粘膜の粘性を減少させるための当該対象の治療方法を提供し、この方法は、7〜15(好ましくは8〜12)の範囲の数平均重合度、少なくとも0.85(好ましくは少なくとも0.92)のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.15以下(好ましくは0.08以下)のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満(好ましくは14未満)の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートを40〜140mg/mL(ナトリウム塩基準)の濃度で含む無菌水溶液を有効量当該表面に投与することを含む。
【0053】
本発明の方法では、粘膜表面への投与は直接的(例えば、ペッサリーの挿入によって、膣ゲルの注入によって、耳もしくは鼻への液滴の注入又は投与によって、又は鼻もしくは肺へのスプレー飛沫の吸入によって)によって、又は間接的(例えば、胃腸管の遠位端部に達するような坐剤又は浣腸剤の投与によって)であってもよい。
【0054】
別の態様から見ると、本発明は、ヒト又は非ヒト脊椎動物(例えば、哺乳類、鳥類、又は爬虫類、好ましくは哺乳類)対象の耳、鼻腔、もしくは肺における粘膜の過粘稠に対処するための当該対象の治療方法を提供し、この方法は、5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.92のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.08以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネート(好ましくは、40〜140mg/mL(ナトリウム塩基準)の濃度で無菌水溶液中)を有効量、当該対象の耳、鼻腔、又は肺に投与することを含む。
【0055】
この方法におけるオリゴウロネートの投与は、患者の耳又は気道(例えば、副鼻腔、又はより好ましくは肺)における粘液を分泌する又は粘液を有する表面までオリゴウロネートを送達する任意の手段によって行ってもよい。導入は、典型的には、例えば、液体飛沫(例えば、エアロゾル)もしくは粉末の吸入、又は鼻もしくは耳への液滴の投与によって行われることになる。
【0056】
我々はまた、粘膜表面にわたる生理活性剤(以下、「薬物成分」)の取り込みを増進させるために、オリゴグルロネート類及びオリゴガラクツロネート類が使用され得ることを見出した。したがって、さらなる態様から見ると、本発明は、薬物成分と、5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.80のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.20以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネート(好ましくは、好ましいものとして上記に記載されたオリゴグルロネート類の1種)とを含む医薬組成物を提供する。かかる組成物は、例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、液剤、坐剤、分散剤などの任意の従来の形態であってもよく、従来の製剤担体及び賦形剤を用いて従来の様式で製造されてもよい。薬物成分は、好ましくは荷電分子、とりわけ高分子(例えば、2kDaを超える分子量を有する)、例えば、高分子電解質もしくは両性電解質、特に、マイナスに荷電した分子である。したがって、例えば、薬物成分は、糖タンパク質(例えば、トランスフェリン)などの高分子複合体であってもよい。さらなる態様から見ると、本発明は、粘膜表面の通過を介した薬物成分の取り込みのための粘膜表面への投与のための薬物成分をさらに含む薬剤の製造のための、5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.80のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.20以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネート(好ましくは、好ましいものとして上記に記載されたオリゴグルロネート類の1種)の使用を提供する。またさらなる態様から見ると、本発明は、薬物成分に応答する症状に対処するために有効量の当該薬物成分をヒト又は非ヒト脊椎動物対象における粘膜表面に投与することによる当該対象の治療方法であって、当該薬物成分を、5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.80のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.20以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネート(好ましくは、好ましいものとして上記に記載されたオリゴグルロネート類の1種)と共に投与することを含むことを特徴とする方法を提供する。投与は、典型的には、経鼻的(吸入による)、経直腸的もしくは経膣的となる。薬物成分は、典型的には、その通常用量の50〜110%で使用されることになる。
【0057】
オリゴウロネートは、合成物質であってもよいが、好ましくは天然に存在する多糖類の誘導体である。それは、単一化合物であってもよいし、例えば、様々な重合度のオリゴウロネート化合物の混合物であってもよい。
【0058】
多くの天然の多糖類が、しばしばマンヌロネート残基のブロック(いわゆるMブロック)と共に、グルロネート残渣のブロック(いわゆるGブロック)を含むブロック共重合体形態であるので、オリゴウロネート類は天然源から容易に入手可能である。Mブロック又はM/Gブロックは、本発明によるGブロックの代わりに使用することができるが、しかしながら、これは好ましくない。
【0059】
本発明に従って使用可能なオリゴウロネート類を製造するための多糖からオリゴ糖への開裂は、酵素消化及び酸加水分解などの従来の多糖類分解技術を使用して行われ得る。しかしながら、酸加水分解の使用が好ましい。次いで、所望のDPn及び分子量分布を有するオリゴウロネートは、イオン交換樹脂を用いてクロマトグラフィーにより、分別沈殿もしくは分別可溶化により、又は透析により多糖類分解産物から分離され得る。
【0060】
適切な多糖類は、例えば、「ハイドロコロイドのハンドブック(Handbook of Hydrocolloids)」、フィリップス(Phillips)及びウィリアムズ(Williams)編、CRC、ボカラトン、フロリダ州、米国、2000年に記載されている。しかしながら、アルギン酸類は、マンヌロネート(M)及びグルロネート(G)のブロック共重合体として天然に存在し、Gブロックオリゴマーは、容易にアルギン酸源の材料から製造することができるので、アルギン酸類の使用がとりわけ好ましい。
【0061】
オリゴウロネートの調製のために出発物質としてアルギン酸類が使用される場合、グルロネート含量は、所望であれば、A.ビネランジーからのマンヌロナン(mannouronan)C−5エピメラーゼによるエピマー化により増加されてもよい。
【0062】
本発明による使用に適切なオリゴグルロネート類は、コンブ(Laminaria hyperborea)からのアルギン酸の酸加水分解、中性のpHでの溶解、鉱酸を加えてpHを3.4まで減少させてのオリゴグルロネートの析出、弱酸を用いた洗浄、中性のpHでの再懸濁、及び凍結乾燥によって都合よく製造され得る。
【0063】
本発明を今から、次の非限定的な実施例及び添付の図面を参照してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1a及び図1b、図2a及び図2b、ならびに図3a及び図3bは、経時的及び添加されたオリゴウロネートの作用としてのCOPD患者からの痰におけるG*(上図)及びη*(下図)の変化を示す。
【図2】図1a及び図1b、図2a及び図2b、ならびに図3a及び図3bは、経時的及び添加されたオリゴウロネートの作用としてのCOPD患者からの痰におけるG*(上図)及びη*(下図)の変化を示す。
【図3】図1a及び図1b、図2a及び図2b、ならびに図3a及び図3bは、経時的及び添加されたオリゴウロネートの作用としてのCOPD患者からの痰におけるG*(上図)及びη*(下図)の変化を示す。
【図4】図4は、実施例7で使用されたDPnが10のGブロック材料及び、比較のための、高分子量の尾部が除去されていないDPnが19の前駆体物質のダイオネクスクロマトグラムである。
【図5】図5は、図4のGブロック材料の存在下での、モデル粘液の機械的性質の経時的な推移を示す。
【実施例】
【0065】
実施例1
DPn5〜18のオリゴグルロネートナトリウムの調製
1.コンブ(Laminaria hyperborea)の茎からのグルロネートに富むアルギン酸(pH2〜3、15〜40乾燥重量%)を、鉱酸又は有機酸(好ましくは、HCl)で、70〜100℃で2〜12時間十分に加水分解させる。
2.加水分解後、オリゴ糖混合物のpHを3〜4まで増加させ、低イオン強度水で洗浄して、Mに富むフラグメント及び低分子量成分を除去する。
3.必要であれば、精製されたオリゴ糖混合物を、工程1及び2でのようにさらに加水分解及び精製する。
4.精製されたオリゴ糖混合物を、次いで、アルカリ(好ましくは、NaOH又はNa2CO3)で中和して可溶性のGブロックを得、そして含量(乾燥重量)を2.5〜20%に調整する。
5.許容範囲の数平均重合度と分子量分布とを有する生成物を得るために、Gブロック溶液を2回ろ過する。まず、約1000Daのカットオフのフィルターに通してDPが5未満のオリゴマーを除去する。次いで、未透過物を約4000Daのカットオフのフィルターに通してろ過し、DPが約20を超えるGブロックフラグメントを除去する。
6.必要であれば、得られた透過物の乾物含量を調整し、溶液を噴霧乾燥する。得られたオフホワイト色から淡黄色の粉末(生成物)は、15%未満の含水率を有する。
【0066】
実施例2
DPn7〜15のオリゴグルロネートナトリウムの調製
調製工程は以下のとおりである。
1.上記の実施例1と同様。
2.上記の実施例1と同様。
3.上記の実施例1と同様。
4.収率及び純度を至適化するために、オリゴ糖混合物の乾物含量を5〜15%に調整し、オリゴ糖混合物を酢酸緩衝液(50〜250mM)に溶解して、溶液の最終pHを3.8〜5.0に到達させる。
5.酢酸緩衝液中の溶解したオリゴ糖を、70〜100℃で1〜15時間さらに均一に加水分解して、高分子量フラグメントの含量を低下させ、生理活性Gブロックフラグメントを増加させる。
6.上記の実施例1の工程5及び6に記載のように、ろ過(脱塩も含む)及び噴霧乾燥を行う。
【0067】
オリゴグルロネート類はまた、米国特許第6121441号及び米国特許第6407226号に記載のように調製されていてもよく、これら文献の内容は参照により本書に援用される。実際、本明細書における実施例1及び2の生成物は、有利には、出発物質として米国特許第6121441号に従って製造されたオリゴグルロネートを使用して製造されてもよい。
【0068】
実施例3
特性解析及び品質管理
実施例1及び2に関して、中間生成物の検査を含んで、以下の技術が使用される。
【0069】
純度(グルロネート残渣の含量)及び数平均重合度は、グラスダレン(Grasdalen)ら、カーボハイドレートリサーチ(Carbohydr. Res.)68(1):23〜31(1979)によって記載のように、1H−NMR分光法により測定される。
【0070】
ダイオネックス(Dionex)社により市販される、パルスアンペロメトリック検出と組み合わせた高精度アニオン性クロマトグラフィー(HPAEC−PAD)もまたオリゴマー物質の特性解析に使用される。Gブロックの特性解析には、以下の方法が使用される。
1.GブロックサンプルをMQ水に溶解する、1〜2mg/ml。
2.0.1MのNaOH溶液(炭酸塩を含まない)を移動相として使用し、かつ1.0Mの酢酸ナトリウムを溶出液として使用する。全ての溶液をヘリウムで脱気し、0.22マイクロメートルのフィルターに通してろ過する。
3.20マイクロリットルの試料を注入し、そしてAG4Aプレカラム及びイオンパック(IonPac)4×250 AS4Aメインカラムを使用する。
4.カラムを、90分以内で、0.1MのNaOH中0〜87.5%の直線濃度勾配の酢酸ナトリウムで溶出する。溶出速度は、650〜750psiの圧力レジームで1ml/分である。
5.鎖長に応じた応答係数を測定した後、各オリゴマーの濃度を計算することができ、これは数平均及び重量平均分子量のいずれも、そして分子量分布も求めることができることを示す。
【0071】
行われ得るオリゴ糖のさらなる処理:この考察(つまり、関連するパラメーターが所望の範囲外にある場合)は、生成物の製造収率に関係する。高G含量のアルギン酸の任意の加水分解産物を必要とされるパラメーター範囲内に適合させることは問題ではないが、収率が低くなる可能性がある。収率を至適化し、なお必要とされるパラメーター範囲内に適合させるため、次の助言を提案することができる。
a)過度に低いFG:さらなる加水分解(GG結合は酸加水分解に対してより安定している)又は/及びやや高いpH値でのさらなる洗浄(Mに富むフラグメントは、Gに富むフラグメントより酸可溶性である)。
b)「不適当」なDPn:平均DPnが低すぎる場合、1kDaフィルターを通すろ過を行うとロスが増えるので、収率が減少することになる。しかしながら、平均DPnが高すぎると収率は増加し得るので、ここでは、強化された酸加水分解が、所望のパラメーター範囲内により多くの分子をもたらすことになる。
【0072】
実施例4
投与用溶液
吸入用溶液は、実施例1及び2に従ってそれぞれ調製されたDPn5〜18又は7〜15のオリゴグルロネートナトリウムを6、8、及び10重量%の濃度で注射用滅菌水に溶解することにより調製される。
【0073】
これらのアリコートを、次いで、1〜5mL、好ましくは2〜3mLの用量で肺投与用の噴霧式アプリケータに充填する。
【0074】
さらなるアリコートは、スポイド付きのキャップを有するボトルに充填される。液滴は、例えば、片耳又は鼻孔ごとに2〜4滴で、鼻又は耳に投与されてもよい。
【0075】
実施例5
膣ゲル
実施例1及び2に従って調製されたオリゴグルロネートナトリウムを、5及び15重量%の濃度で、市販の膣潤滑用ゲル(例えば、K−Yゼリー(ジョンソン・アンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)社から)又はアストログライド(バイオフィルム(BioFilm Inc)社から))と混合する。このゲルを、好ましくは授精又は性交の2〜4時間前に、充分に塗布する。
【0076】
実施例7
ムチンに対する効果
痰の試料を、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者から採取した。試料を、穏やかに撹拌し、少量ずつに分け、−40℃で凍結及び保存した。
【0077】
対照試料及び混合試料(痰及びGブロック)を1分間穏やかに撹拌し、約10mBarで2×1分間脱気し、続いて、5分間冷蔵庫に入れた後、レオメータに移してから試験した。
【0078】
純粋なCOPD痰及び混合されたCOPD痰の流動学的測定は、存在するいかなるタンパク質分解酵素の影響も最小限にするために、レオロジカ(Rheologica)社、ストレス−テック(Stress-Tech)汎用レオメータを用いて10℃でプレート/コーン(40mm/10又は25mm/10、試料の量に応じて決定)に対して行なわれた。
【0079】
純粋なCOPD痰及びGブロックと混合された痰の流動学的特性解析は、異なる4つの工程において行なわれた。
1.0.03の一定の歪み及び1Hzの周波数で2分間の振動歪み制御。
2.前せん断(20s-1のせん断速度で1分間)後に0.03の一定の歪み及び1Hzの周波数で60分間の振動歪み制御。
3.0.03の一定の歪みで、0.01〜5Hzの範囲で周波数掃引。
4.1Hzで、0.02〜20Paの範囲で応力掃引。
【0080】
処理#2(前せん断及び1時間の測定)は、示される実験結果の基準を示す。この処理は、0〜24時間以内に2〜3回繰り返された。
【0081】
3種類の生体外COPD痰試料からの結果をここに報告する。試料は、「そのまま」(対照)そしてGブロックを添加して流動学的に試験された。
・純粋な痰(対照)
・痰+75マイクロリットルの150mg/ml(0.5gの痰試料当たり)グルロネートナトリウムオリゴマーDP10
グルロネートナトリウムオリゴマーDP10は、次の特性を有していた。
G0.79、FM0.11、FGG0.76、FGM=FMG0.03、FMM0.07、FMGG=FGGM0.02、FMGM0.01、FGGG0.74、FG(red)0.10、FG(tot)0.89、DPn10

図1a、図2a、及び図3aは、オリゴウロネートの導入後の、前せん断処理の終了後かつ任意の期間での、COPD痰試料(オリゴウロネートを含有、及び非含有)の複素弾性率(G*)の推移を示す。図1b、図2b、及び図3bは、図1a、図2a、及び図3aと同様の痰試料の複素粘度の推移を示す。
【0082】
オリゴウロネートの添加は、明らかに、そして経時的に、生体外でのCOPD痰の機械的性質を低下させる。複素動的弾性率及び複素動的粘度のいずれもかなり低下される。しかしながら、位相角の変化はG*及びη*の程度ほどは生じない(データ含まず)。これは、ムチンネットワークの機械的性質が維持されていることを明確に示すので最も重要である。
【0083】
実施例8
シダ状化
ムチン組成物は以下のように調製された。
a)0.05MのNaCl水溶液1mL当たり18mgのムチン、
b)0.05MのNaCl水溶液1mL当たり18mgのムチン及び1mgのアルギン酸、ならびに
c)0.05MのNaCl1mL当たり18mgのムチン及び0.5mgのグルロネートオリゴマー(DPn=10、実施例7と同様)。
【0084】
組成物を風乾させ、顕微鏡写真を記録した。これら(本明細書には含まず)は、グルロネートオリゴマーがシダ状化を促進することを明確に示した。
【0085】
実施例9
粘液の機械的性質
2種のモデル粘液物質を調製した。1つ目は、水中の18mg/mLのムチン及び0.6mg/mLのアルギン酸で、2つ目は、18mg/mLのムチンのみであった。4mg/mLのDPnが10であるGブロック(実施例7と同様)又はDPnが19のものをそれぞれに加え、各試料について経時的な複素動的弾性率G*の推移を記録した。G*は粘液の機械的性質を示す。結果を図5に示す。上から、ムチン/アルギン酸、ムチン、DPn19を有するムチン/アルギン酸、及びDPn10を有するムチン/アルギン酸である。示されるように、高分子量の尾部を有さないDPnが10のGブロックは、DPnが19のGブロックよりも粘液の固体様挙動を低下させる。図4は、使用された2種類のGブロックのダイオネックスクロマトグラムである。示されるように、DPnが19の試料は右端に向かって肩(shoulder)を有しており、高分子量の尾部の存在を示している。
【0086】
実施例10
エタネルセプト組成物
DPnが10のGブロック(実施例7と同様)を40mg/mLで50mg/mLの注射用エタネルセプト水溶液(アムジェン(Amgen)社、カリフォルニア州、米国、から登録商標エンブレル(Enbrel)として入手可能)に溶解する。
【0087】
実施例11
インフリキシマブ組成物
DPnが10のGブロック(実施例7と同様)8mg/mL及びインフリキシマブ10mg/mL(セントコア(Centocor)社、ペンシルベニア州、米国、から登録商標レミケード(Remicade)として入手可能)を滅菌水に溶解する。
【0088】
実施例12
リツキシマブ組成物
DPnが10のGブロック(実施例7と同様)を10mg/mLで、10mg/mLの注射用リツキシマブ水溶液(ジェネンテック(Genentech)社、カリフォルニア州、米国、から登録商標リツキサン(Rituxan)として入手可能)に溶解する。
【0089】
実施例13
エリスロポエチン組成物
DPnが10のGブロック(実施例7と同様)を8mg/mLで、4000U/mLの注射用エポエチン・アルファ水溶液(アムジェン(Amgen)社、カリフォルニア州、米国、から登録商標エポジェン(Epogen)として入手可能)に溶解する。
【0090】
実施例14
G−CSF組成物
DPnが10のGブロック(実施例7と同様)を9mg/mLで、10mg/mLの注射用ペグフィルグラスチム水溶液(アムジェン(Amgen)社、カリフォルニア州、米国、から登録商標ニューラスタ(Neulasta)として入手可能)に溶解する。
【0091】
実施例15
トラスツズマブ組成物
DPnが10のGブロック(実施例7と同様)15mg/mL及びトラスツズマブ(ジェネンテック(Genentech)社、カリフォルニア州、米国、から登録商標ハーセプチン(Herceptin)として入手可能)22mg/mLを注射剤静菌水に溶解する。
【0092】
実施例16
インターフェロン組成物
DPnが10のGブロック(実施例7と同様)を1mg/mLで、30μg/mLの注射用インターフェロン・ベータ−1a水溶液(バイオジェン・アイデック(Biogen Idec)社、ホーフトドルプ、オランダ、からの登録商標アボネックス(Avonex)として入手可能)に溶解する。
【0093】
実施例17
インスリン組成物
DPnが10のGブロック(実施例7と同様)を10mg/mLで、100U/mLの注射用インスリン水溶液(イーライリリー(Ely Lilly)社、インディアナ州、米国、から登録商標ヒューマリン(Humulin)として入手可能)に溶解する。
【0094】
実施例10〜17の組成物は、典型的には、経鼻的、経膣的、又は舌下的に、一般的には、これら実施例中で言及された市販の薬剤化合物の供給者によって推奨された規模の用量で投与されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.80のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.20以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートと(b)2000Daを超える分子量を有する高分子薬物とを含む医薬組成物。
【請求項2】
ヒト又は非ヒト脊椎動物対象における粘膜表面に前記薬剤を投与することを含む治療方法で用いる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
7〜15の範囲の数平均重合度、少なくとも0.85のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.15以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートを含む、請求項1及び2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
ヒト又は非ヒト脊椎動物対象における粘膜表面に薬剤を投与することを含む治療方法で用いる、高分子薬物をさらに含む前記薬剤の製造のためのオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの使用。
【請求項5】
ヒト又は非ヒト脊椎動物対象に、有効量の高分子薬物を含む医薬組成物を投与することを含む治療方法であって、前記対象の粘膜表面に前記薬物を有効量のオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートと共に共投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
ヒト又は非ヒト脊椎動物対象における粘膜表面の粘膜の粘性を減少させるための前記対象の治療方法であって、前記方法は、5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.92のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.08以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートを有効量前記粘膜表面に投与することを含む方法。
【請求項7】
5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.80のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.20以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの水溶液を含む噴霧可能な無菌水性液状組成物であって、前記溶液は前記オリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートを40〜140mg/mL(ナトリウム塩基準)の濃度で含む、組成物。
【請求項8】
7〜15の範囲の数平均重合度、少なくとも0.85のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.15以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの請求項7に記載の溶液。
【請求項9】
貯留槽及び飛沫発生器を含む噴霧式アプリケータであって、前記貯留槽は請求項7及び8のいずれかの無菌水溶液又は組成物を含む、噴霧式アプリケータ。
【請求項10】
医薬に用いるための、7〜15の範囲の数平均重合度、少なくとも0.92のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.08以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート類又はオリゴガラクツロネート類。
【請求項11】
粘膜表面への投与により前記表面での粘膜の粘性を減少させるための内科的治療方法で用いる薬剤の製造のための、7〜15の範囲の数平均重合度、少なくとも0.92のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.08以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの使用。
【請求項12】
粘膜表面への投与により前記表面での粘膜の粘性を減少させるための内科的治療方法で用いる、7〜15の範囲の数平均重合度、少なくとも0.85のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.15以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートを40〜140mg/mL(ナトリウム塩基準)の濃度で無菌水溶液中に含む薬剤の製造のための、前記オリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの使用。
【請求項13】
ヒト又は非ヒト脊椎動物対象における粘膜表面の粘膜の粘性を減少させるための前記対象の治療方法であって、7〜15の範囲の数平均重合度、少なくとも0.92のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.08以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートを有効量前記表面に投与することを含む方法。
【請求項14】
ヒト又は非ヒト脊椎動物対象における粘膜表面の粘膜の粘性を減少させるための前記対象の治療方法であって、7〜15の範囲の数平均重合度、少なくとも0.85のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.15以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が17未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートを40〜140mg/mL(ナトリウム塩基準)の濃度で含む無菌水溶液を有効量前記表面に投与することを含む方法。
【請求項15】
薬物成分に応答する症状に対処するために、粘膜表面の通過を介した前記薬物成分の取り込みのための粘膜表面への投与のための、前記薬物成分をさらに含む薬剤の製造のための、5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.80のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.20以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートの使用。
【請求項16】
薬物成分に応答する症状に対処するために、ヒト又は非ヒト脊椎動物対象における粘膜表面に有効量の前記薬物成分を投与することによる前記対象の治療方法であって、前記薬物成分を、5〜18の範囲の数平均重合度、少なくとも0.80のグルロネート(又はガラクツロネート)画分(FG)、0.20以下のマンヌロネート画分(FM)を有し、かつ少なくとも95モル%が20未満の重合度を有する生理学的に許容されるオリゴグルロネート又はオリゴガラクツロネートと共に投与することを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−523636(P2010−523636A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502572(P2010−502572)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001287
【国際公開番号】WO2008/125828
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(506145050)エヌティーエヌユー テクノロジー トランスファー エーエス (8)
【氏名又は名称原語表記】NTNU TECHNOLOGY TRANSFER AS
【Fターム(参考)】