オーダエントリシステムおよびハンディターミナル
【課題】注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることを可能とする。
【解決手段】実施形態のオーダエントリシステムは、ハンディターミナルの第1の情報処理部が、オーダステーションから送信された、複数のテーブルごとの注文情報における1テーブル分の注文情報をハンディ表示部に表示させる処理と、入力部から入力された操作命令に応じて、1テーブル分の注文情報の中から調理済み扱いとする注文情報を受け付ける処理と、調理済み扱いとする注文情報を通信部によりオーダステーションへ送信させる処理とを実行する。オーダステーションの第2の情報処理部は、注文情報の中から1テーブル分の注文情報をハンディターミナルに送信する処理と、ハンディターミナルから送信された情報をもとに、キッチン表示部に表示された注文情報の中から一または複数の注文情報を調理済み扱いとする処理と、を実行する。
【解決手段】実施形態のオーダエントリシステムは、ハンディターミナルの第1の情報処理部が、オーダステーションから送信された、複数のテーブルごとの注文情報における1テーブル分の注文情報をハンディ表示部に表示させる処理と、入力部から入力された操作命令に応じて、1テーブル分の注文情報の中から調理済み扱いとする注文情報を受け付ける処理と、調理済み扱いとする注文情報を通信部によりオーダステーションへ送信させる処理とを実行する。オーダステーションの第2の情報処理部は、注文情報の中から1テーブル分の注文情報をハンディターミナルに送信する処理と、ハンディターミナルから送信された情報をもとに、キッチン表示部に表示された注文情報の中から一または複数の注文情報を調理済み扱いとする処理と、を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファミリーレストランなどの飲食店に導入されるオーダエントリシステムおよびこれに用いられるハンディターミナルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファミリーレストランなどの飲食店において、顧客からの注文を入力するためのハンディターミナルを備えたオーダエントリシステムが導入されている。
【0003】
図17は、従来のオーダエントリシステムの一例を示す模式図である。オーダエントリシステム900は、厨房911に設置されるキッチンディスプレイ901およびキッチンプリンタ904と、POS端末905と、オーダステーション906と、接客エリア910において接客係が携帯するハンディターミナル908との無線通信が可能となる位置に設置される無線アクセスポイント907とがデータ通信自在に接続されて構成されている。
【0004】
キッチンディスプレイ901には外部画面表示器903が接続され、双方の表示内容は同期している。外部画面表示器903は、一例として、キッチンディスプレイ901よりも大きな画像表示面を備え、厨房911の内部にいる調理担当者だけでなく厨房911に隣接するドリンクカウンタ(図示せず)に待機するドリンク担当者や接客エリア910で接客を行う接客係にとっても見やすい位置に配置される。別の一例として、外部画面表示器903としてキッチンディスプレイ901とは別体のディスプレイが採用され、図示しないドリンクカウンタ等に設置される。
【0005】
ハンディターミナル908に入力された注文情報は、無線通信により無線アクセスポイント907を介してオーダステーション906に向けて入力される。オーダステーション906は、入力された注文情報をキッチンディスプレイ901およびキッチンプリンタ904に送信する。キッチンディスプレイ901には、特許文献1の図1に示されているような画面表示がなされる。調理担当者は、キッチンディスプレイ901に表示された注文情報に従い調理を行い、表示されている注文情報のうち調理が完了した注文情報を調理済みとする操作を行う。この注文情報を調理済み扱いとする操作の一例は、キッチンディスプレイ901に表示された注文情報を消し込む操作であり、キッチンディスプレイ901の表示面に積層配置されたタッチパネル901aからのタッチ指定によって、所定の注文情報を調理済み扱いとし、キッチンディスプレイ901に表示された注文情報を消し込む。
【0006】
ところが、外部画面表示器903は、通常、表示面が大きい等の理由によりタッチパネルが積層配置されていない。つまり、外部画面表示器903からは調理が完了した注文情報の消し込みを行うことができない。そこで、特許文献2の段落番号0004に記載されているような消込用キーボード902をキッチンディスプレイ901に接続し、この消込用キーボード902を用いた注文情報の消し込み操作が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、厨房に向けて注文情報を表示するキッチンディスプレイの表示内容は外部画面表示器にも表示され、これらに表示される注文情報は厨房内の調理担当者だけでなく、厨房外にいるドリンク担当者や接客係も確認することができる。しかしながら、消込用キーボードは、厨房に設置されるキッチンディスプレイに接続され、当該キッチンディスプレイの近傍に配置されている。そのため、キッチンディスプレイに表示される注文情報を消し込む作業を行うために、消込用キーボードが設置されているキッチンディスプレイの近傍まで移動してその消込用キーボードを直接操作しなければならないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態のオーダエントリシステムは、各種情報を入力するための入力部と、無線通信するための通信部と、ハンディ表示部と、情報処理を実行する第1の情報処理部と、を備えるハンディターミナルと、情報処理を実行する第2の情報処理部を備えるオーダステーションと、通信ネットワークを介して前記オーダステーションとデータ通信自在に接続し、注文情報を含む各種情報を表示するキッチン表示部と、前記通信ネットワークを介して前記オーダステーションとデータ通信自在に接続し、前記ハンディターミナルと無線通信を介してデータ通信自在に接続する無線アクセスポイントと、を備え、前記第1の情報処理部は、前記入力部からテーブルごとの注文情報を受け付け、当該受け付けた注文情報を前記通信部により前記オーダステーションへ送信させる処理と、前記オーダステーションから送信された、複数のテーブルごとの注文情報における1テーブル分の注文情報を前記ハンディ表示部に表示させる処理と、前記入力部から入力された操作命令に応じて、前記1テーブル分の注文情報の中から調理済み扱いとする注文情報を受け付ける処理と、前記調理済み扱いとする注文情報を前記通信部により前記オーダステーションへ送信させる処理と、を実行し、前記第2の情報処理部は、前記ハンディターミナルより送信された注文情報をテーブルごとに前記キッチン表示部に表示させる処理と、前記注文情報の中から1テーブル分の注文情報を前記ハンディターミナルに送信する処理と、前記ハンディターミナルから送信された情報をもとに、前記キッチン表示部に表示された注文情報の中から一または複数の注文情報を調理済み扱いとする処理と、を実行する。
【0010】
また、実施形態は、上記オーダエントリシステムに用いられるハンディターミナルについても規定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハンディターミナルから調理済み扱いとする注文情報がオーダステーションに送信され、オーダステーションのキッチン表示部に表示されている注文情報を調理済み扱いとするため、注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】オーダエントリシステムの全体構成を概略的に示すシステム構成図である。
【図2】キッチンディスプレイおよび外部画面表示器に表示される表示内容の一例を示す模式図である。
【図3】(a)は閉じられた状態のハンディターミナルの平面図であり、(b)は閉じられた状態のハンディターミナルの正面図であり、(c)は閉じられた状態のハンディターミナルの左側面図である。
【図4】見開き状態のハンディターミナルの平面図である。
【図5】ハンディターミナルの電気的接続を示すブロック図である。
【図6】オーダステーションの電気的接続を示すブロック図である。
【図7】オーダステーションが記憶する注文ファイルのデータ構造の一例を示す模式図である。
【図8】キッチンディスプレイの電気的接続を示すブロック図である。
【図9】ハンディターミナルのCPUが実行するモード切替処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ハンディターミナルのCPUが実行する無線信号発信処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】オーダステーションのCPUが実行する注文情報表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】(a)はハンディターミナルの外観斜視図であり、(b)はハンディターミナルの分解斜視図である。
【図13】ハンディターミナルの電気的構成を示すブロック図である。
【図14】ハンディターミナルの平面図である。
【図15】ハンディターミナルの電気的構成を示すブロック図である。
【図16】LCDにテーブル別情報エリアとキーボードインタフェイスとが表示された状態のハンディターミナルの平面図である。
【図17】従来のオーダエントリシステムの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の一形態を図1ないし図11に基づいて説明する。
【0014】
図1は、オーダエントリシステム101の全体構成を概略的に示すシステム構成図である。図2は、キッチンディスプレイ102および外部画面表示器103に表示される表示内容の一例を示す模式図である。オーダエントリシステム101は、接客エリア110において接客係C3が各々携帯する複数のハンディターミナル108と、厨房111に設置されるキッチン表示部としてのキッチンディスプレイ102と、厨房111に設置されるキッチンプリンタ104と、チェックアウトカウンタ112に設置される商品販売データ処理装置としてのPOS端末105と、店舗のバックヤード113に設置されオーダエントリシステム101全体を制御するオーダステーション106と、ホールの天井等に設置される無線アクセスポイント107とを備えて構成されている。キッチンディスプレイ102、キッチンプリンタ104、POS端末105、および、無線アクセスポイント107は、LANケーブル109を介してオーダステーション106とデータ通信自在に接続されている。ハンディターミナル108は、無線アクセスポイント107によってオーダステーション106との無線通信を可能とされる。
【0015】
キッチンディスプレイ102の表示面を構成するLCD102aには、タッチパネル102bが積層配置されている。また、このキッチンディスプレイ102には、キッチン表示部としての外部画面表示器103が接続されている。外部画面表示器103は、一例として、厨房111の内部の壁面に設置され、厨房111の内部にいる調理担当者C1はもとより、厨房111と隣接してその外側に設けられているドリンクカウンタ114で待機するドリンク担当者C2や接客エリア110にいる接客係C3にも視認可能となっている。外部画面表示器103は、キッチンディスプレイ102が表示する表示データと同じ表示データを表示する機能を有している。つまり、外部画面表示器103に表示される内容は、キッチンディスプレイ102に表示される表示内容と同期している。
【0016】
ハンディターミナル108は、接客係C3がテーブルを特定するテーブルコードと対応付けてメニュー品目を特定するメニューコード及びその数量とで構成される注文情報を入力可能である。また、ハンディターミナル108は、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示された注文情報を含む画面表示を操作する操作命令を入力可能である。ハンディターミナル108に入力された注文情報や操作命令は、無線アクセスポイント107を介してオーダステーション106に無線通信により送信される。
【0017】
オーダステーション106は、LCD116、キーボード117およびフラッシュメモリ407(図6参照)を備え、各ハンディターミナル108から無線送信された注文情報の管理を可能とする。オーダステーション106は、受信した注文情報160をキッチンディスプレイ102、キッチンプリンタ104、および、POS端末105へと送信する。キッチンディスプレイ102は、オーダステーション106から送信された注文情報160を含む各種情報を表示する。つまり、キッチンディスプレイ102は、キッチン表示部としての役割を果たす。キッチンプリンタ104は、受信した注文情報に応じた内容の伝票を印字発行する。印字発行された伝票は、注文されたメニュー品目をキッチンの調理担当者C1に指示するための調理指示伝票となる。POS端末105は、顧客との間での注文情報に基づく会計処理を含む販売データ処理等を実行する。
【0018】
キッチンディスプレイ102および外部画面表示器103には、オーダステーション106に入力された注文情報160が同期して表示される。以下、キッチンディスプレイ102に表示される表示内容のみに言及する。キッチンディスプレイ102のLCD102aに表示される注文情報160は、LCD102aに表示されている六つのテーブル別情報エリア151のそれぞれに、テーブルコード152別に分類されて表示される。LCD102aの右端部分には、上から順に、テーブル別情報エリア151に表示されている注文情報160を切り替えるためのスクロールボタン153、注文情報160の並べ替え等の各種機能を実行するための機能ボタン154、調理済みとする注文情報160の消し込みを決定するための消込入力ボタン155が表示されている。LCD102aにはタッチパネル102bが積層配置されている。タッチパネル102bから注文情報160がタッチ指定されると、タッチ指定された注文情報160は、消込候補注文情報156として指定される。指定された注文情報160は、一例として、図2に示すように、反転表示される。LCD102a上で注文情報160が消込候補注文情報156として指定されている状態で、タッチパネル102bから消込入力ボタン155のタッチ指定が行われると、消込候補注文情報156として指定された注文情報160は調理済注文情報157として取り扱われる。調理済注文情報157として取り扱われた注文情報160は、一例として、図2に示すように、淡色表示となって、さらにその右隣に「消」という文字で構成された消込完了マーク157aが付される。調理済注文情報157として扱われた注文情報160は、オーダステーション106に備わるフラッシュメモリ407に格納されている注文ファイル410(図6参照)において、調理済であることを示す情報が付加されて管理される。なお、タッチパネル102bから注文情報160を複数個タッチ指定した後に消込入力ボタン155をタッチ指定することで、複数の注文情報160を一度に調理済み扱いとすることも可能である。
【0019】
本実施の形態のオーダエントリシステム101において、注文情報160を調理済み扱いにして消し込む操作は、ハンディターミナル108から操作命令を無線信号として発信して行う遠隔操作によって行うことが可能である。つまり、ハンディターミナル108は、ハンディターミナル108の入力部を構成するテンキー204、タッチパネル205およびキーボード206などから入力される操作命令に対応した無線信号を発信する。ハンディターミナル108から入力可能である操作命令は、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示されている注文情報160のうち消込候補注文情報156を示すハイライト表示を上下左右に移動して別の注文情報160を消込候補注文情報156にするカーソル移動命令や、上記消込入力ボタン155がタッチ指定された場合と同様にハイライトされた注文情報160を調理済み扱いにして消し込む消込命令などを含む各種命令である。無線アクセスポイント107は、ハンディターミナル108から発信された無線信号を受信すると、受信した無線信号を情報データに変換してオーダステーション106に送信する。オーダステーション106は、無線アクセスポイント107から送信される操作命令を受信した場合、その操作命令に応じた処理を行う。
【0020】
つまり、ハンディターミナル108の操作者は、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103の表示画面を見ながらハンディターミナル108に各種の操作命令を入力して、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示されている注文情報160の中から消込候補注文情報156を指定した後にその指定した注文情報160を調理済注文情報157として処理することができる。ハンディターミナル108から入力された操作命令に応じてキッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示された注文情報160を管理する処理は、第2の情報処理部をなすオーダステーション106のマイクロコンピュータ401によって実行される。
【0021】
このように注文情報160を遠隔操作によって処理することを可能にするオーダエントリシステム101について、その各部の詳細について、以下に述べる。
【0022】
図3(a)は、閉じられた状態のハンディターミナル108の平面図である。図3(b)は、閉じられた状態のハンディターミナル108の正面図である。図3(c)は、閉じられた状態のハンディターミナル108の左側面図である。図4は、見開き状態のハンディターミナル108の平面図である。ハンディターミナル108は、接続機構としてのヒンジ207によって回動自在に連結される、第1のユニットとしての左扉体201と第2のユニットとしての右扉体202とから構成される。ヒンジ207は、左扉体201に備わる第1の操作面201aと、右扉体202に備わる第2の操作面202aとを対面させる向きに左扉体201と右扉体202とを接続し、この両者を、第1の操作面201aと第2の操作面202aとが対面する閉状態と、第1の操作面201aと第2の操作面202aとが互いに隣接する見開き状態とに状態遷移させる。右扉体202は、第1の操作面201aと第2の操作面202aとを閉じるための蓋としても機能する。
【0023】
左扉体201の第1の操作面201aの上方にはLCD203が設けられている。LCD203に隣接した左扉体201の見開き面の下方にはテンキー204が配置されている。さらに、左扉体201の第1の操作面201aには、LCD203に対してタッチパネル205が積層配置されている。LCD203は、ハンディターミナル108を操作する操作者に対し各種情報を表示する表示部としての役割を果たす。
【0024】
右扉体202の第2の操作面202aには、キーボード206が設けられている。キーボード206は、飲食物キーや確定キー、ハンディターミナル108を各種モードに設定するためのモードキー等のキーの機能を表す文字、記号などが表示されているキーボード面206aと、キーボード面206aに対して下層に敷かれるメンブレンキー206b(図5参照)とにより構成されている。メンブレンキー206bはシート状で柔軟性を有し、左扉体201と右扉体202とを回動自在に接続するヒンジ207部分にまたがって配置され、キーボードコントローラ308(図5参照)に接続している。テンキー204、タッチパネル205およびキーボード206は、各種情報を入力するための入力部としての役割を果たす。テンキー204、タッチパネル205およびキーボード206から入力される入力データは、顧客から受けた注文情報や、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示される注文情報を調理済み扱いとするための操作命令などであり、キーボード面206aの同一のキーによって注文情報および操作命令の両方の入力が可能である。そして、モード切替処理(図9参照)によって設定されるハンディターミナル108のモードに応じて、ハンディターミナル108では、入力されたデータが注文情報であるか操作命令であるかが判別される。
【0025】
図5は、ハンディターミナル108の電気的接続を示すブロック図である。ハンディターミナル108は、情報処理を実行し各部を駆動制御する第1の情報処理部としてのマイクロコンピュータ301を備える。マイクロコンピュータ301は、各部を集中的に制御するCPU302と、制御プログラム等の固定的情報を予め記憶するROM303と、各種情報を書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM304とがバスラインBL1を介して接続されて構成されている。マイクロコンピュータ301には、バスラインBL1を介して、タッチパネルコントローラ306、表示コントローラ307、キーボードコントローラ308、及び無線通信インタフェース309が接続されている。タッチパネルコントローラ306は、タッチパネル205からの入力信号をマイクロコンピュータ301に取り込む。表示コントローラ307は、画像データに基づいてLCD203を駆動制御し、画像データに応じた画像をLCD203に表示させる。キーボードコントローラ308は、テンキー204及びメンブレンキー206bからの入力信号をマイクロコンピュータ301に取り込む。無線通信インタフェース309は、無線部310を駆動制御する。無線部310は、アンテナ314と、ハンディターミナル108から無線信号を発信するための発信部311と、アンテナ314に到達した無線信号をハンディターミナル108のCPU302に取り込むための受信部312と、アンテナ314を発信部311および受信部312のいずれに接続するかを切り替えるアンテナ切替部313とにより構成される。無線部310は、アンテナ314を介して無線アクセスポイント107との間で無線通信を実行する。
【0026】
図6は、オーダステーション106の電気的接続を示すブロック図である。オーダステーション106は、情報処理を実行し各部を駆動制御する第2の情報処理部としてのマイクロコンピュータ401を備える。マイクロコンピュータ401は、各部を集中的に制御するCPU402と、制御プログラム等の固定的情報を予め記憶するROM403と、各種情報を書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM404とがバスラインBL2を介して接続されて構成されている。
【0027】
マイクロコンピュータ401には、バスラインBL2を介して、表示/キーボードコントローラ406とフラッシュメモリ407と通信インタフェース408とが接続されている。表示/キーボードコントローラ406は、画像データに基づいてLCD116を駆動制御し、画像データに応じた画像をLCD116に表示させ、また、キーボード117からの入力信号をマイクロコンピュータ401に取り込む。フラッシュメモリ407は、注文情報160を記憶する記憶部としての役割を果たし、注文情報160を格納する注文ファイル410(図7参照)を記憶する。この記憶部としては、フラッシュメモリ407以外にも、HDD(ハードディスク)をはじめとして、データを書き換え自在に記憶可能な各種の記憶媒体を採用することができる。通信インタフェース408は、オーダステーション106を他の機器、つまり、キッチンディスプレイ102、キッチンプリンタ104、POS端末105、及び無線アクセスポイント107との間でのデータ通信を可能にする。
【0028】
図7は、オーダステーション106が記憶する注文ファイル410のデータ構造の一例を示す模式図である。オーダステーション106のマイクロコンピュータ401は、ハンディターミナル108から注文情報160を受信すると、これを注文ファイル410に記憶する。注文ファイル410は、テーブルコード410aにリンクコード410bとオーダステーション106が注文情報160を受信した受信時刻410dとを対応付けて記憶可能なデータ構造を基本として備えている。また、注文ファイル410は、リンクコード410bと、ハンディターミナル108から受信した注文情報160に含まれているメニューコード410e及びその数量410fを記憶可能な領域410cとを対応付けるデータ構造を有している。
【0029】
図8は、キッチンディスプレイ102の電気的接続を示すブロック図である。キッチンディスプレイ102は、情報処理を実行し各部を駆動制御するマイクロコンピュータ501を備える。マイクロコンピュータ501は、各部を集中的に制御するCPU502と、制御プログラム等の固定的情報を予め記憶するROM503と、各種情報を書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM504と、LCD102aに画像データを表示するためのVRAM505とがバスラインBL3を介して接続されて構成されている。マイクロコンピュータ501には、LCD102a、タッチパネル102b、通信インタフェース508、および、外部機器インタフェース509がバスラインBL3を介して接続されている。通信インタフェース508は、LANケーブル109を介してキッチンディスプレイ102とオーダステーション106とをデータ通信自在に接続させる。外部機器インタフェース509は、キッチンディスプレイ102と外部画面表示器103とをデータ通信自在に接続させる。
【0030】
キッチンディスプレイ102のCPU502は、ROM503に記憶されている制御プログラムに従って、オーダステーション106から送信された画像データを受信し、受信した画像データをLCD102aおよび外部画面表示器103の両方に表示し、また、タッチパネル102bから入力された入力情報をオーダステーション106に送信する処理を実行する。
【0031】
上記のような構成を備えるオーダエントリシステム101において、ハンディターミナル108に備わる第1の情報処理部を構成するCPU302、および、オーダステーション106に備わる第2の情報処理部を構成するCPU402が実行する各種の情報処理について、以下に述べる。
【0032】
図9は、ハンディターミナル108のCPU302が実行するモード切替処理の流れを示すフローチャートである。ハンディターミナル108のCPU302は、ハンディターミナル108の起動中、モード切替処理を実行しており、入力部をなすテンキー204、タッチパネル205およびキーボード206からモード切替命令が入力されるのを待機している(ステップS101)。CPU302は、モード切替命令が入力されたと判定した場合(ステップS101のY)、ハンディターミナル108を注文情報入力モードと操作モードとのいずれかのモードに切り替える処理を実行して(ステップS102)、モード切替処理を終了する。なお、ハンディターミナル108のCPU302が設定するモードは注文情報入力モードおよび操作モードの二つに限られず、必要に応じた別の各種モードを設けていても良い。
【0033】
図10は、ハンディターミナル108のCPU302が実行する無線信号発信処理の流れを示すフローチャートである。ハンディターミナル108のCPU302は、ハンディターミナル108の起動中、無線信号発信処理を実行しており、入力部をなすテンキー204、タッチパネル205およびキーボード206からのデータ入力を待機している(ステップS201)。
【0034】
CPU302は、データ入力がなされたと判定した場合(ステップS201のY)、ハンディターミナル108のモードを判定する(ステップS202〜S203)。CPU302は、ハンディターミナル108が注文情報入力モードに設定されていると判定した場合には(ステップS202のY)、テンキー204やタッチパネル205、キーボード206から入力されたデータは注文情報であると解釈して、入力されたデータをRAM304に一時記憶し、データ送信指令の入力を条件にRAM304に記憶されたデータに応じた無線信号を発信部311に発信させ(ステップS204)、無線信号発信処理を終了する。
【0035】
これに対し、CPU302は、ハンディターミナル108が操作モードであると判定した場合には(ステップS202のN、S203のY)、テンキー204やタッチパネル205、キーボード206から入力されたデータは操作命令であると解釈して、これに応じた無線信号を発信部311に発信させ(ステップS205)、無線信号発信処理を終了する。
【0036】
CPU302は、ハンディターミナル108が注文情報入力モードおよび操作モードのいずれでもないと判定した場合には(ステップS202のN、S203のN)、そのモードに応じた処理を実行して(ステップS206)、無線信号発信処理を終了する。
【0037】
図11は、オーダステーション106のCPU402が実行する注文情報表示処理の流れを示すフローチャートである。オーダステーション106のCPU402は、オーダステーション106の起動中、注文情報表示処理を実行しており、無線アクセスポイント107から送信される注文情報もしくは操作命令のいずれかの受信を待機している(ステップS301〜S302)。
【0038】
CPU402は、注文情報の受信を判定した場合(ステップS301のY)、受信した注文情報をフラッシュメモリ407の注文ファイル410に格納してその注文情報をキッチンディスプレイ102に送信し(ステップS303)、注文情報表示処理を終了する。キッチンディスプレイ102は、オーダステーション106から送信される注文情報を受信すると、受信した注文情報をLCD102aに表示する。LCD102aに表示された注文情報は、キッチンディスプレイ102に接続する外部画面表示器103にも表示される。
【0039】
これに対し、CPU402は、操作命令の受信を判定した場合(ステップS301のN、S302のY)、受信した操作命令に基づいて、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示された注文情報に対する消込候補指定や消込決定などの各種処理を実行するための情報をキッチンディスプレイ102に送信し(ステップS304)、注文情報表示処理を終了する。
【0040】
一例として、CPU402が受信した操作命令がキッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示されている消込候補注文情報156を示すハイライト表示を上下左右に移動するカーソル移動命令である場合には、CPU402は、キッチンディスプレイ102に消込候補注文情報156を示すハイライト表示を操作命令に応じて上下左右に動かす操作命令を送信する。キッチンディスプレイ102は、この操作命令を受信すると、この操作命令に応じてハイライト表示が上下左右に移動する。外部画面表示器103には、キッチンディスプレイ102に表示されたハイライト表示の移動が同期して表示される。
【0041】
また別の一例として、CPU402が受信した操作命令がハイライトされた注文情報160を調理済み扱いして消し込みを行う命令である場合には、CPU402は、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103でハイライト表示された注文情報160を淡色表示とし、かつ、その右隣に「消」という文字で構成された消込完了マーク157aを付して調理済み扱いとして表示する操作命令を送信する。キッチンディスプレイ102は、この操作命令を受信すると、この操作命令に応じた処理を実行する。外部画面表示器103には、キッチンディスプレイ102が行う処理によってLCD102aに表示される表示内容が同期して表示される。この場合、CPU402は、注文ファイル410に格納されている注文情報160のうちハイライトされた注文情報160に対応するものに調理済であることを示す情報を付加する。
【0042】
このように、本実施の形態のオーダエントリシステム101によれば、ハンディターミナル108から入力される操作命令が無線アクセスポイント107を介してオーダステーション106に遠隔的に入力され、オーダステーション106に備わる第2の情報処理部としてのCPU402は、入力された操作命令に基づいてキッチン表示部としてのキッチンディスプレイ102および外部画面表示器103に表示されている注文情報を調理済み扱いとするため、キッチン表示部としてのキッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示される注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることができる。つまり、オーダステーション106との無線通信を実行するハンディターミナル108を用いることによって、無線アクセスポイント107がハンディターミナル108から発せられる無線信号を受信可能な範囲であれば、ケーブル接続などによってキッチンディスプレイ102に拘束されることがなく、厨房111の内部からはもとより厨房111の外部からでも、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示された注文情報を調理済み扱いとして消し込むことができる。
【0043】
次いで、別の実施の形態を図12および図13に基づいて説明する。この場合、図1ないし図11に基づいて説明した実施の一形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0044】
本発明の別の実施の一形態のオーダエントリシステム101は、ハンディターミナル108における注文情報入力モードと操作モードとのモード切替を、ハンディターミナル108から第2ユニットである右扉体202を着脱することにより行う点が、前述した実施の形態と相違する。
【0045】
図12(a)は、本実施の形態のハンディターミナル108の外観斜視図である。図12(b)は、本実施の形態のハンディターミナル108の分解斜視図である。本実施の形態のハンディターミナル108では、第1のユニットとしての左扉体201と第2のユニットとしての右扉体202とが着脱自在に連結されている。より詳細には、本実施の形態のメンブレンキー206bはヒンジ207部分をまたがって配置されておらず、左扉体201の右側辺には、LCD203に対して右上に位置する箇所に筒形状の第1受け部207aが接続されており、同じく左扉体201の右側辺でテンキー204に対し右下に位置する箇所には、上向きに開口するヒンジ孔207bを備えた第2受け部207cが接続されている。また、本実施の形態の右扉体202の左側辺には、キーボード206に対し左上に位置する箇所に、下向きに細いU字形状に突起し第1受け部207aの上方から挿通される装着部材207dが接続されており、キーボード206に対し左側に位置する箇所に、ヒンジ孔207bに挿通可能なヒンジピン207eが下向きに向けて突起した状態で接続されている。
【0046】
装着部材207dは、第1受け部207aの長さよりも長いU字形状の突起である。装着部材207dの突起の先端部分207daは第1受け部207aの筒孔の直径よりも大きく膨らんだ形状となっているが、その先端部分207daよりも上側は第1受け部207aの筒孔よりも細く形成されている。また、装着部材207dにおいて右扉体202に接続しない側の端部207dbは、右扉体202と装着部材207dとが接続する接続位置207dcから離反する方向に折れ曲がった形状となっている。装着部材207dは弾性を有する素材で形成されている。そのため、端部207dbを指で持って接続位置207dcに向かう方向Aに動かすと装着部材207dの先端部分207daは第1受け部207aの筒孔の直径よりも小さくなり、装着部材207dが第1受け部207aに挿通可能となる。装着部材207dを第1受け部207aに挿通し、かつ、ヒンジピン207eを第2受け部207cのヒンジ孔207bに挿入した状態で装着部材207dの端部207dbから指を離すと、装着部材207d自身の有する弾性力によって端部207dbは接続位置207dcから離反する方向Bに戻り、先端部分207daは膨らむ。結果として、左扉体201と右扉体202は、装着部材207dが第1受け部207aに挿通され、ヒンジピン207eが第2受け部207cのヒンジ孔207bに挿入されることで、回動自在に接続される。そして、装着部材207dの端部207dbを方向Aまたは方向Bに動かすことによって、左扉体201と右扉体202とを着脱することが可能となる。
【0047】
本実施の形態の左扉体201の右側背面には、第1の操作面201aと平行に厚みを少なくして形成された左扉体段部201bが形成されている。この左扉体段部201bの内部には、第1の通信回路としての左扉体バスラインBLl(図13参照)に接続される第1の電磁誘導コイル211が配置されている。
【0048】
本実施の形態の右扉体202の左側辺からは、右扉体202の背面と面一をなして右扉体段部202bが突設されている。右扉体段部202bの正面は、ハンディターミナル108が見開き状態にあるときに左扉体201の左扉体段部201bの背面と当接する形状に形成されている。つまり、左扉体201の左扉体段部201bは、右扉体202に当接する当接部をなし、右扉体202の右扉体段部202bは、左扉体201に当接する被当接部をなす。左扉体201の左扉体段部201bと右扉体202の右扉体段部202bとが当接した状態で対面する右扉体202の右扉体段部202bの内部位置には、第2の通信回路としての右扉体バスラインBLr(図13参照)に接続される第2の電磁誘導コイル212が配置される。第1の電磁誘導コイル211および第2の電磁誘導コイル212は、左扉体段部201bと右扉体段部202bとが当接した状態で電磁結合するアンテナユニット208を構成し、左扉体201の内部に配置されている左扉体バスラインBLlと右扉体202の内部に配置されている右扉体バスラインBLrとをデータ通信自在に接続する通信機構としての役割を果たす。
【0049】
図13は、本実施の形態のハンディターミナル108の電気的構成を示すブロック図である。本実施の形態のハンディターミナル108において、左扉体201には、CPU302、ROM303、RAM304、タッチパネルコントローラ306、表示コントローラ307、キーボードコントローラ308、無線通信インタフェース309、および、無線部310が、第1の通信回路となる左扉体バスラインBLlを介して接続されている。キーボードコントローラ308は、図示しない回路を介して第1の電磁誘導コイル211に電気信号を通信可能に接続している。また、本実施の形態のハンディターミナル108の右扉体202には、メンブレンキー206bと第2の電磁誘導コイル212とが第2の通信回路となる右扉体バスラインBLrを介して接続されている。
【0050】
本実施の形態のハンディターミナル108において、左扉体段部201bと右扉体段部202bとが当接すると、第1の電磁誘導コイル211および第2の電磁誘導コイル212は電磁結合を形成する。その結果、メンブレンキー206bから入力された電気信号はキーボードコントローラ308に入力されることになる。
【0051】
本実施の形態のハンディターミナル108に備わるCPU302は、第1の電磁誘導コイル211と第2の電磁誘導コイル212とがデータ通信自在に接続されているか否かを判定している。この有無の判定は、一例として、左扉体バスラインBLlに図示しない電源供給部から所定の周波数の交流信号を第1の電磁誘導コイル211に入力し、第1の電磁誘導コイル211と第2の電磁誘導コイル212との間に発生した電磁結合によって左扉体バスラインBLlに流れる交流信号のレベルが変化したか否かを判定することにより可能となる。また、別の一例として、第1の電磁誘導コイル211と第2の電磁誘導コイル212とがデータ通信自在に接続されているか否かの判定は、左扉体段部201bに発光部を左扉体201の背面側に向けた反射型フォトセンサを設け、反射型フォトセンサが発信する検知信号によって、右扉体段部202bが回動して第1の電磁誘導コイル211と第2の電磁誘導コイル212とがデータ通信自在となる位置に位置付けられたか否かをCPU302が判定するようにしてもよい。
【0052】
本実施の形態のCPU302は、左扉体バスラインBLlと右扉体バスラインBLrとがデータ通信自在に接続されていると判定した場合には、ハンディターミナルを注文情報入力モードに設定する処理を実行する。また、本実施の形態のCPU302は、左扉体バスラインBLlと右扉体バスラインBLrとのデータ通信が不能であると判定した場合には、ハンディターミナル108を操作モードとする処理を実行する。
【0053】
本実施の形態のオーダエントリシステム101によっても、前述した実施の形態のオーダエントリシステム101と同様に、ハンディターミナル108による遠隔操作によって、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示される注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることができる。さらに、本実施の形態のオーダエントリシステム101では、左扉体201と右扉体202が着脱可能となっており、左扉体201と右扉体202との間のデータ通信の有無によってハンディターミナル108のモードが切り替わるために、調理担当者C1、ドリンク担当者C2および接客係C3は、ハンディターミナル108のLCD203を見なくてもハンディターミナル108のモードを確認することが可能になり、ハンディターミナル108からオーダステーション106に向けて誤った無線信号を送信するという送信ミスを減少させることができる。
【0054】
次いで、さらに別の実施の形態を図14および図15に基づいて説明する。この場合、図1ないし図11に基づいて説明した実施の一形態、および、図12および図13に基づいて説明した実施の一形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0055】
本発明の別の実施の一形態のオーダエントリシステム101に用いられるハンディターミナル108は、前述した実施の形態に示すような従来のハンディターミナル108から一部の部品および機能を取り除いて構成される。
【0056】
図14は、本実施の形態のハンディターミナル108の平面図である。本実施の形態のハンディターミナル108は、第2のユニットとしての右扉体202を備えず、第1のユニットとしての左扉体201のみで構成される。
【0057】
図15は、本実施の形態のハンディターミナル108の電気的構成を示すブロック図である。本実施の形態のハンディターミナル108は、無線部310の一部に受信部312を備えていない。つまり、本実施の形態のハンディターミナル108は、入力部から入力された操作命令に応じた無線信号を送信する送信機能を備えているが、従来のハンディターミナルが一般的に備える受信機能を備えていない。
【0058】
また、本実施の形態のハンディターミナル108は、右扉体202を備えずメンブレンキー206bを備えていない。つまり、本実施の形態のハンディターミナル108においては、テンキー204およびタッチパネル205が入力部としての役割を果たす。
【0059】
このように構成される本実施の形態のハンディターミナル108のCPU302は、モード切替処理(図9参照)を行わず、ハンディターミナル108は常に操作モードに設定されている。そのため、CPU302は、無線信号発信処理(図10参照)を実行する際に、ステップS202およびS204に示す処理を実行しない。なお、本実施の形態のオーダエントリシステム101において、オーダステーション106に注文情報を送信する手段としては、図1ないし図11に基づいて前述した実施の形態の注文情報を送信可能な別のハンディターミナル108や、図12および図13に基づいて前述した実施の形態の注文情報を送信可能な別のハンディターミナル108を採用する。
【0060】
つまり、注文情報を入力するための従来のハンディターミナル108の基本部品を流用し、且つ、不要な機能を削ることによって実現したハンディターミナル108によっても、前述した実施の形態のオーダエントリシステム101と同様に、ハンディターミナル108による遠隔操作によって、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示される注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることができる。
【0061】
すなわち、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示されたメニューを消すことができたかどうかは、通常、これらに表示された表示内容を見て確認するため、ハンディターミナル108側にデータが送信できたかどうかの確認データを返す必要はなく、オーダエントリシステム101におけるハンディターミナル108を送信専用端末として用いても何ら差し支えない。このため、ハンディターミナルは従来タイプのハンディターミナルと共通部品を使用し、しかも、受信に関する機能を削除するなど、構成部品や機能の一部を削ることで作ることができ、その削った構成部品や機能の分だけ安価でハンディターミナル108を生産することが可能となる。この場合、ハンディターミナル108からLCD203および表示コントローラ307を省き、操作者はキッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示された表示内容だけを頼りに注文情報を調理済み扱いとして消し込む作業を行うようにすれば、これらの機能を省略した分だけ更に安価にハンディターミナル108を生産することも可能になる。
【0062】
図16は、LCD203にテーブル別情報エリア151とキーボードインタフェイス158とが表示された状態のハンディターミナル108の平面図である。さらに別の実施の形態として、ハンディターミナル108に受信部312とLCD203とを備え、無線アクセスポイント107に無線信号の発信機能を備えてオーダエントリシステム101を構成し、オーダステーション106から発信される注文情報をハンディターミナル108が受信可能として、第1の操作面201aに備わるLCD203に、所定の一つのテーブルに関するテーブル別情報エリア151(図2参照)と、従来の消込用キーボード(図17参照)が有するキーボードインタフェイス158とを表示させてもよい。つまり、第1の操作面201aのLCD203に図16に示すような画面表示を行い、LCD203に積層配置されるタッチパネル205をタッチ指定可能とし、ハンディターミナル108から、ハイライト表示(図2参照)を上下左右させるカーソル移動命令や消込命令だけでなく、LCD203に表示されている注文情報を消込候補注文情報156として直接指定可能とする指定命令に応じた無線信号を発信できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
101…オーダエントリシステム、102…キッチンディスプレイ(キッチン表示部)、103…外部画面表示器(キッチン表示部)、106…オーダステーション、107…無線アクセスポイント、108…ハンディターミナル、109…LANケーブル(通信ネットワーク)、201…左扉体(第1のユニット)、201a…第1の操作面、201b…左扉体段部(当接部)、202…右扉体(第2のユニット)、202a…第2の操作面、202b…右扉体段部(被当接部)、205…タッチパネル(入力部)、206…キーボード(入力部)、207…ヒンジ(接続機構)、208…アンテナユニット、211…第1の電磁誘導コイル、212…第2の電磁誘導コイル、301…マイクロコンピュータ(第1の情報処理部)、311…発信部、401…マイクロコンピュータ(第2の情報処理部)、BLl…左扉体バスライン(第1の通信回路)、BLr…右扉体バスライン(第2の通信回路)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2001−084294公報
【特許文献2】特開2005−018686公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファミリーレストランなどの飲食店に導入されるオーダエントリシステムおよびこれに用いられるハンディターミナルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファミリーレストランなどの飲食店において、顧客からの注文を入力するためのハンディターミナルを備えたオーダエントリシステムが導入されている。
【0003】
図17は、従来のオーダエントリシステムの一例を示す模式図である。オーダエントリシステム900は、厨房911に設置されるキッチンディスプレイ901およびキッチンプリンタ904と、POS端末905と、オーダステーション906と、接客エリア910において接客係が携帯するハンディターミナル908との無線通信が可能となる位置に設置される無線アクセスポイント907とがデータ通信自在に接続されて構成されている。
【0004】
キッチンディスプレイ901には外部画面表示器903が接続され、双方の表示内容は同期している。外部画面表示器903は、一例として、キッチンディスプレイ901よりも大きな画像表示面を備え、厨房911の内部にいる調理担当者だけでなく厨房911に隣接するドリンクカウンタ(図示せず)に待機するドリンク担当者や接客エリア910で接客を行う接客係にとっても見やすい位置に配置される。別の一例として、外部画面表示器903としてキッチンディスプレイ901とは別体のディスプレイが採用され、図示しないドリンクカウンタ等に設置される。
【0005】
ハンディターミナル908に入力された注文情報は、無線通信により無線アクセスポイント907を介してオーダステーション906に向けて入力される。オーダステーション906は、入力された注文情報をキッチンディスプレイ901およびキッチンプリンタ904に送信する。キッチンディスプレイ901には、特許文献1の図1に示されているような画面表示がなされる。調理担当者は、キッチンディスプレイ901に表示された注文情報に従い調理を行い、表示されている注文情報のうち調理が完了した注文情報を調理済みとする操作を行う。この注文情報を調理済み扱いとする操作の一例は、キッチンディスプレイ901に表示された注文情報を消し込む操作であり、キッチンディスプレイ901の表示面に積層配置されたタッチパネル901aからのタッチ指定によって、所定の注文情報を調理済み扱いとし、キッチンディスプレイ901に表示された注文情報を消し込む。
【0006】
ところが、外部画面表示器903は、通常、表示面が大きい等の理由によりタッチパネルが積層配置されていない。つまり、外部画面表示器903からは調理が完了した注文情報の消し込みを行うことができない。そこで、特許文献2の段落番号0004に記載されているような消込用キーボード902をキッチンディスプレイ901に接続し、この消込用キーボード902を用いた注文情報の消し込み操作が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、厨房に向けて注文情報を表示するキッチンディスプレイの表示内容は外部画面表示器にも表示され、これらに表示される注文情報は厨房内の調理担当者だけでなく、厨房外にいるドリンク担当者や接客係も確認することができる。しかしながら、消込用キーボードは、厨房に設置されるキッチンディスプレイに接続され、当該キッチンディスプレイの近傍に配置されている。そのため、キッチンディスプレイに表示される注文情報を消し込む作業を行うために、消込用キーボードが設置されているキッチンディスプレイの近傍まで移動してその消込用キーボードを直接操作しなければならないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態のオーダエントリシステムは、各種情報を入力するための入力部と、無線通信するための通信部と、ハンディ表示部と、情報処理を実行する第1の情報処理部と、を備えるハンディターミナルと、情報処理を実行する第2の情報処理部を備えるオーダステーションと、通信ネットワークを介して前記オーダステーションとデータ通信自在に接続し、注文情報を含む各種情報を表示するキッチン表示部と、前記通信ネットワークを介して前記オーダステーションとデータ通信自在に接続し、前記ハンディターミナルと無線通信を介してデータ通信自在に接続する無線アクセスポイントと、を備え、前記第1の情報処理部は、前記入力部からテーブルごとの注文情報を受け付け、当該受け付けた注文情報を前記通信部により前記オーダステーションへ送信させる処理と、前記オーダステーションから送信された、複数のテーブルごとの注文情報における1テーブル分の注文情報を前記ハンディ表示部に表示させる処理と、前記入力部から入力された操作命令に応じて、前記1テーブル分の注文情報の中から調理済み扱いとする注文情報を受け付ける処理と、前記調理済み扱いとする注文情報を前記通信部により前記オーダステーションへ送信させる処理と、を実行し、前記第2の情報処理部は、前記ハンディターミナルより送信された注文情報をテーブルごとに前記キッチン表示部に表示させる処理と、前記注文情報の中から1テーブル分の注文情報を前記ハンディターミナルに送信する処理と、前記ハンディターミナルから送信された情報をもとに、前記キッチン表示部に表示された注文情報の中から一または複数の注文情報を調理済み扱いとする処理と、を実行する。
【0010】
また、実施形態は、上記オーダエントリシステムに用いられるハンディターミナルについても規定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハンディターミナルから調理済み扱いとする注文情報がオーダステーションに送信され、オーダステーションのキッチン表示部に表示されている注文情報を調理済み扱いとするため、注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】オーダエントリシステムの全体構成を概略的に示すシステム構成図である。
【図2】キッチンディスプレイおよび外部画面表示器に表示される表示内容の一例を示す模式図である。
【図3】(a)は閉じられた状態のハンディターミナルの平面図であり、(b)は閉じられた状態のハンディターミナルの正面図であり、(c)は閉じられた状態のハンディターミナルの左側面図である。
【図4】見開き状態のハンディターミナルの平面図である。
【図5】ハンディターミナルの電気的接続を示すブロック図である。
【図6】オーダステーションの電気的接続を示すブロック図である。
【図7】オーダステーションが記憶する注文ファイルのデータ構造の一例を示す模式図である。
【図8】キッチンディスプレイの電気的接続を示すブロック図である。
【図9】ハンディターミナルのCPUが実行するモード切替処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ハンディターミナルのCPUが実行する無線信号発信処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】オーダステーションのCPUが実行する注文情報表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】(a)はハンディターミナルの外観斜視図であり、(b)はハンディターミナルの分解斜視図である。
【図13】ハンディターミナルの電気的構成を示すブロック図である。
【図14】ハンディターミナルの平面図である。
【図15】ハンディターミナルの電気的構成を示すブロック図である。
【図16】LCDにテーブル別情報エリアとキーボードインタフェイスとが表示された状態のハンディターミナルの平面図である。
【図17】従来のオーダエントリシステムの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の一形態を図1ないし図11に基づいて説明する。
【0014】
図1は、オーダエントリシステム101の全体構成を概略的に示すシステム構成図である。図2は、キッチンディスプレイ102および外部画面表示器103に表示される表示内容の一例を示す模式図である。オーダエントリシステム101は、接客エリア110において接客係C3が各々携帯する複数のハンディターミナル108と、厨房111に設置されるキッチン表示部としてのキッチンディスプレイ102と、厨房111に設置されるキッチンプリンタ104と、チェックアウトカウンタ112に設置される商品販売データ処理装置としてのPOS端末105と、店舗のバックヤード113に設置されオーダエントリシステム101全体を制御するオーダステーション106と、ホールの天井等に設置される無線アクセスポイント107とを備えて構成されている。キッチンディスプレイ102、キッチンプリンタ104、POS端末105、および、無線アクセスポイント107は、LANケーブル109を介してオーダステーション106とデータ通信自在に接続されている。ハンディターミナル108は、無線アクセスポイント107によってオーダステーション106との無線通信を可能とされる。
【0015】
キッチンディスプレイ102の表示面を構成するLCD102aには、タッチパネル102bが積層配置されている。また、このキッチンディスプレイ102には、キッチン表示部としての外部画面表示器103が接続されている。外部画面表示器103は、一例として、厨房111の内部の壁面に設置され、厨房111の内部にいる調理担当者C1はもとより、厨房111と隣接してその外側に設けられているドリンクカウンタ114で待機するドリンク担当者C2や接客エリア110にいる接客係C3にも視認可能となっている。外部画面表示器103は、キッチンディスプレイ102が表示する表示データと同じ表示データを表示する機能を有している。つまり、外部画面表示器103に表示される内容は、キッチンディスプレイ102に表示される表示内容と同期している。
【0016】
ハンディターミナル108は、接客係C3がテーブルを特定するテーブルコードと対応付けてメニュー品目を特定するメニューコード及びその数量とで構成される注文情報を入力可能である。また、ハンディターミナル108は、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示された注文情報を含む画面表示を操作する操作命令を入力可能である。ハンディターミナル108に入力された注文情報や操作命令は、無線アクセスポイント107を介してオーダステーション106に無線通信により送信される。
【0017】
オーダステーション106は、LCD116、キーボード117およびフラッシュメモリ407(図6参照)を備え、各ハンディターミナル108から無線送信された注文情報の管理を可能とする。オーダステーション106は、受信した注文情報160をキッチンディスプレイ102、キッチンプリンタ104、および、POS端末105へと送信する。キッチンディスプレイ102は、オーダステーション106から送信された注文情報160を含む各種情報を表示する。つまり、キッチンディスプレイ102は、キッチン表示部としての役割を果たす。キッチンプリンタ104は、受信した注文情報に応じた内容の伝票を印字発行する。印字発行された伝票は、注文されたメニュー品目をキッチンの調理担当者C1に指示するための調理指示伝票となる。POS端末105は、顧客との間での注文情報に基づく会計処理を含む販売データ処理等を実行する。
【0018】
キッチンディスプレイ102および外部画面表示器103には、オーダステーション106に入力された注文情報160が同期して表示される。以下、キッチンディスプレイ102に表示される表示内容のみに言及する。キッチンディスプレイ102のLCD102aに表示される注文情報160は、LCD102aに表示されている六つのテーブル別情報エリア151のそれぞれに、テーブルコード152別に分類されて表示される。LCD102aの右端部分には、上から順に、テーブル別情報エリア151に表示されている注文情報160を切り替えるためのスクロールボタン153、注文情報160の並べ替え等の各種機能を実行するための機能ボタン154、調理済みとする注文情報160の消し込みを決定するための消込入力ボタン155が表示されている。LCD102aにはタッチパネル102bが積層配置されている。タッチパネル102bから注文情報160がタッチ指定されると、タッチ指定された注文情報160は、消込候補注文情報156として指定される。指定された注文情報160は、一例として、図2に示すように、反転表示される。LCD102a上で注文情報160が消込候補注文情報156として指定されている状態で、タッチパネル102bから消込入力ボタン155のタッチ指定が行われると、消込候補注文情報156として指定された注文情報160は調理済注文情報157として取り扱われる。調理済注文情報157として取り扱われた注文情報160は、一例として、図2に示すように、淡色表示となって、さらにその右隣に「消」という文字で構成された消込完了マーク157aが付される。調理済注文情報157として扱われた注文情報160は、オーダステーション106に備わるフラッシュメモリ407に格納されている注文ファイル410(図6参照)において、調理済であることを示す情報が付加されて管理される。なお、タッチパネル102bから注文情報160を複数個タッチ指定した後に消込入力ボタン155をタッチ指定することで、複数の注文情報160を一度に調理済み扱いとすることも可能である。
【0019】
本実施の形態のオーダエントリシステム101において、注文情報160を調理済み扱いにして消し込む操作は、ハンディターミナル108から操作命令を無線信号として発信して行う遠隔操作によって行うことが可能である。つまり、ハンディターミナル108は、ハンディターミナル108の入力部を構成するテンキー204、タッチパネル205およびキーボード206などから入力される操作命令に対応した無線信号を発信する。ハンディターミナル108から入力可能である操作命令は、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示されている注文情報160のうち消込候補注文情報156を示すハイライト表示を上下左右に移動して別の注文情報160を消込候補注文情報156にするカーソル移動命令や、上記消込入力ボタン155がタッチ指定された場合と同様にハイライトされた注文情報160を調理済み扱いにして消し込む消込命令などを含む各種命令である。無線アクセスポイント107は、ハンディターミナル108から発信された無線信号を受信すると、受信した無線信号を情報データに変換してオーダステーション106に送信する。オーダステーション106は、無線アクセスポイント107から送信される操作命令を受信した場合、その操作命令に応じた処理を行う。
【0020】
つまり、ハンディターミナル108の操作者は、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103の表示画面を見ながらハンディターミナル108に各種の操作命令を入力して、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示されている注文情報160の中から消込候補注文情報156を指定した後にその指定した注文情報160を調理済注文情報157として処理することができる。ハンディターミナル108から入力された操作命令に応じてキッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示された注文情報160を管理する処理は、第2の情報処理部をなすオーダステーション106のマイクロコンピュータ401によって実行される。
【0021】
このように注文情報160を遠隔操作によって処理することを可能にするオーダエントリシステム101について、その各部の詳細について、以下に述べる。
【0022】
図3(a)は、閉じられた状態のハンディターミナル108の平面図である。図3(b)は、閉じられた状態のハンディターミナル108の正面図である。図3(c)は、閉じられた状態のハンディターミナル108の左側面図である。図4は、見開き状態のハンディターミナル108の平面図である。ハンディターミナル108は、接続機構としてのヒンジ207によって回動自在に連結される、第1のユニットとしての左扉体201と第2のユニットとしての右扉体202とから構成される。ヒンジ207は、左扉体201に備わる第1の操作面201aと、右扉体202に備わる第2の操作面202aとを対面させる向きに左扉体201と右扉体202とを接続し、この両者を、第1の操作面201aと第2の操作面202aとが対面する閉状態と、第1の操作面201aと第2の操作面202aとが互いに隣接する見開き状態とに状態遷移させる。右扉体202は、第1の操作面201aと第2の操作面202aとを閉じるための蓋としても機能する。
【0023】
左扉体201の第1の操作面201aの上方にはLCD203が設けられている。LCD203に隣接した左扉体201の見開き面の下方にはテンキー204が配置されている。さらに、左扉体201の第1の操作面201aには、LCD203に対してタッチパネル205が積層配置されている。LCD203は、ハンディターミナル108を操作する操作者に対し各種情報を表示する表示部としての役割を果たす。
【0024】
右扉体202の第2の操作面202aには、キーボード206が設けられている。キーボード206は、飲食物キーや確定キー、ハンディターミナル108を各種モードに設定するためのモードキー等のキーの機能を表す文字、記号などが表示されているキーボード面206aと、キーボード面206aに対して下層に敷かれるメンブレンキー206b(図5参照)とにより構成されている。メンブレンキー206bはシート状で柔軟性を有し、左扉体201と右扉体202とを回動自在に接続するヒンジ207部分にまたがって配置され、キーボードコントローラ308(図5参照)に接続している。テンキー204、タッチパネル205およびキーボード206は、各種情報を入力するための入力部としての役割を果たす。テンキー204、タッチパネル205およびキーボード206から入力される入力データは、顧客から受けた注文情報や、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示される注文情報を調理済み扱いとするための操作命令などであり、キーボード面206aの同一のキーによって注文情報および操作命令の両方の入力が可能である。そして、モード切替処理(図9参照)によって設定されるハンディターミナル108のモードに応じて、ハンディターミナル108では、入力されたデータが注文情報であるか操作命令であるかが判別される。
【0025】
図5は、ハンディターミナル108の電気的接続を示すブロック図である。ハンディターミナル108は、情報処理を実行し各部を駆動制御する第1の情報処理部としてのマイクロコンピュータ301を備える。マイクロコンピュータ301は、各部を集中的に制御するCPU302と、制御プログラム等の固定的情報を予め記憶するROM303と、各種情報を書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM304とがバスラインBL1を介して接続されて構成されている。マイクロコンピュータ301には、バスラインBL1を介して、タッチパネルコントローラ306、表示コントローラ307、キーボードコントローラ308、及び無線通信インタフェース309が接続されている。タッチパネルコントローラ306は、タッチパネル205からの入力信号をマイクロコンピュータ301に取り込む。表示コントローラ307は、画像データに基づいてLCD203を駆動制御し、画像データに応じた画像をLCD203に表示させる。キーボードコントローラ308は、テンキー204及びメンブレンキー206bからの入力信号をマイクロコンピュータ301に取り込む。無線通信インタフェース309は、無線部310を駆動制御する。無線部310は、アンテナ314と、ハンディターミナル108から無線信号を発信するための発信部311と、アンテナ314に到達した無線信号をハンディターミナル108のCPU302に取り込むための受信部312と、アンテナ314を発信部311および受信部312のいずれに接続するかを切り替えるアンテナ切替部313とにより構成される。無線部310は、アンテナ314を介して無線アクセスポイント107との間で無線通信を実行する。
【0026】
図6は、オーダステーション106の電気的接続を示すブロック図である。オーダステーション106は、情報処理を実行し各部を駆動制御する第2の情報処理部としてのマイクロコンピュータ401を備える。マイクロコンピュータ401は、各部を集中的に制御するCPU402と、制御プログラム等の固定的情報を予め記憶するROM403と、各種情報を書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM404とがバスラインBL2を介して接続されて構成されている。
【0027】
マイクロコンピュータ401には、バスラインBL2を介して、表示/キーボードコントローラ406とフラッシュメモリ407と通信インタフェース408とが接続されている。表示/キーボードコントローラ406は、画像データに基づいてLCD116を駆動制御し、画像データに応じた画像をLCD116に表示させ、また、キーボード117からの入力信号をマイクロコンピュータ401に取り込む。フラッシュメモリ407は、注文情報160を記憶する記憶部としての役割を果たし、注文情報160を格納する注文ファイル410(図7参照)を記憶する。この記憶部としては、フラッシュメモリ407以外にも、HDD(ハードディスク)をはじめとして、データを書き換え自在に記憶可能な各種の記憶媒体を採用することができる。通信インタフェース408は、オーダステーション106を他の機器、つまり、キッチンディスプレイ102、キッチンプリンタ104、POS端末105、及び無線アクセスポイント107との間でのデータ通信を可能にする。
【0028】
図7は、オーダステーション106が記憶する注文ファイル410のデータ構造の一例を示す模式図である。オーダステーション106のマイクロコンピュータ401は、ハンディターミナル108から注文情報160を受信すると、これを注文ファイル410に記憶する。注文ファイル410は、テーブルコード410aにリンクコード410bとオーダステーション106が注文情報160を受信した受信時刻410dとを対応付けて記憶可能なデータ構造を基本として備えている。また、注文ファイル410は、リンクコード410bと、ハンディターミナル108から受信した注文情報160に含まれているメニューコード410e及びその数量410fを記憶可能な領域410cとを対応付けるデータ構造を有している。
【0029】
図8は、キッチンディスプレイ102の電気的接続を示すブロック図である。キッチンディスプレイ102は、情報処理を実行し各部を駆動制御するマイクロコンピュータ501を備える。マイクロコンピュータ501は、各部を集中的に制御するCPU502と、制御プログラム等の固定的情報を予め記憶するROM503と、各種情報を書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM504と、LCD102aに画像データを表示するためのVRAM505とがバスラインBL3を介して接続されて構成されている。マイクロコンピュータ501には、LCD102a、タッチパネル102b、通信インタフェース508、および、外部機器インタフェース509がバスラインBL3を介して接続されている。通信インタフェース508は、LANケーブル109を介してキッチンディスプレイ102とオーダステーション106とをデータ通信自在に接続させる。外部機器インタフェース509は、キッチンディスプレイ102と外部画面表示器103とをデータ通信自在に接続させる。
【0030】
キッチンディスプレイ102のCPU502は、ROM503に記憶されている制御プログラムに従って、オーダステーション106から送信された画像データを受信し、受信した画像データをLCD102aおよび外部画面表示器103の両方に表示し、また、タッチパネル102bから入力された入力情報をオーダステーション106に送信する処理を実行する。
【0031】
上記のような構成を備えるオーダエントリシステム101において、ハンディターミナル108に備わる第1の情報処理部を構成するCPU302、および、オーダステーション106に備わる第2の情報処理部を構成するCPU402が実行する各種の情報処理について、以下に述べる。
【0032】
図9は、ハンディターミナル108のCPU302が実行するモード切替処理の流れを示すフローチャートである。ハンディターミナル108のCPU302は、ハンディターミナル108の起動中、モード切替処理を実行しており、入力部をなすテンキー204、タッチパネル205およびキーボード206からモード切替命令が入力されるのを待機している(ステップS101)。CPU302は、モード切替命令が入力されたと判定した場合(ステップS101のY)、ハンディターミナル108を注文情報入力モードと操作モードとのいずれかのモードに切り替える処理を実行して(ステップS102)、モード切替処理を終了する。なお、ハンディターミナル108のCPU302が設定するモードは注文情報入力モードおよび操作モードの二つに限られず、必要に応じた別の各種モードを設けていても良い。
【0033】
図10は、ハンディターミナル108のCPU302が実行する無線信号発信処理の流れを示すフローチャートである。ハンディターミナル108のCPU302は、ハンディターミナル108の起動中、無線信号発信処理を実行しており、入力部をなすテンキー204、タッチパネル205およびキーボード206からのデータ入力を待機している(ステップS201)。
【0034】
CPU302は、データ入力がなされたと判定した場合(ステップS201のY)、ハンディターミナル108のモードを判定する(ステップS202〜S203)。CPU302は、ハンディターミナル108が注文情報入力モードに設定されていると判定した場合には(ステップS202のY)、テンキー204やタッチパネル205、キーボード206から入力されたデータは注文情報であると解釈して、入力されたデータをRAM304に一時記憶し、データ送信指令の入力を条件にRAM304に記憶されたデータに応じた無線信号を発信部311に発信させ(ステップS204)、無線信号発信処理を終了する。
【0035】
これに対し、CPU302は、ハンディターミナル108が操作モードであると判定した場合には(ステップS202のN、S203のY)、テンキー204やタッチパネル205、キーボード206から入力されたデータは操作命令であると解釈して、これに応じた無線信号を発信部311に発信させ(ステップS205)、無線信号発信処理を終了する。
【0036】
CPU302は、ハンディターミナル108が注文情報入力モードおよび操作モードのいずれでもないと判定した場合には(ステップS202のN、S203のN)、そのモードに応じた処理を実行して(ステップS206)、無線信号発信処理を終了する。
【0037】
図11は、オーダステーション106のCPU402が実行する注文情報表示処理の流れを示すフローチャートである。オーダステーション106のCPU402は、オーダステーション106の起動中、注文情報表示処理を実行しており、無線アクセスポイント107から送信される注文情報もしくは操作命令のいずれかの受信を待機している(ステップS301〜S302)。
【0038】
CPU402は、注文情報の受信を判定した場合(ステップS301のY)、受信した注文情報をフラッシュメモリ407の注文ファイル410に格納してその注文情報をキッチンディスプレイ102に送信し(ステップS303)、注文情報表示処理を終了する。キッチンディスプレイ102は、オーダステーション106から送信される注文情報を受信すると、受信した注文情報をLCD102aに表示する。LCD102aに表示された注文情報は、キッチンディスプレイ102に接続する外部画面表示器103にも表示される。
【0039】
これに対し、CPU402は、操作命令の受信を判定した場合(ステップS301のN、S302のY)、受信した操作命令に基づいて、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示された注文情報に対する消込候補指定や消込決定などの各種処理を実行するための情報をキッチンディスプレイ102に送信し(ステップS304)、注文情報表示処理を終了する。
【0040】
一例として、CPU402が受信した操作命令がキッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示されている消込候補注文情報156を示すハイライト表示を上下左右に移動するカーソル移動命令である場合には、CPU402は、キッチンディスプレイ102に消込候補注文情報156を示すハイライト表示を操作命令に応じて上下左右に動かす操作命令を送信する。キッチンディスプレイ102は、この操作命令を受信すると、この操作命令に応じてハイライト表示が上下左右に移動する。外部画面表示器103には、キッチンディスプレイ102に表示されたハイライト表示の移動が同期して表示される。
【0041】
また別の一例として、CPU402が受信した操作命令がハイライトされた注文情報160を調理済み扱いして消し込みを行う命令である場合には、CPU402は、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103でハイライト表示された注文情報160を淡色表示とし、かつ、その右隣に「消」という文字で構成された消込完了マーク157aを付して調理済み扱いとして表示する操作命令を送信する。キッチンディスプレイ102は、この操作命令を受信すると、この操作命令に応じた処理を実行する。外部画面表示器103には、キッチンディスプレイ102が行う処理によってLCD102aに表示される表示内容が同期して表示される。この場合、CPU402は、注文ファイル410に格納されている注文情報160のうちハイライトされた注文情報160に対応するものに調理済であることを示す情報を付加する。
【0042】
このように、本実施の形態のオーダエントリシステム101によれば、ハンディターミナル108から入力される操作命令が無線アクセスポイント107を介してオーダステーション106に遠隔的に入力され、オーダステーション106に備わる第2の情報処理部としてのCPU402は、入力された操作命令に基づいてキッチン表示部としてのキッチンディスプレイ102および外部画面表示器103に表示されている注文情報を調理済み扱いとするため、キッチン表示部としてのキッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示される注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることができる。つまり、オーダステーション106との無線通信を実行するハンディターミナル108を用いることによって、無線アクセスポイント107がハンディターミナル108から発せられる無線信号を受信可能な範囲であれば、ケーブル接続などによってキッチンディスプレイ102に拘束されることがなく、厨房111の内部からはもとより厨房111の外部からでも、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示された注文情報を調理済み扱いとして消し込むことができる。
【0043】
次いで、別の実施の形態を図12および図13に基づいて説明する。この場合、図1ないし図11に基づいて説明した実施の一形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0044】
本発明の別の実施の一形態のオーダエントリシステム101は、ハンディターミナル108における注文情報入力モードと操作モードとのモード切替を、ハンディターミナル108から第2ユニットである右扉体202を着脱することにより行う点が、前述した実施の形態と相違する。
【0045】
図12(a)は、本実施の形態のハンディターミナル108の外観斜視図である。図12(b)は、本実施の形態のハンディターミナル108の分解斜視図である。本実施の形態のハンディターミナル108では、第1のユニットとしての左扉体201と第2のユニットとしての右扉体202とが着脱自在に連結されている。より詳細には、本実施の形態のメンブレンキー206bはヒンジ207部分をまたがって配置されておらず、左扉体201の右側辺には、LCD203に対して右上に位置する箇所に筒形状の第1受け部207aが接続されており、同じく左扉体201の右側辺でテンキー204に対し右下に位置する箇所には、上向きに開口するヒンジ孔207bを備えた第2受け部207cが接続されている。また、本実施の形態の右扉体202の左側辺には、キーボード206に対し左上に位置する箇所に、下向きに細いU字形状に突起し第1受け部207aの上方から挿通される装着部材207dが接続されており、キーボード206に対し左側に位置する箇所に、ヒンジ孔207bに挿通可能なヒンジピン207eが下向きに向けて突起した状態で接続されている。
【0046】
装着部材207dは、第1受け部207aの長さよりも長いU字形状の突起である。装着部材207dの突起の先端部分207daは第1受け部207aの筒孔の直径よりも大きく膨らんだ形状となっているが、その先端部分207daよりも上側は第1受け部207aの筒孔よりも細く形成されている。また、装着部材207dにおいて右扉体202に接続しない側の端部207dbは、右扉体202と装着部材207dとが接続する接続位置207dcから離反する方向に折れ曲がった形状となっている。装着部材207dは弾性を有する素材で形成されている。そのため、端部207dbを指で持って接続位置207dcに向かう方向Aに動かすと装着部材207dの先端部分207daは第1受け部207aの筒孔の直径よりも小さくなり、装着部材207dが第1受け部207aに挿通可能となる。装着部材207dを第1受け部207aに挿通し、かつ、ヒンジピン207eを第2受け部207cのヒンジ孔207bに挿入した状態で装着部材207dの端部207dbから指を離すと、装着部材207d自身の有する弾性力によって端部207dbは接続位置207dcから離反する方向Bに戻り、先端部分207daは膨らむ。結果として、左扉体201と右扉体202は、装着部材207dが第1受け部207aに挿通され、ヒンジピン207eが第2受け部207cのヒンジ孔207bに挿入されることで、回動自在に接続される。そして、装着部材207dの端部207dbを方向Aまたは方向Bに動かすことによって、左扉体201と右扉体202とを着脱することが可能となる。
【0047】
本実施の形態の左扉体201の右側背面には、第1の操作面201aと平行に厚みを少なくして形成された左扉体段部201bが形成されている。この左扉体段部201bの内部には、第1の通信回路としての左扉体バスラインBLl(図13参照)に接続される第1の電磁誘導コイル211が配置されている。
【0048】
本実施の形態の右扉体202の左側辺からは、右扉体202の背面と面一をなして右扉体段部202bが突設されている。右扉体段部202bの正面は、ハンディターミナル108が見開き状態にあるときに左扉体201の左扉体段部201bの背面と当接する形状に形成されている。つまり、左扉体201の左扉体段部201bは、右扉体202に当接する当接部をなし、右扉体202の右扉体段部202bは、左扉体201に当接する被当接部をなす。左扉体201の左扉体段部201bと右扉体202の右扉体段部202bとが当接した状態で対面する右扉体202の右扉体段部202bの内部位置には、第2の通信回路としての右扉体バスラインBLr(図13参照)に接続される第2の電磁誘導コイル212が配置される。第1の電磁誘導コイル211および第2の電磁誘導コイル212は、左扉体段部201bと右扉体段部202bとが当接した状態で電磁結合するアンテナユニット208を構成し、左扉体201の内部に配置されている左扉体バスラインBLlと右扉体202の内部に配置されている右扉体バスラインBLrとをデータ通信自在に接続する通信機構としての役割を果たす。
【0049】
図13は、本実施の形態のハンディターミナル108の電気的構成を示すブロック図である。本実施の形態のハンディターミナル108において、左扉体201には、CPU302、ROM303、RAM304、タッチパネルコントローラ306、表示コントローラ307、キーボードコントローラ308、無線通信インタフェース309、および、無線部310が、第1の通信回路となる左扉体バスラインBLlを介して接続されている。キーボードコントローラ308は、図示しない回路を介して第1の電磁誘導コイル211に電気信号を通信可能に接続している。また、本実施の形態のハンディターミナル108の右扉体202には、メンブレンキー206bと第2の電磁誘導コイル212とが第2の通信回路となる右扉体バスラインBLrを介して接続されている。
【0050】
本実施の形態のハンディターミナル108において、左扉体段部201bと右扉体段部202bとが当接すると、第1の電磁誘導コイル211および第2の電磁誘導コイル212は電磁結合を形成する。その結果、メンブレンキー206bから入力された電気信号はキーボードコントローラ308に入力されることになる。
【0051】
本実施の形態のハンディターミナル108に備わるCPU302は、第1の電磁誘導コイル211と第2の電磁誘導コイル212とがデータ通信自在に接続されているか否かを判定している。この有無の判定は、一例として、左扉体バスラインBLlに図示しない電源供給部から所定の周波数の交流信号を第1の電磁誘導コイル211に入力し、第1の電磁誘導コイル211と第2の電磁誘導コイル212との間に発生した電磁結合によって左扉体バスラインBLlに流れる交流信号のレベルが変化したか否かを判定することにより可能となる。また、別の一例として、第1の電磁誘導コイル211と第2の電磁誘導コイル212とがデータ通信自在に接続されているか否かの判定は、左扉体段部201bに発光部を左扉体201の背面側に向けた反射型フォトセンサを設け、反射型フォトセンサが発信する検知信号によって、右扉体段部202bが回動して第1の電磁誘導コイル211と第2の電磁誘導コイル212とがデータ通信自在となる位置に位置付けられたか否かをCPU302が判定するようにしてもよい。
【0052】
本実施の形態のCPU302は、左扉体バスラインBLlと右扉体バスラインBLrとがデータ通信自在に接続されていると判定した場合には、ハンディターミナルを注文情報入力モードに設定する処理を実行する。また、本実施の形態のCPU302は、左扉体バスラインBLlと右扉体バスラインBLrとのデータ通信が不能であると判定した場合には、ハンディターミナル108を操作モードとする処理を実行する。
【0053】
本実施の形態のオーダエントリシステム101によっても、前述した実施の形態のオーダエントリシステム101と同様に、ハンディターミナル108による遠隔操作によって、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示される注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることができる。さらに、本実施の形態のオーダエントリシステム101では、左扉体201と右扉体202が着脱可能となっており、左扉体201と右扉体202との間のデータ通信の有無によってハンディターミナル108のモードが切り替わるために、調理担当者C1、ドリンク担当者C2および接客係C3は、ハンディターミナル108のLCD203を見なくてもハンディターミナル108のモードを確認することが可能になり、ハンディターミナル108からオーダステーション106に向けて誤った無線信号を送信するという送信ミスを減少させることができる。
【0054】
次いで、さらに別の実施の形態を図14および図15に基づいて説明する。この場合、図1ないし図11に基づいて説明した実施の一形態、および、図12および図13に基づいて説明した実施の一形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0055】
本発明の別の実施の一形態のオーダエントリシステム101に用いられるハンディターミナル108は、前述した実施の形態に示すような従来のハンディターミナル108から一部の部品および機能を取り除いて構成される。
【0056】
図14は、本実施の形態のハンディターミナル108の平面図である。本実施の形態のハンディターミナル108は、第2のユニットとしての右扉体202を備えず、第1のユニットとしての左扉体201のみで構成される。
【0057】
図15は、本実施の形態のハンディターミナル108の電気的構成を示すブロック図である。本実施の形態のハンディターミナル108は、無線部310の一部に受信部312を備えていない。つまり、本実施の形態のハンディターミナル108は、入力部から入力された操作命令に応じた無線信号を送信する送信機能を備えているが、従来のハンディターミナルが一般的に備える受信機能を備えていない。
【0058】
また、本実施の形態のハンディターミナル108は、右扉体202を備えずメンブレンキー206bを備えていない。つまり、本実施の形態のハンディターミナル108においては、テンキー204およびタッチパネル205が入力部としての役割を果たす。
【0059】
このように構成される本実施の形態のハンディターミナル108のCPU302は、モード切替処理(図9参照)を行わず、ハンディターミナル108は常に操作モードに設定されている。そのため、CPU302は、無線信号発信処理(図10参照)を実行する際に、ステップS202およびS204に示す処理を実行しない。なお、本実施の形態のオーダエントリシステム101において、オーダステーション106に注文情報を送信する手段としては、図1ないし図11に基づいて前述した実施の形態の注文情報を送信可能な別のハンディターミナル108や、図12および図13に基づいて前述した実施の形態の注文情報を送信可能な別のハンディターミナル108を採用する。
【0060】
つまり、注文情報を入力するための従来のハンディターミナル108の基本部品を流用し、且つ、不要な機能を削ることによって実現したハンディターミナル108によっても、前述した実施の形態のオーダエントリシステム101と同様に、ハンディターミナル108による遠隔操作によって、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示される注文情報を調理済み扱いとする作業の効率化を図ることができる。
【0061】
すなわち、キッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示されたメニューを消すことができたかどうかは、通常、これらに表示された表示内容を見て確認するため、ハンディターミナル108側にデータが送信できたかどうかの確認データを返す必要はなく、オーダエントリシステム101におけるハンディターミナル108を送信専用端末として用いても何ら差し支えない。このため、ハンディターミナルは従来タイプのハンディターミナルと共通部品を使用し、しかも、受信に関する機能を削除するなど、構成部品や機能の一部を削ることで作ることができ、その削った構成部品や機能の分だけ安価でハンディターミナル108を生産することが可能となる。この場合、ハンディターミナル108からLCD203および表示コントローラ307を省き、操作者はキッチンディスプレイ102や外部画面表示器103に表示された表示内容だけを頼りに注文情報を調理済み扱いとして消し込む作業を行うようにすれば、これらの機能を省略した分だけ更に安価にハンディターミナル108を生産することも可能になる。
【0062】
図16は、LCD203にテーブル別情報エリア151とキーボードインタフェイス158とが表示された状態のハンディターミナル108の平面図である。さらに別の実施の形態として、ハンディターミナル108に受信部312とLCD203とを備え、無線アクセスポイント107に無線信号の発信機能を備えてオーダエントリシステム101を構成し、オーダステーション106から発信される注文情報をハンディターミナル108が受信可能として、第1の操作面201aに備わるLCD203に、所定の一つのテーブルに関するテーブル別情報エリア151(図2参照)と、従来の消込用キーボード(図17参照)が有するキーボードインタフェイス158とを表示させてもよい。つまり、第1の操作面201aのLCD203に図16に示すような画面表示を行い、LCD203に積層配置されるタッチパネル205をタッチ指定可能とし、ハンディターミナル108から、ハイライト表示(図2参照)を上下左右させるカーソル移動命令や消込命令だけでなく、LCD203に表示されている注文情報を消込候補注文情報156として直接指定可能とする指定命令に応じた無線信号を発信できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
101…オーダエントリシステム、102…キッチンディスプレイ(キッチン表示部)、103…外部画面表示器(キッチン表示部)、106…オーダステーション、107…無線アクセスポイント、108…ハンディターミナル、109…LANケーブル(通信ネットワーク)、201…左扉体(第1のユニット)、201a…第1の操作面、201b…左扉体段部(当接部)、202…右扉体(第2のユニット)、202a…第2の操作面、202b…右扉体段部(被当接部)、205…タッチパネル(入力部)、206…キーボード(入力部)、207…ヒンジ(接続機構)、208…アンテナユニット、211…第1の電磁誘導コイル、212…第2の電磁誘導コイル、301…マイクロコンピュータ(第1の情報処理部)、311…発信部、401…マイクロコンピュータ(第2の情報処理部)、BLl…左扉体バスライン(第1の通信回路)、BLr…右扉体バスライン(第2の通信回路)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2001−084294公報
【特許文献2】特開2005−018686公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を入力するための入力部と、無線通信するための通信部と、ハンディ表示部と、情報処理を実行する第1の情報処理部と、を備えるハンディターミナルと、
情報処理を実行する第2の情報処理部を備えるオーダステーションと、
通信ネットワークを介して前記オーダステーションとデータ通信自在に接続し、注文情報を含む各種情報を表示するキッチン表示部と、
前記通信ネットワークを介して前記オーダステーションとデータ通信自在に接続し、前記ハンディターミナルと無線通信を介してデータ通信自在に接続する無線アクセスポイントと、
を備え、
前記第1の情報処理部は、前記入力部からテーブルごとの注文情報を受け付け、当該受け付けた注文情報を前記通信部により前記オーダステーションへ送信させる処理と、前記オーダステーションから送信された、複数のテーブルごとの注文情報における1テーブル分の注文情報を前記ハンディ表示部に表示させる処理と、前記入力部から入力された操作命令に応じて、前記1テーブル分の注文情報の中から調理済み扱いとする注文情報を受け付ける処理と、前記調理済み扱いとする注文情報を前記通信部により前記オーダステーションへ送信させる処理と、を実行し、
前記第2の情報処理部は、前記ハンディターミナルより送信された注文情報をテーブルごとに前記キッチン表示部に表示させる処理と、前記注文情報の中から1テーブル分の注文情報を前記ハンディターミナルに送信する処理と、前記ハンディターミナルから送信された情報をもとに、前記キッチン表示部に表示された注文情報の中から一または複数の注文情報を調理済み扱いとする処理と、を実行する、
オーダエントリシステム。
【請求項2】
請求項1記載のオーダエントリシステムが備えるハンディターミナル。
【請求項1】
各種情報を入力するための入力部と、無線通信するための通信部と、ハンディ表示部と、情報処理を実行する第1の情報処理部と、を備えるハンディターミナルと、
情報処理を実行する第2の情報処理部を備えるオーダステーションと、
通信ネットワークを介して前記オーダステーションとデータ通信自在に接続し、注文情報を含む各種情報を表示するキッチン表示部と、
前記通信ネットワークを介して前記オーダステーションとデータ通信自在に接続し、前記ハンディターミナルと無線通信を介してデータ通信自在に接続する無線アクセスポイントと、
を備え、
前記第1の情報処理部は、前記入力部からテーブルごとの注文情報を受け付け、当該受け付けた注文情報を前記通信部により前記オーダステーションへ送信させる処理と、前記オーダステーションから送信された、複数のテーブルごとの注文情報における1テーブル分の注文情報を前記ハンディ表示部に表示させる処理と、前記入力部から入力された操作命令に応じて、前記1テーブル分の注文情報の中から調理済み扱いとする注文情報を受け付ける処理と、前記調理済み扱いとする注文情報を前記通信部により前記オーダステーションへ送信させる処理と、を実行し、
前記第2の情報処理部は、前記ハンディターミナルより送信された注文情報をテーブルごとに前記キッチン表示部に表示させる処理と、前記注文情報の中から1テーブル分の注文情報を前記ハンディターミナルに送信する処理と、前記ハンディターミナルから送信された情報をもとに、前記キッチン表示部に表示された注文情報の中から一または複数の注文情報を調理済み扱いとする処理と、を実行する、
オーダエントリシステム。
【請求項2】
請求項1記載のオーダエントリシステムが備えるハンディターミナル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−99149(P2012−99149A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25440(P2012−25440)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【分割の表示】特願2007−258287(P2007−258287)の分割
【原出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【分割の表示】特願2007−258287(P2007−258287)の分割
【原出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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