説明

オーブンのドア開閉装置

【課題】オーブンドアの急激なまたは過度な解放を防止すると共に庫内でスライドする調理ラックの引き出し、収納動作との連係をとるオーブンドアの開閉装置を提供すること。
【解決手段】オーブンのドア開閉装置は、オーブン本体と、所定回転軸を中心に回転し、オーブン本体の内部を開閉するドアと、オーブン本体の内部でスライドするラックと、ドアの回転運動をラックのスライド運動に転換するリンク部と、リンク部による運動の転換を制限して、ドアの回転角度を所定範囲内に制限するストッパーと、を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブンに関し、より詳しくは、オーブンのドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オーブンに取り付けられるドアは、ドアの形態を維持する金属製のドアフレームと、複数のドアグラスと、ドアフレームをドアグラスに固定するブラケットと、などで構成される。
【0003】
上記のように構成されるドアは、その重さが数キログラム乃至数十キログラムもある。したがって、ドアの開放の際、その開放方向に位置する他の品物または人にぶつかり、品物または人を傷付けるおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術の欠点、欠陥による1つまたはそれ以上の問題を防ぐことのできるオーブンのドア開閉装置を目指すものである。
【0005】
本発明は、オーブンのドアを開放する際に、そのドアの回転開放の変位を制御することができる電気オーブンのドア開閉装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の他の利点、目的、及び、特徴は以下の記載に示され、当業者は以下を検討することにより理解され、あるいは、本発明の実施から学ぶことができるであろう。本発明の目的と他の利点は、特に、記載された説明、請求の範囲、ならびに、図面に指摘されている構造によって、実現され得られるであろう。
【0007】
これらの目的及び他の利点を得るために、また、本発明の目的にしたがって、実施され、広く記載されたように、オーブンのドア開閉装置が提供され、それは、オーブン本体と、所定回転軸周りを回転するオーブン本体の内部を開閉するドアと、オーブン本体の内部からスライドするラックと、ドアの回転をラックのスライドに変換するリンク部と、ドアの回転を所定の角度範囲内に制限するべくラックのスライドを制限するためのストッパーと、を含んでいる。
【0008】
本発明の他の態様によれば、オーブン本体と、所定回転軸周りを回転し、オーブン本体の内部を開閉するドアと、オーブン本体の内部からスライドするラックと、ドアの回転をラックのスライドに変換するためのリンク部と、オーブン本体とラックにそれぞれ形成され互いに係合してドアの回転とラックのスライドを停止させるための2つの部分を含むストッパーと、を含むドア開閉装置が提供される。
【0009】
本発明の更なる態様によれば、オーブン本体と、所定回転軸周りを回転し、オーブン本体の内部を開閉するドアと、オーブン本体の内部からスライドするラックと、ドアの回転軸と連動する駆動ギア及び駆動ギアと連動してドアの回転に応じてラックをスライドさせる従動ギア集合体を含むリンク部と、オーブン本体とラックにそれぞれ形成されて互いに係合して、ドアの回転とラックのスライドを停止させるための2つの部分を含むストッパーと、を含むドア開閉装置が提供される。
【0010】
本発明によるオーブンのドア開閉装置は、ドアの回転軌跡内の品物または人を、ドアの急なまたは過度な開放により傷付けることを防止するためにスライドするラックの突出距離を制限して、ドアの回転運動を調節する。
【0011】
また、本発明によるオーブンのドア開閉装置によれば、リンク部によりドアに連結されたラックをドアの回転の際に、自動的にスライドすることを可能としており、それにより使用者のラックに対する改善された接近性とそれに伴う便宜性が提供される。
【0012】
上記の本発明の概略的な説明および以下の詳細な説明は、例示的なもの、また、説明的なものであり、請求項に記載された発明の更なる説明を提供を意図するものであることを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明するが、それらは添付の図面に図示されている。同一、あるいは、同種の部品には同じ参照番号を付与してある。
【0014】
図1は、本発明に係るドア開閉装置が適用されたオーブンを概略的に示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、本発明に係るオーブン100は、内部に飲食物の調理空間である空間101を画成するオーブン本体110と、空間101を開閉するドア120とを含む。空間101には、飲食物が入っている食器類が置かれるラック130が設けられる。そして、オーブン本体110の内面の一つに、ラック130の運動を制限する制止突起111が形成される。
【0016】
ドア120は、オーブン本体110の側部において回転する。すなわち、横に回転して開く。上記の方式で回転すれば、使用者が開放された空間101へ容易に近付くことができ、ラック130への食器類の上げ下ろしなどの作業を容易に行うことができる。
【0017】
ラック130は、オーブン本体101から後→前方向に、及び、その逆に、スライドして、ラック130上に置かれる食器類に使用者が容易に近付くことができる。
【0018】
制止突起111は、ラック130を外側への最大のスライドの点に制止せしめる点に配置されるが、ラックのスライド距離はドア120の回転角度に対応する。上記のように配置されることにより、制止突起111がラック130のスライド運動を制限し、ドア120の変位が調節される。
【0019】
本発明では、ラック130のスライド運動と、ドア120の回転運動が、リンク部140(図2)により連係され、ドア120の変位を制限することが可能である。これについては後述する。
【0020】
図2は、本発明に係るドア開閉装置を示す斜視図であり、図3は、図2に示されたドア開閉装置の側面図である。
【0021】
図2、3を参照すると、本発明に係るドア120の開閉装置は、リンク部140により、ラック130のスライド運動とドア120の回転運動を連係せしめている。
【0022】
ラック130には、食器類が置かれる水平部132と、水平部132から折曲する折曲部131とを含む。
【0023】
リンク部140は、ラック130の水平部132の下部に配置されたラックギア141と、ラックギア141とかみ合う第1従動ギア142と、第1従動ギア142とかみ合う第2従動ギア143と、第2従動ギア143とかみ合う駆動ギア144とを含む。
【0024】
駆動ギア144は、ドアギア120の回転軸に結合されて、回転軸と共に回転する。ラックギア141、第1従動ギア142、第2従動ギア143及び/または駆動ギア144は、異なるギア比を有して形成され、ラック130のスライドによる突出距離と、ドア120の回転開放運動の変位を調節することができる。
【0025】
制止突起111がオーブン本体110の内壁から所定長さで突出して形成される。制止突起111は、ラック130が前方に移送されるとき折曲部131に係合し、ラック130のスライド運動を停止させる。すなわち、制止突起111は、ラック130のスライドによる突出距離を制限する。上記のように、制止突起111によりラック130のスライド運動が停止されると、リンク部140によりラック130と連係するドア120の回転が停止される。これによって、ドア120の回転開放運動の変位が調節できるが、これに対しては後述する。
【0026】
一方、ドア120がオーブン100の周辺に配置されたほかの品物または人を傷付けないように、ドア120の回転、開放の範囲は180゜に調節されるであろう。
【0027】
図4乃至図6は、本発明に係るドア開閉装置の作動を説明する図面である。
図4は、本発明に係るドア開閉装置において、ドアが約90゜開放された状態を示す側面図であり、図5は、本発明に係るドア開閉装置において、ドアが約180゜開放された状態を示す側面図であり、図6は、図5に示された状態の平面図である。
【0028】
以下、図4乃至図6を参照して、本発明に係るドア開閉装置の作動の詳細を説明する。
まず、図4に示すように、使用者がドア120に外力を与えて回転させると、ドア120の回転軸と結合された駆動ギア144が回転する。そこで、駆動ギア144とかみ合う第2従動ギア143が回転し、第2従動ギア143とかみ合う第1従動ギア142が連鎖的に回転する。そこで、第1従動ギア142とかみ合うラックギア141が前方に移動する。上記のようなリンク部140の作動により、ラックギア141を形成するラック130が前方にスライドする。
【0029】
このように、図5及び図6に示すように、ラック130が所定距離スライドして突出すると、それは制止突起111において折曲部131が係合する。そこで、ラック130のスライド運動が停止される。上記のようにラック130のスライドが停止すると、ラックギア141の運動も停止する。そして、ラックギア141と連結された第1従動ギア142、第2従動ギア143及び駆動ギア144の運動が停止する。上記のようにリンク部140の作動が停止すると、それと結合したドア120の回転軸の回転が停止して、ドア120の回転が停止する。
【0030】
上記のような作動によれば、ラック130のスライドによる突出距離の制限によって、ドア120の回転開放運動の変位が調節できる。ここで、ドア120の回転開放運動の変位は、オーブン100周辺の他の品物または人を傷つけないように、約180゜の範囲内にすることができる。
【0031】
ここで、制止突起111と、折曲部131は、ラック130のスライド運動の範囲を制限するストッパーとして定義することができる。
【0032】
上記の実施例では、制止突起111がオーブン本体110の内部に形成され、制止突起111に係合する折曲部131が、ラック130に形成されると提示されているが、これは例示的なものである。すなわち、ラック130の動作範囲を制限するように、オーブン本体110と、ラック130に形成される種々の制止構造を形成することが可能である。
【0033】
上記のように構成される本発明に係るオーブンのドア開閉装置によれば、オーブン周辺の他の品物または人が、ドアの急なまたは過度な開放により傷つくことを防止するべく、ラックのスライドによる突出距離を制限して、ドアの回転運動の変位を調節することができる。
【0034】
また、本発明のオーブンのドア開閉装置によれば、ドアの回転の際に、リンク部によりドアに連結されたラックが自動的に外側にスライドして、使用者のラックに対する改善された接近性及び便宜性が提供される。
【0035】
本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲内で、様々な変形、変更が可能であることは明らかであろう。本発明は変形、変更が請求項、および、その均等物の範囲内にある限り、それらを含むことを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
添付の図面は、本発明のさらなる理解のためのものであって、本発明に組み込まれており、本発明の一部を成すものであり、本発明の実施形態を図示するが、明細書と共に本発明の本質を説明する役割を担っている。
【図1】本発明に係るドア開閉装置が適用されたオーブンを概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明に係るドア開閉装置を示す斜視図である。
【図3】図2に示されたドア開閉装置の側面図である。
【図4】本発明に係るドア開閉装置において、ドアが約90゜開放された状態を示す側面図である。
【図5】本発明に係るドア開閉装置において、ドアが約180゜開放された状態を示す側面図である。
【図6】図5に示された状態の平面図である。
【符号の説明】
【0037】
100 オーブン
101 空間
110 オーブン本体
111 制止突起
120 ドア
130 ラック
131 折曲部
132 水平部
140 リンク部
141 ラックギア
142 第1従動ギア
143 第2従動ギア
144 駆動ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーブン本体と、
所定回転軸の周りを回転する前記オーブン本体の内部を開閉するためのドアと、
前記オーブン本体の内部からスライドするラックと、
前記ドアの回転を前記ラックのスライドに変換するリンク部と、
前記ラックのスライドを制限して、前記ドアの回転を所定角度範囲内に制限するストッパーと、
を含むことを特徴とするオーブンのドア開閉装置。
【請求項2】
前記ストッパーは、前記オーブン本体と前記ラックに形成され、互いに係合する2つの部分を具備することを特徴とする請求項1に記載のオーブンのドア開閉装置。
【請求項3】
前記ドアの所定回転角度範囲内の終着回転角度に対応する前記ラックのスライド距離の終着スライド点で、前記ストッパーが作動することを特徴とする請求項1に記載のオーブンのドア開閉装置。
【請求項4】
前記ストッパーは、前記オーブン本体から突出する制止突起と、前記ラックに形成される折曲部を具備する、ことを特徴とする請求項1に記載のオーブンのドア開閉装置。
【請求項5】
前記ストッパーが、前記ラックのスライド時の突出距離を制限することを特徴とする請求項1に記載のオーブンのドア開閉装置。
【請求項6】
前記リンク部は、ギア比の異なる複数のギアを含むことを特徴とする請求項1に記載のオーブンのドア開閉装置。
【請求項7】
前記複数のギアは、前記ラックに形成されるラックギアと、前記ラックギアとかみ合う第1従動ギアと、前記第1従動ギアとかみ合う第2従動ギアと、前記第2従動ギアとかみ合い、前記回転軸と連動する駆動ギアと、を含むことを特徴とする請求項6に記載のオーブンのドア開閉装置。
【請求項8】
前記ドアの回転変位の角度が所定角度に到達した際に前記ドアが停止するように、前記ラックの突出距離が制限されることを特徴とする請求項1に記載のオーブンのドア開閉装置。
【請求項9】
前記ドアが停止する所定角度は、実質的に180゜であることを特徴とする請求項8に記載のオーブンのドア開閉装置。
【請求項10】
前記ドアは、前記オーブン本体の側部で回転することを特徴とする請求項1に記載のオーブンのドア開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−85722(P2007−85722A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−202537(P2006−202537)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】