説明

オーディオ透かしデコーディングを遂行する方法、装置及び製造物品

【課題】オーディオ透かしデコーディングを行う方法、装置及び製造物品を提供する。
【解決手段】開示された規範的な方法は、第1の複数の周波数成分を使用して、視聴率測定コードが埋め込まれているオーディオ信号を受信し、そのオーディオ信号をサンプリングし、そのサンプリングされた信号を第1の周波数ドメイン表現へと変換し、その第1の周波数ドメイン表現の第1の複数の周波数成分において前記コードを検出できるかどうか決定し、その第1の複数の周波数成分において前記コードが検出されないときに、第2の周波数ドメイン表現の第2の複数の周波数成分を検査して、前記コードが検出されるかどうか決定すること、を含む。第2の複数の周波数成分は、サンプリング周波数の不一致に対応する第1オフセットだけ、第1の複数の周波数成分からオフセットされたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般的に、メディアの監視に係り、より詳細には、オーディオ透かしデコーディングを遂行する方法、装置及び製造物品に係る。
【背景技術】
【0002】
[0002]メディアコンテンツ(例えば、テレビ(TV)番組、ラジオ番組、広告、解説、オーディオ/ビデオコンテンツ、映画、コマーシャル、広告、等)を識別することは、そのようなコンテンツへの視聴者の露出を評価するために有用である。例えば、視聴率計測アプリケーションでは、メディアコンテンツのオーディオ又はビデオ(例えば、番組又は広告)にコード又は透かしが挿入され又は埋め込まれ、そのコード/透かしは、その後、1つ以上の監視サイトにおいて、メディアコンテンツが提示される(例えば、監視される世帯で再生される)ときに検出される。オリジナル信号に埋め込まれるコード/透かしの情報ペイロードは、独特の番組識別、ソース識別、放送局情報、及び/又は放送時間を含むことができる。監視サイトは、世帯、店舗、職場、及び/又は他の公共及び/又は私的施設のような場所を含み、メディアコンテンツの露出及び/又はメディアコンテンツの消費が監視される。例えば、監視サイトでは、オーディオ及び/又はビデオからコード/透かしが捕獲される。収集されたコード/透かしは、コンテンツ消費統計値の計算のような分析のために中央データ収集施設へ送られる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】複合テレビ信号のオーディオ部分に埋め込まれる識別コードを使用する規範的な放送視聴率測定システムの概略図である。
【図2】図1の規範的エンコーダを具現化する規範的な仕方を示す。
【図3】図1の規範的デコーダを具現化する規範的な仕方を示す。
【図4】図1及び図3の規範的デコーダを具現化するために、例えば、プロセッサにより実行される規範的プロセスを示す。
【図5】図1及び図3の規範的デコーダを具現化するために、例えば、プロセッサにより実行される規範的プロセスを示す。
【図6A】図3の規範的デコーダにより補償できる規範的な周波数オフセットを示す。
【図6B】図3の規範的デコーダにより補償できる規範的な周波数オフセットを示す。
【図7】図4及び図5の規範的プロセスを具現化し、又、図1及び図3の規範的デコーダ及び/又は規範的オフセット補償器を具現化するのに使用でき及び/又はそのようにプログラムできる規範的プロセッサプラットホームの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
[0009]オーディオ透かしデコーディングを遂行する規範的な方法、装置及び製造物品について開示する。ここに開示する規範的な方法は、第1の複数の周波数成分を使用して、視聴率測定コードが埋め込まれているオーディオ信号を受信するステップと、そのオーディオ信号をサンプリングするステップと、そのサンプリングされた信号を第1の周波数ドメイン表現へと変換するステップと、その第1の周波数ドメイン表現の第1の複数の周波数成分において前記コードを検出できるかどうか決定するステップと、その第1の複数の周波数成分において前記コードが検出されないときに、第2の周波数ドメイン表現の第2の複数の周波数成分を検査して、前記コードが検出されるかどうか決定するステップであって、第2の複数の周波数成分は、サンプリング周波数の不一致に対応する第1オフセットだけ、第1の複数の周波数成分からオフセットされたものである当該ステップと、を備えている。
【0005】
[0010]ここに開示する規範的な装置は、第1の複数の周波数成分を使用して、視聴率測定コードが埋め込まれているオーディオ信号に対するオーディオ入力インターフェイスと、そのオーディオ信号をサンプリングするサンプラーと、そのサンプリングされたオーディオ信号を第1の周波数ドメイン表現へと変換する時間/周波数ドメインコンバータと、周波数ドメインデコーダと、を備えている。その周波数ドメインデコーダは、第1の周波数ドメイン表現の第1の複数の周波数成分において前記コードを検出できるかどうか決定し、第1の複数の周波数成分において前記コードが検出されない場合に、第2の周波数ドメイン表現の第2の複数の周波数成分を検査して、前記コードが検出されるかどうかを決定する。第2の複数の周波数成分は、サンプリング周波数の不一致に対応する第1オフセットだけ、第1の複数の周波数成分からオフセットされている。
【0006】
[0011]以下の説明は、オーディオ透かし入れ及び透かし検出としても知られている各々オーディオエンコーディング及びデコーディングを参照する。この状況において、オーディオとは、人間の通常の聴覚スペクトル内に入る周波数を有する任意の形式の信号であることに注意されたい。例えば、オーディオは、スピーチ、音楽、オーディオ及び/又はビデオ番組(例えば、テレビ(TV)番組、映画、インターネットビデオ、ラジオ番組、コマーシャルスポット、等)のオーディオ部分、ノイズ、又は他のサウンドである。
【0007】
[0012]一般的に、オーディオをエンコーディングすることは、オーディオに1つ以上のコードを挿入することを意味する。幾つかの例では、オーディオの聞き手にコードが聞こえないようにコードが音響心理学的にマスクされる。しかしながら、ある聴取者にはコードが聞こえる幾つかの状況がある。これらのコードは、透かしとも称される。オーディオに埋め込まれるコードは、適当な長さのものでよく、それらコードへ情報(例えば、チャンネル識別子、ステーション識別子、放送局識別子、コンテンツクリエータ識別子、コンテンツ所有者識別子、番組識別子、タイムスタンプ、放送識別子、等)をマッピングするための適当な技術を使用することができる。更に、コードは、オーディオに埋め込まれる選択された周波数を有する信号により表される記号へと変換される。適当なエンコーディング及び/又はエラー修正技術を使用して、コードを記号へと変換することができる。このような視聴率測定コードの幾つかの例は、本発明の譲受人であるニールセンカンパニー(US)、LLC専有のニールセンコードを含む。ニールセンコードは、ニールセンカンパニー(US)、LLC、又はニールセンカンパニー(US)、LLCの関連会社により及び/又はそれらに関連してメディアコンテンツに埋め込まれるコードである。ここに述べる実施例では、送信及び/又は放送の前及び/又はその間に、1つ以上のそのようなコードを含むようにメディアコンテンツがエンコードされる。メディアコンテンツがコンテンツプレゼンテーション装置に提示される(例えば、TV、ラジオ、コンピューティング装置、セルラー電話、ハンドヘルド装置、及び/又は他の適当な装置を通して再生される)ときに、プレゼンテーションエリアにいる個人は、メディアコンテンツに露出されるだけでなく、知らぬ間に、メディアコンテンツに埋め込まれたコードにも露出される。
【0008】
[0013]オーディオ部分に埋め込まれ及び/又はエンコードされたコードを含むオーディオ/ビデオメディアコンテンツ(例えば、TV番組、コマーシャル、映画、等)の放送を参照して以下の実施例を説明するが、このような実施例は、単なる例示に過ぎない。例えば、それに加えて又はそれとは別に、コードは、これに限定されないが、オーディオコンテンツ、ビデオコンテンツ、グラフィックコンテンツ、映像、ゲーム、調査、及び/又はウェブページのような他の形式のメディアコンテンツに埋め込まれ及び/又はエンコードされてもよい。更に、ここに述べる方法及び装置を使用して、任意の数及び/又は形式の付加的な及び/又は別のメディアコンテンツ(例えば、ラジオ放送、音声アナウンス等)に埋め込まれたコードを検出することもできる。更に、メディアコンテンツは、放送されなくてもよい。例えば、メディアコンテンツは、埋め込まれたコードを含むデジタル多様性ディスク(DVD)及び/又はコンパクトディスク(CD)のような任意の数及び/又は形式の有形媒体を経て配布されてもよい。
【0009】
[0014]規範的なエンコーディング及びデコーディングシステム100が、図1に示されている。図1の規範的なシステム100は、ここに開示する規範的なデコーディングプロセスを詳細に説明するための状況として働く規範的なテレビ視聴率測定システムである。図1の規範的なシステム100は、オーディオ信号104にコード103を追加して、エンコードされたオーディオ信号105を発生するためのエンコーダ102を備えている。コード103は、望ましい又は選択された情報を表している。例えば、メディア監視状況においては、コード103は、テレビ放送局、ラジオ放送局、等の放送メディアコンテンツのアイデンティティを表す。更に、コード103は、オーディオにコード103が挿入された時間、又はメディア放送時間を表すタイミング情報を含んでもよい。
【0010】
[0015]オーディオ信号104は、例えば、音声、音楽、ノイズ、コマーシャル広告オーディオ、テレビ番組に関連したオーディオ、生演奏、等を含む任意の形態のオーディオである。図1の実施例では、エンコーダ102は、エンコードされたオーディオ信号105を送信器106へ送る。送信器106は、エンコードされたオーディオ信号105を、そのエンコードされたオーディオ信号105に関連したビデオ信号108と共に送信する。ある場合に、エンコードされたオーディオ信号105は、それに関連したビデオ信号108を有するが、エンコードされたオーディオ信号105がそれに関連したビデオを有する必要はない。
【0011】
[0016]図1に示す規範的システム100の送信側に単一の送信器106が示されているが、送信側は、非常に複雑で、オーディオ信号104が通される複数のレベルを配布チェーンに含んでもよい。例えば、オーディオ信号104は、全国ネットワークレベルで発生されて、地方配布のために地方ネットワークレベルへ送られてもよい。従って、エンコーダ102は、送信器106の前の送信ラインアップに示されているが、オーディオ信号104の配布チェーン全体に1つ以上のエンコーダが配置されてもよい。従って、オーディオ信号104は、複数のレベルでエンコードされてもよく、又、それら複数のレベルに関連した複数の埋め込みコードを含んでもよい。規範的エンコーダ102を具現化する規範的な仕方を、図2を参照して以下に説明する。
【0012】
[0017]図1の規範的な送信器106は、自由空間伝播により(例えば、地上又は衛星通信リンクを経て)エンコードされたオーディオ信号を配布する高周波(RF)送信器、又はケーブル、ファイバ、等を経てエンコードされたオーディオ信号を配布するのに使用される送信器、の1つ以上を含む。幾つかの実施例では、送信器106は、広い地域全体にわたってエンコードされたオーディオ信号105を放送するのに使用される。他の場合には、送信器106は、限定された地域を通してエンコードされたオーディオ信号105を配布する。送信は、エンコードされたオーディオ信号105を高周波へとアップ変換してそれを伝播できるようにすることを含む。或いは又、送信は、エンコードされたオーディオ信号105を、デジタル値又はデジタル値のパケットの形態で配布することを含んでもよく、これは、インターネット、ワイドエリアネットワーク、及び/又はローカルエリアネットワークのような1つ以上のネットワークを経て送信される。従って、エンコードされたオーディオ信号105は、キャリア信号により搬送され、情報パケットにより搬送され、及び/又はオーディオ及び/又はビデオ信号を配布する適当な技術によって搬送される。
【0013】
[0018]メディア監視状況では、統計学的に選択された計測サイト112に置かれた受信器110により、規範的なエンコードされたオーディオ信号105が受信されると、そのエンコードされたオーディオ信号105が受信器110のスピーカ114により提示されるときにコード103の存在が聴取者に気付かれなくても(又は実質的に気付かれなくても)、そのオーディオ信号105は、コード103を回復するように処理される。このため、受信器110に得られるオーディオ出力118に、又はオーディオ105を再現するスピーカ114の付近に配置されたマイクロホン120に、デコーダ116が直結される。受信されたオーディオ信号105は、モノラル又はステレオのいずれでもよい。図1の規範的デコーダ116を具現化する規範的な仕方を、図3を参照して以下に述べる。
【0014】
[0019]図2は、図1の規範的エンコーダ102を具現化する規範的な仕方を示す。上述したように、図2の規範的エンコーダ102は、1つ以上の聞こえない(又は実質的に聞こえない)コード103をオーディオ104へ挿入して、エンコードされたオーディオ105を生成する。図2に示す実施例では、エンコーダ102は、サンプリング周波数202でオーディオ104をサンプリングして、サンプリングされたオーディオ信号203を形成するサンプラー201を備えている。規範的なサンプラー201は、コード103を隠すオーディオ104の能力を評価するマスキング評価器204に結合される。コード103は、サンプリングされたオーディオ203へコード103を挿入し又は埋め込むのに使用される周波数を決定し又は選択するコード周波数セレクタ206へ送られる。このコード周波数セレクタ206は、適当な検出又は修正エンコーディングを使用して、コード103を記号へと変換する。コード103を表すのに使用される指定又は選択されたコード周波数の指示207は、マスキング評価器204へ送られ、このマスキング評価器204は、オーディオ104によるコード103のマスキングを決定しなければならないところの周波数を知っている。更に、コード周波数の指示207は、コード周波数セレクタ206により指定された周波数を有する正弦波信号209を発生するコードシンセサイザ208へも送られる。結合器210は、コードシンセサイザ208からの合成されたコード周波数209と、サンプラーへ送られたオーディオ104との両方を受け取り、それら2つを結合して、エンコードされたオーディオ105を発生する。
【0015】
[0020]オーディオ104がエンコーダ102へアナログ形態で送られる幾つかの実施例では、規範的サンプラー201は、アナログ/デジタルコンバータ又は他の適当なデジタイザーを使用して具現化される。サンプラー201は、例えば、48000ヘルツ(Hz)又はナイキスト基準を満足するのに適した他のサンプリングレートでオーディオ104をサンプリングする。例えば、オーディオ104が15000Hzに周波数制限されている場合には、サンプラー201は、30000Hzのサンプリング周波数202で動作する。サンプラー201からの各サンプル203は、デジタルビットのストリングによって表され、ビット数は、オーディオ104がサンプリングされる精度を表す。例えば、サンプラー201は、8ビット、16ビット、24ビット又は32ビットの値203を発生することができる。
【0016】
[0021]オーディオ104をサンプリングするのに加えて、図2の規範的サンプラー201は、一緒に処理されるべき多数のサンプル(即ち、オーディオブロック)を累積する。例えば、規範的サンプラー201は、一度にマスキング評価器204へ通される512のサンプルオーディオブロックを累積することができる。或いは又、マスキング評価器204は、オーディオブロックを、それが処理されるまでバッファに累積するアキュムレータを含んでもよい。
【0017】
[0022]図2の規範的なマスキング評価器204は、サンプル(例えば、512個のサンプル)を受け取り又は累積し、その累積されたサンプルが人間の聴覚からコード周波数を実質的に隠す能力を決定する。即ち、マスキング評価器204は、例えば、オーディオ104の各臨界帯域を全体として評価してそのエネルギーを決定し、そして各臨界帯域のノイズ状又はトーン状属性を決定すると共に、その臨界帯域がコード周波数をマスクする総合計能力を決定することにより、累積されたサンプルで表されたオーディオ104内にコード周波数を隠せるかどうか決定する。人間の聴覚に対して行われる実験調査で決定される臨界周波数帯域は、スペクトルの下端における狭い周波数帯域から、可聴スペクトルの上端における広い周波数帯域へと巾が変化する。コード周波数をオーディオ104に隠せるとマスキング評価器204が決定した場合に、マスキング評価器204は、コード周波数を、実質的に隠したまま、オーディオ104内に挿入できるところの振幅レベル(1つ又は複数)を指示し、その振幅情報をコードシンセサイザ208に与える。
【0018】
[0023]幾つかの実施例では、コード周波数セレクタ206は、入力コード103を状態に関係付けるルックアップテーブルを使用して具現化され、各状態は、エンコードされたオーディオ信号105において強調されるべき多数のコード周波数を表す。換言すれば、入力コード103は、コード周波数マッピングテーブルに基づいてコード周波数へマッピングさせることができる。コード周波数セレクタ206は、記号又はデータ状態を、そのデータ状態を冗長に表すコード周波数のセットへ関係付ける情報を含む。使用のために選択される状態の数は、入力コード103の形式(1つ又は複数)に基づく。例えば、2ビットを含む入力コード103は、4つ(例えば、2)の記号又は状態のうちの1つを表すコード周波数へ変換される。他の実施例では、4ビットの情報を含む入力コード103は、16個(例えば、2)の記号又は状態のうちの1つにより表される。コード103を1つ以上の記号又は状態へ変換するときには、それに加えて又はそれとは別に、幾つかの他のエンコーディングを使用してエラー修正を組み込むこともできる。更に、幾つかの実施例では、2つ以上のコードをオーディオ104に埋め込むこともできる。
【0019】
[0024]コード周波数マッピングテーブルを使用して選択される周波数インデックスは、オーディオ信号104がサンプルのブロックのフーリエ変換を経て周波数ドメインで表されるときには、オーディオ信号104へ埋め込まれるべき正弦波の周波数に対応する。実際の周波数ではなく、周波数インデックスへの参照がなされる。というのは、インデックスに対応する周波数は、エンコーダ102内で使用されるサンプリングレート202及びデコーダ116により処理されるサンプルの数に基づいて変化するからである。隣接するインデックスに対応する隣接周波数間の分離は、サンプリング周波数202とオーディオブロックサイズとの比に比例する。例えば、サンプリングレートが48000Hzで、オーディオブロックサイズが18432個のサンプルであると、隣接インデックス間の間隔は、約2.6Hzである。従って、360の周波数インデックスは、936Hz(2.6Hz×360)に対応する。もちろん、他のサンプリングレート及びブロックサイズ、ひいては、周波数分離が選択されてもよい。更に、例えば、他のコード及び/又は透かしを搬送するのに使用される周波数との干渉を回避するために、全ての周波数インデックスを使用しなくてもよい。更に、選択され及び/又は使用される周波数範囲は、隣接する必要がない。幾つかの実施例では、0.8kHzないし1.03kHz及び2.9kHzないし4.6kHzの範囲の周波数が使用される。他の実施例では、0.75kHzないし1.03kHz及び2.9kHzないし4.4kHzの範囲の周波数が使用される。
【0020】
[0025]図2の規範的なコードシンセサイザ208は、入力コード103の表現を含むエンコードされたオーディオ信号105を生成するために含まれるべき周波数インデックスの指示207を、コード周波数セレクタ206から受け取る。この周波数インデックスの指示207に応答して、コードシンセサイザ208は、識別された周波数を有する複数の正弦波(又は複数の正弦波を含む1つの複合信号)を発生する。合成は、正弦波信号又は正弦波信号を表すデジタルデータを生じさせる。幾つかの実施例では、コードシンセサイザ208は、マスキング評価器204により指令される振幅をもつコード周波数を発生する。他の実施例では、コードシンセサイザ208は、固定の振幅を有するコード周波数を発生し、それらの振幅は、コードシンセサイザ208内で具現化されるか又はコードシンセサイザ208と結合器210との間に配置される1つ以上の利得ブロック(図示せず)により調整することができる。
【0021】
[0026]以上、正弦波又は正弦波を表すデータを発生する規範的なコードシンセサイザ208について述べたが、コードシンセサイザの他の規範的な具現化も考えられる。例えば、正弦波を発生するのではなく、別の規範的コードシンセサイザ208は、結合器210へ送られるオーディオのある周波数の振幅を調整するのに使用される周波数ドメイン係数を出力してもよい。このように、オーディオ104のスペクトルは、必要な正弦波を含むように調整されてもよい。
【0022】
[0027]図2の規範的な結合器210は、コードシンセサイザ208の出力209及びオーディオ104の両方を受け取り、それらを結合して、エンコードされたオーディオ信号105を形成する。結合器210は、コードシンセサイザ208の出力209及びオーディオ104をアナログ形態又はデジタル形態で結合することができる。結合器210がデジタル結合を遂行する場合には、コードシンセサイザ208の出力209は、サンプラー201へ入力されるアナログオーディオ104ではなく、サンプラー201の出力と結合される。例えば、デジタル形態のオーディオブロックは、デジタル形態の正弦波と結合される。或いは又、結合は、周波数ドメインで行われてもよく、ここでは、オーディオ104の周波数係数が、正弦波を表す周波数係数に基づいて調整される。更に別の態様として、正弦波及びオーディオ104がアナログ形態で結合されてもよい。エンコードされたオーディオ105は、結合器210からアナログ又はデジタル形態で出力される。結合器210の出力105がデジタルである場合には、それが、その後、アナログ形態に変換されてから、送信器106へ結合される。
【0023】
[0028]コード周波数を選択し、オーディオ104による埋め込まれたコードのマスキングを分析し、及び/又はコード周波数マッピングテーブル、規範的サンプラー201、規範的マスキング評価器204、規範的コード周波数セレクタ206、規範的コードシンセサイザ208、規範的結合器210、及び/又は規範的エンコーダ102を具現化するのに使用される規範的な方法、装置及び製造物品は、2008年10月10日に出願された米国特許出願第12/249,619号、2009年8月31日に出願された米国特許出願第12/551,220号、及び2009年5月12日に出願された米国特許出願第12/464,811号に説明されており、これら特許出願は、各々、参考としてここにそのまま援用される。
【0024】
[0029]図3は、図1の規範的デコーダ116を具現化する規範的な仕方を示す。図3の規範的デコーダ116は、オーディオ104へ挿入されたコード103(1つ又は複数)を検出し、デコードし及び/又は抽出して、エンコードされたオーディオ105をエンコーダ102に形成する。図1に示すように、エンコードされたオーディオ105は、ワイヤード及び/又はワイヤレス接続を経て受信器110へ送られる。以下の説明では、理解を容易にするために、デコーダ116は、エンコーダ102によって形成された実質的に同じエンコードされたオーディオ105を処理すると仮定するが、一般的には、デコーダ116により処理されるオーディオは、例えば、送信器106、受信器110、及び/又は介在する送信媒体によって導入される歪み、ノイズ、等のために、異なるものである。従って、実際には、このような作用は、任意の数及び/又は形式の適当なノイズ減少、歪軽減、及び/又はエラー修正技術を具現化することにより管理される。
【0025】
[0030]図3の規範的デコーダ116は、アナログ/デジタルコンバータ又は他の適当な技術を使用して具現化されるサンプラー302を含み、これには、エンコードされたオーディオ105がアナログ形態で送られる。図3の規範的なサンプラー302は、例えば、48000Hzの公称サンプリング周波数303で、エンコードされたオーディオ105をサンプリングする。もちろん、デコーディング時の計算負荷を減少するために、より低いサンプリング周波数を選択するのが好都合である。しかしながら、サンプリング周波数303は、ナイキスト基準を満足するように選択されねばならない。更に、以下に述べるように、サンプリング周波数303は、サンプリング周波数202(図2)、スピーカ114を経てエンコードされたオーディオ105を出力するために受信器110に使用されるサンプリング周波数、及び/又はサンプリング周波数303のいずれか又は全部の間の不一致を補償するように調整及び/又は選択される。このようなサンプリング周波数の不一致及び/又は相違があると、埋め込まれたコード(1つ又は複数)103がデコーダ116に誤ったコード周波数で現れることがあり、従って、デコーダ116がコード103を正しくデコードし、検出し及び/又は抽出する能力を損なうことがある。サンプリング周波数の不一致は、例えば、受信器114及び/又はデコーダ118に低コストのクリスタルを使用することにより生じたり、及び/又はクリスタルの劣化で共振周波数のドリフトを招くことにより生じたりする。低コストのクリスタルは、典型的に、パーソナルコンピュータ(PC)又はセットトップボックスのような消費者向け装置に見られ、理想的な中心周波数からの若干のドリフトは、人間の目には気付かないが、埋め込まれたコードの検出、デコーディング及び/又は抽出に影響を及ぼすことがある。典型的に、エンコーダ102は、高精度の時間ベース及び/又はクリスタルを使用して具現化される。
【0026】
[0031]規範的サンプラー302からのサンプルは、時間/周波数ドメインコンバータ304へ送られる。図3の規範的な時間/周波数ドメインコンバータ304は、離散的フーリエ変換(DFT)、又は時間ベースの情報を周波数ベースの情報305へと変換するのに適した他の技術を使用して具現化される。幾つかの実施例では、時間/周波数ドメインコンバータ304は、新たなサンプルが規範的な時間/周波数ドメインコンバータ304へ送られそして古いサンプルが落とされるたびに周波数ドメイン表現又はスペクトル305を計算するスライディングDFTを使用して具現化することができる。幾つかの実施例では、時間/周波数ドメインコンバータ304は、受信したエンコードされたオーディオ105の18432個のサンプルのブロックに対して周波数ドメイン表現305を名目上計算する。時間/周波数ドメインコンバータ304により発生される周波数ドメイン表現305の解像度は、周波数ドメイン表現305を発生するのに使用されるサンプルの数として増加する。
【0027】
[0032]サンプリング周波数303と、時間/周波数ドメインコンバータ304によって処理されるサンプルの数は、通常、エンコーダ102において周波数インデックスを選択するのに使用される解像度に一致するように選択される。しかしながら、以下に述べるように、周波数ドメイン表現305を計算するために時間/周波数ドメインコンバータ304により処理されるサンプルの数は、サンプリング周波数202(図2)、スピーカ114を経てエンコードされたオーディオ105を出力するために受信器110に使用されるサンプリング周波数、及び/又はサンプリング周波数303のいずれか又は全部の間の不一致(1つ又は複数)を補償するように調整及び/又は選択される。
【0028】
[0033]時間/周波数ドメインデコーダ304により発生された周波数ドメイン表現305は、周波数ドメインデコーダ306へ通され、これは、規範的エンコーダ102により挿入されたコード103(1つ又は複数)を潜在的に搬送できる周波数インデックスに対応する全ての周波数又はスペクトル線を監視する。規範的周波数ドメインデコーダ306は、受信したオーディオ105において強調されたコード周波数のパターンを探す。以下に述べるように、それに加えて又はそれとは別に、周波数の異なるセット及び/又はオフセットしたセットを監視して、サンプリング周波数202(図2)、スピーカ114を経てエンコードされたオーディオ105を出力するために受信器110に使用されるサンプリング周波数、及び/又はサンプリング周波数303のいずれか又は全部の間の不一致(1つ又は複数)を補償することができる。周波数ドメインデコーダ306が、どのコード周波数が強調されたか決定すると、周波数ドメインデコーダ306は、その強調されたコード周波数に基づき、エンコードされたオーディオ105内に存在する記号を決定する。周波数ドメインデコーダ306は、その記号を記録し、及び/又はその記号を、オーディオ105へ埋め込まれ及び/又は挿入されたコード103(1つ又は複数)へとデコードする。有効なコード103が周波数ドメインデコーダ306により検出され、デコードされ及び/又は抽出されたかどうかの指示307がオフセット補償器308へ送られる。
【0029】
[0034]図3の規範的サンプラー302、規範的時間/周波数ドメインコンバータ304及び/又は規範的周波数ドメインデコーダ306を具現化するのに使用される規範的な方法、装置及び製造物品は、2008年10月10日に出願された米国特許出願第12/249,619号、2009年8月31日に出願された米国特許出願第12/551,220号、及び2009年5月12日に出願された米国特許出願第12/464,811号に説明されている。これらの例は、規範的なオフセット補償器308から受け取られる調整可能及び/又は選択可能な入力を説明するものではなく、予め選択され及び/又は予め決定されたパラメータに基づいて具現化されるものであるが、当業者であれば、オフセット補償器308からの調整可能及び/又は選択可能な入力を受け入れるためにこれらの例をどのように変更すべきか容易に理解できよう。
【0030】
[0035]周波数オフセットを補償するために、図3の規範的デコーダ116は、規範的なオフセット補償器308を備えている。図3の規範的オフセット補償器308が、周波数ドメインデコーダ306がエンコードされたオーディオ105からのコードを検出、デコード及び/又は抽出できるという指示を受け取らないとき、その規範的オフセット補償器308は、サンプリング周波数303、時間/周波数ドメインコンバータ304によって使用されるブロックサイズ、及び/又は周波数ドメインデコーダ306により考慮され、検査され及び/又は分析されるコード周波数、の1つ以上を調整する。
【0031】
[0036]幾つかの実施例では、オフセット補償器308は、コード103(1つ又は複数)の正しい検出、デコーディング及び/又は抽出を可能にする以前の周波数オフセットのリスト310を維持する。オフセットがコード103の適切なデコーディングを可能にするとき、規範的オフセット補償器308は、リスト310にそのオフセットを記憶する。リスト310は、そのオフセットを具現化するために、サンプリングレート303、ブロックサイズ及び/又はコード周波数が調整され及び/又は選択されたかどうかを含む。このような実施例では、オフセット補償器310は、先ず、以前に成功であったオフセット310を試み、その後、コード103の適切なデコーディングを達成するために他のオフセットを試みる。先ず、以前に成功であったオフセット310を試みることにより、コード103のデコーディングを開始するのに必要な時間を短縮することができる。リスト310は、デコーダ116のパワーダウン及び/又は再初期化の後に、以前に成功であったオフセットを想起できるように、不揮発性メモリに記憶される。
【0032】
[0037]幾つかの実施例では、オフセット補償器308は、例えば、コード103が首尾良くデコードされるか又は所定の限界に到達するまで、1つ以上のパラメータ(例えば、サンプリングレート303、ブロックサイズ及び/又はコード周波数)を首尾良く乱すことにより、オフセットを試みる。例えば、サンプリングレート303は、コード103が首尾良くデコードされるか、又はサンプリング周波数303の発生に使用されるクロック312の同調範囲限界に到達するまで、1又は2Hzのインクリメントで増加される。同調範囲限界に到達した場合には、サンプリングレート303は、その公称値にリセットされ、次いで、1又は2Hzのデクリメントで減少される。
【0033】
[0038]他の実施例では、ニールセンNAES IIコードのようなエラー寛容性の高いコードをデコードして、粗い周波数オフセットを決定し、その後、微細な周波数オフセット調整を使用して、ニールセンNAES V及びNAES VIコードのようなより精巧なコードのデコーディングを可能にする。例えば、NAES II及びNAES V及び/又はVIコードが同時に存在してもよい。NAES IIコードを最初にデコードして粗いオフセット(1つ又は複数)を決定し、その後、NAES V及び/又はVIコードを検出して、周波数オフセット(1つ又は複数)を更に洗練化する。他の実施例では、NAES IIコードしか存在しないトレーニング段階の後に、NAES V及び/又はVIコードが続く。ブロックサイズ及び/又はコード周波数の調整及び/又は選択も、同様に試みられる。
【0034】
[0039]図6Aは、1つが参照番号605で示された複数の周波数においてオーディオ104にコードが埋め込まれた実施例を示す。エンコーダ102において、周波数605は、1つが参照番号610で示された各エンコーダ周波数ドメインビン及び/又はインデックスに対応する。
【0035】
[0040]サンプリング周波数202(図2)、スピーカ114を経てエンコードされたオーディオ105を出力するために受信器110に使用されるサンプリング周波数、及び/又はサンプリング周波数303のいずれか又は全部の間の不一致(1つ又は複数)は、図6Bに示すように、エンコーダ102がコード103(1つ又は複数)を埋め込む周波数と、その埋め込まれたコード103(1つ又は複数)がデコーダ116に現れる周波数との間に食い違いを生じさせる。例えば、不一致(1つ又は複数)のために、図6Aにおいてエンコーダ周波数605に埋め込まれたコード情報は、図6Bに示すように、デコーダ116においてオフセット周波数615に現れる。従って、コード情報は、周波数ドメインビン及び/又はインデックス610には現れず、むしろ、周波数ドメインビン及び/又はインデックス620に現れる。コード情報を搬送する他の周波数も同様にオフセットされる。コード周波数のこのようなオフセットは、デコーディングエラーを招く。
【0036】
[0041]このようなオフセットを補償するための幾つかの規範的な方法をここに説明する。幾つかの実施例では、サンプリング周波数303は、コード103(1つ又は複数)が適当な忠実度で公称周波数ビンにおいて検出されるまで、調整及び/又は選択される(例えば、その公称値から増加又は減少される)。他の実施例では、周波数ビンのオフセットセットを使用して、コード103を検出し、デコードする。例えば、公称周波数インデックス{12、20、56}においてコードが予想される場合には、周波数ドメインデコーダ306は、例えば、コード103(1つ又は複数)が適当な忠実度で検出されるまで、オフセット周波数インデックス{13、21、57}、{11、19、55}、{14、22、58}、等を検査することができる。幾つかの実施例では、コード検出の忠実度の決定を容易にするために校正中に既知のコードを使用することができる。他の実施例では、正規化されたエネルギーの和、デコーディング有効性の検証、デコーディングスコア、等のデコーディングメトリックを、既知及び/又は未知のコードと共に使用して、デコーディングの忠実度を決定及び/又は推定することができる。
【0037】
[0042]それに加えて又はそれとは別に、周波数ドメイン表現305を計算するために時間/周波数ドメインコンバータ304により使用されるブロックサイズを調整及び/又は選択することもできる。例えば、コード情報が検出される周波数インデックスの数を2倍にするためにブロックサイズを2の係数で増加することができる。このように、周波数オフセットが2つの周波数インデックス間の境界付近でコード情報を移動する場合には、高い忠実度でコード情報を検出することができる。もちろん、前記方法の組み合わせ(1つ又は複数)も使用できる。
【0038】
[0043]図1の規範的デコーダ116を具現化する規範的な仕方が図3に示されたが、図3に示すインターフェイス、データ構造、要素、プロセス及び又は装置の1つ以上を、他の仕方で組み合わせ、分割し、再構成し、省略し、排除し、及び/又は具現化することもできる。更に、規範的なサンプラー302、規範的な時間/周波数ドメインコンバータ304、規範的な周波数ドメインデコーダ306、規範的なオフセット補償器308、及び/又はより一般的には、規範的なデコーダ116は、いずれも、1つ以上の回路、装置、プログラム可能なプロセッサ、ASIC、PLD、FPLD、及び/又はFPGA、等で具現化することができる。これら要素の1つ以上を合体した本発明の装置請求項が単なるソフトウェア及び又はファームウェア具現化を網羅するように読まれるときには、規範的なサンプラー302、規範的な時間/周波数ドメインコンバータ304、規範的な周波数ドメインデコーダ306、規範的なオフセット補償器308、及び/又はより一般的には、規範的なデコーダ116の少なくとも1つが、ファームウェア及び/又はソフトウェアを記憶する有形のコンピュータ読み取り可能な媒体を含むものと明白に定義される。更に、規範的なデコーダ116は、図3に示すものに代わって又はそれに加えて、インターフェイス、データ構造、要素、プロセス及び/又は装置を含んでもよく、及び/又は図示されたインターフェイス、データ構造、要素、プロセス及び/又は装置のいずれか2つ以上又は全部を含んでもよい。
【0039】
[0044]図4及び図5は、図1及び図3の規範的デコーダ116を具現化するために行われる規範的なプロセスを示す。図4及び/又は図5の規範的プロセスを実行するために、プロセッサ、コントローラ及び/又は他の適当な処理装置を使用し及び/又はプログラムすることができる。例えば、図4及び/又は図5のプロセスは、有形のコンピュータ読み取り可能な媒体、例えば、フラッシュメモリ、CD、DVD、フレキシブルディスク、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、プログラマブルROM(PROM)、電子的にプログラム可能なROM(EPROM)、及び/又は電子的に消去可能なPROM(EEPROM)、光学的記憶ディスク、光学的記憶装置、磁気記憶ディスク、磁気記憶装置、及び/又は他の有形媒体に記憶されたコード化インストラクションで実施することができ、前記他の有形媒体とは、プログラムコード及び/又はインストラクションをマシン読み取り可能なインストラクション又はデータ構造体の形態で記憶するのに使用でき、且つプロセッサ、コンピュータ、及び/又はプロセッサを有する他のマシン、例えば、図7を参照して以下に述べる規範的なプロセッサプラットホームP100によってアクセスできるものである。或いは、図4及び/又は図5の規範的プロセスの幾つか又は全部を、ASIC、PLD、FPLD、FPGA、個別ロジック、ハードウェア、ファームウェア、ファームウェア、等を使用して具現化してもよい。又、図4及び/又は図5の規範的プロセスの幾つか又は全部を、手動で具現化してもよいし、或いは前記技術のいずれかの組み合わせ、例えば、ファームウェア、ソフトウェア、個別ロジック及び/又はハードウェアの組み合わせとして具現化してもよい。更に、図4及び/又は図5の規範的プロセスを具現化する多数の他の方法を使用してもよい。例えば、ブロックの実行の順序を変更してもよいし、及び/又は前記ブロックの1つ以上を変更し、排除し、細分化し、又は組み合せてもよい。更に、図4及び/又は図5の規範的プロセスの幾つか又は全部を、順次に実行してもよいし、及び/又は、例えば、個別の処理スレッド、プロセッサ、装置、個別ロジック、回路、等により並列に実行してもよい。
【0040】
[0045]図4の規範的プロセスは、規範的サンプラー302が、受信したエンコードされたオーディオ105をサンプリングすることで開始される(ブロック405)。このオーディオ105は、オーディオセンサ、ハードワイヤード接続を経て、オーディオファイルを経て、又は他の適当な技術により、得ることができる。上述したように、サンプリングは、48000Hzで行われてもよいし、他の適当な周波数で行われてもよい。
【0041】
[0046]各サンプルが得られると、多数の古いサンプルと、ブロック405で得られた新たに追加されたサンプルとを含むサンプルの集合体に対してスライディング時間/周波数変換が行われる(ブロック410)。幾つかの実施例では、スライディングDFTを使用して、18431個の古いサンプルと、新たに追加された1つのサンプルとを含むストリーミング入力サンプルを処理する。幾つかの実施例では、18432個のサンプルを使用するDFTは、2.6Hzの解像度を有する周波数ドメイン表現305を生じる。
【0042】
[0047]時間/周波数変換により周波数ドメイン表現305が得られた後(ブロック410)、規範的な周波数ドメインデコーダ306は、埋め込まれたコード103に対するコード周波数を監視し、そして検出されたコードをデコードする(ブロック415)。
【0043】
[0048]オフセット補償器308により選択され及び/又は行われる周波数調整が、現在の周波数ドメイン表現305を再処理できる(例えば、オフセット周波数の異なるセットを検査するために)(ブロック425)というものである場合には、周波数ドメインデコーダ306及び/又はオフセット補償器308が、それらの動作を、エンコードされたオーディオ105の次々のサンプル間で2回以上完了できると仮定すれば、制御はブロック415へ戻って、付加的な周波数ドメインデコーディングを遂行する。
【0044】
[0049]周波数調整が、現在の周波数ドメイン表現305を再処理できない(例えば、サンプリング周波数303及び/又はブロックサイズが変化するので)(ブロック425)というものである場合には、必要に応じて1つ以上の付加的なオーディオサンプルを収集するために制御はブロック405へ戻る。例えば、サンプリング周波数303が変化する場合には、オーディオサンプルの全バッファが破棄され、そしてバッファには、次の周波数ドメイン表現305が計算される前に新たなサンプリング周波数303で新たなオーディオサンプルが充填される。例えば、ブロックサイズが増加された場合には、より大きな周波数ドメイン表現305を計算できる前に、1つ以上の付加的なオーディオサンプルを収集する必要がある。しかしながら、サンプラー302及び/又は時間/周波数ドメインコンバータ34が余分なオーディオサンプルを保持する(例えば、充分に大きなバッファを有する)場合には、時間/周波数ドメインコンバータ34、周波数ドメインデコーダ306、及び/又はオフセット補償器308が、それらの動作を、エンコードされたオーディオ105の次々のサンプル間に2回以上完了させる処理能力(1つ又は複数)に基づいて、既に使用可能なオーディオサンプルを使用して、大きな周波数ドメイン表現305を直ちに計算することができる。
【0045】
[0050]ブロック415においていずれかのコード103が検出されるかどうかに基づいて、規範的なオフセット補償器308は、例えば、図5の規範的プロセスを実行することにより、周波数オフセットを調整し及び/又は選択する。次いで、次のサンプルブロックを処理するために制御はブロック415へ戻る。
【0046】
[0051]図5の規範的プロセスは、規範的な周波数ドメインデコーダ306が、埋め込まれたコード103のデコーディングを試みるときに、実行される。周波数ドメインデコーダ306が、埋め込まれたコード103を検出してデコードすることができない場合には(ブロック505)、オフセット補償器308は、リスト310に記憶された以前に成功であった全てのオフセットが試みられたかどうか決定する(ブロック510)。記憶された全てのオフセット310が試みられない場合には(ブロック510)、オフセット補償器308は、次の記憶されたオフセット310を選択し(ブロック515)、それに対応して、サンプリング周波数303、ブロックサイズ及び/又はコード周波数を構成し(ブロック520)、そして試みられている現在オフセットがリスト310に既に記憶されていることを指示するフラグをセットする。次いで、制御は図5の規範的プロセスから退出する。
【0047】
[0052]ブロック510へ戻ると、記憶された全てのオフセット310が試みられた場合には(ブロック510)、オフセット補償器308は、試みるべき新たなオフセットを選択し及び又は計算し(ブロック530)、次いで、新たなオフセットが試みられていることを指示するフラグをクリアする(ブロック535)。例えば、任意の数及び/又は形式のサーチ基準、ステップサイズ及び/又はパターンに基づいて、公称周波数インデックスの次々のオフセットが試みられ、サンプリング周波数303の次々の変化が試みられ、及び/又はブロックサイズの次々の変化が試みられる。次いで、制御は、図5の規範的プロセスから退出する。
【0048】
[0053]ブロック505に戻ると、コードが首尾良くデコードされ(ブロック505)、フラグがセットされない(ブロック540)場合には、現在オフセットがリスト310に記憶され(ブロック545)、フラグがセットされる(ブロック550)。次いで、制御は、図5の規範的プロセスから退出する。ブロック550へ戻ると、フラグがセットされた場合には(ブロック550)、オフセットをリスト310に記憶せずに、図5の規範的プロセスから制御が退出する。
【0049】
[0054]図7は、図4及び図5の規範的プロセスを実行し、及び/又は図1及び図3の規範的デコーダ116を具現化するのに使用でき及び/又はそのようにプログラムできる規範的プロセッサプラットホームP100の概略図である。1つ以上の汎用プロセッサ、プロセッサコア、マイクロコントローラ、等を使用して、プロセッサプラットホームP100を具現化することができる。
【0050】
[0055]図7の実施例のプロセッサプラットホームP100は、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサP105を含む。このプロセッサP105は、例えば、図3のオフセット補償器310を具現化するものである。又、プロセッサP105は、このプロセッサP105のメインメモリ(例えば、RAM P115及び/又はROM P120)内に存在するコード化インストラクションP110及び/又はP112を実行する。プロセッサP105は、プロセッサコア、プロセッサ及び/又はマイクロコントローラのような任意の形式の処理ユニットでよい。プロセッサP105は、とりわけ、図4及び図5の規範的プロセスを実行して、ここに述べるようにオーディオ透かしをデコードすることができる。従って、コード化インストラクションP110、P112は、図4及び図5の規範的プロセスを表すインストラクションを含む。
【0051】
[0056]プロセッサP105は、バスP125を経て、メインメモリ(ROM P120及び/又はRAM P115を含む)と通信する。RAM P115は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、及び/又は他の形式のRAM装置により具現化され、又、ROMは、フラッシュメモリ及び/又は他の望ましい形式のメモリ装置により具現化される。メモリP115及びメモリP120へのアクセスは、メモリコントローラにより制御される。規範的メモリP115は、例えば、規範的なオフセットデータベース310(図3)を具現化するのに使用される。
【0052】
[0057]又、プロセッサプラットホームP100は、インターフェイス回路P130も備えている。外部メモリインターフェイス、シリアルポート、汎用入力/出力、等の任意の形式のインターフェイス規格で、インターフェイス回路P130を具現化することができる。1つ以上の入力装置P135及び1つ以上の出力装置P140が、インターフェイス回路P130に接続される。規範的な入力装置P135は、例えば、規範的サンプラー302を具現化するのに使用される。
【0053】
[0058]幾つかの規範的方法、装置及び製造物品を説明したが、本発明の範囲は、それに限定されない。逆に、本発明は、文字通り又は等効物の原則のもとで本発明の請求の範囲内に公正に入る全ての方法、装置及び製造物品を網羅するものである。
【符号の説明】
【0054】
100…エンコーディング及びデコーディングシステム、102…エンコーダ、103…コード、104…オーディオ信号、105…エンコードされたオーディオ信号、106…送信器、108…ビデオ信号、110…受信器、112…計測サイト、114…スピーカ、116…デコーダ、118…オーディオ出力、120…マイクロホン、201…サンプラー、202…サンプリング周波数、204…マスキング評価器、206…コード周波数セレクタ、207…指示、208…コードシンセサイザ、209…正弦波信号、210…結合器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数の周波数成分を使用して、視聴率測定コードが埋め込まれているオーディオ信号を受信するステップと、
前記オーディオ信号をサンプリングするステップと、
前記サンプリングされたオーディオ信号を第1の周波数ドメイン表現へと変換するステップと、
前記第1の周波数ドメイン表現の前記第1の複数の周波数成分において前記コードを検出できるかどうか決定するステップと、
前記第1の複数の周波数成分において前記コードが検出されないときに、第2の周波数ドメイン表現の第2の複数の周波数成分を検査して、前記コードが検出されるかどうか決定するステップであって、前記第2の複数の周波数成分は、サンプリング周波数の不一致に対応する第1のオフセットだけ、前記第1の複数の周波数成分からオフセットされたものである、当該ステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記第2の周波数ドメイン表現は、前記第1の周波数ドメイン表現を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプリングされたオーディオ信号を前記第2の周波数ドメイン表現へと変換するステップ、
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の複数の周波数成分のうち、対応する1つの周波数成分に隣接されるべき前記第2の複数の周波数成分をそれぞれ選択するステップ、
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の複数の周波数成分のうちの第1成分よりも狭い帯域巾をもった、前記第2の複数の周波数成分のうちの第1成分、を選択するステップ、
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の複数の周波数成分を選択するように前記オーディオ信号のサンプリングに関連した周波数を調整するステップ、
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、
前記第2の複数の周波数成分において前記コードが検出されないときに、第3の周波数ドメイン表現の第3の複数の周波数成分を検査して、前記コードが検出されたかどうか決定するステップ、
を更に備え、
前記第3の複数の周波数成分は、前記第1のオフセットとは異なる第2のオフセットだけ前記第1の複数の周波数成分からオフセットされたものであり、前記第2のオフセットは、第2のサンプリング周波数不一致に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のオフセットに基づいて前記サンプリングされたオーディオ信号を前記第2の周波数ドメイン表現へと変換するのに使用されるパラメータを選択するステップ、
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
オフセットのリストから前記第1のオフセットを選択するステップ、
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コードが前記第2の複数の周波数成分において検出されたときに前記第1のオフセットをオフセットのリストに追加するステップ、
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1の複数の周波数成分を使用して、視聴率測定コードが埋め込まれているオーディオ信号に対するオーディオ入力インターフェイスと、
前記オーディオ信号をサンプリングするサンプラーと、
前記サンプリングされたオーディオ信号を第1の周波数ドメイン表現へと変換する時間/周波数ドメインコンバータと、
前記第1の周波数ドメイン表現の第1の複数の周波数成分において前記コードを検出できるかどうか決定し、前記第1の複数の周波数成分において前記コードが検出されない場合に、第2の周波数ドメイン表現の第2の複数の周波数成分を検査して、前記コードが検出されるかどうか決定する周波数ドメインデコーダであって、前記第2の複数の周波数成分は、サンプリング周波数の不一致に対応する第1オフセットだけ、前記第1の複数の周波数成分からオフセットされるものである、当該周波数ドメインデコーダと、
を備える装置。
【請求項12】
前記第2の複数の周波数成分において前記コードが検出されない場合、前記周波数ドメインデコーダは、第3の周波数ドメイン表現の第3の複数の周波数成分を検査して、前記コードが検出されたかどうか決定し、前記第3の複数の周波数成分は、前記第1のオフセットとは異なる第2のオフセットだけ前記第1の複数の周波数成分からオフセットされたものであり、前記第2のオフセットは、第2のサンプリング周波数不一致に対応する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
オフセットのリストから前記第1のオフセットを選択するためのオフセット補償器、
を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の複数の周波数成分において前記コードが検出されたときにオフセットのリストに前記第1のオフセットを追加するためのオフセット補償器、
を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のオフセットに基づいて前記サンプリングされたオーディオ信号を前記第2の周波数ドメイン表現へと変換するのに使用されるパラメータを選択するためのオフセット補償器、
を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の複数の周波数成分のうち、対応する1つの周波数成分に隣接されるべき前記第2の複数の周波数成分をそれぞれ選択するためのオフセット補償器、
を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の複数の周波数成分のうちの第1成分よりも狭い帯域巾をもった、前記第2の複数の周波数成分のうちの第1成分、を選択するためのオフセット補償器、
を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
実行時に、マシンを、
第1の複数の周波数成分を使用して、視聴率測定コードが埋め込まれているオーディオ信号を受信し、
前記オーディオ信号をサンプリングし、
前記サンプリングされたオーディオ信号を第1の周波数ドメイン表現へと変換し、
前記第1の周波数ドメイン表現の前記第1の複数の周波数成分において前記コードを検出できるかどうか決定し、
前記第1の複数の周波数成分において前記コードが検出されない場合に、第2の周波数ドメイン表現の第2の複数の周波数成分を検査して、前記コードが検出されるかどうか決定し、前記第2の複数の周波数成分は、サンプリング周波数の不一致に対応する第1のオフセットだけ、前記第1の複数の周波数成分からオフセットされる、
ように動作させるマシン読み取り可能なインストラクションを記憶した有形の製造物品。
【請求項19】
前記マシン読み取り可能なインストラクションは、
実行時に、マシンを、
前記サンプリングされたオーディオ信号を前記第2の周波数ドメイン表現へと変換するように動作させる、請求項18に記載の有形の製造物品。
【請求項20】
前記マシン読み取り可能なインストラクションは、
実行時に、マシンを、
前記第1の複数の周波数成分のうち、対応する1つの周波数成分に隣接されるべき前記第2の複数の周波数成分をそれぞれ選択するように動作させる、請求項18に記載の有形の製造物品。
【請求項21】
前記マシン読み取り可能なインストラクションは、
実行時に、マシンを、
前記第1の複数の周波数成分のうちの第1成分よりも狭い帯域巾をもった、前記第2の複数の周波数成分のうちの第1成分、を選択するように動作させる、請求項18に記載の有形の製造物品。
【請求項22】
前記マシン読み取り可能なインストラクションは、
実行時に、マシンを、
前記第2の複数の周波数成分を選択するために前記オーディオ信号のサンプリングに関連した周波数を調整するように動作させる、請求項18に記載の有形の製造物品。
【請求項23】
前記マシン読み取り可能なインストラクションは、
実行時に、マシンを、
前記第1のオフセットに基づいて前記サンプリングされたオーディオ信号を前記第2の周波数ドメイン表現へと変換するのに使用されるパラメータを選択するように動作させる、請求項18に記載の有形の製造物品。
【請求項24】
前記マシン読み取り可能なインストラクションは、
実行時に、マシンを、
オフセットのリストから前記第1のオフセットを選択するように動作させる、請求項18に記載の有形の製造物品。
【請求項25】
前記マシン読み取り可能なインストラクションは、
実行時に、マシンを、
前記第2の複数の周波数成分において前記コードが検出されたときに、オフセットのリストに前記第1のオフセットを追加するように動作させる、請求項18に記載の有形の製造物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−232754(P2011−232754A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−98436(P2011−98436)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(510130723)ザ ニールセン カンパニー (ユー エス) エルエルシー (22)