説明

オレフィン系不飽和モノマーを安定化する方法

【課題】現在しばしば使用されるニトロ芳香族化合物と比較して減少された毒性を有するオレフィン系不飽和モノマーのための安定剤組成物を提供する。
【解決手段】それぞれ4〜20個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の分枝鎖状および/または非分枝鎖状の閉環されたおよび/または開環された脂肪族または芳香族炭化水素、エーテルまたはエステル、またはメタノールから選択された溶剤(A)および
構造式(II)の少なくとも1つのリターダ(B)を有する、リターダ含有組成物(AB)を、オレフィン系不飽和モノマーまたは少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを有するモノマー混合物に添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系不飽和モノマーを生産中、精製中および貯蔵中に安定化するのに適している安定剤組成物および該安定剤組成物に対して相応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン系不飽和モノマー、例えばエテン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、アクロレイン、アクリルニトリルまたはビニル置換された芳香族化合物の製造中に、このオレフィン系不飽和モノマーは、多数の精製処理工程、例えば蒸留または抽出に掛けられ、望ましくない副生成物または不純物が除去される。殊に、生産処理工程および蒸留処理工程は、高められた温度で実施される。
【0003】
従って、オレフィン系不飽和モノマーは、既に製造工程および/または精製工程中に意図しない重合傾向を有する。重合の危険は、全ての上記モノマーの場合に特に高められた温度で存在する。しかし、前記オレフィン系不飽和モノマーの幾つか、例えばブタジエンは、既に貯蔵中または輸送の際に自然発生的な、多くの場合に強力な発熱性の、したがって危険性のある重合傾向も有する。
【0004】
しかし、生産中および精製中のオレフィン系不飽和モノマーの早期の忍び寄る重合も望ましくない。一面で、反応器中および塔中でポリマーの堆積を生じ、他面、使用可能なモノマーの量の減少を生じる。ポリマーの堆積は、なかんずく個々の装置構造部材中での減少された熱伝達、ひいては減少された生産性をまねきうる。
【0005】
更に、装置構造部材、例えばフィルターは、望ましくないポリマーで覆われかつ閉塞されうる。これは、装置の清浄化を実施するため、生産の予定外の中断を結果として生じる。全ての故障は、必然的に修復費および清浄化費を伴ない、他面、停止状態は、生産中止をまねき、したがって常に、このような停止状態を回避させるかまたはこのような停止状態の数をできるだけ最少にすることが試みられている。
【0006】
従って、オレフィン系不飽和モノマーには、一般に製造工程中に、重合抑制剤とも呼称されるかまたは重合遅延剤(リターダ)とも呼称される添加剤が添加される。重合抑制剤は、名称から既に判るように、望ましくない重合を完全に阻止する状態にある。
【0007】
しかし、重合抑制剤は、急速に消費され、したがってこの場合には、ポリマー含量は、短時間で添加剤が添加されていない場合と同様に強く上昇する。これとは異なり、重合遅延剤は、重合を完全に阻止するのではなく、重合の速度を落とすだけである。この場合、この重合遅延剤は、重合抑制剤よりも本質的に緩徐に消費される。
【0008】
これら2種類の重合抑制は、モノマー製造の際に存在理由を証明するものである。新しい重合抑制剤を絶えず供給する場合には、故障なしに進行する生産工程中に重合含量が極めて低い水準に維持されうるかまたは重合が完全に阻止されうることを達成することができる。これとは異なり、重合遅延剤は、添加剤の供給を中止した場合には極めて重要である。それというのも、この重合遅延剤は、当該重合遅延剤の長い作用によって、重合抑制剤が長時間消費される場合に強く重合をなおも阻止するからである。一般に、これら2種類の添加剤は、互いに組み合わせて使用される。
【0009】
しばしば刊行物中に記載されている重合抑制剤は、例えば所謂安定性のフリーニトロキシルラジカル、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)またはその誘導体である。重合遅延剤として、一般にニトロ芳香族化合物、例えば2,4−ジニトロ−6−第二ブチルフェノール、2,4−ジニトロフェノール(DNP)または4.6−ジニトロ−オルト−クレゾール(DNOC)が使用される。ニトロ芳香族化合物は、良好なリターダ特性を示すが、しかし、重大な欠点も有している。即ち、このニトロ芳香族化合物は、一般に強い毒性を有し、発癌性、突然変異誘発性および/または再生毒性の性質を有している。従って、このニトロ芳香族化合物の使用は、使用者には高度な安全予防対策に相応させることが要求される。更に、ニトロ芳香族化合物含有残留物を燃焼させる場合には、蒸留塔は、環境に有害なNOxガスを放出しなくなる。このことも、できるだけ回避されうるように試みられている。
【0010】
ビニル系不飽和化合物を製造する際に重合を回避させるために、上記物質種と共に、使用されてよい数多くの他の刊行物に公知の添加剤、例えばCニトロソ化合物および/またはNニトロソ化合物、ヒドロキシルアミンおよびオキシムが存在する。全ての前記物質種は、ニトロ芳香族化合物と同様に、望ましくない窒素原子のかなり高い含量を有し、この場合この窒素原子は、蒸留残留物の後の燃焼工程でNOxとして発生しうる。
【0011】
前記の望ましくない重合を回避させるためのもう1つの公知の物質種は、構造式I:
【化1】

で示されるキノンメチドである。
【0012】
スチレンを重合抑制するための前記物質種の使用は、Bacha他、米国特許第4003800号明細書中ならびに米国特許第4040911号明細書中に記載されており、この場合タイプR'''およびR''''の置換基は、水素、アルキル基、シクロアルキル基または場合によってはアルキル置換されたフェニル基であってよい。
【0013】
また、欧州特許第0737659号明細書および欧州特許第0737660号明細書には、モノマーを安定化するためのキノンメチドが記載されており、この場合欧州特許第0737659号明細書中で使用されたキノンメチドは、水素をタイプR'''の置換基としておよび場合によっては他の置換基を有していてよいアリール基またはヘテロアリール基をタイプR''''の置換基として有する。
【0014】
これとは異なり、欧州特許第0737660号明細書には、−CN、−COOR、−COR、−OCOR、−CONRRおよび−PO(OR)2から選択されたタイプR''''の置換基を有するキノンメチドを使用することが記載されており、この場合Rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基またはアリール基であってよい。また、欧州特許第0737660号明細書には、強い電子吸引性置換基を有する前記キノンメチドをニトロキシルラジカルと組合せて使用することが記載されている。
【0015】
キノンメチドを重合抑制のための別の公知の添加剤と組合せて使用することは、若干の特許刊行物に記載されている。R'''が水素でありかつR''''が場合によっては置換されていてよいアリール基であるようなキノンメチドは、WO 99/48896およびUS 2005/0027150中にヒドロキシルアミンと組み合わせることが記載されている。これに対して、US 2006/0020089には、前記キノンメチドを4−第三ブチルカテコールと組み合わせることが記載されている。R'''が水素でありかつR''''が水素、アルキル基またはアリール基であるキノンメチドを、ヒドロキシルアミンおよびカテコール誘導体と組み合わせることは、EidinによるUS 2004/0034247中に記載されている。その上、Nakajima等は、重合抑制のために、スルホン酸およびR'''が水素でありかつR''''が場合によっては置換されていてよいフェニル基であるキノンメチドを記載しており、この場合には、付加的になお安定した遊離ニトロキシルラジカルが使用されてもよい。
【0016】
重合を抑制するための添加剤の組成は、WO 01/40404A1に記載されている。この特許刊行物中には、水素供与体または電子受容体とニトロキシルラジカルとからなる組成物が記載されており、この場合電子受容体としてキノンメチドを考えることもできる。
【0017】
Ma他は、US 2006/0283699中に少なくとも1つのニトロソ化合物を重合抑制剤として有する重合抑制剤組成物を記載している。この重合抑制剤組成物は、なかんずくニトロキシルラジカルならびにキノンメチドを有していてもよい。
【0018】
少なくとも1つのCニトロソアニリンとキノンメチドとなかんずくキノンアルキド、ニトロキシル化合物から選択された少なくとも1つの化合物とからなる重合抑制剤組成物は、Benage他によるWO 02/33025A2中に記載されている。
【特許文献1】米国特許第4003800号明細書
【特許文献2】米国特許第4040911号明細書
【特許文献3】欧州特許第0737659号明細書
【特許文献4】欧州特許第0737660号明細書
【特許文献5】WO 99/48896
【特許文献6】US 2005/0027150
【特許文献7】US 2006/0020089
【特許文献8】US 2004/0034247
【特許文献9】US 2006/0283699
【特許文献10】WO 02/33025A2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の課題は、公知技術水準と比較して減少された毒性を有するオレフィン系不飽和モノマーのための安定剤組成物を提供することであった。殊に、現在しばしば使用されるニトロ芳香族化合物と比較して減少された毒性を有するが、しかし、同時に公知技術水準に記載のリターダと少なくとも比較可能なリターダ活性を有し、およびニトロキシルラジカルとの相乗効果を有することができるリターダが提供されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
意外なことに、構造式(II)に記載の化合物は、オレフィン系不飽和モノマーのためのリターダとして適していることが見出された。即ち、構造式(II)で示される化合物は、従来のリターダ2,4−ジニトロ−6−第二ブチルフェノール(DNBP)と比較して比較可能なリターダ活性を示す(実施例7および10参照)。これは、公知技術水準でキノンメチドが重合抑制と関連して実際に記載されているので、全く驚異的なことであるが、しかし、タイプXの置換基として強い電子吸引基を有する前記キノンメチドは、全くリターダ活性を有しない古典的な重合抑制剤である(実施例4〜6参照)。これとは異なり、また、キノンメチドの物質種の全ての化合物は、重合抑制に関連する作用を示さない(実施例2参照)。
【0021】
従って、これとは異なり、構造式(II)で示されるキノンメチドは、ニトロキシルラジカルと組み合わせると、ニトロキシルラジカルと例えばDNBPのようなニトロ芳香族化合物との組合せ物と比較して安定剤組成物としての改善された作用を有する、驚くべきほど高い活性を有するリターダである(実施例13〜17参照)。その上、構造式(II)で示されるキノンメチドとニトロキシルラジカルとからなる組合せ物は、個別の物質と比較して相乗効果を示す。
【0022】
キノンメチドの構造のために、ニトロ芳香族化合物と比較して僅かな毒性を予想することができる。同様に、構造式(II)で示される前記キノンメチドの使用によって、NOx排ガスの放出は、ニトロ芳香族化合物をリターダとして使用する場合のNOx放出と比較して減少させることができる。
【0023】
構造式(II)で示されるキノンメチドの安定性は、全体的に非極性の溶剤中で与えられ、したがって前記キノンメチドを溶液として使用することは、簡単な取扱を可能にする。この場合、溶剤が必ずしも安定化すべきモノマーである必要がないことは、有利である。リターダの作用は、キノンメチドを別のよう在中に添加する場合にも損なわれない(実施例10a〜10c参照)。
【0024】
本発明の対象は、
それぞれ4〜20個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の分枝鎖状および/または非分枝鎖状の閉環されたおよび/または開環された脂肪族または芳香族炭化水素、エーテルまたはエステル、またはメタノールから選択された溶剤(A)および
構造式(II)
【化2】

〔式中、
Xは、ハロゲン、−O−R3または−S−R3であり、
1、R2およびR3は、水素、それぞれ1〜15個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
この場合、タイプR1、R2およびR3の置換基は、同一かまたは異なり、置換されているかまたは置換されていない〕で示される少なくとも1つのリターダ(B)を有するリターダ含有組成物(AB)がオレフィン系不飽和モノマーまたは少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを有するモノマー混合物に添加されることによって特徴付けられる、オレフィン系不飽和モノマーを安定化する方法である。
【0025】
更に、本発明の対象は、モノマー組成物がオレフィン系不飽和モノマーに対して10ppb(m/m)〜100000ppm(m/m)の構造式(II)の少なくとも1つのリターダ(B)を有することによって特徴付けられるモノマー組成物である。
【0026】
同様に、本発明の対象は、それぞれ4〜20個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の分枝鎖状および/または非分枝鎖状の閉環されたおよび/または開環された脂肪族または芳香族炭化水素、エーテルまたはエステル、またはメタノールから選択された溶剤(A)および
構造式(II)の少なくとも1つのリターダ(B)を有する、リターダ含有組成物である。
【0027】
オレフィン系不飽和モノマーを安定化するための本発明による方法は、それぞれ4〜20個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の分枝鎖状および/または非分枝鎖状の閉環されたおよび/または開環された脂肪族または芳香族炭化水素、エーテルまたはエステル、またはメタノールから選択された溶剤(A)および
構造式(II)
【化3】

〔式中、
Xは、ハロゲン、−O−R3または−S−R3であり、
1、R2およびR3は、水素、それぞれ1〜15個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
この場合、タイプR1、R2およびR3の置換基は、同一かまたは異なり、置換されているかまたは置換されていない〕で示される少なくとも1つのリターダ(B)を有する、リターダ含有組成物(AB)が、オレフィン系不飽和モノマーまたは少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを有するモノマー混合物に添加されることによって特徴付けられている。
【0028】
特に好ましくは、本発明による方法においては、
溶剤(A)45.0〜99.9質量%および
リターダ(B)0.1〜55.0質量%を有するリターダ含有組成物(AB)が使用されるが、しかし、特に有利には、
溶剤(A)60.0質量%および
リターダ(B)2.0〜40.0質量%を有するリターダ含有組成物(AB)が使用される。
【0029】
本発明による方法の場合には、一面でオレフィン系不飽和モノマーならびにリターダ(B)と相容性であり、望ましくない反応を生じる可能性がない適当な溶剤に注目することは、好ましい。
【0030】
従って、本発明による方法において、溶剤(A)として非極性の芳香族または脂肪族溶剤は、適している。このために、ベンゼン、それぞれ6〜15個の炭素原子数を有する、1回または数回アルキル化された芳香族化合物、アルカン、シクロアルカン、エーテルまたはエステルから選択された溶剤(A)は、好ましい。特に有利には、本発明による方法において、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンまたはスチレンが使用される。本発明による方法のもう1つの実施態様において、メタノールが使用されてもよい。従って、本発明による方法において、溶剤(A)としてベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレンまたはメタノールが使用されてよい。本発明による方法において、適当な溶剤(A)の混合物が使用されてよい。
【0031】
本発明の範囲内で、リターダ(B)は、オレフィン系不飽和モノマーの重合の速度を著しく落とす状態にある化合物である。従って、リターダの添加を有するオレフィン系不飽和モノマーの場合に所定の時間内で形成されるポリマー量は、リターダの添加を有しないオレフィン系不飽和モノマーの場合に前記時間内で形成されるポリマー量より低い。
【0032】
本発明による方法において、リターダとしては、有利に専ら構造式(II)で示されるリターダが使用される。この場合、ニトロ芳香族化合物またはニトロソ芳香族化合物をリターダとして使用することは、回避される。殊に、タイプXの置換基としてO−R3基を有する構造式(II)で示されるリターダ(B)が使用される。更に、本発明による方法において、殊にタイプR1および/またはR2の置換基としてメチル基または第三ブチル基を有する、構造式(II)で示されるリターダ(B)が使用される。本発明による方法において、タイプR3の置換基としてアルキル基またはアリール基は、適当であり、この場合アルキル基は、有利に1〜6個の炭素原子を有する。特に好ましくは、本発明による方法において、タイプR3の置換基として1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、殊にメチル基またはエチル基を有するリターダ(B)が使用される。
【0033】
殊に好ましくは、本発明による方法において、タイプR1の置換基としてメチル基または第三ブチル基を有しかつタイプR3の置換基として1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、殊にメチル基またはエチル基を有する、構造式(II)で示されるリターダ(B)が使用される。
【0034】
本発明による方法において、前記リターダ(B)の混合物が使用されてもよい。
【0035】
本発明の範囲内で、オレフィン系不飽和モノマーは、少なくとも1個のC−C−二重結合を有しかつ重合反応を生じる状態にある化合物である。
【0036】
本発明による方法において、ビニル置換された芳香族化合物、例えばジビニルベンゼンまたはスチレン、置換されていてもよいし、置換されていなくともよいアルク−1−エンまたはアルカ−1,3−ジエン、例えばエテン、プロペンまたはプロピレン、ブタジエン、ビニルアセテート、(メタ)アクリレート、アクリルニトリル、アクロレイン、N−ビニルホルムアミド、クロロプレン、イソプレンから選択された、少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーが使用される。好ましくは、エテン、プロペンまたはプロピレン、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼンまたはスチレンから選択されたオレフィン系不飽和モノマーが使用される。特に好ましくは、本発明による方法においてブタジエンまたはスチレンが使用される。
【0037】
本発明による方法において、オレフィン系不飽和モノマーの化合物ならびに種々のオレフィン系不飽和モノマーの混合物が使用されてよい。
【0038】
本発明による方法の場合、リターダ含有組成物(AB)は、特に溶液としてオレフィン系不飽和モノマーに添加される。
【0039】
本発明による方法において、リターダ含有組成物(AB)と共に付加的に重合抑制剤含有組成物(CD)をモノマーまたはモノマー混合物に添加することは、好ましい。好ましくは、重合抑制剤含有組成物(CD)は、モノマーまたはモノマー混合物に添加され、この重合抑制剤含有組成物(CD)は、
4〜20個の炭素原子を有する飽和または不飽和の分枝鎖状および/または非分枝鎖状の閉環されたおよび/または開環された脂肪族または芳香族炭化水素、それぞれ2〜20個の炭素原子を有するアルコールまたはエーテル、但し、この場合前記エステルのアルキル基は、同様に2〜20個の炭素原子を有するものとし、または水から選択された溶剤(C)および
構造式(IV)
【化4】

〔式中、
5、R6、R7およびR8は、それぞれ1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
Zは、>CR910、>C=O、>CH−OH、>CH−NR910、>CH−Hal、>CH−OR9、>CH−COOR9、>CH−O−CO−NHR9
【化5】

であり、
9、R10は、水素、それぞれ1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
Halは、弗素、塩素、臭素または沃素であり、
mは、1〜4であり、
この場合、タイプR5、R6、R7、R8、R9およびR10の置換基は、同一かまたは異なり、置換されているかまたは置換されていない〕で示される少なくとも1つの重合抑制剤(D)を有する。
【0040】
特に有利には、本発明による方法において、重合抑制剤含有組成物(CD)が、モノマーに添加され、この重合抑制剤含有組成物(CD)は、
溶剤(C)35.0〜99.9質量%および
重合抑制剤(D)0.1〜65.0質量%を有し、殊に有利には、
溶剤(C)40.0〜95.0質量%および
重合抑制剤(D)5.0〜60.0質量%を有する組成物(CD)が添加される。
【0041】
溶剤(C)としては、特にベンゼン、それぞれ6〜15個の炭素原子数を有する、1回または数回アルキル化された芳香族化合物、アルカンまたはシクロアルカンから選択された溶剤が使用される。本発明による方法のもう1つの実施態様において、メタノール、エタノール、n−ブタノールから選択されたアルコール、酢酸エチルエステル、ビニルアセテートおよびブチルアセテートから選択された酢酸アルキルエステル、または水は、溶剤(C)として使用されてもよい。この方法において種々の溶剤(C)からなる混合物を使用することを考えることもできる。
【0042】
本発明の範囲内で、重合抑制剤(D)は、オレフィン系不飽和モノマーの重合を或る程度の時間殆んど完全に停止させる状態にある化合物である。従って、重合抑制剤なしのオレフィン系不飽和モノマーの場合に重合を生じる時間は、重合抑制剤を有するオレフィン系不飽和モノマーの場合時間よりも短い。
【0043】
本発明による方法において、好ましくは、リターダ(B)と共に、R5、R6、R7およびR8がメチル基である、構造式(IV)で示される重合抑制剤(D)が使用される。特に好ましくは、本発明による方法において、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(AA−TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(オキソ−TEMPO)、R5、R6、R7およびR8がメチル基でありかつZが>CH−OR9であり、この場合R9が1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である構造式(IV)で示される化合物および/またはR5、R6、R7およびR8がメチル基でありかつZが
【化6】

である構造式(IV)の化合物が使用される。
【0044】
本発明による方法において、前記重合抑制剤(D)の混合物が使用されてもよい。
【0045】
本発明による方法において、リターダ(B)および重合抑制剤(D)を互いに無関係に種々の溶剤中に溶解することは、可能である。しかし、リターダ(B)ならびに重合抑制剤(D)を同じ溶剤中に溶解することは、好ましい。2つの組成物(AB)および(CD)は、互いに別々に、場合によっては種々の計量供給速度でモノマーに添加されてよい。2つの組成物(AB)および(CD)は、最初に混合されてもよく、引続きモノマーに供給されてもよい。好ましくは、2つの組成物(AB)および(CD)は、互いに別々にモノマーに添加される。
【0046】
この場合、組成物(AB)および(CD)は、処理中、例えば製造処理または精製処理中にオレフィン系不飽和モノマーに添加されてもよい。前記組成物は、公知技術水準の通常の方法により、不飽和モノマーまたはモノマー混合物に添加されてよい。好ましくは、前記組成物は、本発明による方法の場合に蒸留塔のそれぞれの供給流(供給原料流)または導出管中、熱交換器または蒸発器("煮沸器")の供給管および導出管中、または凝縮器の供給管および導出管中に添加されてよい。更に、本発明による方法において、前記組成物(AB)および場合によっては(CD)は、オレフィン系不飽和モノマーの貯蔵タンク中に添加されてよい。
【0047】
リターダまたは重合抑制剤の"有効量"の概念は、本発明の範囲内でオレフィン系不飽和モノマーの早期の重合を減速させるかまたは阻止するのに必要とされる、リターダまたは重合抑制剤の量である。この有効量は、オレフィン系不飽和モノマーを貯蔵するかまたは取り扱う条件に依存する。例えば、よりいっそう高い温度および汚染物のよりいっそう高い濃度を基礎とする不飽和モノマーの蒸留の場合には、モノマーを貯蔵した場合よりも高い量のリターダまたは重合抑制剤が必要とされる。
【0048】
好ましくは、本発明による方法の場合、オレフィン系不飽和モノマーまたはモノマー混合物には、オレフィン系不飽和モノマーに対して総和で100ppb(m/m)〜100000ppm(m/m)、特に有利に1ppm(m/m)〜10000ppm(m/m)、殊に有利に10ppm(m/m)〜2500ppm(m/m)のリターダ(B)および重合抑制剤(D)が混入される。
【0049】
本発明によるモノマー組成物は、このモノマー組成物がオレフィン系不飽和モノマーに対して10ppb(m/m)〜100000ppm(m/m)の構造式(II)
【化7】

〔式中、
Xは、ハロゲン、−O−R3または−S−R3であり、
1、R2およびR3は、水素、それぞれ1〜15個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
この場合、タイプR1、R2およびR3の置換基は、同一かまたは異なり、置換されているかまたは置換されていない〕で示される少なくとも1つのリターダ(B)を有することによって特徴付けられている。
【0050】
特に好ましくは、本発明によるモノマー組成物は、リターダ(B)を1ppm(m/m)〜10000ppm(m/m)、特に有利に10ppm(m/m)〜2500ppm(m/m)有する。
【0051】
本発明によるモノマー組成物は、リターダとして、有利に専ら構造式(II)で示されるリターダを有する。この場合、リターダとしてのニトロ芳香族化合物またはニトロソ芳香族化合物は不用である。
【0052】
本発明による組成物は、殊にタイプXの置換基としてO−R3基を有する構造式(II)で示されるリターダ(B)を有する。更に、本発明によるモノマー組成物は、タイプR1および/またはR2の置換基としてメチル基または第三ブチル基を有する、構造式(II)で示されるリターダ(B)を有することができる。タイプR3の置換基としてアルキル基またはアリール基は、適当であり、この場合アルキル基は、有利に1〜6個の炭素原子を有する。特に好ましくは、本発明によるモノマー組成物は、タイプR3の置換基として1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、殊にメチル基またはエチル基を有するリターダ(B)を有する。
【0053】
殊に好ましくは、本発明によるモノマー組成物は、タイプR1およびタイプR2の置換基としてメチル基または第三ブチル基を有しかつタイプR3の置換基として1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、殊にメチル基またはエチル基を有する、構造式(II)で示されるリターダ(B)を有する。
【0054】
本発明によるモノマー組成物は、前記リターダ(B)の混合物を有していてもよい。
【0055】
特に、本発明によるモノマー組成物は、ビニル置換された芳香族化合物、例えばジビニルベンゼンまたはスチレン、置換されていてもよいし、置換されていなくともよいアルク−1−エンまたはアルカ−1,3−ジエン、例えばエテン、プロペンまたはプロピレン、ブタジエン、ビニルアセテート、(メタ)アクリレート、アクリルニトリル、アクロレイン、N−ビニルホルムアミド、クロロプレン、イソプレンから選択された、少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを有する。好ましくは、エテン、プロペンまたはプロピレン、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼンまたはスチレンから選択されたオレフィン系不飽和モノマーを有する。特に有利には、本発明によるモノマー組成物は、ブタジエンまたはスチレンを有する。
【0056】
本発明によるモノマー組成物は、オレフィン系不飽和モノマーの化合物ならびに種々のオレフィン系不飽和モノマーの混合物を有することができる。
【0057】
本発明によるモノマー組成物がリターダ(B)と共になお構造式(IV)で示される重合抑制剤(D)を有することは、好ましい。有利には、前記モノマー組成物は、R5、R6、R7およびR8がメチル基であるような構造式(IV)で示される重合抑制剤(D)を有する。特に好ましくは、本発明によるモノマー組成物は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(AA−TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(オキソ−TEMPO)、R5、R6、R7およびR8がメチル基でありかつZが>CH−OR9であり、この場合R9が1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である構造式(IV)で示される化合物および/またはR5、R6、R7およびR8がメチル基でありかつZが
【化8】

である構造式(IV)の化合物を重合抑制剤(D)として有する。
【0058】
即ち、本発明によるモノマー組成物は、前記重合抑制剤(D)の混合物を有することもできる。
【0059】
好ましくは、本発明によるモノマー組成物は、オレフィン系不飽和モノマーに対して総和で10ppb(m/m)〜100000ppm(m/m)、特に有利に1ppm(m/m)〜10000ppm(m/m)、殊に有利に10ppm(m/m)〜2500ppm(m/m)のリターダ(B)および重合抑制剤(D)を有する。
【0060】
本発明によるリターダ含有組成物は、当該リターダ含有組成物が
それぞれ4〜20個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の分枝鎖状および/または非分枝鎖状の閉環されたおよび/または開環された脂肪族または芳香族炭化水素、エーテルまたはエステル、またはメタノールから選択された溶剤(A)および
構造式(II)
【化9】

〔式中、
Xは、ハロゲン、−O−R3または−S−R3であり、
1、R2およびR3は、水素、それぞれ1〜15個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
この場合、タイプR1、R2およびR3の置換基は、同一かまたは異なり、置換されているかまたは置換されていない〕で示される少なくとも1つのリターダ(B)を有することによって特徴付けられている。
【0061】
好ましくは、本発明によるリターダ含有組成物は、
溶剤(A)45.0〜99.9質量%および
リターダ(B)0.1〜55.0質量%を有するが、しかし、特に有利には、本発明によるリターダ含有組成物は、
溶剤(A)60.0〜98.0質量%および
リターダ(B)2.0〜40.0質量%を有する。
【0062】
本発明によるリターダ含有組成物の場合には、一面で当該リターダ含有組成物が重合抑制に使用されることに対してオレフィン系不飽和モノマーならびにリターダ(B)と相容性であり、望ましくない反応を生じる可能性がない適当な溶剤に注目することは、好ましい。
【0063】
従って、本発明によるリターダ含有組成物に対して、溶剤(A)として非極性の芳香族または脂肪族溶剤は、適している。このためには、ベンゼン、1回または数回アルキル化された芳香族化合物、ならびにそれぞれ6〜15の炭素原子数を有するアルカン、シクロアルカン、エーテルまたはエステルから選択された溶剤は、好ましい。特に好ましくは、本発明によるリターダ含有組成物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンまたはスチレンを有する。本発明によるリターダ含有組成物のもう1つの実施態様において、このリターダ含有組成物は、メタノールを溶剤(A)として有することができる。従って、本発明によるリターダ含有組成物は、溶剤(A)としてベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレンまたはメタノールを有することができる。本発明によるリターダ含有組成物は、適当な溶剤(A)の混合物を有していてもよい。
【0064】
本発明によるリターダ含有組成物は、リターダとして、有利に専ら構造式(II)で示されるリターダを有する。この場合、リターダとしてのニトロ芳香族化合物またはニトロソ芳香族化合物は不用である。
【0065】
本発明によるリターダ含有組成物は、殊にタイプXの置換基としてO−R3基を有する構造式(II)で示されるリターダ(B)を有することができる。更に、本発明によるリターダ含有組成物は、殊にタイプR1および/またはR2の置換基としてメチル基または第三ブチル基を有する、構造式(II)で示されるリターダ(B)を有する。タイプR3の置換基としてアルキル基またはアリール基は、適当であり、この場合アルキル基は、有利に1〜6個の炭素原子を有する。特に好ましくは、本発明によるリターダ含有組成物は、タイプR3の置換基として1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、殊にメチル基またはエチル基を有するリターダ(B)を有する。
【0066】
殊に好ましくは、本発明によるリターダ含有組成物は、タイプR1およびタイプR2の置換基としてメチル基または第三ブチル基を有しかつタイプR3の置換基として1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、殊にメチル基またはエチル基を有する、構造式(II)で示されるリターダ(B)を有する。
【0067】
本発明によるリターダ含有組成物は、種々の前記リターダ(B)の混合物を有していてもよい。
【0068】
次の実施例は、本発明による方法を詳説するが、但し、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0069】
実施例1〜10
商業的に入手可能なスチレンから95ミリバールの減圧および75℃の塔底温度で不活性の窒素雰囲気中で安定剤の第三ブチル−1,2−ヒドロキシベンゼン(TBC)を取り除いた。温度計、還流冷却器、隔壁およびKPG攪拌機を備えた四口フラスコからなる試験装置を、原則的に窒素で洗浄し、酸素不含の雰囲気を得る。安定化されていないスチレン300gを三口フラスコ中に供給し、第1表に記載の添加剤100ppmを添加する。添加剤を純粋物質(実施例2〜10)または溶液(実施例10a〜10c)として添加する。スチレン溶液中へのガラスフリットを介する不断の窒素供給によって、不活性の窒素雰囲気を全試験時間に亘って保証する。スチレン溶液を強力に攪拌する。実験の開始時に、フラスコを110℃に予熱した油浴中に、安定化されたスチレン溶液が完全に浸漬されるまで浸漬する。加熱した油浴中への三口フラスコの浸漬後、規則的な間隔でスチレン溶液約3gを隔壁を介して取り出し、正確に計量し、およびメタノール50ml中に供給する。メタノール混合物を室温で半時間攪拌する。メタノールは、試験中に形成されたポリスチレンの沈殿物を生じる。
【0070】
この沈殿物を濾過によってガラスフィルターるつぼを介して分離する。フィルター残留物をメタノール20mlで洗浄し、引続き110℃で少なくとも5時間乾燥させる。
【0071】
次に、ガラスフィルターるつぼ中に残留するポリスチレンを計量する。算出された値および計量された量から、ポリマーの百分率での含量を算出する。このポリマー含量を反応時間に対してプロットする。得られた経過曲線から、添加剤が重合抑制剤として作用するか、またはリターダとして作用するかを確認することができる。典型的な経過曲線は、図1中に図示されている。2質量%のポリマー含量が形成された時間ならびに180分後のポリマー含量は、前記曲線から算出される。結果は、表1の中に示されている。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
実施例11〜18
実施例11〜18を実施例1〜10と同様に実施するが、しかし、実施例14〜18では、添加剤混合物を添加した。結果は、第2表中に示されている。
【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
実施例19〜25
DTBMeOQMそれぞれ250mgから第3表に記載の溶剤中で飽和溶液を製造する。引続き、DTBMeOQMの含量をガスクロマトグラフィー(GC)により測定する。溶剤含量をそれぞれ算出する。この溶液を室温で1週間貯蔵し、引続き再びガスクロマトグラフィー(GC)により分析する。結果は、第3表中に示されている。
【0078】
【表5】

【0079】
実施例中で使用された溶剤およびモノマー、例えばスチレン、エチルベンゼン、メタノール、キシレン、ヘプタン、n−ブタノール、アセトンまたはジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、ならびに添加剤4−ヒドロキシ−TEMPO、オキソ−TEMPOおよびDNBPを、Sigma Aldrich社またはMerck社から購入した。これとは異なり、実施例3の添加剤をAcros社から購入した。更に、使用される添加剤を次の刊行物の一覧から得た:
Synthetic Communication 2000, 30 (15), 第2825頁以降(実施例2、4、5および6の添加剤)、Synthetic Communication 1976, 6 (4), 第305頁以降(実施例8の添加剤)、J. Org. Chem. 2002, 67, 第125頁以降(実施例9および10の添加剤)。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】ポリマー含量を反応時間に対してプロットして得られた経過曲線を示す略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系不飽和モノマーを安定化するための方法において、
それぞれ4〜20個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の分枝鎖状および/または非分枝鎖状の閉環されたおよび/または開環された脂肪族または芳香族炭化水素、エーテルまたはエステル、またはメタノールから選択された溶剤(A)および
構造式(II)
【化1】

〔式中、
Xは、ハロゲン、−O−R3または−S−R3であり、
1、R2およびR3は、水素、それぞれ1〜15個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
この場合、タイプR1、R2およびR3の置換基は、同一かまたは異なり、置換されているかまたは置換されていない〕で示される少なくとも1つのリターダ(B)を有する、リターダ含有組成物(AB)を、オレフィン系不飽和モノマーまたは少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを有するモノマー混合物に添加することを特徴とする、オレフィン系不飽和モノマーを安定化するための方法。
【請求項2】
溶剤(A)45.0〜99.9質量%および
リターダ(B)0.1〜55.0質量%
を有するリターダ含有組成物(AB)を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
溶剤(A)60.0〜98.0質量%および
リターダ(B)2.0〜40.0質量%
を有するリターダ含有組成物(AB)を使用する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
溶剤(A)としてベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレンまたはメタノールを使用する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
タイプXの置換基としてO−R3基を有する構造式(II)で示されるリターダ(B)を使用する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
タイプR1および/またはR2の置換基としてメチル基または第三ブチル基を有する、構造式(II)で示されるリターダ(B)を使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
タイプR3の置換基として1〜6個の炭素原子を有する構造式(II)で示されるリターダ(B)を使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
リターダ含有組成物(AB)と共に、付加的に重合抑制剤含有組成物(CD)は、モノマーまたはモノマー混合物に添加され、この重合抑制剤含有組成物(CD)は、
4〜20個の炭素原子を有する飽和または不飽和の分枝鎖状および/または非分枝鎖状の閉環されたおよび/または開環された脂肪族または芳香族炭化水素、またはそれぞれ2〜20個の炭素原子を有するアルコールまたはエーテルまたは酢酸アルキルエステル、但し、この場合前記エステルのアルキル基は、同様に2〜20個の炭素原子を有するものとし、または水から選択された溶剤(C)および
構造式(IV)
【化2】

〔式中、
5、R6、R7およびR8は、それぞれ1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
Zは、>CR910、>C=O、>CH−OH、>CH−NR910、>CH−Hal、>CH−OR9、>CH−COOR9、>CH−O−CO−NHR9
【化3】

であり、
9、R10は、水素、それぞれ1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
Halは、弗素、塩素、臭素または沃素であり、
mは、1〜4であり、
この場合、タイプR5、R6、R7、R8、R9およびR10の置換基は、同一かまたは異なり、置換されているかまたは置換されていない〕で示される少なくとも1つの重合抑制剤(D)を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
重合抑制剤(D)として、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(AA−TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(オキソ−TEMPO)、R5、R6、R7およびR8がメチル基でありかつZが>CH−OR9であり、この場合R9が1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である構造式(IV)の化合物および/またはR5、R6、R7およびR8がメチル基でありかつZが
【化4】

である構造式(IV)の化合物が使用される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
2つの組成物(AB)および(CD)を、互いに別々にモノマーに添加する、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
モノマーとしてビニル置換された芳香族化合物、置換されていてもよいし、置換されていなくともよいアルカ−1−エンまたはアルカ−1,3−ジエンを使用する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
モノマーとしてブタジエンまたはスチレンを使用する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
モノマー組成物が、オレフィン系不飽和モノマーに対して10ppb(m/m)〜100000ppm(m/m)の構造式(II)
【化5】

〔式中、
Xは、ハロゲン、−O−R3または−S−R3であり、
1、R2およびR3は、水素、それぞれ1〜15個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
この場合、タイプR1、R2およびR3の置換基は、同一かまたは異なり、置換されているかまたは置換されていない〕で示される少なくとも1つのリターダ(B)を有することを特徴する、モノマー組成物。
【請求項14】
リターダ含有組成物が
それぞれ4〜20個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の分枝鎖状および/または非分枝鎖状の閉環されたおよび/または開環された脂肪族または芳香族炭化水素、エーテルまたはエステル、またはメタノールから選択された溶剤(A)および
構造式(II)
【化6】

〔式中、
Xは、ハロゲン、−O−R3または−S−R3であり、
1、R2およびR3は、水素、それぞれ1〜15個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
この場合、タイプR1、R2およびR3の置換基は、同一かまたは異なり、置換されているかまたは置換されていない〕で示される少なくとも1つのリターダ(B)を有することを特徴とする、リターダ含有組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−114186(P2009−114186A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282899(P2008−282899)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】