説明

オーバーヘッド流体弁および着脱自在のヘッドを有したエアレス噴霧ガン

ある特定の形態によるシステムが、ハンドル(202)と、流体弁(210)および該流体弁に結合されたトリガー(218)を含む流体ヘッド(204)と、前記流体ヘッドを前記ハンドルに結合する迅速結合、分離固定具とを具備した噴霧塗装装置を具備する。他の形態では、システムは、本体と、前記本体に結合された回動ジョイント部と、前記回動ジョイント部に結合されたレバーを有したトリガーとを具備する。前記トリガーは第1の方向に移動できるようにすることができる。前記システムは、また、前記本体内に配設され、前記第1の方向に対して横断方向の第2の方向に移動可能な弁を含み、前記レバーが前記弁を前記第2の方向に付勢するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的に噴霧塗装システムに関し、特に、着脱自在の流体ヘッドを備えた空気を用いない噴霧塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
噴霧塗装装置は、通常、流体弁、トリガー、チューブ等の種々の部品を含んでいる。こうした部品は、通常、噴霧ガンを重くする材料から形成されており、それによって、ユーザは噴霧塗装装置を操作する際に苦役を強いられる。噴霧塗装装置の上述のような部品は、噴霧塗装装置の操作を複雑にするような方法で組立てられ、更に、使用に不便な装置となる。すなわち、噴霧塗装装置の部品が重さおよび/または大きさ、また、面倒な組立ては、噴霧塗装装置の実用性を妨げており、ユーザは、装置に求める効率を我慢しなければならなくなっていよう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
更に、噴霧塗装装置の部品の組立方法、および/または、噴霧塗装装置への組付方法は、噴霧塗装装置の耐用年数を通じて噴霧塗装装置を維持する困難性に大きく影響する。従って、これまでの噴霧塗装装置は分解が難しく、装置および/または部品の清掃が困難で不便となっている。これによって、ユーザは、最終的には、部品の頻繁な交換や場合によっては噴霧塗装装置全体の交換を伴う噴霧塗装装置の部品の頻繁なメンテナンスをする気がなくなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある特定の形態によるシステムが、ハンドルと、流体弁および該流体弁に結合されたトリガーを含む流体ヘッドと、前記流体ヘッドを前記ハンドルに結合する迅速結合、分離固定具とを具備した噴霧塗装装置を具備する。他の形態では、システムは、本体と、前記本体に結合された回動ジョイント部と、前記回動ジョイント部に結合されたレバーを有したトリガーとを具備する。前記トリガーは第1の方向に移動できるようにすることができる。前記システムは、また、前記本体内に配設され、前記第1の方向に対して横断方向の第2の方向に移動可能な弁を含み、前記レバーが前記弁を前記第2の方向に付勢するようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】噴霧塗装装置システムの1つの実施形態のブロック図である。
【図2】噴霧塗装プロセスの1つの実施形態のフローチャートである。
【図3】図1、2の噴霧塗装システムおよび噴霧塗装プロセスで用いるエアレス噴霧塗装装置のような噴霧塗装装置の1つの実施形態の側断面図である。
【図4】図3に示した噴霧塗装装置の実施形態の一部を破断して示す分解側面図である。
【図5】噴霧塗装装置の固定機構の1つの実施形態の分解斜視図である。
【図6】噴霧塗装装置の固定機構の他の実施形態の分解斜視図である。
【図7】噴霧塗装装置のオーバーヘッド流体弁組立体の1つの実施形態の側断面図であり、閉鎖位置にあるオーバーヘッド流体弁組立体を示す図である。
【図8】オーバーヘッド流体弁組立体が開放位置にある図7に示した噴霧塗装装置の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の特徴および利点は、添付図面を参照して説明する以下の詳細な説明から一層明かとなろう。添付図面において同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0007】
図1は、エアレス噴霧塗装システム10のブロック図であり、該エアレス噴霧塗装システムは、塗装対象物14へ所望の塗装を行うためのエアレス噴霧塗装装置12を具備している。単純化するために、エアレス噴霧塗装装置12は、以下の説明では空気を用いないエアレスガンであるが、エアレス噴霧塗装装置12は、ガン形の本体を備えていても、或いは備えていなくともよい。特定の実施形態では、エアレスガン12は着脱自在の流体ヘッドを具備しており、該流体ヘッドは、更に、トリガーに組み付けられたオーバーヘッド流体弁組立体を含んでいる。エアレスガン12は、流体供給源16や制御システム20のような種々の供給、制御システムに結合することができる。制御システム20は、エアレスガン12による塗装対象物14への許容できる噴霧塗装を確実にする。例えば、制御システム20は、自動システム22、位置決めシステム24、流体供給制御装置26、コンピュータシステム30およびユーザーインターフェース32を含むことができよう。制御システム20は、また、塗装対象物14をエアレスガン12に対して移動させる位置決めシステム34に結合することができよう。こうして、噴霧塗装システム10は、コンピュータにより制御された塗料混合流体および噴霧パターンを提供する。更に、位置決めシステム34は、エアレスガン12が塗装対象物14の全表面を均一かつ効果的にカバーするように、制御システム20によって制御されるロボットアームを含むことができよう。
【0008】
図1の噴霧塗装システム10は、種々の用途、流体、塗装対象物および種々のタイプおよび形態のエアレスガン12に適合可能である。例えば、ユーザーは、複数の異なる塗装流体42から所望の流体40を選択することができよう。複数の異なる塗装流体は、金属や木材のような種々の材料のために、異なるタイプの塗料、色、テクスチャーおよび特性を有することができよう。ユーザは、種々の異なる塗装対象物38から所望の塗装対象物36を選択することができよう。エアレスガン12は、加圧流体源から噴霧塗装装置へ流体が流れるときに、噴霧塗装装置の操作を簡単にするオーバーヘッド流体弁組立体を含むことができよう。エアレスガン12は、更に、回転霧化器、静電霧化器その他の適当な噴霧形成機構のような構成要素を含むことができよう。
【0009】
図2は、塗装対象物14へ所望の噴霧塗料を塗布するための噴霧塗装プロセス100の一例を示すフローチャートである。図示するように、プロセス100は、所望の流体を塗布する塗装対象物14を同定する段階へ進む(ブロック102)。プロセス100は、次いで、塗装対象物13の噴霧表面に塗布するための所望流体40を選択する段階へ進む(ブロック104)。ユーザーが、同定された塗装対象物14および選択された流体のためにエアレスガン12を設定する段階へ進む(ブロック106)。ユーザーが、エアレスガン12を作動させると、プロセス100は、選択された流体40の噴霧を形成する段階へ進む(ブロック108)。次いで、ユーザーが、塗装対象物14の所望の表面に霧化された噴霧塗料を塗布する段階へ進む(ブロック110)。プロセス100は、次いで、前記所望表面上に塗布された塗料を硬化/乾燥する段階へ進む(ブロック112)。判断ブロック114において、上記選択された流体によってユーザーが更に塗装することを望む場合には、プロセス100はブロック108、110、112を実行し、選択された流体40にて更に他の塗装を行う。判断ブロック114において、上記選択された流体にて更に塗布することをユーザーが望まない場合には、プロセス100は判断ブロック116へ進み、ユーザーが新規の流体にて塗装することを望んでいるか否かを判断する。判断ブロック116において、ユーザーが新規の流体による塗装を望んでいる場合には、プロセス100は、噴霧塗装用に新規に選択された流体を用いてブロック104〜114を実行する。判断ブロック116において、ユーザーが新規の流体による塗装を望んでいない場合には、プロセス100はブロック118にて終了する。
【0010】
図3は、図1、2を参照して上述したエアレスガン12の1つの実施形態の側断面図であり、図3では、エアレス噴霧塗装装置つまりエアレスガン200として示されている。エアレスガン200は、2つの主要な構成要素、つまり鋳造ハンドル202と、着脱自在の流体ヘッド204から形成されており、流体ヘッドは固定機構206、208のような迅速結合、分離部によって結合されている。鋳造ハンドル202は、軽量プラスチックや軽量ゴム、アルミニウムのような軽量金属、軽量セラミックまたはそれらの組合せのような軽量材料から形成することができ、以って、エアレスガン200の操作中にユーザーに人間工学的に心地よい把持を提供することができる。鋳造ハンドル202は、鋳造法または成形法によって形成することができ、溶融したプラスチックおよび/またはゴムが、鋳造ハンドル202の所望形状に一致する成形型内に注入される。こうしてハンドル202は、直接流体ヘッド204に着脱自在に結合する簡単な一体構造を有しながら、ユーザーの手に人間工学的になじむ輪郭を有するようになる。更に、ハンドル202の図示する実施形態は、流体通路、流体弁、流体ヘッド204を流通する流体に影響するその他の構成を含んでいない。すなわち、ハンドル202は、ユーザーがエアレスガン200を把持可能とする機能以外の機能を備えないダミーハンドルとして望ましいであろう。然しながら、ハンドル202の他の実施形態では、以下に限定されないが、流体通路、流体弁、トリガーおよびこれらの組合せを含んだ種々の機能を含むこともできよう。
【0011】
着脱自在の流体ヘッド204は、後述するように、例えば、交換した流体ヘッドを清掃したりメンテナンスしたりすることが望ましい場合に、ユーザが、鋳造ハンドル202から取外して新たな着脱自在の流体ヘッドと交換するようにできよう。或いは、流体ヘッド204の着脱自在の特徴は、ユーザーが、流体ヘッドを交換することによって、1つの噴霧流体から他の噴霧流体に迅速に交換可能となる。そうする場合に、交換した流体ヘッドは、使用ごとに清掃され、そして、次の工程で使用するために準備される。更に、他の状況では、使用中に流体ヘッド204の着脱自在の構成によって、流体ヘッドが損傷したり機能不全となったときに、ユーザーは、該流体ヘッドを類似の着脱自在の流体ヘッド204に迅速に交換することができる。更に、着脱時自在の流体ヘッドは、回転霧化ヘッド、空気式の噴霧ヘッド、静電噴霧ヘッドおよびこれらの組合せのような他のタイプ、構成の流体ヘッドと交換可能となる。
【0012】
既述したように、鋳造ハンドル202および着脱自在の流体ヘッド204は、固定機構204、206によって互いに結合、分離可能とすることができる。固定機構206、208は、カム形の固定部、固定ネジおよび/または固定ピンと適当なスロット、ラッチ、受承部などを含むことができよう。固定機構206、208は、鋳造ハンドル202と流体ヘッド204との分解、組立てを容易にするようになっている。後述するように、エアレスガン200は、噴霧塗装中または噴霧塗装工程の間に、ユーザーが気軽に流体ヘッド204を交換できるような方法で、分解、組立てできるようになっている。
【0013】
エアレスガン200は、更に、オーバーヘッド流体弁組立体210を含んでいる。該オーバーヘッド流体弁組立体は、着脱自在の流体ヘッド204の一部を構成するようにできる。オーバーヘッド流体弁組立体210は、球状部材214に結合された弁ステム212を含んでいる。球状部材214は、エアレスガン200の作動中に噴霧塗装流体が通過する小孔を開閉する。オーバーヘッド流体弁組立体210はトリガー218によって操作され、該トリガーは、回動レバーまたは回動トリガー本体220に結合または一体化することができる。図示する実施形態では、トリガー218およびトリガー本体220は一体構成であり、ユーザーの指からの第1の方向へ(例えば水平)の引っ張り力を受け、次いで、この指による引張り力を、オーバーヘッド流体弁組立体210を作動、停止させる第2の方向(例えば、鉛直方向または第1の方向に対して略直角方向)に転換するようになっている。トリガー本体220は、回動ジョイント部222を中心として回動して、移動式の押圧リップ部224によって弁ボタン226を押圧し、オーバーヘッド流体弁組立体210を開くようになっている。すなわち、トリガー本体220は、回動ジョイント部222の両側部に第1と第2の部分220A、220Bを有しており、第1の部分220Aは、トリガー218のフィンガーグリップ部218Aに隣接配置され、第2の部分220Bは、オーバーヘッド流体弁組立体210に隣接された押圧リップ部224を含んでいる。図示する実施形態では、押圧リップ部224は、トリガー本体220に一体的に結合しており、これらの構成要素が一体構造となるようになっているが、他の実施形態では、トリガー本体220と押圧リップ部224は、複数の別個の構成要素を固定機構および/またはラッチ機構によって一体に結合するようにしてもよい。
【0014】
更に図示するように、押圧リップ部224は、弁ボタン226の直ぐ上に配置されており、該弁ボタンはオーバーヘッド流体弁組立体210の上方部分を形成している。既述したように、押圧リップ部224は、弁ボタン226を押圧し、オーバーヘッド流体弁組立体210を作動させるようになっている。それによって、弁ステム212および球状部材214が下動し、流体がエアレスガン200内へ流通可能となる。後述するように、オーバーヘッド流体弁組立体210、トリガー218、トリガー本体220、回動ジョイント部222および押圧リップ部224は、エアレスガン200を操作するために必要なトリガーを引く力を著しく低減する機構を形成している。すなわち、ユーザーがトリガー218を引くとき、トリガー218の並進動作によって、回動ジョイント部222を介してトリガー本体220にトルクが印加される。こうして、トリガー本体220を回動ジョイント部222を中心として回動させることによって、トリガーの並進動作が、弁ステム212の鉛直方向の直線動作に効果的に変換されるのである。こうして、トリガー218へのユーザーの引っ張り力によって、オーバーヘッド流体弁組立体210へ相当量の鉛直方向の力が生成され、これによって、エアレスガン200を長時間操作する間、トリガーを容易かつ少ない負担で引っ張ることが可能となる。この特異なオーバーヘッド流体弁組立体210を用いることによって、例えば、トリガーは1.45kg(3.2ポンド)よりも小さな力で引くことができよう。
【0015】
エアレスガン200は、流体輸送組立体228を介して加圧噴霧流体源に結合することができよう。流体輸送組立体228は、流体入口管路230および流体入口アダプター232を含むことができる。流体入口管路230は流体入口アダプター232に結合され、次いで、流体入口アダプターが鉛直に設けられた流体通路234に結合される。流体通路は、着脱自在の流体ヘッド204の底部に配置されている。流体通路234をオーバーヘッド流体弁組立体210に結合することによって、加圧された流体源の流体が着脱自在の流体ヘッド204へ流通可能となる。
【0016】
更に図示するように、流体入口管路230は、留め具236によって鋳造ハンドル202に取着することができよう。図示する実施形態では、鋳造ハンドル202の底部に取付けられたネジまたはボルト237によって、留め具236の一端が鋳造ハンドル202に固定される。留め具236の他端は、流体入口管路230を挿通、固定するための穴が形成されている。流体入口管路230は、トリガー218と流体入口管路230との間の空間によって、ユーザーが便利にトリガー230を把持できるように、鋳造ハンドル230に対してハイチすることができる。更に、トリガー218を部分的に包囲することによって、流体入口管路230は、ユーザーがトリガー128を保持しかつ/または操作する際、指ガードを形成或いは指ガードとして機能させるようにできる。
【0017】
エアレスガン200は、更に、流体噴霧先端組立体またはベルカップ238を含んでいる。図示する流体噴霧先端組立体238は、流体送出先端組立体240を含んでいる。該流体送出先端組立体はフランジ部241を含んでおり、該フランジ部は、ネジ付きの保持キャップ243と、流体ヘッド204のネジ付きの前方部分つまりシリンダ244との間の受容部242内に着脱自在に保持される。例えば、キャップ243が流体送出先端組立体240のフランジ部241を保持し、キャップ243をシリンダ244に螺合する際、該フランジ部をシリンダ244に対してきつく引き付けるようにできる。図示するように、流体送出先端組立体240は、フランジ部241および内部通路245を有して円筒形状に形成されており、内部通路は、シリンダ244の流体通路246に連通させることができる。これらの部品238、240、244は、ネジ付きの保持キャップ243のような種々の固定具によって互いに結合させることができよう。例えば、流体送出先端組立体240は、ネジ、摩擦嵌合、スナップ嵌合、スロットとキーおよび関連する締結具、環状溝とC形スプリング固定具、これらの組合せによって、流体噴霧先端組立体238に直接結合することができよう。流体送出先端組立体を受容し用いるために、複数の異なるタイプの噴霧塗装装置を形成することができよう。流体噴霧先端組立体238は、エアレスガン200の下流に噴霧を画成するように形成された噴霧形成組立体のような他の構成要素を含むことができよう。
【0018】
特定の実施形態では、流体噴霧先端組立体238、流体送出先端組立体240またはその組合せの内部オリフィスを開通させるために、流体噴霧先端組立体238を回転または捩じるようにすることができる。この捩じることによる開通動作は、流体送出先端組立体240から流体噴霧先端組立体を取外すことなく行うことができるようにした実施形態もあろう。つまり、流体噴霧先端組立体238は、流体送出先端組立体240に対して自由に回転可能とすることできよう。更に、流体送出先端組立体240は、セラミック、タングステンカーバイドまたはその組合せから形成することができよう。セラミックおよび/またはタングステンカーバイドは、流体送出先端組立体240の耐摩耗性を実質的に改善する。更に、エアレスガン200は限定された数の部品にて組み立てられ、コストが低減されエアレスガン200の分解、組立、清掃、補修が容易になる。例えば、ある実施形態では、エアレスガン200は、ダミーハンドル202、着脱自在の流体ヘッド、オーバーヘッド流体弁組立体210、トリガー218、流体送出先端組立体240および流体噴霧先端組立体238から成る、或いは、これらを不可欠な要素として成ると説明されよう。然しながら、迅速結合、分離部は、カム機構、フックおよび固定具、または既述したような簡単に着脱自在の他のコネクターを含むことができよう。
【0019】
更に図示するように、シリンダー244は、流体送出先端組立体240とオーバーヘッド流体弁組立体210との間に配置されている。シリンダー244内には、流体送出先端組立体240からオーバーヘッド流体弁組立体210へ水平に延びる流体通路246が形成されている。こうして、水平の流体通路246は、オーバーヘッド流体弁組立体210が開位置にあるとき、オーバーヘッド流体弁組立体から流体送出先端組立体240へ噴霧流体を輸送するようになっている。
【0020】
図4は、図3に示したようなエアレスガン200のようなエアレス噴霧塗装装置の1つの実施形態の分解斜視図である。図4には、鋳造ハンドル202および流体ヘッド204が図示され、該鋳造ハンドルおよび流体ヘッドは、直近に配置されているが互いに切り離されている。異なる流体ヘッドを必要とする噴霧塗装流体に交換することが望ましい状況や、流体ヘッドを清掃および/または保守する必要がある事態、流体ヘッドが作動不全となった場合に対処するために、流体ヘッド204は鋳造ハンドル202から便利に取外されよう。
【0021】
図示する固定機構206、208は、流体ヘッド204を鋳造ハンドル202に着脱するようにした付加的構成要素を含んでいる。図示する実施形態では、固定機構206は、受承部271の底部に配設されたネジおよび/またはカムロックのような固定部材270を含むことができよう。固定部材270は、鋳造ハンドルの頭部202の底部に配設された受け部材272に係合可能である。固定部材270は、受承部271の内方および外方へ移動し、該固定部材270が、着脱自在の流体ヘッド204の底部に配設された受け部材272に係合できるようになっている。より詳細には、図示する受け部材272はフック状の構造体を有することができ、該フック状の構造体は、受承部271内で固定部材270によって固定可能な鉤形の端部または凹部273を含んでいる。同様に、固定機構208は鋳造ハンドル202の上方部分に配設された固定部材274を含んでいる。固定部材274は、着脱自在の流体ヘッド204の上方部分に配設された受け部材276に係合するようになっている。こうして、固定機構206、208は、鋳造ハンドル202と流体ヘッド204とを一体に結合して、これらの構成要素を互いに結合して単一のユニットとすることができよう。図示する実施形態では、固定機構206は、鋳造ハンドル202を着脱自在の流体ヘッド204に係止し、固定機構208は、エアレスガン200のこれら構成要素を組立てるときの補助サポートおよび/または位置決めとして作用するように形成されている。
【0022】
更に図示するように、鋳造ハンドル202と流体ヘッド204との係合、分解の間、鋳造ハンドル202は、トリガー本体220と鋳造ハンドル202の表面278とが当接するように、トリガー218の中央空間をスライドできるようになっている。そのようにする際、固定機構206、208およびその構成要素は一直線上に配置され、以って、鋳造ハンドル202と流体ヘッド204との円滑な着脱が可能となる。
【0023】
更に、トリガー218を取外して交換可能とし、エアレスガン200を種々のトリガーサイズに適合可能にするようにした実施形態もある。トリガー218のようなトリガーは、指2本または4本にて把持できるサイズとすることができる。トリガー218を流体ヘッド204から取外すために、トリガー本体220を結合する回動ジョイント部222が先ず取外されよう。これによって、トリガー本体220およびトリガー218が単一ユニットとして着脱自在の流体ヘッド204から取外し可能となる。このような実施形態では、トリガー218を交換することによって、同時にトリガー本体220が交換されよう。他の実施形態では、トリガー218は、(ラッチ機構を用いて)トリガー本体220から簡単に取外すことができ、着脱自在の流体ヘッドに異なるサイズのトリガーを装着可能となろう。
【0024】
上述したように、鋳造ハンドル202から流体ヘッド204を取外すことによって、エアレスガン200による作業と作業との間に流体ヘッドを切り替えることが可能となる。これは、特に、1つの表面に対して特定色の塗料のような複数の噴霧塗装の各々を異なる流体ヘッドにて塗装する必要のある噴霧塗装作業の場合に望ましい。或いは、図示するように、エアレスガン200を分解可能とすることによって、ユーザーはエアレスガン200の清掃、保守が容易になり、特に、エアレスガン200による作業中および/または作業と作業の間に着脱自在の流体ヘッド上に堆積する塗装流体の残渣物の除去が容易になろう。例えば、使用後、着脱自在の流体ヘッド204のような流体ヘッドを鋳造ハンドル202から取外して洗浄液に浸漬し、流体の残渣物や塗料汚れなどを除去するようにできよう。その後、流体ヘッド204を鋳造ハンドル202に取付け、エアレスガン200を異なる噴霧流体と共に再び使用できるようになろう。こうして、洗浄のために完全に分解しなければならい噴霧塗装装置とは異なり、着脱自在の流体ヘッド204は、エアレスガン200のような単一の噴霧塗装装置で表面を効果的に噴霧塗装し、その後、複数の噴霧塗装液を塗布可能となろう。
【0025】
図5は、例えば、図3、4に示したエアレスガン200のような噴霧ガンの固定機構の1つの実施形態の分解斜視図である。図示するように、鋳造ハンドル202および流体ヘッド204は、固定機構206、208によって容易に分解できよう。図示する実施形態では、固定機構206は、ネジ290と、開工具294に嵌合するU型の受け部材292とを含んでいる。同様に、固定機構208は、開口部298に嵌合するピン296を含んでいる。こうして、例えば、鋳造ハンドル202を流体ヘッド204に取付けるとき、受け部材292およびピン296は、開口部294、298に嵌合する。その後、ネジ290が受け部材292に対して係止、固定されるように、ネジ290を回転させて受け部材292と係合させ、そして、鋳造ハンドル202と流体ヘッド204とが正しい位置にしっかりと保持されるように、十分な力が受け部材292に印加されるまで更に回転させる。
【0026】
図6は、例えば、図3、4に示したエアレスガン200のような噴霧ガンのための固定機構の他の実施形態の前断面図である。より詳細には、図6は、エアレスガン200の鋳造ハンドル202および流体ヘッド204のような、鋳造ハンドルおよび流体ヘッドを着脱するために用いる固定機構の代替例を示している。図示する実施形態では、噴霧塗装装置400は、固定機構402、404を有している。図示する実施形態では、鋳造ハンドル202および着脱自在の流体ヘッド204のような鋳造ハンドルおよび流体ヘッドは、互いに結合されているか、或いは、互いに隣接させて配置されている。こうして、固定機構402は、固定機構208と同様に、スロットに嵌合するピン406を具備するようにできよう。ピン406をスロットに嵌合させることにより、鋳造ハンドルおよび流体ヘッドの上方部分が、互いに近接させて一直線上にしっかりと保持、支持される。
【0027】
更に、固定機構404は、図5の受け部材292と同様にすることのできる受け部材412(例えば、U形の受け部材またはフック状の構造体)を中心として回動自在のカム腕410を具備している。図示する実施形態では、カム腕410は、2つの位置、例えば、解除位置410aと固定位置410bのうち1つの位置に配置することができよう。該2つの位置410a、410bの何れか一方に配置することによって、カム腕410は受け部材412に係合または受け部材から離脱する。例えば、鋳造ハンドルを流体ヘッドに取付ける場合には、カム腕412は、固定位置に回動させられ、受け部材412に充分な力を印加し、これによって流体ヘッドおよび鋳造ハンドルが単一のユニットとして保持されよう。同様に、鋳造ハンドルを流体ヘッドから分離させる場合には、カム腕410は解除位置410aに回動させられ、これによって、受け部材412に印加されていた力が低減され、流体ヘッドが鋳造ハンドルから取外されよう。
【0028】
図7、8は、本技術の1つの実施形態によるエアレスガン200の図3の矢視線7−7に沿う部分断面図である。図7、8は、図3に関連して既述したエアレスガン200のオーバーヘッド流体弁組立体210の閉鎖位置と開放位置を示している。例えば図7に図示するように、オーバーヘッド流体弁組立体210は弁ステム212を有しており、該弁ステム212は、球状部材214および弁ボタン226に結合している。図示する実施形態では、弁ステム212および球状部材214は、2つの独立した部材を互いに融合させたようになっているが、他の実施形態では、弁ステム212および球状部材214は、単一部材とすることもできよう。更に図示するように、球状部材214は、ディスク420に形成された小孔418内に配設されており、該小孔はオーバーヘッド流体弁組立体210の開口部を形成している。こうして、オーバーヘッド流体弁組立体210が閉鎖位置にあるとき、球状部材214はディスク420に当接し、該球状部材214の一部がディスク420によって形成された小孔418に相補的に着座する。つまり、ディスク420が球状部材214の周囲を完全に包囲し、球状部材214の一部がディスク420の小孔418を実質的に埋め尽くし、球状部材214の残りの部分が鉛直の流体通路234内に残る。こうして、流体弁ステム210が閉鎖位置にあるとき、球状部材214は、着脱自在の流体ヘッド204への流体の流入を防止する。
【0029】
流体弁組立体210は、更に、弁ステム212の周囲に巻かれたバネ422を含んでいる。バネ422は、弁ボタン226とディスク424の間に配設されている。バネ422は、押圧リップ部224から弁ステム212への押圧力、または、鉛直流体通路234内へ着脱自在の流体ヘッド204に流入する流体によって弁ステムに作用する力を釣り合わせる。こうして、バネ422によって、ユーザーは、エアレスガン200の操作の間、便利に流体ヘッドの開閉を制御することが可能となる。
【0030】
更に図示するように、水平の流体通路246は、ディスク420の上方で鉛直流体通路234に接続するように、シリンダ244内の中央部に配置されている。こうして、水平流体通路246および鉛直流体通路234はT形領域426を形成するように接続しており、該T形領域によって、流体はオーバーヘッド流体弁組立体210を通過して、流体送出先端組立体240へ流通可能となる。
【0031】
図8において、オーバーヘッド流体弁組立体210は開放位置にあり、矢印440で示す噴霧塗装流体が鉛直流体通路234を上方へ流通している。オーバーヘッド流体弁組立体210は、矢印442で示す方向にトリガー218を引っ張ることによって開弁する。矢印422で示すように、トリガー218を引っ張ることによって、トリガー本体220が、矢印444で示すように回動ジョイント部222を中心として回動する。次いで、押圧リップ部224が弁ボタン226を押圧し、球状部材214によって上方に作用する圧力に対抗して、弁ステム212が下動する。弁ステム212は充分な距離を以って移動し、ディスク420の小孔418が充分に露出して流体がT形領域に流入する。オーバーヘッド流体弁組立体210が開弁すると、流体がディスク420に形成された小孔418に流入する際、該流体は球状部材214の周囲を流動する。その後、流体は水平流体通路246を流通して流体送出先端組立体240へ到達し、そこで流体はエアレスガン200から流出する。既述したように、弁システム210、トリガー218、トリガー本体220、回動ジョイント部222および押圧リップ部224は、オーバーヘッド流体弁組立体210を開閉するために必要な操作力を低減する機構を形成する。ある実施形態では、流体弁組立体に印加された力の大きさと、トリガー220に印加された力の大きさとの比は24/1にもなった。
【0032】
本発明の特定の特徴のみを図示し説明したが、種々の修正および変更が問う業者には可能であろう。従って、特許請求の範囲は、本発明の精神の範囲内で全ての修正および変更を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、
流体弁および該流体弁に結合されたトリガーを含む流体ヘッドと、
前記流体ヘッドを前記ハンドルに結合する迅速結合、分離固定具とを具備した噴霧塗装装置を具備するシステム。
【請求項2】
前記ハンドルおよび流体ヘッドは、前記噴霧塗装装置の実質的にガン形の本体を形成する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハンドルには流体通路、流体弁およびそれらの組合せが設けられていない請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ハンドルおよび流体ヘッドが、外部の流体管路によってトリガーガードが形成されるように、該流体管路を前記トリガーの前方に配置する管路コネクターを具備する請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記噴霧塗装装置がエアレスガンである請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体弁は、前記トリガーの引っ張り方向に対して概ね横断方向に作動するようになっている請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記トリガーが、前記流体ヘッドに結合された中間回動ジョイント部を有したレバーを具備しており、該レバーが前記中間回動ジョイント部の両側部に配置された第1と第2の部分を有し、前記第1の部分がフィンガーグリップ部に結合され、前記第2の部分が、前記流体弁の頂部の上方に突出している請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記レバーが、前記流体ヘッドおよびハンドルの両側部に延びる開口部を有する請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記流体ヘッドに結合された流体噴霧先端部を更に具備する請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記流体噴霧先端部がベルカップを具備する請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体噴霧先端部が、保持キャップと、フランジ部を有した流体送出先端組立体とを具備し、前記保持キャップによって前記フランジ部が保持され、前記保持キャップが前記流体ヘッドに結合される請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記迅速結合、分離固定具が、ガイド部と固定部とを具備する請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ガイド部が、受承部に嵌合するピンを具備する請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記固定部が、凹部を有したフックまたはピンと、前記凹部に係合するカムまたはネジ締結具とを具備する請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記迅速結合、分離固定具が、凹部に係合するカムを具備する請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−528837(P2010−528837A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510403(P2010−510403)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/063424
【国際公開番号】WO2008/147679
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】