説明

オープンショーケース

【課題】整流板そのものを延長することなく整流領域の確保を図ると共に、整流板に表示板保持用のホルダを簡単に取付け得るようにして、冷蔵室の上部空間を有効利用することができるようにしたオープンショーケースを提供する。
【解決手段】冷気吹出口10と冷蔵室8とを仕切る略鉛直方向に延びる整流板17の後方に冷蔵室8を照明する照明装置14を配設するとともに、透明材よりなる前板19と、後板20との対向面間に、表示板15の挟持部21を形成したホルダ18を、整流板17の下部に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外箱と内箱とからなり、かつ該外箱と内箱との間に冷気の通風路が形成されたショーケース本体内に、前面が開放する冷蔵室を形成し、該冷蔵室の前面に、前記通風路の上部前端に設けた冷気吹出口から、通風路の下部上端に設けた上方が開口する吸込口に向かって吹き出される冷気により、エアーカーテンを形成して前記冷蔵室を保冷するようにしたオープンショーケースに関し、特にプライスカードやPOPカード等の表示板を保持可能なホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陳列棚が多段に配置されるショーケースの冷気吹出口と庫内天井板との間には、下方に向けて整流板が延設されており、冷気吹出口から吹き出される冷気のエアーカーテンが形成されている。整流板の裏側にはランプが設置され、最上段陳列棚を照射している。この整流板の下端を利用して、シェードが左右の長さ方向で且つ下方に向けて延設されており、ランプの照明を冷蔵庫内に反射して最上段の陳列棚の照度を高めるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−95656号公報(段落0012−0014、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、最上段の陳列棚の照度を高めるために整流板の裏側にシェードを設けたもので、整流板そのものは既存のものを使用しているため、整流領域を延長するものではない。整流領域をより長く確保するには整流板を下方まで延ばせばよいが、そのためだけに整流板を延長すると、冷蔵室の上部空間に開放感がなくなり、最上段の陳列棚の商品も見にくい状態になるという難点があった。
また、冷蔵室の前面上部に、プライスカードやPOPカード等の表示板を取り付ける必要が生じた際に、それを保持するホルダ等を、整流板に、着脱可能として簡単に取付けることができず、冷蔵室の上部空間の有効利用ができないという問題もある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、整流板そのものを延長することなく整流領域の確保を図ると共に、整流板に表示板保持用のホルダを簡単に取付け得るようにして、冷蔵室の上部空間を有効利用することができるようにしたオープンショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のオープンショーケースは、外箱と内箱とからなり、かつ該外箱と内箱との間に冷気の通風路が形成されたショーケース本体内に、前面が開放する冷蔵室を形成し、該冷蔵室の前面に、前記通風路の上部前端に設けた冷気吹出口から、通風路の下部上端に設けた上方が開口する吸込口に向かって吹き出される冷気により、エアーカーテンを形成して前記冷蔵室を保冷するようにしたオープンショーケースにおいて、冷気吹出口と冷蔵室とを仕切る略鉛直方向に延びる整流板の後方に冷蔵室内を照明する照明装置を配設するとともに、透明材よりなる前板と、後板との対向面間に、表示板等の挟持部を形成したホルダを、前記整流板の下部に設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、整流板の下端にホルダを設けたので、ホルダの前板を整流作用の一部として利用することで、整流板そのものの寸法を短寸としても冷気の流れを確実に方向付けでき、かつホルダにおける表示板等の挟持部が前板と後板との二重構造で形成されているので、温度差による結露の発生が生じにくい。また、この挟持部にプライスカードやPOPカード等の表示板が取り付けられた際には、透明材で構成した前板を介して表示板の視認性が阻害されない。
さらに、整流板を利用して、表示板等を保持するホルダを簡単に装着することができるので、冷蔵室の上部空間を有効利用することができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載のオープンショーケースは、請求項1に記載のオープンショーケースであって、後板を、前板の下端から後上方に折り返して一体形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、前板と後板とが一体形成されているので、部品点数が少なくなるとともに、表示板等を挟持部に上方から挿入するだけで、挟持部内に下方に脱落するのが防止されて保持される。
【0008】
本発明の請求項3に記載のオープンショーケースは、請求項1に記載のオープンショーケースであって、後板を、前板の上部から垂下させたものとし、かつ前板と後板のいずれか一方の下端部に、それぞれ後上方もしくは前上方を向く上向折曲部を形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、表示板等を、ホルダの下方から挟持部に容易に挿入し得るとともに、挟持部に挿入した表示板等の下端を、前板または後板の下端部の上向折曲部により受支することにより、下方への脱落を防止することができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載のオープンショーケースは、請求項3に記載のオープンショーケースであって、後板を、前板との間の隙間が下方に向かって漸次拡開するように垂下させたことを特徴としている。
この特徴によれば、挟持部への表示板等の下方よりの挿入作業が、より簡単となる。
【0010】
本発明の請求項5に記載のオープンショーケースは、請求項4に記載のオープンショーケースであって、前板と、垂下させた後板との対向面の上部に、表示板等の上端部を保持可能な上下方向に長い挟持部を形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、表示板等の上端部が、上部の挟持部により挟持されるので、表示板が安定してホルダにより保持される。
【0011】
本発明の請求項6に記載のオープンショーケースは、請求項3乃至5のいずれかに記載のオープンショーケースであって、垂下させた後板の下端を、前板の下端部における後上方を向く上向折曲部に弾性係合させうるようにしたことを特徴としている。
この特徴によれば、挟持部内において、表示板等が前板と後板とにより挟持されるので、表示板がホルダに、より安定して保持される。
【0012】
本発明の請求項7に記載のオープンショーケースは、請求項3乃至6のいずれかに記載のオープンショーケースであって、後板の厚さを、下方に向かって漸次小としたことを特徴としている。
この特徴によれば、後板の下部が前後方向に撓み易くなるので、その下端を前板の下端部の折曲部に容易に弾性係合させることができる。
【0013】
本発明の請求項8に記載のオープンショーケースは、請求項1乃至7のいずれかに記載のオープンショーケースであって、後板を透光性を有するものとしたことを特徴としている。
この特徴によれば、ホルダの挟持部に何も取り付けない場合であっても、前板の透明材と後板の透光性によって、ホルダの存在が目障りにならない。
【0014】
本発明の請求項9に記載のオープンショーケースは、請求項8に記載のオープンショーケースであって、後板を半透明の乳白色としたことを特徴としている。
この特徴によれば、後板を半透明な乳白色としたことでホルダの位置を目立つことなく視認できるので、プライスカードやPOPカード等の表示板を挟持部に取り付ける操作が容易に行えるとともに、整流板後方の照明装置の光が乳白色の後板を介することで、オープンショーケース前方に位置する利用客の目に直接照射されないように保護することができる。
【0015】
本発明の請求項10に記載のオープンショーケースは、請求項1乃至9のいずれかに記載のオープンショーケースであって、整流板の下端を後上方に折り返して折返片を形成し、該折返片に、前板の上部を前下方に反転屈曲して形成された係止溝を、着脱自在に掛止したことを特徴としている。
この特徴によれば、整流板の係止部に向けてホルダの係止溝を掛止するだけで、容易かつ迅速に取り付け作業を行えるとともに、ホルダ不要時には、整流板の折返片よりホルダを簡単に取り外すことができる。また、折返片を整流板の後方位置としたことで、ホルダの取り付け位置を外部から遮蔽でき見栄えが良好なものとなる。
【0016】
本発明の請求項11に記載のオープンショーケースは、請求項10に記載のオープンショーケースであって、係止溝を折返片に掛止した状態において、挟持部から上方の前板の上部前面が折返片と面接触するようにしたことを特徴としている。
この特徴によれば、係止溝を掛止した際に、折返片に沿って前板の上部が面接触しているので、冷気の流れに基づくホルダの揺れが確実に抑えられる。
【0017】
本発明の請求項12に記載のオープンショーケースは、請求項1乃至11のいずれかに記載のオープンショーケースであって、ホルダを整流板の下部に装着した状態において、整流板と前板との前面が略面一となるようにしたことを特徴としている。
この特徴によれば、整流板と前板との前面が略面一であるので、吹出口からの冷気を下方の吸込口の方向に向けて安定してガイドでき、内箱の前面に形成されるエアーカーテンの整流作用を良好に維持できる。
【0018】
本発明の請求項13に記載のオープンショーケースは、請求項1乃至12のいずれかに記載のオープンショーケースであって、後板の挟持部側の前面を微細な凹凸面としたことを特徴としている。
この特徴によれば、微細な凹凸面により挟持部内に保持される表示板等のズレを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施例におけるホルダを備えたオープンショーケースの全体像を示す斜視図であり、図2は、オープンショーケースを示す側断面図であり、図3は、ホルダを示す一部破断斜視図であり、図4(a)は、ホルダの取り付けを示す側断面図であり、図4(b)は、表示板をホルダに取り付ける側断面図であり、図5は、吹出口からの冷気の流れを示す側断面図である。
【0021】
図1に示されるオープンショーケースは、主に商店やスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品等を取り扱う販売店舗に設置され、商品を低温に保ったまま保冷、または冷凍した状態で陳列するために設置される冷蔵ショーケース1であり、正面側を開口した内箱3により囲まれた冷蔵室8には、商品を陳列する陳列棚7が上下方向に複数設置され、下部に設けられた底板11にも商品(図示省略)を陳列可能になっている。以下、本実施例の説明において、この冷蔵ショーケース1を対面した状態で見て、手前側を前方とし、奥行き側を後方とし、左手側を左方、右手側を右方として説明する。
【0022】
内箱3の上部には、左右の長手方向に向けてホルダ18が下方に突設するように延設されている。このホルダ18内には、商品のプライスカードや販売促進用のPOPカード等の表示板15が左右の長さ方向に沿って各々収納され、各種陳列された商品の値段や宣伝、商品特性等が利用客に向けて表示されている。また、従来公知のように各陳列棚7の前端には各陳列棚7の商品を案内するプライスカードやPOPカード等が取り付けられている。
【0023】
図2に示されるように、冷蔵ショーケース1には、正面側が開口された内箱3と同じく正面側が開口され、内箱3を囲繞するように設けられた外箱2とからなり、外箱2は発砲ウレタン樹脂材等からなる断熱部材と、この断熱部材の表裏面を覆うスチール金属等の表面板と、から構成されている。外箱2と内箱3との間には通風路4が形成され、この通風路4内には、冷却装置5と送風機6を備えている。
【0024】
冷蔵ショーケース1の下部には、通風路4内に空気を取り込む吸込口9が形成され、冷蔵ショーケース1の上部には、冷却装置5にて冷却された冷気の吹出口10が形成されている。そこで送風機6の可動によって、冷却装置5によって冷却された冷気が吹出口10から吸込口9に向けて吹き出され、ショーケース1の前方に内箱3の開口を閉塞する冷気のエアーカーテン12が形成されるとともに、このエアーカーテン12の冷気の一部が冷蔵室8内に供給されることで温度を低温に保つことができ、冷蔵室8内の陳列棚7や底板11に載置される商品(図示省略)を冷蔵(冷凍)した状態で陳列できるようになっている。
【0025】
吹出口10と冷蔵室8の天井前方との間には、下方に向けて整流板17が略鉛直方向に延設されており、吹出口10から吹き出されるエアーカーテン12の整流を助成している。整流板17の下端には、ホルダ18が下方に向けて延設されている。整流板17の後方には、冷蔵室8内を照明する蛍光ランプ等の照明装置14が配設されている。同様に各陳列棚7の前端部下面には、直下の陳列棚7および底板11に陳列される商品を照明する蛍光ランプ等の照明装置13が設けられている。
【0026】
図3に示されるように、ホルダ18には成形が容易かつ軽量な透明性を有するプラスチック樹脂材が用いられており、本実施例においては、プラスチック樹脂材の中でも、特に断熱効果に優れ、耐衝撃性、耐熱および耐寒性にも優れたポリカーボネート樹脂が用いられている。また、プラスチック樹脂材としてアクリル樹脂等の透明材を用いても良いことは言うまでもない。
【0027】
ホルダ18の形状については、左右の長さ方向に向けて延設され、上下方向に立設するように垂直面を有する前板19と、この前板から後方に向けて折り返されるように形成された後板20とによって上方を開口した側面視略U字状の挟持部21が形成されている。そして、この挟持部21から延びる前板19の上部には、後上方に向けて屈曲された傾斜部19aと、この傾斜部19aの上部を前下方に反転屈曲して形成した係合部22とによって前下方が開口した側面視略下向きU字状の係止溝22aが形成されている。後板20の上端部には後上方に向けて表示板15挿入のためのガイド片20aが屈曲形成されており、前板19との間隔が側面視V字状に拡開されている。
【0028】
ホルダ18に表示板15を入れたときに表示板15を見やすくするために、少なくとも挟持部21の前板19側は透明色となったものを使用するが、後板20側については特に材質の限定はない。しかし、後板20に透光性を有するものを使用すれば、ホルダ18に表示板15を入れないで使用する場合に上段の棚商品がホルダ18を介しても見ることができ、また、半透明の乳白色のものを使用すれば、整流板後方の照明装置の光が乳白色の後板を介することで、オープンショーケース前方に位置する利用客の目に直接照射されないように保護することもできる。
【0029】
図4(a)に示されるように、整流板17は左右の長さ方向に向けて延設され、下方に向けて延在される整流部17cと、整流部17cの下端を後上方に折り返して形成された折返片17aと、整流部17cの上端を後方に向けて折り返した取付部17bとで構成されている。取付部17bの上面は特に図示しない内箱3の天井にネジや接着材で固着されており、下面には固定部16を介して照明装置14が固定されている。
【0030】
整流板17の下端にホルダ18を取り付けるには、ホルダ18の傾斜部19aを折返片17aに前下方に向けて沿わせるように、係止溝22aを折返片17aの先端部に向けて嵌め込むだけで、係止溝22aが折返片17aを挟持するように掛止される。このように、折返片17aに向けて係止溝22aを掛止するだけで、容易かつ迅速に取り付け作業を行えるとともに、ホルダ18の取り外し作業も簡便に行える。しかも、折返片17aを整流部17cの後方位置としたことで、ホルダ18の取り付け位置を外部から遮蔽でき見栄えも良好なものとなる。
【0031】
そして、図4(b)に示されるように、折返片17aにホルダ18を掛止した状態においては、傾斜部19aが折返片17aに対して面接触されるので、ホルダ18の揺れが確実に抑えられる。このとき整流部17cと前板19との前面が略面一となるようにすることが好ましい。次いで、挟持部21に表示板15を取り付けるには、ガイド片20aに沿って表示板15を挟持部21の内部に向けて挿し込むことで後板20を後方に向けて押し広げ、挟持部21の深部にまで表示板15を円滑に挿し入れて収納することができる。
【0032】
図5に示されるように、整流板17と挟持部21の前板19の前面を略面一としたことで、ホルダ18を整流板17から下方に延びる整流板の延長部として構成でき、この略鉛直方向に延びる整流板17およびホルダ18によって、吹出口10と冷蔵室8とが仕切られていることから、通風路4から吹出口10を介して吹き込まれる冷気12が常に無駄なく下方に向けて安定してガイドされ、内箱3の前面に形成されるエアーカーテンの整流作用を良好に維持できる(図2参照)。しかも、ホルダ18の傾斜部19aと折返片17aとの面接合により、吹出口10からの冷気の影響によるホルダ18の揺れが確実に抑えられている。
【0033】
そして、前板19の整流作用を行う上下方向の長さは、整流板17にホルダ18を係止したときに最上段の陳列棚7の商品が見づらくならず、且つ冷蔵室8の上部空間に圧迫感を与えない程度が好ましい。従って今まで使用していた整流板17より短くしホルダ18で整流作用を補っても良いし、今まで使用していた整流板17に継ぎ足して整流作用を向上させることもできる。
【0034】
さらに、ホルダ18の挟持部21が前板19と後板20との一体で形成されているので、整流板17の吹出口10側と、その反対側の冷蔵室8との温度差による結露の発生が生じにくい構成となっており、特に挟持部21に表示板15が取り付けられた際には、透明材である前板19の透光度が結露によって阻害されることなく、前板19の前方からの表示板15の視認性が良好に保たれている。
【0035】
また、ホルダ18に用いられたポリカーボネート樹脂は、プラスチック樹脂材の中でも特に断熱効果に優れており熱伝導率が低く抑えられているので、結露の発生をより確実に抑えることができる。また、耐衝撃性、耐熱および耐寒性に優れているので、ホルダ18を長期に渡り使用可能である。
【0036】
上記第1の実施例では、整流板17の下端を利用してホルダ18を設け、このホルダ18に表示板15を取り付けたので、各陳列棚の前部に設けたプライスレールに加えて、冷蔵室8の全体の内容を利用客に示すことができる。後板20を半透明な乳白色とした場合は、ホルダ18の位置を目立たない程度に視認できるので、表示板15を挟持部21に取り付ける操作が容易に行える。
【実施例2】
【0037】
次に、本発明の第2の実施例を図6に基づいて説明する。図6は、整流板に取り付けられたホルダを示す側断面図である。尚、以下の第2の実施例において前述の第1の実施例と同様の構造部分に関しては、同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略することにする。
【0038】
図6に示されるように、ホルダ28の前板19から折り返された後板30の挟持部29側には、細かな複数の突起を設けた微細な凹凸面30aが形成され、挟持部29に表示板15を収納した際に、表示板15の後面が複数の突起で保持されるので、表示板15のズレを確実に防止することができる。また、凹凸面30aを後板30にのみ設けたことで、前板19を介した表示板15の視認性を一切阻害することはない。
【実施例3】
【0039】
次に、本発明の第3の実施例を、図7乃至図9に基づいて説明する。
この第3の実施例のホルダ31は、上記第1の実施例と同様、上部に傾斜部19aと係合部22を有する透明な前板19における傾斜部19aの下端部附近に、半透明な乳白色等の弾性変形可能な後板32を、前板19の後方において垂下するとともに、前板19の後面との間に形成される挟持部33の隙間が、下方に向かって漸次拡開するようにして、一体的に連設したものである。
【0040】
後板32の厚さは、下方に向かって漸次小とされ、かつ上下寸法は、前板19よりも若干短寸としてある。後板32の下端部には、後下方を向く折曲部32aが形成され、前板19の下端部との間の隙間がさらに拡開するようになっている。
後板32の上端部は、ほぼ垂直に垂下し、前板19における上端部との間に、上下方向を向く所要長さの挟持部34が形成されている。
【0041】
前板19の下端には、その下端部を後上方に折り返すことにより、上向折曲部35が形成され、この上向折曲部35と前板19との間に形成された凹溝36内において、上向折曲部35の上端部前縁には、上記後板32における折曲部32aの下端が弾性係合するようになっている。なお、凹溝36の下端と挟持部34の上端間の上下寸法は、表示板15が余裕をもって挿入し得るように、その上下寸法よりも大としてある。
【0042】
表示板15をホルダ31に取付けるには、まず図7に示すように、表示板15を、ホルダ31の下方より、前板19と後板32との間の挟持部33間に挿入し、上端部に形成した上下方向を向く挟持部34の上端まで挟入する。
【0043】
次いで、図8に示すように、表示板15の下端部を凹溝36に落とし込んで受支する。この際、表示板15の上端部は挟持部34内に位置しているので、ホルダ31から表示板15が脱落することはない。従って、図8の状態のままでも使用することが可能であるが、図9に示すように、後板32を前方に撓ませて、その折曲部32aの下端を、前板19における上向折曲部35の上端部前縁に弾性係合させることにより、表示板15は、前板19と後板32とにより前後から挟持されるので、ホルダ31にがたなく安定して保持される。
【0044】
第3の実施例のホルダ31を使用すると、その挟持部33に表示板15を下方から簡単に挿入して取付けることができる。
なお、この第3の実施例では、挟持部33が下方に向かって漸次拡開するように、後板32を斜め後下方に垂下させているが、垂下させる角度は、後板32の下端が、前板19の上向折曲部35の後面と近接もしくは若干離間する程度としてもよい。また、後板32を垂直状に垂下させてもよく、この際には、前板19の下端に上向折曲部35を設ける代わりに、後板32の下端に、前上方を向く上向折曲部を設けるようにしてもよい。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれ、例えば上記実施例では、折返片17aにホルダ18、28、31の係止溝22aを掛止することで容易かつ迅速に各ホルダの着脱作業を行えることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、折返片17aおよび係止溝22aを設けることなく、整流板の下端に各ホルダをボルト等で着脱自在に連結固定するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施例では、後板20、30、32を半透明の乳白色としたことで、容易にホルダ18、28、31の位置を視認して表示板15の取り付け操作を容易に行えることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばショーケース全体や冷蔵室内に陳列される商品群や表示板の色を考慮して、後板に半透明の他の色素を用いるようにしてもよく、この場合にも各ホルダの位置を視認し易く、整流板17後方の照明装置の光を利用客の目に直接照射されない構成であればなお良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施例におけるホルダを備えたオープンショーケースの全体像を示す斜視図である。
【図2】オープンショーケースを示す側断面図である。
【図3】ホルダを示す一部破断斜視図である。
【図4】(a)は、ホルダの取り付けを示す側断面図であり、(b)は、表示板をホルダに取り付ける側断面図である。
【図5】吹出口からの冷気の流れを示す側断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例における整流板に取り付けられたホルダを示す側断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例における整流板に取り付けられたホルダを示す側断面図である。
【図8】同じく、挟持部に表示板を挿入した状態におけるホルダの側断面図である。
【図9】同じく、後板を前方に撓ませて前板の上向折曲部に弾性係合した状態におけるホルダの側断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 冷蔵ショーケース(オープンショーケース)
2 外箱
3 内箱
4 通風路
5 冷却装置
6 送風機
7 商品の陳列棚
8 冷蔵室
9 吸込口
10 吹出口
11 底板
12 冷気
13 各陳列棚用の照明装置
14 冷蔵室内照明用の照明装置
15 プライスカードやPOPカード等の表示板
16 照明装置の固定部
17 整流板
17a 折返片
17b 取付部
17c 整流部
18 ホルダ(実施例1)
19 前板
19a 傾斜部
20 後板
20a ガイド片
21 挟持部
22 係合部
22a 係止溝
28 ホルダ(実施例2)
29 挟持部
30 後板
30a 凹凸面
31 ホルダ(実施例3)
32 後板
32a 折曲部
33 挟持部
34 挟持部
35 上向折曲部
36 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と内箱とからなり、かつ該外箱と内箱との間に冷気の通風路が形成されたショーケース本体内に、前面が開放する冷蔵室を形成し、該冷蔵室の前面に、前記通風路の上部前端に設けた冷気吹出口から、通風路の下部上端に設けた上方が開口する吸込口に向かって吹き出される冷気により、エアーカーテンを形成して前記冷蔵室を保冷するようにしたオープンショーケースにおいて、
冷気吹出口と冷蔵室とを仕切る略鉛直方向に延びる整流板の後方に冷蔵室内を照明する照明装置を配設するとともに、透明材よりなる前板と、後板との対向面間に、表示板等の挟持部を形成したホルダを、前記整流板の下部に設けたことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
後板を、前板の下端から後上方に折り返して一体形成したものであることを特徴とする請求項1に記載のオープンショーケース。
【請求項3】
後板を、前板の上部から垂下させたものとし、かつ前板と後板のいずれか一方の下端部に、それぞれ後上方もしくは前上方を向く上向折曲部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のオープンショーケース。
【請求項4】
後板を、前板との間の隙間が下方に向かって漸次拡開するように垂下させたことを特徴とする請求項3に記載のオープンショーケース。
【請求項5】
前板と、垂下させた後板との対向面の上部に、表示板等の上端部を保持可能な上下方向に長い挟持部を形成したことを特徴とする請求項4に記載のオープンショーケース。
【請求項6】
垂下させた後板の下端を、前板の下端部における後上方を向く上向折曲部に弾性係合させうるようにしたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のオープンショーケース。
【請求項7】
後板の厚さを、下方に向かって漸次小としたことを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載のオープンショーケース。
【請求項8】
後板を透光性を有するものとしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のオープンショーケース。
【請求項9】
後板を半透明の乳白色としたことを特徴とする請求項8に記載のオープンショーケース。
【請求項10】
整流板の下端を後上方に折り返して折返片を形成し、該折返片に、前板の上部を前下方に反転屈曲して形成された係止溝を、着脱自在に掛止したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のオープンショーケース。
【請求項11】
係止溝を折返片に掛止した状態において、挟持部から上方の前板の上部前面が折返片と面接触するようにしたことを特徴とする請求項10に記載のオープンショーケース。
【請求項12】
ホルダを整流板の下部に装着した状態において、整流板と前板との前面が略面一となるようにしたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のオープンショーケース。
【請求項13】
後板の挟持部側の前面を微細な凹凸面としたことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のオープンショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−268254(P2007−268254A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54425(P2007−54425)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】