説明

オープンショーケースのスニーズガード装置

【課題】 既設のオープンショーケースにおいて、店舗の陳列商材の変更及び販売形態を例えばバイキング形態に変更する場合に、衛生面上必要とされるスニーズガードを後付けで簡単に取付けるできるようにする。
【解決手段】 独立タイプのスニーズガード装置1を作製した。即ち、座部となる床支柱2に支持されて載置される商品陳列部となる床カバー3と、この床支柱2の端部から立設する左右一対のサイド支柱4と、このサイド支柱4上端に蝶番5を介して、回動リンク8の伸縮で回動自在に取付けられた天板6と、この天板6に取付けられて先端方向に延びるスニーズガード9とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レストランやデパート等の食品売場において惣菜等を陳列するために用いるオープンショーケースのスニーズガード装置に係り、特に、従来のオープンショーケースに後付けできるスニーズガード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、前面から上方にかけて開放したオープンショーケースの庫内にカット済みの果物やカット済みの野菜等惣菜類を収容して、顧客が所望量の商品を取り出せるようにしたバイキング形式の販売形態が広く行われている。また、レストラン等でも、サラダ類をオープンショーケースの庫内に並べて顧客が好みに応じて商品を取り出せるようにしたバイキング形式の販売形態を取るところもある。
【0003】
このようなバイキング形式の販売形態に用いられるオープンショーケースでは、庫内に陳列したカット果物、カット野菜等惣菜類を塵埃などの落下菌から保護するため、商品の取り出し時に目線下となる所望位置に透明のスニーズガードを取り付けている。
これは、例えば、オープンショーケース天板の前端部に、透明ガラス板等からなるスニーズガードを開閉可能に設けたもので、この開閉可能なスニーズガードは、商品の陳列やショーケース内部あるいはスニーズガード裏面の清掃を容易とするメリットがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−303548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述のように、オープンショーケースの天板前端部に、透明ガラス板等からなるスニーズガードを開閉自在に取り付けたスニーズガード一体型のケースにおいては、最初からバイキング仕様のショーケースとして製造しなければならず、使い道が限られてしまう。即ち、ショーケースのレイアウトを変え、バイキングコーナーを設けようとする場合には、最初からそれ用のスニーズガード一体型ケースを取りそろえなければならないという制約がある。そして、後にバイキングコーナーが不要となった場合には、そのバイキング用のケースをそっくり取り外して普通のオープンショーケースと入れ替えねばならないという不都合があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、既設のオープンショーケースにおいて、店舗の陳列商材の変更及び販売形態を例えばバイキング形態に変更する場合に、衛生面上必要とされるスニーズガードを後付けで簡単に取り付けできる独立タイプのスニーズガード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のオープンショーケースのスニーズガード装置は、座部となる床支柱に支持されて載置される床カバーと、この床支柱の端部から立設する左右両側の一対のサイド支柱と、このサイド支柱の上端に回動リンクを介して開閉自在に取り付けられた天板と、この天板に取り付けられて先端方向に延びるスニーズガードとから構成されている。
このスニーズガードは、前記天板に一体に固定されて連動する先端方向に延びる透明板で、前記天板は、サイド支柱の上部のブラケットに取付けれ下腕と上腕を有する回動リンクの縮み位置と伸び位置によって、前記天板の前記サイド支柱上端部への蝶着あるいは軸着等の手段による取付け位置に対して、前縁部が斜め下方に位置する閉じ位置と、前縁部が斜め上方に位置する開き位置との間を回動可能で、かつ前記閉じ位置及び開き位置にそれぞれ固定可能に支持されていることを特徴とする。
また、前記スニーズガードは、開き時には開放上端位置まで力を必要とするが、閉じ時には初動力を加えた後、手を離しても自重で自然にスローダウンできるよう回動リンクに緩衝機構を設けていることを特徴とし、また、前記スニーズガードは、照明装置が取付けられていることを特徴とする。
また、前記スニーズガードは、照明装置が取付けられたチャンネル(板金)と前方の透明体が一体化されていることを特徴とし、また、開閉のために、天板下側内部に上げ下げの力を加えるワイヤーバー(把手)を取付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の独立タイプのオープンショーケース用スニーズガード装置を用いれば、ショーケースのレイアウトを決めた後からスニーズガードを後付けして位置決めすることができるため、ショーケースによる商品構成の制約が少なくなる。また、これを取り外せば、スニーズガードのない普通のオープンショーケースとしてそのまま使うことができるメリットがある。また、取り外したスニーズガード装置は別の店舗、あるいは同一店内の別のコーナーにバイキング用スペースをつくる際に、またそっくり取り付けることができ、レイアウトの変更に迅速に対応できる。
また、回動リンクにより、天板と連動してスニーズガードを開閉可能に設けることにより、ショーケース内に商品を陳列する際、あるいはショーケース内部やスニーズガード裏面を清掃する際に、該スニーズガードを開くことにより容易に行うことができる。
【0008】
特に、伸縮自在な回動リンク等を用いてスニーズガードを前縁部が斜め上方に向かう開き位置で固定できるように形成することにより、スニーズガード裏面の清掃を容易に行えるとともに、スニーズガードの開閉操作も容易に行うことができる。
【0009】
スニーズガードの回動リンクには緩衝機構が設けられているので、スニーズガード開き時には開放上端位置まで、若干の力を必要とするが、閉じ時には初動力を加えた後、手を離しても自重で自然にスローダウンできるので、開閉操作が楽である。
【0010】
そして、スニーズガードは、照明装置が取付けられているので、商品陳列部を直接明るく照らすことができ、顧客の購買意欲を向上させることが期待できる。
また、照明装置を取付けた板金のチャンネルと前方の透明体であるスニーズガードを一体化しているので、完成度がよく見た目にもすっきりとしている。
【0011】
なお、スニーズガードの開閉操作は、上げ下げの力を加えるワイヤーバー(把手)を天板に下側内部に設けたので、操作性がよく、簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示す一実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。
図1は本発明のスニーズガード付きのオープンショーケースの一実施例を示す断面側面図、図2はスニーズガード装置のスニーズガードを開位置にした状態の斜視図、図3は同じくスニーズガード装置のスニーズガードを閉位置にした状態の斜視図、図4は同じくスニーズガード装置のスニーズガードを開位置にした時の回動リンクの状態を示す一部拡大斜視図、図5はオープンショーケースに搭載されたスニーズガード装置のスニーズガードを開位置にした状態の斜視図である。
【0013】
まず、図1に示すように、本発明のスニーズガード装置1の搭載されるオープンショーケース51は、支持台52に支持されるケース本体53の前面に商品取り出し用の開口54を設けたものである。
【0014】
また、支持台52とケース本体53との間及びケース本体53の背面には、冷却器56や送風ファン57を収納したダクト58が設けられており、ケース本体53の前面下部に設けた吸入口59から冷気を吸入し、冷却器56で所定温度に冷却して背面上段に設けた吹出口60から前記吸入口59に向けて冷気を吹き出すことにより、商品陳列部61に載置した惣菜,サラダ等の商品(図示せず)を冷却するように形成されている。
【0015】
そして、本発明の独立タイプのスニーズガード装置1は、このオープンショーケース51の床面上に前後方向に亘した床支柱2に支持されて床カバー3を載置している。床カバー3は表面は庫内色板等で形成され、商品陳列可能であると共に、冷却時必要な吸入口59を塞いでごみの落下を防止している。
【0016】
床支柱2の後端は、オープンショーケース51の背面よりも前方で立ち上がり、サイド支柱4となって上方に延び、中途部でやや前側に傾斜して、オープンショーケース51の天井部前側で前方へ折曲っている。これら床支柱2やサイド支柱4は左右両側にあり、角パイプ等を継ぎ合せて溶着した枠体であると好適である。
【0017】
サイド支柱4の上端には蝶番5を介して天板6があり、サイド支柱4の折曲部のブラケット7に取付けられた回動リンク8を介して回動自在に取付けられている。天板6には、オープンショーケース51の前面方向に延びる透明体のスニーズガード9が取付けられている。
【0018】
従って、このスニーズガード9は、天板6と一体となって連動し、回動リンク8の下腕8aと上腕8bが畳まれた状態での縮み位置と、下腕8aと上腕8bが立ち上がった状態での伸び位置によって、天板6のサイド支柱4の上端の蝶番5に対して、スニーズガード9の前縁部の斜め下方に位置する閉じ位置と、前縁部が斜め上方に位置する開き位置との間を回動できるようになっている。勿論、スニーズガード9は前記閉じ位置及び開き位置においては、それぞれ固定可能である。
【0019】
前記回動リンク8の下腕8aと上腕8bが畳まれた縮み位置とは、図1に実線で示すように、下腕8aと上腕8bがV字状になった状態で、スニーズガード9を開けていくと、下腕8aが上昇し、略水平になるまで上昇すると、下腕8aと上腕8bとが直角になり、さらに下腕8aが上昇すると、図2の二点鎖線及び図4のように、下腕8aと上腕8bが一直線上に立ち上がり、伸び位置となって、スニーズガード9が開放する。
【0020】
このスニーズガード9の開閉は、天板6下側内部にある2本のワイヤーバー(把手)10で行うようになっている。図2,図4,図5ではワイヤーバー(把手)10が垂れ下がった状態で示してあるが、通常は図1に示すようにマグネット等で天板6の裏面に保持しておく。
このスニーズガード9の開き時には開放上端位置まで若干の力を必要とするが、閉じ時にはワイヤーバー(把手)10を握って下方向への初動力を加えればよい。回動リンク8には、手を離しても自重で自然にスローダウンする公知の緩衝機構が具備されている。
【0021】
スニーズガード9は、チャンネル(板金)11を介して直接照明装置(蛍光灯)12が取付けられているので、周囲や商品陳列部を明るく照らすことができる。照明装置12の電源は、庫内棚板用のハーネスを利用することができる。
また、チャンネル(板金)11と前方の透明体(スニーズガード9)を重ね合わせて固定し一体化しているので完成度がよく、見栄えがよい。
【0022】
オープンショーケース51の背面とサイド支柱4の間には、図1及び図5に示すように、白色塗装板からなるスペーサ13が取付けられている。
そして、サイド支柱4の背面下部内側にはミラー効果を有するアルルックミラー14が貼り付けられている。
また、庫内床カバー3で形成される商品陳列部には段を設けるため、後方にアンコ15を設け、段を形成して商品陳列効果を高めている。
【0023】
このように、本発明の独立タイプのオープンショーケース用スニーズガード装置1を用いれば、ショーケースのレイアウトを決めた後からスニーズガード1を後付けして位置決めすることができるため、ショーケースによる商品構成の制約が少なくなる。また、これを取り外せば、スニーズガード1のない普通のオープンショーケースとしてそのまま使うことができるメリットがある。また、取り外したスニーズガード装置1は別の店舗、あるいは同一店内の別のコーナーにバイキング用スペースをつくる際に、またそっくり取付けることができ、レイアウト変更に迅速に対応できる。
【0024】
また、回動リンク8により、天板6を連動してスニーズガード9を開閉可能に設けることにより、ショーケース51内に商品を陳列する際、あるいはショーケース51内部やスニーズガード9裏面を清掃する際に、該スニーズガード9を開いて簡単に行うことができる。
【0025】
特に、伸縮自在な回動リンク8等を用いてスニーズガード9を前縁部が斜め上方に向かう開き位置で固定できるように形成することにより、スニーズガード9裏面の清掃を容易に行えるとともに、スニーズガード9の開閉操作も容易に行うことができる。
【0026】
なお、本発明は、スニーズガードを天板ごと開閉するように構成しているが、スニーズガード(透明体)のみを開閉するようにしたスニーズガード独立型の構成としてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のスニーズガード装置を搭載したオープンショーケースの一実施例を示す断面側面図である。
【図2】スニーズガード装置のスニーズガードを開位置にしたの斜視図である。
【図3】同じくスニーズガード装置のスニーズガードを閉位置にした状態の斜視図である。
【図4】スニーズガード装置のスニーズガードを開位置にした時の回動リンクの状態を示す一部拡大斜視図である。
【図5】オープンショーケースに搭載されたスニーズガード装置のスニーズガードを開位置にした状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 スニーズガード装置
2 床支柱
3 床カバー
4 サイド支柱
5 蝶番
6 天板
7 ブラケット
8 回動リンク
8a 下腕
8b 上腕
9 スニーズガード
10 ワイヤーバー(把手)
11 チャンネル
12 照明装置
13 スペーサ
14 アルルックミラー
15 アンコ
51 オープンショーケース
52 支持台
53 ケース本体
54 開口
56 冷却器
57 送風ファン
58 ダクト
59 吸入口
60 吹出口
61 商品陳列部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンショーケースの床面上に床支柱に支持されて載置される床カバーと、前記床支柱の端部より立設される左右両側のサイド支柱と、このサイド支柱の上部に回動リンクを介して開閉自在に取付けた天板と、この天板に取付けられオープンショーケースの前面方向に延びるスニーズガードとからなるオープンショーケースのスニーズガード装置。
【請求項2】
前記スニーズガードは、前記天板と一体となって連動し、前記サイド支柱の上部に取付けられ下腕と上腕を有する回動リンクの縮み位置と伸び位置によって、
前記天板の前記サイド支柱の上後端の蝶着あるいは軸着等の手段による取付け位置に対して、前縁部が斜め下方に位置する閉じ位置と、前縁部が斜め上方に位置する開き位置との間を回動可能で、かつ前記閉じ位置及び開き位置にそれぞれ固定可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載のオープンショーケースのスニーズガード装置。
【請求項3】
前記スニーズガードは、開き時には開放上端位置まで力を必要とするが、閉じ時には初動力を加えた後、手を離しても自重で自然にスローダウンできるよう回動リンクに緩衝機構を設けていることを特徴とする請求項1又は2記載のオープンショーケースのスニーズガード装置。
【請求項4】
前記スニーズガードは、照明装置が取付けられていることを特徴とする請求項1,2又は3記載のオープンショーケースのスニーズガード装置。
【請求項5】
前記スニーズガードは、照明装置が取付けられたチャンネル(板金)と前方の透明体が一体化されていることを特徴とする請求項4記載のオープンショーケースのスニーズガード装置。
【請求項6】
前記スニーズガードは、開閉のために、天板下側内部に上げ下げの力を加えるワイヤーバー(把手)を取付けたことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載のオープンショーケースのスニーズガード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−159882(P2007−159882A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361248(P2005−361248)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000213493)中野冷機株式会社 (58)
【Fターム(参考)】