説明

オレフィン生成のための改善された分離プロセス

プロパンからプロピレンのような、パラフィンからオレフィンの分離のための、改善されたプロセスが提供される。2つの生成物スプリッタを並列して使用して、プロパンからプロピレンを分離する。生成物スプリッタのうちの1つは、より低圧で動作し、第2の生成物スプリッタは、より高圧で動作する。2つのスプリッタの並列使用は、先行技術プロセスと比較して、より低いエネルギ消費で、高純度プロピレン生成物の回収のためのプロセスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、オレフィンの生成、特にパラフィン供給材料から脱水素プロセスによって生成されたオレフィンの分離のための、改善されたプロセスに向けられる。そのプロセスは、特にプロピレンとプロパンとの分離に適する。高純度プロピレン生成物を生成するために、2つの生成物スプリッタが、プロパンからプロピレンを分離するために、並列して使用される。生成物スプリッタのうちの一方は、より低圧で使用され、第2のスプリッタは、より高圧で動作される。2つのスプリッタの並列使用は、先行技術プロセスと比較して、より低いエネルギ消費量で高純度プロピレン生成物の回収のためのプロセスを提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
オレフィン炭化水素は、ポリマー、モータ燃料混合添加剤、および他の生成物のような、多くの石油生成物の生成に役立つ。1つの分子当たり2〜5つの炭素原子を有する短鎖飽和炭化水素は、対応するオレフィンを形成するために脱水素をしばしばうける。オレフィンは、次いで、イソパラフィンのアルキル化において、モータ燃料混合添加剤を作るアルコールのエーテル化において、または様々なポリマー材料を生成するために使用されるモノマーとして使用されてもよい。
【0003】
特に有用な1つのオレフィンはプロピレンであり、それはプロパンの脱水素によって生成される。プロピレンは世界で2番目に大きな石油化学商品であり、ポリプロピレン、アクリロニトリル、アクリル酸、アクロレイン、プロピレンオキシドおよびグリコール、可塑剤オキソアルコール、クメン、イソプロピルアルコールおよびアセトンの生成において使用される。プロピレン生成における成長は、主としてポリプロピレンに対する産業需要によって駆り立てられ、なぜならば、それは包装材料およびアウトドア用衣類のような日常製品で使用されるからである。
【0004】
プロパン脱水素プロセスは、一般に図1に示されるステップを辿る。プロパンが脱水素ユニット(1)に供給され、そこにおいて、脱水素が、触媒の存在下で行なわれて、プロピレンを形成する。脱水素ユニットからの流出物は、圧縮機(2)の中で、十分に高い圧力、典型的には1標準平方インチ当たり115〜350ポンドに圧縮され、回収セクションにおいて、より軽い成分から、未反応のプロパンおよびプロピレンを回収する。
【0005】
回収セクション(3)では、さらなる精製のために、プロパンおよびプロピレンの回収を最大限にするために、圧縮された反応器流出物は、冷凍で連続的に冷却される。回収セクションからのオフガスは、主として水素、メタン、エタンおよびエチレンのような、より軽い成分からなる。
【0006】
炭化水素生成物流は回収ユニットから精製ユニット(4)に供給される。精製ユニットは典型的には2つの蒸留塔を含む。第1の蒸留塔、脱エタン塔では、エタンおよびより軽い成分はオーバヘッドオフガスとして回収され、プロパンおよびプロピレンはボトムとして除去される。
【0007】
その後、脱エタン塔からのボトム流れは、典型的には生成物スプリッタと呼ばれる第2の蒸留塔に供給される。生成物スプリッタカラムでは、プロピレンはオーバヘッド流れとして回収され、生成物スプリッタのボトム流れからの未反応のプロパンは、脱水素ユニットに戻って再利用される。
【0008】
従来のプロセスでは、生成物スプリッタは、典型的には、生成物スプリッタからのオーバヘッド蒸気を圧縮し、再沸騰する媒体として使用する、ヒートポンプ構成を使用して再沸騰される。生成物スプリッタ内の圧力を増加させて、低圧蒸気を使用して再沸騰することが可能であるが、プロパン脱水素ユニットは、典型的には、高圧生成物スプリッタを再沸騰させるために、十分な低レベルの蒸気を生成しはしない。
【0009】
プロパンの脱水素によるプロピレンの生成の共通の1つのプロセスは、CATOFINプロセスとして公知である。CATOFINプロセスでは、プロパンは、固定床クロム−アルミナ触媒を含む脱水素反応器に液体プロパンを供給することにより、プロピレンに転化される。典型的には複数の脱水素反応器が並列して動作して、いくつかの反応器が運転中である一方で、触媒再生が他の反応器において生じることを可能にする。脱水素反応器は、典型的には華氏約690度で維持される。
【0010】
反応器からの流出物は、蒸気で駆動される生成物圧縮機を使用して、冷却され圧縮される。圧縮された生成物は、回収セクションに送り込まれ、そこで、不活性ガス、水素および軽い炭化水素が、その圧縮された反応器流出物から取り除かれる。その後、回収ユニットからのプロピレンを多量に含有したガスは生成物精製セクションに送り込まれ、そこで、プロピレンが、上に記載されるようにプロパンから分離される。
【0011】
従来のプロパン脱水素プロセスの精製ステップが図2に示される。従来のプロセスでの生成物スプリッタ(110)は、供給ライン(100)を介して、C3+化合物を含む脱エタン塔から重質留分を供給される。この材料は生成物スプリッタの中で蒸留され、プロピレン生成物は、オーバヘッド流れ(102)で回収され、未反応のプロパンを含む、残りの化合物の大部分は、ボトム流れ(104)で出る。この従来の生成物スプリッタは、1標準平方インチ当たり約80〜90ポンドの圧力、および華氏40〜60度の温度で動作される。
【0012】
オーバヘッドプロピレン流(102)はセパレータ(150)からのオーバヘッド(105)と結合し、ヒートポンプ(130)にライン(106)を介して送られる。ヒートポンプは、ライン(133)を介して提供される高圧蒸気を使用して、蒸気タービン(131)によって駆動される。排蒸気はライン(122)を介して凝縮器(160)に放出され、そこで冷却されてプラントから放出される。
【0013】
生成物はヒートポンプ(130)の中で圧縮され、吐出し管(108)を通って流れて、生成物スプリッタ再沸器(120)に熱をあたえる。暖められたプロピレンは分割され、一部は生成物スプリッタにライン(114)を介して流れて戻り、残りはライン(112)を介して生成物セパレータ(150)に流れる。セパレータ(150)からのオーバヘッド(105)は生成物スプリッタからのオーバヘッドプロピレン流(102)と結合し、上に記載されるようにヒートポンプ(130)に供給される。セパレータのボトムからのプロピレン生成物(118)はさらなる処理のために他のユニットに送られる。
【0014】
生成物圧縮機械(140)は、ライン(143)を介して高圧蒸気を供給される蒸気タービン(141)によって駆動される。生成物圧縮機は、圧縮のために、脱水素反応器(図示せず)からライン(127)を介して生成物を供給される。圧縮された脱水素生成物は、さらなる分離のために、ライン(126)を介して供給される。従来のプラントでは、蒸気タービン(141)からの排蒸気はライン(124)を介して凝縮器(170)に放出され、そこでそれは冷却され、プラントから放出される。
【0015】
従来の低圧生成物スプリッタのボトムは主としてプロパンで構成される。ボトムは、ライン(128)を介して放出されて分割され、ボトムの一部は再利用されて、ライン(104)を介して再沸器(120)に送られ、そこでそれは加熱されて低圧スプリッタ(11)に送り戻されて熱を与える。ボトムの残りはライン(116)を介して放出され、さらなる処理のために送られる。
【0016】
しかしながら、従来の脱水素プロセスはいくつかの固有の限界を有する。主な1つの限界はプロピレン生成物を生成するのに必要な投入エネルギの量である。現在、従来の脱水素プロセスのための全エネルギ消費はプロピレン生成物の1kgあたり約100kcalである。そのため、業界において、プロパンの脱水素のための、それほど高価でなく、かつよりエネルギ効率のよい方法に対するニーズが、依然として満たされずに存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の概要
この発明はパラフィン供給材料からオレフィンを分離するプロセスに関する。このプロセスは、例えば、プロパンからプロピレンを生成するよう脱水素プロセスに続いてプロパンからプロピレンを分離するために使用されてもよい。このプロセスは、2つの生成物スプリッタを並列して使用し、第1のスプリッタはより高圧で動作され、第2のスプリッタはより低圧で動作される。低圧生成物スプリッタは、従来のプロピレン精製プロセスで典型的に行われるようにヒートポンプを使用して熱を供給される再沸器を有する。高圧生成物スプリッタは、より高圧で動作し、生成物圧縮機およびヒートポンプの蒸気タービンからの排蒸気を使用して熱を供給される再沸器を有する。
【0018】
この発明の1つの実施例では、プロピレンとプロパンとの混合物で構成される材料供給流は、2つの流れに分割される。第1の流れは高圧生成物スプリッタカラムに供給され、第2の流れは低圧生成物スプリッタカラムに供給される。低圧生成物スプリッタカラムからのオーバヘッド流れの少なくとも一部は、ヒートポンプに供給される。ヒートポンプを駆動する蒸気タービンからの排蒸気は高圧生成物スプリッタ用の再沸器に供給される。
【0019】
ヒートポンプは低圧生成物スプリッタカラムからのオーバヘッド流れを圧縮するために使用されてもよい。この発明のいくつかの実施例では、低圧生成物スプリッタからの圧縮されたオーバヘッド流れは、低圧生成物スプリッタカラム用の再沸器を介して供給される。
【0020】
1つ以上の生成物圧縮機がパラフィン材料をオレフィン生成物に転化する脱水素反応器からの産生物を圧縮するために使用される。生成物圧縮機は蒸気タービンによって駆動される。生成物圧縮機のための蒸気タービンからの排蒸気は、ヒートポンプからの蒸気タービンからの排蒸気と結合してもよく、結合した流れは高圧生成物スプリッタ用の再沸器に熱を供給するために使用される。
【0021】
この発明の別の実施例では、生成物スプリッタカラムからのオーバヘッド流れは還流流れおよび生成物流に分割される。還流流れはそれぞれの生成物スプリッタカラムにフィードバックされ、生成物流はさらなる処理のために他のユニットに供給される。
【0022】
この発明のさらに別の実施例では、セパレータが提供される。低圧生成物スプリッタカラムからの圧縮されたオーバヘッド流れは、低圧生成物スプリッタ用の再沸器に熱を供給した後にセパレータに供給される。セパレータからのオーバヘッド流れは、低圧生成物スプリッタカラムからのオーバヘッド流れと結合し、プロピレン生成物を含むセパレータからのボトムは、他のユニットに送られる。
【0023】
並列の生成物スプリッタへの材料供給流は、パラフィンをオレフィンに、たとえばプロパンをプロピレンに転化することができ、分離段を利用してプロピレンから未反応のプロパンを分離する任意のタイプのプラントから提供されてもよい。プロピレンは、例えばCATOFINプロセスなど、プロパンをプロピレンに転化するために任意のタイプの脱水素プロセスを使用して、この発明のプロセスのために生成されてもよい。好ましい実施例では、脱水素ユニットからの生成物流は、不活性ガス、水素および軽い炭化水素を除去するために、圧縮および冷凍によるなどして、さらに処理される。生成物流は、好ましくは、脱エタン塔カラムに供給され、そこで、C2およびより軽い成分はオーバヘッド流れで除去され、ボトム流れは、プロパンおよびプロピレンと小量の他の不純物からなる。この実施例では、脱エタン塔ボトム流れはこの発明の並列の生成物スプリッタ段に供給される。
【0024】
生成物精製段は、一般に、低圧生成物スプリッタ、高圧生成物スプリッタ、蒸気タービンで駆動されるヒートポンプ、および蒸気タービンで駆動される生成物圧縮機を含む。脱エタン塔ボトム流れは生成物精製段に入り、高圧スプリッタ用の再沸器蒸気要件が生成物圧縮機およびヒートポンプを駆動する蒸気タービンからの排蒸気によって満たされるように、分割される。低圧生成物スプリッタ用の再沸器のための熱は、従来の生成物スプリッタ構成でのようなヒートポンプから与えられる。
【0025】
記載される分離プロセスを任意のオレフィン転化プロセスにおいて使用して、パラフィンのような供給材料からオレフィンを分離してもよい。この発明のプロセスは、生成物が沸点に小さな差異を有するため、蒸気タービンによって提供される相当な量のパワーを要求するか、またはエネルギ集約的な分離を要求するプロセスには特に有利である。
【発明の効果】
【0026】
この発明のプロセスの利点には、より低い全エネルギ消費で高純度プロピレンを生成し得るということがある。例えば、従来のCATOFINユニットと比較して、この発明の生成物精製機構を使用する全エネルギ消費は、約18〜22%も全エネルギ消費を削減するかもしれない。この発明のプロセスの他の利点は、好ましい実施例の以下の詳細な説明に基づいて当業者には明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、プロパンからのポリプロピレンの生成ための従来のプロセスのステップを示す。
【図2】図2は、従来の先行技術処理機構の詳細な概略図を示す。
【図3】図3は、低圧スプリッタおよび高圧スプリッタを並列使用する、プロパンからのポリプロピレンの生成のためのプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
好ましい実施例の詳細な説明
この発明は、プロパンからのプロピレンの生成でのように、エネルギ集約的な分離の、改善されたプロセスに関する。この発明のプロセスでは、脱エタン塔カラムからのボトムのような、パラフィンのオレフィンへの転化のためのプロセスからの材料は、分割され、並列に動作する2つの生成物スプリッタカラムに供給される。一方の生成物スプリッタカラムは、より高圧で動作し、第2の生成物スプリッタは、より低圧で動作する。
【0029】
この発明のプロセスでは、生成物流は脱水素ユニットのようなオレフィン転化プラントから得られる。1つの実施例では、プロパンはプロピレンを生成するために任意のタイプの従来の脱水素ユニットに供給されてもよい。図1に示されるように、典型的には、脱水素ユニット生成物流は圧縮され、回収ユニットに送られて、不活性ガス、水素および他のより軽い成分を除去して、プロパンおよびプロピレンの回収を最大限にする。その後、生成物流は、回収ユニットから脱エタン塔カラムに送られて、そこで、C2およびより軽い成分はオーバヘッド蒸気として除去される。好ましい実施例では、脱水素ユニットはCATOFIN型反応器である。
【0030】
この発明の以下の好ましい実施例の記載は、例示的にのみ提供され、ここに記載および請求されるこの発明の全範囲を如何様にも制限するようには意図されない。以下に述べられるプロセスを任意のオレフィン転化プロセスにおいて使用して、パラフィンのような供給材料からオレフィンを分離してもよいことが、理解されるべきである。特に、このプロセスは、生成物が沸点に小さな差異を有するため、蒸気タービンによって提供される相当な量のパワーを要求するか、またはエネルギ集約的な分離を要求する分離に使用されてもよい。
【0031】
プロパンおよびプロピレンを分離するためのこの発明の実施例の概略図が、図3に示される。脱エタン塔カラムからのボトムは、プロピレン生成物の精製のために並列の低圧および高圧生成物スプリッタに供給される。図3に示されるように、脱エタン塔からのボトムはライン(10)を介して供給され、2つの生成物スプリッタのために2つの別個の供給ライン(12、14)に分割される。脱エタン塔から生成物スプリッタまでの流量は、生成物スプリッタのサイズに基づき、ならびにプラントの効率および稼動を最大限にするよう、選択され制御されることが理解される。好ましくは、脱エタン塔からの材料の約10%から35%は、低圧カラム(30)に供給され、残りは高圧カラム(20)に供給される。
【0032】
第1の供給ライン(12)は脱エタン塔ボトムを高圧生成物スプリッタ(20)に供給する。第2の供給ライン(14)は低圧生成物スプリッタ(30)に供給する。脱エタン塔からの材料の、第1と第2の供給ライン間における分離は、高圧生成物スプリッタへの材料が、以下に述べられるように、生成物圧縮機(50)およびヒートポンプ(40)を駆動するために使用される蒸気タービンからの排蒸気を使用して処理され得る流量であるように、行なわれる。
【0033】
高圧生成物スプリッタ(20)は、1標準平方インチ当たり約170ポンドと350ポンドの間の圧力で動作し、好ましくは1標準平方インチ当たり約275ポンドの圧力で動作する。脱エタン塔からの材料供給流(12)は、高圧生成物スプリッタ(20)に供給され、そこでプロパンはプロピレンから分離される。高圧生成物スプリッタは、プロパンとプロピレンとの分離に使用される典型的な設計の蒸留塔である。精製されたプロピレン生成物は、オーバヘッドライン(16)を介して高圧スプリッタを出て、水で冷却される凝縮器(70)を介して供給される。好ましくは、冷却水は、所望の温度にプロピレン生成物を冷却するために必要な冷却を提供するのに十分な温度および流量で凝縮器に供給される。プロピレン生成物は凝縮器の中で液化され、生成物流の一部は分割され、還流ライン(22)によって高圧生成物スプリッタ(20)に供給される。残りのプロピレン生成物は、さらなる処理のため、貯蔵部または別のユニットに、ライン(18)を介して供給される。プロピレン生成物流は、好ましくは華氏約85度と105度との間の温度の温度で凝縮器を出る。
【0034】
プロパンは、ライン(24)を介して、高圧生成物スプリッタ(20)のボトムから取り除かれる。ボトムの一部は、ライン(58)を介し、再沸器(80)を介して、高圧生成物スプリッタに戻される。再循環したボトムは、再沸器で、華氏約110度と140度との間の温度に加熱される。熱は再沸器に蒸気ライン(32)を介してあたえられるが、それは、ヒートポンプ(40)の蒸気タービン(55)からの排蒸気ライン(26)、および生成物圧縮機(50)の蒸気タービン(51)からの排蒸気ライン(28)から供給される。凝縮水および冷却された蒸気は再沸器からライン(34)を介して放出される。再利用されないプロパンの残りは、さらなる処理のため、ライン(62)を介して除去される。典型的には、プロパンは再利用され、脱水素ユニットに供給されることになる。好ましくは、再沸器に供給されるプロパンと再利用されるプロパンとの間の分割は、約20/1と40/1の間である。
【0035】
低圧生成物スプリッタ(30)は、1標準平方インチ当たり約60ポンドと100ポンドとの間の圧力で動作し、好ましくは1標準平方インチ当たり約75ポンドの圧力で動作する。脱エタン塔からの材料供給流(14)は、低圧生成物スプリッタ(30)に供給され、そこで、プロパンがプロピレンから分離される。精製されたプロピレン生成物は、オーバヘッドライン(36)によって低圧生成物スプリッタを出る。プロピレン生成物は、ライン(38)から供給されるセパレータ(60)からのオーバヘッドと結合し、結合した流れは、ライン(42)を介してヒートポンプ(40)に供給される。好ましくは、プロピレン生成物流は、ヒートポンプの中で、華氏約110度と150度との間の温度で、1標準平方インチ当たり約150ポンドと290ポンドとの間の圧力に圧縮される。ヒートポンプ(40)は蒸気タービン(53)によって駆動される。高圧蒸気を、好ましくは1標準平方インチ当たり約600ポンドから650ポンドで、蒸気タービン(53)に供給して、ヒートポンプ(40)を駆動する。蒸気タービン(53)からの排気はライン(26)を介して供給され、ライン(28)で排蒸気と結合して、上に記載されるように高圧スプリッタ再沸器(80)に供給を行なう。
【0036】
圧縮されたプロピレンはライン(44)を介してヒートポンプ(40)を出て、低圧スプリッタ再沸器(90)を介して供給されて、再沸器のために熱を供給する。再沸器(90)では、圧縮されたプロピレンは、華氏約75度と100度との間の温度に冷却される。再沸器の中で冷却後、プロピレン生成物は分割される。プロピレン生成物の一部は低圧生成物スプリッタ(30)のために還流としてライン(48)を介して供給される。プロピレン生成物流の大部分はセパレータ(60)にライン(46)を介して供給される。好ましくは、還流プロピレンと生成物プロピレンとの間の分割は、約10/1と20/1との間である。プロピレン生成物はセパレータ(60)から生成物ライン(64)を介して除去され、さらなる処理のため、貯蔵部または他のユニットに供給される。
【0037】
プロパンはボトムライン(52)によって低圧生成物スプリッタのボトムから取り除かれる。ボトムの一部は、分割され、ライン(54)を介して再沸器(90)に供給され、そこで、流れは加熱され、生成物スプリッタ(30)の底部で供給される。プロパンの残りは、処理のため、ライン(56)を介して除去される。好ましくは、再沸器に供給されるプロパンと再利用されるプロパンとの間の分割は、約1/10および4/10である。典型的には、プロパンは、さらなる処理のため、脱水素ユニットに再利用される。
【0038】
生成物圧縮機(50)は脱水素反応器(図示せず)からの産生物のために圧縮を提供する。脱水素反応器からの産生物は生成物圧縮機にライン(67)を介して供給され、圧縮された生成物は、処理および分離のため、ライン(66)を介して供給される。生成物圧縮機械は蒸気タービン(51)によって駆動される。高圧蒸気を、好ましくは1標準平方インチ当たり約600ポンドから650ポンドで、蒸気タービン(51)にライン(57)を介して供給して、生成物圧縮機(50)を駆動する。蒸気タービン(51)からの排気は、上に記載されるように高圧スプリッタ再沸器(80)にライン(28)を介して供給される。好ましくは、脱水素反応器生成物流は、1標準平方インチ当たり約150ポンド以上の圧力、および華氏約230度と250度との間の温度で、生成物圧縮機械を、ライン(66)を介して出る。好ましくは、プロピレン生成物流は少なくとも30%のプロピレンを含む。
【0039】
上に記載されたプロセスは、高純度プロピレン生成物を得るために、プロピレンからプロパンを分離する、よりエネルギ効率のよい手段を提供する。ヒートポンプおよび生成物圧縮機のための蒸気タービンからの排蒸気は高圧スプリッタ用の再沸器に熱を供給するために使用され、それによって、以前は失われていたエネルギを回収し使用する。例えば、この発明のプロセスは、プロピレン生成物の1kgあたり78〜82kcal/kg(従来のCATOFINプロセスに対して18〜22%の改善)を使用する。
【0040】
好ましい実施例が示され記載された一方、さまざま修正が、特許請求の範囲に記載されるこの発明の精神および範囲から逸脱せずに、上に記載されたプロセスになされてもよい。例えば、上に記載されたプロセスは、生成物に小さな温度差があるため、蒸気タービンによって提供される相当量のパワーを要求するか、エネルギ集約的な分離を要求する任意のオレフィン転化プロセスにおいて使用されてもよい。従って、この発明は、限定によってではなく、例示的に記載されたことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水素システムからの生成物流においてパラフィンからオレフィンを分離するためのプロセスであって:
(a)少なくとも1つのオレフィンと少なくとも1つのパラフィンとの混合物から実質的になる材料供給流を供給するステップと;
(b)前記材料供給流を第1の部分および第2の部分に分割するステップと;
(c)前記材料供給流の前記第1の部分を第1の生成物スプリッタカラムに供給し、前記材料供給流の前記第2の部分を第2の生成物スプリッタカラムに供給するステップとを含み、前記第1の生成物スプリッタカラムは前記第2の生成物スプリッタカラムよりも高圧で動作され、さらに;
(d)前記第2の生成物スプリッタカラムからのオーバヘッド流れの少なくとも一部をヒートポンプに供給して、第2の生成物スプリッタオーバヘッド流れを圧縮するステップと;
(e)前記ヒートポンプを駆動する少なくとも1つの蒸気タービンからの蒸気を前記第1の生成物スプリッタカラム用の再沸器に供給するステップとを含む、プロセス。
【請求項2】
(f)圧縮された第2の生成物スプリッタオーバヘッド流れを、前記ヒートポンプから、第2の生成物スプリッタ用の再沸器を介して流すステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
(g)生成物圧縮機を駆動する少なくとも1つの蒸気タービンからの蒸気を、前記第1の生成物スプリッタカラム用の再沸器に供給するステップをさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
(i)第1の生成物スプリッタからのオーバヘッド流れを、前記第1の生成物スプリッタにフィードバックされる還流流れと、生成物流とに分割するステップと;
(j)前記ヒートポンプからの圧縮された第2の生成物スプリッタオーバヘッド流れを、前記第2の生成物スプリッタにフィードバックされる還流流れと、生成物流とに分割するステップとをさらに含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
(g)前記第2の生成物スプリッタ用の前記再沸器からの圧縮された前記第2の生成物スプリッタオーバヘッド流れをセパレータに供給して、前記第2の生成物スプリッタオーバヘッド流れを、プロピレン生成物を含むセパレータボトム流れと、セパレータオーバヘッド流れとに分離するステップと;
(h)前記セパレータオーバヘッド流れを前記第2の生成物スプリッタからのオーバヘッド流れと結合し、結合した流れを前記蒸気タービンで駆動されるヒートポンプに供給するステップとをさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第1の生成物スプリッタカラムは1標準平方インチ当たり約170ポンドと350ポンドとの間の圧力で動作され、前記第2の生成物スプリッタカラムは1標準平方インチ当たり約60ポンドと100ポンドとの間の圧力で動作される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記オレフィンはプロピレンであり、前記パラフィンはプロパンである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1の生成物スプリッタカラムは1標準平方インチ当たり約275ポンドの圧力で動作され、前記第2の生成物スプリッタカラムは1標準平方インチ当たり約75ポンドの圧力で動作される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記材料供給流の約65%〜90%が、前記材料供給流の前記第1の部分に含まれる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
脱水素システムからの生成物流においてパラフィンからオレフィンを分離するためのプロセスであって:
(a)少なくとも1つのオレフィンおよび少なくとも1つのパラフィンの混合物から実質的になる材料供給流を供給するステップと;
(b)前記材料供給流を第1の部分および第2の部分に分割するステップと;
(c)前記材料供給流の前記第1の部分を第1の生成物スプリッタカラムに供給し、前記材料供給流の前記第2の部分を第2の生成物スプリッタカラムに供給するステップとを含み、前記第1の生成物スプリッタカラムは前記第2の生成物スプリッタカラムよりも高圧で動作され、さらに;
(d)前記第2の生成物スプリッタカラムからのオーバヘッド流れをヒートポンプに供給して、第2の生成物スプリッタオーバヘッド流れを圧縮するステップと;
(f)圧縮された前記第2の生成物スプリッタオーバヘッド流れを、前記ヒートポンプから、第2の生成物スプリッタ用の再沸器を介して流すステップと;
(g)圧縮された前記第2の生成物スプリッタオーバヘッド流れを、前記第2の生成物スプリッタにフィードバックされる還流流れと、生成物流とに分割するステップと;
(h)第1の生成物スプリッタからのオーバヘッド流れを、前記第1の生成物スプリッタにフィードバックされる還流流れと、生成物流とに分割するステップと;
(i)脱水素反応器産生物圧縮機を駆動する少なくとも1つの蒸気タービンからの蒸気と、前記ヒートポンプを駆動する少なくとも1つの蒸気タービンからの蒸気とを組み合わせ、その蒸気を前記第1の生成物スプリッタカラム用の再沸器に供給するステップとを含む、プロセス。
【請求項11】
(j)ステップ(g)の生成物流をセパレータに供給し、前記生成物流を、プロピレン生成物を含むセパレータボトム流れと、セパレータオーバヘッド流れとに分離するステップと;
(k)前記セパレータオーバヘッド流れを前記第2の生成物スプリッタからのオーバヘッド流れと結合し、結合した流れを前記蒸気タービンで駆動されるヒートポンプに供給するステップとをさらに含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記オレフィンはプロピレンであり、前記パラフィンはプロパンである、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記第1の生成物スプリッタカラムは1標準平方インチ当たり約170ポンドと350ポンドとの間の圧力で動作され、前記第2の生成物スプリッタカラムは1標準平方インチ当たり約60ポンドと100ポンドとの間の圧力で動作される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第1の生成物スプリッタカラムは1標準平方インチ当たり約275ポンドの圧力で動作され、前記第2の生成物スプリッタカラムは1標準平方インチ当たり約75ポンドの圧力で動作される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項15】
前記材料供給流の約の65%〜90%が、前記材料供給流の前記第1の部分に含まれる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
前記第1の生成物スプリッタカラムは1標準平方インチ当たり約170ポンドと350ポンドとの間の圧力で動作され、前記第2の生成物スプリッタカラムは1標準平方インチ当たり約60ポンドと100ポンドとの間の圧力で動作される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
前記オレフィンはプロピレンであり、前記パラフィンはプロパンである、請求項16に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−515500(P2011−515500A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502148(P2011−502148)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/048220
【国際公開番号】WO2009/158323
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(508055995)ルマス テクノロジー インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】LUMMUS TECHNOLOGY INC.
【Fターム(参考)】